人材紹介会社に送るメールで差がつくのは、最初の依頼文よりも、推薦を受けた後の連絡です。見送りの理由を1行で返す。条件を変えたのに伝えない。こうした連絡が続くと、紹介会社はその求人への推薦を後回しにします。
見送りの連絡は、次に推薦してほしい人を伝える注文書です。書くのは3行で足ります。見送った理由、評価した点、次に欲しい人です。
■見送りの理由:〇〇の経験は十分でしたが、〇〇の経験が職務経歴書から確認できませんでした ■評価した点:〇〇の改善を数値で説明されていた点 ■次にご推薦いただきたい方:〇〇の経験が〇年以上ある方
この記事では、採用担当者が紹介会社へ送る連絡を7つの場面に分け、〇〇を埋めればそのまま使える例文を載せました。あわせて、求人を出す企業に職業安定法が課している明示の義務と、例文に入れておく項目を整理します。
人材紹介会社へ送る連絡は7場面に分かれる
採用担当者が人材紹介会社へ送る連絡は、新規の依頼から募集終了までの7場面です。場面ごとに、必ず入れる情報が違います。
場面 | 送るタイミング | 必ず入れる情報 |
|---|
1. 新規の紹介依頼 | 取引を始める前 | 募集職種・人数、手数料と返戻金の書面の依頼 |
2. 求人票を添えた推薦依頼 | 契約を結び、求人を出すとき | 求人票、採用の背景、選考の流れ |
3. 推薦の受領 | 推薦を受けた当日 | 受領の旨、結果を返す予定日 |
4. 見送りの連絡 | 推薦・面接の翌日か翌々日まで | 見送りの理由、評価した点、次に推薦してほしい人物像 |
5. 選考通過と面接の調整 | 推薦・面接の翌日か翌々日まで | 通過の理由、面接官と確かめたい点、候補日 |
6. 内定・入社決定 | 内定を出すとき、承諾を受けたとき | 提示条件、回答期限、入社日 |
7. 条件変更・募集終了 | 決めた当日 | 変更した項目、選考中の候補者の扱い |
「推薦・面接の翌日か翌々日まで」は、元人材エージェントが自社ウェビナーで示した目安で、法令上の期限は定められていません。根拠は、例文7の後の節「推薦を続けてもらえるのは、返信が速く理由が具体的な企業」にまとめました。
1. 新規の紹介依頼の例文
初めて取引する紹介会社には、募集の概要と一緒に、手数料と返戻金制度を書面で出してもらうよう頼みます。条件を比べる材料を、打ち合わせの前にそろえるためです。
``` 件名:【人材紹介のご相談】〇〇職(正社員)の採用について/株式会社〇〇
株式会社〇〇 〇〇様
突然のご連絡失礼いたします。 株式会社〇〇で採用を担当しております〇〇と申します。
このたび、〇〇職(正社員・〇名)の採用にあたり、 貴社の人材紹介サービスを利用させていただきたく、ご連絡いたしました。
■募集の概要 ・職種:〇〇 ・採用人数:〇名 ・入社希望時期:〇年〇月ごろ ・採用の背景:〇〇(例:新規事業の立ち上げに伴う増員)
お打ち合わせの前に、以下をお送りいただけますでしょうか。 ・紹介手数料の料率と、算定の基礎となる年収の範囲 ・返戻金制度(早期に退職した場合の返金)の有無と条件 ・〇〇職のご紹介実績(差し支えない範囲で)
ご都合のよい日時を2〜3つお知らせいただけましたら、 こちらで調整いたします。 何卒よろしくお願いいたします。
(署名) ```
有料職業紹介事業者は、求人の申込みを受理した後、速やかに手数料に関する事項を書面(求人者が希望すれば電子メール等)で明示しなければなりません(職業安定法第32条の13、同施行規則第24条の5第2項)。
依頼の前には、厚生労働省の人材サービス総合サイトで、その事業者の許可の有無、手数料、返戻金制度の有無と内容、紹介で就職した人のうち6か月以内に離職した人の数を確かめられます。
出所:e-Gov 法令検索の職業安定法第32条の13と同施行規則第24条の5、厚生労働省・都道府県労働局「職業紹介事業者を利用する際の主なポイント(求人者の皆さまへ)」(PDF・管理番号 PL031022需07・2021年)。
手数料の料率や1件あたりの実額は人材紹介の費用、職種別の1件あたり実額と課金モデル、契約で確かめる項目は人材紹介とは?企業側の手数料・契約と会社の選び方で整理済みです。
2. 求人票を添えて推薦を依頼する例文
推薦を依頼するメールには、求人票に加えて「なぜ今この人が必要か」と「候補者に伝えてほしい点」を書きます。求人票だけでは、どの紹介会社にも同じ情報しか渡らないからです。
``` 件名:【求人のご依頼】〇〇職(正社員)求人票の送付/株式会社〇〇
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 先日はお打ち合わせのお時間をいただき、ありがとうございました。 〇〇職の求人票をお送りしますので、ご推薦をお願いいたします。
■添付 ・求人票(〇〇職_〇年〇月〇日版)
■採用の背景 〇〇(例:既存サービスの導入企業が増え、開発チームを増員します)
■推薦いただきたい方 ・必須:〇〇の実務経験〇年以上 ・歓迎:〇〇 ・人物像:〇〇(例:仕様が固まる前から議論に入れる方)
■選考の流れ 書類選考 → 一次面接(現場責任者)→ 最終面接(役員) 書類選考の結果は、ご推薦の翌営業日までにお返しします。
■候補者にお伝えいただきたい点 〇〇(例:入社後3か月は、既存メンバーと組んで業務を進めます)
求人票の内容を変えた場合は、その日のうちにご連絡します。 何卒よろしくお願いいたします。
(署名) ```
求人票のファイル名には、版の日付を入れておくのが確実です。職業紹介事業者は、広告等(刊行物、文書の掲出や頒布、電子メール、ウェブなど)で求人の情報を提供するときは、情報が最新かを定期的に求人者に確かめるか、情報の時点を明らかにする措置を取るよう定められています(職業安定法第5条の4第3項、同法施行規則第4条の3第4項第3号イ)。
日付の入った版があれば、双方が同じ求人票を見ているかをすぐ確かめられます。求人票に載せる労働条件の一覧は、後半の「求人を出す企業が例文に入れておく法律上の項目」の表です。
会社紹介の資料を添えるときは、どのページを厚く伝えてほしいかまで書き添えます。資料だけを渡すと、紹介会社は満遍なく話してしまうためです。元人材エージェントが登壇した自社ウェビナーでも、資料を共有した後のこの一言が求められていました。
紹介会社が候補者に語れる材料は、求人票の外にある自社の公開情報にも左右されるものです。採用ページや技術ブログなどの公開情報がそろっているかは、エンジニア採用力チェックで企業のURLから5指標24項目で採点できます。
3. 推薦を受け取ったときの返信例文
推薦を受けたら、その日のうちに受領と結果の予定日を返すのが基本です。予定日が分かれば、紹介会社は候補者に選考の見通しを伝えられます。
``` 件名:Re: 【ご推薦】〇〇様/〇〇職
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇様のご推薦、ありがとうございます。書類を受領いたしました。
選考結果は〇月〇日(〇)までにご連絡いたします。
判断のため、1点お伺いさせてください。 ・〇〇(例:直近のプロジェクトでのご本人の役割の範囲)
引き続きよろしくお願いいたします。
(署名) ```
確認したい点は、書類を読んだ時点で聞いておくのが基本です。面接で初めて聞くより、書類選考の精度が上がります。
4. 見送りを伝える例文(書類選考・面接)
見送りの連絡には、見送った理由、評価した点、次に推薦してほしい人物像の3つを書きます。冒頭で「注文書」と書いたのはこの3行のことで、理由が1行だけだと、紹介会社は次の推薦で何を変えればよいかが分かりません。「総合的に判断して」は、紹介会社から見れば何も書いていないのと同じです。
項目 | 1行だけの連絡 | 次の推薦につながる連絡 |
|---|
見送りの理由 | 総合的に判断し、今回は見送ります | 〇〇の経験は十分でしたが、〇〇の規模での経験が確認できませんでした |
評価した点 | なし | 〇〇の改善を数値で説明されていた点は、現場の評価が高かったです |
次の推薦 | なし | 〇〇の経験がある方を優先してご推薦ください |
書類選考で見送るときの例文
書類選考の見送りは、職務経歴書のどの記載で判断したかを1行で書き、評価した点と次に推薦してほしい人物像を添えて紹介会社へ返します。紹介会社はこの3点を候補者への説明と次の候補者探しの両方に使います。
``` 件名:【選考結果】〇〇様/〇〇職 書類選考
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇様の書類選考の結果、今回はお見送りとさせていただきます。 ご推薦いただいたにもかかわらず、申し訳ございません。
■見送りの理由 〇〇の経験は求める水準にありましたが、 〇〇(例:チームを率いた経験)が職務経歴書から確認できませんでした。
■評価した点 〇〇(例:担当業務の改善を数値で説明されている点)
■次にご推薦いただきたい方 〇〇の経験が〇年以上ある方を優先していただけると助かります。 求人票の必須要件も、あわせて見直します。
ご本人には、上記の「見送りの理由」を 差し支えない範囲でお伝えいただけますと幸いです。 引き続きよろしくお願いいたします。
(署名) ```
面接で見送るときの例文
面接での見送りの連絡で中心になるのは、面接官が評価した点と、入社後に任せたい業務と結びつけた見送りの理由です。書類選考の見送りより候補者の期待が高い段階なので、紹介会社が本人へ伝えられる具体的な所見を入れておきます。
``` 件名:【選考結果】〇〇様/〇〇職 一次面接
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 先日は〇〇様との面接の機会をいただき、ありがとうございました。 検討の結果、今回はお見送りとさせていただきます。
■面接官の所見 ・評価した点:〇〇 ・見送りの理由:〇〇(例:入社後に任せたい〇〇の業務と、 ご本人が今後伸ばしたい方向との重なりが小さいと判断しました)
■今後のご推薦について 〇〇を志向する方であれば、経験年数が〇年に満たなくても 面接でお会いしたいと考えています。
引き続きよろしくお願いいたします。
(署名) ```
見送りの理由には、他の候補者との比較や、社内の人事の事情を書きません。他の候補者の情報については、職業安定法第51条が、職業紹介事業者だけでなく求人者にも、業務上知り得た人の秘密を正当な理由なく漏らすことを禁じています。同条は、業務に関して知り得た個人情報をみだりに他人に知らせることも禁じています。
候補者本人に直接送る不採用通知の文面の例は、不採用通知の例文と送り方のコツで紹介済みです。
5. 選考通過と次の面接を調整する例文
通過を伝えるメールには、通過の理由と、次の面接で確かめたい点を書きます。紹介会社が確かめたい点を候補者に伝え、面接の準備の方向を合わせられるからです。
``` 件名:【選考結果】〇〇様/〇〇職 書類選考通過のご連絡
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇様は書類選考を通過されました。一次面接にお進みください。
■通過の理由 〇〇(例:〇〇の設計から運用までを一人で担った経験)
■次の選考 一次面接(オンライン・60分) 面接官:〇〇部 部長 〇〇
■面接で確かめたい点 ・〇〇(例:設計の方針を決めたときの判断の根拠) ・〇〇(例:入社後に取り組みたいこと)
■候補日 ・〇月〇日(〇)10:00〜 ・〇月〇日(〇)14:00〜 ・〇月〇日(〇)16:00〜
ご都合が合わない場合は、候補者様のご希望日をお知らせください。 よろしくお願いいたします。
(署名) ```
最終面接の前には、それまでの面接で出た懸念点も共有しておくと確実です。紹介会社が候補者と事前に話し合えるので、最終面接で懸念が解けるかどうかを確かめやすくなります。
自社ウェビナーでは、現場の面接の後に最終面接官の役員が「現場からこういう印象がある」「この点が懸念として挙がっている」と紹介会社に伝え、質問の方向まで共有した例が紹介されました。登壇者は、こうした認識合わせによって候補者の意欲が上がったり、面接官の印象が良くなったりすると話しています。
6. 内定・入社決定を伝える例文
内定を伝えるメールには、提示する条件、回答期限、候補者の懸念への答えを書きます。条件は、候補者に渡す労働条件通知書と同じ内容にそろえるのが前提です。
``` 件名:【内定のご連絡】〇〇様/〇〇職
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇様に内定をお出しすることになりました。 ご推薦いただき、ありがとうございます。
■提示条件(詳細は添付の労働条件通知書のとおり) ・年収:〇〇万円 ・入社日:〇年〇月〇日(ご相談に応じます) ・配属:〇〇部 〇〇チーム
■回答期限 〇月〇日(〇)
■ご本人の懸念について 面接で伺った〇〇の点は、〇〇(例:入社後3か月の業務内容を 添付の資料で説明しています)。
ご不明な点があれば、面談の場を設けますのでお知らせください。 引き続きよろしくお願いいたします。
(署名) ```
承諾を受けたら、入社日と手数料の請求先を伝える短い連絡を送ります。
``` 件名:【入社決定】〇〇様/〇〇職
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇様から内定承諾のご連絡をいただき、 〇年〇月〇日の入社が決まりました。
ご請求書は、〇〇部 〇〇宛てにお送りください。 このたびはご尽力いただき、ありがとうございました。
(署名) ```
内定で示す条件が求人票の条件と違う場合は、注意が必要です。職業安定法第5条の3第3項により、契約を結ぶ前に変更した内容を本人に明示する義務があります。明示が要る4つの場面は、後半の法律上の項目の節に表でまとめました。
7. 条件変更・募集終了を伝える例文
求人の内容を変えた日、募集を終えた日のうちに、取引しているすべての紹介会社へ連絡するのが原則です。古い求人票のまま推薦が続くと、候補者にも紹介会社にも無駄な手間が生まれます。
条件を変更するときの例文
求人条件の変更の連絡には、変更した項目の変更前と変更後、変更の理由、選考中の候補者の扱いの3点を書き、新しい版の求人票を添付します。
``` 件名:【求人内容の変更】〇〇職(正社員)/〇月〇日付
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇職の求人内容を、〇月〇日付で下記のとおり変更します。
■変更した項目 ・想定年収:〇〇万円〜〇〇万円 → 〇〇万円〜〇〇万円 ・就業場所:〇〇 → 〇〇 ・就業場所の変更の範囲:〇〇 → 〇〇(見直した場合のみ)
■変更の理由 〇〇(例:担当する業務の範囲を広げたため)
■選考中の候補者について 変更前の条件でご案内している〇〇様には、 ご契約の前に、変更後の条件を書面でお示しします。
■添付 ・求人票(〇〇職_〇年〇月〇日版)
お手数ですが、ご推薦中の方へのご案内をお願いいたします。
(署名) ```
求人票に書く「変更の範囲」は、雇い入れた後に業務や就業場所が変わりうる範囲を示す明示事項です(職業安定法に基づく施行規則の第4条の2第3項第1号・第3号)。求人票そのものを書き換えるときの上限ではありません。
求人の内容を変えたら、変更後の労働条件で新しい版の求人票を作り、紹介会社に示し直すのが安全です。職業安定法第5条の3第2項が定めるのは求人の申込みに当たっての明示で、変更したときのやり直しまでは条文に書かれていないため、これは編集部の考え方です。就業場所や業務を変えたときは、新しい版の求人票で、その変更の範囲も書き直す必要がないかを確かめてください。想定年収などの賃金には、変更の範囲の定めはありません。
選考中の候補者と、当初の明示と違う条件で契約を結ぶ場合は、職業安定法第5条の3第3項により本人への明示が要ります。賃金や就業場所などの変更は、面接での口頭の説明では足りず、書面(本人が希望すれば電子メール等)で示します(同法施行規則第4条の2第4項)。明示が要る4つの場面は、後半の法律上の項目の節の表のとおりです。
募集を終了するときの例文
募集終了の連絡には、終了日、選考中の候補者を最後まで選考するかどうか、新たな推薦を控えてほしい日付の3点を書きます。
``` 件名:【募集終了のご連絡】〇〇職(正社員)
〇〇様
いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 〇〇職は、採用予定の人数に達したため、 〇月〇日をもって募集を終了いたします。
現在選考中の〇〇様は、最後まで選考を続けます。 新たなご推薦は、〇月〇日以降お控えいただけますでしょうか。
募集を再開する際は、改めて求人票をお送りします。 これまでのご推薦に、心より感謝申し上げます。
(署名) ```
推薦を続けてもらえるのは、返信が速く理由が具体的な企業
紹介会社は、返信が遅い、フィードバックが短い、事前情報が浅い企業を「本気でない」と受け取り、推薦を後回しにしがちです。返す速さの目安として、書類推薦と面接のフィードバックは翌日か翌々日以内が挙がっています。
この目安を示したのは、前職で約10年転職エージェントに在籍した株式会社overflow のカスタマーサクセスマネージャーです。同社が2025年4月28日に開いたウェビナーでの発言で、当日の内容をまとめた自社のイベントレポート(エージェントに候補者を紹介されないウラの理由)に残っています。複数社への調査値ではなく、1人の元エージェントの経験則として読んでください。
同じウェビナーで、紹介会社の担当者として重視していたKPIに挙がったのは、書類の通過率と内定の取得率でした。見送りの理由が具体的であれば、紹介会社は次の推薦の的を絞れます。
付き合う紹介会社の数は、手厚く連絡を取れるのは5社ほどで、各社と月1回の定例を組む形が紹介されました。数十社に同じ求人票を送るのではなく、連絡の質を保てる数に絞るという考え方です。
紹介事業者の側が受けている苦情を見ると、求人者からは紹介の量と条件の合致への不満が、求職者からは求人者への不満と、求人情報が実際と違ったという不満が挙がっています。
苦情の出どころ | 内容 | 割合 |
|---|
求人者から | 求職者の紹介がない・少ない | 19.0% |
求人者から | 求める条件に合致する求職者の紹介がない | 13.2% |
求職者から | 求人者に対する不満 | 21.4% |
求職者から | 提供された求人情報の内容が実際と違った | 7.1% |
出所:厚生労働省「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」職業紹介事業者調査(PDF・令和4年3月・n=621・複数回答)。
この調査は苦情の内訳を数えたもので、連絡の質と苦情の多さの因果までは示していません。
同じ報告書の求人企業調査では、紹介会社を使った正社員の採用は1件あたり平均85.1万円でした(紹介会社を使った企業の回答 n=175)。1件あたりの費用がこの規模になる採用手段なので、推薦後の連絡で候補者の取りこぼしを減らす意味は小さくありません。
求人を出す企業が例文に入れておく法律上の項目
職業安定法が求人者に課している明示義務は2つです。求人を申し込むときに紹介事業者へ労働条件を明示する義務(第5条の3第2項)と、紹介を受けた求職者と契約する前に、変更した条件を本人に明示する義務(同第3項)です。
紹介を受けた候補者に、求人票と違う条件で契約を申し込む場面は4つに分かれます。
場面 | 例 |
|---|
当初の明示と異なる条件を示す | 求人票の年収より低い額を示す |
当初の明示の範囲内で特定する | 「勤務地は東京または大阪」を「東京」に決める |
当初の明示から削除する | 求人票にあった手当をなくす |
当初の明示に無かった条件を追加する | 求人票に無かった手当を加える |
出所:厚生労働省・都道府県労働局「職業紹介事業者を利用する際の主なポイント(求人者の皆さまへ)」(PDF・管理番号 PL031022需07・2021年)。例は編集部が付けたものです。
求人の申込みで書面により明示する事項は、職業安定法第5条の3第4項に基づき、同法施行規則第4条の2第3項が定める次の事項です。
明示する事項 | 補足 |
|---|
従事すべき業務の内容 | 業務の内容の変更の範囲を含む |
労働契約の期間 | 期間の定めの有無 |
試用期間 | 試用期間中と後で条件が違う場合は両方を示す |
有期労働契約を更新する場合の基準 | 更新する場合がある有期契約のみ。通算期間や更新回数の上限を含む |
就業の場所 | 就業の場所の変更の範囲を含む |
始業・終業の時刻、時間外労働の有無、休憩、休日 | |
賃金の額 | 臨時の賃金・賞与などを除く |
健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の適用 | |
雇用しようとする者の氏名または名称 | |
受動喫煙を防止するための措置 | |
派遣労働者として雇用しようとする場合は、その旨も明示します。出所:e-Gov 法令検索「職業安定法施行規則」第4条の2(条文・2026年4月1日施行の版)。
明示が行われない求人の申込みは、紹介事業者が受理しないことができます(職業安定法第5条の6第1項第4号)。例文2で求人票を添えるのは、この明示を書面で済ませるためでもあります。
例文を送るときに押さえる点は3つです。
- 明示は書面で行う。電子メール等でもよいのは、書面を受け取る側が希望した場合に限られる(施行規則第4条の2第4項)。受け取る側は、求人の申込みでは紹介事業者、契約前の変更の明示では候補者本人になる
- 明示した業務の内容等の記録は、職業紹介が終わる日まで保存する(同第7項)。例文2と例文7のメールと、日付入りの求人票を残しておけば、この記録になる
- 採否と不採用の理由の通知が定められているのは、公共職業安定所から紹介を受けた場合です(同第8項)。民間の紹介会社への見送り連絡に法の定めは無いものの、推薦の精度を上げる材料になる点は同じです
出所:e-Gov 法令検索「職業安定法」(条文・2026年4月1日施行の版)。
例文を自社用に直すときに書き換える3か所
7つの例文は、〇〇を埋めればそのまま送れます。自社用に直すときは、次の3か所を先に書き換えてください。
書き換える箇所 | 書く内容 |
|---|
例文2の「採用の背景」「候補者にお伝えいただきたい点」 | 他の紹介会社にも同じ文を送れる一般論ではなく、このポジション固有の事情 |
例文4の見送りの書式 | 見送りの理由・評価した点・次の推薦の3項目を、社内の面接評価シートと同じ並びにする |
例文7の送付先 | 取引中の紹介会社の一覧を作り、変更と終了の連絡を全社に同じ日に送る |
とくに見送りの書式は、面接官が評価シートに書いた内容をそのまま転記できる形にしておくと、翌日までに返す運用を続けやすくなります。