エンジニア採用における売り手市場とは?企業への影響や採用のポイント

Offers HR Magazine編集部 2024年2月9日

Offers HR Magazine編集部

目次

エンジニアの採用市場は、売り手市場です。求人数が求職者数を上回るため、企業間では人材の獲得競争が繰り広げられています。優秀な人材を確保するには、どのような採用戦略が必要なのでしょうか?売り手市場が続く背景や採用のポイントを解説します。

エンジニア採用は売り手側が有利?

エンジニアは、IT業界でも人気の高い職種です。近年は、あらゆる産業でエンジニアが必要とされており、採用市場は売り手市場といわれています。そもそも「売り手市場」とはどのような状態を指すのでしょうか?

求職者以上に求人数が多い状況

商品やサービスの売買には、売り手と買い手が存在します。人材の採用市場においては、求職者側を売り手、人材を採用する企業側を買い手とするのが一般的です。

「売り手市場」とは、求職者(売り手)の数よりも人材を採用する企業(買い手)の求人数が多く、求職者が優位な状況を指します。逆に、求職者の数よりも人材を採用する企業の数が少ない状況は、「買い手市場」と呼ばれます。

注意したいのが、新卒者採用と経験者採用では市況が必ずしも同じではない点です。経験者採用は売り手が優勢でも、新卒者採用は買い手が優勢という場合もあるため、情報収集と分析は欠かせません。

有効求人倍率が「1.0」を超えると売り手市場

採用市場の動向を判断する基準の一つに、「有効求人倍率」があります。有効求人倍率とは、求職者1人に対して、求人数がどれだけあるのかを示したもので、「求人数÷求職者数」で算出します。

例えば、100人の求職者に対して300件の求人がある場合、有効求人倍率は3.0倍です。つまり、1人の求職者に対し、3社の求人があることが分かります。

売り手市場といわれるのは、有効求人倍率が1.0倍を超えたときです。1.0倍以上の場合は売り手市場、1.0倍未満の場合は買い手市場と覚えておきましょう。転職サービス「doda」によると、2023年6月におけるエンジニアの転職求人倍率※は、10.0倍を超えています。

※経験者採用市場の需給バランスを表すもので、dodaの会員登録者(転職希望者)1人に対し、経験者採用の求人が何件あるかを算出

出典:doda転職求人倍率 2023年6月は2.26倍(前月差+0.06ポイント) | プレスリリース | パーソルキャリア - PERSOL CAREER

エンジニア採用が売り手市場とされる背景

エンジニアの有効求人倍率は全職種の中で突出して高く、多くの企業は人材の獲得に苦戦を強いられています。他の職種に比べ、売り手が圧倒的に優勢なのはなぜでしょうか?

エンジニアの絶対数が不足している

エンジニアは絶対数が不足しています。DX推進やクラウド化により、エンジニアのニーズは右肩上がりに増えているのにもかかわらず、人材の供給が追い付いていないのが現状です。

そもそも、エンジニアの人材不足は急に問題化したわけではありません。労働人口の減少やIT市場の拡大に伴い、需要と供給の差が徐々に広がった結果です。人材不足はすぐに解消されるわけではないため、売り手市場はしばらく続くでしょう。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査(みずほ情報総研株式会社調べ)」によると、IT人材の需要と供給の差は埋まらず、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する可能性があります。

出典:- IT 人材需給に関する調査 -調査報告書

DX人材のニーズが高まっている

企業のDX推進もエンジニアの人材不足が続く理由の一つです。DXとは、デジタル技術の活用によってビジネスモデルや業務プロセスなどを変革し、企業の競争力を高めていくことです。

経済産業省が発表した「DXレポート」によると、複雑化・ブラックボックス化した既存のシステム(レガシーシステム)を使い続ける企業は、デジタル競争の敗者になる恐れがあります。

既存システムの残存がDXの推進を阻んだ場合、2025年以降には最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性が指摘されており、企業のDXは急務といえます。

DXには、テクノロジーやデータに関する幅広い知識・技能を備えた「DX人材」が欠かせません。とりわけ、AI・ブロックチェーン・IoT・ビッグデータなどの最新技術を扱えるエンジニアは、DXの重要な担い手です。

出典:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(METI/経済産業省)

多様な働き方が広まっている

働き方改革やワーク・ライフ・バランスの推進により、国内では多様な働き方を認める動きが広まっています。エンジニアは在宅ワークやテレワーク(リモートワーク)との相性がよく、フリーランスで生計を立てるエンジニアや複数の企業のプロジェクトに関わる副業エンジニアが増えてきているのが現状です。

特定の組織に属さずに働くエンジニアが増える昨今、採用市場の中だけで優秀な人材を探すのは困難です。もし、正社員採用を検討するのであれば、エンジニアが望む働き方や待遇をできる限り考慮する必要があるでしょう。

売り手市場が企業に与える影響は?

売り手市場になると、求職者は企業選びの選択肢が広がります。魅力的な求人が増えるため、自分の望む転職が実現しやすくなるでしょう。一方で、売り手市場は企業にマイナスの影響を及ぼします。

求人が発見されない可能性が高まる

売り手市場では、多くの企業が採用難に直面します。ハローワークや求人サイトには、日々多くの求人が登録されるため、自社の求人が他社の求人に埋もれやすくなります。求人の内容がどんなに魅力的でも、求職者に求人を見てもらえない限りは、採用にはつながらないでしょう。

採用活動の成否は「母集団形成」の段階で決まるといっても過言ではありません。売り手市場では、量・質ともに十分な母集団が形成できないため、その後の採用プロセスが滞ります。求める人材からの応募がなく、ポジションが埋まらない状態が続けば、DXやプロジェクトの遅延につながります。

採用コストが高くなる

採用ニーズに合うエンジニアが見つからず、採用活動が長引いた場合、求人広告費や採用ツールの利用費、担当者の人件費といった「採用コスト」がかさみます。費用だけでなく、多くの時間も費やされるため、本来取り組むべき業務が後回しになる恐れもあるでしょう。

あらゆる業界でエンジニアが必要とされる今日、エンジニアの採用コストは上昇傾向にあります。売り手市場が進めば進むほど、優秀な人材を巡る企業間の争いは激しくなり、中には給与や待遇を大きく引き上げなければならない企業も出てきます。

内定辞退が増加する可能性も

自社が求める人材が見つかったとしても、必ず採用できるとは限りません。売り手市場では、求職者に主導権があるため、面接辞退や内定辞退によって選考を一からやり直さなければならないケースが少なくないのです。

優秀なエンジニアは、複数の企業から内定やオファーをもらっています。自分が希望する待遇や働き方を提示する企業が現れれば、ちゅうちょなく辞退を申し出る人も珍しくありません。

中には、給与や待遇の交渉を試みる人もおり、求職者が自社の採用ニーズに合った人材であれば、相手の希望を受け入れざるを得ない可能性が高いでしょう。

売り手市場で採用活動を成功させるポイント

売り手市場で理想の人材を獲得するには、一つ一つの採用活動のプロセスを見直す必要があります。エンジニア採用の場合、求人広告の掲載やエージェントの紹介といった「待ちの採用手法」だけに頼っていては、競合他社には勝てません。

求人情報の発信に力を入れる

売り手市場では、他社の求人に埋もれて自社の情報が届けられていないケースが多いため、情報の発信に力を入れることが重要です。求人サイトでの露出量を増やすと同時に、SNSや専用の採用サイト、テックブログなどを通じて、自社の魅力を積極的に発信しましょう。

求人広告を作成する際は、エンジニアのニーズをリサーチした上で、魅力的なキャッチフレーズを使う必要があります。成長意欲のあるエンジニアは、収入以上に「技術的なチャレンジが可能かどうか」や「成長の機会がどれだけ得られるか」を重視する傾向があります。

採用条件の見直しをする

求める人材からの応募がない場合は、採用条件が市況に合っていない可能性があります。競合他社の求人情報や市場の最新動向を小まめにリサーチし、掲載内容をアップデートしなければなりません。

エンジニアの絶対数が不足する中、採用条件をあまりにも厳しく設定しすぎると、応募者はいつまでたっても集まりません。求める人材を明確化した上で、採用条件を「MUST条件(絶対に譲れない条件)」と「WANT条件(あれば優遇する条件)」に分けましょう。

MUST条件が多ければ多いほど採用難易度は上がるため、入社後の研修や実務で身に付けられる知識・技術は、WANT条件に入れるのが賢明です。経験者だけにこだわらず、未経験者を含めたポテンシャル採用を検討すれば、採用の成功率はグッと上がります。

エンジニアのポテンシャル採用については、以下のコラムで詳しく解説しています。

エンジニアのポテンシャル採用のメリットとデメリット。成功のポイントも解説 | Offers HR Magazine

有効な採用手法や採用媒体を選択する

エンジニアに最適な採用手法や採用媒体は、時代とともに変わります。求人サイトやエージェントは王道の採用手法ですが、応募者を待つ、エージェントの連絡を待つといった受け身の手法だけに頼っていては、優秀な人材を他社に奪われてしまいます。

SNSでのコミュニケーションを通じた「SNS採用」や、自社の社員から知り合いを紹介してもらう「リファラル採用」、ダイレクトリクルーティングサービスを使った「スカウト型採用」などを取り入れましょう。

エンジニアは、コミュニティーを通じて情報収集をしています。エンジニア向けの専門的なネットワークやコミュニティーに積極的に参加し、現役エンジニアとの接点をつくることも重要です。エンジニアにおすすめの採用媒体を知りたい人は、以下のコラムをチェックしましょう。

エンジニアにおすすめの採用媒体は?選び方や採用を成功させるポイント | Offers HR Magazine

副業採用やフリーランスの活用も視野に入れる

エンジニアの正社員採用はハードルが高く、採用ニーズに合った人材を見つけるまでに多くの時間とコストが費やされるのが難点です。コストを最小限に抑えながら、高度なスキルを持った人材を確保したい企業は、副業エンジニアやフリーランスの活用を検討しましょう。

副業エンジニアやフリーランスと契約するメリット

副業エンジニアやフリーランスと契約するメリットには、以下のようなものがあります。

  • 必要なときに必要な人材を確保できる
  • 他社の優秀なエンジニアとの接点ができる
  • 自社にはない知識やスキルを取り入れられる
  • 短時間(短期間)の依頼が可能
  • 人件費や採用コストを抑えられる
  • 正社員登用につなげられる

副業エンジニアやフリーランスは高い専門スキルを持っているケースが多く、繁忙期は強力な助っ人となります。稼働期間のみの報酬で人材を雇える上、育成コストがほとんどかからないのは大きな利点でしょう。

最初は副業で仕事を依頼し、最終的には正社員としてジョインしてもらう手もあります。副業を切り口とした正社員登用は採用のミスマッチが少なく、すぐに即戦力として活躍してもらえます。

副業採用なら「Offers」の利用がおすすめ

「Offers(オファーズ)」は、ハイクラスエンジニア・デザイナーの最短採用を目指す総合採用プラットフォームです。正社員・副業・フリーランス・アルバイトといった複数の雇用形態に対応しており、企業のニーズに合わせた柔軟な使い方できます。

企業が求職者に直接アプローチするダイレクトリクルーティング方式で、企業はスキル・経歴・副業意欲などから人材の絞り込みが可能です。一般的な職務経歴だけでなく、SNSでの振る舞いや人となりも事前にチェックできるため、採用のミスマッチが未然に防げます。

登録ユーザーの4割以上は、経験年数3年以上のハイクラス人材です。全体の半数以上が転職意欲のある人材なので、副業採用からの正社員登用もスムーズでしょう (2023年11月時点)。

<企業様向け>Offers「オファーズ」 - エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス

売り手市場を前提として採用戦略を構築する

買い手市場では、求人広告を出すだけで複数の求職者から応募があるため、母集団形成をさほど意識する必要がありません。他方、売り手市場では応募者が集まらず、採用活動が長引く傾向があります。

エンジニアは他の職種よりも採用難易度が高く、今後しばらくは売り手市場が続くでしょう。企業はこれまでの採用戦略を一から見直し、市況に合ったアプローチを仕掛けていかなければなりません。正社員採用だけに限定せず、優秀なエンジニアの副業採用も検討する必要があります。


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