週2時間かかっていた採用数値の集計が、10分になりました。ビザスクが採用管理システムを乗り換えた後に語った変化です。
提供元が公開する導入事例から、導入前と導入後を数字で書いている10社を選び、1つの表に並べました。事例の数字で確かめると、減ったのは候補者の登録、数値の集計、面接の日程調整という事務の時間です。10社のうち8社は中途採用で別の製品から乗り換えた会社です。ただしこの比率は、筆者がどの事例を表に入れたかで変わります。同じ日に取得しながら表に入れなかった事例には、乗り換えの事例も、表計算ソフトや紙から導入した事例もあります。導入する会社全体の傾向とは読まないでください。
応募数や採用経路まで変わった会社は4社あります。4社とも、浮いた時間か媒体との連携などの機能を、スカウトや自社サイトからの応募、紹介会社との連携に使っていました。
どれも提供元が選んで公開した事例で、数字には担当者の実感が混じります。導入して数字が悪化した会社は入っていない前提で読むと、判断を誤りません。
10社の導入前と導入後を1つの表で見る
製品は、ハーモス採用(HRMOS)とペルソナ(PERSONA)の2つです。各社の事例ページにある導入前と導入後の記述を要約して並べ、数値は原典のまま載せました。
企業 | 製品 | 導入前 | 導入後 |
|---|
アイシン | HRMOS採用 | 書類選考から面接オファーまで1週間程度 | 1〜2日 |
ふくおかフィナンシャルグループ | HRMOS採用 | 人材紹介会社経由が7〜8割 | 4割 |
WyL | HRMOS採用 | 人材紹介会社経由の採用が7割 | 5割弱 |
日鉄鉱業 | PERSONA | 紹介から1次面接の日程確定まで1週間〜1週間半 | 2〜3日(体感) |
ビザスク | PERSONA | 数値の集計に毎週2時間 | 10分 |
リノベる | PERSONA | 数値の加工に毎回1時間以上 | 20分程度 |
メルディア | PERSONA | 手動登録に毎日最大1時間 | ほぼゼロ |
一休 | PERSONA | 日程調整を目視とメールで実施 | スムーズな案件で1/3強の削減 |
Quest Research | PERSONA | 集計の手作業の修正に毎週1時間ほど | 20分程度(体感) |
Skillnote | PERSONA | 候補者登録を手作業で実施 | 事務作業の80〜90%がなくなった(実感) |
出所:「HRMOS採用 導入事例」「PERSONA 導入事例」の各社ページ(10社・2026年9月26日確認)をもとにOffers集計。
同じ条件で測った比較ではありません。自社に当てはめるときは、数字の大きさより「どの作業の時間が減ったか」を見るほうが実用的です。
減ったのは登録・集計・日程調整の3つの事務
10社が数字で示した変化を作業の種類で分けると、次の4つに収まります。
変化した作業 | 数字で示した会社 | 社数 |
|---|
候補者の登録・入力 | メルディア・Quest Research・Skillnote | 3社 |
数値の集計 | ビザスク・リノベる・Quest Research・一休 | 4社 |
日程調整と選考期間 | アイシン・日鉄鉱業・一休 | 3社 |
採用経路・応募数 | ふくおかフィナンシャルグループ・WyL・リノベる・メルディア | 4社 |
出所:上の10社の事例ページにある数字を、Offersが作業の種類ごとに数え直した。
Quest Researchや一休のように、2つの作業で数字を出した会社もあります。ビザスクの「日程調整と数値分析の効率化で月に24時間の工数削減」は2つを合わせた数字で、日程調整だけの数字は無いため、集計の行にだけ数えました。上の3行はどれも事務の時間で、面接や合否の判断にかかる時間は含みません。
候補者の登録は「ほぼゼロ」になった
登録の時間が減った3社は、求人媒体やスカウト媒体からの応募を手で打ち込んでいました。
PERSONAのメルディアの事例では、手動登録だけで毎日最大1時間を使っていました。乗り換え後、手動の作業はほぼゼロです。
Quest Researchの事例は、スカウト媒体5〜6のうち自動連携できるのが半分程度でした。残りは1人あたり10分かけて手入力し、毎月3時間弱になっていた作業がゼロになりました。
Skillnoteの事例では、候補者登録にかかる事務作業は、80〜90%がなくなったという実感です。
数値の集計は4社とも20分程度までに縮んだ
集計の時間が減った4社は、いずれも前のシステムの集計に手作業が残っていました。
ビザスクの事例では、書き出したデータ(CSV)のダウンロードとExcelでの加工に毎週2時間かかっていました。乗り換え後は10分です。分析に触れられるのが実質2名だった状態から、採用担当者全員が数字を見られるようになりました。
リノベるの事例では、前のシステムの集計の型が固定されていて、加工に毎回1時間以上かかっていました。乗り換え後は20分程度です。リノベるはHRMOS採用の事例一覧にも社名が載っていますが、PERSONAの事例は乗り換え元の製品名を書いていません。Quest Researchも、報告用の数字合わせが毎週1時間ほどから、体感で20分程度になりました。
一休は、導入前に週に数時間かけていた集計が、導入後はほぼゼロになりました。集計が短くなると、歩留まりを見て手を打つまでの間隔も縮みます。段階ごとの通過率の置き方は採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方で扱いました。
日程調整が縮むと、選考期間も縮む
日程調整の時間が減った会社では、選考にかかる日数も短くなっています。
HRMOS採用のアイシンの事例では、書類選考から面接オファーまで1週間程度かかっていました。カレンダーとの連携で日程調整の手間が減り、1〜2日で展開できるようになっています。初期選考のリードタイムは約5分の1です。
日鉄鉱業の事例では、中途採用の選考がトータルで3か月ほどかかっていました。「もう他社で決まりました」という辞退も数多く出ていたそうです。導入後、紹介を受けてから1次面接の日程が決まるまでが、1週間〜1週間半から体感で2〜3日に縮んでいます。12月下旬に公開した求人が2月頭に内定まで進み、実質1か月程度で決まった職種もありました。
一休の事例では、日程調整の工数がスムーズな案件で1/3強減りました。調整が難航する案件は、体感で10から1になったと語っています。
応募数や採用経路まで変わった4社
採用管理システムが減らすのは事務の時間で、応募そのものは増やしません。応募や採用経路が変わった4社は、浮いた時間か、媒体との連携などの機能を集客に使っていました。
企業 | 変わった数字 | 浮いた時間や機能の使い先 |
|---|
ふくおかフィナンシャルグループ | 人材紹介会社経由が7〜8割から4割、スカウト経由が4割 | 現場の担当者が月100〜200件のスカウトを送る体制と、スカウト媒体の自動連携 |
WyL | 人材紹介会社経由の採用が7割から5割弱、自社サイトから今年度37名 | 求人を作成してWebに公開し、媒体の無料枠からの応募も自動で取り込む |
リノベる | 応募数が前年比約1.4倍、連携媒体が1社程度から5〜6社 | カジュアル面談やスカウト |
メルディア | 応募数が前年比2倍 | 紹介会社への紹介促進施策、求人の見直し、採用広報 |
出所:4社の事例ページ(2026年9月26日確認)の記述を並べたもの。
金融グループの事例では、人事の採用担当2名で毎月約400名の母集団に対応しています。そのうえで現場主導のスカウトを広げ、紹介会社経由の比率を半分近くまで下げました。
メルディアは、PERSONAが無ければ、今の採用規模をこなすために担当をあと1〜2名増やす必要があったと語っています。比べている相手は、以前から使っていた別の採用管理システムのままだった場合です。管理を仕組みに任せ、空いた人手を候補者と出会う側へ振り向けた形です。
ただ、ふくおかフィナンシャルグループ、リノベる、メルディアの3社は、社内の担当者がスカウトや紹介会社とのやり取りを増やして集客を進めました。WyLは自社サイトと媒体の無料枠からの応募で紹介会社経由の減少分を埋め、リノベるも連携媒体の追加を要因に挙げています。事務を減らしても、候補者と出会う量を増やす手はまだ人が打つ必要があります。
その部分を外部と分担する手段の1つが、Offers の AI RPOです。母集団の形成から候補者への接触までを、AIと担当者で分担して進めます。応募を待たずに候補者へ接触する設計は母集団形成とは?応募を待たない中途採用の設計で扱いました。
乗り換えは10社中8社で、比率は事例の選び方に左右される
10社の導入前の状態を見ると、中途採用で別の採用管理システムを使っていた乗り換えは8社でした。ただしこの比率は、筆者がどの事例を表に入れたかで動きます。同じ日に取得した提供元5社の個別の事例ページ34件のうち、表に入れたのは10件です。外した24件のうち、選んだ時点で外した理由を記録していたのは8件だけでした。
外した事例には乗り換えの事例もあります。たとえばフォーシーズの事例は、以前は大手の採用管理システム(ATS)を5〜6年使っており、乗り換え後は媒体連携で週6時間以上の工数が減りました。一方で、表計算ソフトや紙などから導入した事例も外しています。例を4社挙げます。
企業 | 製品 | 導入前の管理手段 | 事例にある変化 |
|---|
Nitto(日東電工) | HRMOS採用 | 別の用途のシステムの一部流用、表計算ソフト、メール、紙の評価 | 応募数が1.5〜2倍 |
鎌倉新書 | HRMOS採用 | スプレッドシート、カレンダー、チャット、メール共有、業務アプリなどのツールの行き来 | 評価確認や日程調整などの時間を80%削減、応募数2倍 |
マクアケ | HRMOS採用 | スプレッドシート | 人材紹介会社からの紹介数が約2倍 |
オークファン | PERSONA | スプレッドシートと無料のATS(以前は大手のATSを使っていた時期もある) | 業務量が体感で3分の1 |
出所:各社の事例ページ(2026年9月26日取得)。
鎌倉新書とマクアケの掲載は2023年2月ですが、事例に書かれた導入と成果は2018〜19年のものです。
Nitto・鎌倉新書・マクアケの3社は、中途採用向けの採用管理システムからの乗り換えではありません。外した事例をどう加えるかで、乗り換えの比率は上にも下にも動きます。採用管理システムを入れる会社の大半が乗り換えだという意味には読めません。
残る2社のうち、ふくおかフィナンシャルグループは表計算ソフトと紙からの導入です。日鉄鉱業は、中途採用を紹介会社とのメールや各社専用のシステムで回しており、事例で語られる「以前の採用管理システム」は中途採用では使っていなかったため、中途の乗り換えには数えていません。一休は、他社製のシステムからの乗り換えです。
8社が挙げた前のシステムへの主な不満は、次の6つに分けられます。1社で2つ以上に当たる会社も含めた数です。
乗り換えの理由 | 挙げた会社 | 事例に書かれていた内容 |
|---|
欲しい数字が出ない | リノベる・Quest Research・ビザスク・一休・WyL・アイシン・Skillnote | 数字をすぐに見られない、実態どおりに数えられない、分析機能が一部しか使えないなどで、手作業の集計や修正に時間を取られていた |
媒体と連携できない | メルディア・Quest Research・Skillnote・リノベる・ビザスク | 連携できない媒体の応募を手で登録していた |
選考フローを変えられない | アイシン・WyL・リノベる・Quest Research | 応募前の面談の追加、工程の省略、自社の工程名など、自社のフローを固定の工程に載せられなかった |
料金 | メルディア・リノベる | 料金の見直し、コスト増への課題感が移行のきっかけになった |
権限を細かく分けられない | WyL・Quest Research・ビザスク | 求人や項目ごとに閲覧の範囲を分けられず、情報の共有に手間や懸念があった |
日程調整に手間がかかる | 一休・ビザスク・アイシン | 目視とメールでの調整、50個以上の日程調整リンクの管理、カレンダーと連携できないことによる連絡の往復 |
出所:8社の事例ページに書かれた導入前の課題を、Offersが6つに分類し直した。
最も多いのは「欲しい数字が出ない」
8社のうち7社が挙げた不満で、中身は主に「数字をすぐに見られない」と「自社の選考の実態と、システムの数え方が合わない」の2つです。Skillnoteのように、契約プランによって分析機能が一部しか使えなかった会社もあります。
Quest Researchでは、リファラル経由の候補者がいきなり最終面接に進むことがあります。前のシステムは選考ステップを飛ばせず、報告のたびに実態と合わない数字を手で直していました。
リノベるは、前のシステムの集計の型が固定されていて、欲しい数字を出すたびにデータを加工していました。ビザスクは、数字をタイムリーに見られないことを課題に挙げています。
連携と工程の不満は、採用の拡大で表に出る
媒体と連携できない不満は、使う媒体が増えるほど手入力が膨らみます。Quest Researchは5〜6媒体のうち半分程度が手入力でした。
工程の不満は、採用のやり方を変えたときに出ます。アイシンは紹介会社に加えてスカウトを始め、応募前にカジュアル面談を入れるようになりました。従来のシステムは応募から入社までしか管理できず、この工程を載せられなかったといいます。
WyLの事例では、昨期45名程度だった採用を、今期は年間200名規模へ広げる計画でした。旧システムでは選考の通過率が出せず、どこで詰まっているかが見えなかったため、拡大が本格化する前に乗り換えを決めています。
移行にかかった期間は1か月から1か月半
乗り換えの負担として気になるのが移行の期間です。事例に期間が書かれていたのは2社でした。
リノベるは約1ヶ月、新旧のシステムを並行して動かし、その間に社内マニュアルと設定の調整を済ませています。Skillnoteは週1〜2回の打ち合わせを重ね、約1ヶ月半で移行を終えました。
導入や乗り換えの前に、1週間でやる3つのこと
10社の事例から逆算すると、比較表を見る前に自社の数字を持っておくのが近道です。
1. 3つの事務に使った時間を1週間記録する
登録・集計・日程調整のそれぞれに、1週間で何分使ったかを担当者ごとに書き出します。
事務 | 記録すること | 製品で確かめる機能 |
|---|
候補者の登録 | 手で入力した件数と、1件あたりの分数 | 使っている媒体すべてと自動で連携できるか |
数値の集計 | 報告用の数字を作るのにかかった時間 | 自社の選考の数え方のまま数字を出せるか |
日程調整 | 1件の面接が決まるまでの往復の回数 | カレンダーやWeb会議ツールと連携できるか |
メルディアの毎日最大1時間、ビザスクの毎週2時間のように、導入前の数字があれば、導入後の効果を同じ物差しで比べられるはずです。
2. 今後増える選考工程を書き出す
アイシン・WyL・リノベる・Quest Researchは、固定の工程に自社のフローが収まらないことを乗り換えの理由に挙げていました。応募前の面談やスカウト経由の選考など、半年以内に増えそうな工程を書き出し、デモで登録できるかを試しておきます。
3. 浮いた時間の使い先を決めておく
応募数や採用経路まで変わった4社は、浮いた時間か連携などの機能の使い先が決まっていました。1で記録した時間のうち何時間をスカウトや紹介会社との連携に回すかを、導入前に決めておきます。
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