離職率は1年間の離職者数を年初の常用労働者数で割った割合
離職率とは、ある期間に離職した常用労働者の数を、その期間のはじめの常用労働者数で割った割合です。分子の離職者には、期間の途中で入社してその期間内に辞めた人も含まれます。厚生労働省の雇用動向調査は、1年間の離職者数を1月1日現在の常用労働者数で割り、100を掛けた値を離職率と定めています(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』主な用語の定義・2026年8月31日公表)。
離職率(%)= 離職者数 ÷ 1月1日現在の常用労働者数 × 100。年齢階級別に見るときは、6月末日現在の常用労働者数を分母にします。
出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』主な用語の定義(2026年8月31日公表)
常用労働者は、期間を定めずに雇われている人と、1か月以上の期間を定めて雇われている人の両方を指します。正社員だけでなく、1か月以上の契約で働く人やパートタイム労働者も含む範囲です。離職者には定年退職や解雇、他企業への出向も入り、同じ企業の別の事業所への異動は入りません。
似た言葉に定着率と入職超過率があります。定着率は離職率の裏返しとして使われますが、公的統計に定義はありません。100から離職率を引いて定着率とする換算がどこで崩れるかは、定着率とは?計算式と100−離職率が使えない理由で扱っています。入職超過率は入職率から離職率を引いた値で、プラスなら人が増え、マイナスなら減っている状態を表す指標です(同概況・主な用語の定義)。
離職率の計算は分母・分子・期間の3つを統計に揃える
離職率の計算式は単純ですが、自社の数字を雇用動向調査と並べるなら、分母の起点・分子の範囲・期間の長さの3つを統計と同じにする必要があります。1つでもずれていると、同じ組織の数字でも統計より高くも低くも出ます。
揃える点 | 雇用動向調査の定義 | 自社の集計でずれやすい例 |
|---|
分母の起点 | 1月1日現在の常用労働者数 | 期末の在籍者数や期中の平均で割っている |
分子の範囲 | 定年・契約期間の満了・解雇・出向を含む | 自己都合の退職だけを数えている |
期間の長さ | 1月〜12月の1年間 | 半期・四半期・月次の値をそのまま並べている |
出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』主な用語の定義(2026年8月31日公表)をもとに作成
計算例で確かめます。1月1日時点の常用労働者が200人、その年に離職した人が18人なら、離職率は18÷200×100で9.0%です。同じ年に30人が入社していても分母は200人のままで、入職率は15.0%、入職超過率は15.0から9.0を引いた+6.0ポイントになります。
年の途中で入社して同じ年に辞めた人の扱いには注意が要ります。その人は分子の離職者には入る一方、年初の在籍者である分母には入りません。採用を急に増やした年ほど離職率が高く出るのはこの非対称のためで、数字が跳ねたときは入社年ごとの内訳を先に出すと原因を取り違えません。
月次で管理している会社が年次の統計と比べるなら、12か月分の離職者を足し、年初の在籍者数で割り直します。月ごとの離職率は分母がその月の在籍者数なので、12か月分を足しても年次の値とは一致しません。
令和7年の日本の離職率は13.7%で、平成3年以降で最も低い
令和7(2025)年の1年間の離職率は13.7%で、前年の14.2%から0.5ポイント下がりました。入職率は14.7%で、入職が離職を1.0ポイント上回る入職超過です(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』表1・2026年8月31日公表)。e-Stat に載る同じ調査の年次別推移表(第3表・2026年8月31日公開)をさかのぼると、13.7%は平成3(1991)年以降で最も低い値でした。
年 | 入職率 | 離職率 | 入職超過率 |
|---|
平成28(2016)年 | 15.9% | 15.0% | +0.9pt |
平成29(2017)年 | 16.0% | 14.9% | +1.1pt |
平成30(2018)年 | 15.4% | 14.6% | +0.8pt |
令和元(2019)年 | 16.7% | 15.6% | +1.1pt |
令和2(2020)年 | 13.9% | 14.2% | −0.3pt |
令和3(2021)年 | 14.0% | 13.9% | +0.1pt |
令和4(2022)年 | 15.2% | 15.0% | +0.2pt |
令和5(2023)年 | 16.4% | 15.4% | +1.0pt |
令和6(2024)年 | 14.8% | 14.2% | +0.6pt |
令和7(2025)年 | 14.7% | 13.7% | +1.0pt |
出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』図1−1・図1−2(2026年8月31日公表)
過去10年の離職率は13.7%から15.6%の間で動き、最も高かったのは令和元(2019)年の15.6%です。令和7年は入職率が前年とほぼ同じまま離職率だけが下がり、辞める人が減った分だけ入職超過が広がりました。平成3年からの系列は途中で産業分類の改定をまたぐため完全に同じ範囲の比較ではありませんが、e-Stat の年次別推移表に載る35年分の中で13.7%を下回った年はありません。
就業形態で分けると、令和7年の一般労働者の離職率は11.4%、パートタイム労働者は19.9%です。雇用期間で分けると、期間の定めのない人が10.9%、1か月以上の期間を定めて雇われている人が22.4%でした(同概況・表1・付属統計表1−2)。正社員中心の組織が比べる相手としては、産業計の13.7%より、雇用期間の定めのない人の10.9%や一般労働者の11.4%のほうが近い数字です。
性別では、令和7年の男性の離職率が12.5%、女性が15.1%でした。入職率も男性13.4%、女性16.1%で、男女とも入職が離職を上回っています(同概況・表1)。女性の離職率の高さだけを取り出して定着の課題と読むと、同時に起きている流入を見落とします。
同概況の調査の概要によると、雇用動向調査は16大産業で常用労働者を5人以上雇う事業所から約15,000事業所を無作為に抽出して行われ、令和7年の平均有効回答率は60.9%でした。
産業別の離職率は最低6.6%から最高23.7%まで開く
令和7(2025)年の産業別の離職率は、最も低い金融業・保険業の6.6%から、最も高い宿泊業・飲食サービス業の23.7%まで約3.6倍の幅があります(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』表4−2・2026年8月31日公表)。業種が違えば水準が大きく違うので、産業計の13.7%と自社を比べても位置づけは分かりません。
産業 | 入職率 | 離職率 | 入職超過率 |
|---|
宿泊業,飲食サービス業 | 27.8% | 23.7% | +4.1pt |
サービス業(他に分類されないもの) | 21.8% | 21.2% | +0.6pt |
生活関連サービス業,娯楽業 | 21.3% | 20.1% | +1.2pt |
教育,学習支援業 | 15.5% | 15.1% | +0.4pt |
医療,福祉 | 14.5% | 14.3% | +0.2pt |
不動産業,物品賃貸業 | 14.4% | 12.1% | +2.3pt |
卸売業,小売業 | 12.6% | 11.9% | +0.7pt |
学術研究,専門・技術サービス業 | 12.9% | 11.7% | +1.2pt |
情報通信業 | 13.6% | 10.4% | +3.2pt |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 10.5% | 10.2% | +0.3pt |
製造業 | 9.6% | 9.8% | −0.2pt |
運輸業,郵便業 | 9.6% | 9.0% | +0.6pt |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 9.3% | 8.8% | +0.5pt |
建設業 | 10.4% | 8.7% | +1.7pt |
複合サービス事業 | 6.3% | 8.6% | −2.3pt |
金融業,保険業 | 8.7% | 6.6% | +2.1pt |
(参考)産業計 | 14.7% | 13.7% | +1.0pt |
出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』表4−2(2026年8月31日公表・就業形態計)
離職率が20%を超えるのは、宿泊業・飲食サービス業、サービス業(他に分類されないもの)、生活関連サービス業・娯楽業の3産業です。就業形態で分けても、一般労働者の離職率は宿泊業・飲食サービス業が21.5%、サービス業(他に分類されないもの)が20.3%で、一般労働者の産業計11.4%を大きく上回ります(同概況・表4−2)。高い水準はパートタイム労働者の割合だけでは説明できません。
情報通信業の離職率は10.4%で、産業計を3.3ポイント下回りました。入職超過率の+3.2ポイントは、宿泊業・飲食サービス業に次いで16産業中2番目の高さです(同概況・表4−2)。入職率の13.6%は産業計の14.7%より低いので、多く入るからではなく辞める人が少ないから人が増えている業種といえます。エンジニアの中途入社者に絞った離職の実態は中途採用エンジニアの離職率と、すぐ辞める原因で扱っています。
企業規模別では100〜299人の企業が17.9%で最も高い
令和7(2025)年の企業規模別の離職率は、100〜299人の企業が17.9%で最も高く、1,000人以上の企業は12.5%、5〜29人の企業は12.2%でした(e-Stat『雇用動向調査 年次別推移 第3表 性、企業規模別入職・離職率』厚生労働省・2026年8月31日公開)。離職率は規模の大きさの順には並びませんが、同じ表に載る平成3(1991)年から令和7年までの35年すべてで、最も離職率が高い区分は299人以下の企業でした。
企業規模 | 入職率(2025年) | 離職率(2025年) | 離職率(2024年) |
|---|
1,000人以上 | 14.0% | 12.5% | 13.2% |
300〜999人 | 15.1% | 15.3% | 14.7% |
100〜299人 | 17.4% | 17.9% | 16.6% |
30〜99人 | 15.7% | 14.0% | 13.6% |
5〜29人 | 13.0% | 12.2% | 16.0% |
規模計 | 14.7% | 13.7% | 14.2% |
出所: e-Stat『雇用動向調査 年次別推移 第3表 性、企業規模別入職・離職率』(厚生労働省・2026年8月31日公開)
100〜299人の企業は、令和2(2020)年から令和7(2025)年までの6年のうち5年で、規模別で最も高い離職率でした。令和7年は100〜299人と300〜999人の企業で離職率が入職率を上回り、人が減る側に回りました(同表)。なお、規模計には官公営の事業所も含まれます(同表の注)。
35年のうち最も高かった回数は、100〜299人が17年、30〜99人が10年、5〜29人が8年で、1,000人以上と300〜999人の企業が最も高かった年はありません(同表)。一方で単年の値は年ごとに振れ、令和2年から令和7年までの離職率は、1,000人以上の企業が12.5%〜14.2%の範囲に収まる一方、100〜299人の企業は15.5%〜19.8%、5〜29人の企業は11.4%〜16.0%の間で動きました。
令和7年の5〜29人の12.2%も、前年の16.0%から3.8ポイント下がった1年分の値です(同表)。自社と同じ規模の値と比べるときは、1年分ではなく数年分を並べて見るほうが判断を誤りません。
年齢別の離職率は若いほど高く、60歳以降で再び上がる
令和7(2025)年の年齢階級別の離職率は、20〜24歳が25.1%、25〜29歳が17.7%、30〜34歳が14.6%と年齢が上がるほど下がり、50〜54歳の8.0%で底を打ちます。そこから60〜64歳で17.1%、65歳以上で18.5%に上がります(e-Stat『雇用動向調査 年次別推移 第4−3表 性、年齢階級別離職率』厚生労働省・2026年8月31日公開)。年齢構成が若い組織ほど、全社の離職率は統計の平均より高く出やすくなります。
年齢階級 | 男女計 | 男性 | 女性 |
|---|
19歳以下 | 33.3% | 32.0% | 34.5% |
20〜24歳 | 25.1% | 24.6% | 25.5% |
25〜29歳 | 17.7% | 16.4% | 19.1% |
30〜34歳 | 14.6% | 13.2% | 16.2% |
35〜39歳 | 10.4% | 8.4% | 12.7% |
40〜44歳 | 9.9% | 7.6% | 12.5% |
45〜49歳 | 8.2% | 6.1% | 10.5% |
50〜54歳 | 8.0% | 6.3% | 9.9% |
55〜59歳 | 9.1% | 8.1% | 10.1% |
60〜64歳 | 17.1% | 19.1% | 14.8% |
65歳以上 | 18.5% | 19.8% | 17.2% |
出所: e-Stat『雇用動向調査 年次別推移 第4−3表 性、年齢階級別離職率』(厚生労働省・2026年8月31日公開)
年齢階級別の離職率は6月末日現在の常用労働者数を分母にしており、1月1日現在を分母にする全体の13.7%とは分母の時点が違います。60〜64歳で上がる要因の一つは定年で、令和7年に離職した60〜64歳のうち定年を理由とする人は男性で37.1%、女性で19.5%でした。同じ年齢では契約期間の満了も男性14.0%・女性15.6%を占め、最も多いのは男女とも個人的理由(男性42.0%・女性55.3%)です。
65歳以上では契約期間の満了が男性35.1%・女性22.2%と、定年の男性12.1%・女性8.0%を上回ります(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』付属統計表3−1・離職者がいた事業所の回答)。
25〜29歳から35〜39歳にかけては、男女とも年齢が上がるにつれて離職率が下がり、35〜39歳では男性8.4%・女性12.7%です(同表)。20代の社員を多く採用している組織は、年齢構成を揃えずに全体の平均と比べると、組織の側の差に、年齢構成の違いが混ざった数字を見ることになります。
離職理由別では個人的理由10.2%・契約期間の満了1.7%
令和7(2025)年の離職率13.7%を離職理由別に分けると、個人的理由が10.2%、契約期間の満了が1.7%、事業所側の理由が0.9%、定年が0.6%、死亡・傷病が0.3%でした(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』付属統計表3−2・2026年8月31日公表)。前年と比べると、個人的理由は0.5ポイント低下し、事業所側の理由は0.1ポイント上昇しています(同概況・図6)。
離職理由 | 離職率 | 離職者に占める割合 |
|---|
個人的理由 | 10.2% | 74.3% |
うち、その他の個人的理由 | 9.9% | 72.0% |
契約期間の満了 | 1.7% | 12.6% |
事業所側の理由 | 0.9% | 6.5% |
定年 | 0.6% | 4.4% |
死亡・傷病 | 0.3% | 2.0% |
本人の責 | 0.0% | 0.2% |
計 | 13.7% | 100.0% |
出所: 厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』付属統計表3−1・3−2(2026年8月31日公表)
個人的理由は結婚・出産育児・介護看護・その他の個人的理由の合計で、事業所側の理由は経営上の都合・出向・出向元への復帰の合計です。契約期間の満了と定年を合わせた2.3ポイントは、契約の期間の終わりや定年の年齢を迎えたことによる離職です。離職率が上がったとき、その中身がこの2つによる離職か、それ以外の離職かで、打つ手は別物になります。
離職者の72.0%は「その他の個人的理由」に入り、結婚・出産育児・介護看護はそれぞれ離職率0.1%にとどまります(同概況・付属統計表3−1・3−2)。しかも離職理由は離職者がいた事業所が回答したもので、本人の申告ではありません。本人が挙げた前職を辞めた理由は同じ調査の表5にあり、男女でどう並ぶかは中途採用の離職率|辞めた理由を実数で読むで整理しました。自社では、退職面談の記録を理由別に集計するところから始めてください。
離職率を押し上げる条件は構成の要因と組織の要因に分けて見る
離職率を押し上げる条件は、業種・雇用形態・年齢構成といった構成の要因と、採用の急拡大・入社後の立ち上がり・評価と処遇の説明といった組織の要因に分けて見ます。構成の要因は統計に同じ区分の水準が載っているので比べる相手を選ぶ材料になり、組織の要因は自社のデータでしか測れません。
構成の要因による水準の違いは、ここまでの表で確かめられます。令和7年の離職率は、宿泊業・飲食サービス業が23.7%、パートタイム労働者が19.9%、20〜24歳が25.1%で、いずれも全体の13.7%を大きく上回ります(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』表1・表4−2、e-Stat 第4−3表)。統計が示すのは水準までで、その差がなぜ生じるかは示していません。
宿泊業・飲食サービス業は一般労働者に限っても21.5%あるので(同概況・表4−2)、業種の水準に近いことは、改善の対象から外してよい理由にはなりません。
採用の急拡大も離職率を押し上げます。分母は年初の在籍者数なので、期中の採用が増えるほど、同じ年に辞めた人の分だけ数値が上振れします。人が増えている組織ほど離職率が高く見えることがあるため、入職超過率と並べて読むのが前提です。
入社後の立ち上がりと、評価・処遇の説明は、組織の側で動かせる領域です。要件と実務のずれ、受け入れ体制の不足、期待値の食い違いが離職にどれだけつながっているかは、雇用動向調査の区分からは読み取れません。統計の離職者の72.0%を占める「その他の個人的理由」は事業所が回答した区分で、中身の内訳は公表されていないためです。自社では、入社年次別の在籍率と、離職者の勤続期間の分布を出して、手を打つ場所を絞ります。
採用の段階で候補者に伝わった情報と入社後の実態の差も、点検しておきたい点です。候補者から自社がどう見えているかを外から確かめるなら、エンジニア採用力チェックが使えます。企業URLを入力すると、技術ブランドの発信や採用情報の充実度など公開情報を5指標24項目で採点したレポートが、原則1営業日以内に無料で届く仕組みです。離職率や社内の受け入れ体制は採点の対象外なので、社内の在籍データと組み合わせて使ってください。
自社の離職率の高低は条件を揃えた統計の値と比べる
自社の離職率が高いか低いかは、産業計の13.7%ではなく、定義・雇用形態・業種・企業規模をできるだけ揃えた統計の値と比べて判断します。正社員中心の会社なら、出発点は雇用期間の定めのない人の離職率10.9%です(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』付属統計表1−2・2026年8月31日公表)。この値は定年による離職を含むので、自社の集計で定年を分子から外しているなら、統計側はそのぶん高めに出ていると読みます。
揃える点は次の4つです。雇用動向調査は4つを同時に揃えた値を載せていないので、それぞれの表で自社の位置を別々に確かめます。
- 定義を揃える: 分母を1月1日現在の在籍者数、期間を1年にし、分子に定年と契約期間の満了を含める。自社の集計で外しているなら、統計の値はその分だけ高く出ている(産業計では契約期間の満了1.7%・定年0.6%、厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』付属統計表3−2)
- 雇用形態を揃える: 正社員中心なら、雇用期間の定めのない人の10.9%や一般労働者の11.4%と比べる。パートタイム労働者は19.9%と別の水準にある
- 業種を揃える: 上の産業別の表から自社の業種の行を選ぶ。同じ13%でも、金融業・保険業の6.6%と比べれば2倍、宿泊業・飲食サービス業の23.7%と比べれば半分強になる
- 規模と年齢構成を確かめる: 100〜299人の企業は17.9%と規模計より高く、20代の比率が高い組織も高く出る
業種・規模・年齢のどの表と比べても統計の値を上回るなら、構成の違いだけでは説明しにくいと見て、自社のデータで組織の側の要因を確かめる段階に進みます。統計が扱わない職種や勤務地の違いも残るので、ここで得られるのは結論ではなく、どこを調べるかの見当です。
Offers正社員求人の離職率・定着率の数値開示は3.36%
株式会社overflowが運営するハイクラスエンジニアの転職プラットフォーム「Offers」で、掲載された正社員求人のうち離職率または定着率を数値つきで書いている求人は、2026年に596件中20件の3.36%でした(Offers調べ・2026年10月1日公開分まで・2026年10月3日集計)。Offers に掲載された正社員求人に限っても、離職率や定着率を候補者が数字で確かめられる求人はごく一部です。
公開年 | 正社員求人 | 数値つき開示 | 割合 | 求人を出した企業 | うち開示した企業 |
|---|
2023年 | 897件 | 1件 | 0.11% | 204社 | 1社 |
2024年 | 1,505件 | 2件 | 0.13% | 165社 | 1社 |
2025年 | 745件 | 14件 | 1.88% | 174社 | 6社 |
2026年 | 596件 | 20件 | 3.36% | 110社 | 4社 |
出所: Offers調べ(株式会社overflow・2026年10月1日公開分まで・2026年10月3日集計)。
企業単位では、2026年に正社員求人を出した110社のうち開示したのは4社で、20件はこの4社の求人です。求人単位の割合は、少数の企業がいくつ求人を出したかで大きく動きます。
自社の離職率が業種や規模の水準より低いなら、それは採用で差別化の材料になります。数値を出せない事情があるなら、平均勤続年数や、直近1年で入社した人の在籍状況といった別の切り口でも構いません。求人票に離職率を書くかどうかの判断と書き方は、求人票への離職率の記載は任意|判断と書き方にまとめています。
離職率を下げる着手点は採用要件と入社直後の受け入れ
離職率を下げるために自社で最初に確かめたいのは、要件と実態が合った採用ができているかと、入社直後の受け入れが機能しているかの2つだと筆者らは考えています。どちらも雇用動向調査の表には載らず、入社年次別の在籍率や離職者の勤続期間といった自社のデータでしか測れません。業種・規模・年齢の水準と比べて見えた差が、どちらから生まれているかを確かめる作業に移ります。
離職率という数字だけを目標に置くのは避けたほうが無難です。同じ13%でも、業種が違えば評価は逆になり、企業規模や年齢構成が違えば水準も変わり、入職超過率がプラスかマイナスかで組織の向きも変わるからです。定年や契約期間の満了による離職も、同じ数字に混ざっています。
入社直後の受け入れの設計は、オンボーディングとは|定義と設計の5段階・完了基準で段階ごとに整理しました。離職率の数字を求人票で示すことは、離職率を下げる施策ではなく、定着の状態を採用の場面で伝える手段です。Offers に掲載された正社員求人で数値つきの開示をしているのは2026年に3.36%で、Offers に求人を出した企業の中でも開示しているのは少数です(Offers調べ・2026年10月1日公開分まで・2026年10月3日集計)。
まず自社の離職率を統計と同じ分母と期間で測り、入職超過率と離職理由を並べ、業種・規模・年齢の水準と突き合わせる。そのうえで、結果を採用の場面で使えるところまで持っていくと、離職率は報告用の数字で終わらず、次の採用の材料になります。