採用広報のKPIで止まるのは、たいてい指標選びではありません。「応募率の目標を何%に置けばいいのか」を決める段で手が止まります。指標の名前は出てくるのに、そこに入れる数字の出どころがないからです。
この記事が出すのは2つです。ひとつは、採用広報の各段階に置ける基準値を、出どころつきで並べること。もうひとつは、その基準値を平均ではなく分布として持つ方法です。目標値を単一の数字で置くと、半数以上の求人が最初から未達になります。
採用広報のKPIで止まるのは、たいてい指標選びではありません。「応募率の目標を何%に置けばいいのか」を決める段で手が止まります。指標の名前は出てくるのに、そこに入れる数字の出どころがないからです。
この記事が出すのは2つです。ひとつは、採用広報の各段階に置ける基準値を、出どころつきで並べること。もうひとつは、その基準値を平均ではなく分布として持つ方法です。目標値を単一の数字で置くと、半数以上の求人が最初から未達になります。
監修者株式会社overflow / 編集担当
Offers HR Magazine編集部Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。
採用広報のKPIが運用に乗らない原因は、指標の選定ではなく目標値の根拠にあります。目標値の根拠がないと、未達のときに「目標が高すぎた」のか「施策が届かなかった」のかを切り分けられません。切り分けられない指標は、次の期に誰も見なくなります。
目標値の置き方は3つしかありません。
置き方 | 使える場面 | 弱点 |
|---|---|---|
自社の過去実績から置く | 同じ求人・同じ媒体で1年以上の履歴がある | 立ち上げ期・新しい職種では履歴がない |
外部の統計から置く | 市場全体の水準を知りたい | 自社の条件(職種・地域・規模)と一致しない |
プラットフォームの実測値から置く | 同じ候補者プールの中での位置を知りたい | そのプラットフォームの外には当てはまらない |
3つとも、根拠として出どころを1行で書けます。「一般的には30%」と置いた目標値は、この3つのどれにも当てはまりません。
KGI(Key Goal Indicator)は最終的に達成したい結果で、KPI(Key Performance Indicator)はそこへ至る途中の行動と反応の指標です。採用広報のKGIは、多くの場合「期日までに何名採用するか」に置かれます。
KGIを先に固定しないと、KPIの目標値は逆算できません。採用人数が決まって初めて、必要な内定数・面談数・応募数が順に決まるからです。逆算の手順はこの記事の後半で扱います。
採用広報の指標は、認知・興味・応募・採用の4層に分けると重複しません。層をまたぐ指標を1つのダッシュボードに混ぜると、どの層が詰まっているかが読めなくなります。
層 | 何を測るか | 代表的な指標 |
|---|---|---|
認知 | どれだけの人に届いたか | 求人ページのPV(ページビュー)、記事の閲覧数、SNSのインプレッション |
興味 | 届いた人のうち何人が関心を示したか | 求人の保存数、記事の読了率、スカウトの開封率 |
応募 | 関心を示した人のうち何人が動いたか | 応募数、応募率、スカウトの返信率 |
採用 | 動いた人のうち何人が入社したか | 面談化率、内定承諾率、入社数 |
層ごとに分ける理由は、改善の打ち手が層ごとに違うからです。認知が足りないなら露出を増やす話になり、応募が足りないなら求人本文と応募フォームの話になります。合算した1つの指標では、どちらに手を入れるべきか分かりません。
ここから先は、この4層のそれぞれに入れられる基準値を、出どころつきで並べます。
求人ページのPV(ページビュー。求人ページが表示された回数)が応募に変わる割合は、実測で 0.12% でした。1,000PVあたり約1.2件にあたります。
PVが100以上ある公開中の正社員求人3,274本(465社)で、累計PV 2,618,345・応募3,129件・保存2,001件を集計した値です(Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人 n=3,274・2026年9月21日時点)。
指標 | 値 |
|---|---|
応募率(応募数 ÷ PV) | 0.12% |
保存率(保存数 ÷ PV) | 0.08% |
1,000PVあたりの応募数 | 1.2件 |
求人1本あたりのPV(中央値) | 645 |
同じ集合で、求人1本ごとの応募率を並べ直すと景色が変わります。
求人1本あたりの応募率 | 値 |
|---|---|
中央値 | 0.00% |
第3四分位 | 0.15% |
ここが目標値の置き方を分ける場所です。全体の 0.12% を全求人の目標に課すと、上位3分の1しか達成できない数字を全部門に配ることになります。求人単位の目標は第3四分位(0.15%)を上限の目安にし、まず「応募0件の求人を減らす」を先に置くほうが、動かせる対象がはっきりします。
候補者から自社の採用情報がどう見えているかを確かめる手段が、エンジニア採用力チェックです。企業の公開情報(採用ページ・求人票・技術発信)をAIが5指標24項目で採点する無料の診断で、URLを入力すると1営業日以内にレポートが届きます。
求人本文の長さ別に応募率を見ると、1,000字未満から3,999字までは長いほど応募率が高くなりました。
本文の長さ | 求人数 | 応募率 | 保存率 | 応募0件の割合 |
|---|---|---|---|---|
1,000字未満 | 1,061 | 0.086% | 0.054% | 75.8% |
1,000〜1,999字 | 1,625 | 0.128% | 0.086% | 58.6% |
2,000〜2,999字 | 468 | 0.141% | 0.082% | 48.9% |
3,000〜3,999字 | 82 | 0.169% | 0.083% | 46.3% |
4,000字以上 | 38 | 0.082% | 0.050% | 84.2% |
出所:Offers 求人の実測(株式会社overflow・n=3,274・2026年9月21日時点)。
この比較は企業をまたいだ横断比較であり、同じ企業が本文を書き換えた前後の比較ではありません。帯ごとに出している企業も職種も違うため、差は本文の長さと出し手の違いの合計です。「文字数を増やせば応募が増える」とは読めません。
読み取れるのは、応募0件の割合が 75.8% から 46.3% まで下がっているという幅です。採用広報のKPIに「求人本文の記載項目数」を置くなら、この幅が根拠になります。求人票の記載事項は求人票とは?記載事項と食い違いを防ぐ書き方で整理しました。
応募・スカウト・それ以外の3経路で、その後どこまで進んだかを比べました。1件あたりの重みははっきり分かれます。
経路 | 件数 | 企業数 | 面談以降に進んだ割合 | 契約に至った割合 |
|---|---|---|---|---|
候補者からの応募 | 3,998 | 263 | 3.30% | 1.45% |
企業からのスカウト送信 | 41,631 | 186 | 1.18% | 0.13% |
それ以外(「気になる」等) | 124,447 | 207 | 0.05% | 0.01% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・候補者×企業の進捗 n=170,076・2025年9月〜2026年8月。
応募は件数でスカウトの10分の1以下ですが、契約に至った割合は 11.2倍 です。採用広報のKPIに「応募数」を置く意味は、ここにありました。同じ1件でも、候補者から来た1件のほうが入社まで残ります。
この差は、KPIの重みづけにそのまま使えました。接点の総数を1つのKPIにまとめると、数の多いスカウトとそれ以外が指標を支配し、応募の増減が見えません。経路ごとに分けて数え、経路ごとに目標を置くのが前提です。
応募を増やす側の設計は母集団形成とは?応募を待たない中途採用の設計にまとめました。
スカウトを送った段階の基準値は次のとおりです。正社員求人に紐づいて送られた31,008通(122社)の集計です。
指標 | 値 |
|---|---|
開封率 | 58.1% |
返信率(承諾+辞退) | 16.5% |
承諾率 | 4.3% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・スカウト n=31,008・2025年9月〜2026年8月。
この3つを目標値にそのまま写すと、多くの企業で未達か過達になってしまいました。同じ期間に100通以上送った68社で分布を取ると、次のように開きます。
指標 | 最小 | 第1四分位 | 中央値 | 第3四分位 | 最大 |
|---|---|---|---|---|---|
開封率 | 15.0% | 53.1% | 61.5% | 70.3% | 87.6% |
返信率 | 2.9% | 13.1% | 17.1% | 22.0% | 30.5% |
承諾率 | 0.7% | 2.7% | 4.3% | 5.6% | 18.2% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・100通以上送信した68社のスカウト n=29,241・2025年9月〜2026年8月。
承諾率は最小 0.7% と最大 18.2% で26倍の開きがあります。同じプラットフォーム・同じ候補者プールに向けて送った結果です。
分布で持つと、KPIの立て方が変わります。今の自社が第1四分位にいるのか中央値にいるのかを先に確かめ、ひとつ上の四分位を次の目標に置く、という手順になります。中央値から一足飛びに最大値を目標にしても、そこへ至る打ち手が設計できません。
承諾率の分母の置き方は承諾率とは?分母の置き方で変わる3つの指標を参照してください。
スカウトを送ってから開封されるまでの時間は、中央値で 26時間 です。ただし第1四分位は2時間、第3四分位は331時間(約14日)で、「すぐ開く層」と「数週間後に開く層」に割れています。
期間 | 開封された割合 |
|---|---|
24時間以内 | 48.2% |
72時間以内 | 57.6% |
7日以内 | 67.4% |
出所:Offers(株式会社overflow)調べ・スカウト n=17,987・2025年9月〜2026年8月。
7日で数字を締めた時点では、最終的に開封される分の 32.6% をまだ数えていません。週次でKPIを確認する運用は多いはずですが、その週に送った分の開封率を同じ週で評価すると、必ず低く出ます。
対処は2つあります。観測の窓を接触日から14日に伸ばすか、同じ週の数字を前週以前に送った分だけで作るかです。どちらでもかまいませんが、窓を途中で変えると前後が比較できなくなります。最初に決めて固定してください。
自社実測で示せるのはプラットフォーム上の数字です。市場全体の水準は公的統計から置けます。
厚生労働省の一般職業紹介状況によると、令和7年度平均の新規求人は 794,415件、就職件数は 91,235件で、対新規充足率は 11.5% でした。同じ年度の有効求人倍率は 1.20倍です。
出典:厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)令和7年度分」(令和8年4月28日公表)。
これはハローワークを経由した求人の数字なので、自社の採用チャネルにそのまま当てはまるわけではありません。使えるのは桁の確認です。求人を10本出して1本が埋まる水準が、公的統計で観測されている市場の実勢にあたります。「求人を出したのに応募が来ない」を異常事態として扱う前に、この桁を頭に置いてください。
充足率は年度で動きます。令和5年度 11.8%、令和6年度 11.5%、令和7年度 11.5% と推移しており、ここ3年は 11%台で横ばいです。
採用人数のKGIを置くとき、事業計画上の増員だけを数えると不足します。期中に退職する人数を織り込む必要があるためです。
厚生労働省の雇用動向調査によると、令和7年の一般労働者の離職率は 11.4%、入職率は 12.0% でした。常用労働者全体では離職率 13.7%・入職率 14.7% です。職歴別に見ると、常用労働者全体の転職入職率は 9.9%、一般労働者では 8.5% でした。
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(令和8年8月31日公表)。
一般労働者(フルタイム)の離職率 11.4% を自社に当てると、100名の組織なら年間で約11名が抜ける計算になります。増員が5名なら、採用のKGIは5名ではなく16名です。ここを外すと、以降のKPIの目標値がすべて低く出てしまうでしょう。
自社の業界・規模での水準は、同調査の産業別の表から引けます。
ここまでの基準値を使って、目標値を逆算しましょう。
事業計画上の増員に、離職率から見積もった補充分を足します。期日も同時に決めてください。
過去1年の実績から、応募・書類通過・面談・内定・承諾の各段階の通過率を出します。履歴がない段階だけ、この記事の基準値か公的統計で埋めてください。段階ごとの測り方は採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方にまとめました。
採用5名で承諾率が50%なら内定10名、最終面談の通過率が50%なら面談20名。このように後ろから順に必要数を出します。最後に残るのが必要な応募数です。
必要な応募数を、応募・スカウト・紹介などの経路に配分します。このとき経路ごとの重みの差(前述の 11.2倍)を無視すると、総数だけ揃って採用に届かない配分になりかねません。
逆算の結果が現実離れした数字になったら、KGIかリードタイムのどちらかを動かします。通過率の目標を上げて帳尻を合わせるのは最後の手段です。通過率は施策の結果であって、入力値ではありません。
1件あたりのコストまで含めて設計する場合は採用単価の定義と、公的統計でわかる1件あたりの実額も合わせて確認してください。
KPIは設定より運用で崩れます。実務でよく見る崩れ方は3つです。
週次だった集計を月次にする、7日だった窓を14日にする。こうした変更を前後の注記なしで行うケースです。数字が跳ねた原因が施策なのか集計なのか分からなくなります。窓を変えるときは、変更日と旧定義を同じ場所に残してください。
全社の平均応募率が改善していても、応募0件の求人の数が変わっていないことがあります。中央値と0件の件数を並べて置けば、この見落としは起きません。
PVやインプレッションは動かしやすいため、達成感は出ます。ただし応募率 0.12% を掛けると、PVを1万増やしても応募は12件です。認知の指標は補助に置き、主KPIは応募以降の層から選んでください。
KPIは一度決めたら終わりではありませんが、毎月変えると時系列が切れます。四半期ごとの見直しを基本にし、次の3つが起きたときだけ期中でも見直します。
起きたこと | 見直す対象 |
|---|---|
募集職種が変わった | 通過率の目標値(職種で水準が違うため) |
採用チャネルを追加・停止した | 経路ごとの配分と、全体の応募数目標 |
KGI(採用人数・期日)が変わった | すべての段階の必要数 |
見直しのたびに、目標値の出どころを1行で書き残してください。「前期の実績から」「公的統計の令和7年度の値から」のどちらかが書けない目標値は、次の期に誰も検証できません。
採用広報のKPIは、指標を並べる作業ではなく、目標値の出どころを決める作業です。
自社の数字がこの基準のどこにあるかを確かめるところから始めてください。位置が分かれば、次に置く目標値は自動的に決まります。あわせて、候補者の目に入る求人票や採用ページの情報で見劣りしている箇所がないかは、企業の公開情報を5指標で採点するエンジニア採用力チェックで外から点検できます。
求人を出して待つ採用から、先に出会いにいく採用へ。
Offers AI RPOは、採用計画の策定から候補者選定・面談調整までAIと専門チームが伴走。転職市場に出る前のエンジニアにアプローチできます。
まずは無料で相談するオンライン(Zoom)/60分
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よくあるご相談
支援実績(一部)
文章を書かず判定だけを返すAI「Jev」を、採用活動のどの工程にどう当てられるかを工程順に整理しました。母集団形成・書類選考・振り分け・求人票の点検・データ整理の5つについて、投げる問いの形と、人に残すべき判断の線引きまで書いています。
株式会社overflow 代表取締役 CEO
鈴木 裕斗
ヘッドハンティングは、求める人材を特定し、転職を考えていない層まで含めて企業側から口説くサーチ型の採用手法です。費用は、採用が決まったときだけ払う「成功報酬型」と、依頼時に着手金を先払いする「リテーナー型」に分かれます。
株式会社overflow 代表取締役 CEO
鈴木 裕斗
GTMエンジニアとは、営業・マーケティング・CSにまたがる収益の仕組みを、ツール連携と自動化で作るエンジニアです。前職にSDRやRevOpsが多いという分析があり、隣接職種から採用して育てる設計が現実的です。
株式会社overflow 代表取締役 CEO
鈴木 裕斗
採用時の反社チェックは、政府指針が企業に求める反社会的勢力との関係遮断を、採用の場面で行う手続きです。応募者の情報は職業安定法と個人情報保護法の範囲で集め、本人の同意と表明確約を軸に内定前に終えます。
株式会社overflow 編集担当
Offers HR Magazine編集部
採用マッチングを高める方法は、採用要件の言語化、求人票と面接での仕事内容と条件の開示、評価基準をそろえた選考、入社後の定着支援の4つです。応募者の能力を測る基準が無いことは、中途採用の問題の上位に挙がっています。
株式会社overflow 編集担当
Offers HR Magazine編集部
1on1の困りごとの上位は、部下の「面談の効果が感じられない」と、上司・部下とも挙げる「面談について学ぶ仕組みがない」です。部下がテーマを決めて多く話し、1回を長くしすぎない1on1ほど、部下の成長度が高い傾向がありました。
株式会社overflow 編集担当
Offers HR Magazine編集部

開催予定日:2026/10/29(木) 12:00〜13:00 Live配信、2026/11/9(月) 12:00〜13:00 アーカイブ配信
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開催予定日:2026/10/22(木) 12:00〜13:00 Live配信、2026/10/26(月) 12:00〜13:00 アーカイブ配信
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2026年10月28日(水)11:00〜16:30 ※Offers登壇セッション(SESSION 04)は14:10〜14:50です
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