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AI導入とは?進め方と定着しない理由

AI導入とは?進め方と定着しない理由
鈴木 裕斗監修者

株式会社overflow / 代表取締役 CEO

鈴木 裕斗

株式会社サイバーエージェントに新卒入社。広告営業を経て、Amebaプラットフォームの管轄責任者に就任。その後、スタートアップ企業に入社、代表取締役就任を経て2ヶ月後に株式会社ディー・エヌ・エーにM&A、子会社化。子会社代表取締役とDeNA広告部長を兼任。2017年6月、株式会社overflowを創業。2018年から2020年9月末までエキサイト株式会社の社外取締役を兼任。

AIを入れた企業は、もう珍しくありません。社内のどこかで議事録の要約や資料の下書きに使われていて、担当者に聞けば便利だという答えが返ってきます。ところが半年前と比べて仕事の進め方そのものが変わったかというと、そこは動いていない。

この違和感には、裏づけがあります。国が実施した複数の調査は、日本企業の大半が同じ場所で足を止めていることを数字で示しました。この記事では、AI導入という言葉が指すものを整理したうえで、どこで止まっているのか、誰が担っているのか、先へ進んだ企業が何をどの順で決めたのかを、一次資料に沿ってたどります。

AI導入の定義とDXとの境界

AI導入とは、特定の業務課題を解決するために、人工知能の技術を自社の業務プロセスへ組み込むことです。事業のあり方そのものを作り替えるデジタルトランスフォーメーション(DX)の一部であって、同じ意味の言葉ではありません。

境界が曖昧なままだと、投資の優先順位を決める段で根拠が見つけにくくなります。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の『DX動向2026』(2026年7月30日公表・2025年度調査・有効回答1,799社)では、DX推進の一部としてAIを活用している企業が45.1%、DX推進のためAIを中心に活用している企業が9.3%でした。一方で「DXとAIは個別に取組んでいる」が26.1%、「AIは特に活用していない」が14.4%を占めます。4割ほどの企業が、AIをDXの文脈から切り離したまま進めている計算になりました。

切り離しても手は動きます。ただし、AI導入は業務の課題から入る現場発の取り組みで、DXは事業の姿から入る経営発の取り組みです。両者の関係を先に決めておくと、どの部署のどの業務から手をつけるかという判断が経営会議で通しやすくなる。DXの定義そのものが社内で揺れている場合は、DXとはの整理から先に済ませておくと議論が早く進みます。

AI導入率は調査によって20%から86%まで開く

日本企業のAI導入率は、どの調査を引くかで20.4%から86.4%まで開きます。母集団も設問も違うので、数字だけを取り出して比べても意味を持ちません。

調査

何を導入と数えたか

割合

母集団と時点

IPA『DX動向2026』

AIを導入している+試験利用している

58.0%

公務を除く19業種の経営層またはICT関連事業部門(n=1,799・2026年4〜6月)

総務省『令和8年版 情報通信白書』

生成AIを一つ以上の業務で利用している

86.4%

従業員10名以上かつ2025年までにデジタル化に着手した企業の管理職以上(n=477・2026年1〜2月)

総務省『令和7年通信利用動向調査』

データの収集・解析等のためIoTやAI等のシステムを導入している

27.3%

公務を除く常用雇用者100人以上の企業(n=2,487・令和7年8月末時点)

中小企業基盤整備機構『中小企業のAI等の利活用に係る実態調査』

全社的に導入している+一部の業務で導入している

20.4%

全国の中小企業(n=1,647・令和7年11〜12月)

IPAの『DX動向2026』は、AIを「導入している」が42.3%、「現在、試験利用をしている」が15.7%で、合計58.0%という結果でした。全社戦略に基づき全社的にDXに取り組む企業に限ると「導入している」は70.8%まで上がり、従業員100人以下では「関心はあるがまだ特に予定はない」が34.6%と高くなります。同じ国内でも、DXの体制がある側とない側で倍近い差が開いていました。

総務省が2026年7月24日に公表した『令和8年版 情報通信白書(概要)』の86.4%は、条件が最も緩い数字です。この企業向けアンケートは、従業員10名以上かつ2025年までにデジタル化の取組を開始した企業に勤める管理職以上を対象にしています。母集団の入口でデジタル化に着手済みの企業へ絞ってあるので、日本企業全体の平均としては読めません。

もっとも低い20.4%は、中小企業基盤整備機構『中小企業のAI等の利活用に係る実態調査』(令和8年3月公表)の値になります。全国の中小企業10,000社に配付し、AI導入状況の設問には1,647社が答えました。内訳は全社的に導入している3.6%、一部の業務で導入している16.8%、導入を予定・検討中18.6%、導入予定はない61.0%です。前向きな層を足しても39.0%で、6割は検討の入口にも立っていません。

なお総務省の『令和7年通信利用動向調査』(2026年5月29日公表)は、常用雇用者100人以上の企業でIoTやAI等のシステムを導入している割合を27.3%としました。令和5年16.9%、令和6年18.4%からの伸びで、前年比では8.9ポイント増です。産業別では金融業・保険業が52.3%で最も高くなりました。設問がIoTを含む点と時点が1年古い点を踏まえれば、他の数字と矛盾しません。

導入は進んだが使われ方は個人作業のまま

生成AIを入れた企業のうち、個人の業務で使っているのは63.3%、部署の業務プロセスに組み込めているのは11.9%です。IPAの『DX動向2026』が生成AIを導入済み・試験利用中・検討中の企業に尋ねた2025年度の組織での利用状況で、個人や部署での試験利用44.8%、全社的なサービスに組み込まれている18.6%を含めて、いずれも2024年度から大きな変化はありませんでした。導入率だけが伸びて、使われ方が動いていない状態です。

用途の内訳を見ると、止まっている場所がはっきりします。同じ調査で用途の上位は文書・音声の要約や翻訳・校正が82.5%、文書やレポートの作成が80.5%、情報の検索・収集・分析が77.0%でした。対して自社の製品・サービスの高度化は10.9%、生産・物流・サービス提供の計画支援は6.0%です。個人が手元でこなす作業に用途が集中し、事業そのものを変える用途とは7倍から13倍の開きがあります。

効果の出方も同じ形をしていました。IPAの調査で効果の内容を尋ねると、業務が効率化したり迅速化したりが91.6%と圧倒的で、顧客満足度が向上したは4.5%、売上や利益が向上したは3.9%でした。内向きの成果は出ているのに、AIを入れた企業のなかで外向きの成果まで届いたのは20社に1社もいません。

この構図は業務の単位で見ても崩れません。総務省の『令和8年版 情報通信白書』は13の業務類型ごとに活用状況を尋ねており、最も進んでいる議事録・メール作成補助ですら「業務プロセスがAI中心に変更されている」は11.3%でした。最も多い回答は「従業員が個人作業の効率化で活用している」の35.2%です。日本企業がいちばん使い込んでいる領域でさえ、業務の形は個人の道具のまま置かれています。

入口で引き返す企業もほとんどいません。一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が2026年4月に公表した『企業IT動向調査報告書 2026』(2025年9〜10月調査・有効回答957社)は、言語系生成AIの導入状況を導入済み・試験導入中や導入準備中・検討中・検討後見送り・未検討の5段階で尋ねています(n=952)。このうち「検討後見送り」、つまり検討したうえで導入しないと判断した企業は1.6%でした。導入済み33.9%と試験導入中・導入準備中19.5%を合わせた53.4%は、前年の41.2%から伸びています。この設問は導入をやめた企業を数える作りにはなっていないので、撤退の多寡はここから読めません。検討まで進んだ企業が引き返す例はほとんど無く、導入は一方向に進んでいます。だとすれば、企業が足を止めているのは導入した後の側だということになります。

国際比較で開くのは組織化の度合い

生成AIを一つ以上の業務で利用している割合は日本86.4%、米国90.9%、ドイツ91.6%、中国98.1%で、差は最大でも12ポイントほどです。ところが「組織的な取り組みはない」と答えた割合は日本27.0%に対し、米国1.4%、ドイツ4.9%、中国2.6%でした。総務省『令和8年版 情報通信白書』の組織的な取組状況(日本n=497)が示した差で、米国との開きは19倍にのぼります。

日本の内訳は、全社横断的に事業変革やイノベーションに取り組んでいるが21.5%、各部署における業務の最適化が32.4%、個人の生産性向上に組織的に取り組んでいるが11.7%です。企業規模別に見ると、この「組織的な取り組みはない」は大企業18.1%に対し中小企業45.6%で、中小企業のほぼ半数が組織としての取り組みを持たないまま個々人の判断でAIに触れています。

差はデータの整備でさらに開きました。同じ白書の環境整備の状況によれば、生成AIに社内データを学習させたり参照可能なデータベースを構築したりしている企業は、日本24.5%に対し米国57.2%、ドイツ54.4%、中国73.0%です。「特に実施している施策はない・把握していない」は日本19.9%で、他の3か国はいずれも1%未満でした。汎用のAIを個人が使うところまでは横並びでも、自社の情報を渡して自社の仕事に合わせる段階で差が生まれています。

背景には、AIに何を期待しているかの違いがありそうです。白書は、生成AIの活用により生じうる影響として日本が「作業時間の短縮などによる業務の効率化」を61.6%で突出して挙げた一方、他の3か国では「製品・サービスの質の向上」が最上位だったと整理しました。効率化の道具として位置づければ、個人作業に配って終わるのは自然な帰結になります。

止まる理由は人材とデータとルールにある

IPAの『DX動向2026』がAIを導入済み・試験利用中・検討中の企業に課題を尋ねたところ、最も多かったのは専門人材の不足で50.1%でした。次いで効果やリスクへの理解が追いつかないことが45.8%、利用を管理するルールや基準づくりの難しさが39.7%と続きます。3つとも組織の側の課題で、技術的な難しさは上位に入っていません。

データの整備は、効果と直結する割に手つかずでした。同じ調査で、学習用のデータを整備してAIに活用できていると答えた企業は7.0%です。整備はしたが十分ではないと答えた企業が28.4%、必要性は認識しつつ着手できていない企業が27.6%と続きます。社内の情報がAIから読める形になっていなければ、汎用のAIに一般論を書かせる用途を超えられません。前節で見た用途の偏りは、ここに根があります。

ルールの側も似た状態にあります。IPAの調査では、生成AI利用のルールを全社的なものとして定めている企業が32.5%、AIポリシーを定めて社内に周知している企業が28.8%で、どちらも定めていない企業が16.7%でした。AI独自のリスクマネジメントを実施している企業は14.2%です。ルールが無ければ、現場は判断のつかない用途を避けるので、使い道は当たり障りのない範囲へ収束していきます。

中小企業では、費用の壁がここに加わりました。中小企業基盤整備機構の実態調査で阻害要因の上位は、導入にあたっての高コスト46.9%、社内のAIノウハウ不足42.0%、社内のAI人材不足38.8%です。導入後の運用課題も、ランニングコストが高い44.0%、運用担当者の負荷が重い29.1%、従業員による活用が進まない28.9%と並びます。入口の費用と運用の負荷が同時にのしかかる構図でした。

情報の不足も見逃せません。同じ調査で「成功事例や活用事例などの情報が十分に入手できている」に対する不充足は計83.3%にのぼりました。自社と条件の近い事例が見つからないので、投資判断の材料が揃わない。どの企業がどこから入れて何が変わったのかはAI活用事例で個別に扱っており、この記事は導入の現在地と進む順序に絞ります。中小企業に必要な公的支援としても、導入費用などの助成77.9%に次いで導入事例などの情報提供が70.5%で挙がっています。

推進の担い手が決まらないまま導入されている

AI導入を主導しているのはIT部門の長が46.0%で、最高AI責任者(CAIO)を置いている企業は2.9%です。IPAの『DX動向2026』がリーダーシップ体制として示した数字で、経営層32.1%、導入や利活用する現場の長27.5%、CAIO以外の専任者9.8%が続きます。専任の担い手を置いた企業は、合わせても1割強でした。

責任の所在は国際比較でも差がついています。総務省『令和8年版 情報通信白書』が戦略や方針の状況を尋ねたところ、「取組を推進する部署や責任者が明確になっている」と答えた企業は日本27.9%に対し、米国39.9%、ドイツ45.9%、中国55.6%です。「人材のリスキリングや配置転換の方針が明示されている」も日本10.4%で、「特に実施している施策はない・把握していない」が日本14.7%だったのに対し、他の3か国はいずれも3%未満でした。

中小企業では、担い手の不在がさらに鮮明です。推進する担当部署を尋ねた中小企業基盤整備機構の実態調査では、専任担当部署が存在する企業は2.3%、専任ではないが推進部署が存在する企業は9.7%で、88.0%が「特定の部署はなく、経営者・現場が個別に推進している」と答えています(n=1,605)。担当人材でも専任担当者3.0%、専任ではないが担当者がいる11.1%に対し、85.9%が特定の担当者を持ちません。

大企業でも専門組織までは届いていません。JUASの『企業IT動向調査報告書 2026』では、「高度な生成AI活用のために専門組織を設置」について57.9%が「取り組んでいない、または個人に任されている」と回答し、「生成AI活用拡大のための支援組織を設置」も47.9%が同じ状態でした。上場企業クラスでも、旗を振る組織を置いた企業は半数に届いていない計算になります。

担い手を決めるには、その席に座れる人が社内にいるかという問題が先に来ます。専門人材の不足が課題の1位に挙がる以上、育成と採用のどちらで埋めるかは早い段階で決めておきたいところです。何をどこまで社内に持つべきかの考え方は、AI人材の整理が入口になります。採用で埋める方針なら、自社が今どのくらいの採用力を持っているかを先に測っておきたいところです。エンジニア領域であればエンジニア採用力チェックで外形的な現在地を確認できます。

総務省が整理したAI導入の2段階

総務省は、AI導入・活用による効果創出を2つの段階に分けて整理しました。第1段階は比較的安価で導入しやすい汎用AIを社員の個人作業で活用することを組織的に浸透させる段階、第2段階は経営戦略に基づき業務プロセス全体をAI前提で作り替える段階です。総務省『令和8年版 情報通信白書』のAI導入・活用による効果創出のステップが、先進企業へのヒアリングから導いた枠組みになります。

第1段階で置くものは3つでした。1つ目が、情報漏えい対策を施した社内の生成AI活用環境です。白書は、社員が個人の判断でAIを業務に使用する「シャドーAI」が入力した機密情報の流出などのリスクを孕むと指摘しています。2つ目が利用時のルールやガイドラインの整備と周知で、この2つが揃って初めて個人作業への活用が安全になります。

3つ目が見落とされやすい。白書は、汎用的なAIツールが導入されても一部の積極的な社員が活用するのみで、全社的な活用と効果創出に至らない可能性があると明記しました。ヒアリングを受けた先進企業は、環境整備で終わらせず、活用ユースケースの収集や社内展開、定期的なワークショップ開催といった促進策を実施して全体への浸透を実現しています。日清食品グループは対象業務を部門ごとに選定してプロンプトのひな形を作り、効果を測定しながら社内展開した結果、社内の生成AI利用率が直近では7割超に到達したと白書は伝えています。

第2段階の核心は、人間とAIの役割分担の設計です。白書は、業務領域の特性や人間が負うべき責任の範囲を見極めたうえで、業務プロセス全体において「どのタスクはAIを人間の思考や判断の補助として用い、どのタスクはAIに自律的に実行させるべきか」を検討していると先進企業の共通点を挙げました。白書はこの業務変革を、経営戦略に基づくAI活用方針の決定、効果創出を支える環境・基盤の整備と並ぶ3つの要素のひとつとして整理しました。役割分担の設計は、そのうち業務変革の中心に置かれています。

組織体制の型も具体的でした。同じ白書によると、先進企業の多くは事業部門の現場における個別のニーズや課題意識を検討の起点とし、そこにAI活用を推進するDX推進部門が、アイデアの創出、技術的アドバイスやセキュリティ対策、効果測定、学習や知見共有の機会の設定といった伴走支援を担当していました。DX推進部門はこの伴走と並行して、全体最適を見据えた共通基盤の整備や部門横断の推進も担っています。現場が起点で、専門部門が伴走する。旗振り役を情報システム部門に丸投げする形とも、現場任せにする形とも違う配置です。

自社がどちらの段階にいるかは、前述の11.9%を物差しにすると測れます。部署の業務プロセスにAIが組み込まれていないなら、まだ第1段階の途中です。その状態で第2段階の投資計画を立てても、使う側の理解が追いつきません。

人事は13業務のなかでもっとも遅れている

総務省の調査で「未導入」と答えた割合がもっとも高い業務類型は人事の35.4%で、効果を実感している割合も23.5%と13業務のなかで下から2番目でした。『令和8年版 情報通信白書』が業務類型ごとの活用状況を尋ねた結果で、最も進んだ議事録・メール作成補助の未導入17.5%・効果実感72.3%と比べると、対照的な位置にあります。

バックオフィスから入る形は他の調査とも一致します。中小企業基盤整備機構の実態調査は、AIを既に導入していると答えた企業だけに業務分野を尋ねており、その回答は総務・管理部門68.3%、営業・販売・サービス部門60.3%、経営企画部門58.5%、製造・生産部門34.9%でした。いずれも導入済み企業を母数とする数字で、導入した企業がどこから入れたかの分布を示します。IPAの『DX動向2026』でも生成AIを利用している部署はITシステム71.9%、経営企画69.0%、総務・法務68.4%が先行し、流通は23.9%でした。管理系から入り、現場業務と判断業務が残っている。

残る理由も調査に表れています。中小企業基盤整備機構が「AI導入後も効率化が難しいと感じる業務」を尋ねたところ、人の判断が必要な業務が67.1%で突出し、社内調整や意思決定など属人的な業務33.3%、経営判断や戦略立案31.3%が続きました。採用の見極めや評価は、まさにこの領域に入ります。

だとすれば、人事領域での設計は前段の分業に落ち着きます。候補者の評価そのものをAIに委ねるのではなく、母集団の整理、書類の要約、面談記録の構造化といった判断の手前を任せ、判断は人が持つ。人事業務のどこにAIが入っているかの全体像はAI人事、採用工程に絞った事例はAI採用で整理しています。人事の未導入率が13業務で最も高いということは、裏返せば先に手をつけた企業が差をつけやすい領域だという意味でもあります。

AI導入を次の段階へ進める順序

AI導入の現在地を測る物差しは、導入率ではなく組み込み度です。日本企業は生成AIの利用率では米国・ドイツ・中国と数ポイントしか変わらないのに、組織的な取り組みが無い企業の割合では米国の19倍でした。足りないのは技術でも予算でもなく、誰が担い、どの業務に組み込み、どのデータを渡すかを決める作業です。

順序としては、担い手を決めることが先に来ます。専任の部署も担当者も置かないまま環境だけ配ると、一部の積極的な社員が使う状態で止まる。これは白書が先進企業のヒアリングから明示した落とし穴で、実際に日本企業の多くがそこに滞留しています。担当を決め、利用ルールを社内へ示し、部門ごとに対象業務を選んでユースケースを配る。第1段階を終えるまでに要るのはこの3つで、いずれも高額な投資を伴いません。

そのうえで、第2段階では自社のデータをAIから読める形に整えることと、業務プロセスのどこを人が持つかを決めることに投資します。学習データを整備してAIに活用していると答えた企業が7.0%しかいない現状は、逆に言えばここが競合と差のつく残された領域だという意味です。

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