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エンジニアの評価には、具体的な数値や指標を用いるKPI(重要業績評価指標)の考え方が役立ちます。さまざまな職種の評価や育成に活用されているKPIの基本とともに、設定すべき指標などを確認しておきましょう。KPI設定時の注意点なども解説します。
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エンジニアの目標設定のポイントは?
(出典)https://unsplash.com/
エンジニア教育では、評価対象となるエンジニア自身に目標を設定させ、その達成のために自分なりに工夫してもらうことが重要です。組織としての目標だけではなく、個人目標も設定してもらいましょう。
組織目標に加えて個人目標も設定する
エンジニアの目標設定は、組織として達成してもらいたい目標(事業目標)だけではなく、エンジニア自身が身に付けたいスキルや、経験などに関する目標(個人目標)も設定してもらうことが重要です。
多くの企業では、事業目標をエンジニアに伝えて、それを達成するために努力してもらいますが、それだけではエンジニアの仕事へのモチベーションは上がりません。
自らスキルアップを図ろうとするエンジニアも増えないため、一人一人が目指す立場やキャリアなどを明確にしてもらい、それに向かって自ら努力できるように、個人的な目標を定めてもらう必要があります。
エンジニアの個人目標の設定が必要な理由
個人目標の設定は、エンジニアの仕事へのモチベーションの維持に加えて、人材育成の観点からも、非常に重要な意味を持っています。
エンジニア自身が目標を設定することにより、新たな知識やスキルを獲得するインセンティブが自然に生まれ、一人一人が優先順位を付けて行動しやすくなるでしょう。さらに業界のトレンドや、今後注目されるスキルなども身に付ける機会を持てるので、組織として最新の流行を取り入れた開発が可能です。
目標の設定・評価にはKPIが欠かせない
エンジニアの目標設定には、具体的な数値や指標を用いて、達成度を測るKPI(重要業績評価指標)の考え方が欠かせません。KPIを導入することで、行動の客観的な評価が可能になり、一人一人が向き合うべき課題や身に付けるべきスキルなども明確になります。
タスクの進行状況も定量的に判断できるので、実行と改善を繰り返すことで、業務の進め方やアプローチが最適化されていきます。結果として、組織全体のパフォーマンスの向上が実現できます。
そもそもKPIとは?
KPIとは「Key Performance Indicator」の略語で、日本語では「重要業績評価指標」と訳されています。KPIは仕事の生産性や目標の達成度などを測るのに役立つ考え方であり、エンジニアの育成や評価に限らず、さまざまな職種の業務運営に導入されています。
人材評価に役立つのはもちろん、エンジニアの場合は開発プロジェクトの進行評価や成果物の品質、作業の効率性などを評価するためにも、KPIの考え方が活用されるのが一般的です。目標設定や評価基準を設定する上でも、KPIは必要不可欠であり、多くの企業が導入しています。
エンジニアのKPIマネジメントのメリット
(出典)https://unsplash.com/
KPIの考え方をエンジニアのマネジメントに取り入れるメリットとしては、以下の点が挙げられます。モチベーションの向上はもちろん、エンジニア自身が状況を客観視できるようになり、自ら成長する機会を生み出せるようになるでしょう。
エンジニアのモチベーションが向上する
KPIを用いたマネジメントにより、自分の仕事が開発プロジェクトや組織としての発展にどの程度貢献しているのか、エンジニア自身が客観的に把握できるようになり、仕事へのモチベーションが向上します。
上から指示された目標だけでは、やる気が出ないタイプの人は多く、とりわけ優秀な人材は、自分に合った方法やプロセスで結果を出したいと考える傾向にあります。エンジニア自身に目標を設定させ、有効なKPIを設置することにより、高いモチベーションで仕事に臨んでもらえるようになるでしょう。
エンジニアが自分の状況を客観視できる
KPIの設定をきっかけとして、スキルの棚卸しや自らの強み・弱みの把握など、エンジニアが自分の状況を客観的に把握できるようになります。その結果、一人一人が望むキャリアはもちろん、組織としての目標を達成するために何をすべきか理解しやすくなります。
一人一人が組織目標と個人目標の双方を考慮した上で、何に優先して取り組むべきか明らかにすれば、チームやプロジェクト全体のリソースを、何に投入すべきかも分かるようになるでしょう。
PDCAを通じて生産性が向上する
KPIを通じて設定した目標の進捗(しんちょく)を把握でき、問題や遅延が発生している場合、すぐに改善策を練ることが可能です。KPIを基準として改善と実行のPDCAを回せるようになるので、エンジニア個人はもちろん、組織全体の業務生産性が向上します。
また、KPIの設定と評価は、データに基づいた意思決定を可能にし、客観的な数値や指標をベースとして戦略を構築できます。エンジニア個人が望むキャリアの実現だけではなく、KPIマネジメントの成果を事業戦略にも反映できるようにもなるでしょう。
エンジニアのKPIの設定方法
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアの目標設定において、KPIを定める方法を具体的に解説します。どういったKPIを設定するかは企業やエンジニアにより変わってきますが、以下の点を参考にすると、スムーズに必要な目標を設定できます。
個人目標におけるKPIの設定
個人目標を決める際には、まず現在の状況から将来的にどういったエンジニアになるべきか考えてもらい、具体的なキャリアプランを設定させるのが有効です。そこからどういったスキルの獲得や、業務経験が必要かを洗い出し、具体的なKPIに落とし込みます。
エンジニアの場合は、特定の言語のマスターや1週間に達成すべきタスクの数、成果物のクオリティーのレベルなどを設定するとよいでしょう。特定の期限までに、技術系の資格の取得をKPIとして設定する人もいます。
組織目標におけるKPIの設定
組織目標を設定する場合は、企業全体や部署・部門として達成したい目標や業績を把握した上で、それをエンジニアとして達成するために何が必要か、どういった目標をクリアすべきか明らかにします。そこから必要なスキルや経験を洗い出し、KPIに落とし込みましょう。
個人目標の設定におけるKPIも含め、まずは最終的に目指すべきゴールを設定し、それを実現するために最も重要な達成指標(KGI)を明らかにする必要があります。さらに、KGIの達成に最も重要なプロセス(CSF)を定義し、数値目標としてKPIを設定しましょう。この一連の流れが、KPIマネジメントの勘所です。
KPIの設定で意識すべきポイント
(出典)https://unsplash.com/
KPIを設定する際には、以下の点も意識しましょう。組織戦略との整合性や測定・実現可能性をチェックするとともに、状況に応じて柔軟にKPIを変更することも重要です。
組織戦略と整合性を持たせる
組織目標におけるKPIはもちろん、個人目標におけるKPIでも、組織戦略と整合性を持たせなければいけません。KPIの設定は企業からすると、究極的には組織ビジョンや戦略を具現化するための手段であるため、一人一人のエンジニアがKPIの達成を通じて、全体戦略の実現に寄与できなければ本末転倒です。
たとえ個人目標であっても、エンジニアが業務に全く関連のない目標ばかり立てているならば、修正を依頼する必要があるでしょう。
測定可能・達成可能なものを設定する
KPIは定性的な目標だけではなく、できる限り定量的に測定可能で、かつエンジニアが工夫や努力次第で達成可能なものにする必要があります。抽象的なものでは進み具合を評価できず、本当に目標を達成できたか判断できません。
また、社員が達成できないほど高い目標を設定しても、絵に描いた餅になってしまうでしょう。KPIを設定する際には、対象となるエンジニアとよく話し合った上で、具体的な数値や指標に加えて、明確な期限を含むKPIを設定することが大事です。
状況に応じて柔軟にKPIを変更する
ビジネス環境の変化や社内の人材構成の変化など、さまざまな要因で適切なKPIは変わってきます。昨年度まで設定していたKPIが今期はふさわしくない可能性もあるので、適宜KPIの見直しを行い、必要に応じて変更するようにしましょう。
また、多くのエンジニアが簡単に達成できるようなKPIだった場合は、難易度を高めに設定しましょう。逆に、達成できた社員が少ない場合は、もう少し現実的な目標設定にするなどの調整も必要です。
エンジニアのKPI設定時の注意点
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアの目標設定に関するKPIを決める際には、以下の点にも注意を払う必要があります。複数のKPIの設定は珍しくありませんが、重要なものは一つに絞り、コントロール可能なものにすることが重要です。
重要なKPIは一つに絞る
KPIを設定する際には、業務のさまざまな面をカバーできるように、バランスの取れた指標にする必要はあるものの、重要な指標は一つに絞った方が評価しやすくなります。重要なKPIが多すぎると、全体としてどう評価すべきか分からなくなるので、十分注意しましょう。
また、一つ一つのKPIに関して、達成期限もしっかり設ける必要があります。上記のように、全体戦略との整合を考えた上で、特にどの指標を優先すべきか、一人一人のエンジニアと話し合った上で、慎重に判断することが大事です。
コントローラブルな指標にする
目標やKPIが経済状況に大きく左右されるといったように、自社でコントロールできないものを指標にしないように注意しましょう。極端な例ですが、GDPや失業率など、マクロな経済指標を目標設定に盛り込むのはナンセンスです。
業務に関係のない指標を設定する企業はまずありませんが、クライアントの都合により変化する指標を、KPIに取り入れてしまうケースは少なくありません。特にエンジニアは設定すべきKPIが多い傾向にあるので、プロジェクトの進捗率や稼働率、エラー数など、社内でコントロールできる指標を設定しましょう。
エンジニアの評価にKPIを活用する
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアの人事評価におけるKPIの重要性を解説しました。エンジニアの評価における目標設定では、組織目標と個人目標のどちらも設定するのが有効です。
とりわけ個人目標は社員の仕事へのモチベーションに大きく関わってくるので、1on1を通じて一人一人のエンジニアと話し合い、それぞれの状況やレベルに合ったものを設定する必要があります。
また、設定したKPIは適宜見直しをして、常に環境に合ったものに調整することも大事です。それぞれの人材の状況に合ったKPIを設定し、継続的にパフォーマンスを高めていきましょう。
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