IT人材不足とは、IT関連産業およびユーザー企業において、DX推進やシステム開発を担うIT人材の供給が需要に追いつかない状態です。経済産業省(METI)の「IT人材需給に関する調査」では2030年に最大約79万人が不足すると試算されており、2026年現在、IT人材の転職求人倍率は11.2倍と全職種平均の約4.7倍に拡大しています(レバテック2025年6月時点)。

本記事では、IT人材不足の最新データ、経産省調査の正しい読み解き方、5つの根本的原因、企業への影響、そしてAI活用を含む7つの対策まで解説します。

IT人材不足の現状データ

IT人材不足は、2026年現在、数字の上でも採用現場の実感としても過去最悪水準に達しています。国内外の最新データから、不足の規模と切迫度を確認します。

IT人材の求人倍率11.2倍、国内データが示す売り手市場

IT人材の採用がどれほど困難か。最も端的に示すのが求人倍率です。

エンジニア・クリエイター向け人材サービスを手がけるレバテックの調査によると、2025年6月時点のIT人材の転職求人倍率は11.2倍。正社員求人数は前年同月比152%にまで膨らんでいます。全職種の転職求人倍率が2.40倍(doda、2026年2月)であることと比較すると、IT人材の需給ギャップの大きさが際立ちます。

採用計画への影響も大きく、レバテック(レバレジーズ)が2025年に実施した調査では、約3割の企業が採用数目標達成の見通しが立っていないと回答しました。一方で、約4割の企業が前年度より採用人数を増加させており、「採りたいのに採れない」という状況が鮮明になっています。

背景にあるのはAI需要の爆発的な拡大です。ChatGPTが一般公開された2022年11月から2年半で、生成AI関連の求人数は29.7倍に増加しました(レバテック調べ)。AI人材の争奪戦が、IT人材市場全体の需給バランスをさらに押し上げている構図です。

IT人材不足のグローバルデータ、90%の組織に影響と5.5兆ドル損失

IT人材不足は日本だけの問題ではありません。

IT調査会社インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の予測(2024年5月発表)によると、2026年までに世界の90%超の組織がITスキル不足の影響を受け、その損失額は5.5兆ドル(約830兆円)に達する見通しです。損失の内訳は、製品開発の遅延、競争力の低下、ビジネス機会の喪失。IT人材不足は単なる採用課題ではなく、企業の収益を直接蝕む経営リスクです。

世界経済フォーラム(WEF)の『Future of Jobs Report 2025』も、2030年までに1.7億の新規雇用が創出される一方で9,200万の既存職が消失し、純増7,800万のうちAI・ビッグデータ関連が最も伸びると予測しています。技術人材の需要は増え続ける一方、供給が追いつく見込みはありません。

IT人材不足2030年79万人データの正しい読み方

「2030年に79万人不足」。IT人材不足の記事で必ず引用されるこの数字ですが、前提条件を正確に理解している方は多くありません。経産省調査の構造を正しく読み解きます。

IT人材需給の高位・中位・低位3シナリオの違い

経済産業省が2019年3月に公表した「IT人材需給に関する調査」(みずほ情報総研委託)は、IT需要の伸び率を3段階で試算しています。

  • 高位シナリオ(IT需要の伸び率3〜9%)。2030年に約79万人が不足
  • 中位シナリオ(IT需要の伸び率2〜5%)。2030年に約45万人が不足
  • 低位シナリオ(IT需要の伸び率1%)。2030年に約16万人が不足

よく引用される「79万人」は最も需要が伸びるシナリオの数字です。ただし、生成AIの爆発的普及やDX投資の加速を考えると、2019年の想定より需要の伸びは上振れしている可能性が高いという点は押さえておく必要があります。

もう一つ見落とされがちな前提があります。この調査では、2019年をピークにIT関連産業への入職者が退職者を下回り、IT人材は減少に向かうと予測されました。つまり需要が増え続ける一方で、供給側も仕組みとして細っていくのです。IT人材の平均年齢は2030年まで上昇を続け、産業全体の高齢化も同時に進行します。

先端IT人材と従来型IT人材で異なる不足の実態

同調査のもう一つの重要なポイントは、IT人材を「先端IT人材」と「従来型IT人材」に分けて試算している点です。

  • 先端IT人材(AI・ビッグデータ・IoT等)。全シナリオで不足が拡大
  • 従来型IT人材(既存システムの運用保守等)。供給過多の可能性あり

IT人材不足の本質は「人数」の問題ではなく「スキル」の問題です。従来型のシステム運用・保守を担う人材は将来的に余る一方で、AI・クラウド・セキュリティなどの先端技術を扱える人材は大幅に足りません。この二重構造が、「IT人材不足は嘘」と「IT人材不足は重大な課題」という相反する主張が同時に成り立つ理由です。

IT人材不足を引き起こす5つの根本的要因

IT人材不足は一朝一夕に生じたものではありません。複数の根本的要因が重なり合い、年々深刻化しています。

少子高齢化による労働人口の減少とIT人材の不足

最も根本的な要因は、日本全体の労働力人口の減少です。厚生労働省の推計によると、2040年の労働力人口は2017年比で約870万人減少する見通しです。IT産業も例外ではなく、経産省の調査が示すように2019年をピークに入職者が退職者を下回る構造に入っています。

さらに、IT人材の年齢構成は年々高齢化が進んでいます。2015年には35〜39歳の割合が最も高かったのが、2020年には40〜44歳にシフト。30〜34歳の割合は11.2%まで低下しました。若手の流入が細る一方でベテラン層の退職が進む——この人口動態は、採用の工夫だけではカバーしきれない根本的な問題です。

DX需要の急増で全産業にIT人材が必要

DX(デジタルトランスフォーメーション)の波が全産業に広がったことで、IT人材の需要は従来のIT企業だけでなく、製造業、金融、小売、物流、医療など、あらゆる業種で急増しました。

情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2025」によると、日本企業の85.1%がDX推進人材の不足を訴えています。JUAS(日本情報システム・ユーザー協会)の「企業IT動向調査2026」でも、生成AIを導入済みの企業は全体の33.9%、大企業(売上1兆円以上)では85.1%に達しており、AI活用の拡大がDX人材の需要をさらに押し上げています。

AI・クラウド・セキュリティの需要爆発と先端IT人材不足

テクノロジーの進化が加速するほど、それを扱える人材への需要と既存人材のスキルギャップが広がります。

レバテックの調査では、セキュリティ人材の転職求人倍率は50倍超で全職種1位。生成AI関連の求人数はChatGPT公開から2年半で29.7倍に膨張しました。WEFの『Future of Jobs Report 2025』も、2030年までに求められるスキルの39%が変化すると予測しています。

技術の変化が速すぎて、育成が追いつかない。これがIT人材不足の「質」の側面を加速させている要因です。

IT人材のIT企業集中とユーザー企業の不足

日本のIT人材は、欧米と比較してIT企業(SIer、SES等)に偏在しています。経産省のデータによると、日本ではIT人材の約7割がIT企業に所属し、ユーザー企業(事業会社)側には3割程度しかいません。米国ではこの比率がほぼ逆転しています。

DXを推進したいのはユーザー企業ですが、そこにIT人材がいない。結果として外注依存が強まり、内製化が進まず、DXの成果も限定的になるという悪循環が生じています。

IT人材不足が招く2025年の崖とレガシーシステム問題

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」は、老朽化したレガシーシステムを放置した場合、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が発生すると警鐘を鳴らしました。これが「2025年の崖」です。

2025年を過ぎた今、経産省は「レガシーシステムモダン化委員会」を設置して対応状況を検証しています(2025年5月、総括レポート公表)。レガシーシステムの刷新にもIT人材が必要であり、既存システムの維持と新システムの構築の両面で人材を奪い合う状態が続いています。

IT人材不足は嘘か本当かをデータで検証

「IT人材不足は嘘だ」という声は、実はまったくの的外れではありません。ただし、その主張が当てはまる範囲は限定的です。

「嘘」と言われる理由は従来型IT人材の供給過多

「嘘」と指摘される根拠は主に2つあります。

1つ目は、経産省の調査自体が「従来型IT人材はむしろ余る」と示唆している点です。既存システムの運用・保守を担う人材は、クラウド移行やSaaS化の進展で需要が縮小する可能性があります。

2つ目は、未経験者を大量に受け入れるSES企業の存在です。「人手不足」と言われながらも、実務未経験のエンジニアが就職に苦労するという現象は、求められているのが「人数」ではなく「スキル」であることの証左です。

「本当」に深刻な先端IT人材の大幅な不足

一方、AI・クラウド・セキュリティ・データサイエンスなど先端領域の人材不足は紛れもない事実です。

セキュリティ分野の求人倍率は50倍超。生成AI関連求人は2年半で29.7倍。Gartnerの調査では最高情報責任者(CIO)の86%が有能な候補者の獲得競争激化を報告しています。日経クロステックの調査でも、大企業の約8割がIT人材不足を実感しているという結果が出ました。

「嘘」なのは「IT人材は全体として足りない」という大雑把な議論のほう。「先端IT人材は大幅に不足しており、従来型IT人材はスキル転換が急務」——これが2026年時点でのIT人材不足の正確な実態です。

IT人材のスキルミスマッチという本質的課題

McKinseyの調査では、経営幹部のわずか16%しかDX推進に十分な技術人材を確保できておらず、60%の企業が人材不足をDXの最大の阻害要因と回答しています。

WEFの予測する「2030年までにスキルの39%が変化する」という数字は、今いるIT人材のスキルがここ数年で陳腐化するリスクも示唆しています。人材の「数」を増やすだけでなく、既存人材のスキル転換を同時に進めなければ、不足は解消しません。

IT人材不足が企業に与える4つの影響

IT人材が採れない影響は、人事部門の悩みだけに留まりません。事業成長の停滞、セキュリティリスクの増大、そして国家規模の経済損失——データが示すインパクトは想像を超えるものです。

IT人材不足で85.1%の企業が実感するDX推進の停滞

IPAの「DX動向2025」が示す数字は明確です。日本企業の85.1%がDX推進人材の不足を訴えている。米国やドイツと比較しても著しく高い割合であり、日本企業のDX推進が制度面で遅れている最大の要因が人材不足であることがわかります。

DXの遅れは抽象的な話ではありません。新規事業の立ち上げが遅れ、既存事業のデジタル化が進まず、顧客体験の改善が止まる。競合がDXで先行すれば、市場シェアを奪われるリスクに直結します。

IT人材不足によるセキュリティリスクの増大

セキュリティ人材の求人倍率が50倍超という数字は、多くの企業でセキュリティ体制が脆弱なまま放置されている可能性を示唆しています。サイバー攻撃は年々高度化しており、人材不足がそのまま企業のリスクエクスポージャーになる。情報漏洩やランサムウェア被害が発生すれば、損害賠償、信用失墜、事業停止と、取り返しのつかないダメージを被ります。

IT人材獲得コストの高騰と採用競争の激化

需要と供給のギャップが大きいほど、人材の「価格」は上がります。

転職ドラフトのデータによると、エンジニアの平均提示年収は2020年の644万円から2024年には791万円へと、5年間で147万円(約23%)上昇しました。SE(システムエンジニア)の月額単価も60〜70万円から75万円超に上昇しています。

採用単価の高騰は人件費の増加に直結し、特に資金力に限りがあるスタートアップや中小企業にとっては、大企業との採用競争で不利な立場に立たされます。

IT人材不足の「2025年の崖」が示す年間最大12兆円の経済損失リスク

経産省のDXレポートが警告した「2025年の崖」は、レガシーシステムを放置した場合に年間最大12兆円の経済損失が発生するという試算です。2025年を過ぎてもレガシーシステムの刷新は道半ばであり、IT人材不足がシステム更新のボトルネックになっている企業は少なくありません。

IDCの予測を改めて引用すれば、ITスキル不足によるグローバルの損失は5.5兆ドル(約830兆円)。AI活用による業務効率化で2027年までに1兆ドルの損失を削減できる可能性があるとされており、AI人材の確保が損失縮小の鍵を握っています。

IT人材のエンジニア求人倍率・単価推移の最新動向

IT人材不足は、求人倍率と単価の推移を見れば一目瞭然です。採用計画の策定や経営層への報告に使える最新データを整理します。

IT人材の転職求人倍率は全職種の4.7倍

レバテックが公表するIT人材の転職求人倍率は11.2倍(2025年6月時点)。全職種の転職求人倍率2.40倍(doda、2026年2月)と比べて約4.7倍の開きがあります。

IT・通信分野に限定したdodaのデータでも求人倍率は高水準を維持しており、特にAI関連スキルを持つ人材への需要が集中しています。レバテックの調査では、2025年度にIT人材の採用を「増加した」と回答した企業は約4割にのぼり、企業側の採用意欲は依然として強い状況です。

IT人材・エンジニアの有効求人倍率(厚生労働省データ)

厚生労働省の職業安定業務統計によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.75倍(2025年1月、パート除く常用)。新規有効求人倍率は3.4倍(2026年1月)でした。

全職業の有効求人倍率(約1.2倍)と比較するとIT人材の需給逼迫は明らかですが、レバテックやdodaの民間データほど極端な数値にはなりません。これはハローワーク経由の求人が民間転職サービスの求人をすべてカバーしているわけではないためです。実態としては、民間データと公的データの両方を見て判断する必要があります。

IT人材の年収・単価はどこまで上がるか

エンジニアの「市場価格」は明確な上昇トレンドにあります。

指標

数値

出典

エンジニア平均年収

約550万円(全業種平均の1.2倍)

各種調査(2025年)

平均提示年収の推移

644万円(2020年)→ 791万円(2024年)

転職ドラフト

SE月額単価

60〜70万円(2024年)→ 75万円超見込み(2025年)

SES市場調査

上位職種の平均年収

ITアーキテクト・データサイエンティスト 746万円

各種調査(2025年)

5年間で提示年収が147万円上昇したという事実は、IT人材の需給逼迫がそのまま報酬に反映されていることを示しています。特にAI・データサイエンス・セキュリティなどの先端領域では、年収1,000万円超のオファーも珍しくなくなりました。

採用する側にとっては、予算の見直しが不可避です。ただし、年収を上げれば採れるという単純な話でもありません。後述するように、採用手法の多様化やAI活用による効率化が、コストを抑えながら成果を出す現実的な解になります。

IT人材不足に効く7つの対策

IT人材不足に万能の処方箋はありません。しかし、複数の対策を組み合わせることで状況を改善できます。即効性のある施策から中長期の取り組みまで、7つの解決策を整理します。

IT人材採用手法を多様化するダイレクトリクルーティングとAI RPO

従来の求人広告やエージェント依存から脱却し、企業側から能動的にアプローチする手法が広がっています。

ダイレクトリクルーティングは、データベースから候補者を検索し、企業が直接スカウトを送る採用手法です。エンジニア採用では特に有効で、転職潜在層にリーチできる点が強みです。

スカウト運用の工数が課題であれば、AI RPO(AI × 採用代行)を活用してスカウト業務の負担を減らす選択肢もあります。

IT人材の社内育成・リスキリング

即戦力の外部採用が難しいなら、社内で育てるという発想です。非IT部門の社員をIT人材として育成するリスキリングは、多くの企業で取り組みが始まっています。

ただし、リスキリングには時間がかかります。McKinseyの調査では、80%の組織が「アップスキリングが最も効果的」と認識しつつも、実際に投資を計画している企業は28%にとどまっています。「やるべき」と「やっている」の間のギャップを埋めることが課題です。

IT人材SES・派遣の戦略的活用

プロジェクト単位での人材調達として、SES(システムエンジニアリングサービス)や技術者派遣は即効性の高い手段です。自社の正社員で賄えないピーク時の稼働や、特定の技術領域に限定した短期的な補強に向いています。

ただし、SES人材は自社に定着しないため、ナレッジの蓄積やチームの一体感には限界があります。コアメンバーは自社採用で確保し、変動部分をSESで補完する、という使い分けが現実的です。

ハイクラスIT人材の採用とリテーナープラン活用

CTO・VPoE・エンジニアリングマネージャー(EM)など採用難易度の高いポジションは、通常のエージェント経由では推薦が来ないケースも多く見られます。

こうしたハイクラスポジションには、専任チームが予算にコミットする予算型リテーナープランのような専門サービスが選択肢になります。35,000人超のエンジニアデータベースから専任チームが候補者をサーチし、アプローチします。

IT人材不足対策としてのオフショア開発

ベトナム、インド、フィリピンなど海外のIT人材を活用するオフショア開発は、コスト面での優位性が注目されてきました。しかし近年はコストだけでなく、国内で確保できない規模のエンジニアリソースを海外から調達するという「供給力」の観点が重視されています。

コミュニケーションコストやタイムゾーンの問題は依然として残りますが、ブリッジSEの配置やアジャイル開発手法の導入で対処する企業が増えています。

IT人材不足に対するAI・ノーコード/ローコードによる省人化

IT人材を「増やす」のではなく、「必要な人数を減らす」アプローチです。

生成AIによるコード生成、テスト自動化、ドキュメント作成の効率化が進んでおり、開発工程の一部をAIが代替できるようになっています。ノーコード/ローコードツールを活用すれば、非エンジニアでも業務アプリケーションを構築可能です。

IDCの試算では、AI活用によって2027年までにITスキル不足による損失を1兆ドル削減できるとされています。

IT人材の労働環境・待遇の改善

採用するだけでなく、辞めさせないことも同じくらい大切です。Gartnerの調査では、IT人材のうち現職に留まる意向が高い従業員は29%のみ。つまり7割以上が転職を視野に入れている状況です。

リモートワーク、フレックスタイム、技術カンファレンスへの参加支援など、エンジニアが重視する労働環境を整えることが、採用力と定着率の両方を高めます。

IT人材不足をAI採用で乗り越えるAI RPO

リスキリングは成果が出るまで時間がかかる。SESは定着しない。オフショアはコミュニケーションコストが大きい。従来の対策に限界を感じている採用担当者の方にとって、AIを活用した採用効率化は新たな解決軸になります。

IT人材獲得のAIスカウトによる採用効率化

スカウト業務は、候補者の検索、文面の作成、送信、返信対応と、膨大な工数がかかります。ここにAIを導入することで、採用チームのリソースを大幅に解放できます。

Offersが提供する「AIスカウト生成機能」は、求人情報と候補者の経歴データを照合し、一人ひとりに最適化されたスカウトメッセージを自動生成します。スカウト文作成の工数が80%削減され、承諾率は13.1%から31.7%へ242%改善した実績があります(2024年10月リリース)。

IT人材のAI RPOによる採用プロセスの効率化

個別のAIツール導入を超えて、採用プロセス全体をAIで最適化し、外部パートナーが運用まで担う。これがAI RPO(AI × 採用代行)という形態です。

自社でAI採用システムを構築するのは、多くの企業にとってハードルが高いのが現実です。AIと採用代行のノウハウを併せ持つ外部パートナーを活用することで、採用プロセスの質を維持しながら工数を圧縮できます。

IT人材不足の時代に、採用チーム自体も人手不足であるという矛盾。AI RPOはこの矛盾を解消する現実的なアプローチです。

Offersで正社員のIT人材・エンジニアを採用する

Offersには35,000人超のプロダクト開発人材が登録しており、経験3年以上のエンジニアが44.7%を占めています。AIスカウト機能でパーソナライズされたスカウトを効率的に送ることができ、採用リードタイムは平均35.4日です。

転職市場に出ていない潜在層にもリーチできるため、従来のエージェントでは出会えなかった人材との接点が生まれます。

IT人材不足を乗り越えた企業の採用事例(課題別マトリクス)

IT人材不足と一口に言っても、企業が直面する課題は「先端人材」「マネジメント層」「ニッチ技術」「ゼロからの組織立ち上げ」「継続的な大量採用」などで大きく異なります。Offers導入企業の事例を、採用課題の類型別にマッピングして紹介します。

スタンバイの検索・ML人材確保、予算型リテーナーで2ヶ月で正社員化

LINEヤフーとビジョナルの合弁会社である株式会社スタンバイは、求人検索エンジンの中核を担う機械学習・バックエンド/フルスタックのハイクラス人材の採用に苦戦していました。検索・機械学習という超専門領域は母集団の絶対数が小さく、通常の採用チャネルでは期間にコミットできないのが実情です。

施策はOffersの予算型リテーナープランを活用。専任チームが予算と期間にコミットし、通常の転職市場には出てこない潜在層にアプローチしました。

成果は2ヶ月で機械学習・バックエンド/フルスタック領域のハイクラス正社員を採用。Offersに登録している技術レベルの高い人材にダイレクトにリーチできた点が成功要因です。先端IT人材の不足が最も顕著な領域で、転職市場に出てこない層への能動的アプローチが効いた事例です。

出所:Offers導入事例「スタンバイ」

HRBrainのVPoE採用、選考4ヶ月・面談5回で1名を正社員化

人事評価クラウドを提供するHRBrainは、開発組織を60名から200名規模へ拡大する計画のもと、組織をリードするVPoEの採用を必要としていました。

施策はOffersを導入し、VPoE要件を明確化したうえで候補者を絞り込み。書類選考通過率の高い候補者に丁寧に向き合い、選考4ヶ月・面談5回のプロセスを経て意思決定しました。

成果はVPoE 1名の正社員採用に成功。希少性の高いマネジメント層のポジションでも、要件に合致した母集団にダイレクトにリーチできた点が成功要因でした。エージェント経由では推薦が回ってきにくいポジションの典型的な解です。

出所:Offers導入事例「HRBrain」

ビットキーのIoT複合スキル採用、Software Edge Deviceチーム1名を正社員化

IoT・デジタルコネクトサービスを提供する株式会社ビットキーは、IoT・クラウド・ネットワークを横断する複合スキルを持つエンジニアの確保が課題でした。開発組織90名規模の中で、Software Edge Deviceチームのソフトウェアエンジニアという母集団が限定された領域での採用です。

成果はSoftware Edge Deviceチームのソフトウェアエンジニア1名の正社員採用に成功。従来型IT人材と違い、IoT・組込・基盤といったニッチ技術人材は求人倍率が高く、ピンポイント型のダイレクトリクルーティング(DR)が効果を発揮します。

出所:Offers導入事例「ビットキー」

CollaboGate Japanのシード期ゼロスタート、AI RPOで3ヶ月8名を採用

Web3/ディープテック領域のスタートアップであるCollaboGate Japanは、シード期で開発組織が存在せず、採用ノウハウもリソースもない状態からエンジニア組織の立ち上げが必要でした。

施策はOffersのAI RPOプランを導入。採用戦略の設計からスカウト実行まで一括でアウトソーシング。

成果は3ヶ月で8名のテックリード級エンジニアを採用。社内に採用専任者を置けないシード期では、AI × 運用代行を組み合わせて外部に委ねる判断が合理的です。

出所:Offers導入事例「CollaboGate Japan」

ナイルのAIスカウト伴走、リードエンジニア1名+業務委託2名を確保

デジタルマーケティング事業を展開するナイル株式会社は、主要な求人媒体やエージェントを活用しても、求めるスキルと志向性を兼ね備えた人材の採用に至らない状況が続いていました。

施策はOffersのAIスカウト生成機能と運用代行プランを導入。AIが求人情報と候補者の経歴データを照合し、個人に最適化されたスカウトメッセージを自動生成。

成果は以下のとおりです。 - スカウト文作成の工数が80%削減 - スカウト承諾率が13.1%から31.7%に上昇(242%改善) - リードエンジニア1名の正社員採用、業務委託2名の獲得

AIによるパーソナライズと運用代行の組み合わせは、採用工数が限られる中でDRを軌道に乗せる現実解です。

出所:Offers導入事例「ナイル株式会社」

SmartHRが年間30名以上のエンジニア採用を正社員中心で継続

SmartHRは、開発組織70名以上(正社員9割)の体制を維持しながら年間エンジニア採用30名以上を継続しています。Offersを活用したサーバサイド正社員採用も実現しており、バリューに合致する人材への直接アプローチを継続的に回せる仕組みが、スケールする開発組織の採用を支える構造になっています。IT人材不足の時代に「継続的に」確保し続けるパターンとして参照できる事例です。

出所:Offers導入事例「SmartHR」

本記事の要点

IT人材不足は、少子高齢化、DX需要の急増、技術変化のスピード、人材の偏在、レガシーシステム問題という5つの根本的要因が重なり合って生じています。経済産業省の試算で2030年に最大79万人、IDCの予測でグローバルの損失は5.5兆ドルという数字が示す通り、事態は年々深刻化しています。

  • IT人材不足の本質はスキルミスマッチ。従来型IT人材は将来的に余る一方、AI・クラウド・セキュリティの先端IT人材は大幅に不足しています
  • エンジニアの転職求人倍率は11.2倍。提示年収は5年で147万円上昇しており、「待ち」の採用では確保できない時代に入りました
  • リスキリング・SES・オフショアといった従来の対策に加え、AIを活用した採用効率化が、IT人材不足を乗り越える新たな解決軸になっています

スカウト運用の工数削減や採用プロセスの効率化を検討している方は、Offers AI RPOプランをご確認ください。CTO・VPoEなどハイクラスポジションの採用には、予算型リテーナープランもご用意しています。