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採用

中途採用試験の内容|筆記試験の種類と選び方

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中途採用の試験は、面接の印象だけでは判断しにくい能力や適性を、同じ物差しで比べるために置くものです。

ただし、応募者は事前に対策をしてから受けることもできます。何を測るために、どの試験を、選考のどこに置くかを決めておかないと、結果の数字だけが残って採否の判断に使えません。

試験の種類と注意点は厚生労働省の点検資料、企業が中途採用で抱える課題は厚生労働省の転職者実態調査、試験の置き方は Offers に掲載された正社員求人の選考の流れを数えた結果をもとに並べました。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

中途採用試験の内容は適性検査・学力試験・作文・実技試験

中途採用で使われる筆記の試験は、適性検査、学力試験(一般常識を含む)、作文・小論文、実技試験の4つに分けて考えると整理しやすくなります。

厚生労働省の「採用選考自主点検資料(令和8年度版)」は、選考方法として書類選考、一般常識などの筆記試験、適性検査、面接選考を挙げ、どれを使うかは募集職種の特性等に応じて決める必要があるとしています。適性検査・学力試験・作文・小論文・実技試験のそれぞれの注意点を並べたのが、同じ資料の「書類選考・適性検査」の章です。

種類

何を見るか

中途採用での使いどころ

点検資料が挙げる注意点

適性検査

職業適性・職業興味・性格

職務や組織との相性を面接の前後で補う

結果を絶対視しない、鵜呑みにしない

学力試験(一般常識を含む)

言語・計数・一般常識などの基礎学力

職務に必要な読み書き・計算の水準を確かめる

職務に関係のない内容や必要以上に高度な内容にしない

作文・小論文

テーマを理解して考えを文章で伝える力

文章で説明する業務がある職種

家庭環境や思想・信条にかかわるテーマを出さない

実技試験

職務に必要な技能・技術

経験者の技能を確かめる(エンジニアのコーディングテスト等)

技能・技術を一定程度身につけた人の採用で行われることがあると説明

出所:厚生労働省「採用選考自主点検資料 ~公正な採用選考を行うために~(令和8年度版)」をもとに編集部作成。

適性検査の例は職業適性検査・職業興味検査・性格検査

適性検査は、点検資料では「職業適性検査」「職業興味検査」「性格検査」等として説明されています。応募者が求人職種の職務に対してどの程度適性があるかを判断する際の参考として用いられることがある、という説明です。

点検資料は、検査の実施・判定・活用に専門的な知識と経験が必要であることも注意点に挙げています。目的に合った種類を選び、専門的な知識と経験をもった人が使うことが前提です。

市販のマークシート型は学力試験と適性検査を組み合わせた形が多い

業者が提供するマークシート型のテストについて、点検資料は、言語・計数・一般常識(社会・理科・時事経済・英語)・性格の分野等から成り、基礎的な学力試験と適性検査をあわせたものが多いと説明しています。

Offers の求人でも、選考の流れに SPI(Synthetic Personality Inventory)のような市販のテストの名前を書く会社がありました。基礎学力と性格の両方を測るテストを使うなら、どちらの結果を採否のどこに使うかを、企業が先に決めておく必要があります。

経験者を採用するときは実技試験が選択肢になる

経験者を採用する中途採用では、職務に必要な技能・技術に関する実技試験も選択肢の一つです。

点検資料は、職務遂行上必要な技能・技術を既に一定程度身につけている者を採用する場合に、その技能・技術に関する実技試験が行われることがあると書いています。エンジニア職では、コーディングテストや課題の提出がその例です。形式と導入の手順は「コーディングテストとは?具体的な内容やメリット・デメリットを解説」で扱っています。

転職者を採用する事業所の問題点は応募の少なさと評価基準

転職者を採用する際に問題がある事業所が挙げた問題点は、応募してくる人の少なさが最も多く、応募者の能力評価に関する客観的な基準がないことが2番目でした。

厚生労働省の「令和7年転職者実態調査」(2026年9月公表)では、一般労働者の転職者がいる事業所の85.9%が、転職者を採用する際に問題があると答えました。

問題がある事業所が挙げた問題点(複数回答)は、「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が67.5%で最も多く、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が38.3%で続きます。

転職者を採用する際の問題点(複数回答)

割合(調査産業計)

割合(情報通信業)

必要な職種に応募してくる人が少ないこと

67.5%

65.9%

応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと

38.3%

32.2%

採用時の賃金水準や処遇の決め方

37.7%

45.0%

採用後の処遇やキャリア形成の仕方

21.3%

22.5%

転職市場に関する情報が少ないこと

6.1%

4.9%

出所:厚生労働省「令和7年転職者実態調査」事業所票 第14表(転職者を採用する際に問題がある事業所=100)。

経歴も年齢もばらばらな応募者を面接の会話だけで比べると、面接官によって評価の基準がずれやすくなります。試験は、全員に同じ問いを出して結果を並べられる点で、この基準を補う手段の一つです。

一方で、試験の点数がそのまま能力評価の基準になるわけではありません。どの点数を、どの職務能力の判断に使うかを決めて初めて、基準として機能します。選考基準の決め方は「選考基準とは?企業が採用で重視するポイントとその決め方」で扱っています。

選考の流れに適性検査を書く Offers 求人は10.3%

Offers に掲載された正社員求人のうち、選考の流れの欄に適性検査・筆記試験の実施を書いた求人は10.3%(250件・63社)でした(Offers(株式会社overflow)調べ・選考の流れを記載した正社員求人 n=2,432・2022年3月〜2026年10月公開)。

職種別では、エンジニア職の求人で9.6%でした。選考工程の選択項目に「コーディングテスト」を置いた求人は7.3%で、エンジニア職に限ると9.9%です(Offers(株式会社overflow)調べ・選考工程を入力した正社員求人 n=2,469・2022年3月〜2026年10月公開)。

求人の記載に無いことは、試験を行っていないことを意味しません。ここでの割合は「求人の段階で応募者に伝えている割合」と読むのが正確です。

適性検査を置く時期は1次面接の後が半数

適性検査・筆記試験の実施が書かれた250件のうち、半数の125件(50.0%)が1次面接の後、最終面接の前か最終面接と同時に置いていました(Offers(株式会社overflow)調べ・適性検査・筆記試験の実施を記載した正社員求人 n=250・2022年9月〜2026年10月公開)。

適性検査・筆記試験を置く時期

求人の割合

1次面接の後(最終面接の前・最終面接と同時を含む)

50.0%

1次面接より前(書類選考と同時・1次面接と同時を含む)

23.6%

時期の記載なし(「選考の途中」「場合による」を含む)

26.4%

1次面接の後に置く形は、面接で会った応募者だけに受けてもらうため、受検の手間をかける人数を絞れます。1次面接より前に置く形の利点は、面接の前に結果を見て、面接で確かめる点を決めておけることです。

どちらが正しいということはなく、結果を面接の質問に使うのか、最終の判断材料に使うのかで決まります。選考の工程全体の並べ方は「採用フローとは?6工程の設計手順と法令要件」で扱っています。

性格検査だけと書く求人や所要時間を書く求人もある

実施を書いた63社の中には、検査の中身や所要時間まで求人に書く会社もありました。

求人での書き方

記載の例

社数

性格検査に限ると書く

「性格テストのみ、学力テストなし」「能力検査なし」

9社

能力や論理的思考を測ると書く

「計算力や論理的思考を含む適性検査」

4社

所要時間を書く

約10分・約15分・約35分

6社

合否に使わないと書く

「合否には影響ありません」

2社

試験があると分かれば、応募者は対策の準備を始めるものです。性格検査だけなのか、能力検査を含むのか、何分かかるのかを求人に書いておくと、応募者は何を準備すればよいかを判断できます。

求人票や採用ページの公開情報が、エンジニアの候補者からどう見えているかを点検するなら、エンジニア採用力チェックが使えます。企業の URL を入れると、公開情報を AI が5指標24項目で採点し、原則1営業日以内にレポートが届きます(無料)。

筆記試験は応募者に対策される前提で選ぶ

中途採用の筆記試験は、応募者が対策をしてから受ける前提で、何を測るかと結果の使い方を決めておくものです。

点検資料は、適性検査について「回答のコツを知っていると応募者が回答内容を調整できてしまう場合がある」ことを十分認識するよう求めています。検査で得られる結果についても「得られる結果は、応募者の適性のある一面を把握するものに過ぎず、応募者の適性を完全につかむことはできない」という限界を認識したうえで、結果を絶対視しないようにとしています。

性格検査の結果は面接で確かめる材料にする

性格検査の結果は、採否を決める点数ではなく、面接で確かめる点を見つける材料として使うのが安全です。

応募者が回答を調整できる以上、結果だけで「協調性が低い」「ストレスに弱い」と判断すると、実際の行動とずれることがあります。結果で気になった点は、過去の仕事でどう動いたかを面接で具体的に聞き、行動の事実で確かめます。

学力試験は職務に必要な水準だけを出す

学力試験は、職務に関係のある内容を、職務に必要な水準で出すのが原則です。

点検資料は、採用のための学力試験について、採用する職務に関係のない内容や必要以上に高度な内容とならないよう、職務との関係を重視して実施することが大切だとしています。

数値を扱う職種なら表やグラフの読み取り、文書を作る職種なら要約や文章の校正のように、実際の業務に近い題材を選ぶのが、結果を職務能力の判断に使いやすい出し方です。

作文・小論文のテーマで家庭環境や思想・信条に触れない

作文や小論文を課すときは、テーマが職務に必要な能力を見るものになっているかを先に確かめます。

点検資料は、「私の家庭」「私の生いたち」など本人の家庭環境に係るテーマや、「尊敬する人物」など本人の思想・信条にかかわるテーマは、家族状況や思想・信条を把握することになり、就職差別につながるおそれがあると明記しています。

中途採用なら、「これまでの業務で改善した仕組みと、その結果」「入社後の最初の3か月で取り組みたいこと」のように、経験と職務に結びつくテーマに置き換えるのが一案です。面接で聞いてはいけない質問の線引きは、作文のテーマにもそのまま当てはまります。詳しくは「面接官の役割と心得」で扱っています。

障害のある応募者には試験の方法と時間の配慮を話し合う

障害のある応募者から申し出があったときに必要なのは、試験の受け方や時間についてどのような配慮をするかを、応募者と話し合うことです。

厚生労働省の「合理的配慮指針」(平成27年厚生労働省告示第117号)は、募集・採用時の配慮の例として、視覚障害のある応募者には採用試験を点字や音声等で実施することや試験時間の延長、発達障害のある応募者には面接・採用試験での文字によるやりとりや試験時間の延長などを挙げています。

同じ指針は、配慮が必要な応募者が支障となっている事情と希望する措置を申し出て、事業主がどの措置を講ずるかを応募者と話し合う流れを示しています。試験の案内に申し出の窓口を一文添えておくのも、応募者が相談しやすくなる工夫の一つです。

中途採用試験を選考に組み込むときは5つの順番で決める

中途採用の試験を選考に組み込むときは、見たい能力、試験の種類、置く時期、求人での伝え方、結果の使い方の順に決めると、試験が判断に使えるものになります。

順番

決めること

決め方の目安

1

試験で見る能力

求める人材像のうち、面接だけでは比べにくい項目を選ぶ

2

試験の種類

相性なら適性検査、基礎学力なら学力試験、文章力なら作文、技能なら実技試験

3

置く時期

結果を面接の質問に使うなら1次面接より前、最終判断に使うなら1次面接の後

4

求人での伝え方

試験の有無・種類・所要時間・受け方(自宅か来社か)を選考の流れに書く

5

結果の使い方

合否に使うか、面接の参考にとどめるかを、受検の前に決めて面接官に共有する

点検資料は採用基準の段階で、選考方法ごとに選考基準をあらかじめ明確にしているか(点数化しているか)を点検項目に挙げています。5番目の結果の使い方は、この選考基準と一緒に決めておく項目です。

試験を一度導入したあとは、試験の結果と入社後の評価を突き合わせ、結果が職務の成果と関係していたかを見直します。関係が見えない試験は、種類か使い方を変える対象になります。

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