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中途採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方

公開 更新
監修: 鈴木 裕斗・株式会社overflow / 代表取締役 CEO
中途採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方

中途採用の歩留まりを改善しようとして、まず他社の平均値を探す。ここでつまずく採用担当者は少なくないはずです。検索で上位に出てくる中途採用の歩留まりの調査は、フォームに入力してから届く資料が中心で、記事の本文で読める数字はほとんどありません。民間調査の平均値も、年ごとに大きく動いています。

基準値をどこから取るかという一段手前の問題から始めます。国が毎月公表している統計には、正社員求人がどこまで埋まっているかを示す数字が載っている。自社の歩留まりを測る土台は、まずそこに置けます。

鈴木 裕斗監修者

株式会社overflow / 代表取締役 CEO

鈴木 裕斗

株式会社サイバーエージェントに新卒入社。広告営業を経て、Amebaプラットフォームの管轄責任者に就任。その後、スタートアップ企業に入社、代表取締役就任を経て2ヶ月後に株式会社ディー・エヌ・エーにM&A、子会社化。子会社代表取締役とDeNA広告部長を兼任。2017年6月、株式会社overflowを創業。2018年から2020年9月末までエキサイト株式会社の社外取締役を兼任。

中途採用の歩留まりの定義と計算式

中途採用の歩留まりとは、選考のある段階から次の段階へ進んだ人の割合を表す言葉です。歩留まり率は、次の段階へ進んだ人数を前の段階の人数で割り、100を掛けて求めます。応募100人のうち20人が書類選考を通過したなら、書類選考の歩留まり率は20%になる。

もともとは製造業の用語で、投入した原材料に対してどれだけ完成品ができたかを表しました。採用に置き換えると、母集団に対してどれだけ採用まで到達したかという見方になります。

段階ごとの率とは別に、応募から採用までを通した全体の歩留まりも同じ式で出せます。採用人数を応募人数で割った値で、採用計画から逆算して必要な応募数を見積もるときに使う数字です。段階別の率は改善する場所を探すため、全体の率は必要な母集団の規模を決めるため。用途が違うので、どちらか一方だけを追うと片方の判断ができなくなります。

中途採用では、応募が通年で入り、求人媒体・人材紹介・スカウト・リファラルと経路ごとに段の構成が変わります。スカウトなら送信・開封・返信が入口の前に加わり、人材紹介なら推薦が入る。経路を混ぜたまま1本の率にすると、どの経路のどの段が詰まっているのかが見えなくなるので、経路ごとに分けて測ります。

同じ職種の同じ選考でも、算出した歩留まり率が担当者によって違う値になることがある。原因のほとんどは分母の取り方にあります。面接の通過率を出すとき、分母を「面接を実施した人数」に取るか「書類選考を通過した人数」に取るかで値は変わる。前者は面接に来なかった人を分母から外すので、面接前の辞退が数字に現れません。後者は辞退を含めた実態を映しますが、面接そのものの精度は見えにくくなる。

どちらが正しいということはありません。決めるべきなのは、自社の中で一つに固定して文書に残すことのほうです。分母が揺れたまま前年と比べると、選考が改善したのか集計方法が変わったのかを区別できなくなります。

歩留まり率と通過率と辞退率は同じ数字の裏側にある

通過率は歩留まり率とほぼ同義で、辞退率はその補数にあたります。書類選考の通過率が20%なら、不通過と辞退を合わせて80%。内定承諾率を仮に70%と置けば、内定辞退率は30%になります。3つを別々の指標として管理すると同じ現象を三重に数えることになるので、段階ごとに使う指標を一つ決めておけば足ります。

なお、段階をどう区切るかで数字の意味は変わる。自社の選考フローの区切り方から見直す場合は、選考フェーズの整理が前提になるはずです。

公的統計が示す中途採用の充足水準

日本の正社員求人がどこまで埋まっているかは、厚生労働省が毎月公表する職業安定業務統計から直接読めます。厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』(2026年10月2日公表)によると、令和8年8月の正社員求人の充足率は8.2%でした。新規求人355,787人に対して就職件数が29,335件という内訳で、前年同月(令和7年8月)の8.2%と同じ水準です。前月の令和8年7月も8.2%でした。公共職業安定所(ハローワーク)で受理した求人・求職・就職に限った値で、中途採用にあたる常用求人が対象です。

同じ統計の全体では、令和8年8月の充足率が10.2%、就職率が22.2%でした(いずれも原数値)。有効求人倍率は季節調整値で1.18倍、正社員有効求人倍率は1.00倍で、どちらも前月と同じ水準です。正社員有効求人倍率が1.00倍の需給のなかで、出した求人のうち実際に埋まるのは1割前後にとどまる。この水準が、段階別の歩留まりを考えるときの外枠になります。

市場全体の入口側も公的統計から取れます。総務省統計局『労働力調査(詳細集計)2025年平均結果の要約』(2026年2月13日公表)によると、2025年平均の転職者数は330万人で、前年から1万人減り、4年ぶりの減少に転じました。1年間に実際に職を移る人の総数がこの規模で、しかも増加が止まっている。母集団形成の難しさは、選考が始まるより前の段階から生じています。

充足率は求人数に対する採用の歩留まりを表す

充足率は、新規求人数を分母、就職件数を分子にした比率です。選考の段階別の通過率とは分母が違いますが、出した求人がどれだけ埋まったかという意味では歩留まりそのものにあたります。自社の求人が何件出ていて、そのうち何件が採用に至ったか。この一段粗い見方を先に持っておくと、段階別の数字を追ううちに全体を見失う事態を避けられます。

この統計を自社の基準値としてそのまま使えるわけではない点にも注意が要ります。母数はハローワークで受理した求人と求職に限られ、求人媒体や人材紹介を経由した動きは入っていません。使えるのは、求人を出しても大半は埋まらないという相場観と、その水準が前年からどちらへ動いたかという方向です。自社の充足率が8.2%より高いか低いかを競う数字ではありません。

基準値は産業をそろえてから比べる

比べる相手は、産業までそろえる必要があります。厚生労働省『令和7年上半期雇用動向調査結果の概況』(2025年12月23日公表)によると、2025年6月末日現在の欠員率は全産業計で2.6%、未充足求人数は1,359.5千人でした。産業別では宿泊業・飲食サービス業の4.8%が最も高く、運輸業・郵便業4.1%、建設業3.5%と続きます。

情報通信業は1.8%で全産業計を下回りました。同調査の定義では、欠員率は未充足求人数を6月末日現在の常用労働者数で割った値です。同じ国内でも、人が埋まらない度合いは2倍以上ひらきます。

情報通信業の欠員率1.8%は全産業計を下回りますが、これは採用が楽であることを意味しません。未充足求人数そのものが33.4千人と少なく、母集団の絶対数も他産業より小さい。他産業の数字をそのまま自社の目標に置くと、産業構造の違いを見落とします。

中途採用の段階別平均は2025年に5ポイント以上低下

マイナビの中途採用状況調査が示す段階別の平均値は、1社あたりの平均人数どうしを割ったもので、2025年は前年から5ポイント以上下がりました。

マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」(調査時期2025年12月・2025年全体n=1,327)によると、2025年の面接設定率(応募者のうち面接を設定した割合)は48.3%、内定率(面接設定数のうち内定者の割合)は43.7%、採用率(面接設定数のうち採用者の割合)は37.2%でした。2024年はそれぞれ55.2%、52.2%、47.4%で、1年で6.9〜10.2ポイント下がっています。

段階

2025年全体

2024年全体

2025年 IT・通信・インターネット

面接設定率(応募者のうち面接設定)

48.3%

55.2%

53.8%

内定率(面接設定数のうち内定)

43.7%

52.2%

32.7%

採用率(面接設定数のうち採用)

37.2%

47.4%

26.9%

出所:マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」p.33(1社あたり平均人数の比・2025年全体n=1,327、2024年全体n=1,300、IT・通信・インターネットn=176)。

同じ調査の業種別では、2025年の内定率がIT・通信・インターネットで32.7%、医療・福祉・介護で66.3%と2倍以上ひらきます。率は各社の率を平均したものではなく、1社あたり平均の総応募者数68.4人、面接設定数33.0人、内定者数14.4人、採用者数12.3人を割った値です(マイナビ「中途採用状況調査2026年版」・2025年実績)。応募者の多い企業の数字が強く反映されるので、自社の率をこの値と並べても、差が選考の良し悪しなのか企業の規模と業種の違いなのかは切り分けられません。

検索上位の記事にも、本文で読める段階別の平均値はありませんでした。

Offers(株式会社overflow)が2026年10月7日に「中途採用 歩留まり」の検索上位9件の本文を取得して確かめたところ、段階別の通過率の平均値を本文に数字で載せたページは0件で(計算例を除く)、9件のうち5件は同じ人材サービス会社の資料ダウンロードの案内でした(Offers(株式会社overflow)調べ・n=9・2026年10月時点)。最上位の1件も、面接設定率・内定率・採用率をフォーム入力後に届く全19ページの資料に収めています。

公的統計に段階別の通過率を求めても、そこにも空白があります。2026年9月25日に結果が公表された厚生労働省『令和7年転職者実態調査の概況』は、事業所調査で転職者の採用に当たって重視した点、採用した理由、募集方法、賃金決定の要素、採用する際に難しいと考えている問題などを尋ねており、選考段階ごとの通過率は調査事項に入っていません。

民間調査の1社平均で、しかも年ごとに動く数字を基準に置くと、実務では2つの誤りが起きます。一つは、自社の数値が目安を下回ったときに、選考の問題なのか規模・業種・集計方法の違いなのかを切り分けられないこと。もう一つは、目安を上回ったときに改善の必要がないと判断してしまうことです。民間調査の値は、自社の数字が桁違いに外れていないかを確かめる程度の使い方にとどめるのが安全です。

1社分の実データでは歩留まりの詰まりが返信に集中する

Offers(株式会社overflow)が運営する中途採用プラットフォームのスカウトの実データでは、歩留まりの詰まりは開封から返信への段に集中しています。送信を100としたとき、開封まで到達したのは59.7%、返信(オファーを承諾してメッセージが開いた状態)は6.2%、面談設定まで到達したのは2.9%です。

段階

送信を100としたときの到達率

直前の段からの通過率

スカウト送信

100%

—

開封

59.7%

59.7%

返信(メッセージ開始)

6.2%

9.8%

面談設定(日程調整を含む)

2.9%

46.1%

出典:Offers スカウトデータ(株式会社overflow・2025年3月〜2026年2月送信分・2026年9月集計)。

読みどころは右端の列にあります。同じ集計で見ると、返信まで到達した候補者は46.1%が面談設定へ進む一方、開封した人の9割は返信に至っていません。通過率が最も低いのは返信の段なので、直せる余地は返信の1点に集まります。面談設定を1件つくるのに必要な送信数は約35通で、この数を左右するのは送信の量よりも返信の率のほうです。

ただしこの数字を、他社がそのまま基準値として置くことはできません。母集団は1社のプラットフォーム上のスカウトに限られ、測っているのは書類選考や面接の通過率より手前にある、接触の通過率です。面談設定は日程調整の段階を含むので、面談を実施した割合はこれより低くなる。年間の値はあくまで代表値で、定数として扱えません。使えるのは値そのものよりも、段ごとの通過率が大きくひらくという構造と、同じ形の集計を自社で作れば詰まりの位置が特定できるという手順のほうです。

前年同期を基準線に置き、公的指標で年差を切り分ける

比較対象は自社の過去に置くのが妥当です。前年同期の同じ職種・同じ求人経路の歩留まりを基準線にすれば、分母の定義も選考の設計もそろいます。他社平均との比較では、職種構成も選考回数も求人経路も違うので、差が出た理由を特定できません。

ただし前年同期との差を、そのまま自社の改善や悪化として読むと外れます。採用市場そのものが年ごとに動くからです。前述の民間調査でも、2025年の採用率は前年から10.2ポイント下がりました。

ここで前段の公的統計が使えます。自社の歩留まりが前年から落ちたとき、同じ期間の正社員求人の充足率、自社が属する産業の欠員率、正社員等労働者過不足判断D.I.が同じ向きに動いていれば、市場側の変化が下落の相当分を説明します。

逆に外部の指標が横ばいか改善しているのに自社だけ落ちているなら、原因は選考の側にある。前年比較を単独で使うと、この切り分けができません。

前年のデータがない場合は、最初の3か月を基準期間として固定し、そこからの変化を見る形にすれば運用を始められます。

どの段階で詰まっているかを見つける手順

詰まりの発見は4つの手順で進めます。分母を固定し、応募した月ごとの集団で追い、段階を4つに絞り、前年同期から最も落ちた段を選ぶ。順番に意味があり、最初の2つを飛ばすと、あとの2つで出した結論が集計方法の産物になります。

手順1は、分母の定義を先に決めて文書に残すことです。各段階の分母を一つに決め、辞退者を分子と分母のどちらから外すかまで書きます。この文書がないと、担当者が変わった翌年に別の方法で集計され、時系列の比較が成り立たなくなる。

手順2は、同じ月に応募した人をひとまとまりとして最後まで追いかけることです。月末時点の断面で各段階の人数を並べると、段ごとに違う集団を比べる形になります。厚生労働省『令和2年転職者実態調査の概況』(2021年11月8日公表)によると、転職活動を始めてから直前の勤め先を離職するまでの期間は「1か月以上3か月未満」が28.8%で最も多く、「転職活動期間なし」23.6%、「1か月未満」18.3%、「3か月以上6か月未満」15.7%と続きました。

活動を始めて1か月未満で離職する層と、3か月以上かかる層が同じ母集団に混ざっている。転職活動の長さがこれだけ割れる以上、ある月の応募数とその月の内定数は別の集団の数字です。

手順3は、段階を4つに絞ることです。入口(応募・スカウト返信)、書類、面接、内定から承諾までの4つで足ります。段階を細かく分けるほど各段の人数が小さくなり、率が数人の増減で振れて判断できなくなる。

手順4は、率が前年同期から最も落ちた段を選ぶことです。減った人数の絶対値で選ぶと、入口の人数がどの会社でも最大なので毎回同じ結論に行き着きます。動いたのは率のほうだという段が、直せる余地の大きい場所です。

入口が詰まっているときは応募の少なさを疑う

入口の詰まりは、中途採用の問題として最も多く報告されています。厚生労働省『令和2年転職者実態調査の概況』(2021年11月8日公表)では、転職者を採用する際に問題があるとした事業所が84.1%あり、そのうち「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」を挙げた割合が67.2%で最多でした。同じ設問は令和7年調査にもありますが、2026年9月25日公表の概況には集計が載っていないため、ここでは令和2年調査の値を使います。

求職者がどの経路で動くかは、令和7年調査で更新されました。厚生労働省『令和7年転職者実態調査の概況』の個人調査では、転職活動の方法(複数回答)の上位は次のとおりです。

転職活動の方法(複数回答)

令和7年調査

令和2年調査

求人サイト・求人情報専門誌・新聞・チラシ等

45.1%

39.4%

ハローワーク等の公的機関

29.6%

34.3%

縁故(知人、友人等)

22.2%

26.8%

民間の職業紹介機関

20.9%

14.8%

出所:厚生労働省『令和7年転職者実態調査の概況』表12(2026年9月25日公表・個人調査の有効回答7,310人)。

求人サイト等と民間の職業紹介機関が上がり、ハローワーク等と縁故が下がっています。求職者の経路が割れている以上、一つの媒体だけで母集団を作る設計では入口が細くなる。経路ごとに歩留まりを分けて測るのは、このためです。

面接が詰まっているときは評価基準の不在を疑う

面接の通過率が上下に揺れるときは、評価する側の基準を疑います。令和2年転職者実態調査の産業別を見ると、情報通信業では「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」を挙げた事業所が45.6%あり、産業計の38.8%を上回っていました。評価基準が言語化されていないと、面接官ごとに合否が割れ、通過率は候補者の質より面接官の割り当てで動きます。

内定から承諾が詰まっているときは処遇の説明を見直す

終盤の詰まりでは、処遇とキャリアの説明が焦点になります。令和2年転職者実態調査で、情報通信業の事業所が「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」を問題として挙げた割合は38.0%で、産業計の17.8%の2倍を超えていました。入社後に何を任され、どう評価されるのかが選考中に伝わらなければ、候補者は条件だけを他社と比べることになる。終盤の数字の作り方と打ち手は内定辞退防止で扱っています。

どの段からたどるか決めきれない場合は、自社の採用体制を外形から点検するところから入る方法もあるはずです。エンジニア領域であればエンジニア採用力チェックで、企業の公開情報(採用ページ・求人票・技術発信)を5指標24項目で採点したレポートを1営業日以内に受け取れます。段階別の数字を集める前に、候補者から見た弱さの当たりをつける材料になるはずです。

人手不足の局面では歩留まりが採用単価に返る

人手不足が続く局面では、母集団を増やすより歩留まりを直すほうが採用単価に返ります。厚生労働省『労働経済動向調査(令和8年8月)の概況』(2026年9月29日公表)によると、令和8年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計で+47ポイントの不足超過で、5月調査の+47ポイントと同じでした。産業別では運輸業・郵便業+61、建設業+59、学術研究・専門・技術サービス業+59、医療・福祉+55、情報通信業+52と並びます。

同じ調査で、労働者が不足している部門等に何らかの対応をした事業所は令和8年4〜6月期実績で67%あり、対応した事業所の対応内容の最多は「中途採用の開始・拡大・強化」の66%でした。厚生労働省『令和7年転職者実態調査の概況』でも、今後3年間に転職者を採用する予定がある事業所は63.6%、情報通信業では72.6%です。多くの企業が同じ時期に同じ層を採用しようと動いている状態です。

この局面では、応募を1件増やすための費用が上がります。すでに応募している人の歩留まりを1ポイント改善するほうが、同じ採用数を得るための費用は下がる。各段階を指標として管理する方法は、人事KPI一覧に算出式ごと整理されている。

2026年10月1日から選考の運用に加わった条件

2026年10月1日から、中途採用の選考の進め方そのものに法的な条件が加わりました。厚生労働省告示第52号(2026年2月26日告示・男女雇用機会均等法第13条第3項に基づく)は、求職活動等における性的な言動に起因する問題について事業主が講じる措置を定めた指針で、令和7年法律第63号の施行日である2026年10月1日から適用されています。

指針が挙げる「求職活動等」には企業の採用面接への参加や、企業の雇用する労働者への訪問が含まれ、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等のオンラインを介したものも対象になる。

選考の運用に直接かかるのは2点です。

  • 「求職活動等に関するルール」をあらかじめ明確化し、労働者及び求職者等に周知・啓発すること(指針4(1)ハ)。指針は取り組みの例として、面談時間及び場所の指定、実施体制、やり取りに用いるSNSの種類の指定などの規則を定めて研修等で労働者に周知・啓発することと、求職者等にはその規則を踏まえた面談等の留意事項をホームページやパンフレット等で周知することを挙げています
  • 相談窓口をあらかじめ定めて求職者に周知すること。指針は、求職者が人事担当者への相談をためらう場合も想定されるとして、人事担当者以外の者を担当者に指定することも考えられるとしています

この対応は、歩留まりの観点からも意味を持ちます。面談の時間・場所・進め方を明文化して公開する作業は、そのまま候補者への事前説明の材料になる。誰と何回会い、何を見られるのかが分からないまま進む選考は、面接段階の離脱要因の一つです。指針への対応と、説明不足による離脱の抑制が同じ作業に乗ります。

適用はすでに始まっているので、選考フローの文書化を後回しにしていた場合は、分母の定義とあわせて整理しておくと二度手間になりません。

歩留まりを見続けるための計測の設計

計測は、残すものと捨てるものを決めてから始めます。

残すもの

捨てるもの

各段階の分母の定義書

民間調査の1社平均を相場とみなした比較

同じ月に応募した人をまとめた集計

段階を細かく分けすぎた率

経路別・4段階に絞った歩留まりの表

月次断面の単純な前月比

自社の前年同期との差分

一度きりの分析レポート

更新の入口は「答えが変わった数字」です。充足率と有効求人倍率は毎月、欠員率は年2回、正社員等労働者過不足判断D.I.は四半期ごとに更新されます。自社の数字を外部環境と並べて見るなら、この更新周期にあわせて基準線を引き直せばよい。

詰まっている段が決まったあと、その原因まで踏み込む手順は採用分析にまとめています。数字が動いた理由を選考記録から遡る作業は、歩留まりの計測とは別の工程になる。

中途採用の歩留まりは、他社の平均値と比べるための指標ではありません。自社の選考のどこで人が減っているかを、同じ物差しで測り続けるための仕組みです。分母を固定し、同じ月に応募した人をまとめて追い、前年同期と比べる。この3つに外部環境の指標を並べれば、年ごとに動く民間調査の平均値を探し回る必要はなくなります。

自社の採用体制がいまどの水準にあるかを外形から確認しておきたい場合は、エンジニア採用力チェックが起点になります。段階別の数字を集める前に、どこを疑うべきかの見当をつける材料として使えるはずです。

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