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人事評価では一定の基準を設けて人材を評価する絶対評価と、評価の枠を決めて対象者を当てはめる相対評価があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、この機会に確認しておきましょう。エンジニアの人材評価における運用のポイントも解説します。
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絶対評価とは?相対評価との違い
(出典)https://www.pexels.com/
絶対評価とは一定の基準を設けて、それをベースに一人一人を評価する方法です。まずは絶対評価の概要と、よく引き合いに出される相対評価との違いを、簡単に押さえておきましょう。
事前に設定した基準で評価する方法
絶対評価では事前に評価の基準を決めておき、それに達しているかどうかで人材を評価します。他の人の成績や要素などは一切考慮せず、事前に設定した基準だけで評価するのが特徴です。学校の成績評価でもおなじみの方法であり、学生個人の成績によってのみ評価が決まります。
極端な例を出せば、全員がテストで満点ばかりを取っているクラスがあったとすれば、他の基準は考慮されないため、全員の成績が最高評価になるわけです。逆に、全員がテストの成績が悪ければ、よい評価を得られる学生が一人もいない事態にもなる可能性があります。
絶対評価と相対評価の違い
事前に決めた基準で全てを評価する絶対評価に対して、相対評価は対象者の能力や成績を他の対象者と比較し、相対的な順位を明らかにする方法です。例えば、成績上位10%の対象者を評価「A」とし、20%までの対象者を「B」とするように、事前に評価の枠組みを決めておくわけです。
相対評価の場合、どれほど成績の良い対象者が多くても、その中で評価のランクが決められます。相対評価は従来、学生の評価を決めるのに主に採用されていましたが、近年は個人の頑張りや努力、工夫などを公正に評価するために、絶対評価が主流になっています。
絶対評価・相対評価の例
絶対評価を人事評価に取り入れる方法はさまざまですが、例えば一定の評価基準を設けて、それをクリアした人材に昇進の機会を与えるといったやり方が考えられるでしょう。一人一人を客観的に評価できるので、対象とすべき人材を絞り込むのにも役立ちます。
一方、相対評価は他の対象者との比較により評価を決めるので、組織内で明確に対象者の順位付けをしたり、ランキング形式で評価したりするのに活用できます。双方の特性を理解して、うまく使い分けることが大事です。
絶対評価のメリットとデメリット
(出典)https://www.pexels.com/
それでは絶対評価のメリットとデメリットを押さえておきましょう。絶対評価は誰もが納得感を得やすいのがメリットですが、対象者の成績によっては、評価制度そのものが形骸化する可能性もあります。
社員の納得感を得やすく評価もしやすい
絶対評価は文字通り、絶対的な基準をベースに社員を評価します。人事評価制度に導入する場合、評価の基準が明確なため、社員の理解を得やすいのがメリットです。ただし、その基準が多くの社員にとって、納得できるものでなければいけません。
また、評価側も一定の基準に達しているか否かで評価すればよいので、管理者や人事担当者などの間で、意見が割れることもないでしょう。評価の公正さと透明性を担保できるのも特徴です。
評価制度が形骸化する可能性がある
絶対評価では、全員が一定の基準を超えた場合、軒並み高評価となってしまいます。逆に、誰も一定の基準を超えられなかった場合、合格者が一人も出ない事態にもなりかねません。そのため評価基準に問題があると、評価制度そのものが形骸化する可能性があります。
また、客観的な評価基準を設けなければ、評価者によって、結果にぶれが生じやすくなる点も注意が必要です。評価対象によっては明確に数値化できないものもあるため、いかにして客観性を担保するか、慎重に考えなければいけません。
相対評価のメリットとデメリット
(出典)https://www.pexels.com/
相対評価は、対象者同士の相対的な成績やスキルなどによって、評価を決める手法です。以下のように評価に「ばらつき」が出にくいのがメリットである一方、実態を反映した評価にならない可能性がある点は、注意しなければいけません。
評価に「ばらつき」が出にくい
一人一人の人材の評価が偏りにくいのが、相対評価のメリットです。対象者の成績が偏っていてもバランスのよい評価ができ、評価者による結果のばらつきが出にくいのも特徴です。たとえ対象人数が多くても、相対的な優劣を決められます。
さらに、相対評価により順位を決めることで、対象者間で競争が活発化する傾向にあります。うまく活用すれば、社員の仕事へのモチベーションも高められるでしょう。
実態に即した評価ができない可能性がある
相対評価では周りの業績に応じて、対象者の評価が相対的に決まることになります。そのため、客観的に対象者の業績やスキル、能力などを評価できない可能性がある点は注意しましょう。評価が実態から乖離してしまうケースも少なくありません。
たとえ対象者が軒並み優秀でも、その中で優劣がついてしまうため、評価に不満を持つ対象者も出てくるでしょう。仕事へのモチベーションが下がってしまう社員も出てくる可能性があります。
エンジニアの育成で絶対評価を生かすには?
(出典)https://www.pexels.com/
エンジニアの人事評価や育成において、絶対評価をうまく活用するには、以下のポイントを意識しましょう。対象者が納得できる評価基準を設けるのに加えて、エンジニアの自己評価なども考慮に入れる必要があります。
適切な評価基準を選択する
すでに説明したように、絶対評価では評価基準を慎重に設定しなければ、多くの対象者が軒並み高評価になってしまったり、逆に低評価ばかりになったりする可能性があります。まずは目的に応じて、最適な評価基準を設けなければいけません。
特に、仕事に対する姿勢やコミュニケーション力など、定量評価がしづらい要素に対して、いかに客観性を担保して評価するかを考える必要があります。エンジニアを評価する場合は、人事部門のみならず、現場のエンジニアに協力してもらいながら、評価基準を検討することが大事です。
エンジニアの自己評価も考慮する
企業側が一方的に設けた基準だけではなく、エンジニア自身の自己評価も、評価基準に組み入れることを検討しましょう。人事担当者や技術部門の管理者が一方的に評価するだけでは、評価にぶれが生じてしまったり、エンジニア側の納得感を得られなかったりする可能性もあります。
事前に評価対象となるエンジニアと面談し、自己評価や仕事への向き合い方、今後のキャリアに関してなど、さまざまな要素を評価に組み入れることも重要です。
状況に応じて相対評価と使い分ける
絶対評価と相対評価のどちらもメリット・デメリットがあるので、エンジニアの人事評価でも、うまく使い分けて運用することが大事です。基本的に絶対評価を採用するにしても、対象者の中で明確に順位をつけたい場合などは、相対評価を取り入れる必要があるでしょう。
人材採用に絶対評価を取り入れる場合にも、対象者の多い一次評価は絶対評価で行い、二次評価は相対評価にするといった運用も考えれます。双方のメリットをうまく取り入れながら、公正な評価ができるように工夫しましょう。
絶対評価の特徴を理解して人事評価に取り入れる
(出典)https://www.pexels.com/
絶対評価と相対評価の違いと、双方のメリット・デメリットを解説しました。絶対評価は一定の基準に従って対象者を評価する方法で、人事評価に利用する場合は、社員の納得感を得やすいのがメリットです。ただし、評価基準をしっかり定めなければ、制度自体が形骸化してしまう恐れがあるので注意しなければいけません。
また、実際に人事評価に取り入れる際には、相対評価とうまく組み合わせながら、公正な評価ができるように工夫する必要があります。エンジニアの自己評価も考慮しつつ、状況に応じてうまく使い分けるようにしましょう。
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