デジタル人材の採用状況は?エンジニア採用で重視すべき点や育成のコツなどを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年1月11日

Offers HR Magazine編集部

目次

デジタル人材の採用状況は?エンジニア採用で重視すべき点や育成のコツなどを解説

IT業界を中心として、近年はデジタル人材を積極的に採用する企業が増えています。特にIT技術の開発・導入を担うエンジニアは人気の職種で、採用が難しい状況です。デジタル人材の採用を成功させるポイントや、おすすめの採用手法などを解説します。

エンジニアなどデジタル人材の採用状況

ここ数年、多くの業界でDXが広まっており、IT業界のみならず、広くさまざまな業種でデジタル人材が求められています。まずはエンジニアをはじめとしたデジタル人材の採用状況について、Offers デジタル人材総研によるアンケート調査を基に、企業の動きを確認してみましょう。

Offersではサービスの利用者を対象として、以下の条件下でアンケート調査を実施しています。

調査対象:下記の条件に合致した81名

  • Offers登録者
  • 自社のデジタル人材採用に関わっている

多くの企業がデジタル人材の採用を強化

出典:デジタル人材採用の調査 2023 採用背景編〜2023年の採用状況の変化について採用を強化したという回答が48.1%〜 | Offers デジタル人材総研


2023年8月に行ったアンケートによると、ITエンジニアやデザイナーの副業・転職サービス「Offers」の利用者の中で、半数近くの企業がデジタル人材の採用を強化しています。採用状況が「変化していない」と回答した企業は約3割で、逆に「採用を絞った」と回答した企業は2割程度にとどまっている状況です。

IT業界においては、多くの企業が人材採用を強化していることが分かるでしょう。採用状況が変化していない企業も、すでにエンジニア採用に注力しているところが多いので、人材の獲得競争が激化しているのは間違いありません。

デジタル人材の不足が採用強化の背景に

多くの企業がデジタル人材の採用を強化している背景としては、IT市場においてデジタル人材の絶対数が不足気味である点が挙げられます。とりわけ即戦力となる人材を求める企業が多く、なかなか経験豊かなエンジニアの獲得ができない状況です。

今後さらにデジタル人材の不足が深刻になるともいわれているので、採用活動により一層の工夫が求められます。実際、後述するダイレクトリクルーティングやリファラル採用に注力する企業や、新卒採用・シニア世代の採用などに取り組む企業などが目立ちます。

参考:【調査報告】人事担当者に聞いた! デジタル人材採用の実態について 82.1%の企業がデジタル人材不足を実感 70.9%の企業が積極採用を実施するものの69.2%が採用に苦戦と回答 |株式会社ワークポートのプレスリリース

企業のDX推進も人材需要の増加の一因

デジタル人材は、もともとIT市場において不足気味とされていましたが、近年のDXの広まりも人材需要が増加している大きな要因です。AI(人工知能)やIoTなどの台頭により、業界を問わず多くの企業がデジタル技術を活用した業務効率化に着手しています。

エンジニアはデジタル技術の開発はもちろん、企業のDXにも欠かせない職種であり、これまで採用をしていなかった企業でも、積極的にエンジニアの獲得を始めています。

DXの推進によりデジタル技術が業務に深く関わるようになれば、長期的に運用・メンテナンスをする人材が必要になるため、今後も各方面でエンジニアの需要は伸び続けるでしょう。

企業が積極採用しているデジタル人材のレベル

出典:デジタル人材採用の調査 2023 採用観点編〜積極採用しているスキルレベルについてミドル層と答えた方が84.0%〜 | Offers デジタル人材総研

企業が積極的に採用しているデジタル人材としては、主に即戦力となるミドル層のエンジニアが多くなっています。Offersによるアンケート調査でも、対象の80%以上が、ミドル層(中堅・即戦力人材)のデジタル人材の採用に力を入れています。

次いで、多くの企業が注力しているのがシニア層の採用(約49%)で、新卒や第二新卒の採用に着手している企業は20〜35%程度です。シニア層はエンジニアとしての経験が長く、難易度が高めの業務に対応できる人が多いため、積極採用する企業が増えています。

人材のポテンシャルに期待して、新卒や第二新卒の採用に力を入れる企業も多くありますが、それ以上に高度なスキルセットを持つ人材や、自社の現状におけるプロジェクトで戦力となる人材を求める傾向にあるようです。

デジタル人材の採用を成功させるには?

上記のように、即戦力となるミドル層を中心として、エンジニアの人材採用に力を入れる企業が増えています。人材の獲得競争が激化する中で、デジタル人材の採用を成功させるには、以下のポイントを意識することが重要です。

人材採用の観点から課題を明確にする

デジタル人材は多くの企業が必要としていますが、具体的な採用ニーズは企業によって異なります。まずは自社がなぜデジタル人材を必要としているのか振り返り、人材採用の観点から自社の課題を整理しましょう。その上で、課題の解消に必要な人材の要件や、ペルソナなどを明らかにする必要があります。

人事部門が必ずしも自社の課題を正しく認識しているとは限らないため、開発現場をはじめ関係部署からヒアリングをした上で、前もって採用ニーズを確認することが大事です。

積極的に人材を獲得する姿勢が重要

即戦力となる人材の獲得を前提とした経験者採用は、とりわけ人材の獲得競争が激しいため、受け身の姿勢ではなかなか目的を達成することはできません。応募をかけても採用ニーズに合った人材が集まらない場合も多く、常に求人を出している企業も多くあります。

求職者側からのアプローチを待つだけではなく、企業側から積極的に人材を獲得する姿勢が必要です。詳しくは後述しますが、一般的な求人サイトや転職エージェントの利用に加えて、ダイレクトリクルーティングやエンジニアコミュニティーの利用なども検討しましょう。

求職者を引きつける環境整備も必要

優秀な人材は働きやすさや、自分の望むキャリアを実現できるかなどを重視して、応募する企業を選択する傾向にあります。多くの求職者を引きつけるために、ワークライフバランスの観点から労働環境を整備したり、スキルアップ・キャリアアップ制度を充実させたりすることも重要です。

さらに多くの企業は採用プロセスにおいても、優秀な人材を採用するために工夫をしています。以下でエンジニアの採用において、多くの企業が重視している採用プロセスを解説するので、ぜひ参考にしてみましょう。

多くの企業が重視している採用プロセス

Offersのアンケート調査によると、デジタル人材の採用に注力している企業が、特に重視している採用プロセスは次の通りです。

出典:デジタル人材採用の調査 2023 採用観点編〜2023年の採用状況の変化について採用を強化したという回答が48.1%〜 | Offers デジタル人材総研

書類選考や面接を重視する企業が多いのはもちろん、デジタル人材の採用では、カジュアル面談を重視する企業が多くあります。また、オファー面談などに注力する企業も3割程度あるので、ここでカジュアル面談や書類選考、オファー面談の概要や有効性について、しっかり押さえておきましょう。

カジュアル面談とは?

カジュアル面談とは、気軽な雰囲気で求職者と企業が面談し、互いの理解を深めるために設けられるものです。開催されるタイミングは企業によって異なりますが、一般的には求職者が応募を検討している段階において、お互いを知るために面談の時間が設定されます。

エンジニアをはじめ、デジタル人材の採用を狙うベンチャー企業が行う傾向があり、自社をアピールするのが第一の目的ではありますが、エンジニアとつながりを狙って面談をする企業も少なくありません。

カジュアル面談のメリット

エンジニア採用でカジュアル面談を実施するメリットは、まず現状において自社への応募を検討していない人も含めて、広く自社のことを知ってもらえる点が挙げられます。自社の労働環境やキャリア制度など、面談を通じて積極的にアピールすれば、応募を引き出せるケースもあります。

また、面談の結果、応募には至らなくても、将来的に応募してもらえる可能性を高められるのもメリットです。面談を通じて相互理解を深められれば、採用のミスマッチの防止にもつながります。カジュアル面談のやり方については、以下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてみましょう。

エンジニア採用に有効な「カジュアル面談」の目的や実施効果、やり方について解説 | Offers HR Magazine

面接や書類選考のポイント

エンジニア採用では、特に採用すべき人材のペルソナを明らかにして、評価すべきポイントを明確にしなければいけません。採用基準とともに人事部内でしっかりと共有しておきましょう。

また、できる限り面接や書類選考において、現場のエンジニアに協力してもらう必要があります。技術面の知識をフォローしてもらうのに加えて、面接担当者の選び方にも注意が必要です。エンジニア採用における面接担当者の選び方に関しては、以下の記事で解説しています。

エンジニア採用の面接官はどう決める?適性やスキル、面接官が押さえておくべきポイントを解説 | Offers HR Magazine

オファー面談の有効性

オファー面談とは内定者に対して実施するもので、入社後の労働条件や業務内容などに関して、企業側が詳細に説明するためのものです。

面談の内容によっては、内定者側から辞退の申し出をされる恐れもありますが、逆に条件が合えば、内定辞退を防いで入社してもらえる可能性を高められます。とりわけエンジニアのように人材の獲得競争が激しい職種の場合、オファー面談で内定者に入社を決意してもらい、採用に結び付けることが重要です。

オファー面談では何を確認する?

オファー面談では内定者に対して、主に以下の点を確認します。

  • 年収(給与額)
  • 福利厚生
  • 具体的な業務内容
  • 就業場所(部署・部門)や就業時間
  • 評価制度
  • 入社後のキャリアに関して など

オファー面談では求人票や面接時の説明では、足りなかった情報を提示し、内定者に確認してもらう必要があります。また、内定者側から不明点や疑問点を提示してもらい、解消することも重要です。内定者の不安を取り除くことで、スムーズに採用につなげられます。

デジタル人材の採用に有効な手法

ニーズに合ったデジタル人材を採用するには、求人サイトや求人サービス・転職エージェントなどの利用に加えて、以下の手法も検討しましょう。特にエンジニア採用では、企業側から人材にアプローチするダイレクトリクルーティングが基本となります。

ダイレクトリクルーティングが採用の基本に

ダイレクトリクルーティングはスカウト型採用とも呼ばれ、求人サイトのスカウト機能やSNSなどを通じて、採用ニーズに合う人材に直接オファーを出す方法です。

エンジニア採用では一般的に導入されており、大手企業に比べて知名度が低めの企業でも、アプローチ次第で優秀なエンジニアの獲得につなげられます。

ピンポイントでニーズに合う人材を採用プロセスに乗せるため、求人サイトや転職エージェントを通じて採用するよりも、コストを抑えられるのもメリットです。スカウト型採用に向いている企業や成功のポイントに関しては、以下の記事で解説しています。

スカウト型採用はエンジニア採用に最適?ターゲット人材の探し方 | Offers HR Magazine

社員による紹介(リファラル採用)

社員や自社の関係者から、採用ニーズにマッチした人材を紹介してもらう方法も有効です。古くは縁故採用の一種と捉えられていましたが、近年はリファラル採用と呼ばれて使い分けられ、エンジニアの採用でも盛んに導入されています。

自社の採用ニーズはもちろん、具体的な業務内容や職場環境、キャリアアップ制度などに精通した社員からの紹介なので、採用後のミスマッチが起こりづらいのがメリットです。

また、一般的な採用とは異なり、基本的に書類選考や一次面接なども経る必要がないため、採用コストの削減にもつながります。紹介を通じて転職潜在層にもアプローチできるので、これからエンジニア採用を考えている企業は、社員から紹介を受けることも検討してみましょう。

エンジニアコミュニティーの利用

エンジニア採用の場合、コミュニティーを利用して採用に結び付ける方法もあります。近年はエンジニアのコミュニティーが採用チャネルとして注目されており、採用担当者がコミュニティーに参加し、他のエンジニアと関係を構築することで、自社にスカウトする企業が増えています。

実際、Offers デジタル総研の調査によると、以下のようにTECH PLAYやForkwellなど、登録者数が1.5万人を超えるコミュニティーもあり、有望な採用チャネルとして有名です。

※調査対象:ITエンジニア向けイベントの登録が多いポータルサイトであるconnpass、TECHPLAYを中心に下記の条件に該当するコミュニティーをピックアップ

  • カテゴリ・コミュニティー登録がある
  • 調査日段階で100名以上の登録がある
  • 調査日前後半年以内に活動が実施されている

出典:ITエンジニアコミュニティレポート 〜採用手法として注目を集めるエンジニアコミュニティ 最新動向を調査~ | Offers デジタル人材総研

有名企業が主催しているコミュニティーも多く、うまく活用すればエンジニアのつながりを利用した採用が可能になるでしょう。地方拠点のコミュニティーなどもあります。

デジタル人材の育成にも注力しよう

デジタル人材の採用とともに、人材育成にも力を入れることが重要です。優秀な人材ほど学習意欲が高いので、十分な学習機会を提供するとともに、適材適所の人材配置も心掛けましょう。

積極的に学習機会を提供する

エンジニアをはじめとしたデジタル人材は、自ら必要な技能を身に付けようとする人が多いため、企業として積極的に学習機会を提供することが大切です。

新人に対する研修プログラムの充実や、定期的な勉強会やセミナーなどの開催、さらにはeラーニングの導入などもおすすめです。必要に応じて外部研修なども検討しましょう。エンジニアの人材育成のポイントに関しては、以下の記事でも解説しています。こちらも参考にしてください。

エンジニアの人材育成のポイントは?計画の立て方やおすすめの手法 | Offers HR Magazine

資格取得のサポートも有効

デジタル人材の育成には、IT関連の資格取得を支援するのもおすすめです。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施している資格にはITストラテジストやITサービスマネージャをはじめ、プロジェクトマネージャなど、エンジニアの業務や役割に有用な資格が多くあります。

また、今後はAIやビッグデータに関する資格も登場する可能性があるので、自社の将来を見据えつつ、人材育成の一つとして支援プログラムを導入するのもよいでしょう。資格の取得費用の一部を負担したり、資格を取得したら特別手当を支給したりすることで、社員のモチベーションを上げることも可能です。

デジタル人材は副業採用も有効

一般的な人材採用に加えて、デジタル人材は副業採用も有効なやり方です。最後に副業採用のメリットや、おすすめの媒体を紹介します。

副業採用の特徴とメリット

副業採用は必要な期間のみ、必要な技能を有する人材を活用できる点や、採用コストを抑えられる点などが特徴です。即戦力となる人材と契約すれば、人材育成のコストはかからず、副業人材を通じて自社にない知識や技能を得られるケースもあります。

一般的に副業に従事している人材は、自ら案件を取らなければならないため、十分な経験を有している場合が多く、人手不足をスムーズに補うのに役立ちます。正社員と比較して、人件費も抑えられるのもメリットです。

副業採用なら「Offers」の利用がおすすめ

副業人材との契約を検討しているならば、即戦力となるITエンジニアや、デザイナーの採用に定評のある「Offers」がおすすめです。企業が本当に必要な人材をスピーディーに採用でき、副業採用から一般採用まで対応できます。

さらに、求職者と社内の人事担当者とのつながりを利用して、副業のオファーも出せるので、リファラル採用の媒体としても役立つでしょう。応募管理機能も充実しており、採用担当者の業務効率化にも有効です。この機会に利用してみましょう。

Offers「オファーズ」 - ハイクラスITエンジニア/デザイナーの副業・転職サービス

戦略的にデジタル人材の獲得を目指す

デジタル人材の採用状況や、エンジニア採用で重視すべきポイントなどを解説しました。近年は多くの企業がデジタル人材の採用に力を入れており、特に優秀なエンジニアの獲得が難しくなっています。積極的に採用ニーズに合った人材にアプローチするのに加えて、求職者を引きつける工夫も必要です。

また、人材採用とともに人材の育成にも力を入れるようにしましょう。デジタル技術は日進月歩なので、業界のトレンドやプロジェクトのニーズに合わせて、社員が必要な知識やスキルを身に付けられる環境を整備することが大事です。適材適所の人材配置を実現して、自社の競争力を高めましょう。


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