ジョブ型人事制度の導入方法とは?メリットとデメリットを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年8月20日

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目次

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こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。ジョブ型人事制度は、近年、日本企業において注目を集めている人事制度の一つです。この記事では、ジョブ型人事制度の概要から導入方法、メリット・デメリット、そして導入事例まで、詳しく解説していきます。採用担当者の方々にとって、ジョブ型人事制度を理解し、自社への導入を検討する上で役立つ情報となるでしょう。

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ジョブ型人事制度とは

ジョブ型人事制度とは、職務内容や求められるスキルを明確に定義した「ジョブディスクリプション」に基づいて、従業員を雇用・評価・処遇する人事制度のことです。従業員は自身のスキルや経験と合致するジョブに応募し、そのジョブの遂行に対して報酬が支払われます。

ジョブ型人事制度は、従来の日本企業で主流であった「メンバーシップ型人事制度」とは大きく異なる点があります。メンバーシップ型では、従業員の能力や適性に応じて様々な業務を経験させ、長期的な育成を重視するのに対し、ジョブ型では、特定の職務に特化し、その専門性を高めることを重視します。

近年、日本企業においても、グローバル化やデジタル化の進展に伴い、ジョブ型人事制度への関心が高まっています。ジョブ型人事制度は、従業員の専門性を高め、組織の効率化や生産性向上に貢献する可能性を秘めています。

項目

ジョブ型人事制度

メンバーシップ型人事制度

雇用形態

職務に基づく

能力・適性に基づく

職務内容

明確に定義

流動的

評価基準

成果・スキル

能力・態度

育成

専門性向上

長期的な育成

報酬

職務・成果に基づく

年功序列・能力に基づく

ジョブ型人事制度の基本的な定義

ジョブ型人事制度においては、「ジョブディスクリプション」が非常に重要な役割を果たします。ジョブディスクリプションとは、特定の職務内容、必要なスキル、責任、権限などを明確に記述した文書のことです。

ジョブディスクリプションは、採用活動においては、求職者に対して具体的な仕事内容を提示し、ミスマッチを防ぐ効果があります。また、従業員にとっては、自身の役割や責任を明確に理解し、目標設定や自己成長に役立てることができます。

ジョブ型人事制度を導入する際には、まず、各職務のジョブディスクリプションを作成することが重要です。ジョブディスクリプションは、人事評価や報酬制度とも密接に関連しているため、慎重に作成する必要があります。

ジョブディスクリプションを作成する際には、以下の項目を盛り込むことが一般的です。

  • 職務の目的
  • 職務内容
  • 必要なスキル・経験
  • 責任・権限
  • 報告先
  • 勤務地
  • 報酬

ジョブディスクリプションの重要性

ジョブディスクリプションは、ジョブ型人事制度の根幹をなす重要な要素です。ジョブディスクリプションが明確に定義されていることで、従業員は自身の役割や責任を理解し、目標に向かって努力することができます。

また、ジョブディスクリプションは、人事評価の基準としても活用されます。ジョブディスクリプションに記載された内容に基づいて、従業員の成果やスキルを評価することで、公平で客観的な評価が可能となります。

さらに、ジョブディスクリプションは、採用活動においても重要な役割を果たします。求職者に対して具体的な仕事内容を提示することで、ミスマッチを防ぎ、適切な人材を採用することができます。

ジョブディスクリプションは、定期的に見直し、更新していくことも重要です。組織の変化や業務内容の変更に合わせて、ジョブディスクリプションを最新の状態に保つことで、ジョブ型人事制度の効果を最大限に発揮することができます。

メンバーシップ型との違い

ジョブ型人事制度とメンバーシップ型人事制度は、それぞれ異なる特徴を持つ人事制度です。ジョブ型人事制度は、職務内容や求められるスキルを明確に定義し、従業員はそのジョブの遂行に対して報酬が支払われます。一方、メンバーシップ型人事制度は、従業員の能力や適性に応じて様々な業務を経験させ、長期的な育成を重視します。

ジョブ型人事制度は、専門性を高め、組織の効率化や生産性向上に貢献する可能性を秘めています。一方、メンバーシップ型人事制度は、従業員の幅広い能力開発や組織への帰属意識を高める効果が期待できます。

どちらの人事制度が優れているということはなく、企業の経営戦略や組織文化、従業員の特性などを考慮して、最適な人事制度を選択することが重要です。

ジョブ型人事制度のメリット

ジョブ型人事制度を導入することで、企業は様々なメリットを享受することができます。ここでは、ジョブ型人事制度の主なメリットについて詳しく解説していきます。

ジョブ型人事制度のメリットは、大きく分けて以下の4つに分類できます。

  • 賃金の適正化
  • 組織の効率化
  • 優秀な人材の確保
  • 生産性向上

これらのメリットは、企業の成長や発展に大きく貢献する可能性を秘めています。

項目

メリット

説明

賃金の適正化

職務内容や責任に応じた公平な賃金体系を構築できる

従業員のモチベーション向上や人材定着に繋がる

組織の効率化

適切な人材配置により、組織全体の効率性を向上できる

業務の重複や無駄を削減し、スピーディーな意思決定が可能になる

優秀な人材の確保

専門性の高い人材を採用しやすくなる

企業の競争力強化に繋がる

生産性向上

従業員の専門性向上により、生産性の向上が期待できる

高品質な製品やサービスの提供に繋がる

賃金の適正化

ジョブ型人事制度では、職務内容や責任に応じて賃金が決定されるため、より公平な賃金体系を構築することができます。これは、従業員のモチベーション向上や人材定着に繋がる重要な要素です。

従来の年功序列型の賃金体系では、年齢や勤続年数に応じて賃金が上昇するため、必ずしも成果や貢献度が反映されているとは言えませんでした。一方、ジョブ型人事制度では、職務の難易度や責任の重さ、求められるスキルレベルなどを考慮して賃金が決定されるため、より公平で納得感のある賃金体系を実現することができます。

また、ジョブ型人事制度では、成果に応じて昇給や昇格の機会が与えられるため、従業員は自身の努力が正当に評価されることを実感し、モチベーション高く仕事に取り組むことができます。

組織の効率化

ジョブ型人事制度では、適切な人材を適切なポジションに配置することで、組織全体の効率性を向上させることができます。これは、業務の重複や無駄を削減し、スピーディーな意思決定を可能にする効果があります。

ジョブディスクリプションに基づいて、必要なスキルや経験を持つ人材を採用し、適切なポジションに配置することで、各々が自身の専門性を活かして最大限のパフォーマンスを発揮することができます。

また、ジョブ型人事制度では、権限と責任が明確に定義されているため、迅速な意思決定が可能となり、組織全体の効率性が向上します。

優秀な人材の確保

ジョブ型人事制度では、専門性の高い人材を採用しやすくなるというメリットがあります。これは、企業の競争力強化に繋がる重要な要素です。

ジョブディスクリプションを明確に提示することで、求職者は自身のスキルや経験と合致するポジションに応募しやすくなります。また、ジョブ型人事制度では、成果に応じて報酬が支払われるため、優秀な人材にとって魅力的な制度と言えるでしょう。

優秀な人材を確保することは、企業の成長や発展に不可欠です。ジョブ型人事制度は、優秀な人材を獲得するための有効な手段の一つと言えるでしょう。

生産性向上

ジョブ型人事制度では、従業員の専門性向上により、生産性の向上が期待できます。これは、高品質な製品やサービスの提供に繋がる重要な要素です。

ジョブ型人事制度では、従業員は特定の職務に特化し、その専門性を高めることができます。専門性の向上は、業務の効率化や品質向上に繋がり、結果として生産性の向上に貢献します。

生産性の向上は、企業の収益増加や競争力強化に繋がる重要な要素です。ジョブ型人事制度は、生産性向上を実現するための有効な手段の一つと言えるでしょう。

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ジョブ型人事制度のデメリット

ジョブ型人事制度には、メリットだけでなく、デメリットも存在します。ここでは、ジョブ型人事制度の主なデメリットについて詳しく解説していきます。

ジョブ型人事制度のデメリットは、大きく分けて以下の4つに分類できます。

  • 日本企業の強みが失われる可能性
  • ジョブディスクリプションに書かれていない仕事
  • 採用や人材育成の影響
  • 雇用の不安定さ

これらのデメリットを理解した上で、ジョブ型人事制度を導入するかどうかを判断する必要があります。

項目

デメリット

説明

日本企業の強みが失われる可能性

チームワークや協調性を重視する日本企業の文化と相性が悪い場合がある

従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性がある

ジョブディスクリプションに書かれていない仕事

ジョブディスクリプションに記載されていない業務が発生した場合、対応が難しい

従業員の負担増加や業務効率の低下に繋がる可能性がある

採用や人材育成の影響

専門性の高い人材の採用が難しくなる可能性がある

人材育成に時間がかかる可能性がある

雇用の不安定さ

職務内容が限定されるため、雇用の不安定さに繋がる可能性がある

従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性がある

日本企業の強みが失われる可能性

ジョブ型人事制度は、欧米企業で広く採用されている制度ですが、チームワークや協調性を重視する日本企業の文化と相性が悪い場合があり、従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性があります。

日本企業では、従来から、チームワークや協調性を重視する文化が根付いています。ジョブ型人事制度では、個人の役割や責任が明確に定義されるため、チームワークや協調性が損なわれる可能性があります。

また、ジョブ型人事制度では、成果に応じて報酬が支払われるため、競争意識が強くなり、チームワークや協調性が阻害される可能性もあります。

ジョブディスクリプションに書かれていない仕事

ジョブ型人事制度では、ジョブディスクリプションに記載されていない業務が発生した場合、対応が難しいというデメリットがあります。これは、従業員の負担増加や業務効率の低下に繋がる可能性があります。

ジョブディスクリプションは、あくまでも職務内容を明確にするための文書であり、すべての業務を網羅することはできません。そのため、ジョブディスクリプションに記載されていない業務が発生した場合、誰が対応するのか、どのように対応するのかが明確でないため、混乱が生じる可能性があります。

採用や人材育成の影響

ジョブ型人事制度では、専門性の高い人材の採用が難しくなる可能性があります。また、人材育成に時間がかかる可能性もあります。

ジョブ型人事制度では、特定のスキルや経験を持つ人材を採用する必要があるため、人材プールの縮小に繋がる可能性があります。また、ジョブ型人事制度では、従業員は特定の職務に特化するため、幅広いスキルや経験を積む機会が少なくなり、人材育成に時間がかかる可能性があります。

雇用の不安定さ

ジョブ型人事制度では、職務内容が限定されるため、雇用の不安定さに繋がる可能性があります。これは、従業員のモチベーション低下や離職に繋がる可能性があります。

ジョブ型人事制度では、従業員は特定の職務に特化するため、その職務がなくなってしまった場合、雇用が不安定になる可能性があります。また、ジョブ型人事制度では、成果に応じて報酬が支払われるため、成果が出せない場合、賃金が減額されたり、解雇される可能性もあります。

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ジョブ型人事制度の導入方法

ジョブ型人事制度を導入するには、慎重な計画と準備が必要です。ここでは、ジョブ型人事制度の導入方法について、具体的なステップを解説していきます。

ジョブ型人事制度の導入は、一朝一夕にできるものではありません。段階的に進めていくことが重要です。

ステップ

内容

説明

職務と職務要件の定義

各職務のジョブディスクリプションを作成する

職務内容、必要なスキル、責任、権限などを明確に定義する

職務に対する報酬の設計

各職務に対する報酬体系を設計する

職務の難易度や責任の重さ、求められるスキルレベルなどを考慮する

管理職からの導入

まずは管理職からジョブ型人事制度を導入する

管理職がジョブ型人事制度を理解し、率先して実践することで、スムーズな導入を促進できる

適切な人事評価制度の設計

ジョブ型人事制度に適した人事評価制度を設計する

成果やスキルを適切に評価できる制度を構築する

職務と職務要件の定義

ジョブ型人事制度を導入する上で、まず重要なのは、各職務のジョブディスクリプションを作成することです。ジョブディスクリプションは、職務内容、必要なスキル、責任、権限などを明確に定義した文書であり、採用活動や人事評価、報酬制度の基盤となります。

ジョブディスクリプションを作成する際には、現状の業務内容を分析し、必要なスキルや経験、責任、権限などを明確に定義する必要があります。また、将来的な組織の変化や業務内容の変更も考慮して、柔軟性のあるジョブディスクリプションを作成することが重要です。

職務に対する報酬の設計

ジョブディスクリプションを作成したら、次に、各職務に対する報酬体系を設計する必要があります。ジョブ型人事制度では、職務の難易度や責任の重さ、求められるスキルレベルなどを考慮して報酬が決定されます。

報酬体系を設計する際には、市場の賃金水準や競合他社の報酬体系などを参考に、自社の経営状況や人材戦略に合わせて適切な報酬水準を設定する必要があります。

管理職からの導入

ジョブ型人事制度を導入する際には、まずは管理職から導入することをおすすめします。管理職がジョブ型人事制度を理解し、率先して実践することで、スムーズな導入を促進することができます。

管理職は、部下のジョブディスクリプションを作成し、適切な目標設定や評価を行う必要があります。また、部下の育成やキャリア開発にも積極的に関与する必要があります。

適切な人事評価制度の設計

ジョブ型人事制度を導入する際には、ジョブ型人事制度に適した人事評価制度を設計する必要があります。ジョブ型人事制度では、成果やスキルを適切に評価できる制度を構築することが重要です。

人事評価制度を設計する際には、ジョブディスクリプションに記載された内容に基づいて、従業員の成果やスキルを評価できるような指標を設定する必要があります。また、評価結果をフィードバックし、従業員の成長を促進できるような仕組みを構築することも重要です。

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ジョブ型人事制度の導入事例

ここでは、実際にジョブ型人事制度を導入した企業の事例を紹介します。これらの事例を参考に、自社への導入を検討してみてはいかがでしょうか。

ジョブ型人事制度の導入は、企業の規模や業種、組織文化などによって、その方法や効果は異なります。

株式会社日立製作所

株式会社日立製作所は、2016年からジョブ型人事制度を導入しています。日立製作所では、グローバル競争の激化に対応するため、従業員の専門性を高め、組織の効率化を図ることを目的としてジョブ型人事制度を導入しました。

日立製作所では、ジョブ型人事制度の導入により、従業員のモチベーション向上や生産性向上などの効果が得られたと報告されています。(参照:日立製作所 統合報告書2023)

富士通株式会社

富士通株式会社は、2017年からジョブ型人事制度を導入しています。富士通では、デジタルトランスフォーメーションの推進に伴い、従業員のスキルやキャリア開発を促進することを目的としてジョブ型人事制度を導入しました。

富士通では、ジョブ型人事制度の導入により、従業員の自律的なキャリア形成や組織の活性化などの効果が得られたと報告されています。(参照:富士通株式会社 サステナビリティレポート2023)

KDDI株式会社

KDDI株式会社は、2019年からジョブ型人事制度を導入しています。KDDIでは、通信業界の競争激化に対応するため、従業員の専門性を高め、組織の敏捷性を向上させることを目的としてジョブ型人事制度を導入しました。

KDDIでは、ジョブ型人事制度の導入により、従業員のエンゲージメント向上や組織の意思決定の迅速化などの効果が得られたと報告されています。(参照:KDDI株式会社 統合レポート2023)

その他の企業導入事例

上記以外にも、多くの企業がジョブ型人事制度を導入しています。例えば、ソニーグループ株式会社、パナソニック株式会社、トヨタ自動車株式会社など、様々な業種の企業がジョブ型人事制度を導入し、成果を上げています。

これらの企業の事例を参考に、自社に適したジョブ型人事制度の導入方法を検討することが重要です。

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まとめ

ジョブ型人事制度は、メリットとデメリットを理解した上で、慎重に導入を進める必要があります。導入を検討する際には、自社の経営戦略や組織文化、従業員の特性などを考慮し、適切な制度設計を行うことが重要です。

ジョブ型人事制度は、適切に導入されれば、企業の成長や発展に大きく貢献する可能性を秘めています。この記事が、ジョブ型人事制度の理解を深め、導入を検討する上での一助となれば幸いです。

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