エンジニア新卒採用とは、ソフトウェア開発やITを担う技術人材を新卒で確保する採用活動を指します。厚生労働省「一般職業紹介状況」では、情報処理系技術者の新規求人倍率が4.0倍となり、全職種の新規2.4倍を大きく上回りました。経済産業省はIT人材が2030年に最大79万人、AI人材が最大12.4万人不足すると試算しています。一方で、26卒のエンジニア志望学生の約40%が「生成AIを使える環境なら志望度が上がる」と答えるなど、学生側の価値観も動いています。
この記事では、エンジニア新卒採用が難しい構造要因から、主要な採用手法、職種別(Web・ネットワーク・機械学習・AI)の進め方、第二新卒・通年採用による母集団の広げ方、初任給高騰下のコスト、そしてOffers導入企業の正社員採用事例まで、採用担当者の方が押さえておきたい全体像を整理します。
エンジニア新卒採用とは、市場の現状と最新動向
エンジニア新卒採用とは、開発を担う技術人材を新卒で採用する活動で、情報処理系技術者の新規求人倍率4.0倍という需給ひっ迫が背景にあります。中途で即戦力が採れないぶん新卒に注力する企業が増え、市場全体が「採れない」方向に傾いています。まずは、なぜいまエンジニア新卒採用が注目されているのか、その構造から確認します。
IT人材不足がエンジニア新卒採用を押し上げる構造
経済産業省の「IT人材需給に関する調査」は、IT人材の需給ギャップが2030年に最大約79万人(中位シナリオでも約45万人)まで広がると試算しました。公表は2019年で、当時の不足はおよそ22万人でしたから、この10年あまりで不足の見通しが何倍にもふくらんだことになります。
供給が追いつかない状況は、最新の労働市場データにも表れています。厚生労働省「一般職業紹介状況」によると、情報処理系技術者の新規求人倍率は4.0倍、有効求人倍率は1.59倍でした。全職種の新規2.4倍・有効1.18倍と比べて、エンジニア職の引き合いの強さは群を抜いています。求人1件あたりの候補者が少ない市場で、職歴のない新卒をどう戦力化するかが問われています。
なぜいまエンジニア新卒採用に注目が集まるのか
新卒採用に力を入れる理由は、中途が採れないことと表裏一体です。レバテックが新卒採用担当者120名に行った調査では、新卒エンジニア採用に注力する理由として52.5%が「中途採用が困難だから」を挙げました。即戦力市場での競り負けが、若手を自社で育てる方針への転換を後押ししています。
母集団そのものも、かつてより広がっています。同じくレバテックの調査では、新卒エンジニアのおよそ4人に1人が文系出身でした。情報系学部以外からの参入が一定数あるということは、理系の研究室ルートだけに頼らない採用設計の余地があることを意味します。エンジニア採用全体の進め方は中途も含めて整理が必要ですが、新卒に限れば「育てる前提」での母集団形成が出発点になります。
エンジニア新卒採用はなぜ難しいのか
エンジニア新卒採用が難しい最大の理由は、新規求人倍率4.0倍という需給ギャップに、育成コストと要件設計の難しさが重なる点にあります。競合記事の9割が「難しい理由」から入りますが、その内実は単なる人手不足ではありません。最新データとともに、構造要因を5つに分けて整理します。
需給ギャップが大きいエンジニア新卒採用の現実
土台にあるのは、すでに触れた需給ギャップです。情報処理系技術者の新規求人倍率4.0倍は、新卒に限らずエンジニア職全体の獲得競争の激しさを示しています。
この厳しさは国内に限りません。ManpowerGroupが41カ国・約39,000社を対象に実施した『2026 Global Talent Shortage Survey』では、世界の雇用主の72%が人材確保に苦戦していると回答しました。日本は84%で、世界平均を12ポイント上回り、アジア太平洋地域でも最も高い水準でした。需要そのものも伸び続けています。米国労働統計局は、ソフトウェアエンジニアの雇用が2033年までに17%増え、新たに約32万8,000人分の職が生まれると見込んでいます。世界規模で人材の取り合いが起きている前提で、採用戦略を組む必要があります。
採用目標が未達になりやすいエンジニア新卒採用
需給が締まっているぶん、計画どおりに採れない企業が目立ちます。レバテックの調査では、新卒エンジニア採用担当者の約35%が採用目標を未達と答えました。3社に1社が計画に届かない市場だと考えると、母集団形成と歩留まり設計の両面で打ち手を増やしておく必要があるでしょう。
育成に時間がかかるエンジニア新卒採用
新卒は職歴がないぶん、採用後の戦力化に半年から1年程度の時間がかかります。採用単価そのものは中途より低く抑えられますが、配属後のオンボーディングや教育に別途コストが乗ります。受け入れる現場のエンジニアがメンターとして稼働する時間も、見えにくいコストです。育成体制が整っていないまま採用人数だけを増やすと、現場が疲弊して既存メンバーの離職を招くこともあります。採用の瞬間だけでなく、戦力になるまでの総コストで投資対効果を見ないと、「採れたのに育たない」状態に陥りかねません。コストの内訳は記事後半で具体的に扱います。
要件が曖昧になりやすいエンジニア新卒採用
新卒は実務経験がないため、「何を見極めるか」の設計が難しくなります。スキルで線を引けない以上、ポテンシャルや学習姿勢をどう評価するかを言語化しなければ、現場とのミスマッチが起きます。採用担当者が技術を十分に把握できていないと、求人票の技術要件が現場の期待とずれ、選考の精度も下がります。要件設計と選考の具体策は後半の専用セクションで掘り下げます。
早期化と待遇競争に直面するエンジニア新卒採用
学生の動きが前倒しになっていることも、難しさに拍車をかけています。レバテックの意識調査では、24卒の約70%が7月までに就活を始めていました。接点づくりが遅れると、有力な学生は他社の選考に進んでしまいます。さらに、初任給を引き上げる企業が増え、大手やメガベンチャーとの待遇競争も激しくなっています。スピードと魅力づけの両面で後手に回らない設計が求められます。
エンジニア新卒採用と学生の就活動向、生成AI志向
エンジニア新卒採用の精度は、学生の動きをどこまで把握できているかで決まり、26卒では約40%が「生成AI環境」を志望理由に挙げました。市場データだけでなく、学生側のインサイトを採用設計に織り込むことが、競合との差になります。26卒の一次調査から、就活スケジュール・生成AIへの志向・初任給観の3点を確認します。
就活早期化に対応するエンジニア新卒採用のスケジュール
学生の就活開始は年々前倒しになっています。レバテックの意識調査では、就活を始める時期として最も多かったのは大学3年の6月で、本選考の早期受験を希望する学生は約60%にのぼりました。理系は早い段階で内定を得て就活を終える傾向があり、マイナビの「2026年卒 大学生キャリア意向調査」では、10月中旬時点の内定保有率が90.5%まで上がっています。
この前倒しに合わせると、インターンシップやスカウトでの早期接点づくりが欠かせません。サマーインターンや長期インターンを母集団形成の入口に置き、本選考が本格化する前から関係を築いておく設計が有効です。逆に、秋以降に動き始める採用計画では、有力な理系学生はすでに進路を固めていることが多く、出会える母集団が薄くなります。自社の選考スケジュールを学生の動きに合わせて前倒しできているか、いま一度見直しておきたいところです。
学生の約40%が生成AI環境を望むエンジニア新卒採用
26卒の学生は、AIをめぐる環境にも敏感です。レバテックが2025年に実施した26卒の就活実態・意識調査(エンジニア職志望125名を含む)では、約40%が「生成AIを使える環境なら志望度が上がる」と回答しました。開発現場でAIをどう取り入れているかが、学生から見た企業の魅力に直結し始めています。
定着の観点でも注意が必要です。同じ調査では、約60%の学生が入社後の転職を視野に入れていました。最初から長期定着を前提にしにくい世代だからこそ、入社後の成長機会やオンボーディングの設計が、採れたあとの戦力化を左右します。
内定保有率と理想初任給に見るエンジニア新卒採用
学生の温度感は、内定状況と初任給観にも表れます。先のレバテック調査では、調査時点(2月)でのエンジニア志望学生の内定保有率は31.2%でした。早い学生はこの段階ですでに進路を固めつつあります。
理想とする初任給で最も多かったのは「28万〜30万円未満」で22.4%。「23万〜25万円未満」「25万〜28万円未満」がそれぞれ20.8%で続きました。学生の相場観が以前より上がっていることがうかがえます。初任給の引き上げ競争については、コストのセクションで改めて取り上げます。
市場のIT人材不足は、エンジニア新卒採用の前提条件です。手法の検討に入る前に、自社が狙う人材像と現在の母集団の位置づけを整理しておくと、以降の手法選びがぶれにくくなります。
エンジニア新卒採用のメリット、中途との違い
エンジニア新卒採用のメリットは、技術文化への適応の早さ、優秀層の早期確保、育成による定着、相対的に低い採用単価の4点です。コストと手間をかけてでも新卒でエンジニアを採る価値を、中途採用との対比で整理します。
自社の技術文化に適応しやすいエンジニア新卒採用
新卒は前職のやり方が染みついていないぶん、自社の技術スタックや開発文化に早くなじみます。コードレビューの作法、ドキュメント文化、チームの開発プロセスを、最初から自社流で身につけてもらえます。即戦力の中途が持ち込む経験は貴重ですが、組織のやり方を一から共有したい局面では、新卒の素直さが効いてきます。
優秀層を早期に確保できるエンジニア新卒採用
優秀なエンジニアほど、中途市場には出てきにくいものです。学生のうちに接点を持てれば、転職求人倍率4.0倍という争奪戦になる前に、有望な人材と関係を築けます。研究室やインターン、ハッカソンなどでの早期接触は、中途では得られない出会いの入口になります。早い段階で自社のプロダクトや技術的な挑戦を知ってもらえれば、待遇だけでは測れない志望動機を育てられる点も、新卒ならではの強みです。
育成を通じて定着につながるエンジニア新卒採用
入社後の転職を視野に入れる学生が約60%という時代だからこそ、育成と組織文化への適合が定着を左右します。最初のキャリアを自社で形づくる新卒は、丁寧なオンボーディングと成長機会の提供によって、中長期で組織を支える層になり得ます。育てる前提の関わりが、結果として定着率を押し上げます。
採用単価を相対的に抑えられるエンジニア新卒採用
採用単価の面でも、新卒には利点があります。新卒エンジニアの採用単価は1人あたり90万〜120万円程度が目安とされ、200万〜300万円に達することもある中途より低く収まります。ただし、戦力化までの育成コストは別に発生します。即戦力を採るエンジニア中途採用とは性格が異なるため、両者を組み合わせて採用ポートフォリオを組むのが現実的です。
エンジニア新卒採用の主な手法と媒体の選び方
エンジニア新卒採用の手法は、スカウト、インターン、人材紹介、リファラル、技術広報、AIスカウトの6つが軸で、複数の組み合わせが基本です。1つの手法に頼ると母集団が偏ります。それぞれの向き不向きと、選び方の基準を押さえます。
理系特化媒体を使うエンジニア新卒採用のスカウト
企業から学生に直接アプローチするダイレクトリクルーティングは、新卒エンジニア採用の母集団形成と早期接点づくりに向いています。理系特化の新卒スカウト媒体では、LabBase就職やTECH OFFERがよく使われます。
媒体ごとの特徴を押さえておくと選びやすくなります。LabBase就職は登録学生の約75%が旧帝大と上位国立大の理系層で、スカウトの返信率は約20%とされています。累計登録は11万人を超え、登録企業は約1,500社(2025年5月時点)と、理系新卒のチャネルとして規模が大きい媒体です。TECH OFFERでは、プログラミングのレベルが一定以上の学生が約7割を占めると公表されています。
スカウト媒体を選ぶときは、登録学生の質と量、返信率、そして自社が狙う技術領域との相性を見ます。母集団の広いWeb系を狙うのか、希少な研究室層を狙うのかで、効く媒体は変わります。狙う学生層に合わせて媒体を選ぶことが、スカウトの歩留まりを左右します。ダイレクトリクルーティングの設計や運用は、中途採用で培ったスカウトのノウハウも応用できます。
早期接点をつくるエンジニア新卒採用のインターンシップ
長期インターンやサマーインターンは、早期接触・相互理解・志望度の向上を一度に狙える手法です。実際に開発に関わってもらうことで、学生は職場の雰囲気や技術レベルを体感でき、企業側も技術力と人柄を見極められます。就活の早期化が進むなかで、本選考の前から関係を築ける点が大きな強みになります。
スクリーニングを軽くするエンジニア新卒採用の人材紹介
新卒エージェントを使う人材紹介は、母集団のスクリーニング負荷を軽くしたい場合に向いています。エージェントがある程度の絞り込みを担うため、自社の工数を抑えつつ、要件に近い学生と出会いやすくなります。成功報酬型が中心で、母集団形成を急ぎたいフェーズで補完的に使う企業が多い手法です。
マッチング精度が高いエンジニア新卒採用のリファラル
社員やインターン生の紹介によるリファラル採用は、マッチング精度の高さが持ち味です。紹介者が自社の文化や開発スタイルを理解したうえで推薦するため、入社後のミスマッチが起きにくくなります。リファラルを採用の柱に育てた企業の例として、株式会社SmartHRは内定者の約3割をリファラル経由で確保し、メルカリでは内定者の約6割、富士通では1年で20名をリファラルで採用したと報告されています。社員のネットワークを採用資産として活かす発想が鍵になります。
中長期で効くエンジニア新卒採用の技術広報
テックブログやSNS、オウンドメディアでの発信は、すぐに採用へ結びつくものではありません。それでも、開発チームの取り組みや技術スタックを継続的に発信することで、「ここで働きたい」と思わせる土壌ができます。レバレジーズとプルークスの調査では、採用動画を視聴した学生の8割超が志望意向を高めたとされています。発信の積み重ねが、他の手法の効果を底上げします。
工数を削るエンジニア新卒採用のAIスカウト
スカウトの母集団は広げたいが、文面作成に手が回らない。その課題に応えるのがAIスカウトです。Offersの「AIスカウト生成機能」は、求人情報と候補者の経歴データを照合し、一人ひとりに最適化したスカウト文を自動でつくります。導入企業ではスカウト文の作成工数が80%削減され、承諾率は最大2.4倍に改善しました。母集団形成のスピードと運用工数を両立させたい場合の選択肢になります。
理系特化媒体でのスカウトやAIスカウトの運用に課題がある場合は、OffersのAI RPOプランで、ダイレクトリクルーティングの運用とAIスカウトを組み合わせた採用を相談できます。まずは無料相談で、自社の母集団形成の現在地を整理するところから始められます。
エンジニア新卒採用の要件設計と選考の進め方
エンジニア新卒採用の選考は、現場と一緒に要件を定義し、コーディング課題などで技術力を客観評価し、ポテンシャルの評価軸を言語化する3段階で精度が上がります。職歴のない新卒だからこそ、何を見極めるかの設計が成否を分けます。
現場と決めるエンジニア新卒採用の要件設計
要件が曖昧なまま選考を始めると、現場の期待とずれた採用になりがちです。新卒の要件は、必須スキルだけでなくポテンシャルや学習姿勢まで含めて、現場のエンジニアと一緒に定義します。求人票には、使用する技術スタック、チーム構成、入社後に任せたい業務を具体的に書きます。「経験不問」「コミュニケーション能力が高い方」といった抽象的な表現では、エンジニアを志望する学生に自社の魅力が伝わりません。
技術力を客観評価するエンジニア新卒採用の選考
新卒は実務経験がないぶん、技術力を測る仕組みが必要です。ライブコーディング、ペアプログラミング、ハッカソン形式の選考、コードレビューなどを取り入れると、面接だけでは見えない思考プロセスや手を動かす力を確認できます。サイバーエージェントやメルカリ、ドワンゴなどは、こうした技術力評価の選考手法を取り入れていることで知られます。学生の実装力と、コードに向き合う姿勢の両方を見ることがポイントです。
技術力評価は、見極めの場であると同時に魅力づけの場でもあります。現場のエンジニアと一緒に課題に取り組む選考は、学生にとって「この会社で働くイメージ」をつかむ機会になります。評価する側も評価される側も、お互いの相性を確かめられる双方向の場として設計すると、内定後の承諾率にもつながります。一方で、課題の難易度を上げすぎたり、フィードバックを返さなかったりすると、せっかく接点を持った学生が離れてしまいます。見極めと体験づくりのバランスを意識した選考設計が、新卒では特に効いてきます。
ポテンシャルを見極めるエンジニア新卒採用の評価軸
スキルで線を引けない新卒では、ポテンシャルの評価軸をあらかじめ言語化しておくと、面接官による評価のばらつきを抑えられます。論理的思考力、問題解決力、学習姿勢、自走力、カルチャーフィットといった観点を、面接の質問とひもづけて設計します。「入社後にどう伸びそうか」を構造的に見る軸を持つことで、職歴のない候補者でも納得感のある判断ができます。
エンジニア新卒採用の職種別ポイント
エンジニア新卒採用は職種ごとに母集団も評価軸も難易度も異なり、機械学習やAIの領域ほど人材が希少で採用難度が上がります。「エンジニア」とひとくくりにせず、職種別に採用設計を分けることが、競合と差をつける打ち手になります。
webエンジニアの新卒採用ポイント
Webエンジニアは、新卒の母集団が比較的厚い領域です。学生時代に個人開発やインターンでアプリ・サービスをつくった経験を持つ層が一定数いるため、ポートフォリオや成果物での評価がしやすくなります。GitHubのリポジトリや制作物を見れば、実装力や学習意欲をある程度つかめます。文系出身の新卒エンジニアが約4人に1人を占めることを踏まえると、情報系以外からの参入も多いWeb領域では、専攻だけで母集団を絞り込まない姿勢が母集団の厚みにつながります。母集団が広いぶん、要件と評価軸を明確にして見極めの精度を上げることが鍵になります。
ネットワークエンジニアの新卒採用ポイント
ネットワークやインフラ領域を志す新卒は、Webアプリ志向の学生とは志望動機やスキルの方向性が異なります。資格学習や構築の基礎に関心を持つ層が中心で、即戦力よりも育成前提の採用設計が前提になります。クラウドやセキュリティへの需要が高まるなかで、ネットワークの基礎を持つ若手は中長期で価値が伸びる人材です。入社後の研修体制や、インフラからアプリまでを横断して学べる成長環境を具体的に示すことが、志望度を高めるうえで効いてきます。学生が描くキャリアの道筋を一緒に示せると、競合との差になります。
機械学習エンジニアの新卒採用ポイント
機械学習エンジニアは、専門人材が希少で母集団の絶対数が小さい領域です。新卒では研究室での経験を持つ学生が中心となり、LabBaseのような理系特化チャネルや学会・勉強会経由の接点が鍵になります。通常の採用チャネルでは数ヶ月待っても出会えないことも珍しくなく、専門領域に強い手法やパートナーを使ってでも探索の幅を広げる判断が求められます。後述するスタンバイの事例は、この難しさに対する一つの解になります。
aiエンジニアの新卒採用ポイント
AIエンジニアは、いま最も採用が難しい職種の一つです。経済産業省の試算では、AI人材は2025年の8.8万人不足から、2030年には最大12.4万人不足へと拡大すると見込まれています。ManpowerGroupの調査でも、世界で最も確保が難しいスキルとしてAI関連スキルが初めてトップに立ちました。新卒で確保するには、研究実績やコンペ経験のある学生への早期アプローチに加え、開発現場でAIにどう取り組んでいるかを魅力として伝える設計が欠かせません。AI人材の採用戦略は、新卒に限らず中途も含めた全社的なテーマになりつつあります。
エンジニア新卒採用を成功させるコツ
エンジニア新卒採用で運用の差がつくのは、現場エンジニアの巻き込み、選考スピード、魅力づけの3点です。手法と選考を整えたうえで、成功企業に共通する原則を押さえます。
現場エンジニアを巻き込むエンジニア新卒採用
技術面接は現場のエンジニアが担当するのが基本です。人事だけで進めると、候補者の技術力を正しく評価できないうえに、学生からも「エンジニアと話せない会社」と受け取られかねません。求人票の技術要件の作成、面接の設計、内定後のフォローまで、現場を巻き込むほど採用の精度は上がります。採用担当者と現場の技術理解のギャップを埋めることが、ミスマッチを防ぐ近道です。
候補者体験とスピードを設計するエンジニア新卒採用
学生の約60%が本選考の早期受験を希望する市場では、選考のスピードが内定承諾率に直結します。応募から一次接点までの日数を短くし、面接後のフィードバックを丁寧に返すだけでも、学生の温度感は変わります。カジュアル面談を入口に置いて、相互理解を深めてから選考に進む設計も有効です。意思決定の速さと、一人ひとりへの丁寧さを両立させることが鍵になります。
魅力づけと情報提供で差をつけるエンジニア新卒採用
学生は「どんな環境で、誰と、何をつくるのか」を具体的に知りたがっています。開発環境、チーム構成、技術的なチャレンジ、成長機会を言語化し、テックブログや採用広報で発信することが魅力づけになります。生成AIを使える環境を望む学生が約40%にのぼる以上、現場でAIをどう活用しているかを伝えることも、いまの新卒には響きやすい訴求です。
エンジニア新卒採用の母集団を広げる方法
エンジニア新卒採用の母集団は、通年採用・ポテンシャル採用・第二新卒へ対象を広げることで拡大でき、通年採用は約35%の企業が検討しています。新卒一括採用だけでは出会える人数に限りがあります。採用ポートフォリオの広げ方を、制度転換の実例とともに見ていきます。
通年採用に広げるエンジニア新卒採用
新卒一括採用の枠を外し、年間を通じて採用する企業が増えています。マイナビの調査では、通年採用を検討する企業は約35%にのぼりました。ヤフーは2016年に新卒一括採用を廃止し、30歳以下を対象とした通年選考に切り替えています。富士通もジョブ型の新卒採用を導入するなど、一括採用を前提としない動きが広がっています。通年で接点を持てるようにすると、早期に動く学生も、就活後半に動き出す学生も取りこぼしにくくなります。就活の早期化と長期化が同時に進むなかで、決まった時期に一斉に動く前提の採用は、取りこぼしのリスクが大きくなっています。年間を通じて窓口を開けておくことが、母集団を安定させる土台になります。
第二新卒という選択肢を含むエンジニア新卒採用
採用対象を学生に限定せず、既卒・第二新卒・博士課程まで広げると、母集団は一気に厚くなります。第二新卒は、社会人経験が浅いぶん柔軟性を残しつつ、最低限のビジネスマナーや基礎スキルを備えている層です。新卒の評価軸であるポテンシャルや学習姿勢で見極めれば、新卒採用の延長線上で受け入れられます。中途ほど即戦力性は問わず、新卒ほど育成負荷もかからない、ちょうど中間の母集団として活用できます。
ポテンシャル採用で母集団を最大化するエンジニア新卒採用
ポテンシャル採用は、現時点のスキルより伸びしろを重視する採用です。サイボウズはポテンシャル枠を正式に設け、ワコールは20代向けの採用を強化するなど、各社が対象を広げています。学習姿勢や自走力を軸に評価することで、情報系出身でない学生や未経験層にも門戸を開けます。新卒一括採用、通年採用、第二新卒、ポテンシャル採用を組み合わせて、母集団を立体的に設計することが、採れない市場での打ち手になります。
エンジニア新卒採用のコストと初任給の現実
エンジニア新卒採用の採用単価は1人90万〜120万円が目安で、初任給は高騰局面にあり、引き上げ予定の企業は54.1%にのぼります。中途より単価は低いものの、育成コストと初任給競争が効いてきます。コストを定量で直視し、新卒だけに頼らない設計の必要性を確認します。
採用単価と育成コストで見るエンジニア新卒採用
新卒エンジニアの採用単価は、1人あたり90万〜120万円程度が目安です。200万〜300万円に達することもある中途と比べると低く抑えられますが、ここに戦力化までの育成コストが上乗せされます。研修、メンターの工数、配属後のオンボーディングまで含めた総額で投資対効果を見ないと、採用単価の安さだけで判断を誤りかねません。
初任給の引き上げ競争に直面するエンジニア新卒採用
初任給は明確に上昇しています。26卒のエンジニア志望学生が理想とする初任給は「28万〜30万円未満」が最多でした。マイナビの調査では、新卒の初任給を引き上げる予定の企業が54.1%と、前年の47.2%から6.9ポイント増えています。IT・情報通信分野の大卒初任給は平均25万円前後とされますが、30万円台、なかには40万円台を提示する企業も登場しています。待遇の相場が上がるなかで、自社が出せる条件と、条件以外の魅力をどう組み合わせるかが問われます。
コストを抑えるエンジニア新卒採用の戦略
コストを抑えるには、単価の高い手法への依存を減らすことが基本です。理系特化媒体でのスカウトやリファラルを軸に据えると、エージェント中心の構成より採用単価を圧縮できます。リファラルはインセンティブ費用が中心で、紹介者が文化を理解したうえで推薦するためミスマッチも起きにくく、コストとマッチング精度の両面で優れた選択肢です。スカウト運用の工数は、AIスカウトの活用で80%削減できた事例があります。新卒で育てる採用と、即戦力をAI RPOで採る採用を組み合わせ、全体の投資対効果を最適化する発想が、初任給高騰下では効いてきます。一括採用の人数だけを追わず、手法ごとの単価と歩留まりを見ながら配分を決めることが、限られた予算で成果を出す近道になります。
エンジニア新卒採用の成功事例
Offers導入企業は、機械学習などの専門領域で2ヶ月、レッドオーシャン市場でのリードエンジニア確保といった形で、正社員のエンジニア採用を実現しています。「新卒で育てる」と「即戦力を採る」を併走させた企業が、採用をどう設計したのかを見ていきます。
スタンバイの機械学習エンジニア採用、リテーナーで2ヶ月
求人検索エンジン「スタンバイ」を運営する株式会社スタンバイは、成長フェーズで機械学習という超専門領域のハイクラスエンジニアを確保する必要がありました。母集団の絶対数が小さく、採用リソースも限られるなかで、通常のチャネルでは数ヶ月待っても出会えないポジションです。
Offersのリテーナープランを活用し、予算と期間にコミットする体制で探索を進めました。その結果、2ヶ月で機械学習エンジニアと、バックエンド・フルスタックエンジニアの正社員採用に成功しています。職種別のセクションで触れた機械学習人材の希少性を、専門領域に強い探索体制で乗り越えた例です。
ナイルのAIスカウト伴走、リードエンジニアを正社員採用
定額カーリース「カルモくん」を運営するナイル株式会社は、主要な求人媒体やエージェントでは、技術力とビジネス理解を兼ね備えたハイクラスエンジニアの採用に至らない状況が続いていました。エンジニア採用市場のレッドオーシャン化が背景にあります。
OffersのAIスカウト生成機能と運用代行プランを導入した結果、複数のベンチャーでの開発経験を持ち、業務オペレーション全体を見渡せるリードエンジニアを含む正社員1名の採用につながりました。同社の澤田佳代子氏は「限られた工数の中で、新たな人材層にアプローチできた」と振り返っています。
設計から伴走するエンジニア新卒採用とAI RPO
スタンバイもナイルも、共通しているのは手法を単発で使ったのではなく、採用戦略の策定から候補者の探索、スクリーニング、オファー対応までを一貫して設計した点です。専門領域の人材確保や、主要媒体では出会えない層へのアプローチは、スカウト媒体を契約するだけでは成立しません。誰を、どのチャネルで、どんなメッセージで口説くかを設計し、運用を回し切ることで初めて成果に変わります。採用ノウハウやリソースが限られるフェーズでは、この設計と運用の一部を外部パートナーに任せる選択も、採用を前に進める打ち手になります。
Offers AIスカウト生成機能が示すエンジニア新卒採用の効率化
事例の背景にあるのが、2024年10月に提供を始めたOffersのAIスカウト生成機能です。求人情報と候補者の経歴データを照合し、一人ひとりに最適化したスカウト文を自動でつくります。スカウト文の作成工数は80%削減され、ある東証グロース上場企業では承諾率が13.1%から31.7%へ(242%改善)、シード期のスタートアップでも19.0%から32.4%へ(171%改善)と、企業規模を問わず効果が確認されました。承諾率は最大で2.4倍に改善しています。全国2.7万人を超えるプロダクト開発人材が登録し、累計の導入は600社を超えています。
新卒採用の文脈でも、AIスカウトの効果は同じ方向に働きます。母集団を広げたい新卒採用では、一人ひとりに合わせたスカウト文を手作業でつくる負荷が運用のボトルネックになりがちです。文面作成を自動化できれば、採用担当者は学生との関係づくりや選考設計といった、人にしかできない仕事に時間を振り向けられます。学生の約40%が生成AI環境を志望理由に挙げる時代に、採用側がAIを使いこなしていることは、それ自体が魅力づけにもなります。
採用設計から運用までを相談したい場合は、OffersのAI RPOプランや、CTO・VPoEなどハイクラス採用に向くリテーナープランで、自社の状況に合った進め方を整理できます。
エンジニア新卒採用の未来とAI RPOの併走
エンジニア新卒採用は、AI活用と採用ポートフォリオの多様化によって変わり、AIスカウトで工数80%削減・学生の約40%が生成AI環境を志望理由にする両面でAIが効きます。最後に、今後の要点と、採用担当者の方が次にとれるアクションを整理します。
AI活用が両面で変えるエンジニア新卒採用
AIは、採用業務と学生訴求の両面でエンジニア新卒採用を変えています。採用業務の側では、AIスカウトがスカウト文の作成工数を80%削減し、承諾率を改善しました。学生の側では、約40%が「生成AIを使える環境なら志望度が上がる」と答えています。現場でAIをどう取り入れているかを語れることが、採用効率と魅力づけの両方に効く時代になりました。
育てる採用と即戦力採用を併走させるエンジニア新卒採用
新卒一括採用の一本足では、採れない市場を乗り切るのは難しくなっています。新卒で育てる採用と、通年採用・第二新卒・ポテンシャル採用での母集団拡大、そしてAI RPOで即戦力を採る採用を併走させることが、これからの採用ポートフォリオの基本形です。手法を並べるだけでなく、採用設計から運用までを一貫させることが成果を分けます。
スタンバイが2ヶ月で機械学習などの専門領域の人材を、ナイルがレッドオーシャン市場でリードエンジニアを正社員採用できたのは、手法の選択だけでなく、採用戦略の策定から探索・選考・オファー対応までを一貫して設計したからです。新卒で時間をかけて育てる枠と、即戦力をスピードで確保する枠を、自社のフェーズに合わせて配分する。この設計ができている企業ほど、採用難の市場でも計画に届きやすくなります。リソースの限られるスタートアップでは、設計と運用の一部を外部パートナーに任せる方法もあります。
エンジニア新卒採用の設計チェックリスト
ここまでの要点を振り返ります。市場の需給ギャップを直視し、難しさの構造を把握したうえで、手法を組み合わせて母集団を形成する。要件と選考を現場と一緒に設計し、職種別に評価軸を変える。通年採用や第二新卒で母集団を広げ、初任給とコストを定量で管理する。この一連の設計が、採れない市場での再現性を生みます。
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