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採用の内定辞退|中途の辞退率15.0%と防止策

公開 更新
監修: 鈴木 裕斗・株式会社overflow / 代表取締役 CEO
採用の内定辞退|中途の辞退率15.0%と防止策

内定を出した候補者に辞退されると、採用計画は母集団づくりからやり直しになります。中途採用の内定辞退は、内定を出した後の引き止めだけでは減りません。候補者の中での自社の順位は、最初の接点から選考の各段階で少しずつ決まっていくからです。

辞退が起きる時点と件数の実態を押さえ、選考の入口・選考中・内定後のどこで手を打つかを決める。その順で考えると、内定者フォローに頼りきらない防ぎ方が見えてきます。対象は中途採用(経験者の採用)です。

鈴木 裕斗監修者

株式会社overflow / 代表取締役 CEO

鈴木 裕斗

株式会社サイバーエージェントに新卒入社。広告営業を経て、Amebaプラットフォームの管轄責任者に就任。その後、スタートアップ企業に入社、代表取締役就任を経て2ヶ月後に株式会社ディー・エヌ・エーにM&A、子会社化。子会社代表取締役とDeNA広告部長を兼任。2017年6月、株式会社overflowを創業。2018年から2020年9月末までエキサイト株式会社の社外取締役を兼任。

内定辞退の定義と、承諾前・承諾後の2つの時点

内定辞退とは、企業が出した内定を候補者が断り、入社に至らないことです。中途採用の内定辞退には、内定通知への返事として断る「承諾前の辞退」と、いったん承諾した後に入社日までに断る「承諾後の辞退」の2つの時点があります。手の打ち方が違うので、社内でも分けて扱うのが基本です。

承諾前の辞退は、候補者が他社の内定と比べている期間に起きます。マイナビ「中途採用状況調査2026年版」では、内定を通知してから応諾を得るまでの平均日数は、1次面接をWebで行った企業で8.9日、対面で行った企業で8.4日でした(2025年実績・回答企業n=934/1,306)。中途の候補者は、1週間余りで返事を決めている計算です。

内定承諾書は承諾後の辞退を止める書類ではない

内定承諾書を受け取っていても、候補者は入社前に辞退できます。期間の定めのない雇用について、民法第627条第1項は、各当事者はいつでも解約の申入れができ、申入れの日から2週間で雇用が終わると定めています。承諾書は入社の意思を確かめる書類で、辞退を禁じる効力は持ちません。

辞退に備えて違約金を取り決めることもできません。労働基準法第16条は、労働契約の不履行について使用者が違約金を定めたり、損害賠償額を予定したりする契約を禁じています。承諾後の辞退への備えは、書類で縛ることではなく、承諾から入社日までの連絡を途切れさせないことです。

中途採用の内定辞退率は2025年実績で15.0%

マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」によると、中途採用の内定辞退率は2025年が15.0%で、2024年の9.3%から5.7ポイント上がりました(調査時期2025年12月17〜22日・2025年全体n=1,327)。100人に内定を出せば、15人が入社に至らない水準です。

同じ調査では、面接の無断キャンセル率が2024年の7.4%から2025年は5.4%に下がり、上がった内定辞退率とは逆の動きでした。ただし無断キャンセル率は面接を設定した人数、内定辞退率は内定者数を分母にした別の指標で、2つを並べても辞退が起きる時点の移り変わりまでは読み取れません。

辞退率は従業員51〜300名と金融・保険・コンサルティングで高い

規模・業種・地域で見ると、内定辞退率が全体の15.0%を大きく上回る層があります。マイナビ「中途採用状況調査2026年版」では、従業員数別で51〜300名の企業が18.9%ともっとも高く、業種別では金融・保険・コンサルティングが24.3%、採用窓口のエリア別では東北が27.5%でした(2025年実績)。

区分

2025年の内定辞退率

回答企業数

全体

15.0%

1,327

従業員数51〜300名

18.9%

410

金融・保険・コンサルティング

24.3%

73

採用窓口エリア 東北

27.5%

149

出所: マイナビ「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」p.33・p.34。

金融・保険・コンサルティングは回答73社、東北は149社の値なので、幅をもって読む必要があります。自社の辞退率は、全体の15.0%ではなく、同じ規模・同じ業種の値と並べると見立てがずれにくくなります。

前年比は平均値どうしで計算した値として読む

マイナビの内定辞退率は、1社あたりの内定者数の平均と採用者数の平均から計算した値で、各社の辞退率を平均したものではありません。同じ調査のp.33では、1社あたり平均の内定者数が2024年の22.9人から2025年は14.4人へ、採用者数が20.8人から12.3人へ変わっています。

回答企業の顔ぶれが変われば、平均の人数も率も動きます。5.7ポイントの上昇は市場全体の傾向として受け止め、「どの会社でも辞退が増えた」とまでは読まないのが妥当です。自社の判断は、自社で数えた辞退率で行います。

内定辞退の主な理由は他社との比較・条件・入社後の見えにくさ

中途採用の内定辞退の主な理由は、より志望度の高い他社の内定、給与や勤務地などの条件の比較、入社後の仕事や評価が具体的に描けない不安の3つです。中途の候補者は在職中に複数の会社を並行して受けることが多く、内定が出た時点で他社と比べられます。

条件の見劣りは、辞退の引き金の1つです。ただ、同じ条件でも承諾する候補者と辞退する候補者がいます。分かれ目は、仕事内容・評価の基準・一緒に働くメンバーといった、条件表に載らない情報がどこまで伝わっているかです。情報が薄いほど、候補者は年収の数字だけで比べることになります。

選考中の面接で志望度が下がり始める

辞退の気持ちは、内定通知を受け取る前の選考中に固まり始めます。doda人事ジャーナルが20〜60代の転職経験者525名に行った調査では、面接を受けて志望度が下がった経験がある人は、メンバークラスで49.6%、管理職クラスで58.2%でした(2025年6月実施)。

候補者が不信感を持つきっかけの例は、面接官の態度、事前の情報と面接の内容の食い違い、質問の意図が分からないやり取りです。面接官が原因の辞退を選考の記録から見つける手順は、面接官の言動と内定辞退で詳しく扱っています。

内定辞退の防止策は選考の入口・選考中・内定後の3段階で分ける

内定辞退の防止策は、辞退の芽が生まれる時点ごとに分けると打ち手が決まります。選考の入口で相互理解の土台をつくり、選考中に志望度を育て、内定後は条件の示し方と連絡で仕上げる順番です。内定者フォローだけに頼ると、入口と選考中で生まれた迷いを最後に取り戻すことになり、工数がかさみます。

段階

辞退の芽

主な打ち手

選考の入口(求人・スカウト)

声をかけた理由や仕事の中身が伝わらず、多くの選択肢の1つとして見られる

採用したい人物像を言葉にし、最初の接点で声かけの理由と仕事の中身を伝える

選考中(面接・面談)

面接官の対応や、事前の情報との食い違いで志望度が下がる

面接官の準備をそろえ、仕事内容・評価・メンバー像を面接の中で伝える

内定後(条件提示〜入社日)

他社と比べる期間に連絡が途切れ、条件や入社後の姿が曖昧なまま残る

条件を書面で示し、回答期限を決め、入社日まで連絡の担当を決める

表の上の段ほど、後の段の負担を軽くする打ち手です。入口と選考中で相互理解ができていれば、内定後のフォローは確認と仕上げで済みます。

選考の入口では声をかけた理由を最初の接点で伝える

選考の入口でできる防止策は、なぜその候補者に声をかけたのか、自社の何が候補者の経験に合うのかを、最初の接点で具体的に伝えることです。誰にでも送れる定型のスカウトで始まった候補者は、自社を多くの選択肢の1つとして見たまま選考に進みがちです。自社から候補者を探して声をかける方法の全体は、ダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットにまとめています。

入口での反応は、文面の作り方で変わります。Offersを運営する株式会社overflowの2024年10月31日のリリースでは、AIスカウト生成機能の導入前後で、東証グロース市場上場のA社のスカウト承諾率が13.1%から31.7%へ、シード期スタートアップのB社が19.0%から32.4%へ上がりました(2024年10月時点・各社の実績)。スカウト承諾率は候補者がスカウトに応じた割合で、内定の承諾率とは別の指標です。

候補者がスカウトへの返事や応募の前に会社を調べる材料は、求人票・採用ページ・技術ブログといった公開情報です。エンジニア職の採用なら、Offersのエンジニア採用力チェックで、その公開情報の状態を確かめられます。企業のURLを入れると、技術ブランド発信力や採用情報の充実度など5指標24項目で採点したレポートが、原則1営業日以内に無料で届きます(選考の進め方や内定辞退率は採点の対象外です)。

選考中は面接で仕事内容と評価の基準を伝える

選考中の防止策は、面接を見極めの場であると同時に、仕事内容・評価の基準・一緒に働くメンバーを候補者に伝える場として設計することです。面接官ごとに説明の中身がばらつくと、候補者は事前の情報と違うと受け取ります。

選考の速さも、候補者の判断材料になります。マイナビ「中途採用状況調査2026年版」では、1次面接から内定までの平均はWeb面接で11.0日、応募から内定応諾までの合計はWeb面接で平均31.5日でした(2025年実績)。自社の日数がこれより長い段階は、他社に先を越されやすい箇所の候補です。

連絡の遅れや引き継ぎの漏れは、仕組みで減らせます。選考の滞留や回答期限を知らせる設定は、採用管理システムで内定辞退を防ぐ設定と測り方で扱っています。

内定後は条件を書面で示し、回答期限と連絡の担当を決める

内定後の防止策は、条件を書面ではっきり示し、回答期限を候補者と合意し、入社日まで連絡する担当者を決めることです。内定通知から応諾までは平均8.9日(マイナビ「中途採用状況調査2026年版」・Web面接の企業)で、その間に質問へ答える窓口がないと、候補者は迷いを他社の担当者に相談することになります。

内定通知書に書く給与の内訳と、求人票との差の説明は、内定通知書の給与の書き方と必須項目で整理しています。承諾後は連絡が途切れやすく、辞退がもっとも見えにくい期間です。現場社員との面談を設け、入社後の最初の仕事を具体的に示しておくと、候補者は入社後の姿を描きやすくなります。

エンジニアの採用で、選考から内定後のフォローまでを外部の専任チームと分担したい場合は、OffersのAI RPOという選択肢があります。サービスページが挙げる支援内容は、面接日程の調整や候補者の意向確認といった選考の支援に加え、条件交渉のサポート、内定後から入社までの候補者フォロー、辞退リスクの早期検知です。AI RPOの支援内容を見る

人材紹介・リファラル経由の辞退は経路ごとの論点で扱う

人材紹介やリファラルを経由した内定辞退は、手数料・紹介報酬・紹介者との関係といった経路に固有の論点を伴います。人材紹介経由の辞退と手数料・返戻金の扱いは人材紹介経由の内定辞退と手数料、企業の対応で、紹介者への連絡と紹介報酬の規程はリファラル採用の内定辞退と紹介者・報酬の扱いが詳しい記事です。

自社の内定辞退率は承諾前と承諾後に分けて数える

自社の内定辞退率は、入社前に辞退した人数を内定を出した人数で割って求め、承諾前の辞退と承諾後の辞退を分けて数えます。10人に内定を出し、承諾前に2人、承諾後に1人が辞退すれば、辞退率は30%で、内訳は承諾前20%・承諾後10%です。分けておくと、手を打つべきなのが選考中なのか内定後なのかが見えます。

中途採用は1つの求人で内定を出す人数が少なく、1件の辞退で率が大きく動きます。月ごとの率で良し悪しを決めず、半期や1年の単位で件数と理由を並べて見るのが現実的です。率を下げること自体を目的にすると、承諾しそうな候補者にだけ内定を出す方向へ基準が傾くおそれがある点にも注意が必要です。

承諾率の分母に何を置くかは承諾率の3つの指標と分母の置き方で、応募から入社までの段階別の比率は採用の歩留まりの計算式と基準値の置き方で扱っています。

辞退の理由は選考の段階と決め手を1件ずつ記録する

辞退の理由は、辞退が起きた段階と、候補者が挙げた決め手を1件ずつ記録するのが基本です。辞退の連絡を受けたら、引き止めより先に理由を一度だけ聞いて記録し、次点の候補者に連絡するかを判断します。

記録が溜まると、承諾前の辞退が特定の面接の後に偏っている、承諾後の辞退が条件提示の遅れと重なっている、といった傾向が件数で見えてきます。理由を選択肢の項目で残しておくと、半期ごとの集計も楽です。

採用の内定辞退で押さえる要点

中途採用の内定辞退は、内定を出した後ではなく、最初の接点から選考の各段階で芽が生まれます。マイナビ「中途採用状況調査2026年版」では、2025年の内定辞退率は15.0%で、前年の9.3%から5.7ポイント上がりました。

  • 辞退には承諾前と承諾後の2つの時点があり、内定承諾書や違約金で辞退を止めることは法律上できない
  • 自社の辞退率は全体の15.0%ではなく同じ規模・業種の値と並べ、承諾前と承諾後に分けて数える
  • 防止策は選考の入口・選考中・内定後の3段階で分け、内定者フォローは仕上げに位置づける
  • 人材紹介・リファラル・面接官・採用管理システムといった個別の論点は、それぞれの記事で手順を確かめる

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