AIエンジニアを採用するには?人事部として知るべき基本知識と採用のポイント

Offers HR Magazine編集部 2024年2月26日

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目次

AI(人工知能)の発展は目覚ましく、さまざまな分野で活用されており、AI関連のシステムやサービスを開発するエンジニアも人気です。AIエンジニアの採用を検討している企業は、AIエンジニアの仕事内容や採用のポイントを知っておきましょう。

そもそもAIエンジニアとは?

AIエンジニアはその名の通り、AI(人工知能)の開発や、AIを活用したシステム・サービスの開発・提供などを担うエンジニアです。まずはAIエンジニアとはどのような仕事か、基本的なところを理解しておきましょう。

AIエンジニアの定義

AIを使ったシステムの開発やデータ解析を担うのが、AIエンジニアです。AIそのものがコンピュータープログラムであり、AI自体の開発をしているエンジニアも多くいます。

ただしビジネスシーンでは、主にAIを活用したシステムの開発・実装や、AIを使ったデータの収集・分析などをするエンジニアを指すのが一般的です。

AIエンジニアが活躍している領域は幅広く、仕事内容もエンジニアによって大きく変わってきます。従ってエンジニア採用で人材を評価する際には、AIエンジニアの肩書のみで人材の経験・スキルを判断するのは難しいのが実態です。一人一人どのような仕事をしているか、具体的に確認する必要があります。

AIエンジニアの種類

AIエンジニアは主に、次の職種に分類できます。

  • 機械学習エンジニア:AIの機械学習に関するシステムの開発や、プログラムの実装などを担うエンジニア
  • データサイエンティスト:データの観点からビジネス上の問題・課題の解決を担うエンジニア
  • データアナリスト:データ解析の専門職で、データの集計や加工・可視化などを担うエンジニア
  • データエンジニア:主にビッグデータを取り扱うためのインフラを整備するエンジニア
  • データアーキテクト:データサイエンティストやデータアナリストなどが、データを利用しやすいように設計する役割を担うエンジニア

ただし、データサイエンティストとデータアナリストのように、職種の垣根が曖昧で、企業によって定義や位置付けが異なるケースも珍しくありません。データアーキテクトのように、データエンジニアの整備した基盤を活用し、データアナリストがデータを利用しやすいように調整する職種もあります。

データ関連のエンジニアの仕事は密接に関わり合っており、複数の職種にまたがるように仕事をしているエンジニアもいるので、あくまでも大まかな分類として押さえておきましょう。

AIエンジニアの仕事内容

AIエンジニアの仕事内容は職種によって異なる上に、複数の領域で仕事をしているエンジニアもいるため、分類が難しい領域といえるでしょう。ただしAIを軸とした場合、大きくAI自体の開発と機械学習・ディープラーニング、さらにAIを使ったデータの分析・活用に分類できます。

AIの開発

AIの開発を担うのは、AIエンジニアの代表的な仕事です。クライアントのニーズやプロジェクトの目的に応じてAIのモデルを設計し、プログラムを開発・実装します。主にAIの開発に用いられるのはPythonと呼ばれるプログラミング言語です。

他にも、AIのモデルを構築するプログラムをまとめたライブラリを活用しながら、実装とテストを繰り返し、最終的にAIによるソリューションとしてクライアントに提供します。

機械学習やディープラーニング

開発されたAIの精度を向上させるため、機械学習やディープラーニングなどを行うのも、AIエンジニアの重要な仕事です。AIは大量のデータからパターンを学習し、徐々に精度を上げる性質を持っているため、AIに与えるデータを収集し、不要なデータを削除するクレンジングが必要です。

AIの開発を担うエンジニアが教育データを取り扱う場合もありますが、データ関連のスペシャリストであるデータサイエンティストがAIの学習分野を担うケースもよくあります。

AIを使ったデータの分析や活用

複雑なデータセットを用いたトレーニングを通じて、高精度なAIモデルの開発が可能になります。こうしたAIを活用することで、データの分析、状況判断、予測モデリングなどが行え、これらの結果はクライアントへのレポート作成、製品・サービスの改善、市場分析などに利用されます。

AIの開発やトレーニングには、開発エンジニアや機械学習エンジニアが中心となりますが、これに限定されるものではありません。データの収集・整理、アルゴリズムの最適化など、多岐にわたるタスクがあり、それぞれの専門家が重要な役割を果たします。

データの分析・活用では、データサイエンティストやデータアナリストがその専門知識を活かし、AI技術を用いた解析を行います。これらのエンジニアは互いに協力し合いながら、高品質な製品やサービスの開発・提供を行っています。

AIエンジニアの採用は難しい?

エンジニアの中でも、とりわけAI関連の職種は人気が高く、人材採用が難しいといわれています。その理由としては、主に以下の点が挙げられます。

人材不足で採用ニーズが高い

IT業界において、とりわけエンジニアは人手不足の傾向にあり、即戦力となる人材の採用が難しい状況です。転職市場は基本的に売り手有利で、有効求人倍率も10倍を優に超えているという調査もあります。求人倍率の観点でいえば、一人のエンジニアを複数の企業が狙っている状態です。

特に、AIエンジニアは求人を出してもなかなか応募がない企業も決して珍しくありません。一般的な方法ではニーズに合った人材を獲得できないケースも多いため、選考プロセスや採用手法などの見直しが必要な企業もあります。

スキルの評価や見極めに工夫が必要

他の職種に比べて経験やスキルの評価・見極めに工夫が必要な点も、エンジニアの採用が難しいとされる理由です。非エンジニアの人事担当者は、基本的に技術面の評価ができないため、社内のエンジニアの協力が求められます。

とりわけAI関連のエンジニアは、評価すべきポイントが職種によって異なります。どのような経験やスキルを評価すべきか、社内でよく話し合い、明確な基準を設けておかなければいけません。

AIエンジニアの採用のポイント

AIエンジニアを採用する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。エンジニアの中でもAI関連の人材は人気が高いため、企業によっては選考プロセスや、採用広報の在り方などを見直す必要があるでしょう。

技術・採用広報についてはこちら

評価すべきスキルセットを明確にする

まずは、自社の採用ニーズを明らかにした上で、評価すべきスキルを整理し、採用要件を明確にしなければいけません。どのような人材を採用すべきか人事部内で共有し、ペルソナとして設定しましょう。人材採用におけるペルソナとは、採用すべき理想的な人物像を設定したものです。

ペルソナをベースに採用基準を設定すれば、採用担当者の間で基準を共有しやすく、採用のミスマッチが発生しづらくなります。ペルソナを軸に評価すべきスキルセットを明確にしたら、ポートフォリオの評価基準も設定しましょう。

評価すべきAIエンジニアのスキルは?

AIエンジニアの採用で評価すべきスキルは多くあります。企業によって何に重きを置くべきか変わってきますが、一般的には以下の知識やスキルが評価の対象となるでしょう。

  • プログラミングスキル(※AI開発の場合はPythonを中心としたプログラミング言語のスキル)
  • ライブラリに関する知識やスキル
  • 数学や統計学の知識
  • データベースに関する知識
  • 機械学習やディープラーニングに関する知識や経験
  • データの分析や活用に関する知識や経験

上記のようにAIエンジニアの仕事内容は多岐にわたり、どの分野を担当するかによって必要な知識やスキルが変わってきます。どのようなエンジニアを必要としているか明確にした上で、評価すべき経験やスキルを整理しましょう。

現場のエンジニアの協力を得る

多くの場合、人事部門の社員は非エンジニアであり、技術面の知識がほとんどないケースもよくあります。人事担当者が技術面の評価ができないならば、現場のエンジニアの協力を得るようにしましょう。採用ニーズを把握する段階から、社内のエンジニアにサポートしてもらうことが重要です。

人事部門と開発現場の認識のずれが、採用のミスマッチにつながる場合もあります。まずは部門間の連携を強化して、開発部門のニーズをスムーズに、人材採用に反映できる体制を構築しましょう。その上で可能な限り、エンジニアに採用プロセスに参加してもらう必要があります。

選考プロセスの最適化を目指す

選考プロセスを最適化し、歩留まり率を改善することも重要です。AIエンジニアは人気のある職種であり、転職を希望する人材は、常に複数の応募先を検討しています。そこで選考に時間がかかったり、レスポンスが遅かったりすると、他の企業への入社を決めてしまう可能性が高まります。

対応が遅れると応募を辞退するエンジニアが増えてしまうため、全ての採用プロセスにおいて、求職者にスピーディーに対応できる体制にしておかなければいけません。

採用ブランディングに力を入れる

自社の魅力を積極的に発信し、応募者を引きつける活動も必要です。特にスタートアップをはじめ、大手企業に比べて認知度が低い企業の場合、まずは自社の存在をエンジニアに知ってもらわなければいけません。

採用サイトを作成して情報を発信するのはもちろん、ソーシャルメディアやIT関連のイベント、プレスリリースなども活用しながら、自社のブランディングに注力することが大事です。採用ブランディングに関しては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらを参考にしてみましょう。

採用ブランディングとは?エンジニア採用における重要性や成功のポイント | Offers HR Magazine

入社後のサポートにも注力する

入社後のフォローアップを徹底し、優秀なエンジニアに長く活躍してもらうことも、人事部門の重要な仕事です。他の業界に比べて、IT業界は人材の早期離職がそれほど目立つ業界ではありませんが、優秀なエンジニアがすぐに離職してしまう可能性は常にあります。

採用にかけた時間やコストを無駄にしないためにも、入社前後でエンジニアの不安を払拭し、モチベーション高く業務に当たれるようにサポートしましょう。 

入社後のフォローの方法はさまざまですが、近年はオンボーディングの施策が注目されています。エンジニア採用におけるオンボーディングに関しては、以下の調査が参考になるので、ぜひチェックしてみましょう。

参考:46.2%が「メンター制度を導入」と回答 | 株式会社overflowのプレスリリース

AIエンジニアの採用におすすめの手法

AIエンジニアの採用では、有効な手法をうまく組み合わせることが大事です。AIエンジニアの採用に有効な手法を紹介するので、それぞれの特徴を押さえた上で、どのように運用するか検討してみましょう。

求人サイトや人材紹介サービス

求人サイトや人材紹介サービスなどの利用は、AIエンジニアの採用でも有効な手法です。ただし、エンジニアの採用に実績のあるサービスを慎重に選択する必要があります。さまざまな職種の求人を取り扱うサービスよりも、エンジニアに特化した求人サイトや人材紹介サービスがおすすめです。

また、後述するようにエンジニアの採用では、直接ニーズに合った人材にアプローチする方法が有効です。近年はスカウト機能が利用できる求人サービスが多いので、うまく活用するとよいでしょう。

ダイレクトリクルーティング 

ダイレクトリクルーティングは、企業側から必要な人材にアプローチする方法です。エンジニア採用では軸となる手法であり、上記のように求人サイトのスカウト機能を利用したり、SNSでエンジニアに直接オファーを出したりするやり方があります。

すでに転職活動をしているエンジニアはもちろん、転職潜在層にも広くアプローチできるので、他社に先駆けて優秀な人材を採用できる可能性があり、母集団の形成にも役立つでしょう。

社員による人材紹介(リファラル)

社員から必要な人材を紹介してもらうリファラル採用も有効です。自社の職場環境や事業方針など、内部の事情を知っている社員からの紹介であれば、採用後のミスマッチが発生しづらく、採用コストも抑えられます。

ただし、人材を紹介してくれた社員に対して、インセンティブを提供するのが一般的で、提供方法にも注意すべき点があります。詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみましょう。

リファラル採用とは?メリットや注意点、効果を高めるポイントを解説 | Offers HR Magazine

正社員以外の採用も検討しよう

近年は、より自由な働き方を求めて副業を始めたり、フリーランスとして独立したりするエンジニアも多くいます。正社員としての採用に加えて、副業従事者やフリーランスとの業務委託契約も検討してみましょう。

副業採用やフリーランス活用のメリット

副業に従事するエンジニアやフリーランスエンジニアと契約するメリットは、特定の課題やプロジェクトにマッチした人材と、ピンポイントで契約を結べる点が挙げられます。必要な期間のみ力を借りられるのに加えて、基本的に人材の教育に時間や手間をかける必要がありません。

事前にエンジニアの実績やスキルセットを十分に確認しておけば、採用のミスマッチも起こりづらく、自社にない技能を有する優秀な人材と契約できる可能性もあります。

副業採用を検討しているならば、エンジニア・デザイナーの採用に特化した「Offers」がおすすめです。登録者の4割以上がハイクラス人材で、正社員としての登用を前提とした契約もできます。この機会に登録・利用してみましょう。

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AIエンジニアの採用を成功させる

AIエンジニアは職種によって仕事内容が変わるケースが多く、データサイエンティストやデータアナリストなど、職務の垣根が曖昧な仕事も少なくありません。企業によって仕事内容や役割などが変わってくるので、大まかな分類を簡単に押さえておけばよいでしょう。

ただし、AIエンジニアを採用する場合には、どのような役割の人材を採用するのか明確にした上で、評価すべきスキルセットとその基準を明らかにする必要があります。開発部門と連携を強化し、採用プロセスの多くの場面で、現場のエンジニアに協力してもらうことが重要です。

正社員としての採用のみならず、副業採用やフリーランスの活用も検討しながら、自社に合った優秀なエンジニアの採用を目指しましょう。


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