エンジニア採用が難しいのは、IT人材の供給が構造的に不足しているうえ、採りたいエンジニアの多くが転職サイトで求人を探していない「潜在層」だからです。求人を出して応募を待つだけでは、そもそも動いていない層に届かず、母集団が集まらないまま時間だけが過ぎていきます。有効求人倍率が高止まりする売り手市場では、この「待っても来ない層」にどう到達できるかが、採用の成否を分ける分岐点です。
エンジニア採用の苦戦は、採用担当者個人の努力不足ではなく、市場の需給構造と採用手法のミスマッチから生まれます。この記事では、エンジニア採用が難しい理由を供給・潜在層・職種別の3つの角度から整理し、インフラやフロントエンドで苦戦しやすい構造、そして待ちの採用から攻めの採用へ配分を移す具体的な解決策までを解説します。
エンジニア採用が難しい理由は?
エンジニア採用が難しい主な理由は、慢性的な供給不足・潜在層の厚さ・要件と待遇のミスマッチ・企業間の獲得競争・採用手法の複雑化という5つの構造要因が重なっているためです。どれか1つではなく、複数が同時に効いている点が、エンジニア採用を他職種より難しくしています。
下の表は、エンジニア採用が難しい5つの理由を、それが採用現場でどんな症状として現れるかとあわせて整理したものです。自社の苦戦がどの理由に当てはまるかを見極める入口として使えます。
難しい理由 | 採用現場に現れる症状 |
|---|
慢性的な供給不足 | 応募数がそもそも集まらない・要件を満たす人が母集団にいない |
潜在層が厚い | 転職サイトに求人を出しても、動いていない層には届かない |
要件と待遇のミスマッチ | 応募は来るがスキルが合わない・提示年収で辞退される |
企業間の獲得競争 | 選考中に他社へ流れる・内定辞退が続く |
採用手法の複雑化 | 1媒体では採り切れず、複数チャネルの運用負荷が重い |
この5つは独立していません。供給が足りないから競争が起き、競争が起きるから潜在層まで取りに行く必要が生まれ、潜在層に届かせるために手法が複雑になる、という連鎖です。次章から、それぞれの理由を職種別・市場データの順に掘り下げます。
職種別に見るエンジニア採用の難しさは?
同じエンジニアでも、難しさの原因はインフラ・フロントエンド・バックエンド・AIといった職種ごとに異なるのが実情です。「エンジニア採用が難しい」とひとくくりにせず、採りたい職種の難所を特定することが、有効な打ち手を選ぶ前提になります。
職種 | 採用が難しい主な原因 |
|---|
インフラエンジニア | クラウド・セキュリティの需要拡大に対し経験者が希少。安定志向で転職市場に出にくい |
フロントエンドエンジニア | 技術の移り変わりが速く、モダンな開発経験を持つ人材の見極めが難しい |
バックエンドエンジニア | 設計力を持つ中核人材ほど現職で厚遇され、転職動機が生まれにくい |
AI・データ系エンジニア | 需要の急拡大に供給が追いつかず、待遇の相場が急上昇している |
インフラエンジニアの採用が難しい理由
インフラエンジニアの採用が難しいのは、クラウドやセキュリティへの需要が急拡大する一方で、それらの実務経験を持つ人材の絶対数が限られているためです。運用の安定を担う職種の性質上、現職での裁量や安定を重視して転職市場に出てこない人が多く、応募を待つ手法では母集団が薄くなりがちです。要件定義の段階で「クラウド移行の設計まで任せたいのか、運用保守が中心なのか」を切り分けないと、届く相手も見極め基準もぶれてしまいます。
フロントエンドエンジニアの採用が難しい理由
フロントエンドエンジニアの採用が難しいのは、使われる技術の移り変わりが速く、募集要件と候補者のスキルがすぐに噛み合わなくなるためです。フレームワークやライブラリの主流が数年単位で変わるため、「過去の実績」ではなく「今の開発環境に適応できるか」を見極める必要があります。画面の実装だけでなく設計や他職種との連携まで求めると要件が膨らみ、該当者がさらに絞られる点も、苦戦を招きやすい構造です。
なぜ今エンジニア採用はさらに難しくなっているのか?
デジタル活用があらゆる業界に広がったことで、IT人材の需要が供給を大きく上回る構造が定着したためです。経済産業省の「IT人材需給に関する調査」(2019年公表)は、IT人材の需給ギャップが2030年に最大約79万人(高位シナリオ)に達し、中位シナリオでも約45万人が不足すると試算しました。人材そのものが足りない以上、採用の難しさは一過性ではなく構造的なものです。
労働市場全体でも売り手優位が続いています。厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2025年度(令和7年度)平均の有効求人倍率は1.20倍で、1人の求職者に1件以上の求人がある状態でした。全職種平均でこの水準であり、需要が集中するエンジニア職では競争がさらに激しくなります。
ここに、エンジニア採用を考えるうえでの反直感があります。エンジニア採用が難しい本体は、募集を出しても競争に負けるからではありません。採りたいエンジニアの多くが、そもそも転職サイトで求人を探すという土俵に立っていないことにあります。だとすれば打ち手は、求人媒体を増やして待ちの競争に参戦することではなく、企業側から候補者を探して声をかける「攻めの採用」へ配分を移すことになります。
エンジニア採用の難しさを解消する手順は?
エンジニア採用の難しさは、要件を絞り、届く層を見極め、待ちと攻めのチャネルを配分し、口説く体制を整える、という順番で解いていくのが基本です。媒体を増やす前に、誰を採りたいかと、その相手が転職市場に出ているかを先に決めることが、無駄な採用コストを防ぎます。
実務では、次の手順で進めると迷いにくくなります。
- 採用要件を「必須」と「歓迎」に切り分ける(あれもこれもを避け、外せない条件を絞る)
- 採りたいエンジニアが転職市場で動く顕在層か、動いていない潜在層かを見極める
- 顕在層は求人媒体、潜在層は企業から声をかけるスカウトへ、チャネルを配分する
- スカウトは候補者一人ひとりの経歴に触れた文面で送り、返信対応を止めずに回す
- 選考は候補者の負担を軽くし、辞退が起きるポイント(レスポンスの遅さ・情報不足)を潰す
この手順の要は、3番目のチャネル配分です。エンジニア採用が難しい企業ほど、採れない潜在層にまで求人媒体で挑み続け、費用と時間を消耗しています。採れる層は媒体で、採れない層はスカウトで、と割り切ることが、限られたリソースの配分を軽くします。
エンジニア採用でやりがちな失敗と注意点は?
エンジニア採用でよくある失敗は、要件を盛りすぎる・待ちのチャネルに頼りすぎる・選考が遅いという3点です。いずれも難しさを自ら増幅させる動きなので、着手前に確認しておく価値があります。
要件を盛りすぎて該当者を消す
「フルスタックで設計もでき、マネジメントもできる人」のように要件を積み上げるほど、該当するエンジニアは市場から消えていく一方です。必須と歓迎を分け、入社後に伸ばせるスキルは歓迎側へ回すことで、母集団は現実的な規模に戻ります。市場にいない理想像を追うより、自社で活躍する人材の共通項から要件を逆算するのが実務的です。
待ちのチャネルだけに頼る
求人媒体への掲載だけを続けても、潜在層のエンジニアには届きません。応募が集まらないときに掲載枠を大きくするより、企業側から候補者へ声をかけるダイレクトリクルーティングを併用するほうが、採りにくい層の母集団に効きます。待ちと攻めの両輪で設計しておくことが、母集団の薄さを補います。
選考のスピードで候補者を逃す
エンジニアは複数社から声がかかりやすく、選考が遅い企業から順に候補から外れていくものです。書類確認や面接日程の調整に時間がかかるほど、他社へ流れるリスクは上がります。連絡の速さと選考ステップの簡潔さは、それ自体が採用競争力になると考えて設計する必要があります。
エンジニア採用の難しさをスカウトで解消するには?
応募が集まりにくいエンジニアは、求人を待つのではなく、企業側から候補者へスカウトを送る攻めの採用で母集団を作るのが有効です。待ち(媒体)と攻め(スカウト)の役割分担が、潜在層まで届く到達力を生みます。
スカウト運用の難所は、候補者一人ひとりに響く文面を書き、返信対応を止めずに回し続ける工数にあります。ここを軽くするのがAIスカウトです。株式会社overflowが提供するOffersのAIスカウト生成機能は、求人情報と候補者の経歴・スキルを照合して最適化した文面を自動作成し、スカウト文作成の工数を80%削減します(2024年10月時点、同社調べ)。導入企業では、スカウトの承諾率が13.1%から31.7%へと約2.4倍に改善した事例があり、「まず話を聞いてもらう」歩留まりそのものを引き上げました。
スタンバイの検索技術エンジニア採用、リテーナー2ヶ月で正社員2名
採用体制のリソース不足で母集団が作れなかった専門職採用でも、スカウトの活用で成果が出ています。検索サービスを手がける株式会社スタンバイは、検索エンジンやクローリング技術など高い技術力が問われる領域で、圧倒的なリソース不足のなか多くのチャネルを活用しきれないジレンマを抱えていました。広い範囲で候補者を探しに行く必要がありながら、採用体制が盤石でなかったのです。
そこでスタンバイが選んだのが、Offersのリテーナープランでした。2023年4月の導入後、約2ヶ月という早さで、機械学習エンジニア1名とバックエンドエンジニア1名の正社員採用に至っています。求人を出して応募を待つチャネルでは出会えなかった専門人材に、企業側から要件に合う個人を狙って口説くことで到達した事例です。
採れる層は媒体で、採りにくいエンジニアはスカウトで。この配分を前提に母集団づくりを設計したい採用担当者は、エンジニア採用に特化したOffersのAI RPOで自社の進め方を相談してみてください。候補者の選定から文面作成、送信、返信対応までを含むスカウト代行まで任せることで、難しいエンジニア採用の母集団形成を前に進められます。
エンジニア採用の難しさに関するよくある質問
エンジニア採用が難しい一番の理由は何ですか?
IT人材の供給が構造的に不足していることに加え、採りたいエンジニアの多くが転職サイトで求人を探していない潜在層である点が大きな理由です。経済産業省の試算では、IT人材の不足は2030年に最大約79万人に達するとされています。求人を出して応募を待つ手法では、動いていない層に届かず母集団が集まりません。
インフラエンジニアやフロントエンドエンジニアの採用はなぜ特に難しいのですか?
インフラエンジニアはクラウド・セキュリティ経験者が希少で、安定志向から転職市場に出にくい傾向があります。フロントエンドエンジニアは技術の移り変わりが速く、募集要件と候補者スキルが噛み合いにくい点が難所です。職種ごとに難しさの原因が違うため、採りたい職種の難所を特定してから打ち手を選ぶ必要があります。
エンジニア採用の難しさはどう解決すればよいですか?
要件を必須と歓迎に絞り、採りたい層が顕在層か潜在層かを見極め、顕在層は求人媒体・潜在層はスカウトへチャネルを配分するのが基本です。潜在層にはAIスカウトやスカウト代行を活用し、企業側から候補者を探して口説く攻めの採用へ配分を移すことで、母集団の薄さを補えます。
本記事のポイント
エンジニア採用が難しいのは、IT人材の供給が構造的に不足しているうえ、採りたいエンジニアの多くが転職サイトで求人を探していない潜在層だからです。難しさの本体は募集の競争に負けることではなく、採りたい層が待ちの採用という土俵に立っていないことにあります。
苦戦を解消するには、次の順番で考えると迷いにくくなります。
- 「エンジニア採用が難しい」とくくらず、インフラ・フロントエンドなど職種別に難所を特定する
- 採用要件を必須と歓迎に切り分け、市場にいない理想像でなく自社で活躍する人材から逆算する
- 採りたい層が顕在層か潜在層かを見極め、顕在層は媒体・潜在層はスカウトへチャネルを配分する
- 潜在層にはAIスカウトやスカウト代行を使い、企業側から探して口説く攻めの採用へ移す
待ちの採用で採れる層と採れない層を切り分け、採りにくいエンジニア採用をスカウトで補いたい採用担当者は、OffersのAI RPOをご確認ください。