SESの意味とは?派遣契約との違いやメリット・デメリットを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年8月29日

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こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。ITエンジニアの人材不足が叫ばれる昨今、多くの企業がシステム開発やIT関連業務の外部委託を検討しています。その中で注目を集めているのが「SES」という契約形態です。SESとは何か、どのような特徴があるのか、そしてメリットやデメリットは何かについて、詳しく解説していきます。

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SES(System Engineering Service)とは

SESは、IT業界で広く利用されている人材サービスの一形態です。その特徴や意味を理解することは、企業の人材戦略を考える上で非常に重要です。

SESの基本的な意味

SESは「System Engineering Service」の略称で、日本語では「システムエンジニアリングサービス」と訳されます。この契約形態では、SES企業がクライアント企業にエンジニアを派遣し、クライアント企業の指示のもとでシステム開発や保守、運用などの業務を行います。

SESの基本的な特徴は以下の表にまとめられます。

特徴

説明

契約形態

準委任契約または請負契約

業務内容

システム開発、保守、運用など

指揮命令

クライアント企業が直接行う

勤務場所

主にクライアント企業内

契約期間

プロジェクト期間や一定期間

SESは人材派遣と似ているようで、実は大きく異なります。最大の違いは契約形態にあり、SESは労働者派遣法の適用を受けない点が特徴的です。

SESの歴史と背景

SESの概念が日本で広まったのは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてです。この時期、IT業界の急速な発展に伴い、高度な技術を持つエンジニアの需要が急増しました。

SESが登場した背景には、以下のような要因があります。

要因

説明

IT人材の不足

急速なIT化に人材育成が追いつかなかった

労働者派遣法の規制

派遣期間の制限などがあり、長期プロジェクトに対応できなかった

コスト削減の要請

正社員雇用よりも柔軟な人材調達が求められた

技術の専門化

特定の技術に特化したエンジニアの需要が増加した

このような背景から、労働者派遣法の規制を受けずに柔軟な人材サービスを提供できるSESが注目を集めるようになりました。

SESの具体的な契約形態

SESの契約は、通常、準委任契約または請負契約の形を取ります。この契約形態の特徴は以下の通りです。

契約形態

特徴

準委任契約

業務の完了ではなく、業務の遂行そのものを目的とする契約形態

請負契約

成果物の完成を目的とする契約形態

準委任契約の場合、SES企業はクライアント企業に対して「善良な管理者の注意」をもって業務を遂行する義務を負います。一方、請負契約の場合は、定められた成果物を完成させる義務を負います。

SESの契約形態は、クライアント企業のニーズや業務の性質に応じて柔軟に選択できる点が大きな利点です。長期的なシステム開発プロジェクトや、業務内容が流動的な案件に対しても柔軟に対応できます。

SES契約の特長

SES契約には、他の人材サービスとは異なる独特の特長があります。これらの特長を理解することで、SESが企業にとってどのような価値を提供できるかが明確になります。

SESと他の契約形態の違い

SESは、一見すると派遣や業務委託と似ているように見えますが、実際には大きな違いがあります。以下の表で、SESと他の契約形態の違いを比較してみましょう。

項目

SES

派遣

業務委託

契約形態

準委任または請負

労働者派遣契約

請負契約

法的根拠

民法

労働者派遣法

民法

指揮命令権

クライアント企業

クライアント企業

SES企業

雇用関係

SES企業

派遣会社

SES企業

契約期間

柔軟に設定可能

原則3年まで

プロジェクト期間

業務範囲

システム開発中心

幅広い業種・職種

特定の業務や成果物

SESの最大の特徴は、クライアント企業が直接指揮命令できる点です。これにより、クライアント企業は自社の社員と同じように柔軟にエンジニアを活用できます。

SESの法的な位置付け

SESは労働者派遣法の適用を受けないため、法的には以下のような位置付けになります。

項目

内容

根拠法

民法(準委任契約または請負契約)

労働者の立場

SES企業の正社員

労働条件の決定

SES企業が決定

社会保険

SES企業が加入・負担

安全衛生責任

SES企業が負う

この法的位置付けにより、SESはクライアント企業にとって柔軟な人材活用が可能になる一方で、エンジニアの権利も守られる形となっています。

SESの指揮命令権の所在

SESにおける指揮命令権の所在は、この契約形態の最も重要な特徴の一つです。

項目

内容

指揮命令権の所在

クライアント企業

業務内容の決定

クライアント企業

勤務時間・場所の指定

クライアント企業

評価・フィードバック

クライアント企業が行い、SES企業にも共有

クライアント企業が直接指揮命令を行えることで、プロジェクトの進行に応じた柔軟な対応が可能になります。ただし、この特徴は同時に偽装請負のリスクも内包しているため、適切な運用が求められます。

SESのメリット

SESには、クライアント企業とエンジニアの双方にとって多くのメリットがあります。これらのメリットを理解することで、SESの活用価値がより明確になります。

クライアント企業側のメリット

SESを活用することで、クライアント企業は以下のようなメリットを得ることができます。

メリット

説明

柔軟な人材確保

必要な時に必要なスキルを持つエンジニアを確保できる

コスト削減

正社員雇用に比べて人件費や福利厚生費を抑えられる

技術力の補完

自社にない技術力を外部から調達できる

プロジェクト管理の容易さ

自社社員と同じように直接指示できるため、管理が容易

長期プロジェクトへの対応

派遣とは異なり、長期プロジェクトにも柔軟に対応可能

特に、高度な技術を持つエンジニアを必要な期間だけ確保できる点は、多くの企業にとって大きな魅力となっています。自社で育成するには時間とコストがかかる専門性の高い人材を、即戦力として活用できるのです。

エンジニア側のメリット

SESはエンジニア側にとっても、キャリア形成やスキルアップの面で多くのメリットがあります。

メリット

説明

多様な経験

様々な企業やプロジェクトに携わることができる

スキルアップ

最新技術や大規模プロジェクトに触れる機会が多い

安定した雇用

SES企業の正社員として安定した雇用を得られる

キャリアパス

技術力を活かしたキャリア形成が可能

給与水準

高度なスキルに応じた報酬を得やすい

エンジニアにとってSESは、安定性と成長機会を両立できる魅力的な働き方の一つとなっています。特に、若手エンジニアにとっては、短期間で多様な経験を積むことができる点が大きな利点です。

SESを活用することで得られる成果

SESを適切に活用することで、企業は以下のような成果を得ることができます。

成果

説明

開発スピードの向上

必要なスキルを持つエンジニアをタイムリーに投入できる

品質の向上

専門性の高いエンジニアの参画により、高品質な開発が可能

イノベーションの促進

外部の知見や最新技術の導入がしやすい

コスト効率の改善

必要な時に必要な人材を確保でき、固定費を抑えられる

リスク分散

プロジェクトの成否に応じて柔軟に人材を調整できる

これらの成果は、企業の競争力強化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進にも大きく貢献します。

SESのデメリットと課題

SESには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや課題も存在します。これらを理解し、適切に対処することが、SESを成功させるカギとなります。

SES契約のリスク

SES契約には、以下のようなリスクが伴います。

リスク

説明

偽装請負

実態が労働者派遣に近い場合、法的問題に発展する可能性がある

スキルミスマッチ

期待したスキルを持つエンジニアが確保できないリスク

コミュニケーション不足

SES企業、クライアント企業、エンジニア間の意思疎通が不十分になるリスク

セキュリティリスク

外部人材による情報漏洩のリスク

知的財産権の問題

成果物の帰属や利用権に関する問題が発生するリスク

特に偽装請負のリスクは重大で、労働局から指導を受ける可能性もあります。適切な契約形態と運用が求められます。

SESにおける指揮命令権の問題

SESの特徴である指揮命令権の所在は、同時に問題を引き起こす可能性もあります。

問題

説明

二重の指揮命令

SES企業とクライアント企業の双方から指示を受け、混乱が生じる

エンジニアの帰属意識

どちらの企業に帰属しているのか不明確になる

評価の齟齬

SES企業とクライアント企業の評価基準が異なる場合の問題

労務管理の責任

残業や休暇取得などの管理責任が不明確になる

これらの問題を回避するためには、SES企業とクライアント企業の間で明確な取り決めを行い、エンジニアにも適切に伝達することが重要です。

SES企業の選び方の注意点

適切なSES企業を選ぶことは、SESを成功させる上で非常に重要です。以下の点に注意が必要です。

注意点

説明

技術力

求める技術スキルを持つエンジニアを確保できるか

実績

類似プロジェクトの実績があるか

契約内容

契約条件が明確で、偽装請負のリスクがないか

サポート体制

トラブル発生時のサポート体制が整っているか

価格

提供されるサービスに見合った適正な価格か

優良なSES企業を選ぶことで、多くのリスクを回避し、SESのメリットを最大限に活用することができます。慎重な選定プロセスを経ることが重要です。

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SES企業の選び方

適切なSES企業を選ぶことは、SESを成功させる上で非常に重要です。以下に、SES企業の選び方について詳しく解説していきます。

優良SES企業の特徴

優良なSES企業には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を押さえることで、信頼できるパートナーを見つけることができます。

特徴

説明

豊富な実績

多様な業界や規模のプロジェクトの実績がある

高い技術力

最新技術に精通したエンジニアを多数抱えている

充実した教育制度

エンジニアの継続的なスキルアップを支援している

透明性の高い契約

契約内容が明確で、偽装請負のリスクが低い

充実したサポート体制

プロジェクト中のトラブルに迅速に対応できる

高い顧客満足度

リピート率が高く、顧客からの評価が良い

健全な財務状況

安定した経営基盤を持っている

特に、エンジニアの教育に力を入れている企業は、常に高品質なサービスを提供できる可能性が高いです。エンジニアのスキルアップがクライアント企業の利益にも直結するからです。

ブラックSES企業の見極め方

一方で、いわゆる「ブラックSES企業」も存在します。これらの企業を避けるためには、以下のような兆候に注意が必要です。

兆候

説明

不透明な契約内容

契約書の内容が曖昧で、偽装請負のリスクが高い

過度な低価格

市場価格を大きく下回る価格設定

エンジニアの高い離職率

エンジニアの定着率が低く、頻繁に担当者が変わる

不十分な社内教育

エンジニアの教育制度が整っていない

評判の悪さ

オンライン上の評判や口コミが著しく悪い

法令違反の履歴

労働基準法違反などの法令違反の履歴がある

これらの兆候が見られる企業とは、契約を結ばないことが賢明です。短期的にはコスト面で有利に見えても、長期的には大きなリスクとなる可能性が高いからです。

SES企業の選び方のポイント

適切なSES企業を選ぶためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

ポイント

詳細

実績の確認

類似プロジェクトの実績や、取引先企業の規模や業種を確認する

技術力の評価

保有する技術者のスキルレベルや資格取得状況を確認する

契約内容の精査

契約書の内容を詳細に確認し、不明点は質問する

価格の妥当性

市場価格と比較し、適正な価格設定かを判断する

企業の安定性

財務状況や企業規模、設立年数などを確認する

コミュニケーション

営業担当者との対話を通じ、コミュニケーションの質を評価する

第三者評価

業界団体の加盟状況や、各種認証の取得状況を確認する

特に重要なのは、単に表面的な情報だけでなく、実際のコミュニケーションを通じて企業の質を見極めることです。面談や提案のプロセスを通じて、その企業の姿勢や文化を感じ取ることができます。

SES企業の選定は、プロジェクトの成否を左右する重要な要素です。時間をかけて慎重に選ぶことが、長期的には大きな利益につながります。

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まとめ

SESは、IT業界における重要な人材活用の手法として定着しています。その特徴やメリット、デメリットを正しく理解し、適切に活用することで、企業の競争力強化につながります。

SESの活用は、単なる人材調達の手段ではなく、企業の技術力向上や組織の柔軟性を高めるための戦略的な選択肢の一つとなっています。適切なSES企業を選び、Win-Winの関係を構築することが、SESを成功させるカギとなるでしょう。

技術の進化が加速する現代において、SESは企業とエンジニアの双方にとって魅力的な選択肢となっています。ただし、その活用には慎重さと戦略性が求められます。本記事で紹介した内容を参考に、自社に最適なSESの活用方法を見出していただければ幸いです。

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