返信が来ないスカウトの内訳
開かれていない41.9%と、開かれたが動かない41.6%
送ったスカウトが返ってこない状態は、性質の違う2つが混ざっています。開封すらされていないものと、開封されたうえで反応が無いものです。
2025年9月から2026年8月に正社員求人へ紐づけて送られたスカウト31,008通のうち、41.9%が開かれないまま止まっていました。開かれたが動かなかったものは41.6%で、ほぼ同じ量です。
止まった工程 | 件数 | 全体に占める割合 |
|---|
開かれないまま、返信もない | 12,997通 | 41.9% |
開かれたが、返信がない | 12,885通 | 41.6% |
辞退の返信 | 3,787通 | 12.2% |
承諾 | 1,339通 | 4.3% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人へのスカウト送信・n=31,008・2025年9月〜2026年8月送信。
「返信が来ない」と一括りにしている25,882通は、こうして半分ずつに割れます。未開封の12,997通には、文面をどれだけ直しても届きません。文面の改善が届くのは開かれた側で、返信のない12,885通に加え、辞退の返信が来た3,787通も含みます。
開封された分だけで見た返信率は28.4%
送信数を分母にすると、返信率は16.5%・承諾率は4.3%です。ここには未開封の分が混ざっているので、送信数だけを見ていると文面の良し悪しが判定できません。
開封された18,002通に分母を絞ると、返信があったのは5,117通で28.4%、承諾は1,330通で7.4%です(同集計・n=18,002)。読んだ人の3割近くは何らかの返事をしていますが、その大半は辞退の返信です。
自社の数字を同じ形で割ってみて、開封率が5割を切っているなら、手を入れる場所は文面ではなく、まず送る相手です。採用活動全体の段階ごとの数え方は中途採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方に整理しました。
採用ページや求人票など、送る相手から見える自社の公開情報を確かめたい場合は、エンジニア採用力チェックで企業URLから5指標24項目の採点を受け取れます。
成果が出ている企業との差は開封と承諾の両側に出る
承諾率で4分位に割ると開封率が21.8ポイント違う
同じプラットフォームで同じ候補者プールに送っていても、企業ごとの結果の開きは大きいものです。その差がどの工程から生まれているかを見ると、優先順位が決まります。
期間中に100通以上を送った68社を承諾率の昇順に17社ずつ4群へ割ると、下位群の開封率は45.5%、上位群は67.3%でした。差は21.8ポイントあります。
群 | 企業数 | 送信数 | 開封率 | 開封後の返信率 | 開封後の承諾率 | 承諾率 |
|---|
第1四分位(下位) | 17社 | 10,043通 | 45.5% | 26.8% | 4.7% | 2.1% |
第2四分位 | 17社 | 9,030通 | 58.9% | 26.9% | 6.0% | 3.6% |
第3四分位 | 17社 | 5,265通 | 68.2% | 30.0% | 7.2% | 4.9% |
第4四分位(上位) | 17社 | 4,903通 | 67.3% | 30.1% | 11.6% | 7.9% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・100通以上を送った68社・n=29,241・2025年9月〜2026年8月送信。
開封された後の返信の差は3.3ポイントにとどまる
同じ表を開封後の列で読むと、返信率は下位群26.8%・上位群30.1%で、差は3.3ポイントです。開封率の21.8ポイントに比べると小さい差です。
ただし同じ開封後でも、承諾率のほうは4.7%から11.6%へ6.9ポイント開いています。読ませた後の差は、返事をもらうところでは小さく、承諾まで行くところで大きく開きました。
承諾率そのものの開き(2.1%対7.9%)は、開封率の開き(45.5%対67.3%)よりも、開封後の承諾率の開き(4.7%対11.6%)のほうを強く反映しています。差が開封の時点に寄っているのは、返信までを見たときです。
開封率の並びも単調ではありません。第3四分位の68.2%は上位群の67.3%をわずかに上回っており、承諾率が最も伸びる第3から第4への移りは、開封率が下がったうえで起きています。
それでも手を入れる順として開封の工程が先に来るのは、そこで脱落した相手には文面の改善がそもそも届かないからです。誰に送るか、どの件名で送るかが、書き方よりも先に母数を決めています。
文面そのものの中身で差が出た要素は別稿に分けました。スカウト文面の書き方|承諾率を分けた要素では、面談の提案の有無と本人の発信への言及を同じ基準で比べています。
送信量の多さは承諾率の高さに結びついていない
下位群は送信数が最も多く、4群のなかで唯一1万通を超えています。上位群の送信数は4,903通で、下位群の半分以下です。それでも承諾率は7.9%と、下位群の2.1%を上回っています。
ただし4群は承諾率そのもので割ったものなので、群の間で承諾率が開くこと自体は切り方の帰結です。ここで読めるのは、送信数の多い群が承諾率の高い群にはなっていない、という点までです。
送信量そのものを軸に群を割り直した比較は出していないため、量を増やす設計の可否をこの集計で判定することはできません。
送信量を増やす前に対象の絞り込みを見直すなら、母集団形成とは?応募を待たない中途採用の設計が対象設定の考え方をまとめています。送る工程ごと外に出す選択肢はAI RPOで扱っています。
送る相手の状態で開封率は大きく分かれる
1社からしか受け取っていない候補者の開封率は26.5%
この集計で開封率の差が最も大きく出た軸は、候補者が期間中にスカウトを受け取った企業の数です。件名や送信者名義は測っていないので、要因の順位付けまではできません。受け取った社数は、候補者がそのプラットフォームをどれだけ見ているかを映している可能性がありますが、ログインの頻度そのものは測っていません。
期間中に1社からしかスカウトを受け取っていない候補者の開封率は26.5%でした。10社以上から受け取っている候補者は73.1%で、46.6ポイントの開きがあります。
受け取った企業数 | 候補者数 | 送信数 | 開封率 | 返信率 | 承諾率 |
|---|
1社 | 3,397人 | 3,397通 | 26.5% | 9.6% | 2.9% |
2社 | 1,455人 | 2,910通 | 42.1% | 14.2% | 3.9% |
3〜4社 | 1,317人 | 4,459通 | 52.0% | 16.1% | 4.4% |
5〜9社 | 1,324人 | 8,668通 | 58.9% | 19.0% | 4.5% |
10社以上 | 778人 | 11,574通 | 73.1% | 17.4% | 4.7% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人へのスカウト送信・n=31,008・2025年9月〜2026年8月送信。
受け取っているスカウトが少ない候補者ほど、開封も承諾も低い
他社が声をかけていない候補者を狙えば埋もれずに済む、という組み立てが成り立つなら、1社だけの群の数字がいちばん高くなるはずです。実際は逆で、承諾率も2.9%と4.7%で、10社以上から受け取っている群のほうが高くなっています。
理由として整合するのは、他社から声がかかっていない状態が「競争が無い」ではなく「その人が今そこを見ていない」を表している、という読み方です。転職を検討していない時期の登録者には、誰が送っても届きません。
この集計で支持されないのは、受け取っているスカウトが少ない個人を選びにいく設計です。年齢の幅を広げる、著名企業以外の在籍者を含めるといった、層そのものを広げる設計はこの集計では判定していません。
ただし、これは企業と候補者をまたいだ横断比較であって、同じ候補者に条件を変えて送った前後比較ではない点に注意が要ります。数字の差は候補者の状態と送り手の選び方の合計であり、因果としては読めません。
対象を選ぶ前に媒体そのものが合っているかを確かめる場合は、スカウト媒体の選び方|採用0人74.5%(スカウト経由)とOffers の企業向けサービスを突き合わせてください。
提示年収の上限と承諾率は途中で頭打ちになる
返信が来ないとき、提示する年収を引き上げる案が出ることがあります。この集計で出たのは、ある帯までは上げるほど承諾率が上がり、その先で逆に下がる形でした。
ここで割っているのは求人が提示する年収の上限であって、候補者の現年収ではありません。求人の提示年収の上限で帯を割ると、600〜799万円の3.1%から1,000〜1,499万円の5.2%まで承諾率は上がります。ところが1,500万円以上の帯は3.6%へ下がり、開封率も50.3%と低い水準でした。
提示年収の上限 | 帯ごとの企業数 | 送信数 | 開封率 | 返信率 | 承諾率 |
|---|
600万円未満 | 2社 | 124通 | 50.0% | 16.9% | 2.4% |
600〜799万円 | 39社 | 5,157通 | 53.6% | 14.2% | 3.1% |
800〜999万円 | 57社 | 8,198通 | 64.1% | 19.0% | 4.9% |
1,000〜1,499万円 | 67社 | 8,942通 | 62.6% | 17.9% | 5.2% |
1,500万円以上 | 25社 | 8,587通 | 50.3% | 14.2% | 3.6% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人へのスカウト送信・n=31,008・2025年9月〜2026年8月送信。
1,500万円以上の帯は25社・8,587通に集中しており、帯の値が一部の送り手に引っ張られている可能性があります。
読み取れるのは、上限を上げ続ければ返信が増える、という関係が確認できない点までです。800万円台に届いていない求人では引き上げに意味がありそうですが、そこから先は別の要因が結果を決めています。帯ごとの決め方はスカウトの提示年収の決め方と上げ幅の実勢にまとめています。採用にかける金額の全体像を組み直すときの土台は採用KPI管理シートです。
止まっている工程ごとに打ち手を分ける
開封で止まっているとき
開封率が5割を切っているなら、先に手を入れるのは送る相手の側です。承諾率の下位群は開封率が45.5%で、開封の時点で差が付いていました。件名とタイミングはこの集計では測っていませんが、開封の前に目に入る要素なので同じ工程で見直します。本文の書き直しは後回しにしてかまいません。
対象については、最終ログインや経歴の更新が新しい候補者に絞ることから始めます。受け取っているスカウトが極端に少ない層は、開封も承諾も低く出ていたからです(在席しているかどうかそのものは測っていません)。
件名は、職種と役割が一目で分かる形にします。企業名だけの件名や、汎用の呼びかけだけの件名は、通知欄で見分けが付きません。
対象の絞り込みを媒体側の機能で寄せる場合は、Offers の企業向けサービスで条件別の候補者検索とスカウトの自動配信を扱っています。
開封後に止まっているとき
開封率が6割を超えているのに返信が伸びない場合は、本文の内容を疑う番です。承諾率の上位2群も開封率は67〜68%台で、開封の時点ではもう差が出にくい状態だからです。この集計は本文の要素までは測っていないので、要素ごとの差は下のリンク先の実測を当てます。
確かめる点は、なぜその人に送ったのかが本文に書かれているか、次に何をすればよいかが1つに絞られているかの2つです。要件の羅列だけの本文は、読まれても行動につながりません。
要素ごとの差はスカウト文面の書き方|承諾率を分けた要素で実測しています。送信から返信対応までの工程を外部に委ねる選択肢はAI RPOで扱っています。
返信は来るが承諾に至らないとき
開封された分での返信が3割近くあるのに承諾が積み上がらない場合、詰まっているのは返信後の対応です。上位群と下位群の差が開封後の承諾率で6.9ポイント開いていたのは、この領域を含みます。
見る点は、返信から次の日程提示までの時間と、提示する場の重さです。いきなり選考の面接を置くと、情報収集の段階にいる候補者は降ります。
手法全体の設計はダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットを数値でに整理しました。工数を確保できない場合は予算型リテーナー採用のように、未消化分を返金する契約形態もあります。
返信が来ないときに最初に見る場所
スカウトが返ってこないとき、最初にやることは文面の書き直しではなく、止まっている工程の特定です。
実測では、返ってこなかった25,882通が、開かれないまま終わった12,997通と、開かれたのに返事が無かった12,885通にほぼ半分ずつ割れました。成果が出ている企業との差は、開封率で21.8ポイント・開封後の返信率で3.3ポイント・開封後の承諾率で6.9ポイントでした。返信をもらうところまでは開封の時点の差が大きく、承諾まで見ると開封後の差のほうが大きくなります。
開封が5割を切っているなら送る相手から、6割を超えているなら本文から手を入れる順です。送る相手から見える自社の公開情報を確かめるなら、エンジニア採用力チェックから始められます。