エンジニアのリファラル採用はトラブルが多い?採用を成功させるためのポイントを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年2月5日

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エンジニアの採用が難しいとされる昨今、リファラル採用に着手する企業が増えてきました。人材の定着率アップや採用コストの削減など、多くのメリットがある一方、トラブルも報告されています。リファラル採用でよくあるトラブルや、その対処法を解説します。

エンジニアのリファラル採用で起こりがちなトラブル

リファラル採用はエンジニアの採用活動をはじめとして、いまや多くの業種で一般的に導入されている手法です。採用ニーズに合った人材を獲得しやすく、採用コストを削減できるなどのメリットがありますが、以下のようなトラブルを抱える企業も少なくありません。

候補者と紹介者の関係が気まずくなる

紹介を受けた候補者が結果的に不採用になった場合、紹介者との関係が気まずくなる恐れがあります。候補者にとっては知人や友人からの紹介案件であり、一般採用に比べて採用される確率が高いと考えるでしょう。紹介の仕方によっては、採用が確約されていると思い込む人もいます。

そこで不採用になった場合は、とりわけ落胆が大きく、紹介者に対して、その後の付き合い方を変える人が出てくる可能性があります。

一方、紹介者も自分が声を掛けた手前、候補者に対して後ろめたい気持ちになる人も多いでしょう。紹介が結果に結び付かなければ、その後の人材紹介を控えるようになる場合もあります。

紹介者のエンゲージメントが低下する

リファラル採用が成果につながらなければ、紹介者の組織へのエンゲージメントが低下するのに加えて、仕事へのモチベーションも下がってしまう場合もあります。

上記のように人材を紹介しても、結果的に不採用にされてしまった場合、紹介者の社員は候補者との関係が気まずくなることもあるでしょう。

紹介者にしてみれば、自分の人間関係にトラブルが生じる結果になり、所属企業に不信感を持つ可能性があります。場合によっては、退職や離職を考える可能性もゼロではありません。

同じような人材が集まってしまう

エンジニアのリファラル採用において、多くの人材を採用した結果、同じようなエンジニアが集まる事態になるケースもみられます。

当然、同じスキルセットのエンジニアを、数多く必要としている企業は問題ないでしょう。しかし、エンジニアの同質化を避けたい企業にとっては、採用の仕方を工夫しなければいけません。

現状において、リファラル採用で大量の人材を雇用する企業はまれですが、複数の人材の紹介を受ける場合は、その都度要件を明確にすることが重要です。

インセンティブに関する問題が発生する

リファラル採用では、インセンティブ目当てでニーズに合わない人材の紹介が発生したり、違法性が問題となったりする場合もあります。

インセンティブの付与は、人材の紹介を増やすには欠かせませんが、社員が報酬目的でよく考えずに友人や知人を紹介する可能性もあります。報酬目当てで、露骨に紹介を連発するケースはほとんどないにしても、社員が採用ニーズをあまり考慮せず、不適切な候補者を推薦するケースは決して珍しくありません。

また、詳しくは後述しますが、インセンティブを職業紹介の報酬として、社員に提示することは違法なので注意が必要です。紹介料を社員に支払う場合、金額や支払い条件などに関して、法令をよく確認しておかなければいけません。

エンジニアのリファラル採用が失敗する原因

上記のよくあるトラブルの発生を含めて、結果的にエンジニアのリファラル採用が失敗してしまう原因として、主に以下の点が挙げられます。採用すべき人材が共有されていなかったり、制度の作り込みが甘かったりする場合、失敗する可能性が高くなります。

採用すべき人材が共有できていない

企業全体で採用すべき人材が共有できていない場合、社員もどのような人材を紹介すべきか判断できないため、紹介が起こらない可能性があります。たとえ人材の紹介が発生しても、ニーズに合わず不採用の結果に終わる場合が多いでしょう。

さらに不採用が頻発した場合、徐々に紹介する社員がいなくなる場合も考えられます。インセンティブ目当ての質の悪い紹介が多くなり、リファラル採用の制度そのものを疑問視する社員も出てくるでしょう。

制度の運用ルールの設定や作り込みが甘い

制度の作り込みや周知が甘く、社員の協力を得られない企業もよくみられます。社員が人材を積極的に紹介しようとする仕組みを構築できていない場合や、そもそも社員がなぜ友人や知人を紹介する必要があるのか、よく分かっていない場合も少なくありません。

上記のように採用基準が曖昧な状況も含めて、制度設計が甘く運用ルールも明確に定めないまま、社員の紹介を促しているケースは多くあります。まずはしっかりと地固めをした上で、採用をスタートすることが大事です。

人材紹介に関する法律の知識が不足している

人材紹介に関する法律知識がない場合、インセンティブに関してトラブルに発展する可能性があるので、注意しなければいけません。

大前提として、社員に職業紹介の報酬を支払うのは、法律(職業安定法)により禁止されています。リファラル採用で社員に金銭的なインセンティブを提供する場合、事前に人材紹介を社員の業務の一部とする必要があります。

その上で、企業として人材紹介は報酬が発生する業務の一部である旨に関しても、就業規則や報酬に関する規程に明記しなければいけません。

また、職業安定法に準拠している場合でも、あまりにも高すぎる報酬は問題とされる可能性もあります。リファラル採用のインセンティブは数万円で、高くても30万円程度が相場です。常識的な範囲に収めるようにしましょう。

参考:職業安定法 第40条(報酬の供与の禁止)|e-Gov 法令検索

リファラル採用のトラブルを避けるポイント

リファラル採用におけるトラブルを避けるためには、以下のように採用目的や採用条件を明確にするのに加えて、選考プロセスも工夫しなければいけません。それぞれ見ていきましょう。

採用目的と条件を明確にする

まずは採用目的を人事部内でよく確認し、採用すべき人材の要件や運用のガイドラインなどを設定しましょう。その上で、決定した内容を全社的に共有する必要があります。社員になぜ人材の紹介を求めているのか、どういった人材を紹介してもらいたいかなど、具体的に説明しなければいけません。

また、インセンティブについても明確に規定し、人材の紹介によりどのようなメリットがあるか、社員に正確に理解してもらう必要があります。制度の概要やルールについて、社員が日常的に確認できるところで周知しましょう。社内掲示板やグループウェア、ビジネスチャットなどに掲載するのが有効です。

社内周知を徹底することで採用ニーズに合った人材の紹介を引き出し、不採用になる可能性や採用後のミスマッチを軽減することが、トラブルの回避につながります。

選考のプロセスを工夫する

リファラル採用でも選考プロセスの見直しや調整が必要です。候補者や紹介者にできる限り負担をかけないために、選考プロセスを進められるように工夫しましょう。紹介者と採用担当者の間でコミュニケーションを密にし、情報の共有も徹底する必要があります。

また、採用する人材の同質化を防ぐためにも、他の採用手法と組み合わせることも大事です。一般的な求人サイトや転職エージェントはもちろん、エンジニア採用の場合はダイレクトリクルーティングにも注力しましょう。

さらに、紹介者が自社の情報を提供しやすいようにサポートすることも重要です。近年はリファラル採用向けのツールも数多くリリースされているので、ツールの導入で業務効率化を図ることも検討するとよいでしょう。

リファラル採用は定量的な測定と改善が成功のカギ

リファラル採用を成功させるには、定量的な効果測定と改善を繰り返すことが重要です。たとえ入念な準備の下で運用を始めても、どこかで問題が生じる可能性が高いので、定期的に効果を測定し、問題点や改善点を洗い出しましょう。

紹介数や面談の回数、採用率などをKPIに設定しておけば、具体的な改善策を打ち出しやすくなります。人事部門が中心となって計画と実行・効果測定・改善のサイクルを回していきましょう。

なお、リファラル採用の効果を高め、成功に導くためのポイントに関しては、以下の記事で解説しています。こちらも参考にしてください

リファラル採用とは?メリットや注意点、効果を高めるポイントを解説 | Offers HR Magazine

トラブルを防ぐ準備をして優秀な人材を採用する

リファラル採用はニーズに合った人材をスムーズに獲得しやすく、採用にかかるコストも削減できるといったメリットがある一方で、さまざまなトラブルが発生する可能性もあります。

不採用にすることで候補者と紹介者の関係が気まずくなったり、紹介者の組織に対するエンゲージメントが低下したりするケースは決して珍しくありません。よくある失敗の原因を理解し、対策をしておくことが重要です。採用目的と採用すべき人材の要件を明確にして、社内でしっかりと共有しておきましょう。

また、必要に応じて選考プロセスの見直しや改善も必要です。人事部門が中心となり、制度の運用と改善のPDCAサイクルを回す必要があります。初めから完璧な制度運用はまず不可能なので、継続的な改善を重ねることにより、安定して人材を紹介してもらえる体制を構築しましょう。


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