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エンジニア採用広報の戦略|設計手順と効果測定

エンジニア採用広報の戦略|設計手順と効果測定
Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

株式会社overflowの運営するOffers HR Magazine編集部です。

採用広報に取り組む理由として、いちばんよく挙がるのが「応募が集まらないから」です。ところが公的統計を開くと、情報通信業の採用課題は全産業と形が違います。

この記事が最初に置くのは、採用広報が向き合う相手の規模です。次にエンジニア採用の外部条件を求人倍率と欠員率の両方から読み、発信すべき情報を課題の内訳から決めます。最後に、公開情報を24項目で採点する枠組みを使い、成果の測り方まで組み立てるのが後半です。

採用広報は、採用を目的とした継続的な情報発信である

採用広報とは、求人票では伝わらない情報を自社から発信し、採用につなげる活動です。求人票が「募集している事実」を伝えるのに対し、採用広報は「そこで働くとどうなるか」を伝えます。

発信の場はテックブログ、エンジニアインタビュー、登壇資料、GitHubの公開リポジトリ、勉強会の開催など多岐にわたります。共通しているのは、いずれも募集の有無と関係なく置いておける点です。

採用広報で得られるものは、母集団・相互理解・蓄積の3つ

採用広報に投資して返ってくるものは、次の3つに整理できます。求人媒体の掲載では代わりにならない部分だけを挙げています。

  • 母集団:求人を探していない人にも届くので、募集を出した瞬間に声をかけられる相手が増える
  • 相互理解:働き方と評価の基準を先に開示するため、応募の時点で認識の差が小さくなる
  • 蓄積:記事・登壇・公開リポジトリは消えないので、翌年以降も同じ資産が働き続ける

3つのうち、短期で数字に出るのは母集団だけです。相互理解は入社後の定着に、蓄積は翌年以降の採用に現れるため、 1年未満の期間で投資対効果を判定すると、3つのうち2つを取りこぼします。

技術広報・採用ブランディング・採用マーケティングとの線引き

隣接する言葉が3つあり、実務では混ざりがちです。採用広報を含む4つを、目的と読み手で分けると整理できます。

活動

主な目的

主な読み手

採用広報

採用につながる情報を届ける

自社への入社を検討しうる人

技術広報

技術的な知見と存在感を示す

社内外のエンジニア全般

採用ブランディング

働く場としての印象を定着させる

労働市場全体

採用マーケティング

応募から入社までの流れを設計する

自社の採用対象

4つは排他ではありません。テックブログは技術広報の産物ですが、読んだエンジニアが選考に進めば採用広報の成果にもなります。実務では「1つの発信が複数の目的に届く」ことを前提に、測る側で分けるのが現実的です。

技術広報を採用広報の手段として使うときは、記事の中に採用情報への導線を置くかどうかを先に決めておきます。技術的な内容の質を落とさずに導線だけを足すのが、両立させる条件になります。

採用広報が向き合う相手は、求職活動をしていない層

採用広報を求人媒体の補完として考えると、投資の理由が説明しづらくなるはずです。相手が違うからです。

転職を望む969万人のうち、求職活動をしているのは351万人

総務省統計局の労働力調査(詳細集計)2026年4〜6月期平均で、転職等希望者は969万人います。その内訳は求職者351万人、非求職者618万人です。

出所:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2026年(令和8年)4〜6月期平均」(2026年8月10日公表)。

比率にすると、転職を望んでいる人の63.8%は求職活動をしていません。

区分

人数

転職等希望者に対する比率

転職等希望者

969万人

100%

うち求職者

351万人

36.2%

うち非求職者

618万人

63.8%

出所:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2026年4〜6月期平均」をもとにOffersが比率を算出。

実際に転職した人は、同じ期で325万人でした。こちらは「就業者のうち前職があり、過去1年に離職を経験した者」という別の数え方で、就業者6,872万人に対する比率は4.7%です。転職等希望者の内数ではないので、969万人と割り算しても意味を持ちません。

出所:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2026年(令和8年)4〜6月期平均」(転職者比率は同調査の印字値)。

求人媒体に掲載した求人票が届くのは、原則として求職者351万人の側です。残る618万人は、転職したい気持ちはあっても求人を探していないので、掲載しても視界に入りません。

求人票が届く範囲と、採用広報が届く範囲は重ならない

採用広報が狙うのは、この618万人の側です。潜在層に目を向けること自体は目新しくありませんが、規模を実数で置くと投資の説明が変わります。募集していない時期にも置いておける発信だけが、求職活動を始めていない人の目に触れます。

もっとも、非求職者に届いたところで、すぐに応募につながるわけではありません。届いてから応募までの間に時間が空くのが前提の活動で、四半期単位で成果を判定すると打ち切りの判断を誤ります。

応募を待たずに接点を作る設計そのものは、母集団形成の考え方と重なります。採用広報が受け持つのは、その母集団を継続的に温める役割です。

エンジニア採用の外部条件は、倍率と欠員率で逆の顔を見せる

「エンジニアは採用できない」という前提を、統計で確かめます。指標によって出る答えが違うので、3つ並べて読みます。

情報処理・通信技術者の新規求人倍率は2.98倍

厚生労働省の一般職業紹介状況(令和8年7月分)の参考統計表6で、情報処理・通信技術者の新規求人倍率は2.98倍、有効求人倍率は1.34倍です。職業計はそれぞれ2.04倍、1.05倍でした。

出所:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表(令和8年8月28日公表)。

区分

新規求人倍率

有効求人倍率

職業計

2.04倍

1.05倍

専門的・技術的職業従事者

3.19倍

1.69倍

情報処理・通信技術者

2.98倍

1.34倍

同月の情報処理・通信技術者は、新規求人18,977件に対して新規求職6,365人、就職件数390件でした。求人1件あたりで見れば、競争が強い側の職業に入ります。

情報通信業の欠員率は産業計より低い

ところが企業側の「足りていなさ」を見る指標に切り替えると、順位が入れ替わります。厚生労働省の令和7年上半期雇用動向調査で、2025年6月末日現在の欠員率は産業計2.6%に対し、情報通信業は1.8%でした。

出所:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」(未充足求人数1,359.5千人・産業計)。

欠員率は、常用労働者数と未充足求人数から「人が足りていない度合い」を示す指標です。情報通信業の未充足求人数は33.4千人。宿泊業・飲食サービス業の4.8%や運輸業・郵便業の4.1%と並べると、産業として人手が枯れている状態には見えません。

入職超過率は16産業で2番目に高い

人の出入りを見ると、情報通信業はむしろ活発です。厚生労働省の令和7年雇用動向調査で、情報通信業の入職率は13.6%、離職率は10.4%、入職超過率は3.2ポイントでした。産業計はそれぞれ14.7%、13.7%、1.0ポイントです。

出所:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表4-2(就業形態計)。

区分

入職率

離職率

入職超過率

産業計

14.7%

13.7%

1.0pt

情報通信業

13.6%

10.4%

3.2pt

宿泊業,飲食サービス業

27.8%

23.7%

4.1pt

入職超過率3.2ポイントは、掲載されている16産業のうち宿泊業・飲食サービス業の4.1ポイントに次ぐ2番目の高さです。情報通信業は人が純増している産業で、「誰も入ってこない」状態とは違います。

3つの指標を並べると、外部条件は「求人1件あたりの競争が強く、人は動いているのに自社に来ない」と読むのが素直です。産業として人が枯れているという説明では、欠員率と入職超過率の説明が付きません。採用広報の役割も、そこから決まります。

情報通信業の採用課題は、全産業と形が違う

課題の中身は、事業所への調査に直接聞いた結果があります。産業ごとに内訳が違う点が重要です。

転職者の採用に問題を抱える事業所は87.0%

厚生労働省の令和2年転職者実態調査で、転職者がいる事業所のうち「採用する際に問題がある」と答えたのは84.1%でした。情報通信業は87.0%で、掲載16産業のうち医療・福祉の90.0%、不動産業・物品賃貸業の89.0%に次ぐ3番目です。

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表7(事業所調査)。

この調査は不定期に行われており、公表済みの最新版が令和2年調査です。令和7年調査は実施中で、概況の公表はこれからになります。

全産業との差が最も開くのは、処遇とキャリアの説明

問題があるとした事業所を100とした複数回答で内訳を見ると、情報通信業の形は全産業と違いました。

問題の内容

全産業

情報通信業

必要な職種に応募してくる人が少ないこと

67.2%

60.4%

応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと

38.8%

45.6%

採用後の処遇やキャリア形成の仕方

17.8%

38.0%

採用時の賃金水準や処遇の決め方

32.3%

37.4%

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表7(問題がある事業所を100とした複数回答)。

情報通信業でも最多の回答は「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」ですが、その60.4%は全産業の67.2%を6.8ポイント下回ります。一方で「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」は38.0%と全産業の2倍を超え、掲載16産業のなかで最も高い値でした。

「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」も45.6%で全産業を上回りました。母集団の手前が課題である点は他産業と同じで、そこに加えて入社後の姿と技術の見立て方が課題になっているのが情報通信業の形だと読めます。

発信する情報は、課題の内訳から逆に決める

全産業との差が開いた3項目を発信テーマに置き換えたものが、優先順位です。認知の獲得を先に置くより、先に開示すべきものがあるという順序になります。

  • 入社後の処遇とキャリアの道筋を、等級や役割の言葉で具体的に示す
  • 技術の見立て方(選考でどこを見るか、どう判断するか)を公開する
  • 開発の進め方・使っている技術・意思決定の過程を、実物に即して書く

いずれも、選考の場で口頭で説明している内容と重なります。それを公開の場に出しておくのが採用広報だと考えれば、書く材料は社内にすでにあるはずです。選考の各段階で何を見るかは、採用フローの設計とセットで言語化しておくと、発信と選考の説明がずれません。

採用広報の成果は、公開情報から24項目で採点できる

採用広報が測りにくいとされるのは、成果が応募数に現れるまでに時間がかかるからです。ただし「発信の状態」そのものは、公開情報だけで採点できます。

5指標のうち、採用広報が動かせるのは配点の50%

株式会社overflowが提供するエンジニア採用力チェックは、企業URLを入力すると公開情報(採用ページ・求人票・テックブログ・公開リポジトリ)をAIが横断解析し、5指標24項目で100点満点に換算します。

出所:Offers エンジニア採用力チェックの評価設計(株式会社overflow・2026年9月時点)。

指標

配点

項目数

技術ブランド発信力

25%

5項目

技術環境の透明性

25%

5項目

採用情報の充実度

20%

5項目

雇用条件の競争力

20%

5項目

採用活動の積極性

10%

4項目

このうち採用広報が直接動かせるのは、技術ブランド発信力と技術環境の透明性の2指標。合わせて配点の50%です。採用情報の充実度20%も、求人票と採用ページの書き方で動きます。

裏返すと、雇用条件の競争力20%は発信では動きません。年収レンジや制度そのものを変えないと点が付かない領域で、採用広報の守備範囲の外にあります。ここを混ぜて議論すると、広報の成果が出ていないのか条件が負けているのかを切り分けられません。

技術ブランド発信力の配点内訳

技術ブランド発信力25%の中身は5項目で、それぞれに満点の条件が置かれています。

項目

満点

満点の条件の例

テックブログの存在と更新頻度

30点

直近3か月の投稿が月3本以上

GitHubの活動

25点

公開リポジトリ20件以上・スター合計500以上に加えて、1リポジトリで1,000スター以上(20件かつ500スターまでは20点)

登壇・OSS・イベント

20点

コミュニティのメンバー10,000名以上

エンジニアインタビュー

15点

公開記事6件以上

技術課題の言語化

10点

技術的な課題が具体的に書かれている

出所:Offers エンジニア採用力チェックの評価設計(株式会社overflow・2026年9月時点)。

配点を見ると、更新が止まったテックブログの扱いが分かります。最新記事が3か月より前だと30点満点のうち8点にとどまり、存在しない場合の0点との差はわずかです。作ること自体より、続いている状態のほうに点が付く設計になっています。

エンジニアインタビューは6件以上で満点、3〜5件で10点、1〜2件で5点です。1本書いて止まるより、少数でも本数を積むほうが評価に乗ります。

技術環境の透明性が見ているもの

技術環境の透明性25%は、技術スタックの開示25点、継続的インテグレーションと継続的デリバリー(CI/CD)やモダン技術の言及20点、開発フローの具体性20点、技術選定への関与20点、テスト文化と品質15点で構成されます。

出所:Offers エンジニア採用力チェックの評価設計(株式会社overflow・2026年9月時点)。

いずれも「働き方が想像できるか」を分解した項目です。前節の統計で情報通信業の課題として上位に来た「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」「能力評価の客観的な基準」と、指標の設計が重なっています。

自社の現在地は、エンジニア採用力チェックで確認できます。URLを入力すると公開情報から採点したレポートが届くので、どの指標が落ちているかを先に把握してから施策を決められるはずです。

2026年に入って変わった数字と、変わっていない構造

採用広報の前提になる外部条件は、直近1年で動いた部分と動いていない部分があります。統計の前年同期比で確かめます。

転職を望む人は減ったが、求職活動をしない比率は変わっていない

転職等希望者は969万人で、前年同期から31万人減りました。うち非求職者は618万人で28万人減です。

出所:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)2026年(令和8年)4〜6月期平均」(2026年8月10日公表)。

比率で見ると、非求職者の占める割合は1年前の64.6%から63.8%へ0.8ポイント下がっただけでした。母数は縮んでも、 「転職したいが求人を探していない」という状態が多数派である構造は動いていません。

産業計の欠員率は下がったが、情報通信業は横ばい

産業計の欠員率は2025年6月末日現在で2.6%、前年同期の2.9%から0.3ポイント下がりました。同じ期間で情報通信業は1.7%から1.8%へ0.1ポイント上がっています。

出所:厚生労働省「令和7(2025)年上半期雇用動向調査結果の概況」(産業計・情報通信業とも各年6月末日現在)。

全体の人手不足がゆるむ局面でも、情報通信業の充足状況は改善していません。他産業の採用が落ち着くほど、 候補者の目に入る情報の量で差が付く場面が増えます。

情報通信業の入職超過率は1年で3.2ポイントへ広がった

情報通信業の入職超過率は、令和6年の1.0ポイントから令和7年の3.2ポイントへ拡大しました。入職率と離職率を足した人の出入りの総量は21.4%から24.0%への変化で、広がったのは純増の幅にあたります。同じ期間の産業計は0.6ポイントから1.0ポイントです。

出所:厚生労働省「令和6年雇用動向調査結果の概況」および「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」表4-2(就業形態計)。

区分

令和6年

令和7年

産業計の入職超過率

0.6pt

1.0pt

情報通信業の入職超過率

1.0pt

3.2pt

情報通信業の入職率

11.2%

13.6%

情報通信業の離職率

10.2%

10.4%

離職率がほぼ横ばいのまま入職率が2.4ポイント上がったので、拡大の中身は「出る人が減った」ではなく「入る人が増えた」です。 人が動いている期間に情報が出ていないと、その動きは他社へ流れます。

採用広報の手法は、点が付く面と届く相手で選び分ける

手法の一覧を並べても選べません。それぞれが「採点で点が付くか」と「求職活動をしている人に届くか」で性格が違うので、その2軸で置き直します。

主な手法と、それぞれの位置づけ

手法

主に動く指標

主に届く相手

テックブログ

技術ブランド発信力・技術環境の透明性

求職活動をしていない層

技術イベントの主催・登壇

技術ブランド発信力

求職活動をしていない層

GitHub・OSSの公開

技術ブランド発信力・技術環境の透明性

求職活動をしていない層

エンジニアインタビュー

技術ブランド発信力・採用情報の充実度

両方

採用ピッチ資料

採用情報の充実度

求職活動をしている層

求人票・採用ページ

採用情報の充実度・雇用条件の競争力

求職活動をしている層

上の3つは、募集の有無と関係なく置いておけるストック型です。下の2つ(採用ピッチ資料・求人票)は、応募を検討し始めた人が読む前提のフロー型で、求人が出ている期間に意味を持ちます。残るエンジニアインタビューは両方に届く中間で、ストック型として積みながら選考中の読み物にも使えます。

ストック型は、止めた時点で目減りする

テックブログ・登壇・OSS(オープンソースソフトウェア)が評価されるのは、公開した瞬間ではなく積み上がった状態です。採点でもテックブログの満点条件は「直近3か月に月3本以上」で、更新が3か月より前になると30点満点のうち8点です。

止めても記事は残りますが、評価は残りません。始める前に、止まったときの落ち幅まで見込んでおく必要があります。

フロー型は、選考の説明とそろえる

採用ピッチ資料と求人票は、面談や面接で話している内容の先出しです。ここが選考の説明とずれていると、応募後に不信につながります。

情報通信業で「採用時の賃金水準や処遇の決め方」を問題として挙げた事業所が37.4%あることを踏まえると、年収レンジと決まり方を先に書いておくのは、フロー型の側で最も効果が見込める改善になります。

SNSは、他の手法の到達手段として置く

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は単体では採点の指標に直接は乗りません。テックブログや登壇の告知を運ぶ経路として位置づけると、投資の判断がしやすくなります。

アカウントを作ること自体は目標になりません。運ぶ中身が先にあるかで着手を決めます。中身がない状態で更新頻度だけを追った結果は、運用の負荷だけが残る状態です。

戦略は、現在地の採点から逆算して立てる

採用広報の戦略を「目的を決める」から始めると、目的が抽象的なまま走り出します。先に採点して、落ちている指標から埋めるほうが、やることが具体になります。

ステップ1 現在地を採点する

自社の公開情報を5指標で採点し、どこが落ちているかを確定させるのが出発点です。手作業でやるなら、テックブログの直近3か月の投稿数、公開リポジトリの数、エンジニアインタビューの本数、登壇の記録の4つを数えるところから始められます。

数えると、たいていは「続いていないこと」のほうが問題だと分かります。3年前に5本書いて止まっているテックブログの扱いは、無い場合とほとんど同じです。

ステップ2 相手を求職活動の有無で分ける

届ける相手を、求職活動をしている人と、していない人に分けます。前者には選考に必要な情報(選考フロー・年収レンジ・求められる経験)を、後者には判断を迫らない情報(技術的な知見・働き方・意思決定の過程)を用意します。

分けずに1本のコンテンツで両方を狙った結果は、どちらにも中途半端な記事です。同じテーマでも、書き出しと結びを変えるだけで受け手は変わります。

ステップ3 出す情報を、課題の内訳から選ぶ

情報通信業で全産業との差が大きい順に並べると、処遇とキャリアの説明(+20.2ポイント)、能力評価の基準(+6.8ポイント)、賃金水準や処遇の決め方(+5.1ポイント)の3つです。割合そのものの順位では応募の少なさが先に来ますが、そちらは他産業と共通で、しかも情報通信業のほうが低い課題です。自社の発信で差が付くのは残る3つになります。いずれも選考の場で説明している内容なので、新たに作るのではなく、既にある説明を公開の形に直す作業です。

課題

公開の形にする対象

採用後の処遇やキャリア形成

等級・役割定義・評価のタイミング

能力評価の客観的な基準

選考で見る観点・技術課題の意図

賃金水準や処遇の決め方

年収レンジと、決まり方の説明

求人票そのものの書き方は、求人票の記載事項の側で整理しておくと、採用広報の記事と内容が食い違いません。

ステップ4 面を、点が付く順に埋める

発信の場は無限にありますが、採点で点が付く面は限られます。テックブログ、GitHub、コミュニティ、インタビュー記事の4つを先に埋めると、技術ブランド発信力25%の大半が動きます。

社内に書き手がいない場合は、外部の支援を入れて立ち上げる選択もあるはずです。スカウトの送信や候補者対応まで含めて任せる形は、AI RPOのような採用代行の守備範囲に入ります。発信そのものを外に出すか、社内で続ける体制を作るかは、続けられる見込みで決めます。

ステップ5 更新の頻度を先に決める

テックブログの配点が示すとおり、評価されるのは頻度です。月3本を満点の条件とするなら、それを下回る前提で体制を組んでも点は付きません。

月1本でも続けるほうが、集中して5本出して止まるより採点上は有利です。運用に入る前に、無理なく回る頻度を決めて、それを守る形で担当と工程を置きます。

体制と工数は、続く形から逆に決める

採用広報が止まる理由の大半は、書く人の時間が確保されていないことです。頻度を先に決めるなら、その頻度で回る体制を同時に置きます。

書く人と、回す人を分ける

技術的な中身を書けるのは現場のエンジニアですが、企画・進行・公開まで同じ人が持つと止まります。テーマの選定・締切の管理・公開作業を人事や広報の側で持ち、エンジニアには中身だけを書いてもらう分担が現実的です。

インタビュー形式にすると、書く側の負荷はさらに下がります。話してもらった内容を人事側が記事に起こす形なら、エンジニアの拘束は取材の時間だけで済み、執筆と公開の工程から外せます。

月1本を下限に置く

採点の条件は月3本以上ですが、満点を最初から狙うと立ち上がりません。月1本を下限として決め、続いた状態を作ってから頻度を上げるほうが、止まるリスクは小さくなります。

止まったときに気づける形にしておくことも要ります。最終更新から何日経ったかを月次で確認する運用を、担当者の予定に組み込んでおいてください。

経営層の関与を、記事の中身で作る

採用広報の内容は、等級・評価・技術選定といった経営判断に触れます。人事だけで書こうとすると、公開してよい範囲の判断で止まります。

公開範囲の線引きを先に経営層と決めておけば、記事ごとの確認は減るはずです。決めるのは「年収レンジを出すか」「評価基準をどこまで書くか」「技術的な失敗を書いてよいか」の3点になります。

記事の材料は、選考で話している内容の書き起こしから取る

書く材料が無いという相談は多いのですが、実際には選考の場で毎回話している内容が材料です。口頭で説明していることを公開の形にするだけで、前節で挙げた課題の上位3つはおおむね埋まります。

技術選定の経緯は、結論ではなく判断の過程を書く

「TypeScriptを使っています」だけでは、採点でも技術スタックの開示にしかなりません。なぜその技術を選び、何を捨てたのかまで書くと、技術選定への関与と技術課題の言語化の項目に届きます。

書く型は3つの要素で足ります。当時の制約(人数・期限・既存システム)、検討した選択肢、選ばなかった理由です。うまくいった話に限る必要はなく、やり直した経緯のほうが読み手には具体に映ります。

選考で見る観点は、段階ごとに何を判断するかで書く

「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」を課題に挙げた事業所は、情報通信業で45.6%でした。基準が無いこと自体が課題である以上、公開の前に社内で言語化する工程が要ります。

言語化の単位は選考の段階です。書類で何を見るか、技術課題で何を判断するか、最終面接で誰が何を決めるかを、段階ごとに1〜2行で書き出します。書き出した時点で社内の認識のずれが見つかることが多く、公開しない場合でも選考の精度は上がります。

等級と評価のタイミングは、入社後1年の見通しとして書く

「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」は、情報通信業で38.0%が課題として挙げた項目です。入社後の姿が見えないことが、応募をためらう理由になっています。

等級表そのものを公開しなくても、入社直後にどの役割を担い、いつ評価があり、何が変わると次の段階に進むのかは書けます。期間と判断のタイミングが示されているかどうかで、読み手が抱く見通しは変わるはずです。

よくある疑問への答え

効果が出るまでの期間は半年から1年で見る

求職活動をしていない層に届ける活動なので、届いてから応募までの間隔が開きます。3か月で判断すると、蓄積が始まる前に止めることになります。判定の単位は半年から1年で置き、その間は発信の継続と到達で健全性を見てください。

予算の中心は、外注費ではなく社内の時間である

記事1本あたりの外注費を積み上げても、採用広報の実際のコストにはなりません。エンジニアの取材時間、社内確認の往復、公開後の更新にかかる時間が大半を占めます。月に何時間を割けるかを先に決めるほうが、続く設計になります。

発信の場は、自社で持つ面から埋める

外部の媒体は到達が早い一方、記事が自社の資産として積み上がりません。採点でも見ているのは自社ドメインと公開リポジトリが中心です。外部媒体は入口として使い、本体は自社側に置く構成にします。

成果が出ないときは、条件と発信を分けて確認する

応募が増えない原因は、発信が届いていないのか、届いた先で条件が見劣りしているのかのどちらかです。到達(閲覧数・採用ページへの遷移)が伸びているのに応募が増えないなら、後者を疑います。切り分けないまま発信量を増やしても、状況は変わりません。

効果測定は、広報の指標を採用の指標へ接続して成立する

採用広報の測定でつまずくのは、広報側の数字(PV・フォロワー数)だけを見て、採用側の数字とつながっていない場合です。2段に分けて設計します。

広報側で測るもの

広報側は、発信の状態と到達を測ります。前節の採点に対応させたものが、そのまま指標です。

  • 更新の継続(直近3か月の本数と、止まっていない期間)
  • 到達(記事ごとの閲覧数と、採用ページへの遷移数)
  • 蓄積(公開済みの本数・登壇の記録・コミュニティの規模)

これらは施策を打った月のうちに動くので、運用の健全性を見るのに向きます。ただし採用の成果そのものではありません。

採用側へつなぐもの

採用側は、応募から入社までの各段階で数えます。段階ごとの通過率を追う考え方は、採用の歩留まりの設計と同じです。

接続の要は、応募経路の記録です。応募フォームに「どこで知ったか」の項目を置き、テックブログ・登壇・紹介などの区分で残しておくと、広報側の数字と採用側の数字が初めてつながります。

もう1つ、入社後の定着まで見ると、採用広報の質が判定できます。発信の内容と実態がずれていれば、入社後の早期離職として現れるはずです。情報通信業の入職超過率が3.2ポイントと高い一方で離職率も10.4%ある以上、入る側だけを測っても全体像にはなりません。

採用広報でつまずきやすい3つの点

最後に、設計の段階で起きやすいずれを挙げます。

発信の本数を目標にしてしまう

本数は手段であって成果ではありません。採点の設計でも、テックブログは「直近3か月に月3本以上」という継続の条件で満点になり、累計本数では決まりません。年間本数を目標に置くと、期末にまとめて出して条件を外すことになります。

条件で負けている部分を発信で埋めようとする

年収レンジや働く条件そのものが市場と合っていない場合、発信を厚くしても応募には変わりません。採点でも雇用条件の競争力は20%の独立した指標で、発信の量では動かない設計になっています。先に条件側を確認してから、広報の投資を決めます。

成果が出るまでの期間を短く見積もる

求職活動をしていない618万人に届ける活動なので、届いてから応募までに時間が空くのが前提です。3か月で応募数が変わらないことを理由に止めると、蓄積が失われます。判定の期間は、少なくとも半年から1年で置きます。

設計の順序と、最初に手を付ける場所

エンジニア採用広報の設計は、次の順序で進めてください。

  1. 公開情報を5指標24項目で採点し、落ちている指標を確定する
  2. 相手を求職活動の有無で分け、情報通信業の課題の内訳から発信テーマを選ぶ
  3. 点が付く面(テックブログ・GitHub・コミュニティ・インタビュー)を更新頻度つきで埋める
  4. 応募経路の記録を作り、広報側の指標を採用側の指標へ接続する

統計が示しているのは、情報通信業でも最多の課題は応募の少なさだが、全産業と比べて重いのは「入社後の姿」と「技術の見立て方」だということです。発信するテーマをそこに寄せるだけで、書く材料は選考の場にすでにあります。

現在地の採点は、エンジニア採用力チェックから始められます。企業URLを入力すると、公開情報から採点したレポートが届く仕組みです。

求人を出して待つ採用から、先に出会いにいく採用へ。

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