エンジニアの採用における適切なペルソナ設計方法を解説。手順や注意点、採用成功のポイント

Offers HR Magazine編集部 2023年8月15日

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目次

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自社に必要なエンジニアを採用するためには、技術的なスキルを確認するだけでは不十分です。採用する人物像と組織のニーズを一致させる必要があります。この記事では、エンジニア採用におけるペルソナ設計の手順と注意点、採用を成功させるための要点を解説します。

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エンジニア採用でなぜペルソナ設計が重要なのか

(出典)https://www.pexels.com/

「ペルソナ」とは、マーケティングにおいてユーザーを明確化するために設計される架空の人物像のことを指します。ソフトウェア開発やオウンドメディア、サービス事業などさまざまな場面でペルソナは用いられます。

エンジニアの採用においても、ペルソナ設計は重要なファクターです。採用活動におけるペルソナがなぜ重要なのかを、まずは解説します。

採用後のミスマッチを防ぐため

ペルソナを設計しないまま採用活動を行うと、採用後にエンジニアがパフォーマンスを発揮できないことがあります。

その理由は、エンジニアの業務は幅が広いため、本当に必要なスキルや経歴を持った人材を採用できなかったり、自社の働き方や文化に合うエンジニアを採用できなかったりするためです。

ペルソナ設計では、採用候補者に必要なスキルセットや経歴、価値観を明確にします。これにより、採用した後に「実際には欲しいスキルセットを持っていなかった」「自社の働き方や価値基準と合わない」といった理由でミスマッチとなってしまうケースを防止します。

適切な候補者を募るため

ペルソナを具体的に設計して採用要件に落とし込むことで、求人に応募してくる候補者を絞り込むことができます。

スキルセットでいえば、使用できるプログラミング言語やソフトウェアを明確に指定しておくことで、そのスキルセットを持たないエンジニアが応募してこなくなるでしょう。これにより、そもそも欲しい人材とマッチしない採用者にかかる工数を削減することが可能です。

ペルソナが具体的であれば、スカウト採用やリファラル採用の場合でも、より適切な候補者を募ることができるようになります。

採用活動の効率化

ペルソナが抽象的だと、適切な候補者を募ることができない問題は前述しました。これに加えて、ペルソナが曖昧なことによって採用に関する質問が増えたり、候補者との余計なやりとりが発生したりといった工数が増えることも予想されます。

さらに、ペルソナが曖昧な状態での採用活動は、採用基準が採用担当者によって異なったり、募集媒体の選択ミスや、採用のために発信する情報がぶれてしまったりなど、選考過程や広報活動における無駄を生んでしまいます。

ペルソナがしっかり定義できていれば、こうした無駄が排除され、採用活動を効率的に進めることが可能になるのです。

ペルソナの設計手順

(出典)https://www.pexels.com/

エンジニア採用にとって必要なペルソナはどのように設計すればよいのでしょうか。具体的なペルソナの設計手順を解説します。

採用する理由と背景を整理する

ペルソナ設計の最初のステップは、採用する理由と背景を整理することです。

採用する理由を整理することで、新しいエンジニアが果たすべき具体的な役割とその重要性が明確になります。これには、特定の技術スキルの必要性、新たなプロジェクトへの参加、または現在のチームのスキルギャップを埋めるためなど、さまざまな要素が含まれることがあります。

また、採用する背景を整理することにより、組織の戦略や方向性、将来的なビジョンが明確化されます。例えば採用する理由として「エンジニアのリソース不足」が挙げられているのであれば、「なぜリソースが不足しているのか」「リソースが不足しないためのポジションや仕組みが必要か」といった、長期的な採用方針や長期採用前提のペルソナの見直しにもつながります。

自社の文化や働き方を言語化する

ペルソナ(人物像)を作り上げるためには、自社で実際に働いている姿を想像することも重要になります。そのために、自社の文化や働き方について、第三者にも伝わるように言語化を行いましょう。

例えば働き方として「副業やフレックスタイム制度の可否」が挙げられます。入社後のプロジェクトにおいてメンバーがフルタイムで働く場合、働く時間が定まらない働き方は、役割や役職を差別化する必要があるでしょう。

企業文化になじみにくい人材はチームとして機能しない可能性が高く、ミスマッチにつながりやすい傾向にあります。そのため、コミュニケーションの取り方やチームとして優先する方針など、企業文化を明確化することも重要です。

求める要件を抽出し、優先順位を付ける

採用課題や背景、働き方を抽出できたら、それを元に採用要件をピックアップします。プログラミングスキルやビジネススキル、経歴や実績、ポジションなどをいったん要件を洗い出しましょう。

要件を出し切ったら、優先順位を付けていきます。まずは、働く上では必須となる「必須要件」と、必須ではないが有しているなら優先的に採用したい「優遇要件」に分けて考えます。

さらにそれぞれの要件の中でも優先順位を付けていきましょう。優先順位を付けることで、例えば同レベルの採用候補者のどちらかしか採用できない場合に、優先順位の高い要件を満たしている方を採用するといったように、採用の方針も決まりやすくなります。

要件を満たす人材が採用可能かを検討する

決定した採用要件を満たす人材がそもそも市場にいない場合や、想定している待遇では採用できない場合も少なくありません。

そのため、現在のエンジニアの採用市況や他社の募集状況を踏まえた上で、採用要件と待遇が適切であるかどうかを検討します。

採用要件と待遇が適切に設計されていなければ、募集をかけたとしても求めている人材が応募してくる可能性は低いでしょう。自社で求める人材の採用要件が、市場と照らし合わせて適切かどうかを修正する工程が必要です。


さらに、具体的な背景や経験まで検討し解像度をあげることで、要件の精度を上げることが可能になります。


  • 大企業の新卒入社で研修・教育を受けている
  • 3-5年目で一社のみのキャリアに不安を抱えている


これは一例ですが、要件を満たす人材の背景まで想像し、採用に盛り込むことで採用率を上げることが可能になるでしょう。


採用後の働き方を想定して要件を調整する

採用したエンジニアが実際にどのような業務を担当し、どのような働き方をするかを具体的に想定し、その上で採用要件を調整しましょう。

この工程では、現場で働くエンジニアやマネージャーにヒアリングしてもよいかもしれません。チームに参加する上で必要なスキルや考え方、協働のスタイルなどを実際の働き方と照らし合わせて、採用要件の調整を行います。

採用を成功させるペルソナ設計のポイント

(出典)https://www.pexels.com/

効果的なペルソナを設計するためのポイントについて解説します。以下のポイントを踏まえた上で、ペルソナを設計しましょう。

経営層と現場で要件を擦り合わせる

経営層は、企業全体の戦略やビジョン、中長期的な成長計画など、全体的な視点から採用するエンジニアの役割を考える傾向があります。一方、現場では具体的なプロジェクトのニーズや、チームのスキルギャップなど、より具体的で現実的な視点から採用の必要性を感じています。

これらの二つの視点は、時には一致しない場合があります。しかし、採用の成功のためには、経営層の戦略と現場のニーズが一致することが重要です。どちらか一方の意見でペルソナを設計するのではなく、両方で必要なペルソナの要素を抽出した上で、擦り合わせを行いましょう。

育成も加味したペルソナを作成する

エンジニアの採用では、技術的なスキルや経験はもちろん重要ですが、同時にその人が持つ成長意欲や適応力、学びの能力も大きな価値を持つといえます。

その理由として、IT人材の不足とITの進歩の早さが挙げられます。

現在、IT人材は圧倒的に不足しているため、即戦力となるハイレベルなエンジニアの採用は難しい状況です。また、ITの進歩が著しい現代では、新たな技術やツールを迅速に習得し、適応できる能力が求められます。

そのため、採用の際には、現状のスキルと経験だけでなく、個々のエンジニアの成長の可能性や育成の方針も考慮に入れることが重要です。半年後や数年後にフォーカスした人物像を設計し、そこに至る可能性があるかどうかも評価しましょう。

抽象的な言い回しを避ける

ペルソナを設計する際には、抽象的な言い回しや表現を避けることも重要です。

例えば必要なスキルとして「プログラムが書ける」ではなく、どのような言語をどのぐらい扱えて、実際にどのような業務経験があるのかなどを記載します。経験年数や所有資格、過去に参加したプロジェクトにおける役割なども明確化しましょう。

ペルソナとは「具体的な人物像を設計すること」を指し、採用活動においては、応募者がこのペルソナに合致する人材かどうかを見極めることが重要になります。そのため、ペルソナは採用に携わる誰が見た場合でも同じ人物像を想定できるように、具体的な言葉で設計します。

エンジニアペルソナの具体例

(出典)https://www.pexels.com/

最後に、上記に従って設計した具体的なペルソナの例を紹介します。自社の採用活動でペルソナを設計する際に参考にしてください。

現場で活躍するITエンジニアのペルソナ例

年齢:25~35歳

学歴:大学卒

経験:

ソフトウェアエンジニアとしての経験5年

フロントエンドとバックエンドの両方に関する経験がある

複数のプロジェクトに参加し、その中で一部の小さなプロジェクトでリードの役割を果たした経験がある

業務内容:

コードの設計、開発、テスト、デバッグ

プロジェクトの要件定義や設計に参加

プロジェクトの進行状況の報告

プロジェクトの問題点を特定し、解決策を提案

必須スキル:

プログラミング言語(Java、Python、JavaScriptなど)

フロントエンド(HTML/CSS/JavaScript)とバックエンド(Node.js,Python,Javaなど)の開発スキル

データベース管理(SQLなど)

ソフトウェア開発のライフサイクルに精通

優遇スキル:

AgileやScrumなどの開発手法に精通

クラウドサービス(AWS、GCPなど)の経験

DevOpsの経験(CI/CDなど)

データ分析やAI技術への理解

年収:500万~700万

人物像:

新しい技術に対する探究心が旺盛で、学習意欲が高い人物。チームで働くことが得意で、他のメンバーとのコミュニケーションも円滑に行える。また、エンドユーザーの視点を常に考え、ユーザー体験の改善について、積極的な提案が行える。

プロジェクトを管理するエンジニアマネージャーのペルソナ例

年齢:35歳から45歳

学歴:情報科学系の大学卒業

経験:

ソフトウェアエンジニアとしての経験10年以上、そのうちマネージャーとしての経験5年以上

ECサイトの開発経験あり、特にアプリ開発に関する経験豊富

大規模なプロジェクトでのチームリーダー経験あり

業務内容:

アプリ開発チームのマネージメント

開発プロジェクトの進行管理

ステークホルダーとのコミュニケーション

必須スキル:

プログラミング言語(Java、Python、JavaScriptなど)

モバイルアプリ開発(iOS/Android)

データベース管理(SQLなど)

優先スキル:

AgileやScrumなどの開発手法に精通

クラウドサービス(AWS、GCPなど)の経験

DevOpsの経験(CI/CDなど)

年収:700万~900万

人物像:

優れたリーダーシップとコミュニケーションスキルを持ち、チームを円滑に運営できる。同時に現場に対し理解があり、現場のエンジニアに対して適切な助言やマネジメントを行える人物。

会社の文化やプロジェクトの社会的意義を理解した上で、組織とユーザー両方の視点から、プロダクトや組織運用の改善提案が行える。

適切なペルソナにより必要な人材を採用する

(出典)https://www.pexels.com/

エンジニアを採用する上では、ペルソナの設計が必要です。適切なペルソナが設計は、採用活動の効率化や採用後のミスマッチ防止など、採用におけるさまざまなメリットをもたらします。

ペルソナを設計する上では、自社の独り善がりにならないように、競合の募集条件やエンジニア市場のニーズ、市況と照らし合わせた上で要件を洗い出しましょう。そして、より具体的な言葉でペルソナが設計できれいれば、採用に関わる社員の足並みをそろえ、より自社にマッチする人材が採用できる可能性が高まります。

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