リファラル採用の紹介報酬は、自社が就業規則や賃金規程で金額を決めて、紹介した社員に支払うものです。人材紹介会社に支払う手数料とは、支払う相手も金額の決まり方も異なります。
2026年9月に公表された最新の企業調査は、紹介報酬の実際の金額に加えて、報酬額の差と友人を紹介した社員の比率(友人紹介率)の間に明確な相関は見られないという分析結果を示しました。本記事では、この調査データと職業安定法の条文をもとに、相場と適法な報酬設定の要件を確認します。
リファラル採用の報酬相場は平均12万1,806円
紹介報酬の平均金額は121,806円、中央値と最頻値はともに100,000円です。株式会社TalentX「2026年版 リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート」が2026年9月8日に公表した調査で、対象は同社へ問い合わせ・相談をした企業を中心とする法人企業2,073社、調査期間は2025年1月から2026年7月末までとなっています。
指標 | 数値 |
|---|---|
平均金額 | 121,806円 |
中央値 | 100,000円 |
最頻値 | 100,000円 |
リファラル採用の実施率 | 70.5%(2018年調査時点は41.7%) |
出所:株式会社TalentX「2026年版 リファラル採用の実施状況に関する企業規模・業界別統計レポート」(2026年9月8日公表・2,073社)。
この数字は、業種・企業規模を問わない全体の平均です。職種やポジション別の相場を示す公的な一次統計は見当たらないため、自社の予算を組むときは、まずこの金額を出発点にし、採用の難易度に応じて増減させる形が現実的です。予算感を判断する軸としては、自社の採用単価と比べる方法もあります。
リファラル採用の報酬は「人材紹介の手数料」とは別の仕組み
リファラル採用の紹介報酬と、人材紹介会社に支払う手数料は、しくみが異なります。前者は自社が社内規程で決めて社員に支払う金額、後者は人材紹介会社に支払う手数料で、厚生労働省の集計では常用就職1件あたり平均約103万円です。
項目 | リファラル採用の報酬 | 人材紹介会社の手数料 |
|---|---|---|
支払う相手 | 紹介した自社の社員 | 人材紹介会社 |
金額の決め方 | 自社が就業規則・賃金規程で決める | 上限制手数料(厚生労働省令で定める種類・額)または届出制手数料(人材紹介会社が厚生労働大臣に届け出た手数料表)(職業安定法第32条の3第1項) |
相場 | 平均12万1,806円 | 1件あたり平均約103万円(全職種平均) |
出所:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(2026年3月31日公表・常用就職に係る手数料)。
たとえば人材紹介で1人採用すると、令和6年度の全職種平均だけで手数料は約103万円になります(前年度比+10.9%)。リファラル採用の報酬は自社の規程で決める金額で、TalentXの調査の平均12万1,806円は、人材紹介の1件あたり平均を大きく下回る水準です。職種別の手数料の実額は人材紹介の費用、職種別の1件あたり実額と課金モデルにまとめています。
報酬額の差と友人紹介率に明確な相関は見られない
TalentXの調査は、インセンティブ金額の多寡と、友人を紹介した社員の比率の間に、明確な相関が見られなかったと分析しています。この調査では、報酬制度の有無や金額の差による、友人を紹介した社員の比率の大きな変化は見られませんでした。
同社はこの結果について、報酬は紹介数を直接増やす手段ではなく、社員に制度を思い出してもらうための「きっかけ」として機能していると分析しています。金額を引き上げるより、紹介しやすい仕組みを整えるほうが、紹介行動には結びつきやすいという見方です。
TalentXは、紹介にかかる工数の負荷や求人・企業情報の共有不足を採用現場の課題に挙げています。同社が自社のリファラル採用サービスの機能として提供しているのは、紹介の手順の簡素化や、紹介した社員への感謝の仕組みです。金額だけを見直す前に、こうした運用の入り口を点検すると、報酬制度の効果を測りやすくなります。
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