調査の概要と、今後重視する能力の順位
アクシスコンサルティング株式会社の「AI時代の企業が求める人材像に関する実態調査」(2026年10月16日公表)で、採用に関わる管理職など648名が今後さらに重視したい能力・経験に挙げた1位は「AI×創造性」の21.9%でした。次いで「AI×課題設定・課題解決力」が21.1%、「AI×専門知識・専門性」が18.8%で、「AIの実務活用力」の17.7%はこの3項目より低い値です。
調査はインターネットで、2026年9月18日〜19日に行われました。対象は全国の20〜60代の就業者のうち、課長級以上で、採用計画の管理・採用要件の策定・選考や面接・採用の最終決定などのいずれかに関わる人です。
設問によって集計の対象者数が異なることは、公表資料に注記されています。
能力・経験 | 現在重視している | 今後さらに重視したい |
|---|
AIの実務活用力 | 33.3% | 17.7% |
AI×課題設定・課題解決力 | 22.8% | 21.1% |
AI×専門知識・専門性 | 22.5% | 18.8% |
AI×創造性 | 10.5% | 21.9% |
AI×意思決定力 | 10.5% | 14.7% |
AI×新規事業・企画経験 | 7.6% | 12.8% |
出典:アクシスコンサルティング株式会社「AI時代の企業が求める人材像に関する実態調査」(2026年10月16日公表)から抜粋。
現在重視している能力では「AIの実務活用力」が33.3%で最も多く、今後さらに重視したい能力では17.7%でした。
反対に「AI×創造性」は10.5%から21.9%へ、「AI×新規事業・企画経験」は7.6%から12.8%へ上がっています。AIを使えることに加えて、AIと何を掛け合わせられるかへ企業の関心が移っていることがうかがえる結果です。
選考で候補者のAI活用経験を確かめるという回答は68.3%
同じ調査で、採用選考で候補者のAI活用経験・スキルを確認していると答えたのは、「職種によって確認している」33.3%、「必要に応じて確認している」18.2%、「必ず確認している」16.8%を合わせた68.3%でした。「確認していない」は28.5%です。
確認していると答えた人の多くは、候補者全員ではなく、職種や必要に応じて確かめると答えています。
「AIを活用できる人材」と判断する水準として最も近いものを尋ねた設問では、回答が次のように分かれました。
「AIを活用できる人材」と判断する水準 | 割合 |
|---|
AIを活用して成果を出せる | 30.7% |
日常業務で継続的に活用できる | 26.2% |
基本的なツール利用ができる | 10.0% |
業務改善・仕組み化ができる | 9.6% |
組織・事業の変革を推進できる | 2.6% |
定義していない | 20.7% |
出典:アクシスコンサルティング株式会社「AI時代の企業が求める人材像に関する実態調査」(2026年10月16日公表)。
最も多いのは「AIを活用して成果を出せる」の30.7%で、「定義していない」も20.7%ありました。
選考でAI活用経験を確かめるという回答が多い一方で、どこからを「活用できる」とみなすかは、回答が大きく分かれています。
一般的に企業の採用要件・選考基準が生成AIの普及でどの程度変化していると思うかを尋ねた設問では、「大きく変化した」14.8%と「ある程度変化した」42.0%を合わせた56.8%が「変化している」と答えました。
全社でAI活用を進める企業ほど、掛け合わせの能力を重視する
勤務先のAI活用状況と今後さらに重視したい能力を掛け合わせて集計すると、全社的にAI活用を推進している企業では「AI×創造性」を挙げた割合が31.2%で、個人利用は認めていても全社・一部部署での推進には至っていない企業の11.5%を上回りました。
今後さらに重視したい能力 | 全社的に推進している企業 | 個人利用は認めているが推進には至っていない企業 |
|---|
AI×創造性 | 31.2% | 11.5% |
AI×課題設定・課題解決力 | 29.3% | 14.7% |
AI×専門知識・専門性 | 28.8% | 14.7% |
AIの実務活用力 | 25.0% | 13.5% |
出典:アクシスコンサルティング株式会社「AI時代の企業が求める人材像に関する実態調査」(2026年10月16日公表)から抜粋。
「AIの実務活用力」は、一部部署で推進している企業では18.3%でした。
全社でAI活用を推進している企業ほど、AIを使う力に加えて、創造性・課題設定・専門性と組み合わせた力を挙げる割合が高い結果です。公表資料は、この結果がAI活用状況と重視する能力の関連を示したもので、因果関係を示すものではないと注記しています。
Offers の正社員求人の26.0%が要件にAI活用経験
Offers に掲載された正社員求人の必須条件・歓迎条件を読み、生成AIやAIツールを使う、または組み込む経験・スキルを挙げた求人の割合を公開年ごとに数えると、2024年の1.7%から、2025年は9.3%、2026年は26.0%に増えました(Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人 n=2,648・2024年1月〜2026年10月公開)。
公開年 | 必須条件・歓迎条件にAI活用の経験・スキルを挙げた求人の割合 |
|---|
2024年 | 1.7% |
2025年 | 9.3% |
2026年(10月22日公開分まで) | 26.0% |
2026年に公開された正社員求人では、およそ4件に1件が、要件の欄でAI活用の経験やスキルを挙げています。
要件の書き方には、いくつかの型が見られました。
- 日常の開発や業務で、Claude Code・Cursor・GitHub Copilot・ChatGPT などのAIツールを使っていること
- LLM(大規模言語モデル)や生成AIのAPI(外部のプログラムから機能を呼び出す窓口)を使って、アプリケーションや機能を開発した経験
- AIの出力をうのみにせず評価・検証できること、プロンプトを設計・改善できること
調査の回答者と Offers の求人は対象が異なるため、数字をそのまま比べることはできません。ただ、選考で確かめている項目を求人票にも書いておけば、候補者は応募の前に自分が当てはまるかを判断できます。
求人の本文のどこかで生成AIに触れる求人の推移と、そうした求人への応募の集まり方は「AI活用事例の現在地、生成AI利用86.4%と求人の変化」で扱っています。
採用担当が求人票と面接で見直す3つの点
調査と求人の集計から採用担当が見直したいのは、求人票に書く「AIを使える」の水準、面接での確かめ方、AIと掛け合わせる専門性の決め方の3点です。
求人票では「AIを使える」の水準を書き分ける
求人票の必須条件と歓迎条件には、「AIを使える」をどの水準で求めるのかを具体的に書きます。調査では、「AIを活用できる人材」と判断する水準が「成果を出せる」「日常業務で継続的に活用できる」「基本的なツール利用ができる」などに分かれ、「定義していない」も20.7%ありました。
水準を書かずに「AI活用経験」とだけ書くと、候補者と面接官がそれぞれ違う水準を思い浮かべます。書き分けの例は次のとおりです。
求める水準 | 求人票での書き方の例 |
|---|
日常的に使う | 日常の開発や業務でAIツールを使っていること |
成果を出す | AIを使って業務の時間や品質を改善した経験 |
仕組みにする | AIの活用をチームの手順や仕組みに組み込んだ経験 |
全員に求める水準は必須条件に、あれば望ましい水準は歓迎条件に分けて書くと、選考での確かめ方とずれにくくなります。要件の決め方は「採用要件の定義と作り方|ミスマッチを防ぐ5手順」、求人票への落とし込みは「求人票とは?記載事項と食い違いを防ぐ書き方」を参照してください。
AIエンジニアやテックリードの採用、スカウトの進め方をまとめた資料は、Offers のお役立ち資料からダウンロードできます。
面接では使った場面と、出力の確かめ方を聞く
面接では、使っているAIツールの名前を聞くより、どの業務でAIを使い、出てきた結果をどう確かめたかを聞くほうが、求人票に書いた水準に当てはまるかを判断しやすくなります。
調査では「職種によって確認している」が33.3%で最も多い回答でした。確かめる職種を決めたうえで、次のような問いをそろえておくと、面接官ごとの差が小さくなります。
- 直近でAIを使った業務と、AIに任せた範囲・自分で行った範囲
- AIの出力が誤っていたときに、どう気づいて直したか
- 使ってみて向かなかった用途と、その理由
エンジニアの中途採用の面接で聞く質問の全体は「【エンジニアの転職採用(経験者採用)】面接ですべき質問や必要な準備について解説」が扱っています。
AIと掛け合わせる専門性を先に決める
今後重視したい能力の上位は、AIと創造性・課題設定・専門性の掛け合わせでした。AIの経験を要件に入れる前に、そのポジションでAIと掛け合わせたい専門性を先に決めておくと、要件がぶれにくくなります。
エンジニアの採用なら、担当する技術領域や事業の理解が掛け合わせる相手です。AIを組み込む開発そのものを担うAIエンジニアの採用は「AIエンジニアの採用|人事が押さえる基本と進め方」、AI人材の範囲と育成の選択肢は「AI人材とは?不足の中身と採用・育成の進め方」で整理しています。
調査と集計を読むときの注意点
アクシスコンサルティングの調査は、採用に関わる課長級以上の管理職などの回答で、人事担当者全体や求職者の見方を表すものではありません。
- インターネット調査で、設問によって集計の対象者数が異なります
- AI活用状況別の結果は関連を示したもので、因果関係を示すものではないと公表資料に注記があります
- 公表された結果は全20問のうちの一部です
- Offers の集計は Offers に掲載された正社員求人に限った値で、国内の求人全体の値ではありません。2026年は10月22日公開分までです
- 年は求人を公開した年で区切っていますが、要件欄は2026年10月の集計時点の文面で、公開後に要件を書き換えた求人を含みます