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十分な手間をかけて新卒社員を獲得しても、すぐに離職してしまうと、時間とコストの無駄になってしまいます。特にエンジニアは優秀な人材の獲得が困難なので、離職につながる理由を知っておき、対策を練ることが大事です。有効な離職防止策を解説します。
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新卒社員の離職状況
(出典)https://www.pexels.com/
まずは新卒社員の離職状況を確認してみましょう。自社の離職率を全体の水準と比較することで、取るべき対策が見えてきます。
3年以内に離職する人は全体の3割程度
厚生労働省による「新規学卒者の離職状況」調査によれば、2000年以降、新卒で入社後に3年以内に離職するのは全体の3割ほどで、わずか1年以内に辞めてしまう人も1割程度いるのが実態です。どの業界でも新卒社員の早期離職に悩んでおり、多くの企業がさまざまな対策を講じている状況です。
基本的に勤続年数が長くなれば、それだけ離職率が低くなります。従って、できるだけ新人が離職を選択しない環境を構築することで、優秀な人材に長く活躍してもらえる可能性が高まります。自社に人材を定着させる施策を打ち出すことが重要です。
IT業界の新卒社員の離職率は?
厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、IT業界(情報通信業)の離職率は近年、10%前後で推移しており、他の業界に比べて決して高い水準ではありません。むしろ成長著しい業界で常に人材を求めている企業が多く、全体として人手不足の傾向があり、業界を離れる人よりも入職者の方が多いのが現状です。
しかし他の業界と同様、入社後すぐに離職してしまう人材は一定数いるのに加えて、企業によっては人材の早期離職に悩むところは決して少なくありません。IT業界の中でもとりわけエンジニアは人材の獲得競争が激しく、優秀な人材の確保が難しいため、早期離職の多い企業は早急な対策が求められます。
出典:雇用動向調査|厚生労働省
新卒の人材が離職する理由は?
(出典)https://www.pexels.com/
新卒で入社した人材が早期に離職してしまう理由としては、主に以下の点が挙げられます。給与をはじめとした待遇面の不満をはじめ、仕事内容や労働環境が合わないと感じて離職を考える人が多く、人間関係のストレスから辞めたいと感じている人も少なくありません。
給与をはじめとした待遇に不満がある
給与をはじめとした基本的な待遇や、福利厚生の不満から離職を決意する新人は多くいます。事実、離職理由のランキングでも、多くのメディアで給与や福利厚生の問題がトップクラスに挙げられており、経済的な不安から早々に転職を考える人も珍しくありません。
また、求人票に記載されていた賞与(ボーナス)が実際には満額もらえなかったり、残業代が満足に出なかったりしたことで、離職を決意する人もいます。
採用後に不満を持たれないように、求人票の内容は実態を正確に記載するのに加えて、面接時に待遇面の説明をする際には、誤解を与えないように注意する必要があります。
仕事内容が合わないと感じる
業務内容のミスマッチも、新卒の人材が離職を決意する代表的な理由です。入社前に想定していた仕事を任せられなかったり、実際にやってみて自分には合わないと感じたりする新人は多く、より自分に合った役割を求めて転職を考える人は少なくありません。
特に優秀な人材ほど目指すべきキャリアが明確になっている傾向にあり、入社して数カ月程度でも、自らの能力を十分に発揮できないと感じると、辞めてしまう可能性があります。
過酷な労働環境で仕事を続けられない
長時間労働や休日出勤の多さなど、労働環境の不満から離職を決意する人も多くいます。全体としてみれば一般的な環境だとしても、人によっては過酷だと感じるケースもあるでしょう。
ワークライフバランスを重視する人にとっては、働き方が合わないと、より自分に合った環境を求めて早々に転職を検討する場合があります。
労働環境に関してはすぐに変えられるものではありませんが、残業や休日出勤が続くような状況では、新人のみならず、中堅の社員も離職してしまう可能性があるでしょう。特に、エンジニアはプロジェクトの状況によって勤務時間が長くなりがちなので、十分なケアが必要です。
人間関係でストレスを抱えている
業界・業種を問わず、人間関係のストレスから離職を決意する人も目立ちます。新人だけではなく、あらゆる年代で人間関係のトラブルが離職につながる傾向にあるので、定期的に社員と面談の時間をつくったり、相談窓口を設けたりするなど、企業としてできる限りの対策をすることが重要です。
また、エンジニアをはじめ、仕事で理不尽な目に遭わされて辞めてしまう人もいます。社員が気軽に相談できる体制を整えるとともに、特定の社員に過度な負担がかかっていたり、業務において不公正が生じていたりする場合は、早急に改善しましょう。社員の配置換えが必要なケースもあります。
エンジニアに多い離職理由
(出典)https://www.pexels.com/
次に、エンジニアに多い離職理由も紹介します。エンジニアは優秀な人材が多く、採用市場は基本的に売り手有利の状況です。以下のように望むキャリアが実現できなかったり、自分の技術を生かせなかったりする場合、転職を選ぶエンジニアも多いので注意が必要です。
望むキャリアが実現できない
現状では思うように技術やスキルを伸ばせず、自分の望むキャリアが実現できないと感じて、早期に離職するエンジニアは決して少なくありません。
成長できる環境がないと、優秀な人材ほど早期に離職を考える傾向もあります。新人が積極的に自らのスキルを伸ばして活躍できるように、企業としてサポートに注力しましょう。
エンジニアに成長の機会を与えるには、充実したトレーニングプログラムに加えて、できる限りプロジェクトに参加させる体制づくりが重要です。新人に対しては、適宜先輩の社員がフォローできるようにしておきましょう。
自分の技術を生かせない
新卒を含む新人のエンジニアでも、それまで培ってきた技術を職場で生かせないと感じると、別の職場を求めて離職する可能性があります。現状のプロジェクトに興味を持てず、他社の環境に魅力を感じるため、転職してスキルアップしたいと考える人も見られます。
エンジニアに限らず定期的に転職で職場を変える人もいるので、早期離職を完全に防ぐのは困難でしょう。しかし上記のように、新人が自らスキルアップできる環境を整えるとともに、それまで培ってきたスキルを存分に生かせる仕事があれば、やりがいを感じて長く活躍する可能性を高められます。
新卒の離職防止のためにすべきこと
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新卒社員の離職を防止するためには、以下のように労働環境や人材の教育制度などを見直すのに加えて、社員が任意のやり方でスキルアップできる体制を整備することが重要です。さらに必要に応じて、管理者や先輩社員がサポートできる体制を構築しましょう。
労働環境や教育制度などを見直す
まずは現状の労働環境や、新人に対する教育制度を見直してみましょう。社員一人一人の働きに見合った報酬を与えるのはもちろん、公正な人事評価ができているか確認することも重要です。社員のワークライフバランスに注目し、無理なく働ける環境の整備に力を入れる必要があります。
また、社員の自己実現を促し、望むキャリアの実現をサポートするための教育制度を整えましょう。エンジニアの場合は、OJTやOff-JTを充実させるとともに、定期的に外部の研修なども取り入れると効果的です。
なお、若手エンジニアの育成方法に関しては、以下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてください。
若手エンジニアの育成方法6選。育成課題やポイントについて紹介 | Offers HR Magazine
社員がスキルアップできる体制を整備する
社員が自らの意思でスキルアップできる体制の整備も必要です。新卒の社員に対しては、一般的に新人研修を通じて、業務に必要な知識や技能を身に付けてもらいますが、その後も継続的に学べる環境を用意することが大切です。
例えば、定期的に自由参加の勉強会を開催したり、研修やセミナーを受けられるようにしたりすれば、キャリアアップに積極的な社員ほど参加するでしょう。一人一人が任意のタイミングで学習を進められる、eラーニングを導入するのもおすすめです。
社員のスキルアップを促す方法はさまざまですが、社員から意見を聞きながら施策を検討し、評判のよかったものをブラッシュアップしていくとよいでしょう。
適宜社員をサポートできる体制を構築する
社内のコミュニケーションを活性化し、適材適所の人材配置を心掛けることで、社員が伸び伸びと働ける環境を構築することも重要です。さらに日常的にストレスを抱えがちな社員のために、相談窓口の設定や定期的な1on1の実施など、管理者や人事部門がスムーズにサポートできる体制を整えましょう。
新卒の場合は、いわゆるメンター制度の導入も有効です。業務経験が豊富な社員に新人をサポートしてもらうことで、新人は業務上の不明点や疑問点をスムーズに解消できるとともに、職場への定着率の向上が期待できます。
メンター制度に関して詳しくは以下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてみましょう。
メンター・メンティー制度とは?制度の役割や目的、定着のポイントを解説 | Offers HR Magazine
離職防止策を成功させるために
(出典)https://www.pexels.com/
新卒社員の離職防止策を成功させるためには、まずは自社の現状を正確に把握した上で、適切な対策は何かを検討しなければいけません。加えて採用段階でミスマッチを防止する工夫も必要です。
自社の現状を正確に把握する
まずは、自社の社員がどういった理由で離職に至っているか、明確にする必要があります。さまざまな離職防止策が考えられますが、本質的な原因と時宜に合った施策でなければ十分な効果は望めません。
的外れな施策に時間とコストを費やしてしまわないように、まず社員に時間をかけてヒアリングをするなど、現状を把握するようにしましょう。人事部門だけでは調査が難しい場合も多いので、各部門の管理者やプロジェクトリーダーなどと連携することも大切です。
採用段階でミスマッチを防止する
採用の段階でミスマッチを防止することも重要です。採用段階でミスマッチが回避できていれば、自社の価値観や方向性・企業風土に合った人材に長く活躍してもらえるようになります。
ミスマッチを防ぐには、自社が採用すべき人材を明確に定義するのに加えて、書類選考や面接時に客観的に応募者を評価できる仕組みが必要です。特にエンジニア採用の場合、人事担当者が技術面を正しく評価できない可能性があるので、現場のエンジニアの協力を得るようにしましょう。
採用のミスマッチを防ぐための要件定義の方法に関しては、以下の記事で解説しています。こちらも参考にしてみましょう。
採用要件を定義しよう。採用のミスマッチをなくすための設定方法 | Offers HR Magazine
新卒の離職を防止して定着率をアップする
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新卒の社員が離職する主な原因としては、待遇面や仕事内容・労働環境への不満や人間関係などが挙げられます。さらにエンジニアのような技術職の場合、キャリアアップが難しい環境や、それまでの経験やスキルを十分に生かせない状況が離職につながる可能性があります。
優秀な人材の早期離職を防ぐために、まずは労働環境や教育制度を見直すとともに、社員が自らの意思でスキルアップできる体制を整えましょう。社員を適宜サポートできる環境も必要です。
同時に複数の施策を実行するのは困難なので、まずは何が原因で離職が発生しているのか調査した上で、本質的な問題を解決できる施策を検討する必要があります。各部門の管理者やリーダーと協力しながら、一つ一つ取り組んでいきましょう。
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