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エンジニアの早期退職が多い会社は、待遇や評価制度、職場環境に何らかの課題があります。現場の本音に耳を傾け、退職の原因を探りましょう。エンジニアが早期退職する理由や優秀人材に長く働いてもらうためのポイントを解説します。
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エンジニアの早期退職の現状
(出典)https://unsplash.com/
早期退職とは、社員が自らの意思で通常よりも早く会社を辞めることです。社会のデジタル化やDXが加速する中、エンジニアが会社を辞めると、自社のIT戦略や開発プロジェクトに影響が及びます。エンジニアの早期退職(早期離職)の現状を把握しましょう。
IT業界の離職率はどれぐらい?
厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」では、産業別の入職率・離職率を公開しています。エンジニアが属する「情報通信業」の離職率は11.9%です。2022年の入職率は13.0%で、離職率よりも入職率が高い結果となっています。
全産業中、最も離職率が高いのは「宿泊業・飲食サービス業(26.8%)」です。産業計の離職率が15.0%である点を踏まえると、情報通信業の離職率は特に高いわけではありません。
なお、離職率はあくまでも平均値なので、調査データには離職率が高い会社と低い会社が混在しています。職種やポジションによっても離職率が変わる点に留意しましょう。
若手の早期離職に悩むIT企業は多い
エンジニアが活躍する情報通信業は、離職率が突出して高いわけではありません。しかし、新卒を含む若手の早期離職に悩む企業は少なくないのが実情です。早期離職とは、入社数年以内の短い期間に会社を辞めることを指します。明確な定義はありませんが、入社後3年以内の離職を指すのが一般的です。
若手が早期離職する要因の一つは、理想と現実のギャップです。例えば、入社前にイメージしていた仕事と実際の業務内容に乖離がある場合、理想がかなわない現状に不満を抱きます。
新規大卒就職者の約3割が3年以内に会社を辞めているデータもあり、将来性の高い若手の定着率をいかに上げるかが企業の課題となっています。貴重な人材を失わないためにも早急な対策が必要です。
エンジニアが早期に退職してしまう理由
(出典)https://unsplash.com/
退職理由は一人一人異なりますが、現状に何らかの不満を抱いている可能性が高いでしょう。エンジニアの早期退職を防ぐには、会社を辞める理由を明らかにした上で、できる限りの対策を講じる必要があります。
給与や福利厚生に不満がある
エンジニアに限りませんが、給与や福利厚生に不満があると、退職者が増える傾向があります。例えば、年功序列を導入している場合、役職・給与は勤続年数や年齢などの要素で決まるのが通例です。成果が給与に反映されないケースが多く、優秀な若手エンジニアは不満を募らせるでしょう。
エンジニアは突発的なトラブルに対応しなければならず、他の職種に比べて残業や休日出勤が多くなります。人材が不足している企業では、1人当たりの作業負担が増え、ワーク・ライフ・バランスを維持できないケースも珍しくありません。
「給与が作業量に見合っていない」「給与や福利厚生が他社に比べて劣っている」と感じるエンジニアを増やさないようにする必要があります。
スキルアップ・キャリアアップが望めない
IT業界の技術進化は目覚ましく、知識やスキルを最新版にアップデートし続けなければ、エンジニアとしてのキャリアを維持できません。多くのエンジニアは、目先の収入以上にスキルアップやキャリアアップができるかどうかを重視します。
技術的なチャレンジをする機会がなく、業務やタスクに追われるだけの日々が続けば、キャリアの停滞は免れません。会社がスキル向上を支援したり、社員の希望に応じたキャリアパスを提示したりしない場合、理想のキャリアが実現できる他社に転職する可能性が高いでしょう。
働き方や労働環境が合わないと感じている
職業柄、エンジニアは勤務時間が不規則になりやすく、ポジションによっては残業や休日出勤が日常茶飯事です。長時間労働が常態化すると、プライベートの時間を確保できなくなるばかりか、ストレスや疲労によって、生産性が大きく低下します。
実際、「働き方の自由を認めてくれない」「残業が多すぎて、体力の限界を感じた」などの理由で退職を決意したエンジニアは少なくありません。
社員が健康に生き生きと働けない会社は、遅かれ早かれ業績が伸び悩みます。優秀なエンジニアを他社に流出させないためにも、働き方の改革や労働環境の整備を進める必要があるでしょう。
人間関係に問題を抱えている
エンジニアは、チーム単位で仕事をするのが基本です。常駐先のお客さまや関係部署の担当者と関わる機会も多く、良好な人間関係の構築が欠かせません。
人間関係のトラブルの多くは、コミュニケーション不足やメンバー同士の対立が原因です。社内に相談できる相手がいない場合、当事者は1人で問題を抱え込み、最終的には退職を選択するでしょう。
トラブルが多い職場は雰囲気が悪く、メンバーの思考がマイナスに傾きやすい傾向があります。いつ・どのタイミングで会社を辞めるかを常に考えるようになるため、芋づる式に社員が退職する可能性があります。
エンジニアの早期退職を防ぐには?
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアが会社を辞める理由は一つだけではありません。原因を見極めた上で、効果的な打ち手を考える必要があります。待遇や評価制度の改善は人事部だけでは行えないため、経営層や現場責任者を巻き込みましょう。
できる限り採用のミスマッチを回避する
採用後の早期退職に対しては、採用のミスマッチを減らす工夫をしましょう。人事担当者のみでエンジニアの採用を進めると、開発に必要なスキルを正しく判断できない可能性があります。
チームメンバーとの相性やカルチャーフィットを見極めるためにも、現場責任者やチームリーダーを選考プロセスに参加させるのが理想です。
面接では、志望動機や過去の経歴だけでなく、今後のキャリアプランを確認するのがポイントです。応募者が描くキャリアプランと自社のビジョンが一致していれば、既存の環境やキャリアパス制度で長く働いてもらえる可能性が高まります。
エンジニアのミスマッチが起こる原因と対策については、以下のコラムで詳しく解説しています。
エンジニア採用におけるミスマッチとは?主な原因や対策について解説 | Offers HR Magazine
待遇や評価制度・職場環境を改善する
退職者が相次ぐ場合は、待遇や評価制度、職場環境を一から見直しましょう。エンジニアのニーズに応えるため、まずは社内でヒアリングを実施します。他社よりも明らかに給与水準が低いと、転職を考えるきっかけを与えてしまいます。給与格差が生じないように、他社のリサーチも徹底しましょう。
また、他のビジネス職と同じ評価制度を導入している場合、エンジニアの能力や頑張りが正しく評価されない可能性があります。問題点を洗い出し、ポジションに合った評価制度を確立することが重要です。
働き方については、在宅勤務制やフレックスタイム制、裁量労働制などの導入を検討しましょう。長時間労働が常態化していれば、マネジメントの方法や人員配置、仕事の進め方などを見直す必要があります。
自らキャリアを実現できる環境を整える
成長意欲の高いエンジニアは、仕事を通じたスキルアップ・キャリアアップを望んでいます。一人一人のキャリアプランを把握した上で、自らがキャリアを実現できる環境を整えましょう。会社ができるサポートの一例を紹介します。
- スキルアップのための教育プログラムを用意する
- 定期的に勉強会を実施する
- 多彩なプロジェクトに参加できるようにする
- 業務上必要となる資格取得費用を負担する
- 希望する部署への配置転換を行う
優秀なトップエンジニアは、より高度で新しい技術の習得を目指します。学習の機会を与えるとともに、新しい技術領域に積極的に参加させましょう。
早期退職を防ぐ環境づくりのポイント
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアの早期退職を防ぐには、エンジニアがどのような面に不安・不満を感じているかを的確に把握し、仕組みや環境に反映させなければなりません。
言いたいことが言えず、1人で悩みを抱え込む人もいるため、いかに本音を引き出すかがポイントとなります。まずは、現場の声を聞くための場を設けるところからスタートしましょう。
現場の声を聞くための場を設ける
コミュニケーションの機会を増やし、エンジニアの本音を拾い上げる必要があります。代表的な方法には、「1on1ミーティング」や「メンター制度」があります。
1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う面談です。フィードバックによって部下の成長を促すのが目的で、人事面談のような評価や管理は行いません。30分以上のミーティングを1カ月に1回以上実施するのが望ましいでしょう。
メンター制度は、直属の上司以外の先輩社員が新入社員をサポートする仕組みです。新入社員はチームで孤立化しやすく、企業文化になじめないまま退職してしまうケースがあります。在籍年数や年齢の近い先輩社員が相談相手になれば、悩みを1人で抱え込まずに済むでしょう。
エンジニアが長く活躍できる組織をつくる
(出典)https://unsplash.com/
早期退職の理由は一人一人異なりますが、待遇や福利厚生、職場環境に不満・不安を抱いているケースがほとんどです。成長意欲のあるエンジニアは、目先の収入よりもキャリアアップやスキルアップできるかを重視するため、自分のキャリア形成にプラスにならないと感じれば、すぐに転職を決断するでしょう。
エンジニアの人材不足が続く現代、退職したエンジニアの後任を探すのは容易ではありません。人材採用に力を入れることも重要ですが、自社のエンジニアが長く活躍できる組織体制を構築できなければ、人材の流出は止まらないでしょう。
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