採用広報が上手い企業は、発信の量よりも置き方で差をつけています。メルカリは社員の声を集めるメディアと技術を語る場を分け、SmartHR は評価や給与の仕組みまで会社紹介資料に載せ、SmartHR とミラティブは資料に更新日を書いています。
公開されている発信を各社のページで確かめられる範囲で並べ、そこから共通する秘訣を4つに整理しました。採用広報で出す情報のうち、求人等に関する情報には職業安定法の的確表示の義務もかかります。
採用広報が上手い企業は、発信の量よりも置き方で差をつけています。メルカリは社員の声を集めるメディアと技術を語る場を分け、SmartHR は評価や給与の仕組みまで会社紹介資料に載せ、SmartHR とミラティブは資料に更新日を書いています。
公開されている発信を各社のページで確かめられる範囲で並べ、そこから共通する秘訣を4つに整理しました。採用広報で出す情報のうち、求人等に関する情報には職業安定法の的確表示の義務もかかります。
監修者株式会社overflow / 編集担当
Offers HR Magazine編集部Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。
採用広報は、企業が求職者に向けて、事業・組織・働き方・制度を継続的に発信する活動です。求人広告が「いま募集している職種と条件」を伝えるのに対し、採用広報は「どんな会社で、入社後にどう働くのか」を、募集の有無にかかわらず伝え続けます。
転職をまだ考えていない人にも情報が届くため、応募の前から会社への理解を積み上げられる点が強みです。戦略の立て方と成果の測り方は、エンジニア採用広報の戦略と、成果の測り方で詳しく扱っています。
求人広告と採用広報は、伝える中身と期間が違います。求人広告は募集のたびに出して締め切りで止まり、採用広報は記事や資料として残り続けるものです。
観点 | 求人広告 | 採用広報 |
|---|---|---|
伝える中身 | 職種・条件・応募方法 | 事業・組織・働き方・制度・社員の声 |
届く相手 | いま転職活動をしている人 | 転職をまだ考えていない人も含む |
期間 | 募集の期間だけ | 募集の有無にかかわらず続く |
主な場 | 求人媒体・求人票 | オウンドメディア・技術ブログ・会社紹介資料・SNS |
採用広報が上手い企業の事例として、メルカリ・LINEヤフー・サイボウズ・SmartHR・ミラティブの5社を取り上げます。いずれも、各社が公開しているページで発信の形を確かめられる会社です。
企業 | 主な発信の場 | 公開ページで確かめられる特徴 |
|---|---|---|
株式会社メルカリ | mercan・Mercari Engineering | 社員の声のメディアとエンジニア向けのポータルを分けている |
LINEヤフー株式会社 | LINEヤフー Tech Blog | 技術ブログから登壇資料・動画・公開リポジトリへ辿れる |
サイボウズ株式会社 | サイボウズ式 | 採用に限らない「チームのメディア」として運営している |
株式会社SmartHR | 会社紹介資料(Speaker Deck) | 評価・給与制度まで載せ、更新月を書いている |
株式会社ミラティブ | 採用候補者さまへの手紙(Speaker Deck) | 候補者への手紙とエンジニア向け資料を分けて公開している |
(各社の公開ページ・2026年10月17日確認)
株式会社メルカリは、社員の声を伝える「mercan(メルカン)」と、エンジニア向けの「Mercari Engineering」を別のサイトとして運営しています。読み手が知りたいことに合わせて、入口を2つに分けた形です。
mercan は「メルカリの“いま”と“未来”を伝える」を掲げ、「私がここで働く理由」「メルカリな日々」「エンジニアと立ち話」「制度・サポート」といったカテゴリーで記事を並べています。音声の「mercan.fm」もあり、ページの末尾から採用サイトへ案内する作りです。
Mercari Engineering は、メルカリのエンジニアに関する情報をオープンに公開・共有するためのサイトです。技術ブログに加えて、論文掲載と登壇の実績、エンジニアリング組織内の役割、技術スタック、オープンソースの紹介を1か所に集めています。
エンジニアの候補者は、技術スタックと組織内の役割を見て、自分が入ったときの仕事を想像します。社員の声のメディアだけでは、そこまでの情報は届きません。
LINEヤフー株式会社は、「LINEヤフー Tech Blog」で、サービスを支える技術と開発文化を発信しています。ブログのフッターから、GitHub・X・Speaker Deck・YouTube の各アカウントへ辿れる作りです。
最新記事には、LINEヤフーが主催したデータサイエンスのイベントのレポートも並びます。フッターには旧LINE Engineering Blog など以前のブログへのリンクも残っており、過去の記事まで辿れます。
記事・登壇資料・動画・コードがばらばらに置かれていると、候補者は全体を追えません。技術ブログを窓口にしてリンクを集めておけば、1つの入口から組織の技術の幅が見えるようになります。
サイボウズ株式会社の「サイボウズ式」は、「新しい価値を生み出すチームのメディア」を掲げ、チームワークや組織をテーマにした記事を発信しています。採用の案内そのものではなく、会社が大事にしている考え方を記事として出し続ける形です。
記事のほかに、イベント・Meetup、書籍の「サイボウズ式ブックス」、動画の「サイボウズ式チャンネル」まで広げています。会社の考え方に共感した読み手が、のちに候補者として現れる入口になる発信です。
株式会社SmartHRは、Speaker Deck で「SmartHR_Company Profile/採用情報」を公開し、説明欄に「2026年9月更新」と書いています。目次は会社概要・挑戦環境・組織と文化・評価・給与制度・採用情報・Appendix の6章です。
評価制度の頁に書かれているのは、年2回の評価と、隔週の1on1でサプライズ評価を防ぐ仕組みです。給与制度の頁は、職種・等級・評価の3要素で月給と成果給を設計していると説明しており、Appendix には給与レンジの頁もあります。
説明欄では、選考とは別に「事業や組織について詳しく聞きたい」「ポジションの相談をしたい」人向けのカジュアル面談を案内しています。資料を読んだ人が、選考に進む前に話を聞ける道を残した形です。
株式会社ミラティブは、Speaker Deck で「採用候補者さまへの手紙」を公開し、説明欄に「2026年8月更新」と書いています。同じアカウントには「ミラティブエンジニア向け会社紹介資料/Engineer's Handbook」と、行動理念・行動指針をまとめた資料も並びます。
候補者全員に向けた手紙と、エンジニアに向けたハンドブックを分けている点が特徴です。読み手ごとに資料を用意すれば、1つの資料に情報を詰め込みすぎずに済みます。会社紹介資料の作り方は、採用ピッチ資料の事例と作り方で項目ごとに整理しました。
5社の発信から見える成功の秘訣は、読み手ごとに場を分けること、評価や給与まで書くこと、選考とは別の接点を残すこと、更新日を書いて情報を新しく保つことの4つです。どれも予算の大きさより、発信の設計で差がつきます。
秘訣 | 事例で確かめられる形 |
|---|---|
読み手ごとに場を分ける | メルカリの mercan と Mercari Engineering、ミラティブの手紙と Engineer's Handbook |
評価や給与の仕組みまで書く | SmartHR の評価・給与制度の章と給与レンジの頁 |
選考とは別の接点を残す | SmartHR の資料の説明欄にあるカジュアル面談の案内 |
更新日を書き、内容を最新に保つ | SmartHR とミラティブの資料の説明欄の更新日 |
採用広報の発信は、読み手ごとに場を分けると届きやすくなります。職種を問わず読まれる社員の声と、エンジニアが読む技術スタックや開発の話を1つの場に混ぜると、どちらの読み手にとっても探しにくいためです。
最初から場を2つ持つ必要はありません。1つの場の中でカテゴリーを分け、記事が増えてから独立させる順番でも十分です。
候補者が選考の前に知りたいのは、入社後にどう評価され、給与がどう決まるかです。SmartHR は会社紹介資料に評価・給与制度の章を設け、評価の回数や1on1の頻度、給与を決める要素まで書いています。
評価と給与の仕組みは、金額そのものを出しにくくても、決まり方なら公開できます。条件を伏せたまま魅力だけを語ると、面接で初めて条件を知った候補者が離れていきかねません。
採用広報で会社を知った人が、すぐ選考に進むとは限りません。SmartHR は会社紹介資料の説明欄でカジュアル面談を案内し、選考の前に話を聞ける道を残しています。
カジュアル面談の案内を資料のすぐそばに置いておけば、資料を読み終えた人がそのまま次の一歩を選べるのが利点です。
採用広報の資料に更新日を書いておくと、いつ時点の情報かを読み手が判断できます。SmartHR は「2026年9月更新」、ミラティブは「2026年8月更新」と、それぞれ Speaker Deck の資料の説明欄に書いています。(各社の Speaker Deck の資料ページ・2026年10月17日確認)
更新日の明記は、読み手への配慮にとどまらず、次の章で扱う職業安定法の義務にもつながる運用です。転職をまだ考えていない層から、動くタイミングで第一想起される会社を目指す考え方は、Offers のお役立ち資料「Farm型採用とは」で解説しています。
求人企業が出す求人等に関する情報には、職業安定法の的確表示の義務がかかります。令和4年10月1日に施行された改正で、求人メディア等に課した的確表示の義務が、求人企業(労働者の募集を行う者)にも同様に義務づけられました。
(厚生労働省「令和4年職業安定法の改正の概要について」・令和4年9月作成)
義務 | 内容 |
|---|---|
正確かつ最新に保つ | 求人等に関する情報について、正確かつ最新の内容に保たなければならない |
虚偽・誤解を生じさせる表示の禁止 | 求人等に関する情報について、虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない |
採用広報の記事や資料は残り続けるぶん、制度や条件が変わったあとに古い情報が残りがちです。評価制度や給与の仕組み、働き方の記述を変えたときに、どの記事と資料を直すかを先に決めておくと、的確表示の義務にも沿った運用になります。
運用としては、資料ごとに更新日と担当者を決め、制度を変えたタイミングで見直す形が回しやすいでしょう。上手い企業が資料に更新日を書いているのは、この見直しを読み手に見える形にしたものとも読めます。
自社で採用広報を始めるときは、まず公開している情報の現在地を確かめ、読み手と場を1つに絞り、選考で話している内容を記事や資料に起こし、成果を指標で追う順で進めます。上手い企業の事例を丸ごと真似るより、自社が続けられる形から始めるほうが長続きするからです。
最初に、候補者から自社がどう見えているかを確かめます。採用ページ・求人票・技術ブログ・会社紹介資料のうち、何が公開されていて何が足りないかを洗い出す作業です。
エンジニア採用であれば、Offers の「エンジニア採用力チェック」が使えます。企業の公開情報を AI が横断解析して5指標24項目でスコアリングし、1営業日以内にレポートが届くサービスです。
次に、誰に向けて何の場で発信するかを1つに絞ります。エンジニアを採用したいなら技術ブログ、職種を問わず会社を知ってほしいなら社員の声のメディアや会社紹介資料、というように読み手から場を選ぶのが順番です。
場を増やすのは、1つの場で更新が続くようになってからで構いません。始めに場を広げすぎると、更新が止まった場が古い情報のまま残ってしまいます。
発信の材料は、面接やカジュアル面談で毎回話している内容にあります。事業の説明、チームの構成、評価や給与の仕組み、入社後の流れなど、候補者に何度も聞かれることから順に書き起こすと、材料に困りません。
候補者に伝わる言葉の選び方と、職種別の資料の作り方は、「伝える」を「伝わる」に変える採用クリエイティブのイベントレポートで紹介しています。
採用広報の成果は、閲覧数だけでなく、応募やカジュアル面談の申し込みまでつなげて追います。指標の置き方と目標値の決め方は、採用広報のKPIと、出所のある基準値の置き方で整理しました。
あわせて、資料や記事をいつ見直すかの周期も決めておきましょう。更新日を書く運用とそろえると、古い情報が残る心配を減らせます。
採用広報が上手い企業の事例から持ち帰りたい要点は、場の分け方・条件の書き方・接点の残し方・情報の新しさの4つです。メルカリは社員の声と技術の場を分け、LINEヤフーは技術ブログを窓口にし、サイボウズは採用に限らないメディアを運営しています。SmartHR とミラティブは、会社紹介資料に更新月を書いて公開しているのが共通点です。
採用広報で出す情報のうち、求人等に関する情報には職業安定法の的確表示の義務がかかります。発信を始めるときは、続けられる場を1つ選び、更新日と見直しの周期を最初に決めておくと、事例の会社と同じ形に近づけます。
求人を出して待つ採用から、先に出会いにいく採用へ。
Offers AI RPOは、採用計画の策定から候補者選定・面談調整までAIと専門チームが伴走。転職市場に出る前のエンジニアにアプローチできます。
まずは無料で相談するオンライン(Zoom)/60分
求人・スカウト・エージェント、AIでの効率化まで進めても、CTO・VPoE・テックリードなどのハイクラスエンジニアの採用が決まらない。その原因がどこにあるのかを、採用中のポジションに該当する登録者の在籍状況とあわせて、一緒に整理します。情報収集の段階でも、お気軽にご利用ください。
よくあるご相談
支援実績(一部)
同じ「声をかける採用」でも、スカウトとヘッドハンティングは相手も費用の出方も違います。どちらを選ぶかで、かかる時間も社内の負担も変わります。
株式会社overflow 代表取締役 CEO
鈴木 裕斗
スカウトで年収をいくらと出すか。現年収に上げ幅を足す形になりますが、その幅をどこまで見るかには手がかりが要ります。転職で賃金が実際にどう動いているかを公的統計から確かめ、提示レンジの組み方と文面への書き方まで整理しました。
株式会社overflow 代表取締役 CEO
鈴木 裕斗
求人票に離職率を載せるかどうかは、採用担当者が一度は立ち止まるところです。数字が良ければ強い材料になります。悪ければ書かないほうがよい気もします。そもそも書く義務があるのか、書いた数字に責任は生じるのか。
株式会社overflow 代表取締役 CEO
鈴木 裕斗
採用管理システム(ATS)は応募者の情報を1か所に集めて選考を進めるための仕組みです。定義と主要機能に加え、求人者が負う職業安定法・個人情報保護法上の義務を条文単位で整理し、設定項目と選定の基準に落とし込みます。
株式会社overflow 編集担当
Offers HR Magazine編集部
リファラル採用ツールを、特化型・採用管理システム搭載型・SNSのつながりで探す型の3つに分け、選ぶときの6つの確認点と5つのツールの機能・料金の出し方・契約期間をまとめました。各社の公式サイトで2026年10月に確かめた内容です。
株式会社overflow 編集担当
Offers HR Magazine編集部
OKRツールは、OKRの設定・進捗の更新・採点・公開をまとめて扱う目標管理の道具です。必要な機能はGoogleが公開する運用ルールから決まり、少人数なら表計算でも回せます。選ぶときはデータを書き出せるかも確かめます。
株式会社overflow 編集担当
Offers HR Magazine編集部

開催予定日:2026/11/19(木) 12:00〜13:00 Live配信、2026/11/24(火) 12:00〜13:00 アーカイブ配信
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2026/11/16(月) 19:00〜21:00
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開催予定日:2026/10/29(木) 12:00〜13:00 Live配信、2026/11/9(月) 12:00〜13:00 アーカイブ配信
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2026年10月28日(水)11:00〜16:30 ※Offers登壇セッション(SESSION 04)は14:10〜14:50です
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応募から入社までの各段階の数値を1枚で管理できるExcelテンプレート。歩留まりの詰まりを見つけ、採用目標までの道筋を数字で確かめられます。
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Offersを導入し、採用に成功された事例をご紹介。職種別の課題や工夫をご理解いただけます。