スカウトを送っても返信が来ない。求人を出しても応募が来ない。その結論を「自社が求める人は市場にいない」で止めてしまっていないでしょうか。
候補者は書類も面接準備もAIで整え、会社探しもAIに相談するようになりました。企業側も求人票やスカウト文にAIを使い始めています。速くなった採用の中で、何を変え、何を変えずに残すべきなのかが問われています。
今回は、Offersを運営する株式会社overflowの岡田、採用サイトと直接採用を支援する株式会社これからの川村拓也様、入社後のキャリアデザインを支援する株式会社ウィルネクストの中山和俊様の3名が、接点・スカウト・入社後の3つの視点から講演し、最後にディスカッションを行いました。
2026年10月7日に開催したOffersウェビナーの内容を、各部の質疑応答も含めてお届けします。
採用相手はより希少な層へ、候補者はAIを使う側へ

岡田:第1部は「AI時代のスカウト戦略」をテーマに、この1年間でAIによって採用の何が変わり、何が変わらなかったのか、その上で「候補者がいない」で終わらせないスカウトをどう組むかを、Offersのデータと実際の案件をもとにご紹介します。
まずは市場の前提です。米国の求人データでは、企業が単純作業をAIに任せて即戦力を採用する方向に寄った結果、シニアに比べてジュニアの求人がおよそ16%減ったというデータもあります。採用の対象がよりハイクラスの層に寄ってきており、日本でも同じ方向に動いていると見ています。
そのハイクラス層では、この1年で新しい呼び方がかなり増えました。顧客の現場に入り込んで実装から成果までを担うフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)、営業からマーケティングまでの収益プロセスを見るGTMエンジニア、全社のAI戦略を統括するCAIOといった職種・役職です。
エンジニアだけでなく、事業サイドから役員レイヤーまで「AI人材」という職種が立ち上がってきています。一方で採用要件を見ると、実装ができる、業務がわかるドメイン知識がある、課題を引き出せる、定着と成果までやりきれるという、これまで別々の方が担っていたことを1名に求めています。
AIで採用が楽になったというより、採用する相手がより希少な層に寄ってきた。これが1つ目の変化です。
候補者は書類も面接準備も、AIで整えてから来る

岡田:2つ目の変化は候補者側です。ある調査では、27年卒の学生の85%が就活でAIを使い、7割がエントリーシートの推敲に使っています。中途採用でも、直近1年間で転職した方の約47%が生成AIを転職活動で使い、用途の1位は職務経歴の作成や添削でした。
企業側も実感しており、学生がAIを活用して就活している実感があるという企業は、2年前の12%から今年は61%まで伸びています。書類も面接の準備もAIで整えてから来る。これが今の候補者の姿です。
Offersの登録者でも同じことが起きています。プロフィールにClaude CodeやChatGPTといった生成AIツールの名前を書いている方の割合は、23年登録の方で5%だったものが、直近26年では約3割まで伸びました。
また、Offersのヘッドハントチームが今年6月から7月に行ったキャリア面談では、「AIに仕事を奪われる」という不安を口にした候補者はゼロでした。約1年前には36%の方がこうした不安を語っていたので、候補者はAIを恐れる側から使う側に回ったと捉えています。
AIが変えたのは速さ。タイミングと「誰を採用するか」は変わっていない

岡田:では、企業側はどこまで変わってきたのか。今年、人事担当者約300名に聞いた調査では、キャリア採用ですでに生成AIを使っている企業は29%でした。使っている、または使いたい業務は、求人票の作成が65%、スカウトメールが56%、選考案内や合否の連絡が42%です。
一方で、応募書類の評価や面接の質問案づくりは3割未満にとどまり、今後も人で対応したい業務の1位は面接で、75%を占めていました。AIが入っているのは今のところ書くところまでで、誰を採用するかの判断はまだ人の手に残っている、というのが私たちの見解です。
ここまでを整理すると、AIで変わったのは速さです。書く・探す・整えるといった作業が速くなり、候補者は書類も面接準備もAIで整えてきますし、企業側も求人票やスカウト文にAIを入れています。
変わらなかったのは、タイミングと、誰を採用するかの2点です。人が動くタイミングはその人それぞれのままですし、スカウトを1通送って返事を待つという構造もそのままです。誰を採用するかを決める仕事も、AIが代わりにやってくれるものではありません。
スピードが上がっても、採用の成果を決めているのはこの2つの方です。ここが詰まったままだと、どれだけ早く送っても「候補者がいない」という結果は変わりません。「候補者がいない」で終わってしまう採用は、この変わらなかった方に手が打てていない、というのが当社の見立てです。
「候補者がいない」で止まらないスカウト。ビットキーのハイクラスエンジニア採用

岡田:ここからは、実際の案件の中身をお見せします。事例として取り上げるのは、株式会社ビットキーさんでのハイクラスエンジニア採用です。
求人を出しても応募が来ない、スカウトを送っても返信が来ない。この半年で、どちらか一方でも感じた方は多いのではないでしょうか。そこから出てくる結論は「自社で求める人は、そもそも市場にいないのではないか」になりがちです。
ここで止まってしまうと、打てる手は求人媒体を増やすか、文面を変えるかしか残りません。どちらも、今動いていない候補者には届きません。ビットキーさんも、まさにこの状態からのスタートでした。
ビットキーさんは開発組織が約90名で、住宅向けとオフィス向けの2つのサービスをSaaSからハードウェア連携まで手掛けています。一番の課題は、IoTプラットフォーム開発を担うチームの採用でした。
IoT製品の開発経験に加え、クラウド・ネットワーク・アプリ開発まで求めており、全レイヤーに精通した人はほとんどいない状況でした。
しかも、メーカー出身の方にはソフトウェア企業に見え、Web系の方には事業領域が広すぎて何をしている会社か伝わらない。エージェントもダイレクトリクルーティングも、試し尽くしていた状況でした。
誰を採用するかを先に決め、1通目で終わらせない

岡田:そこで当社が最初にやったのが、誰を採用するかを先に決めることです。クラウドから組み込みまでを全部やったことがあり、さらにそれを深めたい人。その人に届く言葉は「IoT」ではなく、ハードとソフトの融合であり、暮らしの再定義でした。
もう1つ伺いたいのですが、1通目のスカウトに返事がなかった後、次の候補者に移っている方は多いのではないでしょうか。
Offersのデータでは、スカウトへの返信の約3分の1は、1通目には反応しなかった方が2通目以降の接点で返してくれたものです。ですから、1通目で終わらせないことがビットキーさんの事例でも軸になりました。
具体的には、まず技術本部長の方にディープインタビューを行い、IoT全レイヤー統合の技術的なチャレンジの本質や、活躍している人の共通点を伺い、そこから「ハードとソフトの融合」「暮らしの再定義」「技術的負債への姿勢」など、候補者の関心ごとに複数の切り口を用意しました。
そして候補者の意欲の変化を見ながら、切り口を変えて継続的に届けていく。定例では毎回「状況は変わりましたか」と確認し、新着で登録された方には熱量があるうちに当て続けました。
結果、最難関だったチームに、組み込みからWebアプリ開発まで1人で経験された方が入社されました。エンジニアリングマネジメント室の岸田様からは、「手段を尽くしたと感じている企業様こそ、一度相談してみる価値がある」という言葉もいただいています。
候補者の意欲をスコア化し、送る内容を変える

岡田:先ほど「意欲の変化を見ながら」と申し上げた中身がこちらです。候補者のOffers上での行動を毎日スコア化しています。メールの開封で何点、プロフィールの更新で何点、転職意欲が変わったら何点という形で、候補者の詳細画面にリアルタイムで反映しています。
このスコアを見ながら、今動き始めている方に当たってきました。
スコアに合わせて、何を送るかも変えています。意欲が上がってきている候補者Aさんには、1カ月目に技術トレンドの記事、2カ月目にスキルに合う事例、3カ月目に面談の打診、5カ月目に面談オファーという流れで送りました。
意欲が下がっている候補者Bさんには、ペースを落として見守り、関心が戻ったときに再接触できるようにしています。
いきなり求人票を送るのではなく、会社の物語を少しずつ届けて、その方が動くタイミングで思い出していただく。AIが毎月内容を選び、送信前には必ず人が目視で確認する形にしています。
返信率は同じでも、面談数は1.8倍、成約数は1.5倍

岡田:効果を同じ企業様の中で比べたものがこちらです。当社の専門チームが送った場合と、企業様の担当者の方が直接送った場合の比較で、返信率はほぼ同じですが、面談の創出数は1.8倍、成約数は1.5倍になっています。
差が出るのは、1通目で返信がなかった方へのその後の動きです。専門チームは、その方の意欲が上がったタイミングを見て、切り口を変えてもう一度届けています。一斉に送る量を増やしているわけではなく、同じ方に、動くタイミングで違うストーリーを届け直しているのです。
AIが変えたのは文面を送るスピードですが、成果を変えたのは1通で終わらせないストーリーの構造でした。ビットキーさんの案件でも、この比較でも、同じことが示されています。
明日からできる3つのこと

岡田:明日からできることを3つに絞ってお伝えします。1つ目は、「候補者がいない」を「今動いていない」に置き換えること。母集団は、今動いていない8割の中にあると考えています。
2つ目は、1通で終わらせないこと。同じ方に違う切り口、違うストーリーで続けて届け、動くタイミングで思い出していただきます。3つ目は、誰を採用するかを先に決め、スカウトで伝えることと面接で見ることを同じにすることです。
AIに任せられるのは切り口の生成とタイミングの検知で、人に残るのは誰を採用するかを決めるところです。AIで速くなった分の時間を、誰を採用するかを決めることに回していく。それがAI時代のスカウト戦略ではないかと考えています。
第1部の質疑応答

AIで整えられたプロフィールから、本当の関心をどう見極めるか
――質問:AIで整えられたプロフィールから、本人の本当の関心はどう見極めていますか。
岡田:プロフィールの文面だけでは判断しないようにしています。文面はAIで整えられますが、その方の行動まではAIで整えられません。スコアリングという形で、メールを開いたか、プロフィールを更新したか、転職意欲が変わったかを見ています。
ここでわかるのは、今動き始めているかどうかです。何に関心を持っているかは、スカウトの切り口で確かめていく、見極めていくことになります。
スコアが上がったとき、スカウトのどこを変えるのか
――質問:キャリアドリフトスコアが上がったタイミングでは、スカウトのどこを変えているのか知りたいです。
岡田:文面の言い回しではなく、お願いする行動です。先ほどの候補者Aさんの場合、1カ月目はトレンドの記事、2カ月目はスキルに合う事例と情報提供を続け、スコアが上がった3カ月目に面談の打診に切り替えています。変えるのはこの部分です。
同じ人に送り続けると、しつこいと思われないか
――質問:同じ人に送り続けると、しつこいと思われないか心配です。頻度や間隔の目安はありますか。
岡田:基本的には、1カ月に1通の形です。候補者Bさんのように意欲が下がっている方には、ペースを落として見守ります。しつこいと感じられるのは、同じ文面が続いたときでしょうから、毎回違う切り口にして、同じ内容を送らないことを大事にしています。
返信率が同じなのに、なぜ面談数が1.8倍になるのか
――質問:返信率は直接送る場合と変わらないのに、面談数が1.8倍になっているのが気になりました。返信の後、面談につなげる段階で何か工夫をされていますか。
岡田:1つは、先ほどの1通目で返事がなかった方への届け直しです。意欲が上がったタイミングで切り口を変えてもう一度届けるので、返信率は同じでも、その後のファネルの転換が良くなります。
もう1つは返信の後のスピードです。返信をいただいてから面談の候補をお返しするまで、専門チームは間を空けずに対応しています。候補者の方の温度が下がる前に対応できていることが、ポイントになっています。
スカウトと面接で伝えることを、面接官とどう揃えるか
――質問:スカウトと面接で伝えることを揃えるために、面接官とはどうやって認識を揃えている、または揃えるべきか、お考えを伺えたら幸いです。
岡田:本日の総括の3つ目にも挙げたとおり、スカウトで伝えることと面接で見ることを同じにするのが、揃えるべきポイントです。やり方としては、誰を採用するかを1枚にまとめることです。
ビットキーさんの場合は、技術本部長の方へのインタビューがそのままその1枚になりました。あわせて、その方がどの切り口に反応したかを面接官の方に渡していくと、スカウトで魅力づけできたポイントと面接で聞かれる話の整合性が上がり、ずれていきません。
自社の採用に行き詰まり、直接採用に舵を切った

川村様:第2部は「『見つけてもらう』から『届けにいく』へ 転職潜在層に効く採用サイト導線とAI活用」というテーマでお届けします。AI時代に加えて、今は超売り手市場でもあります。この時代に有効な採用の導線とは何かを、改めて考えていただくきっかけにしていただければ幸いです。
株式会社これからは2012年1月に立ち上がり、今15期目の会社です。私は代表の今泉と一緒にこの会社を立ち上げたメンバーで、3人で始まった会社が今は200名程度で展開しています。普段は私も採用する側で、採用戦略を考え、新卒の説明会や面接にも入っています。
当社のホームページを見ていただくとECという文字が多く出てくるとおり、もともとはネットショップの支援をしている会社です。売れるサイトを作り、集客し、コンサルティングをして売上を上げる。それが創業ビジネスです。
そんなEC支援の私たちが3年ほど前から採用の支援を始めたきっかけは、自社の採用に行き詰まったことでした。エンジニアなども採用しなければならず、エージェントやスカウトも使っていましたが、採用単価がどんどん上がっていき、これはしんどいなと。
そもそも私たちはサイトを作るのが得意です。売れるサイトが作れるのだから、採れるサイトも作れるのではないか。集客も得意なので、求職者の方々も集められるのではないか。そう考えて本気でやり始めたら、採用の状況がガラッと変わりました。
今では使っていた媒体などをほぼすべて解約し、自社の採用サイトから直接入ってくる方々で、毎年数十人に入社していただいています。そのやり方を今はサービス化してお届けしており、すでに300社ほどにご導入いただいている状況です。
実績もお伝えすると、この期間で新卒は150人ほどに入社してもらい、採用単価は10万円を切っています。中途も40万〜50万円ほどで着地しました。私たちのやり方でもだんだん上がってはきていますが、相場よりかなり抑えて人が採れる状況を作り出せていて、再現性もあります。
選ぶ時代から選ばれる時代へ。応募前に9割が採用サイトを見る

川村様:マーケットの現状は皆さんもご存じのとおりで、中途の採用単価は100万円を超え、新卒も最大で100万円を超えました。いろいろな悩みがありますが、とどのつまりは競争が激化し、コストが増大していることが一番の悩みではないでしょうか。私たちもそうでした。
主な採用手法を整理すると、掲載型、スカウト型、検索型、エージェント、そして直接応募の5つです。採用サイトから直接たくさん入ってくれば、そもそも他の手法をやる必要はありません。入ってこないから何をやろうかという思考になりますが、「何をやったら採れるのか」という考え方自体、少し他責だと思いませんか。
それよりも自社の採用力をしっかり磨き込めば、直接入ってくる可能性は十分に出てきます。直接応募の一番のネックはエントリーが入ってこないことですが、この後で解決策をお話しします。
ここでクイズです。90.3%は何の数字か。答えは、求職者が応募前に企業側の採用サイトを見る割合です。当たり前に思われるかもしれませんが、コロナ前ぐらいまではそうではありませんでした。
従来は媒体などで情報収集し、職種やエリア、業種などの条件で気になる会社を見つけて、たくさん受ける時代でした。買い手市場だったので、たくさん受けないと受からなかったのです。就職氷河期、リーマンショック、東日本大震災と、求職者側が不利な状況が日本では長らく続きました。
ところがコロナ後、状況はガラッと変わり、今は超売り手市場です。内定をもらいやすい時代になり、求職者は吟味して好きな会社に入りたいと考えます。エージェント経由でも何でも、サイトを見に行って「いい会社だな」と思った会社しか受けません。
私たちのところには「同じように媒体に掲載しているのに、ここ数年でエントリー数が20〜30%減った」という相談がよく来ます。媒体が悪くなったわけでも、求職者が何十%も減ったわけでもありません。減ったのは、1人当たりのエントリー数です。
昔は、採用サイトに何も書いていなくても、媒体に求人票を出しておけば人が来ました。今は来ません。会社側が人を選ぶ時代から、求職者に選ばれる時代に変わり、選ばれないとそもそもエントリーが入ってこないのです。
見られて、知らないうちに離れていく「ステルス離脱」

川村様:情報が足りないと感じて離れていく求職者がいるというデータもあります。私たちはこれを「ステルス離脱」と呼んでいます。皆さんがいろいろな施策で知ってもらっても、採用サイトを見て「なんか違うな」と思われ、知らないうちに離れていってしまうのです。
採用サイトは、それだけ見られているということです。ここをしっかり作り込んでおかなければいけません。
AIで会社を探す求職者が増え、公式サイトの情報が推薦の根拠になる

川村様:もう1つ、ここ1年でプラスアルファの話があります。AIで会社を探す人が非常に増えました。1年前の10月のデータでは、AIで会社探しをする人は17%でしたが、今年の3月には70%になっています。今はもっと増えているでしょう。
自分のプロフィールを読ませた上で、どんな会社が合いそうかをAIに調べさせるのは当たり前の流れです。そのときに自社が出てくるかどうかが、非常に大事になります。
結論から言うと、AIが何を一番の正しい情報として扱うかというと、公式サイトの情報です。co.jpのしっかりした採用サイトであれば、どんな人が働いているか、どんな制度があるかは間違いのない情報として、一番読み込まれます。
裏を返せば、採用サイトでしっかり情報発信さえしておけば、AI経由で人が来ます。当社の27卒では、AI経由で4名の応募がありました。
学生からの知名度はゼロに等しい会社ですが、AI経由でエントリーが入ってきます。「どこで知りましたか」と聞くと「AIで出てきました」と。大企業ではない中小企業の皆様にとって、これは大きなチャンスです。
エントリーが入る採用サイトの8項目

川村様:では、AIは何をもってその会社を推薦するのか。少しアバウトに言えば、人が見て「いい会社だな、エントリーしたいな」と思える情報が発信されているサイトです。AIも同じ視点で見ますから、つまり中身のコンテンツが大事だということです。
3年前に採用支援を始めたときは、AIのことはあまり意識していませんでした。人が見てエントリーしたくなるサイトをどう作り込むかを、数百サイトにわたって研究し尽くし、たどり着いたのがこの8つの項目です。
これを深掘りして整えておけば、AIが見ても「あなたにはこの会社が合っているのでは」と紹介してくれる流れになっています。
一番大事なのは、求職者に向けた「採用コンセプト」

川村様:一番大事なのは、私たちが「採用コンセプト」と呼んでいるものです。ファーストビューで、どんな人を募集しているのか、どんな現場で、どんな会社なのかという、求職者向けのメッセージが届けられているかどうかが問われます。
よくあるのが、ミッション・ビジョン・バリューや会社の理念が採用サイトの上に大きく載っているケースです。あれはステークホルダー向けのメッセージで、求職者に選んでいただくための「こんな会社だから、こんな人に来てほしい」というメッセージとは別物で、これでは届きません。
どんな人に届けるのかというペルソナを考えるところから、私たちの場合は市場調査までやります。どのメッセージなら入ってきてほしい人たちに選んでもらえるかを作り込んでから発信します。「なかなかいい人が来ない」という会社に限って、どんな人に来てほしいのかを発信していないのです。
その他の項目にも少し触れておきましょう。会社の雰囲気は、サイトのデザインで直感的に伝えられます。セカンドビューで伝えるのは、キーメッセージを補足する「なぜなら」の文章です。
そこまでできて初めて、どんな人が働いているのか、実際の制度はどうなっているのかを見てくれ、最終的に募集要項を見てエントリーに進みます。
制度は、昔はなくてもエントリーが入っていましたが、今は非常に見られるところです。これがしっかり作り込めれば、サイトを変えただけで成果が出せます。当社のお客様では、もともとエントリーが入ってこなかった会社で1000%といった数字になっているところもあります。
まず見てから受けるかどうかを決める時代なのに、そこを放置している会社がいかに多いか。ここを本気で作り直すのが、今の売り手市場・AI時代に一番いいと考えています。
SNSで転職潜在層に届けに行く

川村様:サイトを作っても、そもそもアクセスがほぼゼロという会社もあるでしょう。そういう会社のために、サイトに人に入ってきてもらう「Chokusai」という仕組みを提供しています。SNS上で、AIに「こんな人が欲しい」と読み込ませると、そういう人を探してタイムラインなどに求人の広告を出してくれます。
気になった人はポチッと押してサイトに入り、エントリーする。クリック課金で、1クリック数百円です。顕在層以外にも、転職をどうしようかと考えている人たちはたくさんいます。狙った人のタイムラインに出てきて、「ちょっといいかも」とサイトを見て、良さそうなら受けてみる。この流れが今は作れます。
まずここを軸として持った上で活動していただきたいのです。いきなり全部を切り替えるのは難しいので、理想は1〜3年ぐらいかけて直接採用の割合を増やしていくことです。ちなみに当社はリファラルもあるのでその分を除くと、8〜9割が直接採用になっています。
どうしても足りない分は、これまでどおり媒体やスカウトを使ってください。まず自分たちの採用力を高めれば採用単価をグッと落とせますし、何より、入りたいという人たちが採用サイトを見て能動的に入ってくる。質のいい方々が入ってくる仕組みが作れるのです。
第2部の質疑応答

とりあえず転職サイトに登録している層は、どんなきっかけで動き出すのか
――質問:とりあえず転職サイトに登録している層は、どんなきっかけで実際に動き出すと分析していますか。
川村様:先ほどの直接表示のやり方だと、普段SNSを見ているときに出てくるので、「そういえば、ちょっと今考えてもいいかな」という人がポチッとして入ってきます。タイミングもあります。会社で何か嫌なことがあったときに出てくると、ポチッと入ってくるわけです。
ガチガチに動いていない層にも、転職を考えている人はたくさんいます。そういう人に「うちはこんな会社です」と表示させ、認知させておいてあげること。それが今日のテーマの「届ける」で、動くきっかけになるのではないでしょうか。当社の仕組みでは、クリックされなければ無料で表示させ続けることができます。
AIに自社を推薦してもらうために、どんな対策をすればいいか
――質問:AIに自社を推薦してもらうためには、どのような対策を行うのでしょうか。
川村様:先ほどお話しした8つの項目をしっかり深掘りして書いておくのがポイントです。あとは、AIが読み込みやすい一問一答方式など、記述の仕方もあります。詳しく知りたい方はお問い合わせいただければご説明しますが、基本は8つの項目をしっかり深掘りして書いておくことが一番です。
採用コピーの検証で一番クリックされたものは、応募の質にも差が出たか

――質問:採用コピーの検証テストで一番クリックされたものは、クリックだけでなく応募の質にも差が出たのでしょうか。
川村様:検証してマーケット調査をし、一番良かったものを採用コピーとして採用していきます。一番クリックされる人気のあるキーワードは、その先の採用率も非常に良くなり、いろいろなところにプラスアルファの効果が出てきます。
自分たちが欲しい人たちに刺さるように、コピーをしっかり考えていくことが大事です。第1部でも似たお話がありましたが、何を伝えるかで、どんな人が反応するかが決まります。ここが一番大事です。
採用サイトの重要性を、社内にどう浸透させるか
――質問:採用サイトの重要性を社内に浸透させる方法はありますか。理解が得られず、なかなか進みません。
川村様:「作ったって人は来ないでしょう」とよく言われますよね。今日の資料を見せて、9割の求職者が採用サイトを見ていること、作り込めばAIからも入ってくることをしっかり説明してみてください。それでもピンとこない経営者の方がいらっしゃれば、どう説得するかも含めて、ぜひご相談いただけると嬉しいです。
入社後に熱量が下がるのは、本人の意思が現場に引き継がれていないから

中山様:overflowさんとこれからさんには、認知を拡大して応募を獲得するまでをお話しいただきました。私のパートでは、その先の入社後に主体的に活躍するための「キャリアデザイン」についてお話しします。
ご参加の皆様は採用に携わっている方が多く、特に中途採用を扱っている方が大多数でしょう。中途は新卒よりお金も工数もかけているからこそ、採れた方が早期に活躍できるか、早期離職させないか、長期で活躍してもらえるかが、重要な指標の1つになっているのではないでしょうか。
現場配属後、「入社時はやる気に満ちていたのに、数カ月で覇気がなくなった」「即戦力として入ってきたのに、思ったほど活躍してくれない」といった声が、人事に上がってきませんか。
これは人事の方が悪いわけでは全くなく、設計の問題だと考えています。本人の意思と与えられている役割が一致しておらず、ギャップが生まれている。いわゆるやる気スイッチが押せていない状態が続いているのです。
なぜ起きるのか。選考面接のタイミングでは、候補者は自分を悪く思われたくないので、大きな目標や「御社だからこそこれを成し遂げたい」といった話をされます。ただ、それが入社後に配属先の上司に伝わっているかは、ブラックボックスになっているケースが多いのが実情です。
面接シートや評価シートを共有している企業様は多いことと思いますが、上長がそれをきちんと見ているか、読み込んだ上で育成に活かせているかはブラックボックスです。これが解消されなければ、本人の意思を知っている人が社内でゼロになる。そうなると、本人の意思と任されている仕事のギャップは埋められません。
ですから今日は、「本人の意思と任せる役割の接続が、早期活躍の鍵」というメッセージをお伝えします。この後の話はほぼこの一言に尽きるので、ぜひこの言葉だけ持ち帰ってください。
言語化・接続・継続の3ステップ

中山様:中途採用では、足りない部門に追加で人を配属するため、業績を伸ばすために新しい人材を採用するといった、いわゆる配属先ありきの採用が多いのではないでしょうか。
会社の計画上仕方のない部分もありますが、これを続けると本人の意思が結びついていない採用になり、入社後のギャップにつながって早期活躍しにくい状況が生まれてしまいます。
では、本人の意思と役割を結びつけるにはどういうステップを踏めばいいか。それが言語化、接続、継続の3ステップです。選考の場では本人が何をやりたいのかを聞けていても、現場に配属されたタイミングで接続がなされていない。
そして人事の手元を離れると、OJTで育成するだけで終わり、最初に定めたキャリア目標に向かっているかの確認がなされないことが多いのです。
言語化:本音を聞きたい時期と、本音を言えない時期が重なっている

中山様:言語化が重要なのは、自分が何をやりたいのか、なぜこの会社を選んだのか、この会社で何を成し遂げたいのかが言語化されていないと、どんな役割を任せればギャップが生まれないのかがわからないからです。
ただ、言語化は簡単ではありません。1on1でよくある失敗が、「何がしたいの」「最近どう」といった抽象的な質問ばかりしてしまうことで、これでは本音はなかなか引き出せません。
一番難しいのは、部下の方自身も何を成し遂げたいのかを言葉にできていないことが往々にしてある点です。面談では、具体的な過去の経験や感情の深掘りが非常に重要になります。
さらに、本音を引き出せるタイミングは限られています。入社直後は、本人のモチベーションが高く、選考で言語化をしていた段階なので本音を引き出しやすい時期です。人事としては、入社から3カ月の間がキーポイントになります。
一方で個人の観点では、入社直後は試用期間中で、評価も気になる時期です。5年先、10年先にこうなりたいという目標があっても言い出しにくく、副業でもっと稼ぎたい、将来は独立も考えているといったことは、試用期間中にはまず言いません。人事が本音を聞きたい時期と、本人が本音を言えない時期が重なっているのです。
では、個人が内発的動機を深掘りしていくにはどうすればいいか。AIの普及もあり、ChatGPTやClaudeで壁打ちをしている方も多いのではないでしょうか。
AIと1人で深掘りする方法もあれば、社内の上司や先輩を頼ることも、企業が費用をかけられるなら社外の専門家との機会を設けることもできます。それぞれにメリットとデメリットがあります。
接続:言語化した内容と、今の仕事をつなげる

中山様:言語化に加えて特に気をつけていただきたいのが、この後の接続と継続です。この2点ができていない会社さんは多いのです。
せっかく引き出した本人の意思を活かさないのは非常にもったいないとはわかっているものの、活かし方がわからないという方も多いでしょう。本人の意思と、これから与えられる役割をつなぎ止めることこそ、人事が特に気をつけるべきお仕事の領域だと考えています。
例えば、マネジメントレイヤーは忙しくて大変そうだから、一社員として長く働いていきたいという方に、「少数精鋭の営業チームで、とにかく上を目指して頑張ってください」という役割を与えれば、大きなギャップが生まれます。かといってその役割を任せず、他の仕事に回すのは企業側としてリスクです。
ここで人事の手腕が問われます。その方の価値観をさらに深掘りすると、「チームの仲間と協力・連携して成果を出したい」「仲間から信頼され、信頼できるチームで働きたい」といった価値観が、おそらくいくつか出てきます。これがその方のやる気スイッチにつながる原動力です。
そうであれば、「少数精鋭チームだからこそ、仲間一人ひとりと信頼関係を築くことが非常に重要で、信頼関係があるからチーム全体で成果を出せる。だからこそ、あなたにこの役割が合っていると思う」とつなげてあげる。これが非常に重要です。
継続:役割の広がりに合わせて、意思の変化を見続ける

中山様:配属時に接続して終わりではありません。配属されて半年、1年と経つと、当初のKPIよりさらに上の目標を与えられるケースはよくあります。まさに役割の広がりです。
それに合わせて、最初に言語化した価値観やこれからやっていきたいことも、往々にして変わっています。タイミングを見計らって定期的に、目標が変わっていないか、ポジティブにどう変化したのか、ネガティブにどう変化したのかをウォッチしていただくことが非常に重要です。
こうして意思と役割を常に密接につなぎ続けることで、人事の皆様が一番欲しいとされる、自分の意思で行動変容できる自立型人材の育成を目指せるのではないかと考えています。
活躍は行動の変化で見る

中山様:育成系のサービスを扱っていると、人事の方からよく聞かれるのが、「結果はどうやって見極めればいいのか」という質問です。結論として、一人ひとりの育成に取り組んだからといって、1カ月後や半年後に売上が大きく上がる、定着率が大きく変わるといったことは、めったにありません。
見ていただきたいのは、主体的な行動が増えているかどうかです。細かな変化ですが、一つひとつの積み重ねが、結果的に大きな収益や利益を生み出すことになります。こうした観点を見落とさずに見ていただくのが良いでしょう。
サービスの導入を考える際には、現場の時間が取れるのか、結果をどう測ればいいのか、現場マネージャーをどう説得すればいいのかと悩まれるのではないでしょうか。スライドに説明の仕方を記載していますので参考にしていただき、必要であれば、私が同席して社内の方にお話しすることも可能です。
入社時のオンボーディングとして、新入社員全員がセッションを受ける

中山様:事例を1つご紹介します。ヘルスケア領域の急成長スタートアップで、入社したタイミングで新入社員全員に当社のサービスを1人ずつ受けてもらう、オンボーディングの一環としての取り組みです。
アンケートも取っていますが、サービスを運営してわかってきたのは、内省を自分でできる人は少ないということでした。
特に顕著に出ているのが「自己理解が深まった」という結果で、「具体的な行動変容ができるので同僚に勧めたい」「利害関係がないので話しやすい」「価値観を仕事上での適性に当てはめることができた」といった声もいただいています。
導入いただいた担当者の方からも、「オンボーディングとして仕組みができたことで、価値観やライフビジョンがわかり、組織づくりの解像度を上げられた」というお声をいただきました。
もう一歩大事にしなければいけないのは、外部がずっと入り続けるのではなく、その企業が内省できる仕組みをどう作れるかです。この会社に私たちが介在しているのは入社後1カ月ぐらいのタイミングだけで、その先は会社さん自身が実装できる状態を作るために、どうフォローアップするかを一緒に練っている段階です。
改めてまとめると、入社時の意思は現場に引き継がれていないケースが多いので気をつけてください。現場に対しては言語化・接続・継続のステップで、繰り返しが重要です。個人の主体性の変化は行動として、長期的には成果として組織に還元されるので、そこへの費用対効果を惜しまずに割いていただくのが良いでしょう。
第3部の質疑応答

選考で聞いた意思を、何をどんな形で現場に渡せばいいか
――質問:選考で聞いた意思が配属先の上司に渡っていないというお話に共感しました。選考記録の何を、どんな形で現場に渡せば良いでしょうか。
中山様:形は企業様によって変えて全く問題ありません。選考シートをそのまま渡してもいいですし、オンライン面接の録画を渡すのでも大丈夫です。重要なのは、上司の方がそれにきちんと目を通せる環境を整えられているかどうかです。
ただ「候補者の結果です」と渡すだけでは、合否が気になるだけで終わってしまいます。何が評価されていて、この人はどうありたいのかを見た上で育成してください、という形で渡せているか。何を目的として見てもらうかの目的設定だけが重要なので、そこを詰めていただければと思います。
定型業務が中心の職種でも、意思につながる部分は見つかるか
――質問:定型業務が中心の職種でも、業務の様子が意思につながる部分は見つかるものでしょうか。
中山様:営業のように目標やインセンティブがあれば、バリバリ活躍してお金を稼ぐという形がわかりやすいですが、事務作業はルーティンになりがちだ、というお話ですよね。それでも、意思につながる部分は十分にあります。
意思は、活躍して偉くなりたいというものだけではありません。人に感謝されたいというのも1つの意思です。何を原動力にその人が頑張れるか次第なので、一人ひとりの何が原動力になるのか、何がやる気スイッチにつながるのかを、ぜひ言語化で探ってみてください。
会議での発言や相談が増えたといった変化を、人事はどう把握・記録すればいいか
――質問:入社後の活躍を判断する上で、会議での発言や相談が増えたといった変化は、人事としてどのように把握・記録していけば良いでしょうか。
中山様:当社のキャリアデザインプログラムでは、個人の意思を言語化してレポートとして納品していますが、その際に必ず「現場の育成に活かしてください」とお伝えしています。レポートは綺麗にまとまっているほど、一人歩きしやすいものだからです。
会議での発言や相談が増えたといった変化は、上司から積極的に上がってくるものではないので、人事の方から取りに行っていただきたいのです。
こういう対話をして、こういうキャリアを描きたいと言っていた人が今どんな状況なのかを、半期の評価面談など、半年に1回、1年に1回でもいいので、具体的に現場とコミュニケーションを取ってください。
現場マネージャーが忙しいと言う場合、最低限どのくらいの時間が必要か

――質問:現場マネージャーから忙しくてそこまで手が回らないと言われた場合、最低限どのぐらいの時間を取れば効果がありますか。
中山様:忙しさの度合いによります。1on1をお願いして無理だと言われても、「1回15分でいいので、隔週で持てませんか」と相談してみてください。それも無理なら10分でも5分でもと、時間を短くしたり頻度を落としたりして、本当に取れないのかを探っていただくのがいいでしょう。
人事の方も現場の方も、面談や1on1には30分以上、1時間以上かけなければいけないという固定観念を持たれていることが多いので、短くても、頻度が少なくてもいいということをきちんと伝えてあげることが重要です。
AIで候補者の動きが変わっても、あえて変えないこと

中山様:ここからは3名でディスカッションを行います。最初のテーマは「AIで候補者の動きが変わっても、あえて変えないと決めているものは何か」です。岡田さんからお願いできますか。
岡田:第1部では、AIで変わったのは速さで、変わらなかったのはタイミングと誰を採用するかだとお話ししました。お二人のお話を聞いていて、これからさんの採用コンセプトも、ウィルネクストさんの本人の意思も、結局は人が先に決めるという話なのだと感じました。
スカウトに関して言えば、変えていないのは誰を採用するかと、その人に届く言葉を人が決めることです。文面を書く、候補者を探す、送るタイミングを見るといったところはAIに任せています。一方で、送る前に人が目を通すところは候補者に届く部分なので、当面そのままにしておくものだと整理しています。
川村様:AIの時代になっても、発信する企業が「うちはこういう会社で、こんな人に入ってきてほしい」ということを端的に伝えられるかどうか。これはAIがどうこうという以前に、情報発信をしっかりしようという話です。
「本当にいい人が来ない」と言う会社は多いですが、入ってきてほしい人の定義を決めて、ペルソナを設計して、その人たちに刺さるメッセージを打ち出せていますか、と。これはコロナ前からずっと言っていることで、それができる企業がAI時代でも結局強いのではないでしょうか。今も昔も変わらないと考えています。
中山様:私はもともと採用RPOの会社にいた人間で、当時から顧客に「採用はマーケティングと一緒だ」とよく話していました。認知を拡大するところから始まり、自社を好きになってもらって応募につなげ、選考の中でどれだけ意欲を上げられるか。やっていることは、おおよそ変わっていません。
ただ、そこにoverflowさんのようなAIを活用したスピードや、これからさんのような打ち出し方、AIを使った分析を掛け合わせて、認知拡大から応募につなげていくことが非常に重要なのだと、候補者獲得については感じました。
入社後については、AI時代かどうかに関係なく、役割を一方的に割り振るのではなく意思とつなげて与えてあげることが重要だとお伝えしたいです。
一番大きな変化と、AIに任せて逆効果だったこと

中山様:次のテーマは「候補者が会社探しも自己分析もAIでする時代に、各社の領域で起きた一番大きな変化と、AIに任せて逆効果だったこと」です。また岡田さんからお願いします。
岡田:一番大きな変化は職務経歴です。以前のように書類を読むだけでは差がわからなくなったのが一番の変化です。整った書類が上がってきて、今この人が何に関心があるのかといった動きが読めません。Offersの場合は、行動のスコアで見ていかないと捉えられなくなってきたというのが1つの変化です。
中山様:AIが普及し始めた頃は、AIで書いた文面だと見てわかるものが多かったですが、最近は非常に自然になってきていますね。川村さんはいかがでしょうか。
川村様:一番大きな変化は、AI経由で人が来る時代になったことです。これは明らかに違います。候補者の方々はAIと壁打ちしながら、こんな条件でどこがいいかとアバウトに探していますが、それ経由で当社には本当にかなり入ってきています。
直近でもインターンの学生に「なんでうちを知ったの」と聞いたら、「普通にAIに聞いたら出てきました」と。
それも結局、こちらが発信しないとAIもキャッチアップできないので、しっかり発信していきましょうという話です。AIに任せて逆効果だったことは、私はあまりピンときていません。
当社がAIに任せきれていないのかもしれませんが、AI面接なども全く導入しておらず、面接のところは人がまだやった方がいいと考えています。
当社は採用数が年に数十人なので、まだ人で対応できる規模です。大企業さんであれば当然使った方がいいでしょう。よく「みんなAIで履歴書を整えてきて書面上は良く見える、どう対処するのか」という話題を見かけますが、昔から一緒ではないかと思っているのです。
私の就活は20年前ですが、就活が大好きで、履歴書やESを作り込んでいたタイプでした。昔から作り込んでいる人は作り込んでいたので、そこは普通に見極めていこうというのは変わらないと思います。
入社後の領域では、AIとの壁打ちだけでは新しい価値観に気づきにくい

中山様:入社後の活躍・育成の場面で言うと、スライドに書いている「ひとりで」のデメリットのところです。AIはビッグデータから出てくる回答しかないのが本質だと捉えています。
自己分析のためにAIと壁打ちする方は多いですが、その方が過去に話した内容から出てくる言葉しかないので、新しい価値観に気づきにくくなっているのではないでしょうか。
困ったことというより、そういう時代なのでしょう。自分の強みに本当に気づけていない方が多いというのが、面談をしていての個人的な実感です。AIとの壁打ちも大事ですが、それ以上に外部の人間と関わる機会を設けていただくことが非常に重要だと考えています。
おわりに
中山様:本日はご参加いただきありがとうございました。私のパートでは入社後の活躍についてお話ししましたが、皆様の明日からの行動や育成の設計に役立つ情報があれば幸いです。
岡田:川村様、中山様のお話を伺い、通じるところが多々あると感じました。私からのメッセージとしては、AIで速くなったところを、ストーリーや誰を採用するかといったところに使っていただければと思います。
川村様:私たちが推奨しているのは、自社でしっかり採る直接採用です。日本の採用マーケットは今、採用単価が100万円を超える異常な状態ですが、みんなが自分たちの採用力を高めてマッチした人が入ってくるようになれば、採用単価も全体的にぐっと下げられ、日本のマーケット全体にいい効果を出せると思います。
皆さんと一緒に採用力と情報発信を高めて、日本を元気にしていきたいと考えています。