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中途採用の離職率|辞めた理由を実数で読む

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中途採用で入った人が辞める理由は、推測ではなく転職した本人の回答として国の統計に残っています。厚生労働省の雇用動向調査は、その理由を男女別と年齢階級別に分けて公表しました。上位に来るのは給与、労働時間と休日、職場の人間関係、会社の将来への不安で、順番は年齢帯によって入れ替わります。

この記事では、同じ調査から中途採用の離職に使える数字を3つ取り出し、どの理由にどの打ち手を当てるかを決められる形に並べ直しました。年齢帯ごとに順番が変わるため、打ち手の順序も一律にはなりません。

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Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

中途採用者だけの離職率という統計は無い

「中途採用の離職率は◯%」という単独の公的統計はありません。国が毎年公表している雇用動向調査は、事業所に対して1年間の入職者数と離職者数を尋ねる調査で、入職した人のその後の在籍を追跡する設計になっていないためです。入職者調査と離職者調査は別々の標本から抽出されており、両者を個人単位でつなぐことはできません。流通している「中途採用者の3年以内離職率は約30%」といった数字は、民間の企業調査を出所とするもので、公的統計に対応する集計はありません。

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

したがって、中途採用の離職を数字で語るときは、次の3つを使い分けることになります。

使う数字

令和7(2025)年の値

何がわかるか

一般労働者の離職率

11.4%

正社員に近い区分で、1年にどれだけ人が抜けたか

転職入職率

9.9%

経験者の採用がどれだけ動いているか

転職入職者が前職を辞めた理由

下記の表

辞めた本人が何を理由に挙げたか

このうち3つ目が、中途採用の離職対策に最も直接使える数字です。自社を辞めた人ではなく、他社を辞めて転職してきた人の回答なので、これから自社に入ってくる層が前職の何に不満を持っていたかを示しています。

自社の離職率そのものの計算式と、比べる相手の選び方は離職率とは?令和7年は13.7%、3指標で読む方法にまとめてあります。

一般労働者の離職率は11.4%にとどまる

令和7(2025)年の離職率は、常用労働者全体で13.7%でした。ただしこの数字にはパートタイム労働者が含まれます。就業形態を分けると、一般労働者は11.4%、パートタイム労働者は19.9%で、両者は8.5ポイント離れました。

就業形態

入職率

離職率

入職超過率

常用労働者計

14.7%

13.7%

1.0ポイント

一般労働者

12.0%

11.4%

0.6ポイント

パートタイム労働者

21.7%

19.9%

1.8ポイント

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

中途採用で正社員を迎える話をしているなら、比較対象は一般労働者の11.4%です。全体の13.7%を自社の正社員離職率と並べると、自社が2.3ポイント分だけ良く見えてしまいます。社内の報告でこの取り違えが起きると、対策の要否そのものを読み違えることになりかねません。

一般労働者は入職率12.0%に対して離職率11.4%なので、人数としては入職が離職を上回りました。労働市場の全体では人が増えている状態です。その中で個社が人を失っているなら、原因は市場ではなく自社側にあります。

入社後の受け入れ設計から手を付けるなら、オンボーディング設計の5段階と定着・育成の組み方が手順の側を扱った記事です。

自社の採用と定着の弱点がどこにあるかを先に切り分けたい場合は、エンジニア採用力チェックで、自社URLから5指標24項目の採点を受け取れます。

情報通信業は入職が離職を3.1ポイント上回る

産業によって離職率は2倍以上ひらきます。一般労働者に限った令和7(2025)年の数字は次のとおりでした。

産業(一般労働者)

入職率

離職率

入職超過率

産業計

12.0%

11.4%

0.6ポイント

情報通信業

13.1%

10.0%

3.1ポイント

金融業、保険業

8.6%

6.3%

2.3ポイント

建設業

10.0%

7.9%

2.1ポイント

製造業

8.8%

9.2%

-0.4ポイント

卸売業、小売業

8.9%

8.5%

0.4ポイント

学術研究、専門・技術サービス業

11.1%

10.0%

1.1ポイント

医療、福祉

13.1%

13.6%

-0.5ポイント

宿泊業、飲食サービス業

24.4%

21.5%

2.9ポイント

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

情報通信業の離職率10.0%は産業計より1.4ポイント低く、入職超過率3.1ポイントは掲載16産業のなかで上位に入ります。エンジニア採用の現場で語られる「IT業界は人の出入りが激しい」という印象は、離職の側だけを見た表現でした。実際には入職も同じだけ多く、全体として人が増えている産業にあたります。

自社の離職率を業界平均と並べるときは、この入職超過率まで添えてください。離職率だけを切り出すと、人が増えている産業と減っている産業が同じ数字に見えてしまいます。

入職者の3人に2人は転職者である

令和7(2025)年の入職者7,526.8千人のうち、入職前1年間に就業経験のある転職入職者は5,061.8千人でした。入職者に占める割合は67.3%です。転職入職率は9.9%で前年から0.2ポイント上昇し、未就業入職率は4.8%で0.2ポイント低下しました。

就業形態別に見ると、一般労働者の転職入職率は8.5%、パートタイム労働者は13.3%です。

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

採用の主流が経験者の移動である以上、自社が迎える人は他社を辞めた人です。その人が前職を辞めた理由は、自社で同じことが起きたときに再び辞める理由にもなります。採用の入口でここを確認しないまま条件だけを提示すると、同じ不満が3か月後に再現しかねません。

中途採用そのものの進め方は中途採用とは?基本の流れ・手法と成功する企業の進め方にまとめています。

前職を辞めた理由は男女で上位が入れ替わる

転職入職者が前職を辞めた理由は、本人の回答として集計されています。令和7(2025)年の主な項目は次のとおりでした。

前職を辞めた理由

男

女

その他の個人的理由

16.8%

23.8%

定年・契約期間の満了

16.1%

9.8%

その他の理由(出向等を含む)

12.1%

7.8%

給料等収入が少なかった

9.9%

8.6%

職場の人間関係が好ましくなかった

8.9%

11.5%

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

8.5%

12.9%

会社の将来が不安だった

6.9%

4.3%

会社都合

5.3%

6.2%

仕事の内容に興味を持てなかった

5.2%

4.6%

能力・個性・資格を生かせなかった

5.2%

3.9%

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

表の上位2つ、「その他の個人的理由」と「その他の理由(出向等を含む)」は中身を特定できない区分です。原典もこの2つを除いて順位を示しています。それに倣うと、男性で最も多いのは「定年・契約期間の満了」の16.1%でした。

ただし定年は雇用の終わり方であって、企業が手を打てる離職とは性質が違います。60〜64歳の男性ではこの理由を挙げた人が57.8%、65歳以上では52.5%を占めており、定年到達がそのまま数字に出ています。中途採用の定着を考えるときは、この項目も外して読んでください。

3つを外したうえで男性の上位に来るのは、給料等収入が少なかった9.9%、職場の人間関係が好ましくなかった8.9%、労働時間と休日等の労働条件が悪かった8.5%です。女性も同じ3区分を外すと、労働条件が12.9%で最も多く、次いで人間関係が11.5%でした。給料等収入は8.6%で、定年・契約期間の満了の9.8%より下に来ます。

男女で優先すべき打ち手が別になるのは、女性で労働条件が給与を4.3ポイント上回るためです。給与テーブルの見直しだけを進めても、働く時間と休日の設計が変わらなければ女性の離職理由の首位はそのまま残ります。

前年との比較では、男性の「能力・個性・資格を生かせなかった」が1.4ポイント、「仕事の内容に興味を持てなかった」が0.8ポイント上昇しました。女性の後者も1.0ポイント上がっています。金銭条件ではなく、任される仕事の中身を理由に挙げる人が増えている方向です。

任せる仕事の中身を求人票の段階で具体化する話は、求人票への離職率の記載は任意|判断と書き方でも触れています。

25歳から39歳では給与と労働条件が上位に並ぶ

理由の順番は年齢帯で入れ替わります。中途採用の主戦場である25歳から39歳を取り出すと、次のようになりました。

理由(男)

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

給料等収入が少なかった

13.1%

13.4%

11.2%

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

10.5%

13.0%

11.1%

会社の将来が不安だった

11.0%

10.0%

12.7%

職場の人間関係が好ましくなかった

10.7%

5.9%

9.5%

仕事の内容に興味を持てなかった

6.5%

9.0%

5.5%

理由(女)

25〜29歳

30〜34歳

35〜39歳

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

14.1%

10.1%

13.7%

給料等収入が少なかった

13.4%

12.2%

8.5%

職場の人間関係が好ましくなかった

10.5%

10.6%

8.3%

会社の将来が不安だった

4.1%

7.8%

3.9%

出産・育児

1.0%

6.2%

3.4%

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

30〜34歳の男性では、労働時間と休日の条件が13.0%まで上がり、給料等収入の13.4%とほぼ並びました。同じ層で「仕事の内容に興味を持てなかった」も9.0%と、前後の年齢帯より高く出ています。裁量のある仕事と働く時間の両方を同時に見ている層です。

35〜39歳の男性では、上の表に挙げた5項目のうち「会社の将来が不安だった」が12.7%で最も高くなりました。この層に向けて事業計画や資金の見通しを伏せたまま選考を進めると、条件で合意しても入社後に同じ不安が残ります。

女性は25〜29歳と35〜39歳の2つの山で、同じ5項目のうち労働条件が最も高い値でした。30〜34歳では出産・育児が6.2%まで上がります。年齢帯ごとに別の設計が要るという点が、この表から読み取れる実務上の含意です。

年齢帯ごとの提示年収の決め方はスカウトの提示年収の決め方と上げ幅の実勢で扱っています。自社の採用要件と処遇が市場とどれだけ離れているかを先に測るなら、エンジニア採用力チェックを使ってください。

転職した人の40.8%は賃金が増えている

転職入職者の賃金がどう変わったかも、同じ調査に載っています。令和7(2025)年は増加が40.8%、変わらないが25.5%、減少が31.0%でした。増加が減少を9.8ポイント上回っています。1割以上の増加は28.2%、1割以上の減少は21.9%です。

区分

増加

変わらない

減少

増加−減少

全体

40.8%

25.5%

31.0%

9.8ポイント

25〜29歳

49.8%

25.0%

23.9%

25.9ポイント

30〜34歳

48.6%

20.8%

29.0%

19.6ポイント

35〜39歳

43.5%

28.1%

23.9%

19.6ポイント

雇用期間の定めのない一般労働者どうしの移動

44.5%

25.0%

29.0%

15.5ポイント

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。

25〜29歳では、増加が減少を25.9ポイント上回りました。この層にとって転職は賃金を上げる手段として成立しており、現職の給与が据え置かれている限り、外からの提示は上回り続けます。給料等収入を理由に挙げる人が同じ層で13.1%いるのは、この構造の裏返しです。

ここで注意したいのは、給与の不満が絶対額ではなく相対評価で決まる点です。市場が上がっているときは、自社の給与を据え置くだけで不満が増えます。昇給の有無ではなく、市場の実勢との差がどれだけひらいたかを年1回は確認してください。

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辞めた穴を中途採用で埋める前提は崩れている

離職が出たら採用すればよい、という前提は、採用市場の側から崩れました。令和8(2026)年5月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I. は、調査産業計で+47ポイントの不足超過です。不足と答えた事業所が49%、過剰と答えた事業所が2%でした。

産業

不足

過剰

過不足判断D.I.

調査産業計

49%

2%

+47ポイント

建設業

60%

1%

+59ポイント

医療、福祉

60%

3%

+57ポイント

運輸業、郵便業

56%

1%

+55ポイント

情報通信業

55%

1%

+54ポイント

学術研究、専門・技術サービス業

56%

2%

+54ポイント

製造業

47%

3%

+44ポイント

出所:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8(2026)年5月)の概況」(令和8年6月23日公表)。

同じ調査で、労働者が不足している部門等がある事業所は81%、そこへ何らかの対応をした事業所は63%でした。対応した事業所に内容を複数回答で尋ねると、調査産業計で最も多いのが「中途採用の開始・拡大・強化」の69%です。情報通信業では、対応した事業所の81%がこれを挙げています。

この69%と81%は、対応した事業所を100としたときの割合です。それでも、不足に対応した情報通信業の事業所の8割が中途採用の強化を選んでいることに変わりはありません。1人辞めたら1人補充するという運用は、母集団の取り合いが続く限り単価を押し上げるだけの結果になりがちです。

採用の実務を外部に寄せて母集団形成から回すならAI RPO、予算の上限を決めて着手するなら予算型リテーナー採用が選択肢です。

打ち手を割り当てると優先順位は3つに絞れる

ここまでの数字を、企業側が動かせる打ち手に割り当て直します。

離職理由(25〜39歳の上位)

対応する打ち手

手を付ける時点

給料等収入が少なかった

等級と給与レンジの市場調整

採用要件を決める前

労働時間、休日等の労働条件が悪かった

想定残業と休日取得の実績開示

求人票と一次面談

会社の将来が不安だった

事業計画と資金の見通しの共有

最終面談と内定提示

職場の人間関係が好ましくなかった

配属先チームとの事前面談

内定提示から入社まで

仕事の内容に興味を持てなかった

入社後90日の担当範囲の明文化

内定提示と入社初週

入社前に条件を数字で出す

給与、想定残業、休日取得の実績は、面談で口頭で伝えるだけでは記憶に残りません。求人票と提示条件の書面に数字で書き、面談でその数字を確認する順序にしてください。入社後に「聞いていた話と違う」が発生する余地を、文字にして削っていく作業です。

入社後90日の担当範囲を先に決める

仕事の内容と能力の発揮を理由に挙げる人は、前年より増えました。中途入社者は即戦力として期待される一方で、担当範囲が曖昧なまま配属されることが少なくありません。入社前に90日分の担当範囲と評価の観点を書き出し、本人と合意してから初日を迎える形にします。

評価と処遇を年1回は市場に合わせる

給与の不満は相対評価で決まるため、社内の昇給運用だけを回していても解消しません。同職種の市場水準を年1回は取り直し、差がひらいた等級から順に調整してください。調整の順番を決めるには、採用KPIと処遇を1つの表で見られる状態にしておくと判断が早くなります。【Excelテンプレート】採用KPIを管理するための参考シートがその型です。

効果は辞めた理由と採用時の説明を突き合わせて確かめる

打ち手を入れたあと、効果を離職率の増減だけで判断すると読み違えます。母数が小さい組織では、1人の離職で数字が数ポイント動くためです。

確かめ方は2段階に分かれます。まず退職面談で挙がった理由を、この記事の理由区分に沿って分類してください。次にその理由が、採用時に本人へ説明した内容と食い違っていたかどうかを1件ずつ照合します。食い違いが続く項目が、次に直す場所です。

中途入社者の定着を集団単位で測る手順は中途採用の定着率とは?測り方と平均が使えない理由にまとめてあります。全社の離職率との使い分けもそちらで整理しました。

離職の原因が採用の入口にあるのか、入社後の受け入れにあるのかを外から切り分けたい場合は、Offers の企業向けサービスで採用プロセスごとの実績を確認できます。

中途採用の離職を減らす起点は理由の実数にある

中途採用者だけの離職率という公的統計は存在しません。代わりに使えるのは、一般労働者の離職率11.4%、転職入職率9.9%、そして転職入職者が前職を辞めた理由の3つです。

理由の上位は給与、労働時間と休日、人間関係、会社の将来への不安で、25歳から39歳の各年齢帯で順番が入れ替わります。前年からの変化を見ると、任される仕事の中身を理由に挙げる人が増えました。人手不足に対応した情報通信業の事業所のうち8割が中途採用の強化を選んでいるため、辞めた穴を採用で埋め続ける運用は単価の上昇を招きます。

手を付ける順番は3つです。入社前に条件を数字で出すこと、入社後90日の担当範囲を先に決めること、評価と処遇を年1回市場に合わせること。この順に着手してください。

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