RPO(採用代行)の導入事例は、検索すればいくらでも出てきます。ただしその大半は支援会社が自社のために書いたもので、うまくいった話しか載っていません。読み終えても「自社でも同じ結果になるのか」は分からないままでしょう。
実際には、同じ支援を入れても結果は割れます。契約から1ヶ月で1人決まる会社があり、半年動かして誰も決まらない会社もある。どんな課題を抱えた会社にRPOが向くのかという分類自体は、他社の事例集や解説記事にも並んでいます。この記事が足すのは2つです。ひとつは、その課題の型に決着までの期間を実データで対応づけた一覧。もうひとつは、専門職の求人が実際に就職へ変わる比率を、職業別の公的統計から出した数字です。
材料は、株式会社overflowが運営するエンジニア採用サービス Offers の導入事例を使います。offers.jp/cases には2026年9月6日時点で50件の事例ページが社名つきで公開されており、そのうち採用に至った職種と決着までの経過が本文から読み取れる14社を対象にしました。外部がどこまで担ったかは会社ごとに幅があります。スカウト送信と初期対応まで委託した会社もあれば、文面づくりの相談や助言だけを受けて運用は自社で回した会社もあり、求人掲載や人材検索だけを使った会社もあります。事例ページの書き方も一律ではないため、この記事では「代行か自社運用か」の二分では数えていません。人数は、正社員以外の関わり方が含まれることが事例ページから読み取れる場合、その分を除いて書いています。内訳が公開されていない事例では人数を書かず、期間やスピードの記述だけを使いました。雇用形態が明記されていない事例では、入社の事実として本文の記述どおりに書いています。
RPO導入事例の成果は2つの型に分かれる
RPO の導入事例を成果の中身で並べ直すと、大きく2つの型に分かれます。ひとつは工数削減型で、候補者との接点はある程度作れているものの、絞り込みや連絡に手が回らない状態を外部の運用で埋めるものです。もうひとつは母集団形成型で、そもそも要件に合う人と出会えていない状態を、候補者データベースとスカウトで埋めにいくもの。この2分類そのものは目新しいものではなく、上位の解説記事も「RPOが向いている企業の特徴」といった形で似た切り分けを持っています。分かれ目になるのは、その型によって何が成果として現れるかのほうです。工数削減型では自社の作業量の減り方として、母集団形成型では決まった人数と、そこまでにかかった期間として現れます。事例に載っている「導入から◯ヶ月で◯名」という数字は、このどちらの型かによって意味が変わってきました。
工数削減型のわかりやすい例が、株式会社GRI(データサイエンスの受託と自社プロダクトを手がける企業)です。公開されている導入事例によれば、同社は専任の採用担当を置かないまま中堅のデータサイエンティストを探しており、採用戦略の設計支援とスクリーニング、メッセージの代理送付を利用した結果、採用業務の工数が体感で70%ほど抑えられたと回答しています。この70%が表しているのは、同じ母集団に対して自社が費やす作業量の減り方です。候補者の数そのものは動いていません。
母集団形成型の代表がベルベットジャパン株式会社でしょう。同社の事例ページを読むと、英語で海外チームを率いられる日本人エンジニアという要件に該当する人が他のプラットフォームでは見つからず、Offers の契約から約1ヶ月でリードエンジニア1名が入社しています。ここで動いたのは自社の作業量ではなく、出会える相手の集合そのものです。
この2つを区別せずに事例を読むと、判断を誤ります。工数が足りない会社が母集団形成型の事例を見て「半年で1名か、遅いな」と評価してしまう。逆に、母集団が薄い会社が工数削減型の事例を見て「業務を任せれば決まるのか」と期待してしまう。用語の整理と業務範囲そのものは採用代行(RPO)の定義と業務範囲に譲り、この記事では実際の成果の側から型を分けていきます。
事例を読む前に押さえる採用市場の数値
エンジニア採用の難しさは、求人倍率よりも「求人が就職に変わる比率」に現れます。厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年7月分)』参考統計表は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人・求職・就職の状況をとりまとめた業務統計です。民間の人材紹介会社・求人媒体・ダイレクトスカウト経由の分は含まないので、市場全体の充足率ではありません。その条件のうえで数字を見ると、令和8年7月の情報処理・通信技術者は有効求人52,623件に対して有効求職39,193人、有効求人倍率は1.34倍でした。職業計の1.05倍より少し高い程度です。ところが同じ月の就職件数は390件しかありません。同表から算出すると、有効求人52,623件に対して0.74%です。紹介件数は6,732件あるので、紹介から就職に至った比率で見ても5.8%にとどまります。
同じ表の新規の数字を見ると、この構図はもう少しはっきりします。令和8年7月の情報処理・通信技術者は、新規求人18,977件に対して新規求職が6,365人で、新規求人倍率は2.98倍でした。毎月新しく出てくる求人の数に対して、新しく職を探し始める人は3分の1程度しかいない。それでいて、その月にハローワーク経由で就職として成立したのは390件です。募集の側だけが積み上がり、成立の側がついていかない状態が数字に出ています。
民間経路の規模は、別の統計で押さえられます。厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』によれば、有料職業紹介事業による常用就職は令和6年度で888,993件(全職業の合計)ありました。ハローワークの外側にこれだけの成立があることを踏まえても、ハローワーク経路では求人を出すことも応募対応を代行することも、それだけでは席を埋めるところまで届いていません。倍率は「1人あたり何件の求人があるか」を示すだけで、その求人と求職者が実際に結びついたかどうかは示さないためです。専門職の採用では、この結びつきの弱さのほうが実務を止めます。
不足感を示すもうひとつの指標である欠員率は、この直感と逆を向きます。厚生労働省『労働経済動向調査(令和7年5月)の概況』によれば、令和7年5月1日現在の欠員率は調査産業計で3.1%、情報通信業は2.2%で、産業平均より低い水準です。未充足の求人が「ある」と答えた事業所の割合も、調査産業計58%に対し情報通信業は44%。ところが同じ調査の表1にある正社員等労働者過不足判断D.I.を見ると、情報通信業は57ポイントの不足超過で、調査産業計の44ポイントを大きく上回ります。学術研究,専門・技術サービス業の59ポイント、建設業の58ポイントに次ぐ水準で、同資料も「特に『学術研究,専門・技術サービス業』、『建設業』、『情報通信業』で人手不足感が高くなっている」と書いていました。同じ産業でも、欠員率で見るか過不足D.I.で見るかで像が変わるわけです。量として数えた未充足求人は少ないのに、事業所の体感では不足超過が最上位級にある。職種別で見ても専門・技術は不足47%・過剰2%で労働者過不足判断D.I.は45と全職種で最大でした。
なお、この欠員率と未充足求人の系列は、すでに公表が止まっています。厚生労働省『労働経済動向調査(令和8年5月)の概況』の調査概要には、「常用労働者の中途採用の実績及び予定」「常用労働者数」および「未充足求人数」に関する事項は令和7年5月調査をもって調査を終了した、と明記されています。これに伴い、概況からも未充足求人の有無・欠員率・中途採用の実績の掲載が令和7年6月24日公表分で終了しました。2025年5月が最後の数字です。欠員率を根拠に人手不足を語る記事は今も量産されていますが、その数字はもう更新されません。
将来推計についても、流通している通説と一次資料の間にはずれがあります。経済産業省『IT人材需給に関する調査(概要)』の表1は、IT人材の需給ギャップを2018年22万人・2020年30万人・2025年36万人・2030年45万人と置いています。需要の伸びを年2.7%程度、労働生産性の上昇を年0.7%とした中位シナリオの値です。同じ資料には「年3.54%の労働生産性上昇を実現した場合には、2030年時点のIT人材の需要と供給は均衡することが見込まれる」とも書かれており、不足が確定した未来として描かれてはいません。よく引かれる「2030年に最大79万人不足」という表記も、この概要資料には一度も出てきません。ただしこれは別の調査の数字ではなく、同じ資料のシナリオ違いです。表3の高位シナリオ(需要の伸び年約4.4%)では2030年のIT人材需要が192万人、表2の供給が113万人なので、その差が79万人にあたります。中位シナリオを引けば45万人、高位シナリオを引けば79万人で、どちらの前提の値かを添えないと意味が変わってしまう。平成31年4月の公表資料なので、引用するなら年次も要ります。
不足の中身を最も具体的に押さえているのは、情報処理推進機構『DX動向2026』です。ここで注意が要るのは母数と対象で、集計されているのは「DXに取組んでいる」と回答した企業に限られ、設問が問うているのもDXを推進する人材の充足状況です。その範囲で、2025年度調査に「量」が「大幅に不足している」と答えた企業は50.1%となり、2023年度の62.1%、2024年度の58.5%から下がりました。「質」の「大幅に不足している」も58.9%から52.9%へ下がっています。ただし「やや不足している」を含めた合計で見ると、「質」は2024年度の86.1%から2025年度の88.8%へむしろ増えました。同資料の概要も「依然として9割近くの企業が不足を感じており、慢性的な人材不足の状況に大きな変化は見られない」と結論づけています。あわせて、人材像を設定して社内に周知している企業は2割に満たず、評価基準を整備している企業も2割に満たない、と書かれていました。そのうえで「評価基準を設定している企業やスキルを把握している企業ほど不足感が低い傾向があり、特に質の確保において差が大きい」としています。不足感の一部は、自社の側の未整備から来ているわけです。
求める人材への届き方が定まっていない企業のRPO導入事例
求める人材にどう出会うかが社内で固まっていない会社では、RPO の成果はまず要件や訴求の言語化として現れます。誰に何をどこで伝えるかが決まらないまま接触の数だけ増やしても、返信が返ってこないからです。ここに挙げる3社は、いずれも導入の時点で、求める人材への届き方を自社だけでは組み立てられていませんでした。ターゲットの解像度が低いまま探していた会社もあれば、要件は明確なのに該当する人が既存の経路では見つからない会社もあります。
株式会社QuackShift はその典型です。Offers に公開された導入事例では、同社の採用はリファラルのみに偏っており、再現性のある母集団形成ができていませんでした。どのプラットフォームが適切なのか、どうやってターゲット人材にリーチするべきかにも答えがなく、全体として手探りの状態だったと振り返っています。AI領域の開発ではスキルセット自体が短期間で変わるため、要件の見極めも難しい。導入後は定例ミーティングでスカウト文面の改善とターゲット選定の見直しを続け、導入から3ヶ月でプロジェクトマネージャー1名の入社が決まり、半年間で約45名との面談を実施しています。ここで注目すべきは45名という面談数のほうでしょう。採用1名の裏に、その45倍の接点が積まれています。
ベルベットジャパン株式会社は、要件そのものははっきりしていた側です。事例ページによれば、ブロックチェーン領域かつ英語が堪能という条件を軸に探していたものの、該当する人材は他のプラットフォームではなかなか見つかりませんでした。専任の採用担当が不在の状態で、導入初期に募集要項の作成支援を受けたうえでスカウトを開始し、契約から約1ヶ月でリードエンジニア1名が入社しています。読み取れるのは、外部に任せた範囲と自社が動いた範囲がはっきり分かれていたことです。外部が担ったのは募集要項の作成までで、候補者への接触は自社で回していました。スカウト文に代表者のインタビュー記事を添えて反応率を上げ、新着登録者を毎日確認して基本スキルが合っていれば熱量のあるうちにアプローチする運用は、同社が続けています。
株式会社Gaji-Labo の例は、社内に前例のない職種を採用する場面にあたります。公開されている事例では、開発実装を担う人の採用には経験があった一方で、支援範囲を広げるために必要なプロダクトマネージャーは「これから確立していく段階」の職種でした。同社の記述によれば、採用ターゲットの解像度がまだ高くない段階でも担当者から的確な助言を得られました。採用に至った理由として挙げられていたのは、会社の現状と課題を隠さず共有し、そのうえで一緒に取り組めるかをすり合わせたことです。要件が固まっていない職種では、候補者を増やすより先に、自社が何を約束できて何を約束できないかを言語化する作業が要ります。
専門職の母集団が作れない企業の事例
要件に該当する人が市場に薄い場合、決着までの期間は月単位から年単位まで開きます。母集団を作る工程そのものに時間がかかるからです。この型では、決まった人数より「何人と会えたか」「面接の通過率がどう変わったか」を見たほうが実態に近づきます。
株式会社コアソフトの事例は、その数字が細かく開示されている例です。Offers の導入事例を見ると、同社はプロジェクトマネージャーやプロジェクトリーダー、テックリードといったリーダー層の母集団形成に苦戦しており、採用は人事グループマネージャー1名で回していました。AIによるスカウト文面の作成と「気になる」の自動送付を使い、文面はフォーマル寄りとフランク寄りの両方を検証したうえで、中間のトーンが最も反応が良かったと報告されています。結果は導入から8ヶ月でハイクラス層のエンジニア2名。受託開発チームのテックリードと、SES(システムエンジニアリングサービス)チームのプロジェクトリーダーが、それぞれ1名ずつ入社しました。応募は約13件、そのうち要件に合致した3名と面接し、2名が内定を承諾しています。応募13件から2名という歩留まりは、母集団形成型の実像に近い数字です。
株式会社GRI は、母集団の薄さと工数不足が同時に起きていた例にあたります。同社の公開事例では、組織が若手とマネジメント層に偏る砂時計型になっており、その間を支える中堅データサイエンティストが不足していました。求める人物像は投資計画の立案からデータの可視化・分析・施策立案までを担う複合的なもので、求人原稿に落とし込みにくい。導入後は採用戦略のすり合わせによってスクリーニングの精度が上がり、半年弱で入社予定の方が1名決まったうえで、採用業務の工数が体感で70%ほど抑えられました。
株式会社クリアは、経験者に絞った採用で応募の確保に時間がかかった例です。クリアの事例ページによれば、SES事業で経験者に特化した採用を行っており、最大の課題は応募数の確保でした。1件ずつ丁寧にスカウトを送る運用を続け、利用開始から1年弱で即戦力人材の正社員採用に至っています。株式会社クロスビットの事例ページには期間の記述が無く、決着までの長さは読み取れません。同社の事例ページでは、シフト管理サービス「らくしふ」の開発を担うフルスタックエンジニアが必要になり、リファラル中心だった採用に人材検索のフィルタリング機能を組み合わせました。同社は入社したエンジニアを「フルスタックエンジニアのチームを率いて主要な機能を実装」する存在と評し、ほかのエンジニアへの指導やチーム全体のスキル向上への貢献も挙げていました。
同じ構図は、規模の大きい会社でも起きます。株式会社ビットキーの事例ページによると、住宅向けの「homehub」とオフィス向けの「workhub」を開発する約90名の組織を抱えながら、クラウドから組込みまで横断する専門知識を持つ人の採用が長く難航していました。あらゆる採用手法を試した後にリテーナープランを選び、Software Edge Device チームに入社が決まっています。株式会社スタンバイの事例ページでは、設立5年目で採用体制のリソースが不足していた状態から2023年4月に導入し、その2ヶ月後に内定者が決まりました。開発組織が約90名の会社でも、設立から5年目の会社でも、要件に該当する人へ届かないという詰まり方は同じ形で起きています。
ナイル株式会社の事例は、他の手段を一通り試した後の導入という点で共通しています。事例ページによれば、自動車産業DX事業部でハイクラスエンジニアの採用を強化するにあたり、主要な求人媒体もエージェントも動かしていたものの、求める人材像に合致する母集団を作れていませんでした。同社の担当者は、ほかの手段で成果が出ていなかったため「今回も一人も採用できない可能性もあると考えていました」と振り返っています。社内リソースが限られていたため初期フェーズはスカウト送信と初期対応を運用代行に委託し、現在は内製化して運用を続けているとのことでした。結果は正社員1名の採用です。
正社員に近い条件へ絞ると、数字はさらに動きます。同じ『一般職業紹介状況(令和8年7月分)』の参考統計表7-2は、常用のうちパートを除いた集計で、情報処理・通信技術者の有効求人51,741件・有効求職34,555人・有効求人倍率1.50倍・就職件数332件と示していました。パートを含む集計より倍率は上がり、就職件数は減ります。募集する側から見れば競合が増え、決まる件数は少なくなる領域だということです。上に挙げた各社のうち期間が読み取れるのは4社で、2ヶ月から1年弱の幅に収まります。この幅のなかで進んでいるのは、上の条件で採用しているためでもあります。
『DX動向2026』が指摘した「人材像を設定し社内に周知している企業は2割に満たない」という数字は、この型の事例と重ねると示唆的です。上に挙げた各社のうち、株式会社GRI と株式会社スタンバイは、導入後に求める人材像や自社の魅力の言語化を外部と一緒にやり直しています。株式会社ビットキーは同じ工程を導入前に置いており、事例ページでは事前のディスカッションや事例共有を通じて自社ならではの魅力の伝え方を一緒に考えたことを導入の決め手に挙げていました。母集団が作れない原因は市場の薄さだけではなく、探す条件と伝え方が定まっていないことにもある。この3社では、その工程のやり直しが起点になっていました。
これまでの採用のやり方が頭打ちになった企業の事例
ここに挙げる4社は、それまでの採用のやり方だけでは必要な人材に届かなくなった段階で導入しています。リファラル一本で回してきた会社もあれば、エージェントも媒体も並行して動かしていた会社もあり、頭打ちになった地点はそれぞれ違います。律速が自社の作業量にある会社は工数削減型、既存の手段の外に接点が無い会社は母集団形成型で、同じ「行き詰まった会社」でも打ち手は別です。
株式会社スタジオ・アルカナは工数削減型の例で、分担をはっきり書いています。Offers の導入事例にあるとおり、同社の採用業務は2名体制で、どちらも他の業務と兼任していました。導入後は運用代行で候補者の絞り込みからスカウト送信までを委託し、面談時の企業説明と魅力づけだけを自社に残しています。委託した範囲と残した範囲が明確なので、負荷が減った理由も追えます。エンジニア1名が正社員として入社しました。
株式会社日本トレカセンターは、事業成長に開発体制が追いつかなくなった状態からの導入です。同社の事例ページは課題を「実際に実装を担えるエンジニアの数が不足していた」と書いています。開発の要望が増え続けるのに人が追いつかない状態で、足りなかったのは採用工数ではなく開発人員でした。それまでの採用は知人や社内のつながりを通じたリファラルが中心で、外部サービスの利用は今回が初めてです。型としては母集団形成型にあたるので、表でもそちらに分類しました。コード生成の9割以上をAIに任せる体制を作った結果、設計や品質の担保にあたる工程で人の必要性が増したという経緯も記されていました。導入から半年で採用に至り、採用が決まった人の約半数以上が最初の1カ月で決定しています。
HapInS株式会社も母集団形成型で、接点の量を先に増やした例です。事例ページに記載されているとおり、売り手市場で応募が集まらず採用コストも上がっていた状況で、以前のサービスのテンプレートを流用したスカウトでは反応が得られていませんでした。AIによる文面作成機能で受託開発の魅力が伝わる内容に見直し、転職意欲を7段階でとらえるキャリアドリフトモデルにもとづくストーリースカウトを併用したところ、40〜50名と面談できています。2025年11月頃の導入から約半年で、受託開発事業部の正社員2名を採用しました。
株式会社SmartHR の事例は、この章のなかでは例外的な経過をたどります。取材時点は2021年後半で、同社はエンジニアだけで年間30名以上という採用計画を持ち、エージェント・媒体・自社サイト・リファラルを並行して動かしていました。既存チャネルの外に接点を作るための導入だったので、型としては母集団形成型にあたります。それでも初回の6ヶ月契約では採用数が0でした。この経過は次章以降であらためて扱いますが、採用が回っている会社ほど新しいチャネルの運用が後回しになりやすい、という構造がここに出ています。スカウト運用そのものを外部へ寄せる選択肢については、AI RPOの記事に整理しました。
14社の導入事例を課題の型・期間・人数で並べる
業種と従業員規模で自社に近い事例へ飛ばす一覧は、上位に並ぶ事例集がすでに持っています。ここでは軸を変えて、課題の型と決着までの期間で14社を並べました。決まった人数は1回の導入あたり1〜2名が中心です。期間が読み取れるのは14社中9社で、そのうち8社は約1ヶ月から1年弱に散らばり、株式会社SmartHR だけは6ヶ月契約と12ヶ月契約をまたぐためこの幅の外にあります。
企業 | 事業領域 | 課題の型 | 期間 | 成果 | 主に使った支援 | 本文が示す時点 |
|---|
ベルベットジャパン株式会社 | リユース × AI・ブロックチェーン | 母集団(英語で海外チームを率いる人材) | 約1ヶ月 | リードエンジニア1名 | 代行・伴走:募集要項の作成支援(スカウトは自社運用) | 記載なし |
株式会社スタンバイ | 求人検索エンジン | 母集団 + 工数(採用体制のリソース不足) | 2ヶ月 | 内定者1名(取材時点では2ポジションが入社) | 代行・伴走:リテーナー | 2023年4月導入・取材は導入2年後 |
株式会社QuackShift | AI開発 | 母集団(リファラル依存で再現性なし) | 3ヶ月 | プロジェクトマネージャー1名 | 代行・伴走:運用支援の伴走・AIスカウト文面 | 記載なし |
株式会社日本トレカセンター | トレーディングカードのEC | 母集団(開発人員の不足・外部サービスの利用が初めて) | 半年 | 採用者の約半数以上が最初の1カ月で決定 | 自社運用:求人掲載 | 記載なし |
株式会社GRI | データサイエンス・AI | 母集団 + 工数(専任担当が不在) | 半年弱 | 入社予定1名/採用工数を体感で約70%削減 | 代行・伴走:戦略設計・スクリーニング・代理送付 | 記載なし |
HapInS株式会社 | 受託開発 | 母集団(応募不足と採用コストの上昇) | 約半年 | 正社員2名/40〜50名と面談 | 自社運用:AIスカウト文面・ストーリースカウト | 2025年11月頃導入 |
株式会社コアソフト | 受託開発・SES | 母集団(リーダー層) | 8ヶ月 | ハイクラス層のエンジニア2名(テックリード・プロジェクトリーダー) | 自社運用:AIスカウト文面・「気になる」の自動送付 | 2026年4月にテックリード入社 |
株式会社クリア | SES | 母集団(経験者の応募数) | 1年弱 | 即戦力人材1名 | 自社運用:スカウト | 記載なし |
株式会社SmartHR | HR SaaS | 母集団(既存チャネル以外の接点) | 6ヶ月+12ヶ月 | サーバサイドエンジニア1名 | 自社運用:オファー・「気になる」 | 2021年後半 |
株式会社スタジオ・アルカナ | 受託開発・自社プロダクト | 工数(採用担当2名が兼任) | 記載なし | エンジニア1名 | 代行・伴走:運用代行 | 記載なし |
株式会社クロスビット | シフト管理SaaS | 母集団(フルスタックエンジニア) | 記載なし | チームを率いるエンジニアが入社(人数の明記なし) | 自社運用:人材検索のフィルタリング | 記載なし |
株式会社Gaji-Labo | 開発支援 | 母集団(社内に前例のない職種) | 記載なし | プロダクトマネージャー1名 | 代行・伴走:担当者の助言による伴走 | 記載なし |
株式会社ビットキー | homehub・workhub の開発 | 母集団(クラウドから組込みまで横断) | 記載なし | Software Edge Device チーム1名 | 代行・伴走:リテーナー・伴走 | 記載なし |
ナイル株式会社 | 自動車産業のDX | 母集団(ハイクラス層) | 記載なし | 正社員1名 | 代行・伴走:運用代行(RPO)から内製化 | 記載なし |
出所:Offers 導入事例(株式会社overflow・offers.jp の各社ページ・n=14・2026年9月6日時点)。同サイトに公開されている50件の事例ページのうち、採用に至った職種と決着までの経過が本文から読み取れるものを対象とした。期間・職種・成果・支援の内容は各ページの本文から転記している(ページ下部の共通バナーは本文に含めていない)。「主に使った支援」の先頭に付く「代行・伴走」「自社運用」は記事側で付けた分類ラベルで、各ページに出てくる語ではない(コロン以降は各ページの記述からの転記)。外部が担った範囲は会社ごとに幅があり(助言のみ、文面の作成、スカウト送信と初期対応の委託などが混在する)、事例ページの書き方も一律ではないため、この分類で社数を数えることはしていない。雇用形態が複数含まれる案件は正社員として決まった分のみを記載し、内訳が公開されていないもの(日本トレカセンター・クロスビット)は人数を記載していない。ビットキーとGaji-Laboは人数の数値が原文に無いため本文の記述から補い、コアソフトの2名は原文の表現(ハイクラス層のエンジニア)に合わせた。ビットキー・Gaji-Labo・コアソフトは原文が採用した人の雇用形態を明記していないため、入社の事実として記載した(コアソフトは方針として「基本的に正社員の採用を前提としています」と述べているが、2名それぞれについての記載は無い)。「本文が示す時点」は各ページに書かれた日付表記で、14社中10社は時点を示していない。
この表から読み取れることが3つあります。ひとつめは、決着までの期間を分けていたのが課題の型ではなく、候補者に接触してから選考を回す速さだったことです。14社の型の内訳は母集団形成型が11社、母集団と工数の併記が2社、工数削減型のみが1社で、型の違いだけでは期間の差を説明できません。1ヶ月から3ヶ月で決まった3社のうち2社は、原典に接触の速さの記述がありました。ベルベットジャパンは新着登録者を毎日確認して熱量のあるうちにアプローチし、QuackShift は迅速な返信とスピード感のある選考を徹底したと述べています。残るスタンバイは逆に「転職を急いでいらっしゃらない分、決定から入社まで期間が長くなることはありました」と書いており、内定までの速さと入社までの速さは別物でした。決着まで半年前後かそれ以上かかった案件のうち、株式会社GRI(半年弱)・HapInS株式会社(約半年)・株式会社コアソフト(8ヶ月)の3社は、要件や訴求の言語化、スカウト文面の作り直しといった前工程に時間を使っていました。株式会社日本トレカセンターは、導入から半年のあいだでも、決まった人の半数以上が最初の1カ月に集中しています。
ふたつめは、成果の単位が小さいことです。1回の導入で決まるのは1〜2名で、これは事業計画上の採用数とはたいてい一致しません。ただしこの1〜2名は、正社員以外の関わり方が事例ページから読み取れる場合にその分を除いた後の数字である点に注意が要ります。雇用形態を問わない合算値で成果を掲げている公開事例も同じサイトにあり、そちらではもっと大きな人数が並びます。株式会社SmartHR は取材時点の2021年後半にエンジニアだけで年間30名以上を計画しており、その規模の会社にとって、RPO で決まる1名はチャネル全体の一部にすぎませんでした。事例ページから成果を特定できる範囲で見るかぎり、導入の判断は「採用計画を丸ごと満たせるか」より「特定の職種の穴を埋められるか」で下すほうが実態に合います。
接点の量が開示されている3社を並べると、採用1名の裏側の規模も見えてきます。株式会社QuackShift は半年で約45名と面談して1名、HapInS株式会社は40〜50名と面談して正社員2名、株式会社コアソフトは応募約13件から面接3名を経て2名でした。この3社に限れば、面談ベースで20〜45名に1名、応募ベースでは6〜7件に1名という水準です。ただし分子は正社員として決まった分だけで、HapInS株式会社の事例ページは同じ期間に正社員以外の関わり方での参画も併記しています。実際の面談あたりの成立は、この計算より高い水準です。あくまで開示のある3社からの計算ですが、この比率を先に置いておくと、「スカウトを100通送って返信が数件」という段階で運用をやめてしまう判断を避けられます。
みっつめは、工数削減の効果が人数では表現されないことです。株式会社GRIの70%削減や、スタジオ・アルカナが示した工程の切り分けのように、成果が自社の作業量として現れる案件では、採用人数だけを見ると成果を過小評価してしまいます。事例を比べるときは、人数の欄と工数の欄を別々に読む必要があります。
RPOで成果が出る型と出にくい型
RPO で成果が出やすいのは、律速になっている工程がはっきりしている会社です。逆に出にくいのは、何が足りないのかが定まっていないまま業務だけを外に出す会社になります。事例と統計を重ねると、この境目は次の3つで説明がつきました。
第一に、工数が律速になっている会社では、成果が自社の作業量として早く出ます。候補者はいるのに絞り込みと連絡が追いつかない状態は、作業を移せば解消するからです。14社のうち、工数がどれだけ減ったかを数値や工程の切り分けまで書いているのは、株式会社GRI(体感で約70%削減)と株式会社スタジオ・アルカナ(委託した範囲と自社に残す範囲を工程で切り分け)の2社です。負荷が軽くなったという記述自体は QuackShift・ナイル・ビットキー・クリア・スタンバイの事例ページにもありますが、どこがどれだけ減ったかまでは書かれていません。ここでの判断材料は「候補者との接点が足りているか」の一点です。足りているなら、外部委託は投資というより負荷の付け替えに近い。
第二に、接点の作り方が悪いだけの会社も、比較的短期間で改善します。株式会社コアソフトが文面のトーンを複数検証して反応の良い型を見つけた例や、HapInS株式会社がテンプレートの流用をやめて自社の魅力が伝わる文面に書き直した例がこれにあたります。母集団そのものは市場にあるのに、こちらの伝え方が届いていなかった。この状態は、スカウトの返信率という測れる指標で判定できます。
第三に、成果が出にくいのは、要件に該当する人が市場に薄く、かつ自社の人材像と評価基準が定まっていない会社です。ここに業務代行だけを入れても、送る先が増えないので数字が動きません。冒頭の統計がこの状態を裏づけています。ハローワークの業務統計では、情報処理・通信技術者は52,623件の有効求人に対して月の就職件数が390件で、求人を出すこと自体はすでに大量に行われているのに、結びつきはほとんど起きていない。そして『DX動向2026』が示すとおり、DXに取り組む企業のなかでも人材像を設定し社内に周知している企業、評価基準を整備している企業はいずれも2割に満たず、同資料は評価基準を設定している企業ほど不足感が低い傾向にあると述べています。外に頼む前に、自社が何を基準に合否を決めるのかを決める工程が要るわけです。
この見立ては、支援の売り手側からは書きにくい内容でもあります。RPO ベンダーの事例ページに載るのは契約が成立して成果が出た案件だけで、「その会社にはまだ早かった」という判断は事例として公開されません。上位に並ぶ記事が成功例の列挙に偏るのは、書き手の姿勢というより、事例という形式そのものの制約です。
自社がどの型にあたるのか、社内だけでは判断がつかない場合もあります。エンジニア採用に限れば、Offers の AI RPO で現状を相談するところから、候補者データベース上に要件へ該当する人がどれだけいるのかを確かめられます。母集団の厚みが先に分かれば、工数の問題なのか母集団の問題なのかを取り違えずに済むはずです。
RPOの費用を公的統計の実額で押さえる
導入事例のページに費用が書かれることはまずありません。料金体系ごとの相場は各社の説明として流通していますが、出所のある実額として比べられる数字は公的統計から取れます。厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』によれば、令和6年度の常用就職1件あたりの手数料は約103万円で、対前年度比10.9%増でした。この103万円の分子は、手数料収入の合計ではなく、そのうち常用就職に係る手数料である約9,136億円です。有料職業紹介による常用就職888,993件で割ると、この水準になります。手数料収入の合計である約9,835億円には臨時日雇に係る分などが含まれるため、1件あたりの単価を出す分子には使えません。RPO の料金そのものとも別の数字ですが、「1名決まるといくらかかるか」の相場観として、事例に並ぶ1〜2名という成果を金額に置き換える基準になります。
指標(令和6年度) | 値 | 対前年度比 |
|---|
常用就職1件あたりの手数料 | 約103万円 | 10.9%増 |
うち常用就職に係る手数料(103万円の分子) | 約9,136億円 | 16.8%増 |
手数料収入の合計 | 約9,835億円 | 17.6%増 |
常用就職件数(有料職業紹介事業・全職業) | 888,993件 | 5.3%増 |
事業報告を提出した有料職業紹介事業所 | 30,561事業所 | — |
うち就職実績のあった事業所 | 13,946事業所 | — |
出所:厚生労働省『令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)』(令和8年3月31日公表・n=30,561事業所)。
この表の下2行は、事業者選定の重さを示しています。事業報告を提出した有料職業紹介事業所30,561のうち、その年度に就職実績があったのは13,946事業所でした。同表から算出すると45.6%です。半数以上の事業所は、1年間で1件も就職を成立させていません。RPO と職業紹介は制度上の位置づけが違うものの、「看板を出していることと実績があることは別」という点は変わらないでしょう。事例ページを読むときに社名と成果がひもづいて公開されているかどうかを見る価値は、ここにあります。
手数料の水準は、採用単価の判断にも直結します。株式会社クリアの事例ページでは、人材紹介は採用単価が高くなりやすいため、コストと採用数のバランスを見ながら効率的な手法を模索していると述べられていました。HapInS株式会社も、導入の背景として採用コストの上昇を挙げています。1件あたり約103万円という水準が10.9%上がった年に、成果連動ではない料金体系の採用手法をどう組み合わせるかは、実務上の論点として残ります。料金体系ごとの比較は採用代行の費用相場と料金体系にまとめました。
成果が出るまでの空白と失敗の型
株式会社SmartHR の事例ページには、最初に結んだ6ヶ月プランの期間中、採用人数が0だったと書かれています。最終選考まで進んだ候補者は複数いたものの、決まらないまま契約期間が終わりました。同社は「最初の契約期間で私たちがしっかりと運用ができたかというと」そうではなかったと振り返り、あらためて1年間しっかり運用すると決めて12ヶ月契約へ更新しています。更新後はこまめに候補者へアプローチする運用に切り替え、サーバサイドエンジニアの正社員採用に至りました。成果が出なかった契約期間と、そこから立て直した経過の両方が社名つきで公開されている事例は珍しく、契約期間の設計を考えるうえではここが一番の材料になります。
この経過から、失敗の型が3つ読み取れます。ひとつめは運用が回らない型です。候補者との接触頻度が落ちれば、どれだけ良い母集団があっても選考は進みません。エージェントや媒体をすでに複数動かしている会社ほど、新しいチャネルの運用が後回しになります。
ふたつめは、期間の見積もりが短すぎる型です。前章の表のとおり、母集団形成型の案件は半年から1年かかる例が珍しくありません。6ヶ月で判断すると、立ち上がりの遅い案件は成果が出る前に終わります。株式会社クリアの1年弱、株式会社コアソフトの8ヶ月は、いずれも6ヶ月では途中経過にしかならなかった期間です。
みっつめは、要件が言語化されないまま業務だけを外に出す型になります。株式会社GRIは導入前の状況を「人材要件は原稿に落とし込みづらく、当社の魅力も伝えることが難しい」と述べていました。この状態では、代行できる作業が限られます。前章で触れたとおり、人材像や評価基準を整備できている企業はDXに取り組む企業のなかでも2割に満たない。多くの会社が、この工程を飛ばしたまま外部に依頼していることになります。
契約期間の設計そのものにも、この空白は関わってきます。株式会社SmartHR が6ヶ月から12ヶ月へ切り替えたのは、自社の運用を立て直す時間を確保するためでした。導入を検討する段階で「最初の3ヶ月は運用の型づくりに使い、成果の判定は6ヶ月目以降に置く」と決めておけば、同じ空白でも打ち切りの理由にはなりません。判定の時期を先に決めておくことが、空白への備えになります。
空白期間の長さそのものを短くする打ち手もあります。ベルベットジャパン株式会社は新着の登録者を毎日チェックし、プロフィールの記入が不十分でも基本スキルが合えば熱量のあるうちに接触する運用で、約1ヶ月に短縮しました。株式会社QuackShift も、メッセージへの迅速な返信とスピード感のある選考を徹底したと述べています。株式会社コアソフトは面接を原則1回に絞り、優秀な人ほど他社の選考も進むという前提で途中離脱を防ぎました。母集団を増やす取り組みと、決まるまでの工程を短くする取り組みは別の打ち手で、後者は自社だけで着手できます。
自社に近い導入事例の見極め方
導入事例を自社に当てはめるときは、業種や従業員規模ではなく、次の5つで照合すると判断を誤りにくくなります。上位に並ぶ事例集の多くは業種と規模で分類していますが、前章までで見たとおり、成果の出方を決めていたのは課題の型と期間のほうでした。
1つめは、律速がどこにあるかです。候補者との接点が足りていないのか、接点はあるのに手が回っていないのか。前者なら母集団形成型、後者なら工数削減型の事例を見ます。この判定を外すと、期間の見積もりも指標の置き方も全部ずれます。
2つめは、対象職種の市場の厚みです。情報処理・通信技術者のように、ハローワークの業務統計で52,623件の有効求人があって月の就職が390件という水準の職種では、求人を出す量を増やしても結果は変わりません。民間の紹介・媒体を含めれば成立の総数はこれより大きくなりますが、職種単位の需給が薄いという構図は変わらないので、期間を長めに見積もります。
3つめは、自社に人材像と評価基準があるかどうかです。ここが空のまま外部に依頼すると、送る相手を決められないので運用が止まります。『DX動向2026』でDXに取り組むと回答した企業を見ても、この整備が済んでいる企業は2割に届いていませんでした。多くの会社にとっては、ここが最初の作業になるはずです。
4つめは、期間の見込みです。表のうち期間が読み取れる9社は、1ヶ月から3ヶ月で決着した3社と、半年前後から1年かかった5社に分かれました(株式会社SmartHR だけは6ヶ月契約と12ヶ月契約をまたぐため、どちらにも入りません)。前者には候補者への接触と選考を速く回した会社が含まれ、後者には要件の言語化やスカウト文面の作り直しに時間を使った会社が含まれます。自社が後者なら、6ヶ月契約は判断の材料が揃う前に終わります。
5つめは、運用を誰が回すかです。委託する範囲と自社に残す範囲を、スタジオ・アルカナの例のように具体的な工程で切り分けておく。株式会社SmartHR が更新後にやり直したのは、まさにこの部分でした。
この5点を整理したうえで、自社に近い型の事例を持つ支援先を選ぶことになります。サービスごとの業務範囲や料金体系の違いは採用代行サービスの比較にまとめてあるので、選定の段階で併せて確認してください。エンジニア採用について、自社の要件に該当する候補者が市場にどれだけいるのかから確かめたい場合は、Offers の AI RPO の相談窓口で母集団の厚みと想定期間の目安を出すところから始められます。