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採用マニュアルの作り方|中小企業の手順と項目

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採用マニュアルの作り方|中小企業の手順と項目

採用の担当者が少ない会社では、求人票の書き方も面接で何を聞くかも、担当者の経験に頼りがちです。担当が替わったとたんに選考の基準が変わり、候補者への連絡が止まることもあります。

採用マニュアルは、その手順と基準を文書に残し、誰が担当しても同じ進め方で選考するための道具です。

作り始めは、自社の採用の流れを書き出すところから。募集と面接の章には法令や厚生労働省の指針で決まっている項目を入れ、見直しの時期も作る段階で決めておきます。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

採用マニュアルの定義と載せる範囲

採用マニュアルは、募集から選考・内定・入社までの手順と、各段階で何を基準に判断するかを1つにまとめた社内文書です。読み手は採用担当者だけでなく、面接を担当する現場の社員や、最終面接に出る経営者も含みます。

業務マニュアル一般との違いは、求人の出し方や面接での質問に、法令や厚生労働省の指針で決まっている事項が含まれる点です。手順と一緒に、守るべき線も同じ文書に置きます。

章

書く内容

主に読む人

採用の目的と人物像

採用の背景、必須と歓迎の要件、採用人数と時期

経営者・採用担当者・現場の責任者

募集

求人票の書き方、労働条件の明示事項、使う採用手段

採用担当者

書類選考

応募書類の様式、見る項目、合否の基準

採用担当者・現場の責任者

面接

面接の回数と担当、質問事項、評価基準、聞いてはいけない事項

面接官全員

内定から入社まで

条件の提示、連絡の頻度と担当、入社前の準備

採用担当者・配属先の上司

記録と見直し

選考記録の保管、個人情報の扱い、見直しの時期

採用担当者

最初から全部の章をそろえる必要はありません。担当が替わると止まりやすい章から書き、空いている章には「未定」と書いておけば、足りない部分が一目でわかります。

中小企業が採用マニュアルを作る理由

中小企業が採用マニュアルを作る理由は3つです。担当者の交代で選考の基準が変わるのを防ぐこと、面接官ごとの評価のずれを減らすこと、募集と面接で法令や厚生労働省の指針に反する対応を避けることです。

採用の担当者が1人か、ほかの業務と兼ねている会社では、選考の判断がその人の頭の中にしかないことがよくあります。退職や異動のたびに一から組み立て直すと、その間の候補者を待たせる結果になります。

面接官ごとの評価のずれは、現場の社員が面接を担当するほど起きやすいものです。厚生労働省の公正採用選考特設サイトは、面接の質問事項と評価基準をあらかじめ決めておき、複数の面接担当者で面接するときは全員で意思統一を図るよう求めています。マニュアルは、その決めた内容を面接官に渡すための文書です。

採用マニュアルの作成手順(7ステップ)

採用マニュアルの作成手順は、次の7つです。今の採用の流れを書き出す、人物像を決める、募集の章を書く、選考の基準を決める、面接で聞かない事項をまとめる、内定から入社までの連絡を決める、見直しの時期と担当を決める。

手順

やること

できあがるもの

1. 今の流れを書き出す

応募の受付から入社までの工程と、各工程の担当・所要日数を並べる

採用フロー図

2. 人物像を決める

配属先の責任者と、必須の要件と歓迎の要件を分けて書く

人物像のシート

3. 募集の章を書く

求人票のひな形と、明示が必要な労働条件の一覧を作る

求人票のひな形

4. 選考の基準を決める

書類と面接で見る項目と、合否の線を決める

評価シート

5. 聞かない事項をまとめる

面接・応募書類で把握してはいけない事項を一覧にする

面接官向けの注意書き

6. 内定から入社までを決める

条件の提示の仕方、連絡の頻度、担当を決める

連絡の予定表

7. 見直しの時期と担当を決める

定期の見直しと、臨時に見直すきっかけを書く

改訂の履歴欄

手順1で工程を書き出すと、担当が決まっていない工程や、日数がかかっている工程が見えてきます。採用フローの組み方は「採用フローとは?6工程の設計手順と法令要件」で工程ごとに扱っています。

手順2の人物像は、採用担当者だけで決めず、配属先の責任者と一緒に書くのが基本です。必須と歓迎を分けておけば、書類選考で迷ったときに立ち返る基準になります。

エンジニアの中途採用で採用マニュアルに足す項目

エンジニアの中途採用では、7つの手順に3つの項目を足します。技術の評価を誰がどの方法で行うか、その評価基準、候補者から見える採用情報の更新担当です。

技術の評価は、人事の採用担当者だけでは判断が難しい部分です。コーディングの課題を出すのか、過去のコードや開発経験を面接で深掘りするのかを決め、評価を担当する現場のエンジニアと評価項目をマニュアルに書いておきます。

課題を出す場合は、所要時間の目安と、提出された成果物を選考以外に使わないことも明記しておくと安心です。

採用ページや求人票、技術ブログなどの公開情報を誰がいつ更新するかも、マニュアルで決めておく項目の1つです。

自社の採用ページや求人票、技術発信が候補者からどう見えているかを確かめたいときは、エンジニア採用力チェックが使えます。企業のURLを入れると公開情報をAIが5指標24項目で採点し、原則1営業日以内にレポートが届く無料の診断です。

募集の章に入れる労働条件の明示事項(令和6年4月改正)

募集の章には、求人票で明示する労働条件の一覧を入れます。職業安定法施行規則の改正で、令和6年4月1日から、募集時の明示事項に3つの項目が加わりました(厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」)。

追加された明示事項

求人票に書く内容の例

従事すべき業務の変更の範囲

入社後に担当が変わる可能性のある業務の範囲

就業の場所の変更の範囲

転勤や在宅勤務を含め、働く場所が変わりうる範囲

有期労働契約を更新する場合の基準に関する事項

更新の基準と、通算契約期間または更新回数の上限

改正の前に作った求人票のひな形には、この3項目の欄が無いことがあります。マニュアルの求人票のひな形に欄を設けておけば、担当者が替わっても書き漏れを防げるはずです。

3つ目の更新の基準は、有期労働契約で募集するときに関わる項目です。

面接の章に入れる質問と評価基準の決め方

面接の章には、職務に必要な適性と能力を確かめる質問事項と、その評価基準を事前に決めて書きます。あわせて、面接や応募書類で把握してはいけない事項を一覧にし、面接官全員に渡すのが基本です。

厚生労働省の公正採用選考特設サイトは、就職差別につながるおそれがある具体的事項として、少なくとも14事項をあげています。下の表の本人に責任のない事項と思想・信条にかかわる事項をエントリーシートや応募用紙への記載、面接での質問、作文の題材などで把握すること、採用選考の方法の事項を実施することが、就職差別につながるおそれがあるとされています(厚生労働省「採用選考時に配慮すべき事項」)。

区分

主な事項

本人に責任のない事項の把握

本籍・出生地、住宅状況、家族(職業・続柄・健康・学歴・収入など)、生活環境・家庭環境

本来自由であるべき事項(思想・信条)の把握

宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合などの社会運動

採用選考の方法

身元調査、合理的・客観的に必要性が認められない健康診断、適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用

同じサイトによると、令和6年度にハローワークが把握した、応募者から「本人の適性・能力以外の事項を把握された」と指摘があった854件では、「家族に関すること」の質問が多くを占めています。面接の空気を和らげるつもりで家族のことを聞いてしまう場面が多い、という注意書きつきです。

マニュアルには「聞かない」と書くだけでなく、場を和ませる話題の例も一緒に載せておくと、面接官にとって使いやすい文書になります。聞いてはいけない質問の線引きは「面接官の役割と心得」でも扱っています。

応募書類の様式も面接の章で決めておく項目です。厚生労働省は、中途の応募者を含む一般の求職者には「厚生労働省履歴書様式例」を推奨しています(厚生労働省「採用選考の具体的な方法」)。

社会的差別の原因となるおそれのある個人情報は、職業安定法第5条の5と指針により、原則として収集が認められていません(厚生労働省「公正な採用選考の基本」)。選考の記録に残す項目と残さない項目を記録と見直しの章に書いておけば、面接メモに不要な情報が残るのを防げます。

評価基準は、評価項目ごとに「できている」「標準」「足りない」の段階と、各段階に当たる行動の例を書いておくのが近道です。面接官ごとの点のずれを、話し合いで埋めやすくなります。評価シートの作り方は「エンジニアの面接評価シートの作成方法」が具体例を載せています。

内定から入社までの連絡を決める章

内定から入社までの章に書くのは、条件の提示の仕方、内定者への連絡の頻度と担当、入社前に渡す情報です。在職中の内定者は、退職の手続きと並行して入社の準備を進めます。連絡の担当と時期を決めておかないと、連絡が途切れたまま入社日を迎えかねません。

決めておく項目は、条件を提示する方法(面談か書面か)、回答の期限、入社日までの連絡の回数、配属先の上司と話す機会の有無です。内定辞退の防ぎ方は「採用の内定辞退と防止策」が工程ごとに扱っています。

採用マニュアルの見直し時期と運用

採用マニュアルの見直しは、年に1回の定期の見直しに加えて、法令が改正されたとき、採用フローや採用手段を変えたとき、面接官が替わったときに行います。令和6年4月の労働条件明示のように、法令の改正で求人票の書き方が変わることもあるためです。

見直しでは、マニュアルどおりに進んだかを、応募数・選考の通過率・内定の承諾・入社後の定着の順に確かめます。数字が落ちた工程があれば、その工程の章を書き直す対象にします。

運用を続けるには、マニュアルの冒頭に改訂の履歴欄を設け、いつ・誰が・どこを直したかを残しておくことです。担当者が替わったときに、どの版が最新かで迷わずに済みます。

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