エンジニアの人材開発手法を解説。人材育成との違いや効果が出るポイントとは

Offers HR Magazine編集部 2023年9月6日

Offers HR Magazine編集部

目次

企業のDXが進展する中、エンジニアの人材確保に課題がある企業が増えています。社内での人材開発がうまくいかない場合、変化する環境に対応できず、企業間での格差が生じるでしょう。エンジニアの人材開発を強化する必要性や具体的手法を解説します。

========================

【Offers / ITエンジニア、Webデザイナーの副業・転職サービス】

📍DeNA、サイバーエージェント、メルカリなどの「上場企業・有名スタートアップのテックリードやCTO」
などのハイクラス会員数25,000人が登録し、アクティブに活用
📍600社以上のスタートアップ・ベンチャー上場企業が利用中
📍ミドルシニアのエンジニア、PMが集まるコミュニティも運営
📍最短2日で採用決定

無料でアプローチするプランに申し込む | 資料・料金のお問い合わせ

========================

人材開発の定義から知ろう

(出典)https://unsplash.com/

企業にとって、従業員は最も重要な経営資源の一つです。企業が永続的に成長を続けていくには、戦略的な人材開発が欠かせません。人材育成との違いを比較しながら、人材開発の定義と目的を理解しましょう。

人材開発とは?

人材開発は、自社の従業員の能力を引き出す取り組みです。資質や性格、能力を把握しながら適切な教育や訓練を行い、個々の能力の最大化を目指します。

人材開発の対象者は、新入社員や若手社員だけではありません。中堅社員や管理職を含む全ての従業員が対象です。企業が人材開発を行う主な目的には、以下のようなものが挙げられます。

  • 仕事の質の向上
  • 経営戦略の実現
  • 組織としての成長

業務に関連した教育・訓練を通じ、従業員の能力は大きく向上します。自分への自信がつき、日々の業務により意欲的に取り組むようになるでしょう。個々の成長は、組織全体の成長につながります。

人材育成との違い

人材開発と人材育成はよく似ていますが、目的や実施対象が異なります。人材育成の主な目的は、業務遂行に必要な知識やスキルの習得です。

多くの企業では、新入社員や若手社員が人材育成の対象となるでしょう。個人のスキルと組織が求めるスキルを一致させるため、中長期的なスケジュールを組むのが一般的です。

人材開発は全社的な取り組みであり、新入社員や若手社員に対象を限定しません。短期間に集中して実施されるケースが多く、目標やゴールもその都度設定します。

エンジニアの人材開発が必要な背景

(出典)https://unsplash.com/

多くの企業が力を入れているのが、エンジニア職の人材開発です。IT企業やSaaS企業のみならず、エンジニアを有する一般企業でも人材開発の必要性が高まっています。

優秀なエンジニアは採用が難しい

エンジニアの採用というと、昔はIT企業に限られていましたが、近年は社会のデジタル化や企業のDXにより、一般の中小企業でもエンジニアを採用する機会が増えています。

現在、エンジニアの採用市場は圧倒的な売り手優勢で、需要に対して供給が追い付いていない状態です。

とりわけ、優秀なエンジニアは企業に高待遇で囲い込まれており、採用市場にはめったに姿を見せません。新規採用は今後ますます困難になる可能性が高いでしょう。

優秀なエンジニアの新規採用がほぼ見込めないことを前提に、企業は自社に在籍するエンジニアの人材開発を強化する必要があります。

キャリアに対する考え方が変わってきている

年功序列や終身雇用制度がうまく機能していた時代は、一つの企業に長く勤めさえすれば昇進や昇給が実現できたため、キャリアに真剣に向き合う機会はそう多くはありませんでした。

終身雇用制度が崩壊しつつある現代、キャリアに対する考え方が変わり、働き方そのものが大きく変化しています。

エンジニアの場合、就業規則によっては企業に所属しながら副業や業務委託も可能なことがあります。近年は、将来のキャリアを意識した転職や技術チャレンジを行う人が増加傾向にあり、人材が他社に流出しやすいのが実情です。

組織としての結束力を高めるためにも、企業は人材開発を積極的に実施し、自社内でキャリアプランを実現する機会や技術チャレンジができる場を用意する必要があります。

DXの促進

エンジニアの人材開発が急がれる理由の一つに、企業のDX(Digital Transformation)が挙げられます。

DXとは、デジタル技術を浸透させ、企業のビジネスモデルやシステム、組織風土を大きく変革させることです。単なる業務プロセスのIT化ではないため、AIやIoT、ビッグデータのインフラ技術などを備えた高度なIT人材を投入する必要があります。

前述の通り、IT業界は深刻な人手不足で、優秀なエンジニアを新たに採用するのは容易ではありません。企業は、エンジニアの人材開発を通じてDXの担い手を確保しなければならないのです。

エンジニアの人材開発を行う目的

(出典)https://unsplash.com/

中長期的な人材育成と異なり、人材開発は短期間に集中して行うのが基本です。個々のパフォーマンスを最大化するには、目的やゴールを明確に定めた上で、綿密な開発プランを策定する必要があります。エンジニアの人材開発を行う目的を再確認しましょう。

IT市場の変化に適応するため

目的の一つは、目まぐるしく変化するIT市場にエンジニアを適応させることです。技術は常に進化を遂げており、ツール・プラットフォーム・プロトコル・プログラミング言語などは、継続的に更新されています。

習得したばかりの知識や技術がいつの間にか時代遅れになっていることも多く、エンジニアは常に知識や技術を磨き続けなければなりません。人材のスキル習熟が不十分であれば、組織のDXが遅れ、企業間格差が生じるでしょう。

新たなアイデアやイノベーションを生み出すため

組織が成長を続けていくには、既存の枠組みから抜け出し、社会にインパクトを与える新たな価値を生み出していく必要があります。

エンジニアの人材開発は、新たなアイデアやイノベーションの創出を可能とし、企業に大きな利益をもたらすでしょう。

訓練やトレーニングによって、エンジニアが知識・技術を習得すると、技術的な限界を突破できると同時に、これまでになかった新たな視点が得られるのが利点です。

企業の新たな成長の柱になる製品が生まれたり、従来の問題を解決する画期的な方法が見つかったりして、組織全体にプラスの変化がもたらされます。

エンジニアを安定的に確保するため

人材開発には、自社エンジニアの流出を防ぎ、人材を安定的に確保する目的があります。

IT業界では、職務内容と求めるスキルを限定して採用する「ジョブ型雇用」が増えています。キャリアアップのための転職はごく当たり前であり、エンジニアが満足できる環境を用意できなければ、人材の流出を食い止めるのは困難です。

自社のエンジニアの流出を防ぐには、エンゲージメントの高い人材を育成する必要があります。

人材開発によって個々の能力が開発され、かつ正当な評価が得られれば、仕事に対するモチベーションやエンゲージメントが高まり、定着率も向上するでしょう。

エンジニアの人材開発を行う方法

(出典)https://unsplash.com/

エンジニアの人材開発には、どのような手法が用いられるのでしょうか?社内で実施できるアイデアをいくつか紹介します。

OJT・OFF-JTなどの研修

人材開発の代表的な方法として、OJT(On-the-Job Training)やOFF-JT(Off-the-Job Training)があります。

OJTは、現場での実務を通じ、先輩エンジニアが若手エンジニアに知識やスキルを伝授する研修方法です。インプットとアウトプットの同時進行が可能なため、即戦力が育ちます。

OFF-JTは、通常の業務から離れた場所で行う研修です。研修会やセミナーを通じ、仕事に必要な知識を体系的に学びます。座学が中心ですが、ディスカッションやグループワーク、セッションを交える場合もあります。

ハッカソンやアイデアソンの開催

エンジニアの人材開発には、ハッカソンやアイデアソンが用いられるケースがあります。ハッカソンは、ソフトウェア開発の関係者が集まり、新しいアイデアやプロトタイプを開発するイベントです。

さまざまなバックグラウンドを持つ人材が集まることで、エンジニアの創造力が促進されます。チームワークやプロジェクト管理スキル、問題解決能力などの向上にもつながるでしょう。

アイデアソンは、アイデアとマラソンを掛け合わせた造語です。アイデアやビジネスモデルのブラッシュアップを行うイベントで、開発は行いません。ハッカソンやアイデアソンの事例については、以下のコラムで詳しく解説しています。

ハッカソンとは?企業が開催する目的やメリットや事例を紹介 | Offers HR Magazine

定期的な勉強会

自社エンジニアに定期的な学びの機会を提供すれば、変化の激しいIT市場に対応できるスキルが身に付きます。仲間と切磋琢磨することで、学びへのモチベーションも高まるでしょう。

勉強会では、新たな技術や最新の業界トレンドの把握、情報交換などを行うのが通例です。同僚だけで開催する場合もあれば、外部の専門講師を招くこともあります。それぞれがアイデアをプレゼンテーションする形式も有益でしょう。

勉強会の目的やテーマを明確化した上で、事前準備をしっかり行うと、実りの多い勉強会になります。

コードレビュー等のフィードバック

コードレビューは、開発チーム内でエンジニアのコーディングスキルをチェックする作業で、チェックをする人(レビューア)と、ソースコードのチェックを受ける人(レビューイ)に分かれて実施します。

コードレビューのやり方はチームごとに異なりますが、ミーティング形式やコードレビューツールを用いたオンライン形式が用いられる事例が多いようです。

経験豊富な先輩エンジニアからのフィードバックは、エンジニアが自身のミスや弱点を理解するのに役立ちます。コードレビューの定期的な実施は、問題解決能力を身に付けるよいトレーニングにもなるでしょう。

人材開発を行う手順

(出典)https://unsplash.com/

エンジニアの人材開発に着手しようと思っても、何をどこから進めてよいのか迷ってしまう企業の担当者は少なくありません。

人材開発には一連の流れがあります。ポイントを押さえながら、PDCAサイクル(Plan・Do・Check・Action)を回していきましょう。

目的やビジョンの明確化

目的・ビジョンの明確化が最初のステップです。経営目標や事業計画を基に、「人材開発によって何を実現したいのか」「企業の目標を実現できる人材とはどのような人物なのか」を定義しましょう。

人材像を定義する際は、企業で担うべき役割やポジションはもちろん、能力や習得すべき技術スキルまでを具体的に洗い出します。「エンジニアの成長目標と組織全体の目標をどのように結び付けるか」を考えることも重要です。

計画の作成

次のステップは計画作成です。自社の人材データベースを基に従業員の資質やスキルを把握し、それぞれに最適なアプローチ法を探っていきます。

人材開発の手法には、研修トレーニングやメンターシップ、プロジェクトの参加などがあります。「エンジニアと組織の成長にどのように作用するのか」を考慮しながら、具体的な計画に落とし込んでいきましょう。

計画内容には、経営者の意向だけでなく、現場の声を適切に反映させましょう。トップの意向とボトムのニーズが乖離しないような工夫が必要です。

協力部署や関係者への周知

人材開発は、経営層や人事部だけで進められるものではありません。全ての従業員に周知した上で、各部署や関係者に協力を仰ぎましょう。エンジニアの意欲的な参加を促すためには、以下のポイントをしっかりと説明する必要があります。

  • エンジニア人材開発の目的と意図
  • 人材開発のプラン内容

特に重要なのが、人材開発の目的と意図です。プラン内容やスケジュールだけを細かく説明しても、実施目的が曖昧であれば、主体的に参加しようという気は起こりません。

実行と改善を繰り返す

人材開発をスタートした後は、効果検証とフィードバックを行いましょう。対象のエンジニアからアンケートを集めたり、複数人にヒアリングをしたりして、アクションプラン通りに人材開発が進んでいるかを確認します。

うまくいかなかった箇所は原因を明らかにし、必要に応じて計画の調整を行います。実行→検証→改善を繰り返すことで、プラン内容は常にブラッシュアップされるでしょう。

エンジニアの人材開発に着手する企業は、小規模からスタートする手もあります。一部のエンジニアを対象に試験的に人材開発を行い、期待した効果が得られるようになった段階で対象従業員を広げます。

人材開発を成功させるポイント

(出典)https://unsplash.com/

人材育成にはなじみがあっても、人材開発に取り組んだことがない企業は多いものです。開発を成功させ、組織力の向上につなげるには、どのようなポイントを意識すればよいのでしょうか?

経営上の課題や目標と結び付ける

人材開発の取り組みは、経営計画や事業の方向性、経営課題の解決と結びつける必要があります。

企業が目指すべきゴールは、従業員の能力を最大限に引き出し、経営計画の実現や課題の解決につなげることです。人材開発は人材戦略であるため、経営層のビジョンや意向を十分に反映させなければなりません。

経営上の課題や目標にひも付いていない場合、人材開発に投じた時間や労力が無駄になるばかりか、人材開発に参加している従業員もゴールを見失います。自分の学びが組織の成果につながらないとなれば、モチベーションは大きく低下するでしょう。

組織全体を巻き込む

人材開発は全社的な取り組みです。人事部門の担当者だけで計画を進めず、組織全体を巻き込みましょう。特に、エンジニアの人材開発については、現場の管理職の協力が欠かせません。

IT業界やエンジニアの業務内容への知識が乏しい場合、「必要スキルが洗い出せない」「適切な人材配置ができない」「計画作成に時間がかかりすぎる」といったトラブルに見舞われます。

目的の明確化から効果検証に至るまで、経営・現場・人事の三位一体で進めていく必要があります。目標やプロセスは、組織全体で共有しましょう。

キーパーソンを設定する

人材開発を全社展開するには、キーパーソンを巻き込む必要があります。ここでいうキーパーソンとは、人材開発を進める上で影響力が比較的大きい人物を指します。

エンジニアの人材開発でいえば、プロジェクトマネージャーやチームリーダーなどが該当するでしょう。キーパーソンが主体的に技術や経験を共有すれば、その取り組みは自然と部署全体に広がっていきます。

メンターシップのように、他のメンバーを指導・教育する役割の人物がいた方が開発計画がスムーズに進みます。

対象者のキャリアや目標を設定する

人材開発は、企業の経営ビジョンの実現や課題解決が目的ですが、従業員自身が描くキャリアプランや目標も無視できません。

キャリアや働き方が多様化する時代、画一的な人材開発計画ではなく、従業員が主体的にスキルを高められる環境を整えることが肝要です。人材開発のプロセスでは、従業員一人一人に目標を設定させ、振り返りの機会を与えましょう。

個別化された人材開発は、エンジニアのキャリア形成を強力に後押しします。モチベーションや企業へのエンゲージメントが高まり、最終的には人材の定着がもたらされます。

人材開発で社員の能力を底上げする

(出典)https://unsplash.com/

エンジニアの採用難が続く中、中小企業にとって、エンジニアの人材開発は避けては通れない課題です。一昔前までは、組織内でマネジメント職を目指すルートが当たり前でしたが、近年は働き方やキャリアが多様化・複雑化しています。

優秀なエンジニアの流出を防ぎ、IT市場の変化に適応できる人材を確保するためにも、個別化された人材開発にすぐにでも着手する必要があるでしょう。

人材開発という人事戦略を成功させるための事前準備として、従業員のスキルを一覧表にしたスキルマップやタレントマネジメントシステムを導入するのが有効です。


この記事をシェアする