Offers HR Magazine
組織

離職率とは?令和7年は13.7%、3指標で読む方法

離職率とは?令和7年は13.7%、3指標で読む方法
鈴木 裕斗監修者

株式会社overflow / 代表取締役 CEO

鈴木 裕斗

株式会社サイバーエージェントに新卒入社。広告営業を経て、Amebaプラットフォームの管轄責任者に就任。その後、スタートアップ企業に入社、代表取締役就任を経て2ヶ月後に株式会社ディー・エヌ・エーにM&A、子会社化。子会社代表取締役とDeNA広告部長を兼任。2017年6月、株式会社overflowを創業。2018年から2020年9月末までエキサイト株式会社の社外取締役を兼任。

離職率は、社内で最も引用されやすい指標のひとつです。ところが「うちは高いのか低いのか」を判断しようとした途端、手が止まります。世の中に出回る平均値は算出方法も対象年もばらばらで、自社の数字と並べても意味を持たないからです。

判断の土台になるのは、国が毎年同じ定義で測っている統計だけです。厚生労働省は2026年8月31日、令和7(2025)年の雇用動向調査結果を公表しました。この記事では、その最新値をもとに、離職率という1つの数字を離職率・入職超過率・離職理由の3つに分解して読む方法を整理します。1つの数字のままでは、組織が縮んでいるのか回っているのかさえ区別がつきません。

離職率は離職者数を年初の常用労働者数で割った割合を指す

離職率とは、一定期間に離職した人の数を、その期間のはじめに在籍していた常用労働者の数で割った割合です。厚生労働省の雇用動向調査は、主な用語の定義で次の式を定めています。

離職率 = 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100(%) (年齢階級別に見る場合は6月末日現在の常用労働者数を分母とする)

出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』主な用語の定義(2026年8月31日公表)

ここでいう常用労働者とは、期間を定めずに雇われている人、または1か月以上の期間を定めて雇われている人を指します。自社で集計するときに、この範囲が統計と揃っているかを最初に確認してください。

似た言葉に定着率があります。離職率の裏返しとして使われますが、公的統計に定着率の定義はありません。社内で使う場合は、対象期間と分母を明記してから使う必要があります。退職率も同様で、定年退職を含めるかどうかで数字が変わるでしょう。

雇用動向調査には、入職率から離職率を引いた入職超過率という指標も置かれています。プラスなら人が増え、マイナスなら減っているという意味です。本記事が3指標のひとつに数えるのがこれにあたります。

離職率の計算で外しやすいのは分母と分子の定義

計算式そのものは単純ですが、自社の数字を統計と並べるときに外しやすい点が3つあります。

第一が、分母の起点です。雇用動向調査は1月1日現在の在籍者数を分母に置きます。自社が期末在籍者数や期中平均で計算している場合、同じ集団でも数値がずれます。

第二が、分子の範囲です。雇用動向調査の離職者には、他企業への出向者や出向元への復帰者が含まれます。一方、同一企業内で他の事業所へ移った人は離職に数えません。自社の集計が退職者数だけを見ているなら、統計より分子が小さくなるはずです。

第三が、期間の長さです。半期や四半期で計算した値を年次の統計と並べても比較になりません。年次の統計と比べるなら、必ず1年間の値に揃えます。

計算例で確かめる

1月1日時点の常用労働者が200人、その年に離職した人が18人だった場合、離職率は18÷200×100で9.0%になります。同じ年に30人が入社していたとしても、分母は200人のままです。入職率は30÷200×100で15.0%、入職超過率は15.0から9.0を引いて+6.0ポイントとなります。

この例で押さえておきたいのは、年の途中で入社して同じ年に離職した人の扱いです。その人は分子の18人に含まれる一方、分母の200人には含まれません。採用を急拡大した組織では、この非対称のせいで離職率が実態より高く出ます。数字が跳ねたときは、まず入社年ごとの内訳を出してから原因を探してください。

令和7年の離職率は13.7%で前年から0.5ポイント低下

令和7(2025)年の1年間で、離職率は13.7%でした。入職率は14.7%で、入職が離職を1.0ポイント上回っています。前年の令和6(2024)年は入職率14.8%・離職率14.2%だったので、離職率は0.5ポイント低下し、入職超過の幅は0.4ポイント広がりました(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』2026年8月31日公表・表1)。

実数では、1年間の入職者が7,526.8千人、離職者が7,052.6千人で、474.2千人の入職超過にあたります。

就業形態別では、一般労働者の離職率が11.4%、パートタイム労働者が19.9%で、8.5ポイントの差があります。産業計の13.7%は、この2つを混ぜた値です。産業計と一般労働者だけを比べると差は2.3ポイントで、混ぜているかどうかで見え方が変わります。

性別では、男性の離職率が12.5%、女性が15.1%でした。ただし入職率も男性13.4%・女性16.1%で、どちらも入職超過になっています。女性の離職率が高いことをそのまま定着の課題と読むのは、同時に起きている流入を見落とした解釈でしょう。

この調査は、日本標準産業分類の16大産業に属し、常用労働者を5人以上雇用する事業所のうち約15,000事業所を無作為に抽出して実施されています。平均有効回答率は60.9%、集計対象は入職者57,896人・離職者73,332人です。

産業別の離職率は6.6%から23.7%まで3倍以上ひらく

離職率の全体像より実務に役立つのは、産業別の内訳です。同じ調査の産業別集計を、入職超過率の高い順に並べます。

産業

入職率

離職率

入職超過率

宿泊業,飲食サービス業

27.8%

23.7%

+4.1pt

情報通信業

13.6%

10.4%

+3.2pt

不動産業,物品賃貸業

14.4%

12.1%

+2.3pt

金融業,保険業

8.7%

6.6%

+2.1pt

建設業

10.4%

8.7%

+1.7pt

生活関連サービス業,娯楽業

21.3%

20.1%

+1.2pt

学術研究,専門・技術サービス業

12.9%

11.7%

+1.2pt

卸売業,小売業

12.6%

11.9%

+0.7pt

運輸業,郵便業

9.6%

9.0%

+0.6pt

サービス業(他に分類されないもの)

21.8%

21.2%

+0.6pt

電気・ガス・熱供給・水道業

9.3%

8.8%

+0.5pt

教育,学習支援業

15.5%

15.1%

+0.4pt

鉱業,採石業,砂利採取業

10.5%

10.2%

+0.3pt

医療,福祉

14.5%

14.3%

+0.2pt

製造業

9.6%

9.8%

−0.2pt

複合サービス事業

6.3%

8.6%

−2.3pt

(参考)産業計

14.7%

13.7%

+1.0pt

出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』表4-2(2026年8月31日公表・就業形態計・16大産業の全数)

離職率だけを縦に見ると、最も低い金融業・保険業の6.6%から、最も高い宿泊業・飲食サービス業の23.7%まで3.6倍の幅があります。全産業平均との比較にほとんど意味がないことは、この幅を見れば明らかでしょう。

情報通信業は離職率10.4%で、入職超過率は16産業中2位

産業別の表で目を引くのが情報通信業です。離職率は10.4%で、産業計の13.7%を3.3ポイント下回りました。そして入職超過率は+3.2ポイントで、宿泊業・飲食サービス業の+4.1ポイントに次ぐ16産業中2番目の高さになります。

「IT業界は人の出入りが激しい」という言い方は広く共有されていますが、少なくとも直近の統計では、辞める割合は平均より低く、入ってくる人のほうが多い状態にありました。転職の話題が多い業界であることと、離職率が高いことは別の事実です。

ただし、この読み方には注意点が2つあります。

ひとつは、入職率そのものは高くないことです。情報通信業の入職率13.6%は産業計14.7%を下回り、16産業の中では7番目にとどまります。入職超過率が高いのは、入職が多いからではなく離職が少ないからでした。「入りやすい業界」ではなく「出ていかない業界」と読むのが正確です。

もうひとつは、就業形態で傾向が変わることです。一般労働者だけで見ると入職13.1%・離職10.0%・入職超過+3.1ポイントで全体と同じ形ですが、パートタイム労働者では離職率21.9%となり、パートタイム全体の19.9%を上回ります。正社員中心の議論と、非正規を含めた議論では結論が逆になるわけです。

採用の現場から見ると、この数字は「欠員の穴埋めより、事業拡大に伴う純増のほうが競争の主戦場になっている」と読めます。一方で、離職を上回るペースで人が入り続ける組織は受け入れ側の負荷が高くなります。入職超過が続く組織ほど、受け入れ設計の巧拙がそのまま成果に出るはずです。この点はオンボーディングとは?定着と育成を支える設計のポイントで扱っています。

離職理由は個人的理由10.2%・事業所側0.9%

3つ目の指標が離職理由です。令和7(2025)年の離職率13.7%のうち、「個人的理由」によるものが10.2%、「事業所側の理由」によるものが0.9%でした。前年と比べると個人的理由が0.5ポイント低下し、事業所側の理由は0.1ポイント上昇したことが、同調査の図6に示されています。

個人的理由は結婚・出産育児・介護看護・その他の個人的理由の合計、事業所側の理由は経営上の都合・出向・出向元への復帰の合計です。性別では、個人的理由による離職率が男性8.8%・女性11.7%、事業所側の理由が男性0.9%・女性0.8%となっています。

ここで押さえておきたいのは、この2区分で13.7%が埋まらないことです。10.2%と0.9%を足しても11.1%で、2.6ポイントが残ります。図6は主要な2区分を示したもので、定年や契約期間の満了といった理由は別の区分に入ります。「離職の大半は個人都合だから会社にできることは少ない」と読むと、この残差を見落とすことになるでしょう。

もうひとつの注意点は、この理由が離職者がいた事業所の回答だという点です。本人の申告ではありません。退職面談で言われなかった理由が「その他の個人的理由」に丸められている可能性は残ります。統計としての離職理由と、自社で把握すべき離職理由は別物として扱ってください。

自社の離職率を他社と比べるときに揃える3点

3指標が出そろったところで、自社の数字と統計を並べる手順に入ります。条件を揃えないと比較は成立しません。

第一に、分母と分子の定義です。前述のとおり、雇用動向調査は1月1日現在の在籍者数を分母に置き、分子には他企業への出向者を含めます。自社の集計方法を先に書き出してください。

第二に、就業形態の構成です。一般労働者11.4%とパートタイム労働者19.9%では8.5ポイント開きます。パートタイム比率の高い組織は、それだけで全社の離職率が押し上げられるわけです。産業計13.7%と自社の全社値を並べる前に、自社側の内訳を分けます。

第三に、業種です。同じ13%でも、金融業・保険業なら平均の2倍で、宿泊業・飲食サービス業なら半分強にあたります。上の表から自社の業種の行を見てください。

この3点を揃えてなお離れているなら、そこで初めて対策の議論に入ります。順序を逆にすると、問題の無い組織に施策を打つことになりかねません。

離職率が高く出る組織には共通する条件がある

統計が示すのは水準までで、なぜ高いのかは自社で確かめるしかありません。ただし、離職率が高く出る組織にはいくつか共通する条件があります。

ひとつは、業種と就業形態の構成です。宿泊業・飲食サービス業の23.7%、パートタイム労働者の19.9%という水準は、組織の状態ではなく事業の形によるものでした。改善の対象にする前に、構成要因を差し引いて考える必要があります。

次が、採用の急拡大です。離職率の分母は年初の在籍者数なので、期中の採用が増えるほど数値は上振れします。人が増えている組織ほど離職率が高く見えるという逆説があるため、入職超過率と並べないと判断を誤ります。

3つ目が、入社後の立ち上がりです。要件と実務のずれ、受け入れ体制の不足、期待値の食い違いは離職につながります。ここは組織側で動かせる領域で、実際に手を打つ価値があるのもこの部分でしょう。中途採用者に絞った要因は中途採用の離職率が高い理由とは?改善策を徹底解説で個別に扱いました。

4つ目として、評価と処遇の説明不足が挙げられます。離職理由として集計される「その他の個人的理由」の中には、本人が会社に伝えなかった不満も混じっているはずです。統計の分類をそのまま自社の課題認識にすると、この層が見えないまま残ります。

統計との比較で分かるのは1つ目と2つ目までです。3つ目と4つ目は自社のデータでしか測れません。入社年次別の在籍率と、離職者の勤続期間の分布を出すところから始めると、手を打つ場所が絞れます。採用の側から現在地を測るなら、エンジニア採用力チェックも併用できます。5つの指標で募集から入社までの状態を採点するので、要件と市場のずれがどこにあるかを外形的に確認できるはずです。

定着率を数値で開示している正社員求人は3.50%にとどまる

離職率を下げる取り組みは社内で進む一方、その成果が候補者に伝わっているとは限りません。ここに、採用側から見た空白があります。

株式会社overflowは、ハイクラスエンジニアの転職プラットフォーム「Offers」を運営しています。掲載された正社員求人のうち、離職率または定着率を数値つきで書いている求人の割合を年ごとに集計しました。

公開年

正社員求人

数値つき開示

割合

求人を出した企業

うち開示した企業

2023年

897件

1件

0.11%

204社

1社

2024年

1,505件

2件

0.13%

165社

1社

2025年

746件

14件

1.88%

174社

6社

2026年

571件

20件

3.50%

105社

4社

出所: Offers調べ(2026年9月時点)。各年に公開された正社員求人のうち、求人タイトルと本文(職務内容・必須条件・歓迎条件・開発内容・福利厚生・推薦文・勤務形態の説明など13項目)に「離職率」または「定着率」の語と数値が並んで現れるものを数えた

2026年で3.50%、企業単位では105社中4社です。語を含むだけの求人まで数えると2026年は22件に増えますが、その中には自社プロダクトの効能説明や業界課題の記述が混ざっていたため、数値を伴う開示だけに絞っています。

件数が年1件から20件と少ないため、年ごとの伸びを倍率で語るのは適切ではありません。読み取れるのは水準だけです。定着の良し悪しにかかわらず、それを候補者に見える形で出している企業は、2026年でもごく一部にとどまります。

自社の離職率が業界平均より低いのであれば、それは採用における差別化の材料になります。数値を出せない事情があるなら、平均勤続年数や、直近1年で入社した人の在籍状況といった別の切り口でも構いません。社内の指標として持っているだけで、候補者に見える形になっていないケースが大半でした。従業員側の状態をどう測るかは従業員エンゲージメントとは?高め方と組織業績への影響を参考にしてください。

選考の終盤で辞退されると、その分だけ欠員期間が延びます。辞退側の実態は内定辞退防止とは?辞退率15.0%の実態と対策にまとめました。

離職率をどこから下げるか

離職率という数字そのものを目標に置くと、施策は「辞めさせない」方向に寄ります。しかし本記事で見たとおり、この数字は単独では意味を持ちません。同じ13%でも、業種が違えば評価は逆になり、パートタイム比率が違えば水準も変わり、入職超過率がプラスかマイナスかで組織の向きも変わります。

現実的な着手点は3つです。ひとつめは入口で、要件と実態が合った採用ができているか。ふたつめは入社直後で、受け入れの設計が機能しているか。みっつめが発信で、社内で達成できている定着の状態が候補者に伝わっているか。

このうち3つ目は、多くの企業でまだ手が付いていません。求人票で数値つきの開示をしているのが3.50%という水準は、そこに手を伸ばしている企業がまだ少ないことを示しています。

まず自社の離職率を正しい分母で測り、入職超過率と離職理由を並べ、業種の水準と突き合わせる。そのうえで、結果を採用の場面で使えるところまで持っていく。この順序が、離職率を報告用の数字で終わらせないための道筋になります。

求人を出して待つ採用から、先に出会いにいく採用へ。

Offers AI RPOは、採用計画の策定から候補者選定・面談調整までAIと専門チームが伴走。転職市場に出る前のエンジニアにアプローチできます。

まずは無料で相談する

開催予定のイベント

【9/18 渋谷・交流会あり】AIで、人事の役割と組織はどこまで変わるのか 〜経営と組織をつなぐKDDIアジャイル開発センターと、人事の役割を進化させるMIXI。2社のいまを、交流会で直接聞ける夜〜

ハイクラスエンジニア採用の無料相談

オンライン(Zoom)/60分

求人・スカウト・エージェント、AIでの効率化まで進めても、CTO・VPoE・テックリードなどのハイクラスエンジニアの採用が決まらない。その原因がどこにあるのかを、採用中のポジションに該当する登録者の在籍状況とあわせて、一緒に整理します。情報収集の段階でも、お気軽にご利用ください。

よくあるご相談

  • ハイクラスの求人が数ヶ月動かない。何を変えれば決まるのか知りたい
  • いま転職を考えていない優秀なエンジニアに、どう会いに行くのか知りたい
  • 採用予算をお預かりし、使った分だけ課金・未消化分は全額返金する形(予算型リテーナー)の詳細を知りたい

支援実績(一部)

記事一覧へ

イベント・セミナー

イベント・セミナー一覧へ

お役立ち資料

3分でわかるOffers

3分でわかるOffers

ハイクラスエンジニアの最新トレンド〜Offersの機能・導入実績まで、3分間でご紹介!

資料ダウンロード
Offers採用成功事例集

Offers採用成功事例集

Offersを導入し、採用に成功された事例をご紹介。職種別の課題や工夫をご理解いただけます。

資料ダウンロード
AI RPOとは

AI RPOとは

AIエンジニア・テックリード・CTO——AI時代の希少人材採用に特化したRPOサービスをご紹介。AIと専門チームによる完全代行で、採用担当者はコア業務に集中できます!

資料ダウンロード
ストーリースカウトとは

ストーリースカウトとは

スカウト返信率が7年で半減したテンプレート型の限界を解説!候補者一人ひとりの文脈に合わせた「物語型」アプローチで、返信率・面談率を改善する新しいスカウト手法をご紹介!

資料ダウンロード
お役立ち資料一覧へ