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エンジニア面接の技術質問|質問例と評価の決め方

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エンジニア面接の技術質問は、候補者が自社の業務で使う技術を理解しているか、その技術で問題を解いてきたかを確かめるための質問です。

知識を問う質問だけで終わらせず、担当した仕事の深掘りや、設計・障害対応を想定した質問と組み合わせて使います。

見極めの精度を左右するのは、質問の難しさより、質問と評価の基準を面接の前に決めておくかどうかです。現場のエンジニアが技術を深掘りし、人事が質問の範囲と記録をそろえる分担にすると、面接官ごとの評価のぶれを抑えられます。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

技術質問の定義と、面接で確かめる3つのこと

技術質問とは、エンジニアの採用面接で、職務に必要な技術の知識、その技術を使った経験、問題を解くときの考え方の3つを確かめる質問のことです。書類やコーディングテストでは見えにくい「なぜその判断をしたか」を、対話で聞き出せる点に面接で聞く意味があります。

確かめること

質問の例

見るポイント

知識

リレーショナルデータベースとNoSQLを、どんな条件で使い分けますか

自社で使う技術の基本を、自分の言葉で説明できるか

経験

直近のプロジェクトで、あなたが設計を決めた部分はどこですか

担当した範囲と、自分で判断したことを具体的に話せるか

考え方

想定の要件を示し、どう設計するかを聞く

前提の確認、選択肢の比較、トレードオフの説明があるか

知識だけを問うと、覚えている用語の量を測る面接になりがちです。

経験と考え方の質問を組み合わせると、入社後に同じような場面でどう動くかを推し量る材料が増えます。

エンジニア面接で使う技術質問の種類と質問例

技術質問は、基礎知識・経験の深掘り・設計・障害対応・技術選定・学び方の6種類に分けると、職種や選考の段階に合わせて組み立てやすくなります。1回の面接ですべてを聞く必要はなく、募集するポジションで重要なものを選ぶ形で問題ありません。

種類

質問例

確かめること

基礎知識

TCP/IPの階層ごとの役割を説明してください

業務で前提になる知識の理解度

経験の深掘り

これまでで最も難しかった技術的な課題と、自分が取った対応を教えてください

担当範囲・判断の根拠・結果

設計

利用者が今の10倍になる前提で、このサービスの構成をどう変えますか

要件の確認、選択肢の比較、トレードオフの説明

障害対応

本番環境で応答が急に遅くなったら、何から確かめますか

切り分けの順序、影響範囲の把握、周囲への連絡

技術選定

前職でその言語やフレームワークを選んだ理由と、ほかの候補を教えてください

選定の基準を言葉にできるか

学び方

業務で新しい技術が必要になったとき、どう身につけましたか

業務に結びついた学習の進め方

基礎知識の質問は、自社で使う技術に絞る

基礎知識の質問は、自社の業務で実際に使う技術に絞るのが基本です。

Sackettらの2022年のメタ分析が職務知識テストの推定に使った Dyeら(1993年)の研究では、職務に特有の知識テストを使った研究の観測された妥当性が、集めた研究の平均を上回りました。数値は次の章で示します。

たとえばWebアプリケーションを開発するチームなら、データベースの設計やHTTP(Webでデータをやり取りするための通信の決まり)の仕組みを聞く方が、自社で使わない言語の文法を聞くより判断の材料になります。

経験の深掘りは、本人の担当と判断を切り分けて聞く

経験を聞く質問では、チームの成果と本人の担当を分けて聞くことが要点です。「チームで新しい決済の仕組みを作った」という答えには、「その中であなたが決めたことは何ですか」「別の方法も検討しましたか」と続けると、本人の判断の中身が見えてきます。

失敗した経験も、聞く価値のある題材です。原因をどう捉え、次の仕事で何を変えたかを話せる候補者からは、振り返りを仕事に生かす習慣が読み取れます。

設計と障害対応の質問は、正解より進め方を見る

設計や障害対応を想定した質問には、決まった正解がありません。見るのは、候補者が前提を確かめる質問を返してくるか、選択肢を比べて理由を説明できるか、分からない点を分からないと言えるかといった進め方です。

面接官は、想定の条件(利用者数、予算、納期など)を事前に決めておき、候補者に聞かれたら同じ条件を答えます。候補者ごとに条件を変えると、回答を比べられなくなるためです。

コードを書く力は、コーディングテストと分担して確かめる

コードを書く力を面接の会話だけで確かめるのは難しいため、コーディングテストや、提出してもらったコードを面接で一緒に読む形と組み合わせる方法が現実的です。

面接では、テストの回答について「なぜこの書き方にしたか」を聞くと、書いたコードと考え方の両方を確かめられます。テストの種類や進め方は「コーディングテストとは?具体的な内容やメリット・デメリットを解説」で扱っています。

技術質問と評価の基準を面接の前に決める理由

技術質問の見極めの精度を上げるには、聞く質問と評価の基準を面接の前に決め、どの候補者にも同じ形で聞くことが近道です。選考手法の研究では、質問と評価をそろえた構造化面接の方が、面接官の裁量に任せた非構造化面接より、入社後の仕事ぶりを予測する力が高いと推定されています。

構造化面接と職務知識テストは、予測妥当性が高い選考手法

Sackettら4名が2022年に Journal of Applied Psychology(第107巻11号)で発表したメタ分析(複数の研究を統合して推定し直す手法)は、主要な選考手法の予測妥当性を推定し直しました。

予測妥当性は、選考での評価と入社後の職務遂行の評価がどれだけ連動するかを表す相関係数で、値が大きいほど予測の精度が高いことを示します。

この研究で最も高かったのは構造化面接の0.42で、職務知識テストの0.40が続きました。面接官の裁量に任せた非構造化面接は0.19です。

次の表は、この研究の表3から5つの手法を抜き出したものです。

選考手法

2022年の推定値

1998年の推定値(Schmidt と Hunter)

構造化面接

0.42

0.51

職務知識テスト

0.40

0.48

ワークサンプルテスト

0.33

0.54

認知能力テスト

0.31

0.51

非構造化面接

0.19

0.38

出所: Sackett・Zhang・Berry・Lievens「Revisiting meta-analytic estimates of validity in personnel selection」(Journal of Applied Psychology 第107巻11号・2022年)表3から5手法を抜粋

数値は幅広い職種の研究を統合した推定で、エンジニア職に絞った値ではありません。

それでも、技術質問は職務の知識を問う点で職務知識テストに、質問と評価の基準をそろえれば構造化面接に近い性格を持ちます。上位の2つの手法の条件に近づけるほど、面接で得た評価を合否の根拠にしやすくなります。

職務に特有の知識を問うテストは、研究全体の平均より妥当性が高い

同じ論文は、職務知識テストの推定に Dyeら(1993年)のメタ分析を使い、その職務に特有の知識を問うテストに絞って値を出しました。

Dyeらが集めた164件の研究全体では観測された妥当性の平均が0.22で、職務に特有の知識テストを使った59件では0.31でした。表の0.40は、この0.31を職務遂行の評価の測定誤差で補正した値です。

技術質問に置き換えると、自社で使わない技術の知識やクイズのような問題より、募集するポジションの業務で使う知識を問う方が、入社後の仕事ぶりとのつながりが強いと考えられます。

評価の基準は「どんな答えなら何点か」で書いておく

評価の基準は、質問ごとに「どんな答えなら何点か」を文章で書いておくと、面接官ごとの採点のぶれを抑えられます。次の表は、設計の質問を4段階で評価する基準の例です。

評価

回答の状態(例)

4

前提を自分から確かめ、複数の構成を比べて、選んだ理由と弱点まで説明できる

3

妥当な構成を示し、選んだ理由を説明できる

2

構成を示せるが、理由の説明が一般論にとどまる

1

構成を示せない、または前提と合わない構成を示す

基準は、そのポジションで活躍している社員の仕事ぶりから逆算して作ります。シートの形や項目の決め方は「エンジニアの面接評価シートの作成方法」で扱っています。

技術質問を使った面接の進め方

技術質問を使う面接は、人事と現場のエンジニアで役割を分け、深掘りの聞き方と記録の形を事前にそろえて進めるのが基本です。技術の深掘りは現場のエンジニアが担い、人事は質問の範囲・時間配分・記録・聞いてはいけない質問の確認を受け持ちます。

人事と現場エンジニアの役割分担

人事と現場のエンジニアの役割は、面接の前・中・後の3つの場面で分けておくと、抜けや重なりが出にくくなります。

担当

面接の前

面接の中

面接の後

人事

質問の範囲と時間配分を決め、聞いてはいけない質問を面接官と共有する

進行と時間の管理、記録

評価をすり合わせる場を設ける

現場のエンジニア

技術質問と評価の基準を作る

技術の深掘り、採点

次の面接で確かめる点を書き残す

人事がエンジニア出身でなくても、評価の基準が文章になっていれば、回答が基準のどの評価に該当するかを現場の面接官と一緒に確かめることは可能です。

回答を深掘りする質問の型

技術質問への最初の回答は準備してきた説明であることが多く、本人の理解の深さが見えるのは追加の質問の段階です。深掘りの質問は、次のような型を決めておくと、面接官が替わっても聞き方がそろいます。

  • なぜその方法を選んだのですか。ほかに検討した方法はありますか
  • その判断で、うまくいかなかった点はありますか
  • 今、同じ状況になったら、同じ判断をしますか
  • その仕事の中で、あなたが担当した範囲はどこまでですか

逆質問への答えを用意しておく

面接の最後の逆質問で、技術スタックや開発の進め方、チームの体制を聞いてくる候補者は少なくありません。

現場のエンジニアが答えられるよう、使っている技術とその選定理由、コードレビューやリリースの進め方を事前に整理しておくと、候補者が自社を判断する材料を渡せます。

面接の設計を含め、エンジニア採用の進め方に関する資料は、Offers のお役立ち資料の一覧からダウンロードできます。

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技術質問の場で聞いてはいけないこと

技術の話の流れでも、応募者の適性・能力に関係のない事項を聞くと、就職差別につながるおそれがある点に注意が必要です。

厚生労働省は、本人に責任のない事項と、本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)を面接などで把握することを、就職差別につながるおそれがある事項に挙げています。前者には本籍・出生地、家族、住宅状況、生活環境など、後者には宗教、支持政党、人生観、尊敬する人物、思想、購読新聞・雑誌・愛読書などが含まれます(厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」)。

技術の雑談でも当たりやすい質問

エンジニアの面接では、技術の話題のつもりで尋ねた質問が、厚生労働省の挙げる配慮すべき事項に入りうる場合があります。

次の表は、技術の雑談の形をとる質問を同省の事項に照らした、この記事の当てはめです。

当たりやすい質問

当たりうる事項

聞き方の例

尊敬するエンジニアは誰ですか

尊敬する人物

目標にしている技術の水準や役割を、業務の言葉で教えてください

愛読している技術書は何ですか

愛読書

担当した業務で、新しい技術をどう身につけましたか

ご家族は転職に賛成していますか

家族

聞かない(入社の時期や条件は、本人の希望として確かめる)

令和6年度にハローワークで把握した854件では、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があったもののうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めています。

面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いとされ、アイスブレイクの雑談こそ注意が要る場面です。面接官に共有しておきたい線引きは「面接官の役割と心得」でまとめています。

技術質問の結果を選考の判断につなげる方法

技術質問の結果は、面接の直後に評価の基準に沿って記録し、面接官どうしで点数の根拠をすり合わせてから合否を決めるのが手順です。記憶が新しいうちに点数と根拠の回答を書き残しておけば、次の面接官に確かめる点を引き継げます。

面接の直後に、点数と根拠の回答を記録する

記録に残すのは、質問ごとの点数と、その点数にした理由になる候補者の発言です。

「設計力が高い」のような印象ではなく、「キャッシュの置き場所を2案比べ、更新の頻度を理由に選んだ」のように回答の中身を書くと、別の面接官が読んでも判断を追えます。

面接官どうしで評価をすり合わせる

複数の面接官の評価が分かれたときに最初に行うのは、根拠にした回答の突き合わせです。点数の平均を取るのは、その後です。同じ回答を違う点数にしていれば、評価の基準の書き方を見直すきっかけになります。

次の面接で確かめる点を引き継ぐ

一次面接で確かめきれなかった技術の領域は、二次面接の面接官に引き継ぎます。同じ質問を繰り返すと候補者の負担が増えるため、何を確かめ、何が残っているかを記録で共有しておきましょう。

エンジニア面接の技術質問で押さえる要点

エンジニア面接の技術質問は、自社の業務で使う技術に絞り、質問と評価の基準を面接の前に決めて、どの候補者にも同じ形で聞くことが基本です。選考手法のメタ分析でも、質問と評価をそろえた構造化面接と、職務の知識を問うテストは、予測妥当性が高い手法に位置づけられています。

進め方では、技術の深掘りを現場のエンジニアが、範囲・時間・記録・聞いてはいけない質問の確認を人事が受け持つ分担が基本です。尊敬する人物や愛読書、家族のように適性・能力に関係のない事項は、技術の雑談の形でも聞かないようにします。

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