中途採用(経験者採用)のエンジニアがすぐやめる原因は?定着率上げる方法を解説

Offers HR Magazine編集部 2024年1月4日

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中途採用(経験者採用)のエンジニアが早期離職する原因は一つだけではありません。個人の問題として軽視せずに、企業側ができることを考えましょう。人事評価制度の見直しやオンボーディングの実施など、エンジニアの定着率を上げる施策を解説します。

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中途採用(経験者採用)の離職率は?

(出典)https://unsplash.com/

実務経験が豊富な人材は、企業にとっての即戦力です。エンジニアの採用難が続く中、優秀な人材を他社に流出させたくないのが人事担当者の本音でしょう。IT業界において、人材の離職率はどのくらいなのでしょうか?

IT(情報通信)業界の離職率

厚生労働省の雇用動向調査結果の概況によると、2022年上半期における「情報通信業」の離職率は、6.4%です。入職率は7.9%であり、入職者数が離職者数を上回る結果となりました。

宿泊業・飲食サービス業(15.0%)や教育・学習支援業(12.2%)、他に分類されないサービス業(11.1%)と比べると、情報通信業の離職率はそれほど高くはありません。

一方で、中小企業庁の資料では、採用後3年間における中途採用の離職率は約3割に達しています。産業別のデータではありませんが、エンジニアが属する情報通信業も例外ではないといえます。

出典:令和4年上半期雇用動向調査結果の概況

第2部 中小企業・小規模事業者のさらなる飛躍 2 人材の定着|中小企業庁

入社後1年以内に離職するエンジニアもいる

情報通信業の離職率は低い方といえるものの、実際は入社後1年以内に離職するエンジニアも珍しくありません。

新卒採用は人材育成を前提としたポテンシャル採用が中心ですが、中途採用では即戦力が重視されます。前職で十分な経験を培った「今欲しい人材」であるケースが多いため、離職が生じると人員の穴埋めが難しいのが現実です。

社員がやめると、企業は再び採用活動をしなければならず、多くの時間・労力・コストが費やされます。エンジニア採用のハードルは年々高くなっており、自社が求める人材をタイミング良く採用できるとは限りません。

中途採用のエンジニアがすぐやめる原因

(出典)https://unsplash.com/

近年は社会のデジタル化やDXで、エンジニアが果たす役割が大きくなっています。優秀なエンジニアの離職は企業に大きな打撃を与えるため、辞める原因を特定し、適切な対策を講じる必要があります。

想定していた仕事内容と違った

転職先の仕事内容が自分の想定と大きくかけ離れていれば、労働意欲が低下します。以下のようなケースでは、エンジニアの不平・不満が募り、最終的には離職につながる可能性が高いでしょう。

  • 求人広告に記載された内容と実務が異なっている
  • 能力に応じた仕事を割り振っていない
  • 希望する業務をヒアリングしない

多くのエンジニアは、仕事にやりがいや自己成長を求めます。仕事内容に引かれて応募したのにもかかわらず、約束通りのポジションや仕事に就けなければ、その企業に長くとどまる必要性はないと判断するでしょう。

給与や福利厚生に不満がある

待遇面の不満が募り、早期離職をするエンジニアもいます。給与や福利厚生については、入社前の段階で双方の合意がなされているのが通常ですが、実際の仕事に給与が見合っていなかったり、長時間労働が常態化していたりする職場では、エンジニアに転職を考えるきっかけを与えてしまうでしょう。

特に、年功序列制度を採用する企業の場合、実際の働きや市場価値に見合った評価がされにくい傾向があります。エンジニアの採用市場は売り手優勢なので、より良い給与・福利厚生を提供してくれる企業に転職する可能性が高いでしょう。

職場の雰囲気や企業風土などが合わない

職場の雰囲気や企業風土に適合できず、やむなく離職を選択するエンジニアは少なくありません。とりわけ社会経験が長い中途採用の人材は、前職のやり方や企業風土が身に染み付いています。新卒者に比べると、新たな環境になじみにくく、自分が「よそ者」に感じてしまうこともあるようです。

また、エンジニアはチームワークが必要な職種のため、他のメンバーや上司とのコミュニケーションがうまくいかないと、大きなストレスを抱えます。求人広告の募集内容から、職場の雰囲気や企業風土、一緒に働くメンバーとの相性までを読み取るのは容易ではありません。

入社後に十分なフォローが得られない

「即戦力として採用したのだから、できて当たり前」「放っておいてもなんとかなるだろう」というメンバーの態度が、中途採用の人材を離職に追い込んでいることに気付く必要があります。

仕事の進め方や良しとされるスタンスは企業ごとに異なります。中途採用は即戦力ではありますが、入社後のフォローやオンボーディングなしに、十分な能力を発揮するのは困難です。お手並み拝見とばかりに放置すれば、能力が発揮できないばかりか、疎外感を覚えるでしょう。

その企業に対する印象は、入社後数カ月以内で決まるといわれています。1日でも早くチームになじんでもらえるように、受け入れ体制を整える必要があります。

望むキャリアが実現できない

エンジニアが職場に求めるのは、待遇の良さだけではありません。「自分が望むキャリアが実現できるかどうか」も判断材料の一つです。

IT業界は技術革新のスピードが速いため、常に新たなスキルをキャッチアップしなければなりません。仕事の中で新たなスキルが獲得できなかったり、自己成長の機会が少なかったりすれば、自分のキャリア形成にプラスにならないと判断するでしょう。

エンジニアにとって、キャリアアップ・スキルアップを目的とした転職は当たり前です。優秀な人材は多くの企業に高待遇で迎えられるため、ちゅうちょなく離職を選択するといえます。

中途採用のエンジニアの離職を防ぐ方策

(出典)https://unsplash.com/

エンジニアが離職する原因を明らかにした上で、自社に合った離職防止策を打ち出す必要があります。組織の制度や仕組み自体を変えなければならないケースもあるため、経営層や現場との連携は欠かせません。

採用のミスマッチを防止する

まずは、自社の採用状況を調査し、採用のミスマッチが生じていないかを確認しましょう。仕事内容や待遇、企業風土などの面でミスマッチが生じると、遅かれ早かれ離職につながります。

企業側ができる対策としては、採用プロセスにおける「採用要件の明確化」が挙げられます。自社がどのような人材を求めているかを具体的に発信すれば、ミスマッチ人材を採用するリスクを減らせるでしょう。

ただし、人事部だけで採用要件を決めると、現場ニーズに合わない人材を採用する恐れがあるため、現場エンジニアとの擦り合わせは欠かせません。技術面だけでなく、カルチャー面のマッチ度や既存メンバーとの相性も考慮する必要があります。

採用のミスマッチをなくす採用要件の設定方法については、以下のコラムで詳しく解説しています。

採用要件を定義しよう。採用のミスマッチをなくすための設定方法 | Offers HR Magazine

人事評価制度やキャリア制度を整備する

成長意欲の高いエンジニアは、業務を通じての自己成長やキャリアアップを望みます。個人の能力が正当に評価される人事評価制度やキャリア制度を設けることで、定着率は大きく向上するでしょう。

現場においては、エンジニアのスキルアップにつながる案件を積極的に獲得したり、希望する部署・ポジションへの配置転換を検討したりして、モチベーションを上げる必要があります。研修プログラムや定期的な勉強会など、新たな知識・スキルの習得をサポートする機会も増やしましょう。

入社後のフォローアップを強化する

経験豊富なエンジニアでも、既存メンバーのフォローなしでは、仕事を円滑に進められません。相互理解とコミュニケーションを促進するために、定期的な面談の実施やメンター制度の導入を検討しましょう。

メンター制度とは、直属の上司以外の先輩社員が新入社員を支援する制度で、仕事に関する悩みだけでなく、人間関係やキャリアについても幅広くサポートするのが特徴です。不安や不満をキャッチアップできる仕組みをつくれば、離職率が低下します。

また、仕事に関する面談やフィードバックだけでなく、レクリエーションの機会も設けましょう。メンバー同士の絆が深まり、仕事にもプラスの影響がもたらされます。

定着率の向上にはオンボーディングもおすすめ

(出典)https://unsplash.com/

定着率の向上には、上記で取り上げた方法のほかに「オンボーディング」が有効です。オンボーディングというと、新卒者や若手社員が対象と思われがちですが、経験豊富なキャリア組も例外ではありません。重要性とメリットについて理解を深めましょう。

オンボーディングの重要性とメリット

オンボーディングとは、企業が新卒・中途で採用した人材に対して行う一連の教育プログラムを指します。担当部署が行う入社後のフォローと混同されやすいですが、オンボーディングは全社を挙げての取り組みです。

オンボーディングは、人材を短期間で戦力化すると同時に、社員同士の信頼関係の構築や帰属意識の向上にもプラスの効果を発揮します。優秀なエンジニアを獲得しにくい市況を踏まえると、離職防止に欠かせない施策といえるでしょう。

具体的なプログラムには、「組織社会化のための施策」「戦力化のための育成施策」「メンタル面をサポートする施策」などを盛り込みます。

中途入社のオンボーディングについては、「Offers デジタル人材総研」の資料をご確認ください。多くの企業が実施しているオンボーディングの代表的な手法を紹介しています。

参考:デジタル人材の実態調査 中途入社時のオンボーディング〜46.2%が「メンター制度を導入」と回答〜 | Offers デジタル人材総研

中途入社がすぐやめる理由を把握して有効な対策を

(出典)https://unsplash.com/

中途採用のエンジニアが早期離職する理由には、仕事内容への不満や給与の低さ、キャリアアップができない環境などがあります。「やめる原因は個人にある」と単純に考えずに、労働環境や人事評価制度の見直しを検討しましょう。

多くの企業が導入している施策の一つに、入社後のオンボーディングがあります。優秀な人材は、フォローやサポートが手薄になりがちです。不安や不満をしっかりとくみ上げ、本来の能力を発揮できる体制を整える必要があります。

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