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求人票を出しても、自社が求めるエンジニアの採用につながらない企業は、アピールすべき内容や情報発信の方法を再検討する必要があります。エンジニア採用に有効な訴求ポイントや自社の魅力を見つけるコツ、採用ブランディングの重要性を解説します。
エンジニア採用で企業がアピールすべき点は?
社会のデジタル化やDXの促進により、これまでIT人材を必要としなかった企業でも、エンジニア採用の必要性が高まっています。
エンジニアの有効求人倍率は上昇傾向にあり、優秀な人材を確保できる企業とできない企業の二極化が進んでいるのが現状です。エンジニアに自社を選んでもらうには、どのような点をアピールすればよいのでしょうか?
適正・公正な人事評価体制
エンジニアの多くは、人事評価の妥当性・正当性を重視します。社員の能力や努力を適正かつ公正に評価できる人事評価体制が整っていることは、重要なアピールポイントになるでしょう。
エンジニアは高い専門性を必要とする技術職であり、営業職や事務職といった他の職種とは評価のポイントが異なります。全ての職種に同じ評価制度・評価基準を適用する企業の場合、大抵のエンジニアは「自分の能力や努力が正当に評価されるのかどうか」に疑問を感じるでしょう。
実際、会社の売り上げに直結しない業務や短期間で結果が出ない業務をこなすケースが多く、利益ベースの評価では、会社への貢献度を正しく測れません。技術力をきちんと評価できる上司がいなかったり、属人的な評価が横行していたりすると、人材の早期離職につながります。
技術者として成長できる機会
IT技術は日進月歩であり、エンジニアは常に自分の知識やスキルをアップデートしていく必要があります。
実際、「今の会社では技術的な挑戦ができない」「研修制度が充実した企業で働きたい」などの理由で転職をするエンジニアは少なくありません。技術者として成長できる機会を与えられる企業は、多くのエンジニアを引きつけるでしょう。以下は、訴求ポイントの一例です。
- グローバルなチームで開発経験が積める
- 大規模な開発案件に挑戦できる
- 最新技術を駆使した開発ができる
- キャリアプランに応じた研修プログラムがある
- 資格取得支援が充実している
企業としての成長性や将来性
大手企業のような知名度はなくても、市場での競争優位性が高い企業や将来性のある事業に取り組む企業は、エンジニアに注目されやすい傾向があります。
個人の成長は、組織の成長に左右されるといっても過言ではありません。事業の成長性が高ければ、より多くのプロジェクトに関われる上、責任ある仕事をどんどん任せてもらえます。成長意欲の高いエンジニアにとって、多くの挑戦をしながらキャリアを着実に積んでいけるのは、大きな魅力といえるでしょう。
訴求の際は、キャッチーで聞こえの良い言葉を並べるよりも、自社の事業の強みや優位性を技術的な面からしっかりと伝えることが重要です。技術的な優位性がないスタートアップ企業の場合は、現時点における戦略や投資状況などをできるだけ具体的に伝える必要があります。
柔軟性のある勤務形態や働き方
近年は、働き方改革やワークライフバランスの推進により、多様な働き方を認める企業が増えてきました。今後もその流れは加速するでしょう。
エンジニアは、パソコンとインターネット環境さえあれば、時間や場所を問わずに仕事ができるため、リモートワークや在宅勤務、フレックスタイム制を望む人が少なくありません。副業を認めているかどうかも企業選びの決め手になるようです。
優秀なエンジニアほど、生産性や合理性を重視します。柔軟性のある勤務形態や働き方を認めている企業は、積極的にアピールしましょう。ライフスタイルに応じてカスタマイズできる福利厚生や手当も魅力的な要素の一つです。
エンジニアへの訴求ポイントを見極める方法
訴求ポイントを見極める方法としては、「社内エンジニアへのヒアリング」や「3C分析による自社分析」などが有効です。人事担当者のみでプロセスを進めず、現場責任者やエンジニア職の社員に協力を仰ぎましょう。
社内のエンジニアにヒアリングする
職種やポジションが異なれば、訴求ポイントも変わります。エンジニア経験がない人事担当者だけで話し合いを進めても、ターゲットの心に刺さる訴求ポイントはなかなか思い浮かびません。
経験者採用で入社したエンジニアがいれば、「自社のどこに魅力を感じたのか」「他社との違いは何か」をヒアリングしましょう。匿名のアンケート調査なら、社内の評価を気にせずに済むため、より率直な意見を収集できます。エンジニア採用の実績がない場合は、求める人材に近いポジションの社員に話を聞く手もあります。
エンジニア職の社員に協力を依頼する際は、ヒアリングの目的や採用活動に関わるメリットを丁寧に説明しましょう。
3C分析で自社の状況を確認する
訴求ポイントを明確にするには、自社分析が欠かせません。フレームワークは複数ありますが、自社の立ち位置と競争優位性を知るために有効なのが「3C分析」です。
3C分析とは、自社を取り巻く環境を「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の三つの観点から分析する手法で、市場における自社のポジションや強み、弱みの把握に役立ちます。採用活動に活用する場合は、「Customer」を「Candidate(候補者)」に置き換えましょう。
また、競合他社の求人情報を分析することで、自社の強みや魅力を新たに発見できます。給与や待遇などの面において、他社が求職者にどのような訴求をしているかをチェックしましょう。
エンジニア採用における3C分析の有効性については、以下のコラムで詳しく解説しています。
エンジニア採用の「3C分析」とは?有効性や必要な手順、ポイントなどを解説 | Offers HR Magazine
エンジニアへの訴求方法も検討しよう
いくら魅力的な訴求ポイントを打ち出しても、ターゲットとなる人材に情報が届かなければ、応募者は集まりません。求人票を掲載するだけでなく、エンジニアにマッチしたチャネルを活用して、積極的に情報発信を行う必要があります。
オウンドメディアの運用
エンジニアの訴求方法として一般的なのが、オウンドメディアの運用です。オウンドメディア(Owned Media)とは、情報を発信する媒体(メディア)の中で、自社が所有して管理するものを指します。
- ホームページ
- 自社の採用サイト
- テックブログ
- メールマガジン
- 公式SNS
- 広報誌
- パンフレット
オウンドメディア運用のメリットは、一般的な求人票に掲載しきれない情報を自由に掲載できる点です。社員のインタビューや社内の様子、1日の業務の流れなどを紹介すれば、求職者は自分が働く姿をリアルにイメージできるでしょう。
自社のエンジニアが定期的にテックブログを更新すれば、自社の開発環境や開発技術に興味を持つ応募者が集まります。
SNSでの情報発信
近年は、SNSで情報収集をするエンジニアが増えています。SNSを採用広報に活用するメリットは、転職顕在層だけでなく、転職潜在層にも情報を届けられる点です。
企業とユーザーのコミュニケーションによって相互理解が深まるため、採用のミスマッチの防止にもつながります。SNSのチェックを日課とするユーザーは多く、企業内のイベントやプロジェクトの宣伝媒体としても有用でしょう。
ただし、SNSで情報発信をしたからといって、すぐに優秀なエンジニアが採用できるわけではありません。知名度の低い中小企業やスタートアップ企業は、情報発信によってユーザーからのポジティブな評価を増やし、戦略的に自社をブランド化していくことが重要です。
また、SNSにはさまざまな種類があるため、ターゲットが日常的に利用していそうなものを選ぶ必要があります。
イベントやセミナーの開催
エンジニアは常に学びと成長の機会を求めており、優秀な人材ほど積極的に情報収集をしています。技術に関するイベントやセミナーを定期的に開催し、現役エンジニアとのタッチポイントを増やしましょう。
参加者は、必ずしも転職を希望しているとは限りません。ただし、自社の事業内容や開発技術を知ってもらうことが転職のきっかけになるケースがあります。自社の社員が、企業文化や働きやすさをアピールすれば、「自分もこんな会社で働いてみたい」という意欲が湧くかもしれません。
イベントやセミナーの開催に当たり、開催目的を明確にした上で、ふさわしいテーマや社内メンバーを選ぶ必要があります。終了後は、アンケートの回収や次回セミナーの案内、カジュアル面談の実施など、参加者のフォローアップを忘れずに行いましょう。
採用ブランディングにも力を入れる
エンジニアの採用市場は売り手が優勢であり、企業は求職者に選ばれる立場にあるといっても過言ではありません。
複数の媒体を使ってやみくもに情報を流すのではなく、中長期的な採用ブランディングを通じて、自社のファンを増やすことを考えましょう。採用ブランディングとは、求職者の入社意欲を高めるために、自社を戦略的にブランド化していく取り組みを指します。
具体的には、企業のビジョン・事業内容・職場の雰囲気・キャリアパスといった情報を一貫して発信し続けることで、「働く場」としての企業のイメージが向上します。自社のニーズに合った応募者が増えるほか、採用コストの削減にもつながるのがメリットです。
採用ブランディングの流れや成功のポイントは、以下のコラムで詳しく解説しています。
採用ブランディングとは?エンジニア採用における重要性や成功のポイント | Offers HR Magazine
訴求ポイントを明確にして優秀な人材の採用につなげる
労働人口の減少やIT市場の拡大などにより、エンジニアの採用はますます難しくなっています。採用合戦の勝敗は、エンジニアの心に刺さる訴求ポイントを打ち出せるかどうかにかかっているといってもよいでしょう。
職種やポジションが変われば、訴求ポイントも変わります。現場担当者やエンジニア職の社員に協力を仰ぎ、「自社のどこに魅力があるか」「他社にはない強みは何か」を洗い出すところから始めましょう。訴求内容だけでなく、訴求方法の選定や採用ブランディングにも力を入れる必要があります。
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