RPO(Recruitment Process Outsourcing)は、採用業務の一部または全部を外部の事業者に委託する形を指す言葉です。日本語では採用代行と訳されます。
ただし、法律に RPO という区分はありません。適法かどうかは、サービスの名前ではなく、委託した業務の中身で決まります。同じ「RPO を導入した」でも、スカウト送信だけを任せた場合と、候補者の紹介まで任せた場合では、当たる条文が違います。
委託範囲の線を引くのは、職業安定法の5つの条文です。越えたときの法定刑も条文で決まっており、スカウトを外に出すときの扱いは厚生労働省の業務取扱要領に書かれています。導入の判断と契約前の確認も、この線に沿って進めるのが基本です。費用相場とサービス比較は別の記事に分けました。
RPOの定義と、法律上の位置づけ
RPO は採用プロセスの外部委託を指す運用上の言葉であり、法令上の区分ではありません。委託した業務ごとに、職業安定法または労働者派遣法の別の条文が当たります。
RPOが指す幅は事業者ごとに違う
RPO の委託範囲は、事業者ごとに大きく違うのが実情です。スカウトの送信だけを任せる形から、採用要件の定義から内定者フォローまでを通して任せる形まで含みます。
つまり「RPO を入れる」という一言では、何を任せたのかが決まりません。発注の実務では、RPO という言葉ではなく業務の単位で話を進めることになります。この記事も以降は業務の単位で書く方針です。
委託範囲の設計手順そのものは、採用代行(RPO)の仕組みと委託範囲、費用の考え方で扱っています。
RPO の委託範囲に関わる、職業安定法第4条の4つの行為
職業安定法には「RPO」も「採用代行」も出てきません。同法第4条が定義する行為のうち、RPO の委託範囲に関わるのは次の4つです。
行為 | 定義(職業安定法第4条) |
|---|
職業紹介 | 求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすること |
労働者の募集 | 労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘すること |
募集情報等提供 | 労働者の募集を行う者等の依頼を受け、労働者の募集に関する情報を労働者になろうとする者又は他の職業紹介事業者等に提供すること等 |
労働者供給 | 供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させること(労働者派遣に該当するものを含まない) |
出所:e-Gov 法令検索「職業安定法(昭和二十二年法律第百四十一号)」第4条(2026年9月15日時点の現行条文)。
RPO の適法性は、この4つのどれに当たるかで決まります。ここを確認せずに契約すると、許可が必要な行為を無許可で行わせる形になり得ます。
BPO・人材紹介・人材派遣との位置関係
RPO と混同されやすい3つの形を、何を外に出すのかで並べたのが次の表です。
形 | 外に出すもの | 候補者との雇用関係 |
|---|
RPO(採用代行) | 採用業務の遂行 | 自社が雇用する |
人材紹介 | 候補者の調達そのもの | 自社が雇用する |
人材派遣 | 業務の遂行と労働力 | 派遣元が雇用する |
BPO | 人事・経理などの業務全般 | 委託範囲に採用が含まれる場合は自社が雇用する |
RPO と人材紹介の違いは、費用の発生する対象に表れます。RPO は業務の遂行に費用が発生する形が中心で(成果報酬型もあります)、人材紹介は雇用関係の成立に費用が発生します。人材紹介側の手数料の実額は人材紹介の費用、職種別の1件あたり実額と課金モデルにまとめました。
職業安定法が引く3本の線
RPO に委託できる範囲は、職業安定法の3本の線で決まります。線を越える業務は、許可または届出を取らないまま委託できません。
線1|雇用関係の成立をあっせんすると職業紹介になる
委託先が候補者を集め、自社に「この人を採用してはどうか」と持ち込み、雇用関係の成立をあっせんした場合、それは職業紹介です。有料で職業紹介事業を行うには、職業安定法第30条第1項により厚生労働大臣の許可が必要になります。
ここで注意が要るのは、委託先が許可を持っているかどうかを自社が確認する必要がある点です。RPO 事業者が有料職業紹介事業の許可を持たないまま候補者を紹介した場合、無許可営業の問題になります。
一方で、自社が集めた応募者の対応を任せるだけなら、あっせんは発生しません。応募の窓口を代行することと、候補者を紹介することは別の行為です。
線2|被用者以外に報酬を払って自社の募集をさせると委託募集になる
自社の従業員ではない者に報酬を払い、自社の労働者の募集に従事させる形は「委託募集」に当たります。職業安定法第36条第1項が求めているのは、この場合の許可です。
さらに第2項は、その報酬の額についてあらかじめ認可を受けることを求めています。報酬を払わずに募集させる場合も、第3項で届出が必要です。
厚生労働省の「募集・求人業務取扱要領」は、労働者の募集を文書募集・直接募集・委託募集の3種類に分けています。求人広告などの文書募集と、自社や自社の従業員が行う直接募集は自由に行えます。職業安定法上、許可または届出が要るのは委託募集だけです。
出所:厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領」(令和7年6月)。
同じ要領は、募集に従事する者を「応募を勧誘する行為を行う者」と定義しています。したがって実務の線は、委託先が自社の代わりに候補者へ応募を勧誘するかに引かれます。求人原稿の作成や応募者への事務連絡は、勧誘そのものではありません。これに対し、委託先が候補者に応募や入社を働きかける形は、委託募集の側に寄ります。
委託募集の許可を出すのは、多くの場合は都道府県労働局長
第36条の条文上の許可権者は厚生労働大臣です。ただし同じ要領は、職業安定法施行規則第37条第1項第6号に基づき、許可と認可の権限を募集の規模で分けています。
募集の規模 | 許可・認可の権限 |
|---|
自県外募集で、一の都道府県からの募集人員が30人以上 | 厚生労働大臣 |
自県外募集で、募集人員総数が100人以上 | 厚生労働大臣 |
上記以外 | 募集に係る事業所の所在地を管轄する都道府県労働局長 |
出所:厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領」(令和7年6月)Ⅲ 委託募集 2(1)。
30人と100人の判定は、一の募集事業所ごとに行うと定められています。募集人員の総数が100人に満たず、1つの都道府県から30人以上を集めない中途採用であれば、申請先は自社の事業所を管轄する労働局です。
スカウトを外に出すときは、2つの扱いに分かれる
スカウトは RPO で外に出されることの多い業務です。同じ要領は、スカウトについて次の2つの扱いを示しています。
形 | 要領の扱い | 必要な許可 |
|---|
求人者に紹介するため求職者を探し、就職を勧め、応じた者をあっせんする「スカウト行為」を事業として行う | 職業紹介事業に含まれる | 職業紹介事業の許可 |
許可を持つ人材スカウト型の職業紹介事業者に、自社の募集を委託する | その事業者に求人を申し込んだものと解する | 委託募集の許可は基本的に不要 |
出所:厚生労働省職業安定局「募集・求人業務取扱要領」(令和7年6月)Ⅲ 委託募集 1ロ。
2つ目の扱いの根拠として、要領は東京エグゼクティブ・サーチ事件の最高裁判決(平成6年4月22日)を挙げています。同判決は人材スカウト行為にきわめて広く職業紹介性を認めた、というのが要領の説明です。事業として募集の受託を繰り返すと、複数の募集を並行して扱い、応募者を最も適切な募集へあっせんする職業紹介の実態に当たるのが通常だ、という整理になります。
発注側が確認するのは2点です。1つは、スカウトの委託先が有料職業紹介事業の許可を持っているか。もう1つは、許可が無い場合に、スカウトを誰の名義で、誰の判断で送るのかです。候補者の抽出と文面の作成だけを任せ、送る判断を自社に残す設計なら、委託先が応募を勧誘する形から距離を置けます。個別の形で判断に迷う場合は、管轄の労働局に確認するのが確実です。
線3|募集を行う者と募集受託者は、応募者から報酬を受け取れない
第36条第1項または第3項により募集に従事する者は「募集受託者」と呼ばれます。第39条が禁じているのは、募集を行う者と募集受託者の双方が、募集に応じた労働者から、いかなる名義でも報酬を受けることです。応募者に費用を負担させる形は、発注側にも委託先にも認められません。
発注側から委託先への支払いにも制約があります。第40条は、募集を行う者が被用者または募集受託者に対し、賃金・給料その他これらに準ずるものを支払う場合と、第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除いて、報酬を与えてはならないと定めます。
つまり委託募集の形を取る場合、報酬の額は認可の範囲に縛られたままです。成果に応じて自由に設計できる契約にはなりません。
委託先が求人情報を扱う場合は届出の対象になることがある
職業安定法第4条は、募集情報等提供のうち「労働者になろうとする者に関する情報を収集して行う」ものを「特定募集情報等提供」と定義しています。この事業を行うには、第43条の2第1項により厚生労働大臣への届出が必要です。
RPO 事業者が自社の求人サイトや候補者データベースを持ち、そこに自社の求人を掲載する形を取る場合、この届出の対象になり得ます。委託先がどの機能を使って候補者を集めるのかを確認しておくと、後から論点になりません。
なお、自社の採用サイトに自社の求人を載せるだけなら、募集情報等提供ではなく自社の募集にあたります。届出の対象を分けるのは、求職者に関する情報を収集して行うかどうかです。求人情報を集約するだけで求職者情報を収集しない形は、募集情報等提供であっても特定には当たりません。
線を越えたときの法定刑
違反したときに何が起きるかを、条文と対応づけると次のようになります。
違反の内容 | 根拠条文 | 法定刑 |
|---|
許可を受けずに有料の職業紹介事業を行った | 第64条第1号(第30条第1項違反) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
許可を受けずに、報酬を与えて被用者以外の者に自社の募集をさせた | 第64条第7号(第36条第1項違反) | 1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 |
報酬額の認可、または報酬を伴わない委託募集の届出を欠いた | 第65条第4号(第36条第2項・第3項違反) | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
募集受託者が応募者から報酬を受けた、または発注側が認可外の報酬を与えた | 第65条第6号(第39条・第40条違反) | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
届出をしないで特定募集情報等提供事業を行った | 第65条第7号(第43条の2第1項違反) | 6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金 |
出所:e-Gov 法令検索「職業安定法」第30条・第36条・第39条・第40条・第43条の2・第64条・第65条(2026年9月15日時点の現行条文)。
上の表の法定刑は、いずれも e-Gov 法令検索で取得した現行条文によるものです。「懲役」と書かれた解説記事は、改正前の条文を引いています。
許可が要らない業務と、要る業務の分かれ目
条文から整理すると、委託の設計は次の3層に分かれます。
層 | 業務の例 | 必要な許可・届出 |
|---|
許可・届出が不要 | 採用計画の策定、要件定義の整理、求人原稿の作成、応募者への事務連絡、日程調整、選考結果の集計、レポーティング | なし |
内容によって委託募集に当たる | 委託先が候補者に応募や入社を勧誘する、委託先の判断でスカウトを送る、募集の可否を委託先が判断する | 第36条の許可(有報酬)または届出(無報酬)、報酬額は認可。許可を持つ人材スカウト型の職業紹介事業者への委託なら基本的に不要 |
職業紹介に当たる | 委託先が候補者を調達して自社に紹介し、雇用関係の成立をあっせんする。事業としてのスカウト行為も含む | 第30条第1項の許可(有料の場合) |
契約の段階で、委託する業務をこの3層のどこに置くのかを書面で決めておくのが確実です。
Offers の AI RPO では、スカウトの設計・送信・追跡と候補者フォローを Offers 側が代行し、候補者リストは Offers の登録者データベースから抽出します(サービスページによる)。運営会社の株式会社overflow は有料職業紹介事業の許可(許可番号 13-ユ-310171)を受けており、厚生労働省 人材サービス総合サイトで許可番号から確認できます。委託範囲の線引きから相談したい場合は、以下からお問い合わせください。
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RPOが広がっている背景
RPO が広がっている背景には、人手不足への対応として中途採用を強める事業所が最も多く、その中途採用が現場で詰まっていることがあります。この前提は定性的な説明ではなく、公的統計で確認できます。
正社員の不足感は調査産業計で+47ポイント
厚生労働省の労働経済動向調査によると、令和8年8月1日現在の正社員等労働者過不足判断D.I.は調査産業計で+47ポイントでした。この指標は「不足」と回答した事業所の割合から「過剰」と回答した割合を差し引いた値で、調査は四半期ごとに行われています。
産業 | 正社員等労働者過不足判断D.I. | 不足 | 過剰 |
|---|
調査産業計 | +47 | 50% | 3% |
運輸業・郵便業 | +61 | 62% | 1% |
建設業 | +59 | 59% | 0% |
学術研究・専門・技術サービス業 | +59 | 62% | 3% |
医療・福祉 | +55 | 60% | 5% |
情報通信業 | +52 | 54% | 2% |
出所:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年8月)の概況」表3(令和8年8月1日現在・有効回答3,175事業所)。
同じ表で見ると、調査産業計の D.I. は令和8年2月調査の+49ポイントのあと、5月・8月とも+47ポイントで推移しています。調査対象の12産業すべてでプラスで、最も低い卸売業・小売業でも+26ポイントです。特定の業界に限った不足ではありません。
不足への対応をした事業所は67%、その最多の手段が中途採用
労働経済動向調査の令和8年8月分によると、労働者が不足している部門に何らかの対応をした事業所は、令和8年4〜6月期の実績で調査産業計の67%でした。同じ表に載る1〜3月期の実績は63%でした。
対応内容は「対応した」事業所を100とした複数回答で、最多が「中途採用の開始・拡大・強化」の66%です。1〜3月期の69%からは下がりましたが、最多の手段であることは変わっていません。採用以外の手段で多いのは「業務の効率化の推進」の42%です。
出所:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年8月)の概況」表5-1(令和8年4〜6月期実績)。
調査対象の事業所全体に占める割合に直すと、67%×66%で約44%の事業所が、不足への対応として中途採用を強めた計算になります(同調査をもとに Offers 推計)。中途採用の件数が増えれば、日程調整や応募者対応の作業量も同じだけ増えます。ところが採用担当者を同じ速度で増やせる企業は多くありません。ここに、採用業務を外に出す需要が生まれます。
中途採用で詰まっているのは母集団の側
厚生労働省の令和7年転職者実態調査によると、一般労働者の転職者がいる事業所のうち85.9%が、転職者を採用する際に「問題がある」と回答しました。前回の令和2年転職者実態調査では84.1%で、8割台が続いています。
問題(複数回答) | 調査産業計 | 情報通信業 |
|---|
必要な職種に応募してくる人が少ないこと | 67.5% | 65.9% |
応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと | 38.3% | 32.2% |
採用時の賃金水準や処遇の決め方 | 37.7% | 45.0% |
採用後の処遇やキャリア形成の仕方 | 21.3% | 22.5% |
出所:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」事業所票第14表(e-Stat)(割合は「問題がある」事業所を100とした複数回答)。
令和7年転職者実態調査の第14表で最も多い問題は、調査産業計でも情報通信業でも「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」です。情報通信業では「問題がある」が91.6%と調査産業計の85.9%より高く、「採用時の賃金水準や処遇の決め方」が45.0%で、調査産業計の37.7%を7.3ポイント上回ります。応募が集まらないことと、集まった候補者にどの条件を出すかを決めきれないことが、同時に起きている状態です。
この2つは、委託で分担できる性質が違います。母集団の側には送信量や原稿の改稿で動かせる部分があり、そこは外に出しやすい一方、提示する賃金や処遇と評価基準は、自社で決めるほかありません。
RPOに委託できる業務の範囲
委託できる業務は、採用の工程順に整理すると把握しやすくなります。工程ごとに、外に出しやすいかどうかが変わります。
採用計画と要件定義は、素案づくりまで
委託できるのは、採用人数・時期・予算の素案づくりや、他社の募集条件の整理です。市場の相場感を持つ事業者に任せると、社内だけで組むより早くなります。
ただし要件の最終決定は自社に残ります。どの能力を必須とし、どこを譲るかは事業計画に紐づく判断で、外からは決められません。
母集団形成は、作業量が出るところから
求人媒体の運用、スカウトの候補者抽出と文面の作成、求人原稿の作成と改稿は委託できます。前節の統計が示すとおり、応募が集まらないことが最も多い問題です。そのうちスカウトの送信量や原稿の改稿回数で動かせる部分は、外に出しやすい領域です。
スカウトの送信まで任せる場合は、前章のとおり、委託先が有料職業紹介事業の許可を持つかと、送る名義と判断が誰にあるかを先に確認します。
送信量が必要な業務ほど、外に出したときの効果が見えやすくなります。逆に、判断の回数が多く量が少ない業務は、委託しても手間が減りません。
応募者対応と日程調整は、標準化しやすい
応募の受付、問い合わせへの返信、面接日程の調整、選考結果の連絡は委託できます。対応の手順を決めれば品質が安定する領域で、担当者の残業が減りやすい箇所です。
この工程は候補者から見た自社の印象を左右します。返信の文面と応答の速度を契約に含めておくと、委託後に体験が落ちる事態を避けられます。
書類選考は一次確認まで、面接は運営まで
委託できるのは、応募書類の一次確認(必須要件の充足チェック)と、面接の日程・会場・オンライン接続の運営です。面接官向けの評価シートの整備も含められます。
一方で、合否の判断と労働契約の締結は自社が行います。前章の線1のとおり、委託先が候補者を紹介して雇用関係の成立をあっせんする形は職業紹介です。
レポーティングと改善提案
工程ごとの通過率、媒体別の応募数、スカウトの返信率などの集計と、そこからの改善提案は委託できます。数字を毎週出せる体制が自社に無い場合、ここを任せる価値は大きくなります。
レポートの粒度は事業者ごとに差が大きい部分です。契約前に、どの指標をどの頻度で出すのかを確認しておくと後で揉めません。
委託範囲を決める前に、自社の採用プロセスのどこに数字が無いのかを確かめておくと、委託先に出させる指標も決めやすくなります。採用計画から施策、KPI の設定・管理までを1つにまとめた Excel テンプレートを用意しました。
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RPOを導入するメリット
RPO のメリットは、採用担当者の時間が空くこと、運用の品質が平準化すること、立ち上がりが早いことの3つに整理できます。どれも「作業量の多い工程を外に出せる」という一点から出ています。
採用担当者の時間が要件定義と口説きに回る
日程調整・応募者対応・スカウト送信は、担当者の時間を最も使う工程です。ここを外に出すと、要件定義・面接官の調整・候補者への口説きに時間が回ります。
令和7年転職者実態調査では、採用時に問題があるとした事業所の38.3%が応募者の評価基準が無いことを、37.7%が採用時の賃金水準や処遇の決め方を挙げました。どちらも、担当者が考える時間を確保しないと解けない課題です。
運用の品質が担当者に依存しなくなる
スカウトの返信率や応募者への応答速度は、担当者の経験と手が空いているかで変わります。委託すると手順が書面になるため、担当者の異動や繁忙で品質が落ちにくくなります。
手順が書面にあること自体が、後で自社に戻すときの資産です。委託を終える前提で契約する場合、この点は確認しておく価値があります。
立ち上がりが自社採用より早い
採用担当者を自社で採用する場合、募集から入社まで数か月かかります。RPO は既に経験を持つ人員が入るため、契約から稼働までの期間が短くなるのが通例です。
急に募集ポジションが増えた場合や、特定の四半期だけ採用を厚くする場合は、この差が大きくなります。実際の期間と成果の型はRPO導入事例14社に見る成果の型と期間で扱っています。
RPOのデメリットと、契約で潰せる範囲
デメリットは4つです。いずれも、契約と運用の設計で小さくできる範囲とできない範囲に分かれます。どちらなのかを分けて見るのが実務的です。
自社にノウハウが残らない
委託した工程の判断は、委託先の中に溜まります。契約が終わったときに、自社に手順が残らない状態になり得ます。
これは契約で小さくできる部分です。手順書・スカウト文面・媒体の設定内容・週次レポートを自社の資産として受け取る条件を入れておくと、引き継ぎが可能になります。
要件のズレがミスマッチになる
委託先に伝えた要件と、実際に必要な人物像がずれていると、母集団の質が落ちます。令和7年転職者実態調査で「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が38.3%だったとおり、自社側で基準が言語化できていない場合に起きる現象です。
ここは委託では埋まりません。要件定義は自社に残る仕事であり、委託先に丸ごと渡すと精度が落ちます。書類選考の一次確認を任せる場合は、必須要件を明文化してから渡すのが前提になります。
候補者の個人情報を外に出すことになる
委託先と共有するのは応募書類・面接評価・連絡先で、個人情報の取り扱い範囲が広がる形です。委託先の情報管理体制と、再委託の可否を契約で確認する必要があります。
確認の実務では、情報セキュリティの認証取得状況、アクセス権限の範囲、契約終了時のデータ削除手順の3点を押さえると漏れが減ります。
委託範囲の切り方が法令の線に触れる
前章のとおり、委託先が候補者を勧誘したり紹介したりする形になると、許可または届出が必要です。「採用業務をまとめて任せたい」という要望のまま範囲を広げると、線を越える運用が入り込みます。
これも契約で潰せます。業務の一覧を3層に分けて書面化し、線を越える業務は委託しないと明記しておくのが確実です。
費用の考え方と、人材紹介との課金構造の違い
RPO は業務の遂行に費用が発生する形が中心で(成果報酬型もあります)、人材紹介は雇用関係の成立に費用が発生する形です。この違いが、採用人数が読めるかどうかで有利・不利を分けます。
RPOは月額固定と従量課金が中心
採用代行の料金形態を調べた調査では、複数回答(n=336)で月額固定が217人、従量課金が216人、成果報酬が104人でした。月額費用は「10万円〜20万円未満」が18.8%で最多です(有効回答325件)。
出所:BOXIL(スマートキャンプ株式会社)「採用代行サービス(RPO)の費用調査」(採用代行の導入に携わった342人・インターネット調査・2025年11月25日〜12月2日実施)。
料金体系別の相場や内訳は採用代行(RPO)の費用相場・料金体系・選び方の基本で扱っています。サービスごとの公開料金の比較は採用代行(RPO)10サービス比較、7つの評価軸と料金相場・導入事例にまとめました。
人材紹介は1件あたり全国平均で約103万円
人材紹介側の単価は、公的統計で実額が取れます。民営職業紹介事業所の常用就職件数は約92万件、常用就職に係る手数料は約9,136億円で、1件あたりの手数料は約103万円でした(いずれも令和6年度・対前年度比で件数4.8%増・1件あたり10.9%増)。
出所:厚生労働省「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(令和8年3月31日公表)。
この統計でいう「常用」は、4か月以上の期間を定めた雇用または期間の定めのない雇用を指します。正社員に限られません。
この数字は全職業の平均です。エンジニアなどの採用難易度が高い職種では、上に振れるとみられます。それでも、採用人数が多い場合に RPO の月額が相対的に安くなる分岐点を見る目安になります。
どちらが安いかは採用人数で変わる
採用人数が少なければ、総額が小さく済むのは成果に対して払う人材紹介のほうです。人数が増えると、業務量に対して払う RPO のほうが1件あたりの単価が下がります。
分岐点は自社の募集ポジション数と、1ポジションあたりの採用人数で変わります。委託先を決める前に必要なのは、年間の採用計画での試算です。
開発組織の採用計画と予算配分を、数値とモデルケースで組める Excel テンプレートを用意しました。RPO と人材紹介の分岐点は、このシートに年間の採用計画を入れると試算できます。
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RPOと他の採用手段の使い分け
RPO は候補者を連れてくる手段ではなく、採用業務を回す手段です。だから候補者の調達手段と並べるのではなく、組み合わせて考えます。
課金の対象で4つに分かれる
採用の外部手段は、RPO(業務の遂行)・人材紹介(雇用関係の成立)・ダイレクトリクルーティング(媒体の利用)・スカウト代行(送信の作業量)の4つに、費用が発生する対象で分かれます。自社に残る作業量と向く状況も、課金の対象ごとに異なるのが実態です。
手段 | 費用が発生する対象 | 自社に残る作業量 | 向く状況 |
|---|
RPO(採用代行) | 業務の遂行(月額固定・従量が中心。成果報酬型もある) | 要件定義と合否判断のみ | 募集ポジションが複数あり作業量が出ている |
人材紹介 | 雇用関係の成立(成功報酬) | 面接と合否判断 | 採用人数が少なく、確実性を優先する |
ダイレクトリクルーティング | 媒体の利用料(+成功報酬) | 候補者抽出から口説きまで全部 | 自社で候補者を選び、口説ける体制がある |
スカウト代行 | 送信の作業量 | 返信後の対応と合否判断 | 候補者抽出と送信の量だけが足りない |
RPO と人材紹介は排他ではありません。難易度の高い1ポジションだけを人材紹介に出し、残りの母集団形成と選考運営を RPO に任せる形も取れます。
併用すると重複しやすい箇所
併用したときに費用が二重になりやすいのは、候補者の抽出とスカウトの送信です。人材紹介と RPO の両方が同じ母集団に接触すると、候補者側で重複が起きます。
対策は、対象の職種か媒体で担当を割ることです。どちらがどのポジションを持つのかを契約時に決めておくと、重複を避けられます。
手段ごとの比較はエンジニア採用手法の比較|コスト・選び方と成功のコツ、ダイレクトリクルーティングの仕組みはダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットを数値でで扱っています。
導入に向いている企業の条件
RPO が合うかどうかを決めるのは、企業規模ではなく「作業量が出ているか」です。判断材料は3つあります。
採用担当者が1〜2名で、募集ポジションが複数ある
担当者の人数に対して募集ポジションが多い状態では、日程調整と応募者対応に時間が取られます。要件定義と候補者への口説きに手が回らないなら、作業量の多い工程を外に出す価値が大きい状況です。
逆に、募集が1ポジションで採用人数も1名なら、委託の固定費のほうが重くなります。
応募は来るが選考が回っていない
応募数は足りているのに、書類選考の滞留や日程調整の遅れで候補者が離脱している場合、RPO の効果が出やすくなります。この状態を見つける手掛かりは、工程の通過率の並びです。
どこで落ちているかを数えていない場合は、まず工程別の数字を出すところから始めます。採用フローとは?6工程の設計手順と法令要件で工程の区切り方を扱っています。
スカウト運用を始めたが送信量が出ない
スカウト型の採用で結果を左右するのは、送信量と文面の改稿回数です。他業務と兼務している担当者では、必要な量に届かないことが多くなります。
送信と候補者抽出を外に出すと量を確保できます。送信まで任せるなら、委託先の許可の有無が契約前の確認事項です。AI を使った候補者抽出との組み合わせはAI RPOとは?従来のRPOとの違いとエンジニア採用で効果が出る仕組みにまとめました。
向いていないケース
RPO を入れても成果が出にくいのは、要件が固まっていない・採用人数が少ない・合否の判断まで任せたい、の3つの状態です。
- 採用要件が固まっておらず、社内で合意も取れていない
- 募集ポジションが1つで、年間の採用人数も1名程度
- 合否の判断まで委託先に任せたい
1つ目は委託の前に社内で決めるべき事柄です。3つ目は、法令上の扱いを先に確かめる必要があります。厚生労働省の募集・求人業務取扱要領は、採用試験を応募者から雇用する者を選考する行為として、募集とは別の行為に整理しています。
要領のこの記述から言えるのは、採用試験が委託募集そのものではないという点までです。合否の判断を委託することが職業紹介など別の規制に当たるかは、委託の前に管轄の労働局へ確認してください。
RPO は合否の判断と労働契約の締結を自社に残して組むのが一般的で、本稿もその運用を前提にしています。判断まで外に出したい場合は、一般的な RPO の委託設計とは合いません。
RPOサービスを選ぶときに確認する5点
比較の軸に置くのは、実績の数より契約と運用の中身です。確認する順に並べます。
許認可と委託範囲の書面化
委託する業務が前章の3層のどこに当たるかを、契約書または仕様書で確定します。職業紹介に当たる業務や、委託先の判断で送るスカウトを含めるなら、委託先が有料職業紹介事業の許可を持っているかの確認が必要です。
「まとめて任せられます」という説明だけで範囲を確定しない姿勢が要ります。範囲が曖昧なまま始めると、運用の途中で線を越えます。
実務を担当する人員の体制
確認するのは、提案に出てくる担当者と実務を動かす担当者が同じかどうかです。1名が何社を兼任するのか、稼働時間の目安がどれだけかも聞きます。
エンジニア採用のように職種の理解が要る領域では、担当者がその職種の募集を扱った経験があるかで結果が変わります。
レポートの粒度と頻度
事前に決めるのは、どの指標を、どの頻度で、どの形式で出すのかです。工程別の通過率が出ないレポートでは、どこが詰まっているかを判断できません。
改善提案が付くのか、数値の報告だけなのかも確認します。提案を期待するなら、その回数を契約に入れます。
情報管理と再委託
候補者の個人情報の保管先と、アクセスできる範囲も確認事項です。再委託を認めるかどうか、認める場合の範囲も決めます。
契約終了時のデータ削除手順と、削除の証跡をどう受け取るかまで詰めておくと後で困りません。
契約期間と解約条件
最低契約期間、解約の予告期間、途中解約時の費用を確認します。判断材料になるのは、効果が出なかった場合に止められる条件かどうかです。
あわせて、引き継ぎ時に受け取る成果物の一覧を決めておきます。手順書とスカウト文面が戻らない契約では、自社に何も残りません。
契約前に書面化しておく3項目
確認した内容は、口頭ではなく書面に残します。委託の途中で担当者が変わったときに、前提が消えないようにするためです。
- 委託する業務の一覧と、前章の3層のどこに当たるか
- 出すレポートの指標・頻度・形式
- 契約終了時に受け取る成果物と、データの削除手順
この3つが決まっていれば、委託の範囲が運用の途中で広がる事態を避けられます。逆に、ここが曖昧なまま始めた委託は、線を越えたかどうかを後から確認できません。
RPO導入の判断に要る3点
RPO は採用業務の外部委託を指す言葉ですが、法律にその区分はありません。適法性はサービス名ではなく、委託した業務の中身で決まります。
判断に要るのは次の3点です。第1に、職業安定法の線(第30条の職業紹介、第36条の委託募集、第39条・第40条の報酬)のどこまでを委託するのかを書面で決めること。スカウトの送信を任せるなら、委託先の職業紹介事業の許可の有無もここで確かめます。第2に、公的統計では中途採用の問題で最も多いのは応募の少なさであり、そのうち送信量や原稿の改稿で動かせる部分は外に出しやすいこと。第3に、要件定義と合否判断は自社に残るため、そこを任せる前提で設計しないことです。
費用相場は採用代行(RPO)の費用相場・料金体系・選び方の基本、サービスごとの比較は採用代行(RPO)10サービス比較、仕組みと委託範囲の設計手順は採用代行(RPO)の仕組みと委託範囲、費用の考え方で扱っています。
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