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中途採用の離職率|入社1年以内の2割が転職希望

公開 更新

苦労して採用した中途入社者が、1年もたたずに退職を申し出る。そのたびに「中途採用の離職率はどのくらいが普通なのか」と調べても、検索結果に並ぶ数字は出所も期間もそろわず、自社と比べる基準になりません。

国の統計が示せるのは、中途入社者が辞めた割合ではなく、入社して間もない人がいまの職場をどう見ているかです。2026年9月に公表された厚生労働省の転職者実態調査をもとに、離職につながる兆しの読み方と、採用の段階から打てる手をまとめました。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

中途入社者だけの離職率を示す公的統計は無い

中途入社者のうち何割が1年以内や3年以内に辞めたかを示す公的統計は、2026年10月時点で公表されていません。厚生労働省の雇用動向調査は1年間の入職者と離職者を別々に数える調査で、転職者実態調査は調査日に在籍している転職者に聞く調査です。どちらも、入社した人を追いかけて在籍を確かめる仕組みを持っていません。

検索結果に並ぶ「3年以内の離職率は30%超」「2年以内の離職率は30%超」といった数字は、多くが「といわれる」の形で書かれ、出所が示されていません。2026年10月5日に「中途採用 離職率」の検索結果9本を実測すると、国の統計を引いた記事は1本で、その値も中途入社者に限らない全労働者の離職率でした。

公的統計で分かるのは、中途入社の規模です。令和7(2025)年に入社前の1年間に働いていた人(転職入職者)は5,061.8千人で、転職入職率は9.9%でした(厚生労働省『令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況』表3)。

同じ年の離職率13.7%は全労働者の値で、中途入社者の離職率の代わりにはなりません。全体の離職率の読み方は離職率とは?令和7年13.7%と業種・規模・年齢別で、平均値を自社の比較に使えない理由は中途採用の定着率とは?測り方と平均が使えない理由で扱っています。

入社1年以内の転職者の20.6%が転職を考えている

入社1年以内の転職者のうち「機会があれば転職したい」と答えた人は20.6%で、「今の職場で今後も働きたい」は55.1%、「わからない」は22.9%でした(厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表15・2026年9月25日公表)。

5年前の令和2(2020)年調査の21.0%からほぼ変わらず、入社1年目の中途入社者のおよそ5人に1人が、次の職場を視野に入れながら働いています。

この調査の転職者は、2024年10月から2025年9月までに入社した一般労働者のうち、入社前の1年間に他の企業で雇われていた人です(同概況・主な用語の定義)。2025年10月1日時点で在籍している人に聞いているため、それより前に辞めた人は数に入りません。

今後の転職希望

令和7年 総数

令和2年 総数

令和7年 正社員

今の職場で今後も働きたい

55.1%

52.7%

54.5%

機会があれば転職したい

20.6%

21.0%

20.5%

わからない

22.9%

24.9%

23.6%

出所: 厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表15(2026年9月25日公表・個人調査 有効回答7,310人)。

20.6%は離職率ではなく、転職の意向を持つ人の割合です。ただ「わからない」の22.9%を合わせると、入社1年以内の中途入社者の43.5%が、今の職場で働き続けると決めていません(同表15から算出)。中途採用の離職を考えるときは、辞めた人の数を数える前に、まだ迷っている人がどこでつまずいているかを見る必要があります。

30代から40代前半の中途入社者ほど転職を考えている

年齢別に見ると、「機会があれば転職したい」は40〜44歳が27.9%で最も高く、30〜34歳が24.9%、35〜39歳が23.4%で続きます(厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表15)。40〜44歳は「今の職場で今後も働きたい」が43.1%にとどまり、年齢階級の中で最も低い値でした。

年齢階級

今の職場で今後も働きたい

機会があれば転職したい

わからない

20〜24歳

53.2%

15.4%

29.3%

25〜29歳

51.9%

21.6%

25.4%

30〜34歳

56.2%

24.9%

18.3%

35〜39歳

56.1%

23.4%

19.5%

40〜44歳

43.1%

27.9%

28.6%

45〜49歳

57.1%

17.8%

23.9%

50〜54歳

58.8%

14.0%

25.6%

55〜59歳

54.2%

22.5%

17.3%

60〜64歳

60.7%

19.5%

18.7%

65歳以上

65.7%

9.1%

23.4%

出所: 厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表15から抜粋(2026年9月25日公表)。

30代から40代前半は、経験者として中途採用の対象になりやすい年代です。経験を積んだ人ほど次の選択肢も持っているため、入社後の仕事や処遇が聞いていた話と違えば、転職を考え直すまでの距離が短くなると考えられます。性別では男性が18.8%、女性が22.5%でした(同表15)。

入社1年以内の転職者が最も不満を持つのは賃金で27.6%

入社1年以内の転職者がいまの勤め先に「不満」又は「やや不満」と答えた割合は、賃金の27.6%が最も高い値でした(厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表14)。次いで労働時間・休日・休暇が17.7%、福利厚生が15.1%、会社の将来性が13.8%です。仕事内容・職種は満足側が68.7%で、不満側は10.9%にとどまります。表の満足度D.I.は、満足側の割合から不満側の割合を引いたポイントです。

満足度の項目

満足・やや満足

不満・やや不満

満足度D.I.

職業生活全体

54.7%

10.7%

44.0

仕事内容・職種

68.7%

10.9%

57.8

賃金

49.8%

27.6%

22.2

労働時間・休日・休暇

65.6%

17.7%

47.9

福利厚生

53.2%

15.1%

38.1

人間関係

62.1%

13.4%

48.7

役職

39.7%

7.1%

32.6

会社の将来性

49.1%

13.8%

35.3

出所: 厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表14(2026年9月25日公表)。

賃金は入社前に合意して決まる条件です。それでも入社1年以内に不満が最も多く出るのは、提示額そのものより、担う仕事の重さや評価の決まり方と比べて見合わないと感じる場面が入社後に出てくるためと考えられます。役職は「どちらでもない」が52.6%で、満足とも不満とも決めていない人が半数を超える結果でした(同表14)。入社1年目では処遇の先行きがまだ見えていないためとも考えられますが、理由は調査の対象外です。

転職した人が前職を辞めた理由は、中途採用の離職率|辞めた理由を実数で読むで雇用動向調査の集計から整理しています。入社前の不満と入社後の不満を並べると、前の職場と同じ項目でつまずかせていないかを確かめられます。

中途入社者に教育訓練をした事業所は82.6%

転職者がいる事業所のうち、転職者に教育訓練を実施した事業所は82.6%で、令和2年調査の74.5%から8.1ポイント上がりました(厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表6)。

実施した事業所を100とすると、計画的なOJT(日常の業務に就きながら行う計画的な教育訓練)が79.8%、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練(OFF-JT)が64.5%で、OFF-JTの中でも入職時のガイダンスを行った事業所は53.9%でした。表のOJT・OFF-JT・入職時のガイダンスの列も、教育訓練を実施した事業所を100とした割合です。

区分

教育訓練を実施

計画的なOJT

OFF-JT

入職時のガイダンス

実施しなかった

総数

82.6%

79.8%

64.5%

53.9%

15.9%

令和2年調査

74.5%

79.4%

59.9%

46.6%

22.8%

情報通信業

80.8%

84.7%

70.2%

62.3%

15.9%

5〜29人

79.8%

80.0%

59.9%

48.7%

18.5%

100〜299人

91.9%

82.2%

81.0%

74.3%

6.8%

1,000人以上

97.5%

85.0%

92.0%

90.5%

2.0%

出所: 厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表6(2026年9月25日公表)。

中途入社者の受け入れは、事業所が小さいほど薄いのが実態です。5〜29人の事業所では教育訓練の実施が79.8%、入職時のガイダンスが48.7%で、1,000人以上の97.5%・90.5%を大きく下回る値でした(同表6)。「経験者だから」と現場にそのまま配属すると、社内の進め方や相談先を知らないまま成果を求められる期間が長くなります。

エンジニアが多く属する情報通信業は、転職者がいる事業所の割合が49.0%で、16産業の中で不動産業,物品賃貸業に次いで2番目に高い値でした(同概況・表1)。入職時のガイダンスも62.3%で、総数の53.9%より高い水準です。エンジニアの中途採用で、入社後の担当範囲や技術スタックを候補者に伝えたうえで声をかけるなら、Offers の企業向けページで、経験のあるエンジニアにスカウトを届ける仕組みを確認できます。

自社の中途採用の離職率は入社時期ごとの集団で測る

自社の中途採用の離職率は、同じ時期に入社した中途入社者を1つの集団として束ね、一定期間のうちに辞めた人の割合で測ります。式は「入社後12か月以内に離職した中途入社者の数 ÷ その期間に入社した中途入社者の数 × 100」です。

たとえば2025年4月から9月に中途で入社した人が12人いて、それぞれの入社日から12か月以内に3人が辞めた場合、離職率は3÷12×100で25.0%です。半年ごとや年ごとに同じ区切りで測れば、前の集団と比べられます。

雇用動向調査の離職率13.7%は年初の在籍者全員を分母にした値で、転職者実態調査の20.6%は在籍している人の意向です。どちらも、自社の中途入社者の離職率と並べて比べる値ではありません。

人数が少ない組織では、1人の退職で率が大きく動きます。辞めた人の入社経路・担当業務・在籍期間を1件ずつ並べ、満足度の項目のどこに当たるかを確かめてください。集団の区切り方と比べる先の決め方は、中途採用の定着率とは?測り方と平均が使えない理由で詳しく扱っています。

中途採用の離職を下げる打ち手は賃金・入社後90日・評価の3つ

中途採用の離職を下げる打ち手は、入社前に賃金と処遇の決まり方を示すこと、入社後90日の受け入れを期間で組むこと、役職と評価の道筋を説明できる形にすることの3つです。令和7年の転職者実態調査では、入社1年以内の転職者の不満は賃金が27.6%で最も多く、役職は「どちらでもない」が52.6%でした(厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表14)。入職時のガイダンスを行う事業所は、教育訓練を実施した事業所の53.9%にとどまります(同表6)。

賃金と処遇の決まり方を入社前に示す

提示年収の額だけでなく、何を達成すれば次に上がるのか、残業や待機の扱いはどうなるのかを、内定の段階で書面と面談の両方で伝えます。入社後に「聞いていた話と違う」と感じる余地を減らすのが目的です。

仕事内容も同じで、任せる範囲と最初の半年で期待する成果を、配属先の現場と擦り合わせてから求人票に書いてください。エンジニアの場合は、使う技術スタックと担当する工程まで書くと入社後のずれが小さくなります。求める人物像の組み立て方はエンジニアの採用における適切なペルソナ設計方法にまとめました。

いまの募集条件が同業と比べてどう見えるかを外から確かめるなら、エンジニア採用力チェックが使えます。企業のURLから採用ページ・求人票・技術ブログなどの公開情報を読み、技術ブランド発信力・技術環境の透明性・採用情報の充実度・雇用条件の競争力・採用活動の積極性の5指標24項目で採点し、原則1営業日以内にレポートが届きます。入社後の受け入れ体制や離職率そのものは、採点の対象外です。

入社後90日の受け入れを期間で区切る

受け入れの組み方は、入社初日から90日程度までを期間で区切るのが基本です。最初の1か月は社内の進め方と相談先を覚える期間、次の1か月は小さな担当を持つ期間、というように段階ごとに期待することを決め、受け入れの担当者と共有しておきます。

経験者であっても、社内の決裁の流れや暗黙の約束事は会社ごとに違うものです。相談先を1人に固定するメンター役と、定期的な1on1で困りごとを早めに拾う仕組みを用意すると、入社1年目の迷いを早い段階で拾えます。段階の組み方はオンボーディングとは|定義と設計の5段階・完了基準で詳しく扱いました。

役職と評価の道筋を説明できる形にする

中途入社者が長く働く理由を持てるよう、何を達成すれば処遇や役職が上がるのかを説明できる評価基準を用意します。在籍年数より、担う役割と成果で評価される仕組みがあるかは、経験者ほど重く見る点です。

専門性を深める道と、チームを率いる道のどちらに進めるかを入社前に示せると、会社の将来性への不安にも答えやすくなります。評価制度の設計は人事評価とは?分布データで読む制度設計の要点を参考にしてください。

入社後の受け入れ体制を求人票に書いている企業は108社中5社

Offers に2026年に掲載された正社員求人464件のうち、入社後の受け入れ体制を書いていた求人は17件(3.66%)で、企業単位では108社中5社(4.63%)でした(Offers調べ・株式会社overflow・2026年9月27日公開分まで・2026年10月5日集計・n=464)。

株式会社overflowは、エンジニアの転職プラットフォーム「Offers」を運営しています。掲載された正社員求人の本文を公開年ごとに集計し、入社後の受け入れ体制と、離職率・定着率の数値の記載を数えました。

公開年

正社員求人

受け入れ体制を書いた求人

同・企業

離職率・定着率を数値つきで書いた求人

同・企業

2025年

652件(159社)

37件(5.67%)

7社

13件(1.99%)

5社

2026年

464件(108社)

17件(3.66%)

5社

19件(4.09%)

4社

出所: Offers調べ(株式会社overflow・2026年9月27日公開分まで・2026年10月5日集計・n=464/2025年はn=652)。

離職率・定着率を数値つきで書いた企業は、2026年で108社中4社(3.70%)にとどまります。受け入れの仕組みを持っているなら、求人票や面接で具体的に伝えることが、入社前後のずれを減らす手段にもなります。離職率を求人票に書くかどうかの判断は求人票への離職率の記載は任意|判断と書き方で整理しました。

求人票の書き方から候補者への伝え方まで、採用の運用をまとめて外に任せる選択肢としてはAI RPOがあります。

中途採用の離職率は受け入れと処遇の説明から下げる

中途採用の離職率を下げる起点は、入社1年以内の中途入社者が迷う理由を、入社前の説明と入社後の受け入れで先回りして減らすことです。令和7年の転職者実態調査では、入社1年以内の転職者の20.6%が「機会があれば転職したい」と答え、不満が最も多い項目は賃金の27.6%でした(厚生労働省『令和7(2025)年転職者実態調査の概況』表14・表15)。

出回る「中途採用の離職率3割」を目標に置く必要はありません。自社の中途入社者を入社時期ごとに束ねて離職率を測り、辞めた人が賃金・労働時間・将来性のどこでつまずいたかを確かめる。そのうえで、賃金の説明・入社後90日・評価のどこから手を付けるかを決めてください。

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