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派遣社員の採用の流れ|注意点とメリット・派遣先の義務

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派遣社員を迎えるときは、自社が面接して雇う正社員の採用とは手順が大きく違います。

企業は派遣会社と契約を結び、派遣会社が雇っている人に自社の指示で働いてもらう形です。誰を送るかを決めるのは派遣会社で、受け入れる企業の側にも、契約・期間・待遇について法律で決まった義務があります。

手順を誤ると、契約の前提が崩れたり、派遣社員に直接雇用の申込みをしたとみなされたりすることもあります。受け入れまでの工程と、受け入れた後に企業が守ることを順に整理しました。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

派遣社員の受け入れと正社員の採用の違い

派遣社員を受け入れる企業(派遣先)は、派遣会社(派遣元)と労働者派遣契約を結び、派遣元が雇用している労働者に、自社の指揮命令の下で働いてもらいます。雇用契約・給与の支払い・社会保険の手続きは派遣元が担い、派遣先は業務の指示と就業中の環境の管理を担います。

ルールの土台は労働者派遣法(昭和60年法律第88号)です。派遣先が自社で面接して人を選ぶことは、後述の紹介予定派遣を除いて想定されていません。

項目

派遣社員を受け入れる

正社員を中途採用する

雇用主

派遣会社(派遣元)

自社

結ぶ契約

派遣元との労働者派遣契約

本人との雇用契約

人を選ぶのは

派遣元(紹介予定派遣を除く)

自社(書類選考・面接)

働ける期間

同じ事業所・同じ組織単位で原則3年まで

期間の定めなし(無期雇用の場合)

待遇を決めるのは

派遣元(派遣先は待遇の情報を提供する)

自社

派遣社員と派遣元との雇用契約は、有期とは限りません。厚生労働省の集計では、2025年6月1日現在の派遣労働者数は約201万人で、うち無期雇用派遣労働者が874,747人、有期雇用派遣労働者が1,134,347人です(厚生労働省「労働者派遣事業の令和7年6月1日現在の状況(速報)」・2026年3月31日公表)。

無期雇用の派遣社員は、後で触れる3年の期間制限の対象から外れます。受け入れる人が無期か有期かは、派遣元に確かめておきます。

派遣社員を受け入れるメリットとデメリット

派遣社員を受け入れるメリットは、求人の募集や選考を自社で行わずに、期間を区切って人手を補えることです。デメリットは、誰が来るかを自社で選べないこと、同じ業務で受け入れられる期間に上限があること、契約で決めた業務以外を指示できないことです。

内容

メリット

募集・選考・雇用の手続きを派遣元が担う

メリット

繁忙期や社員の産前産後休業・育児休業・介護休業の間など、期間を区切って人手を補える

メリット

給与計算と社会保険の手続きは派遣元が行う

デメリット

事前面接で人を選べない(紹介予定派遣を除く)

デメリット

同じ事業所の業務で原則3年、同じ人を同じ組織単位で3年が上限

デメリット

契約で決めた業務の内容を超える指示はできない

社員の産前産後休業・育児休業・介護休業の代わりとして受け入れる場合は、3年の期間制限の例外に該当します(労働者派遣法第40条の2第1項第4号・第5号)。派遣に向くのは、期間が初めから見えている業務です。

派遣社員を受け入れるまでの流れ

派遣社員を受け入れるまでの流れは、業務と期間の整理、派遣会社の選定、待遇情報の提供、労働者派遣契約の締結、派遣元による人選と職場見学、受け入れの準備、の6つの工程に分かれます。工程ごとに、派遣先が法律で求められていることがある点に注意が必要です。

工程

派遣先がすること

根拠

1. 業務と期間の整理

任せる業務・就業場所・組織単位・期間・人数を決める

労働者派遣法第26条第1項

2. 派遣会社の選定

派遣元が労働者派遣事業の許可を受けているかを確かめる

同法第24条の2(派遣元による許可の明示は第26条第3項)

3. 待遇情報の提供

派遣先均等・均衡方式では、派遣社員と同じ業務を担う自社の社員(比較対象労働者)の賃金などの情報を、労使協定方式の対象者に限る契約では教育訓練と福利厚生施設の情報を、契約の前に派遣元へ渡す

同法第26条第7項・同法施行規則第24条の4

4. 契約の締結

労働者派遣契約を結び、期間制限に抵触する最初の日(抵触日)を派遣元へ通知する

同法第26条第1項・第4項

5. 人選と職場見学

人選は派遣元に任せ、事前面接や履歴書の提出を求めない

同法第26条第6項・派遣先指針 第2の3

6. 受け入れの準備

派遣先責任者を選び、派遣先管理台帳を用意する

同法第41条・第42条

業務と期間を決めて派遣会社へ伝える

派遣会社へ依頼する前に、任せる業務の内容、就業場所と組織単位(課やグループなど)、指揮命令する人、期間と就業日、始業・終業の時刻と休憩時間を社内で決めておきます。いずれも労働者派遣契約に必ず定める事項で、ほかに安全衛生・苦情の処理・契約を解除するときの措置も定めます(労働者派遣法第26条第1項)。

依頼の段階では、求めるスキルや経験も派遣会社へ伝えます。ただし、年齢や性別で人を絞る条件は付けません。派遣先指針は、若年者に限ることも派遣労働者を特定する行為の例に挙げています。

待遇情報の提供と抵触日の通知

派遣先は、労働者派遣契約を結ぶ前に、比較対象労働者の賃金その他の待遇に関する情報など厚生労働省令で定める情報を派遣元へ提供しなければなりません(労働者派遣法第26条第7項)。労使協定方式の対象者に限る契約では、渡すのは教育訓練と福利厚生施設の情報です(同法施行規則第24条の4)。情報の提供がないと、派遣元は契約を結べません(労働者派遣法第26条第9項)。

あわせて、その事業所の業務で期間制限に抵触することになる最初の日(抵触日)も、契約の前に派遣元へ通知します(労働者派遣法第26条第4項)。通知がない場合も、派遣元は契約を結べません(労働者派遣法第26条第5項)。

派遣社員の待遇は、派遣元が「派遣先均等・均衡方式」か「労使協定方式」のどちらかで確保する義務を負います(厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」)。派遣先が渡す情報は、その判断の材料になります。

派遣先責任者と派遣先管理台帳を用意する

派遣先は、事業所ごとに自社の社員の中から派遣先責任者を選びます(労働者派遣法第41条・労働者派遣法施行規則第34条第1号)。派遣社員が100人以下なら1人以上で、派遣社員と自社の社員を合わせて5人以下の事業所では選ばなくてよいとされています(同条第2号)。

派遣先責任者は、指揮命令する社員への法令と契約内容の周知、派遣社員からの苦情の処理、派遣元との連絡調整を受け持ちます。

派遣先管理台帳には、派遣社員ごとに、派遣元の名称、就業した日、日ごとの始業・終業の時刻と休憩時間、従事した業務の種類、苦情の処理、教育訓練の日時と内容などを記載します。無期雇用か有期雇用か、労使協定方式の対象者かどうか、60歳以上かどうかの別も記載事項です(同法第42条第1項)。

台帳は3年間保存し、記載事項(派遣元の名称を除く)を派遣元へ通知します(同条第2項・第3項)。

派遣社員の事前面接と履歴書の扱い

紹介予定派遣を除き、派遣先は、受け入れる派遣社員を特定することを目的とする行為をしないよう努めなければなりません(労働者派遣法第26条第6項)。厚生労働省の「派遣先が講ずべき措置に関する指針」は、派遣に先立つ面接、履歴書を送らせること、若年者に限ることをその例に挙げ、行わないこととしています(指針 第2の3)。

法律上は努力義務ですが、指針は「行わないこと」と書いています。派遣会社から届くスキルの資料をもとに複数の候補を比べて選ぶ、といった運用も、特定を目的とする行為に該当しないかを派遣元と確かめておくのが安全です。

一方で、派遣社員本人が自分の判断で、就業を始める前に事業所を訪問したり履歴書を送ったりすることは、特定を目的とする行為には該当せず、実施できるとされています。ただし、派遣先から派遣元や本人にこれらを求めないよう、指針は注意を促しています。

職場見学(顔合わせ)を行う場合も、派遣社員を特定することを目的とする行為(労働者派遣法第26条第6項・指針 第2の3)に該当しない進め方かどうかが、派遣元と確かめておく点です。

紹介予定派遣で直接雇用を前提に受け入れる方法

紹介予定派遣は、派遣の期間が終わった後に派遣先がその派遣社員を直接雇用することを予定して行う派遣で、事前面接や履歴書の確認といった特定の行為が認められています(労働者派遣法第2条・第26条第6項)。働きぶりを見てから正社員や契約社員として雇うかどうかを決めたいときの選択肢です。

派遣先指針は、紹介予定派遣で同じ派遣社員を受け入れる期間を6か月以内としています(指針 第2の18(1))。職業紹介を受けなかった場合や、紹介を受けた派遣社員を雇わなかった場合は、派遣元の求めに応じて、その理由を書面や電子メールなどで示します(同(2))。

紹介予定派遣の契約には、紹介の後に従事する業務の内容や労働条件などの事項も定めます(労働者派遣法第26条第1項第9号)。直接雇用の時点の給与や雇用形態は、受け入れを始める前に決めておくほうが、派遣社員にとっても判断しやすくなります。

初めから正社員として長く働いてもらいたい職種、たとえばエンジニアであれば、派遣を経ずに中途採用で直接募集する方法も検討の対象です。中途採用の進め方は「中途採用とは?基本の流れ・手法と成功する企業の進め方」に、紹介会社を使う場合の費用と流れは「人材紹介とは?企業のメリットとデメリット、手数料」にまとめています。

エンジニアを正社員で中途採用するなら、自社の採用ページや求人票が候補者からどう見えるかを先に確かめておくと、募集の打ち手を選びやすくなります。エンジニア採用力チェックは、企業のURLを入力すると、公開されている情報をもとにAIが5指標24項目で採点し、1営業日以内に診断のレポートが届く無料のサービスです。

派遣期間の制限と抵触日の管理

派遣先は、同じ事業所の業務について、派遣元から3年を超えて続けて派遣を受け入れてはなりません(事業所単位の期間制限・労働者派遣法第40条の2第1項・第2項)。延長するには、抵触日の1か月前までに、その事業所の過半数労働組合(ない場合は過半数代表者)の意見を聴く必要があり、延長できるのは1回につき3年までです(同条第3項・第4項)。

延長した場合でも、同じ派遣社員を同じ組織単位(課など)で3年を超えて受け入れることはできません(個人単位の期間制限・同法第40条の3)。

期間制限の例外

根拠

無期雇用派遣労働者

労働者派遣法第40条の2第1項第1号

60歳以上の派遣労働者

同項第2号・同法施行規則第32条の4

事業の開始・転換・拡大・縮小・廃止のための業務で、一定の期間内に終わる予定のもの

同項第3号イ

1か月の業務日数が、通常の労働者の所定労働日数に比べて相当程度少なく、厚生労働大臣が定める日数以下の業務

同項第3号ロ

社員の産前産後休業・育児休業・介護休業などの代わりの業務

同項第4号・第5号

期間制限に違反して受け入れると、派遣先はその時点で、派遣社員に同じ労働条件で労働契約の申込みをしたものとみなされます(同法第40条の6第1項第3号・第4号)。派遣先が違反を知らず、知らなかったことに過失がなかったときは除かれます。

期間とあわせて押さえておきたいのは、次の3点です。

  • 同じ事業所で同じ派遣社員を1年以上受け入れていて、その事業所で正社員などの通常の労働者を募集するときは、募集の内容をその派遣社員に周知する(同法第40条の5第1項)
  • 港湾運送・建設・警備などの業務には、派遣社員を従事させられない(同法第4条)
  • 日々または30日以内の期間を定めて雇う日雇労働者の派遣は、政令で定める業務・場合を除いてできない(同法第35条の4)

受け入れた後に派遣先が守ること

派遣社員を受け入れた後、派遣先は、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用機会の付与、苦情の処理などを担います。どれも労働者派遣法第40条が定めています。

項目

派遣先がすること

根拠

教育訓練

同じ業務の社員に行う業務遂行に必要な教育訓練を、派遣元の求めに応じて派遣社員にも行う

労働者派遣法第40条第2項

福利厚生施設

給食施設・休憩室・更衣室を、自社の社員と同じように使えるようにする

同条第3項・同法施行規則第32条の3

苦情の処理

苦情を受けたら派遣元へ伝え、連携して遅滞なく処理する

同条第1項

待遇情報の更新

契約の前に提供した情報に変更があれば、遅滞なく派遣元へ伝える

同法第26条第10項

派遣料金

派遣元が待遇の決まりを守れる額になるよう配慮する

同条第11項

派遣労働者の同一労働同一賃金は、2026年10月1日に改正が施行・適用されました。厚生労働省は、雇入れ時・派遣時の明示事項に「待遇の相違の内容及び理由等について説明を求めることができる旨」を加えること、同一労働同一賃金ガイドラインのさらなる明確化、公正な評価による待遇改善の促進等を改正の内容に挙げています(厚生労働省「派遣労働者の同一労働同一賃金について」)。

明示するのは派遣元ですが、派遣先均等・均衡方式では、待遇の差を説明する材料は派遣先が渡す比較対象労働者の情報です。受け入れ中の派遣社員についても、自社の社員の待遇を変えたときは派遣元への情報の更新を忘れないようにします。

派遣と正社員の中途採用の使い分け

派遣と正社員の中途採用を使い分ける軸は、その業務がいつまで続くかです。期間が見えている業務や休業中の社員の代わりは派遣、3年を超えて続く中核の業務は直接雇用、と分けると、期間制限に追われる場面を減らせます。

同じ業務を派遣社員に3年以上任せ続けたい場合は、延長の手続き(意見聴取)や、無期雇用派遣の人を受け入れるかどうかを、派遣元と早めに相談します。受け入れている派遣社員を自社で雇いたい場合は、紹介予定派遣への切り替えや、派遣元との契約の扱いを先に確かめるのが順序です。

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