リテンションの意味とは?具体的な施策とその効果を解説

Offers HR Magazine編集部 2024年9月4日

Offers HR Magazine編集部

目次

こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。この記事では、人事担当者の方々に向けて、従業員の定着率向上に欠かせない「リテンション」について、その意味から具体的な施策、成功事例まで詳しく解説していきます。優秀な人材の確保がますます難しくなる現代において、リテンションへの理解を深め、自社にとって最適な施策を導入することで、企業の持続的な成長を実現しましょう。

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リテンションとは何か?

リテンションとは、顧客や従業員など、自社のサービスや組織と関係を持つ人々を維持し続けることを指します。特に人事領域においては、従業員の定着率向上を目的とした取り組みを指す場合が多く、離職防止やエンゲージメント向上など、多岐にわたる施策が含まれます。

用語

説明

リテンションレート

従業員の定着率を表す指標

リテンションマネジメント

従業員の定着率向上のための体系的な取り組み

リテンション施策

従業員の定着率向上を目的とした具体的な施策

リテンションの定義

リテンションとは、英語の「Retention」を日本語訳した言葉で、「保持」「維持」といった意味を持ちます。ビジネスの文脈では、既存の顧客や従業員との関係を継続させ、離脱を防ぐことを指します。

顧客に対しては、サービスや商品の継続的な利用を促すための取り組みがリテンション活動となります。一方、従業員に対しては、離職を防ぎ、長く働き続けてもらうための取り組みがリテンション活動となります。

人事領域でのリテンションの重要性

人材獲得競争が激化する現代において、優秀な人材を採用するだけでなく、いかに定着させて戦力として育成していくかが、企業の成長にとって重要な課題となっています。

従業員の離職は、採用コストの増加だけでなく、企業のノウハウや知識の損失、組織全体の士気低下など、様々な負の影響をもたらします。そのため、従業員エンゲージメントを高め、働きやすい環境を整備することで、離職率を抑制し、優秀な人材を長期的に確保することが、企業の持続的な成長には不可欠です。

マーケティング領域でのリテンションとの違い

マーケティング領域におけるリテンションは、既存顧客の維持・拡大を目的とした活動です。一方、人事領域におけるリテンションは、従業員の定着率向上を目的とした活動です。

どちらも既存の関係性を維持するという点では共通していますが、対象とする層や具体的な施策内容が異なります。マーケティング領域では、顧客ロイヤルティプログラムやアップセル・クロスセルなどが代表的な施策となります。一方、人事領域では、従業員エンゲージメント向上のための研修制度や福利厚生制度の充実、キャリア開発支援などが代表的な施策となります。

リテンションが注目される背景

近年、リテンションが注目される背景には、様々な社会的な要因が絡み合っています。ここでは、その中でも特に重要な3つの要因について詳しく解説します。

要因

説明

少子高齢化と労働人口の減少

労働力不足が深刻化し、優秀な人材の確保が困難になっている

転職市場の拡大と人材の流動化

従業員の転職が活発化し、企業は人材の定着に力を入れる必要性が高まっている

企業競争力の維持とリテンションの役割

優秀な人材の確保と定着が、企業の競争力維持に不可欠となっている

少子高齢化と労働人口の減少

日本の少子高齢化は、深刻な社会問題となっています。出生率の低下と平均寿命の延びにより、生産年齢人口が減少の一途を辿っており、企業は慢性的な人手不足に悩まされています。

総務省統計局の「人口推計」によると、2023年の生産年齢人口(15~64歳)は7,450万人と、ピークだった1995年の8,726万人から1,276万人減少しています。この傾向は今後も続くと予想されており、企業にとって優秀な人材の確保はますます困難になるでしょう。

転職市場の拡大と人材の流動化

インターネットの普及や転職エージェントサービスの充実により、転職市場は拡大の一途を辿っています。転職に対する心理的なハードルも下がり、優秀な人材ほど転職によってキャリアアップや年収アップを目指す傾向が強まっています。

このような状況下では、企業は従来のように終身雇用を前提とした人材マネジメントでは、優秀な人材を確保・定着させることが難しくなっています。そのため、従業員のキャリアプランやライフプランを考慮した柔軟な働き方や、成長機会の提供など、従業員一人ひとりのニーズに応じたきめ細やかな対応が求められています。

企業競争力の維持とリテンションの役割

グローバル化の進展や技術革新の加速により、企業間の競争は激化しています。このような状況下では、優秀な人材の確保と定着が、企業の競争力維持に不可欠な要素となっています。

優秀な人材は、企業のイノベーションを促進し、新たな価値を創造する原動力となります。また、長年培ってきた知識や経験、スキルは、企業にとって貴重な財産です。これらの人的資本を最大限に活用するためにも、従業員の定着率向上は、企業にとって重要な経営課題と言えるでしょう。

リテンション施策の種類と具体例

リテンション施策は、大きく分けて金銭的報酬、非金銭的報酬、その他のリテンション施策の3つに分類できます。それぞれの具体的な施策例を以下に示します。

分類

具体的な施策例

金銭的報酬

給与・賞与の引き上げ、インセンティブ制度の導入、退職金制度の充実

非金銭的報酬

柔軟な働き方の導入、研修・教育制度の充実、キャリア開発支援、福利厚生制度の充実、社内コミュニケーションの活性化

その他のリテンション施策

従業員エンゲージメントサーベイの実施、メンター制度の導入、社内イベントの開催

金銭的報酬の具体例

金銭的報酬は、従業員のモチベーション向上や生活の安定に直結するため、リテンション施策として重要な役割を果たします。

  • 給与・賞与の引き上げ: 業績や貢献度に応じた適切な評価を行い、給与や賞与に反映させることで、従業員のモチベーション向上と定着率向上に繋げることができます。
  • インセンティブ制度の導入: 目標達成に対する報酬を明確化することで、従業員のモチベーション向上とパフォーマンス向上を促進することができます。
  • 退職金制度の充実: 長期的な視点で従業員の定着を促すためには、退職金制度の充実も有効な手段となります。

非金銭的報酬の具体例

近年、金銭的報酬だけでなく、非金銭的報酬の重要性も高まっています。

  • 柔軟な働き方の導入: フレックスタイム制やリモートワークなど、従業員のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を導入することで、ワークライフバランスの向上と従業員満足度向上に貢献できます。
  • 研修・教育制度の充実: スキルアップやキャリアアップの機会を提供することで、従業員の成長意欲を高め、長期的なキャリア形成を支援することができます。
  • キャリア開発支援: キャリアカウンセリングや社内公募制度など、従業員のキャリアプランの実現を支援することで、エンゲージメント向上と定着率向上に繋げることができます。
  • 福利厚生制度の充実: 従業員の健康や生活をサポートする福利厚生制度を充実させることで、安心して働ける環境を提供し、定着率向上に貢献できます。
  • 社内コミュニケーションの活性化: 部署を超えた交流の機会を設けたり、コミュニケーションツールを導入したりすることで、従業員同士の繋がりを強化し、帰属意識を高めることができます。

その他のリテンション施策の具体例

上記以外にも、様々なリテンション施策があります。

  • 従業員エンゲージメントサーベイの実施: 従業員のエンゲージメントレベルを定期的に測定し、課題を把握することで、より効果的なリテンション施策を立案することができます。
  • メンター制度の導入: 経験豊富な先輩社員が、新入社員や若手社員の育成をサポートすることで、早期離職を防ぎ、組織への定着を促進することができます。
  • 社内イベントの開催: 懇親会や社員旅行など、従業員同士の交流を深めるイベントを開催することで、チームワークの向上や組織への愛着を育むことができます。

リテンション施策の導入メリット

リテンション施策を導入することで、企業は様々なメリットを享受することができます。ここでは、代表的な3つのメリットについて詳しく解説します。

メリット

説明

採用コストの削減

採用活動にかかる費用や時間を削減できる

従業員エンゲージメントの向上

従業員の仕事に対する意欲や愛着を高めることができる

知識・ノウハウの蓄積

従業員の経験やスキルを組織内に蓄積し、競争優位性を築くことができる

採用コストの削減

従業員の定着率が向上すれば、新規採用にかかる費用や時間を削減することができます。採用活動には、求人広告の掲載費用、面接官の人件費、採用担当者の工数など、様々なコストが発生します。

リテンション施策によって離職率を抑制できれば、これらのコストを削減し、経営資源をより効率的に活用することができます。特に、近年は人材獲得競争が激化しており、採用コストは上昇傾向にあります。そのため、リテンション施策による採用コストの削減効果は、企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

従業員エンゲージメントの向上

リテンション施策は、従業員のエンゲージメント向上にも大きく貢献します。従業員エンゲージメントとは、従業員が自らの仕事や会社に対して、どれほど愛着や誇り、情熱を持っているかを示す指標です。

エンゲージメントの高い従業員は、高いパフォーマンスを発揮し、組織の目標達成に貢献するだけでなく、離職率も低い傾向にあります。リテンション施策によって、従業員が働きがいを感じ、会社への愛着を深めることができれば、エンゲージメント向上と定着率向上を同時に実現することができます。

知識・ノウハウの蓄積

従業員が定着することで、企業は長年培ってきた知識やノウハウを組織内に蓄積することができます。これは、企業の競争優位性を築く上で非常に重要な要素となります。

特に、熟練した従業員が持つ暗黙知は、マニュアル化することが難しく、人から人へと伝承していく必要があります。従業員の定着率が低ければ、これらの貴重な知識やノウハウが失われてしまうリスクが高まります。リテンション施策によって、従業員の定着を促進することで、知識・ノウハウの継承を円滑に進め、企業の持続的な成長を支えることができます。

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リテンション施策の実施方法

リテンション施策を効果的に実施するためには、以下の3つのポイントを意識することが重要です。

ポイント

説明

適切な施策の選定

自社の課題や従業員のニーズに合った施策を選ぶ

施策の継続的な評価と改善

施策の効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行う

従業員のフィードバックの活用

従業員の意見を積極的に聞き取り、施策に反映させる

適切な施策の選定

リテンション施策は、企業の規模や業種、従業員の属性などによって、効果的な施策が異なります。そのため、自社の課題や従業員のニーズをしっかりと分析し、最適な施策を選定することが重要です。

例えば、若手社員の離職率が高い場合は、キャリア開発支援やメンター制度の導入が有効かもしれません。一方、ワークライフバランスを重視する従業員が多い場合は、柔軟な働き方の導入や福利厚生制度の充実が効果的かもしれません。

施策の継続的な評価と改善

導入したリテンション施策の効果を定期的に評価し、必要に応じて改善を行うことも重要です。施策の効果を測定するためには、従業員エンゲージメントサーベイや離職率の推移などを定期的にモニタリングする必要があります。

また、従業員からのフィードバックを収集し、施策に対する意見や要望を把握することも重要です。これらの情報を基に、施策内容を改善していくことで、より効果的なリテンション施策を実現することができます。

従業員のフィードバックの活用

リテンション施策を成功させるためには、従業員の意見を積極的に聞き取り、施策に反映させることが重要です。従業員エンゲージメントサーベイや面談などを通じて、従業員のニーズや不満を把握し、改善に繋げることが重要です。

また、従業員が自由に意見を述べることができるような風通しの良い組織文化を醸成することも重要です。従業員の声に耳を傾け、積極的に施策に反映させることで、従業員のエンゲージメント向上と定着率向上に繋げることができます。

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リテンション成功事例

ここでは、リテンション施策で成功を収めている企業の事例を3つ紹介します。

企業名

成功要因

サイボウズ

多様な働き方の導入、従業員エンゲージメント向上への取り組み

三幸グループ

人材育成への投資、従業員満足度向上への取り組み

他企業の成功事例

福利厚生制度の充実、社内コミュニケーションの活性化

サイボウズの取り組み

グループウェアなどのソフトウェア開発・販売を行うサイボウズは、多様な働き方の導入や従業員エンゲージメント向上への取り組みで知られています。

同社では、100人100通りの働き方を実現するため、様々な制度を導入しています。例えば、場所や時間にとらわれない働き方を実現する「ウルトラワーク」や、副業を推奨する「複業制度」などがあります。これらの制度によって、従業員のワークライフバランス向上とエンゲージメント向上を実現しています。

三幸グループの成功要因

パチンコホール経営などを手がける三幸グループは、人材育成への投資と従業員満足度向上への取り組みで高い定着率を実現しています。

同社では、新入社員研修から階層別研修まで、充実した研修制度を設けており、従業員のスキルアップを積極的に支援しています。また、従業員の健康管理やメンタルヘルスにも配慮した福利厚生制度を導入しており、従業員が安心して働ける環境を整備しています。

他企業の成功事例

その他にも、様々な企業が独自の取り組みでリテンション向上に成功しています。

例えば、福利厚生制度の充実によって従業員の満足度を高めている企業や、社内コミュニケーションの活性化によって従業員同士の繋がりを強化している企業などがあります。これらの事例を参考に、自社にとって最適なリテンション施策を検討することが重要です。

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まとめ

リテンションとは、従業員の定着率向上を目的とした取り組みであり、企業の持続的な成長にとって非常に重要な要素です。少子高齢化や転職市場の拡大など、リテンションが注目される背景には様々な社会的な要因があります。

リテンション施策には、金銭的報酬、非金銭的報酬、その他のリテンション施策など、様々な種類があります。自社の課題や従業員のニーズに合わせて、適切な施策を選定し、継続的に評価・改善していくことが重要です。

リテンション施策を導入することで、採用コストの削減、従業員エンゲージメントの向上、知識・ノウハウの蓄積など、様々なメリットを享受することができます。

サイボウズや三幸グループなど、リテンション施策で成功を収めている企業の事例を参考に、自社にとって最適なリテンション施策を検討し、実践していくことで、優秀な人材の定着と企業の持続的な成長を実現しましょう。

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