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エンジニア採用では、不採用理由を応募者に開示する必要はあるのでしょうか?不採用のメッセージは、言葉の選び方や通知のタイミングが大切です。応募者の心情に配慮しながら、企業として恥ずかしくない対応を心掛けましょう。伝え方を例文付きで解説します。
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不採用理由は開示すべき?
(出典)https://unsplash.com/
自社に応募してきたエンジニアを不採用にした場合、不採用理由を伝えるべきかで悩む人事担当者は多いようです。結論からいうと、企業側に不採用理由を開示する義務はありません。企業として、理由を聞かれたときの対応を考えておきましょう。
不採用理由の開示は必要ない
応募者に対し、不採用になった理由までを伝えなければならない決まりはありません。あえて理由を伝え、次の就職・転職活動に生かしてもらう手もありますが、伝え方によってはトラブルに発展する場合があります。選考結果のみに留め、詳細は聞かれたときに話すのが望ましいでしょう。
なお、「不採用の場合は通知しない」とあらかじめ伝えている場合を除き、相手には結果をしっかりと伝えるのがマナーです。不採用通知は義務ではありませんが、通知を怠ると相手を不安な気持ちにさせます。他社への応募を差し控えているエンジニアもいるため、速やかに対応しましょう。
理由を聞かれた場合の対応
エンジニアの中には、不採用の理由を知りたがる人もいます。理由が分かれば、次の就職・転職に生かせる上、納得感を持って次のプロセスに進めます。
一方、理由を聞かれる側としては、答えにくいのが本音でしょう。不採用の理由を聞かれた場合の対応としては、以下の2パターンがあります。
- 応募者を否定する表現を避けながら、理由をきちんと伝える
- 「不採用理由は回答いたしかねます」と開示を断る
回答をしない場合、伝え方によってはマイナスのイメージを与える恐れがあります。できないのひと言ですませず、会社の規定で回答できないことを丁寧に伝えましょう。
エンジニア採用では、条件面が合わずに仕方なく不採用とする場合があります。優秀な人材は、将来の採用候補者になり得るため、相手にマイナスの印象を与えないことが大切です。
不採用理由を伝えるべきではない理由
(出典)https://unsplash.com/
企業側が不採用を伝えた場合、予期せぬトラブルが生じるかもしれません。人事担当者の仕事が増えるだけでなく、人事情報の漏えいにつながるケースもあります。不採用理由を安易に伝えるべきではない三つの理由を解説します。
人事担当者の負担が増える
エンジニア採用には、多くの担当者が関わるため、応募者との窓口になっている担当者が必ずしも不採用理由を知っているとは限りません。不採用理由を聞かれた場合、最終決定を下した人物や上長に確認を取らなければならず、業務負担が増えてしまいます。
人事担当者の仕事は、エンジニア採用だけではありません。労務管理や人材育成など、多くの業務を並行して手掛けているため、業務量を増やさない対策が必要です。不採用に当たっては、理由の開示を断る文言をあらかじめ用意しておくべきでしょう。
選考基準が問題となる恐れがある
自分のスキルや経歴に自信がある人ほど不採用通知のショックは大きいものです。不採用通知を受けたエンジニアの中には、結果に不満や疑問を持ち、わざわざ理由を問い合わせてくる人もいます。
不採用理由を伝えた場合、「納得がいかない」「正確性に欠けている」など、クレームに発展する可能性があります。選考基準の矛盾点を指摘されれば、対処が難しくなるでしょう。特に、人事担当者が技術部門出身でない場合、選考の曖昧さや不公平さ、募集内容の不備を指摘されやすくなります。
企業側に非があれば謝罪や選考のやり直しが必要となり、企業にマイナスのイメージを持たれる恐れもあります。「不採用となった理由は皆さまにお伝えしていない」という主旨の回答を用意しておくのが望ましいといえます。
人事情報が外部に漏れる場合もある
次の転職活動に生かしてほしいという気持ちから、不採用理由を丁寧に伝えようとする人事担当者もいます。
具体的な内容を伝えると、採用基準をはじめとした人事情報が外部に漏れるリスクがあります。応募者がX(旧Twitter)などのSNSで企業名と不採用理由を発信すれば、内容は一瞬のうちに広がるでしょう。
情報が拡散されるデメリットは、競合他社に人事情報を知られてしまう点です。情報管理が甘い企業というレッテルを貼られ、ステークホルダーや自社社員の信頼を損ねる可能性も否定できません。
採用活動がスタートすると、不採用理由をはじめさまざまな問い合わせがあります。いつ、どこで機密情報が流出するか分からないため、対応方法や受け答えのルールを明確にし、社内で共有しておく必要があります。
不採用通知の出し方とポイント
(出典)https://unsplash.com/
不採用理由は開示する必要はないにせよ、応募者には合否の結果を知らせなければなりません。自社に応募してきた人材と良好な関係性を維持するためにも、不採用通知の書き方・伝え方には細心の注意を払いましょう。
メールによる通知が基本
不採用の通知は電話や郵送の場合もありますが、近年はメールで知らせる企業がほとんどです。メールは、相手の時間を拘束しない上、電話でありがちな「言った・言わないのトラブル」が防げます。
ただし、メールはコミュニケーションが事務的になりがちです。対面や電話と違って、表情や声色で感情を伝えられないため、言葉の選び方には十分な配慮が必要です。相手の気持ちを考慮し、誠意が伝わる文面を心掛けましょう。
急ぎの事情がある場合やメールではトラブルに発展しそうな場合は、電話での連絡がベターです。応募者の中には在職中の人もいるため、電話をかけるタイミングに注意しましょう。留守電に不採用のメッセージを残すのはマナー的に好ましくありません。
件名や差出人の書き方を工夫する
メールのデメリットは、応募者がすぐにチェックするとは限らず、時間がたつほどほかのメールに埋もれてしまうことです。応募者は複数社の選考に参加している可能性があり、曖昧な件名では重要度が低いと認識されかねません。
差出人と内容が一目で把握できるように、件名には「メールの内容」と「会社名」を添えましょう。以下は件名の一例です。
【選考結果のご連絡】〇〇株式会社
【応募へのお礼と結果のご連絡】〇〇株式会社
【採用試験の結果について】〇〇株式会社
差出人には、会社名と担当者名を記載します。信頼性を高めるためにも、企業のメールアドレスを使用しましょう。
応募に対する感謝を伝える
メールでの不採用通知は、言葉の選び方一つで、企業の印象が良くも悪くもなります。不採用の事実だけの文面は、会社側が応募者を一方的に選んでいるという上から目線の印象を与えるでしょう。
現役エンジニアの中には、仕事を休んで面接に参加している人や遠方から実費で来ている人もいるため、まずは応募に対する感謝を伝えなければなりません。
不採用の事実を述べるときは、「応募書類をもとに慎重に選考しましたところ~」「厳正なる選考の結果~」など、社内で十分な検討をした結果であることを強調しましょう。「誠に遺憾ながら~」「大変恐縮ですが~」など、相手の立場や心情に配慮した言葉を添えるのもポイントです。
簡潔で分かりやすい文章を心掛ける
メールで不採用通知を出す際は、簡潔で分かりやすい文章を心掛ける必要があります。相手に配慮しすぎると、表現が遠回しになり、何が言いたいのか分からない文面になってしまいます。感謝やねぎらいの言葉を添えつつも、不採用になった事実はしっかりと伝えましょう。
ネット上で公開されている不採用通知のテンプレートを使っても問題はありませんが、そのまま流用するのではなく、相手の状況や選考段階に応じて表現を少しずつ変えるのがベターです。
転職中のエンジニアはさまざまな企業とやりとりをするため、定型文が使われているかどうかを比較的簡単に見抜きます。定型文を参考にしながら、オリジナルの文章を考えましょう。
不採用通知の例文を紹介
(出典)https://unsplash.com/
エンジニア採用では、履歴書や職務経歴書による書類選考と現場責任者を交えた面接を通じて、人材の見極めを行うのが通例です。それぞれで不採用になった場合の例文を紹介します。
【例文】書類選考の場合
件名:【書類選考結果のご連絡】〇〇株式会社
差出人:〇〇株式会社 採用事務局
〇〇様
大変お世話になっております。
〇〇株式会社の人事担当の〇〇です。
このたびは、弊社の求人にご応募いただき、誠にありがとうございました。
〇〇様の応募書類をもとに社内で慎重に検討を重ねた結果、誠に残念ながら、今回は採用を見送らせていただく結果となったことをお知らせいたします。
せっかくご応募いただいたのにもかかわらず、貴意に沿えず誠に申し訳ございません。つきましては、お預かりしている応募書類を返送いたしますので、ご査収くださいませ。
末筆になりますが、貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます。
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〇〇株式会社 採用事務局
〇〇(担当者名)
〒000-0000
東京都〇〇区1-2-3
TEL: 00-0000-0000
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【例文】面接の場合
件名:【選考結果のご連絡】〇〇株式会社
差出人:〇〇株式会社 採用事務局
大変お世話になっております。
〇〇株式会社の人事担当の〇〇です。
先日はお忙しい中、弊社採用面接にご足労いただきまして、誠にありがとうございました。
厳正なる選考の結果、誠に遺憾ながら、貴殿のご希望に沿いかねる結果となりました。大変申し訳ございませんが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。ご提出いただいた応募書類は、弊社が責任を持って破棄いたします。
ご応募いただいたことに改めて御礼を申し上げるとともに、◯◯様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
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〇〇株式会社 採用事務局
〇〇(担当者名)
〒000-0000
東京都〇〇区1-2-3
TEL: 00-0000-0000
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不採用を通知する場合の注意点
(出典)https://unsplash.com/
不採用通知をする際は、言葉の選び方だけでなく、通知のタイミングにも配慮する必要があります。郵送で通知をする際は、確実に届く方法を選択しましょう。トラブルを防止するために気を付けるべきポイントを解説します。
できるだけ早めに連絡する
不採用通知は、できるだけ早く送るのが原則です。通知の時期をあらかじめ伝えていた場合は、期限に遅れないようにしなければなりません。通知が遅くなるほど、応募者は不安が募ります。合否が分からないと次のステップに進めない人もいるため、遅くとも1週間以内に連絡をしましょう。
一方で、面接の当日や翌日に不採用通知を送るのも印象が良くありません。あまりにも早すぎると、最初から採用する気がなかったのではないかと勘違いされる可能性があります。即不採用だったことに自信喪失するエンジニアもいるため、2~3日後を一つの目安にしましょう。
書類を返送する場合は確実に届ける
履歴書や職務経歴書、ポートフォリオには、応募者の個人情報が記載されています。これらは、個人情報保護法の対象であり、企業側には保護する義務が生じます。採用活動に当たっては、不採用の場合の取り扱いを応募者に伝えると同時に、情報の漏えいに細心の注意を払わなければなりません。
応募書類は、返却と破棄のいずれかが選択できます。返却する場合は、確実に手元に届けられるように、速達や書留などを使うのが理想です。
出典:会社の採用面接で不採用にした応募者から、当社に提出された履歴書の返却を求められていますが、個人情報取扱事業者として、返却に応じなければなりませんか。 |個人情報保護委員会
不採用者にも敬意を持って対応しよう
(出典)https://unsplash.com/
不採用通知は、応募者に不採用だった事実を伝える通知です。不採用理由を開示すべきかで悩む担当者は多いですが、合否がしっかり伝わっていれば、あえて理由を知らせる必要がありません。応募への感謝を伝えるなどして、相手に敬意を示しましょう
エンジニア採用では、優秀な人材のデータベースを構築する「タレントプール」という手法が用いられるケースがあります。
採用に至らなかったエンジニアと良好な関係性を保ち続けられれば、別ポジションで新たな募集枠が出た際に、採用候補として声掛けができるでしょう。不採用になった人材とは縁がないと考えずに、誠意を持って対応することが重要です。
出典:エンジニア採用におけるタレントプールの構築方法やメリットを解説。タレントプールが注目される背景とは? | Offers HR Magazine
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