求人倍率13倍の現実とダイレクトリクルーティングの主流化
鈴木は、エンジニアの求人倍率が13倍を超えて上がり続けていることと、ダイレクトリクルーティングを「最も多く採用できた手法」に挙げた企業が約4割あることを示しました。
個別にカスタマイズしたスカウトは返信率が高い一方、続けるには膨大な数と時間がかかる点を、今の市場の課題に挙げました。
――大谷:まず鈴木様から、エンジニア採用市場の現状についてお話しいただきます。
鈴木:前提のすり合わせとして、エンジニア採用市場の現状からお話しします。
鈴木が最初に取り上げたのは、求人倍率の推移です。
鈴木:求人倍率は13倍を超える推移で、2019年頃からずっと上がり続けています。DXやAIなどさまざまなトレンドの中で、エンジニアを必要とする企業は増え続けています。

「採用が十分にできている」という企業には、6〜7年事業をやっていて一度もお会いしたことがないというのが実情です。基本的に皆様、エンジニア採用に苦しんでおられます。2030年には79万人が不足するという推計も出ており、このトレンドは続いていくと捉えています。
続けて、米国の求人の動きにも触れました。
鈴木:参考までに、米国の求人ではChatGPTが登場してからAI関連の求人が1.5倍ほどに急増しています。日本にはまだそこまでのインパクトは出ていませんが、AI関連の求人は引き続き注目すべきトレンドではないでしょうか。
――大谷:そうした市場の中で、採用の手法はどのように変化しているのでしょうか。
鈴木が示したスライドには、ダイレクトリクルーティングを「最も多く採用できた手法」として約4割の企業がトップに挙げている、とあります。
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鈴木:ハイレイヤーの方にはエージェント経由で出会いにくいことや、エージェント自身がエンジニア出身でないため最適なキャリア提案が難しいことなどから、エンジニアと自社をよく理解している企業が直接候補者にアプローチするのがスタンダードになっています。
ただ、多くの企業がスカウトを打つ状況になり、振り向いてもらうために大きな工数と時間がかかっているのが現実です。いわゆる「ワンメッセージ」と呼ばれる個別カスタマイズは、まず返信率が高くなります。
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鈴木は、返信率のデータも紹介しました。
鈴木:候補者のレジュメを確認し、自社求人のどこがフィットするかを考えて送ると、返信率が通常より20%ほど高くなるというデータがあります。
その方のキャリアに沿った提案をスカウトの中ですることで、初回面談時点での志望度を高められ、その後の選考もスムーズに進みます。一方で、これをやり続けるには膨大な数と時間がかかるのが、今の市場の課題です。
AIスカウトによる工数8割削減と返信率2.4倍
鈴木は、overflowが提供するAIスカウト機能でスカウト工数の8割を削減でき、従来のテンプレートからAIに変えることで返信率が2.4倍になった実績が出ていると話しました。
導入企業の事例では、返信率が13%ほどから31%ほどに上がったと紹介しています。
――大谷:その工数の課題に対して、overflow様はどのような機能を提供されているのでしょうか。
鈴木:我々が提供しているのがAIスカウト機能です。スカウトがほぼ自動で作れるようになり、スカウト工数の8割を削減できています。質の面でも、従来のテンプレートからAIに変えることで返信率が2.4倍になった実績が出ています。
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最も多いニーズは、採用担当の多くがエンジニア出身ではなく総合職を経験された方であるため、エンジニアの気持ちが分かりづらいという課題です。我々のAIを使えば、エンジニア知識がなくても、エンジニアが興味を持ってくれるスカウトを作っていけます。
――大谷:具体的には、従来のスカウトと何が変わるのでしょうか。
鈴木:従来のテンプレートでは、相手の名前や送り主の名前はデフォルトでセットできます。ただ、「なぜあなたにスカウトを送ったのか」という理由や、「あなたに提供できるキャリアの機会」を書く部分に最も時間を使っていました。
これをAIテンプレートにすると、候補者のマッチした経験業務、たとえばどこの会社で何年こういう業務をやっていたか、といった情報や、自社とマッチするスキルが箇条書きで入ってきます。求人との照らし合わせという、最も時間を使う部分を叩きとして出してくれるので、効率が大きく進みます。
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――大谷:実際の導入事例についてもお聞かせください。
鈴木:すでにグロース市場に上場している、マーケティング事業の約300名の企業様の事例です。元々スカウトを積極的に打たれていましたが、プロフィールの読み込みに手間がかかり送信数が増えない、エンジニア向けに刺さる文面を作れない、という課題を感じておられました。
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AIスカウト機能を導入したことで、返信率が13%ほどから31%ほどに上がりました。文面作成の時間も大幅に圧縮され、スカウト作成が難しいという状態から、非エンジニアの方でも高い返信率のスカウトを書けるようになっています。
Offersのエンジニア採用力チェックは、企業のURLをもとに公開情報を5指標24項目で採点し、レポートを届けるサービスです。
スキルの可視化と人事データで回す、採用から育成までの一気通貫
半田様は、個人のスキルを可視化して人事データと掛け合わせ、採用基準の見直し、育成方針の策定、評価基準づくり、異動の判断を組織として回していると話しました。
中核にあるのは、エクサウィザーズが独自開発した「デジタルイノベーターアセスメント」です。
――大谷:続いて半田様から、エクサウィザーズ様の育成の取り組みについてお願いします。
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半田様の話は、人事戦略の考え方から始まりました。
半田様:人事戦略は採用だけでなく、その後の育成も一気通貫でやることが重要だと考えています。具体的には、個人のスキルを可視化し、人事データと掛け合わせることで、採用基準の見直し、育成方針の策定、評価基準づくり、異動の判断などを組織として回しています。
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その中核にあるのが、我々が独自開発した「デジタルイノベーターアセスメント」です。経済産業省が定義するデジタルスキル標準に完全準拠した形で、ビジネスパーソンのDXリテラシーや、推進に必要なマインドセット、ヒューマンスキルを可視化します。
半田様は、アセスメントで見られる内容を次のように挙げました。
半田様:組織内での分布を見たり、他業界と比較したり、部署ごとの平均を取ったり、育成対象を誰にするかを見られます。これまで延べ30万人以上にご利用いただき、シェアNo.1をいただいています。
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データに基づく育成カルテと組織の意思決定
半田様は、アセスメントデータを社内データと突き合わせて人事の意思決定のベースにし、個人の育成カルテを作って上司と共有していると説明しました。
根拠を持って育成のPDCA(Plan・Do・Check・Act)を回せる点も挙げています。
――大谷:そのアセスメントデータを、育成の現場ではどのように活用されているのでしょうか。
半田様:社内データと突き合わせると、誰が活躍しているか、誰がハイパフォーマーかをアセスメントデータと付き合わせて見られるので、それをベースに人事の意思決定をしています。
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その上で、我々はAIの会社なので、個別にスキルを見ながら個別の育成プランを立てるのにも使っています。
個別の育成プランの材料として、半田様は育成カルテを挙げました。
半田様:本人や、次のグレードの活躍人材の特徴がデータとして取れているので、それを起点に本人の業務内容・目標・上長のフィードバックなどを投入し、個人の育成カルテを作って上司と共有し、育成プランを検討しています。
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この辺りは生成AIと相性が良く、材料となるデータがあれば、なんとなく合う・合わないではなく、根拠を持って組織の中で育成のPDCAを回せます。
中途採用・オンボーディングでの定量活用
半田様は、中途採用について、入社1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月で定量的なデータを取り、パフォーマンスやグレードが上がるまでの相関を分析していると話しました。
――大谷:中途採用やオンボーディングの場面ではいかがでしょうか。
半田様:中途採用でも、年間でかなりの人数が入るので、入社1ヶ月・2ヶ月・3ヶ月で定量的なデータを取り、パフォーマンスやグレードが上がるまでの相関を分析しています。
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オンボーディングで何をすべきか、どこに注力すべきかを定量的に見つつ、それがどう活躍につながるかを人事として共通見解を持つよう意識しています。
自然言語で動くコードインタープリタと人事データ分析の民主化
半田様は、データを載せて自然言語で指示を出すとPythonが動き出す「コードインタープリタ」を使えば、データ分析に明るくないメンバーでも分析レポートを出せると話しました。
エクサウィザーズでは入社2ヶ月目のメンバーが分析レポートを出せており、半田様は「人事のデータ分析の民主化」と表現しています。
――大谷:そうしたデータ分析は、人事にとって工数の負担も大きいかと思います。その点はどう解決されているのでしょうか。
半田様:おっしゃる通り、データ分析は人事で工数をかけてやるのが大変です。この部分もAIでできることが多くあります。我々が使っている法人向け生成AI基盤でモデルを選び、データを載せて、自然言語で指示を出すとPythonが勝手に動き出す「コードインタープリタ」というサービスがあります。
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半田様は、指示の出し方を例に挙げて説明しました。
半田様:「複数の観点で分析してください」とやや雑に入れても、数十秒から1分ほどで分析が走り出し、特に指示しなくてもどんどん分析が進みます。「関係性について分析してください」と荒く指示しても、何が相関しているか、何が特徴量として強いかを分析できます。
コンディションサーベイのような組織状況や、離職者と在職者の違いも分析可能です。
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――大谷:データリテラシーがそれほど高くないメンバーでも使えるものなのでしょうか。
半田様:AIでデータが溜まる一方、使いこなす人事側のデータリテラシーを付けるのは大変ですが、こうしたツールを使えば、データ分析の専門家が隣にいるような形で、深く考えずにシートを投げてみると、PythonやRで勝手に動き出します。データが足りなければ、ここが足りないと補足してくれます。
半田様は、社内の例も紹介しました。
半田様:実際にエクサウィザーズでは、入社2ヶ月目のメンバーが、会社にそれほど詳しくなくデータ分析に明るくなくても、分析レポートをどんどん出せています。人事のデータ分析の民主化だと捉えています。
――大谷:分析以外にも、育成の場面で使える機能はありますか。
半田様:目標設定をAIにやらせる、作った目標設定が妥当か・実現可能かをレビューを通じて組織の中で目線を揃える、といった人事が使うシーンに合わせたテンプレートが多数入っています。育成の場面でも使えます。
半田様が示したスライドには、エクサウィザーズグループでの実績として、人事で「一人あたり約180時間/年の業務を削減」(正社員14名、3ヶ月の平均から算出)と書かれていました。
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半田様:これによって、より人間がやらなければいけない業務に集中できる状況が、少しずつ生まれています。
続いて、半田様は提供しているサービスを紹介しました。
半田様:この「デジタルイノベーターアセスメント」と、法人向け生成AIサービス「エクサベース」を提供しています。社内ITからも独立した環境で、給与情報や評価情報といったセンシティブなデータも扱えます。
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リスキリングによる適材配置とビジネスアーキテクトの育成
渡邉様は、DX推進をリードする人材である「ビジネスアーキテクト」を「攻めのDXの中核人材」と捉え、リスキリングで育てる考え方を話しました。
対象の選び方と、目的の明確化・テーマ選定・経験学習の3ステップが話の中心です。
――大谷:続いて渡邉様から、パーソルイノベーション様のリスキリング支援についてお願いします。
渡邉様:「リスキリングによる適材配置」というテーマでお話しします。DXは、デジタルを使って競争上の優位性を確立しましょうと国が言い始めて早10年です。
日本企業の現在地として、デジタル化は一定程度進んできていますが、組織文化も含めてデジタルをベースにトランスフォームできているかという点では、日米で比較すると大きく差がついています。
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渡邉様は、IPA(情報処理推進機構)と経済産業省の定義から話を進めました。
渡邉様:DXは、IPA・経済産業省の定義によれば戦略・人材・技術の3要素で構成されます。我々はReskilling Campという名前でやっているので、特に人材の側面からお話しします。
人材の側面で渡邉様が取り上げたのが、ビジネスアーキテクトです。
渡邉様:DXに貢献できる人材、特にDX推進をリードする人材は「ビジネスアーキテクト」と定義されています。
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我々は「攻めのDXの中核人材」と捉え、ここが最も重要だとお客様と会話しながらリスキリングを伴走しています。
ビジネスアーキテクトが「攻めのDXの中核」である理由
渡邉様は、ビジネスアーキテクトの役割である新規事業の開発、既存業務のコード化・社内業務の効率化が、全て中期経営計画に直結している点を重要性の理由に挙げました。
――大谷:ビジネスアーキテクトという職種が重要だと考えられる理由は、どこにあるのでしょうか。
渡邉様:役割としては、新規事業の開発、既存業務のコード化・社内業務の効率化が挙げられます。これらが全て中期経営計画に直結している点が、重要性の理由です。
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デザインやサイバーセキュリティはAIにサポートしてもらえる伸び代がある一方、ビジネスアーキテクトは役割の特性上、自社の商習慣・カルチャー・サービスの歴史・顧客との関係性を踏まえてデジタルをどう使うかを考えます。そのため、AIに全部を置き換えることにはならないだろうと考えています。
渡邉様は、お客様との会話をこう紹介しました。
渡邉様:だからまずビジネスアーキテクトを育てましょう、とお客様と会話しています。
営業リーダー層をリスキリングの主対象にする
渡邉様によると、リスキリングの対象として多いのは、商習慣や自社プロダクトに詳しい営業リーダークラスの人材です。
――大谷:実際には、どのような人材をリスキリングしていくのでしょうか。
渡邉様:多いのは、商習慣や自社プロダクトに詳しい人材、イメージとしては営業リーダークラスでプロダクトもよく分かっている人を、ビジネスアーキテクトという新しい看板に変え、デジタルを今のプロダクトにどう組み込むべきかをリードできる人材に育成していく、という話です。
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とはいえ、研修を考える側は「役割は何か、何を学ばせ、どう測定するか」がありますし、受講者側も「急に言われてもやる気が出ない、何のためにやるのか」となります。ここが我々の対峙している課題です。
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目的の明確化・テーマ選定・経験学習の3ステップ
渡邉様は、まず目的を明確にし、目的に応じたテーマを選び、経験重視の学習体験を組み込むという順番を示しました。
――大谷:その課題に対して、どのような設計で進めるのが有効なのでしょうか。
渡邉様:結論として、まず目的を明確にし、目的に応じたテーマを選び、経験重視の学習体験を組み込むことです。当たり前に見えますが、未知のテーマに取りかかろうとするとテーマから選びがちです。
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目的の明確化には、eラーニング環境を整える、人材戦略に紐づく形、事業に紐づく形の3つがあり、まずどれなのかを明確にします。その上で学習テーマを設定し、企業としてどの職種をどのレベルで欲しいかを一緒に会話して目指すところを決め、道筋を企画します。
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期間と学び方についての説明です。
渡邉様:デジタル育成を短期でやると既存業務がほぼできないほどの勉強量になるため、1年や半年の期間を見ていただきます。基本はeラーニングや書籍でのインプットをベースにしつつ、我々の特徴としてピアラーニング、つまりワークショップを設計し、配置を変えた時にどういう業務をするのかを練習しながら過ごします。
伴走の体制についても説明がありました。
渡邉様:長期に渡るため、AIに詳しいコーチが1対1でつき、中間報告に向けてフォローし、前後にアセスメントを踏まえて全体をコーディネートします。最後に、勉強して終わりにせず、営業なら営業、人事なら人事で「どの業務に何を使いたいか」を研修に組み込む、経験学習への転換を行っています。
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客観データで採用・育成・評価をつなぐパネルディスカッション
パネルディスカッションでは、AIスカウトの返信率と一次データをめぐる質疑に続いて、エクサウィザーズとパーソルイノベーションの実践事例が紹介されました。
半田様は活躍人材の特徴を面接プロセスへ入れる取り組みを、渡邉様は脱落させない計画的な職種転換を挙げています。
AIスカウトの返信率と一次データをめぐる議論
鈴木は、AIスカウトで返信率を保つ工夫として、ユニークな情報を文面に入れることと、相手の感情を動かすことの2つを挙げました。
RPO(採用代行)との関係については、一次情報の厚さを理由に、各プラットフォームが実装した方がよいという考えを述べました。
半田様:冒頭のプレゼンで鈴木さんに伺いたかったことがあります。AIでスカウトを送っていることがなんとなく相手にも分かり始めていて、それによって返信率が下がるという感覚が、我々の採用活動でも一部あります。
質問の中身は次のとおりです。
半田様:その中でも返信率を高くキープできているのは、AIのモデルなのか、運用上の工夫なのか、もしあれば伺えればと思います。
鈴木:2つあります。
鈴木が一つ目に挙げたのは、ユニークな情報です。
鈴木:1つは、テンプレートの青い部分にユニークな情報がしっかり入ると、全体の倍ほどのボリュームになります。8割ほどの内容がユニークになるものになっています。もう1つは、相手は人なので、感情を動かすことがスカウトで残り半分の大事な部分です。
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相手のペルソナを先に学習させておいて、16タイプの性格診断のようなアセスメントを使いながら、このタイプの人にはポップな言い方がいい、といったバリエーションを交えると、より自然になります。
半田様:候補者のパーソナリティは登録されていないと思うので、そこは類推させて合わせてカスタマイズする、ということですか。
鈴木:おっしゃる通りです。類推させてデータが溜まり精度が上がるパターンと、会員登録のフォームからWillや内面の部分をできるだけ登録いただくようアップデートしていくパターンです。この分野をやり始めて、逆算的に内面情報が大事だと分かってきました。
――大谷:渡邉様からもコメントをお願いします。
渡邉様:工数8割削減と返信率2.4倍を見て凄まじいなと思いつつ、これはいつエンジニア職以外に展開されるのか、という興味がありました。
関連して、採用業務の運用ではRPOを使っている企業もそれなりにいると思います。そうしたものよりAIスカウトなのか、併存なのか、AIスカウトと自社の社員でやっていく体制が望ましいのか。今そういった見立てはありますか。
鈴木:今はエンジニアとデザイナーとPdMにフォーカスしています。RPOとの関係でいうと、結局最後は一次情報・データが重要だという議論があります。
鈴木は、プラットフォームが持つ情報の例を挙げました。
鈴木:プラットフォームでは、公開している経歴やスキルのスコアだけでなく、裏では職務経歴書も取得していますし、表に出ていないWillのようなところも収集しています。
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一次情報の厚さで考えると、汎用的なRPOのAIツールというより、データの深みを考えると各プラットフォームが実装した方がいいのではないか、と私は思っています。もちろん共存する前提でも考えますが、我々としてはその方がベストエフォートだと突き詰めて作りました。
エクサウィザーズが進める、活躍人材の特徴の面接プロセスへの反映
半田様は、社内で見えてきた活躍人材のパターンや特徴に合わせて、スコアからギャップがある部分を深掘りする面接項目を設計し、人事の中で試していると話しました。
――大谷:半田様、続けて事例の紹介をお願いします。
半田様が紹介したのは、進行中の取り組みです。
半田様:現在進行系の話ですが、社内での活躍人材のパターンや特徴が見えてきたので、これに合わせて面接プロセスにもしっかり入れていくことを実際にやっています。スコアからギャップがある部分をより深掘りする面接項目を設計し、それをどう聞いてどう返ってきたらどう判断するかを人事の中で試しています。
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採用すること自体を目的とせず、より活躍する可能性が高い人をうまく採用できる形のトライアルです。
採用だけで閉じてしまうところを、採用・評価・育成の人たちが一気通貫で「このデータでやるぞ」と意思を持たないと難しいのですが、これをやると1個1個のデータがちゃんと繋がって、点ではなく線になります。
――大谷:鈴木様、いかがでしょうか。
鈴木:活躍できる方のイメージがついてくると、それを先に立ち戻って、面接の質問やエンジニアなら技術試験の内容にフィードバックされると思いますが、面接で聞く項目はいわゆる構造化面接っぽくなるアプローチが多いのでしょうか。
半田様:前提として、職種やどのポジションで取るかでだいぶ違います。
たとえばコラボレーションスキルが必要な職種で、この候補者はやや懸念がある場合は、コラボレーションの内容を深掘りして寄りで聞く。やり抜く意思は重要だけれどもう十分にあるなら、面接の中でコラボレーションを重点的に聞く。そういう面接設計の中でカスタマイズするイメージです。エンジニアはそもそもこれで本当に特徴量が出るのかが職種によって違うので、そういう学習を回している段階です。
――大谷:渡邉様、いかがでしょうか。
渡邉様:素朴な疑問ですが、必ずしも人事の方々がリテラシーが高いわけではないと思っていて、その時に「使いこなせるのか問題」をどうフォローアップされるのか伺いたいです。
半田様:おっしゃる通りで、先ほどのデータ分析も、やっとここ数ヶ月で興味のある人がいじれるようになってきた感じです。
半田様は、伴走の必要性にも触れました。
半田様:このツールを使えば一発で終わりということでは全くなく、かなり分厚い伴走や、社内でどうセンスメイクするかが重要論点です。この辺りはまだAIにはできないので、人とAIをセットで支援するのが我々のスタンスです。
パーソルイノベーションが重視する、脱落させない計画的な職種転換
渡邉様は、事業規模の大きい会社では従業員を「脱落させない」ことと、計画的な職種転換の蓋然性を高めることが重要だと話しました。
営業から情シスへの職種転換は、最短で6ヶ月と答えています。
――大谷:渡邉様、事例の紹介をお願いします。
渡邉様:まず、育成とデータの話で、極論、研修に1000万円使う分を損益で取ろうとするのはほぼ不可能です。研修をやったからその人がパフォームして売上が上がった、という研修による貢献度を見極めるのはかなり難しい。ここは我々も努力を続けないといけない部分です。
たとえば大手化粧品メーカー様のような、トラディショナルで事業規模も大きくグローバルな会社では、従業員を「脱落させない」ことが非常に重要です。DXをしたいのはあるけれど、従業員に新しいチャレンジを安心して受けてもらいたいという、セーフティネットの観点も重視されます。
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半田さんの話のように、人っぽくサポートを続けながら脱落させないことが1つの評価ポイントです。
渡邉様は、もう一つの観点を挙げました。
渡邉様:プラスして、計画的な職種転換の蓋然性を高めるところです。たとえば入社5〜10年目の営業が10人来たら、8人ほどは6ヶ月ほどで情シスに職種転換できますよ、というプログラムの耐久性・確実性をいくつか持っておくことが、これくらい大きな会社になると重要です。
ヘッドカウントが足りずうまく回らないのが一番問題だったりするので。マイナスを生まない、その上でどれだけプラスを増やせるか、という2つの観点でお話ししています。
――大谷:半田様、この事例について気になるところがあればお願いします。
半田様は、人事の方が抱える難しさを尋ねました。
半田様:質問です。会社側はチェンジしてほしいけれど、今だと個人が転職してしまう、ということもあると思います。人事の方はどんな苦労や難しさを抱えているのか、実際にやられている中で感じることを伺えればと思います。
渡邉様:人事の方からすると、研修を用意して「じゃあチェンジだ」というのはなかなか難しい。だからこそ、研修で模擬的に、かつ長い期間チャレンジしてもらうインターン的なものを用意し、アセスメントも取るので、それを1つの動機付けのきっかけにしていただく活用設計がいいのではないかと思います。
実際やってみて向いている・成果が出たということで、個人のキャリアと会社の事業ニーズの整合性をうまく合わせていくイメージです。
――大谷:鈴木様、一言コメントがあればお願いします。
鈴木:営業から情シスへというのは大きなキャリアチェンジだと思いますが、それは何ヶ月くらいで実際にできるものですか。
渡邉様:最短だと6ヶ月です。月に100時間ほどは勉強していただくことになるので、社内だと「これはライザップだ」と共通言語になりつつあります。社内要因も外部のマーケット要因も、急速にこの職種が必要だというポジションには、そうした短期で進める判断も必要です。
会社としては引き出しの準備が必要だろうということですね。
視聴者Q&Aと、HRプロダクト全体で広がるAI活用
視聴者からの質問に対し、鈴木は、スカウトの目的は振り向いてもらうことで、人それぞれ違う振り向くポイントにAIを使うと答えました。
まとめでは、AIの活用は不可逆で、積極的にスピード感を持って進めるべきだと述べました。
――大谷:視聴者の方から質問が来ています。「スカウトメッセージを送られた側としては、AIを用いてメッセージ内容の検討に加え、メッセージ送信者の経歴を含めた検討をすると思います。これらの対応がなされることを前提として、スカウトメッセージを送る側から見て効果的な施策があればお聞かせください」。いかがでしょうか。
鈴木:スカウトの目的はあくまで振り向いてもらうことで、人それぞれ振り向くポイントが違うところにAIを使う、と私は捉えています。メッセージ送信者の経歴は動かせない事実・ファクトなので、ここで嘘をつくことは絶対にしません。
あくまでこの経歴の中で、相手の方のどこをお手伝いできるか、です。
たとえば私にエンジニアの経験が少しあれば、「私はジュニアで諦めてしまったが、その諦めるポイントもお話しできます」「どういう企業でどういうキャリアを作れるか、うちの会社のメンバーの具体的な話ができます」と、いろいろな観点で広げる必要があります。
鈴木は、回答を次の言葉で締めました。
鈴木:あくまでその方に振り向いてもらいやすいよう、どうAIを使っていくかだと思います。
――大谷:最後に、鈴木様からまとめをお願いします。
鈴木:改めて半田様、渡邉様、貴重なお話をありがとうございました。私も知らない部分がたくさんあり、採用後の領域がそこまで進化しているのか、という発見がありました。
共通して言えるのは、AIの活用はこれから先も含めて不可逆で、やっていくのなら積極的にスピード感を持ってやっていくべきだ、ということです。
我々のような採用プラットフォーム、リスキリングのプラットフォーム、評価・育成の領域も踏まえて、HRプロダクト全体で、これまでになかったデジタル・AIを使った価値創造ができる時代になってきたと感じています。
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ぜひ競争・協創していきながら、必要なサービスを必要な形で取り入れ、データを無駄なく使っていただけたら嬉しいです。
おわりに
エンジニア採用市場が逼迫する中で、AIは「採用」と「育成」の双方をすでに大きく変えつつあります。一方で、3社の実践に共通していたのは、AIに全てを委ねるのではなく、客観的なデータを起点に採用・育成・評価を一気通貫でつなぎ、その周りを人が伴走するという思想でした。
スカウトの個別最適化、スキルの可視化と人事データ分析、リスキリングによる適材配置。アプローチは異なっても、「点を線にする」という考え方は共通しています。自社のどの工程からデータを取り始めるか、まずはその一歩を持ち帰っていただければ幸いです。