ITの定着率は低い?実態と原因、定着率を上げる方法を解説

Offers HR Magazine編集部 2023年6月20日

Offers HR Magazine編集部

目次

ひと昔前のIT企業といえばブラックなイメージが定着していました。現在はどうなっているのでしょうか?エンジニアの定着率の実態とその原因、もし定着率が低い場合は上げる方法についても解説します。参考にしてみてください。

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IT業界の離職率の実態

(出典)https://www.pexels.com/

厚生労働省が2021年に公表した「令和3年雇用動向調査結果の概要」によれば、情報通信業の離職率は9.1%と発表されています。

他業種で見ると、「宿泊業・飲食サービス業」が25.6%と最も高く、次いで「生活関連サービス業・娯楽業」が 22.3%となっており、全産業の平均は約14%ほどです。全体の数値で比べるとそこまで高くはありません。

一昔前のブラックなイメージや、キャリアアップのための転職、プロジェクト単位でのアサインなどで離職のイメージが先行してしまっている可能性があります。

参考:厚生労働省|令和3年雇用動向調査結果の概要・ 産業別の入職と離職 

自社エンジニアの定着率を考える

(出典)https://www.pexels.com/

重要なのは、自社エンジニアの定着率です。定着率が低い場合、労働環境や待遇に問題がある可能性もあります。自社の状況を見極めるためにも、まずは定着率とその計算方法について知っておきましょう。

定着率とは何か

採用において定着率とは、企業が採用した新入社員が、入社後に一定期間を経て企業に残り続ける割合のことを指します。具体的には、入社後1年、2年、3年など、ある期間を経過した時点で企業に在籍し続けている人数の割合を計算した値です。

例えば、ある企業が入社した新入社員が100人で、1年後に企業に在籍し続けているのが80人であれば、その企業の1年間の定着率は80%となります。

採用における定着率は、採用戦略の成功度合いを測る指標として重要な役割を持っています。高い定着率を維持することは、企業が求める人材を採用し、その人材を育成・定着させることができていることを示し、企業の育成と成長に大きく貢献できるのです。

定着率の計算方法

定着率の計算方法は以下のようになります。

定着率(%)=一定期間後に勤続している人数÷開始時の人数×100

例えば、入社から6カ月以内に採用した10人のうち、定着した人が6人だった場合、定着率は6人÷10人×100=60%となります。

定着率が高いことで得られるメリット

(出典)https://www.pexels.com/

エンジニアの定着率が高い企業は、さまざまなメリットを授かることが可能です。具体的にどのようなメリットがあるのかを紹介します。

採用コスト・育成コストの削減

定着率が低いということは、それだけ人の出入りが激しいということでもあります。採用の間口を常に広げておかねばならず、採用活動にコストがかかってしまうということです。

エンジニアは現在売り手市場であることと、スキルセットの関係で募集条件がどうしても狭められてしまうので、採用コストも他の職種と比べて大きくなりがちです。書類選考から面談設定、審査などの工数がかかってしまい、内部エンジニアが採用業務を行う場合、本来開発に当てるべき工数が採用業務に割かれるため工数も奪われてしまいます。

また、新規に採用したエンジニアは現場になじむための研修などを行わなければなりませんし、短期で入れ替わると育たず、エンジニアのスキルが向上しません。育成に力を注いだとしても、離職されては無駄になってしまうでしょう。

定着率が高ければ、人材募集が必要なくなるので、採用コストを抑えられます。同じエンジニアに長くいてもらえば、教育した分のリターンにも期待が持てるでしょう。

人材流出を防げる

エンジニアは売り手市場であり、優秀なエンジニアは多くの企業が欲しがっています。 条件の良い他社にエンジニアが引き抜かれるのもよくある話です。その場合、社内のノウハウや技術も、他社に流出してしまう可能性があります。

またせっかく採用にこぎ着けた優秀なエンジニアや、自社で育成したエンジニアが流出してしまうことは、会社にとっては大きな損害となります。

定着率が高ければ優秀な人材や自社のノウハウの流出を防ぐことが可能です。

企業のイメージがアップする

DX化やAI技術の発達により、エンジニアという職業には注目が集まります。 そのような情勢下で、エンジニアの定着率が低いという実情は「労働環境が悪い」「条件が悪い」など、マイナスのイメージを外部に与えかねません。

 逆に定着率が高いということは、それだけ 従業員を大切にするホワイトな企業と周囲は見なしてくれます。結果として、より優秀な人材が集まりやすくなったり、取引先からの好感度が上がったりと、企業イメージの 底上げにもつながるでしょう。

エンジニアの定着率が高い企業の特徴

(出典)https://www.pexels.com/

続いては、定着率の高い企業の特徴を紹介します。以下に紹介するポイントが自社に当てはまるかを検証してみてください。

仕事に対し適切に評価される

 エンジニアというのは、評価が難しい職業でもあります。 営業や商品企画の場合は売り上げや満足度といった数値に表すことができますが、エンジニアの場合はそうではありません。

サーバーの裏側を管理するエンジニアや、社内のインフラを整えるインフラエンジニアの仕事は、数値として表すことが難しいため、評価しにくいという問題はよく発生します。

評価がされなければ、モチベーションの低下から離職へつながるでしょう。そのため、数値に表れないエンジニアの評価を適切に下すための1on1や、エンジニア独自の評価項目を設けることが、 定着率を高めるポイントになります。

人間関係が円滑

一般企業で退職の原因として最も多いのは「人間関係のトラブル」です。これはエンジニアでも当てはまります。

チームメンバーとの関係や上長との関係が円滑であることは、定着率を上げるためには重要なポイントです。特にエンジニアの場合、在宅で働くことも珍しくないため、テキストコミュニケーションやオンラインで人間関係を円滑にするための工夫や環境を、会社側が用意する必要があります。

スキルと業務がマッチしている

エンジニアはポジションが難しい職種です。

例えば、あるプロジェクトを進行するために雇ったエンジニアに対し、プロジェクト終了後、どのような仕事を割り振るかは、人事部がよく頭を悩ませる課題となります。

別の役割を担ってもらうにも、エンジニアのスキルとマッチしないケースが多々あるからです。「採用時に聞いていた業務と異なる」「自分のスキルを発揮できない」などの理由で、離職されてしまうことがあります。

定着率を高めるためには、エンジニアのスキルに合った業務を割り振ることが大切ですが、そのためには現在依頼している仕事が終了した後にどのような仕事を依頼するのか考えを巡らせておく必要があります。 

エンジニアの定着率を上げる施策

(出典)https://www.pexels.com/

それでは実際に、どのようにして定着率を上げればいいのでしょうか。 具体的な施策をいくつか紹介します。

評価制度を見直す 

一つは、評価制度そのものを見直すことです。評価項目の見直しにとどまらず、目標の具体化やフィードバックを定期的に行うこと、報酬形態の見直しも含めて検討しましょう。

特に効果的なのは、評価する担当者をEM(エンジニアリングマネージャー)など、エンジニア業種に理解のある人物が行うことです。評価制度がエンジニアにとって良い方向にかじを切りやすいですし、評価されるエンジニアにとっても、同じエンジニアが自身を評価してくれることは安心感につながります。

労働環境の構築

二つ目が労働環境の改善です。ポイントとなるのは「多様な働き方を承認できる環境」であることです。

例えばフレックス制の導入やテレワークの促進です。エンジニアの場合、出社しなくてもできる作業も多いため、働き方に多様性があった方が定着しやすくなります。通勤時間のタイムロスやストレスが軽減し、生産性を高めることにもつながるでしょう。

また、オンラインツールの導入やスキルアップの支援制度などがあれば、エンジニアにとって働きやすい会社となり、定着率が上がります。

副業は定着率アップにつながる?

(出典)https://www.pexels.com/

近年は副業を容認する企業が増えていますが、一方で自社の業務に専念してほしいとの理由から副業を認めない会社も多く残っています。どちらが、定着率を上げるために有効でしょうか?

副業を認めることは定着率のアップにつながるのかを解説します。

副業は定着率の向上につながる

東京都産業労働局の調査では、従業員の兼業・副業を認めている理由として「柔軟な働き方による優秀な人材採用」が38.7%で最も多く、「人材の定着(離職率の低下)」37.8%、「従業員のモチベーション向上」35.2%などとなっています。

副業を認めることで副業先の会社にそのまま転職されてしまうのではないかという懸念を抱く経営者もいますが、実際には副業を認めることで定着率が上がっているという結果になりました。

参考:都内企業における兼業・副業に関する実態調査|東京都産業労働局

副業が定着率アップにつながる要因

副業が定着率アップに貢献できる要因としては、以下のものが考えられます。

  • 収入が足りない場合、補うことができる
  • 経験の蓄積・スキルアップにつながる
  • 他社でも働くことで改めて自社の良さに気付ける
  • 今の会社・キャリアに対する不安を解消できる

総括すると副業はエンジニアにとってメリットは大きく、また選択肢の幅を広げることが可能になります。

例えば収入が足りない場合や会社の将来に不安がある場合、副業禁止の会社の場合は転職するという選択肢しかありません。しかし、副業があることで、今の会社で働きつつ別の仕事で問題を払拭するという選択肢が、新たに生まれます。

採用でも有利に働く

副業を認めている場合は採用活動で有利に働きます。

エンジニアにとって副業が認められている企業の方がメリットが大きいのは上で触れた通りです。とすれば「最初から副業のある会社に入社しよう」となるエンジニアは、副業を認めない企業に応募してくる可能性は低くなってしまいます。

副業を認めることで、結果的に優秀なエンジニアを確保しやすく、その後の定着率の向上にもつなげることが可能です。

定着率向上でWin-Winの関係を

(出典)https://www.pexels.com/

IT業界全体で見ると、定着率は他業種に比べて高い傾向にあるようです。その分、自社の定着率が低ければ自社の環境や体制に問題があるということになります。定着率が低い場合、エンジニアの労働環境や評価制度について見直してみましょう。

定着率が高くなればエンジニアにとって働きやすくなりますし、企業側も採用・教育コストを下げられるメリットがあります。定着率を上げることは、エンジニア・企業の両方にとって良いことです。Win-Winの関係を目指し、定着率を上げるための施策を実行しましょう。

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