リードエンジニア(エンジニアリーダー)の採用ポイントは?おすすめの手法も解説

Offers HR Magazine編集部 2024年2月15日

Offers HR Magazine編集部

目次

リードエンジニアは、高い技術力と豊富な知見をそなえた人材でなければ務まらないポジションです。エンジニアの採用難が続く中、優秀なリーダーを確保するには、どのような施策を講じればよいのでしょうか?採用のポイントや有効な採用手法を解説します。

リードエンジニアの採用は難しい?

リードエンジニアは、開発チームのリーダーとなるエンジニアです。開発手法の選定やチームメンバーの技術指導をする役目を担うため、高い技術力と豊富な経験を持った人材が適しています。中小企業やスタートアップ企業がリードエンジニアを採用するのは難しいのでしょうか?

経験豊かなエンジニアの採用は困難

リードエンジニアの採用は容易ではありません。IT業界は慢性的な人材不足であり、多くの企業はエンジニア採用に関する課題を抱えています。技術力が高く、かつ経験も豊かなリードエンジニアともなれば、企業間の人材獲得競争は激しさを増すでしょう。

日本では、新型コロナウイルスの影響により、テレワークや在宅勤務が拡大しました。働き方改革やDX推進も相まって、ITインフラを担うエンジニアの需要は高水準で推移しています。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査(みずほ情報総研株式会社調べ)」によると、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する可能性があり、今後しばらくはエンジニアの採用難が続くでしょう。

出典:- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書

DX人材のニーズ増加も採用難の一因に

リードエンジニアは、企業のDXを担う重要な人材です。DX(Digital Transformation)とは、企業がデジタル技術を駆使してビジネスモデルや業務プロセスなどを変革し、競争力の優位性を保っていく取り組みを指します。

DXに伴い、大手企業はもちろん、中小企業やスタートアップ企業でも自立自走できるリードエンジニアを求めており、採用市場では採用合戦が繰り広げられているのが現状です。

中小企業基盤整備機構の「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)」によると、DXに取り組む上での課題として「ITに関わる人材が足りない(28.1%)」や「DX推進に関わる人材が足りない(27.2%)」が挙がっています。

中小企業はアナログからデジタル化への途上にあるため、リードエンジニアの需要は今後さらに増えるでしょう。

出典:中小企業のDX推進に関する調査(2023年)アンケート調査報告書

スキルセットの見極めにも工夫を要する

リードエンジニア採用が難しいといわれる理由の一つに、人事担当者がエンジニアのスキルを見極められないことが挙げられます。

人事担当者にエンジニアリングの知識がない場合、技術面の評価やスキルセットの見極めに苦戦するでしょう。面接やカジュアル面談では、応募者が知りたい情報を提供できなかったり、魅力付けがうまくいかなかったりして、優秀な人材を逃しかねません。

採用活動を始めるに当たり、実務に必要なスキルセットを正確に見極められる担当者をアサインする必要があります。現場責任者や開発チームのメンバーに協力を仰ぎましょう。

リードエンジニアとPMなどの違い

エンジニアにはさまざまなポジションがあります。リードエンジニアはPM(プロジェクトマネージャー)やテックリードと混同されやすいため、違いを明確にしておきましょう。

PM(プロジェクトマネージャー)との違い

リードエンジニアは、開発チームを技術的な側面からリードするのに対し、PMは、プロジェクト全体を統括します。

プロジェクトの計画に基づき、「Quality(品質)」「Cost(プロジェクト原価)」「Delivery(納期)」を達成させることが主な任務で、必ずしも高度な技術スキルを要しません。リスク管理に長けており、プロジェクト全体を俯瞰できる人が適任です。

一方、リードエンジニアには、優れた技術スキルが求められます。チームのリーダー役を担うため、リーダーシップやコミュニケーション能力も欠かせません。

テックリードとの違い

テックリードとリードエンジニアは、どちらも開発チームを率いるポジションです。開発チームと外部をつなぐ窓口役でもあり、開発チーム以外とのコミュニケーション全般を担います。企業によって呼び方が違うだけで、役割や仕事内容はほとんど変わらないと考えてよいでしょう。

エンジニアやマネジメントを行う人にはさまざまな呼び名があり、企業によって定義が異なります。仕事内容や責任範囲についても、企業ごとに若干の違いが見られるため、求人票などに情報を記載する際は、ポジション名だけでなく、仕事内容を明記する必要があります。

リードエンジニアの主な仕事内容

リードエンジニアには「チームのリーダー役」と「チームと外部をつなぐ窓口役」という二つの大きな役目があります。仕事内容は多岐にわたりますが、チームのスケジュール管理や技術面での支援、コードレビューがメイン業務となるでしょう。

チームのスケジュール管理

開発チームのリーダー役として、プロジェクトの進捗管理やスケジュール管理を行います。具体的には、各メンバーの特性やリソースを把握し、人員を適材適所に配置します。それぞれに最適なタスクを割り当てた後、コミュニケーションを取りながら作業を進めていく流れです。

メンバー間でリソースの偏りがあると、進行に遅れが生じます。リードエンジニアは、問題点を把握して改善に努め、限られた時間で最大限の成果が出せるような工夫をしなければなりません。

進捗管理やスケジュール管理を適切に行うには、マネジメント能力や現状把握能力、コミュニケーション能力などが必要です。

技術選定と設計支援

開発プロセスの初期段階において、リードエンジニアは技術選定や設計支援に関与します。

技術選定とは、開発に用いるプログラミング言語やOS、フレームワークなどを選択する工程です。技術は、プロジェクトの成功や開発効率に大きな影響を与えるため、慎重に検討しなければなりません。企業によっては、PMやEM(エンジニアリングマネージャー)などが技術選定を行うケースもあります。

システムやサービスの企画・設計は「ITアーキテクト」が担うのが一般的です。リードエンジニアはITアーキテクトの設計をサポートしながら、チームメンバーに技術的な方向性を伝えます。

コードレビュー

リードエンジニアは、開発チームの技術的な指導者として、定期的にチームメンバーのコードレビューを行います。

コードレビューとは、プログラムのコードを他の開発者がチェックし、その所感を本人にフィードバックする作業です。バグを検出するだけでなく、ソースコードの最適化や品質の担保、チームメンバーのスキルアップなどを目的に行います。

コードレビューをいつ、誰がやるかはチームによって異なりますが、コードベースの知見が深いエンジニアの関与が欠かせません。リードエンジニアはプロダクトの品質に責任があるため、コードレビューを担当するケースが多いでしょう。

リードエンジニアの採用を成功させるポイント

多くの企業が欲しがるポジションであるだけに、リードエンジニアの採用活動は難航するでしょう。中小企業やスタートアップ企業が、採用合戦を勝ち抜くためのポイントを解説します。

社内のエンジニアの協力を得る

エンジニア採用には、社内のエンジニアの協力が不可欠です。人事担当者にエンジニアリングの知見がない場合、現場に必要な人材の見極めに苦労します。

現場に採用ニーズをヒアリングし、ニーズに合った採用要件や採用基準を設定すれば、ミスマッチのリスクが低減します。求人票やスカウトメールの文面を作成する際は、社内のエンジニアに内容のチェックを依頼しましょう。

現場との協力体制を構築するに当たり、「採用活動に関わるメリット」をきちんと説明することが重要です。開発業務と採用業務の両立が図れるように、スケジュールやリソースの調整も欠かせません。

市場の環境やニーズを踏まえて要件を設定する

採用活動で最も重要なプロセスの一つが「人材要件の設定」です。要件の設定が曖昧だと、採用のミスマッチが生じ、チームのパフォーマンスが十分に発揮されません。

自社が欲しい人材の要件だけを並べても、採用市場に該当する人材がいなかったり、待遇が業務内容に合わなかったりするケースがあるため、採用ニーズの洗い出しと同時に「市場調査」を行いましょう。要件設定におけるポイントは以下の通りです。

  • 採用する理由・目的を明確にする
  • 経営層・人事・現場で要件を擦り合わせる
  • 採用市場の現状を反映させる
  • 要件をMUST条件(絶対に必要なスキル)とWANT条件(あれば優遇するスキル)に分ける

エンジニア採用における要件の設定方法は、以下のコラムで詳しく解説しています。

エンジニアの採用における適切なペルソナ設計方法を解説。手順や注意点、採用成功のポイント | Offers HR Magazine

自社の情報を積極的に発信する

知名度の低い中小企業やスタートアップ企業は、求人広告を掲載しても思うように応募が集まりません。自社の採用ページ・SNS・テックブログ・コーポレートサイトなどを活用し、以下のような情報を積極的に発信しましょう。

  • 事業内容・事業の成長性
  • プロダクトの優位性
  • 開発環境・開発技術
  • キャリアアップ制度と社員のキャリアパス例
  • 職場の様子
  • チームメンバーのプロフィール
  • ワークスタイル
  • 他社にはない魅力や強み

情報発信をするに当たっては、自社分析が必要です。社内のエンジニアにアンケート調査やヒアリング調査を実施し、「他社との違い」や「自社にしかない強み」を洗い出しましょう。

選考のリードタイムを短くする

エンジニアの採用市場は売り手優勢で、主導権はエンジニア側にあります。リードエンジニアは、複数の企業からオファーを受けている可能性が高いため、何よりも選考のスピードを意識しなければなりません。

書類選考から面接日までの日数が3~4日を超えると、選考辞退者が増えます。できれば1営業日以内に選考結果を伝えるのが理想です。選考のリードタイムが長い企業は、以下のような問題が生じていないかを振り返りましょう。

  • 合否の基準が曖昧で、選考のたびに議論をしている
  • 選考の回数が多い
  • 担当者が多忙で、手が回らない
  • 面接担当者のスケジュールが合わず、日程を確定できない

リードエンジニアの採用におすすめの手法

リードエンジニアの採用を成功させるには、ターゲットに合った採用手法を用いる必要があります。手法ごとにメリット・デメリットがあるため、複数をうまく組み合わせましょう。

人材紹介(転職エージェント)

人材紹介(転職エージェント)は、人材を採用したい企業と求職者のマッチングを支援するサービスです。

採用プロセスにおけるスクリーニングや求人票の作成、面接日の調整などは、人材紹介会社が担うため、人事担当者の業務負荷が軽減されます。採用が決定した際に報酬が発生する「成功報酬型」が一般的なので、無駄なコストが抑えられるのもメリットでしょう。

リードエンジニアの採用では、ハイクラスのエンジニアに特化したサービスを利用しましょう。成功報酬は高額になりやすいですが、採用市場ではなかなか出会えない優秀層を紹介してもらえます。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、求人媒体や人材紹介などを経由せずに、企業が人材に直接アプローチする「攻め」の採用手法です。優秀な人材を他社よりも早く引き抜けるため、エンジニア採用に欠かせない手法の一つとされています。

具体的には、ダイレクトリクルーティングサービスや自社の人材データベース、SNSのつながりの中から、ポジションに合う人材を探し、スカウトメッセージを送ります。

採用プロセスのほぼ全てを自社で賄うことになるため、担当者の負荷が増える可能性がある点に留意しましょう。求職者と小まめにコミュニケーションを取る必要があり、エンジニアリングに精通した担当者や社内エンジニアの協力が不可欠です。

リファラル採用

リファラル採用とは、社員のコネクションやネットワークを通じて、自社に合った人材を紹介してもらう手法です。

社員は、自社の開発環境や雇用条件、企業風土を熟知しており、ミスマッチな人材を紹介する可能性が限りなく低いといえます。一般的な採用プロセスで入社する社員よりも定着率が高い上、採用コストが抑えられるのもメリットです。

ただし、「この会社を知り合いに薦めたい」と思う社員がいなければ、リファラル採用は成功しないため、働きやすい職場づくりやリファラル採用の仕組みづくりから始める必要があります。リファラル採用の進め方については、以下のコラムで詳しく解説しています。

リファラル採用とは?メリットや注意点、効果を高めるポイントを解説 | Offers HR Magazine

アルムナイ採用

アルムナイ採用は、元社員を再雇用する手法で、「カムバック採用」や「出戻り制度」とも呼ばれています。

既知の社員を採用する点において、ミスマッチが生じにくく、育成コストがほとんどかからないのがメリットです。他社での就業経験を経て、さらに優秀な人材に成長している可能性が高く、新たな知見やノウハウを現場にもたらしてくれるでしょう。

アルムナイ採用を成功させるには、社員のエンゲージメントを高める工夫が欠かせません。退職後も元社員と接点を持ち続けなければならないため、人事担当者にはコミュニケーション負荷がかかります。アルムナイ採用のメリットや課題については、以下のコラムをチェックしましょう。

アルムナイ採用でエンジニアを採用する手法を解説。メリットや課題、環境構築の重要性について | Offers HR Magazine

副業採用やフリーランスの活用もおすすめ

リードエンジニアは引く手あまたなので、正社員採用にこだわると採用活動が長期化します。プロジェクトやDXの遅延を防ぐためにも、副業やフリーランスの活用を検討しましょう。

近年は、正社員として働きながら、他社の案件をこなす副業エンジニアが増加傾向にあります。副業採用であれば、今すぐの転職を考えていない「転職潜在層」にまで幅広くアプローチできる上、他社で働くトップクラスのエンジニアを自社プロジェクトに引き込めるでしょう。

エンジニアの採用経験が少なく、接点がなかなか得られない企業は、総合採用プラットフォーム「Offers(オファーズ)」の活用がおすすめです。大手企業のリードエンジニアからスタートアップのCTOまで幅広い人材の登録があり、企業のニーズに合わせた活用ができます。

<企業様向け>Offers「オファーズ」 - エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス

リードエンジニアの採用活動を始めよう

リードエンジニアは、高い技術力とマネジメント能力を必要とするポジションです。一般的なエンジニア職に比べて採用難易度は高く、スキルセットの見極めも容易ではありません。

エンジニア経験の少ない企業が採用を成功させるには、人事と現場が協力体制を構築し、戦略的に採用プロセスを進めていく必要があります。採用活動の長期化が懸念される場合は、副業採用やフリーランスの活用を視野に入れましょう。スピーディーな意思決定と行動が良い結果をもたらします。

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