エンジニアの主な転職理由は?人材評価や定着率アップのポイントを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年2月5日

Offers HR Magazine編集部

目次

エンジニアは人気が高く、転職市場でも売り手有利の状況です。他の職種に比べて転職を選択する人が多い傾向にもあるので、長く活躍してもらうために、企業はさまざまな工夫が必要です。エンジニアに多い転職理由と、定着率アップのポイントを解説します。

【2023年】エンジニアの転職市場の動向は?

まずは、2023年の時点におけるエンジニアの転職市場の動向を押さえておきましょう。近年はコロナ禍の影響で有効求人倍率が一時的に落ち込んだものの、徐々にそれ以前の水準に戻りつつあります。

最新のエンジニアの転職状況

2023年のエンジニアの有効求人倍率は、前年とほぼ同じような水準で推移しており、コロナ禍による一時的な落ち込みから回復し、安定した傾向にあるのが分かります。

事実、厚生労働省の一般職業紹介状況(令和5年9月分)によれば、2023年9月の全体の有効求人倍率は1.29倍で、ITエンジニアを含む情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.52倍です。前年同月比とほぼ同じ程度であり、販売業やサービス業・建設業などの求人を除けば、他の職種より高い水準です。

また、新規の求人倍率も高めであり、特に企業のDX推進の波を受けて、多くの企業が求人を出しています。エンジニア側からすれば、転職がしやすい状況にあるといえるでしょう。

出典:参考統計表|一般職業紹介状況(令和5年9月分)について|厚生労働省 職業安定局 雇用政策課

エンジニアの人材獲得競争が激化

GEEKLY(ギークリー)社の調査によると、エンジニアの転職者数は前年比で125%増(2023年1~3月)となっており、とりわけ即戦力となる人材の争奪戦が激しくなっています。エンジニア側からすれば転職がしやすい状況であり、年収アップやより自分に合った環境を求めて、転職活動を始める人も多いでしょう。

企業は既存の人材にできるだけ長く働いてもらうために、多くのエンジニアが転職を選ぶ理由を理解し、自社で活躍できる環境の整備に注力する必要があります。一方で、優秀な人材を得る機会でもあるので、採用活動にも力を入れることが大事です。

出典:IT業界の求人数は前年比137%、エンジニアの争奪戦が激化|IT転職エージェント「ギークリー」IT業界の転職市場レポートを公開|株式会社GEEKLYのプレスリリース

エンジニアの代表的な転職理由

エンジニアの求人倍率は高めで、採用市場では基本的に売り手有利の状況です。エンジニアに長く働いてもらうためにも、エンジニアが転職を決断する理由について知っておき、労働環境や待遇などの改善を図りましょう。

多くのエンジニアが転職を選択する理由としては、主に以下の点が挙げられます。

収入アップやより良い福利厚生のため

単純に収入アップを求めて、より高待遇の職場に転職を図るエンジニアは珍しくありません。実際、転職理由で給与面を挙げる人がトップクラスに多い傾向にあり、福利厚生の改善を求めて、別の企業に移る人もいます。

仕事内容がほとんど変わらず、同じような立場でより高い報酬を得られるのならば、転職を選ぶのは不自然なことではないでしょう。優秀な人材を引き止めるためには、現状の給与体系や福利厚生などを見直すことも重要です。

キャリアアップやキャリアチェンジのため

キャリア志向の強いエンジニアの場合、より自分の理想とするキャリアを実現できる場に、転職する場合も少なくありません。事実、キャリアアップのために企業を移ることを選択したり、より自分にとってやりがいのある職場を求めて転職を選択したりする人は多くいます。

さらに、現在の職場ではスキルアップが望めないと判断し、新しい知識や技術を身に付けられる企業を求めるエンジニアもいるでしょう。エンジニアからITコンサルタントを目指すなど、キャリアチェンジのために転職を選ぶ人もいます。

自分のやりたい仕事をするため

現状において自分のやりたい仕事ができていない場合、転職によって、自分の望む仕事に就こうとするエンジニアも多くいます。より顧客と関わる仕事がしたい場合や、プロジェクトを統括する立場から、開発に直接的に関われる立場を求めている場合など、さまざまなケースが考えられます。

また、会社の事情で未経験の業務を担当することになったり、担当部署が変わってしまったりして、仕事へのモチベーションを失う人もいるでしょう。仕事に対するモチベーションの低下は、転職の大きなきっかけとなります。

会社の将来性に不安を感じたから

会社の将来性に不安を抱いており、より安定した企業への転職を図る人も多くいます。実際、転職理由のランキングでも上位に入ることが多い理由であり、会社の業績悪化をきっかけに、転職活動を始める人も珍しくありません。

特に優秀な人材ほど、長期的な展望を基に決断する傾向にあるため、現場のトッププレイヤーが、会社の将来性を危惧して突然転職してしまう可能性もあるでしょう。さらに業績の悪化のみならず、経営陣の方針に納得がいかず、将来性がないと判断して転職を選ぶケースもあります。

労働環境を改善するため

長時間勤務や残業の多さなど、労働環境に対する不満から、転職を選択するエンジニアも少なくありません。近年はワークライフバランスの重要性が広く認識されており、長時間労働や休日出勤の多い職場から、よりプライベートを重視できる企業に移る人が増加傾向にあります。

また、社内の人間関係の悪さを理由に転職を決断する人や、在宅ワークやテレワークなど、自由な働き方を求めて離職するエンジニアも目立ちます。労働環境に対する不満は人それぞれですが、企業としては、できるだけ詳細に社員の状況を把握し、環境の改善に努めることが大事です。

エンジニアの定着率を高めるには?

優秀な人材に長く活躍してもらうためには、多くの人が転職を決断する理由を把握する必要があります。その上で企業として現状をよく把握し、問題点の解消に力を入れなければいけません。企業によって注力すべきポイントは変わってきますが、主に以下の点を意識することが重要です。

ミスマッチを防ぐための採用体制を確立する 

仕事内容や働き方などに対する不満から、転職を決断するエンジニアが多いため、まずは採用時にミスマッチを防ぐ施策が必要です。自社の環境や事業方針などにマッチした人材を採用できれば、早期離職を防げるようになるでしょう。

採用のミスマッチを防止するには、自社が必要としている人材を明確に定義して、正確に応募者を評価できる基準を設けることが重要です。

さらに経験やスキルセットなどに加えて、自社の環境や価値観に合った人材を、できるだけ正確に見極められる体制の構築を目指しましょう。エンジニア採用の場合は、社内のエンジニアに協力してもらうことが重要です。

評価制度や労働環境の改善に注力する

採用時のミスマッチを防ぐとともに、公正な評価制度の構築や労働環境の改善に努める必要があります。エンジニアの実績やスキルレベルに応じた評価制度を確立すれば、優秀なエンジニアほど良い評価を得られるため、高いパフォーマンスで仕事をしてもらえるでしょう。

また、労働環境に対する不満から転職を決断する人も多いため、社内で長時間労働や休日出勤などが常態化しているならば、早急に改善が必要です。ワークライフバランスを意識した労働環境を目指すとともに、エンジニアが自ら学び、成長できる場も用意しましょう。

入社後のフォロー体制の確立も必要

早期離職を防ぐために、入社後のフォロー体制を充実させることも重要です。内定後面談の実施やメンター制度の導入など、さまざまなオンボーディングプログラムを導入することで、新人がスムーズに職場に溶け込めるようになります。

さらに一人一人のエンジニアに対して、キャリア開発のサポートをすることで、定着率の向上を図るのも有効です。優秀な人材ほど、早い段階で自分の目指すべきキャリアを明確にする傾向にあるので、企業として支援する姿勢を見せれば、組織へのエンゲージメントを高められるでしょう。

なお、エンジニアの定着率を向上させる施策に関しては、以下の記事でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてみましょう。

ITの定着率は低い?実態と原因、定着率を上げる方法を解説 | Offers HR Magazine

フリーランスや副業に従事するエンジニアも増加

近年はフリーランスとして独立したり、副業をスタートしたりするエンジニアも増えており、独立を転職理由として挙げる人も少なくありません。企業として柔軟な働き方を可能にすることで、独立志向の強いエンジニアが活躍できる土壌をつくることも重要です。

またエンジニアの採用においては、一般的な採用に加えて、フリーランスとの契約や副業採用にも力を入れることにより、採用ニーズにマッチした優秀な人材を得やすくなります。この機会に副業の解禁や、副業人材との契約なども考えてみるとよいでしょう。

なお、副業採用を始めるならば、ITエンジニアやデザイナーとの契約に特化した「Offers」がおすすめです。一般採用を含めた候補者の情報管理はもちろん、リファラル採用の媒体としても活用できます。

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エンジニアの離職を防ぐ対策を打ち出す 

給与や福利厚生への不満や、キャリアアップ・キャリアチェンジのためなど、エンジニアが転職を決断する理由はさまざまです。よくある転職理由を把握した上で、まずは社内のエンジニアの置かれている状況を理解し、企業として改善すべき点を洗い出しましょう。

また、自社に合わない人材を採用してしまうことも、早期離職の大きな原因となるので、採用のミスマッチを防ぐ施策も必要です。エンジニアを正しく評価できる体制の構築を目指すとともに、内定後・入社後のフォロー体制も充実させましょう。現状を正確に把握した上で、改善を積み重ねることが重要です。


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