中途採用のコストは上がっている。採用の現場ではそう言われます。年ごとの金額を並べた解説は民間の自社調査にもとづくものが中心で、公的統計の年度系列で1件あたりの実額をたどった資料は多くありません。
上がっている理由も、人手不足・競争激化・売り手市場と並ぶだけで止まりがちです。理由が抽象的なままだと、来期の予算をいくらにすべきかは決まりません。
この記事では、中途採用で外部に支払う費用のうち、公的統計で年度ごとの実額をたどれる人材紹介の手数料を並べます。厚生労働省が毎年公表している職業紹介事業報告書の集計結果に、1件あたりの手数料が印字されているためです。
そのうえで、動いたのが採用件数なのか単価なのかを切り分けます。読み終えたときに、自社の採用コストの増減がどちら側の話なのかを言える状態が目標です。
中途採用のコストの推移は、人材紹介の1件あたり手数料で追える
中途採用のコストの推移は、人材紹介の常用就職1件あたりの手数料を見れば年度単位で追えます。
見る数字 | 出所 | 更新の頻度 |
|---|
常用就職1件あたりの手数料 | 職業紹介事業報告書の集計結果 | 毎年度 |
手法別の1件あたり採用コスト | 採用における人材サービスの利用に関する調査 | 単年の委託調査 |
常用労働者1人1か月あたりの募集費 | 就労条件総合調査 | 数年おき(直近は平成28年・令和3年) |
出所:厚生労働省の公表資料3件(本文中に個別にリンク)。
このうち毎年更新されるのは1つ目だけです。推移を追う土台にできるのはここになります。
人材紹介は、中途採用の手法の中でも1件あたりの単価が高い部類です。手法別の平均で見ると、民間職業紹介事業者は1件あたり85.1万円で、自社ホームページ等からの直接応募の2.8万円と桁が違います。
紹介経由の比率が高い企業ほど、自社の平均は紹介の単価に連動する形です。毎年更新される公的統計がここしかないことと合わせて、推移を1本の線で追うならこの線になります。
自社の採用がこの水準からどれだけ離れているかを先に知りたい場合は、エンジニア採用力チェックに企業URLを入力してください。5指標24項目の採点が返ってきます。
中途採用の費用は、外部コストと内部コストに分かれる
推移を追う前に、何を数えているのかを揃えておきます。中途採用の費用は、社外への支払いと社内で発生する分の2つです。
区分 | 主な費目 | 公表統計で追えるか |
|---|
外部コスト | 人材紹介の手数料、求人広告の掲載料、スカウト媒体の利用料 | 追える |
内部コスト | 採用担当者の人件費、面接官の工数、リファラルの謝礼、採用管理システムの運用費 | 追えない |
出所:外部コストの費目は厚生労働省「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」の採用手法の区分、外部と内部の分け方はOffers整理。
1件あたりの単価は、この総額を採用人数で割った値です。分子にどこまで含めるかは各社の判断で、そろえないと他社の数字と比べられません。
公表統計が毎年追えるのは外部コストの一部だけです。人材紹介の手数料がその代表で、この記事が推移の軸に置いているのもここになります。
内部コストを含めた自社の総額の置き方は採用単価の定義と、公的統計でわかる1件あたりの実額を参照してください。
令和6年度の1件あたり手数料は103万円だった
厚生労働省は、有料・無料の職業紹介事業者から提出された報告書を毎年度集計し、公表しています。令和6年度の集計結果では、常用就職1件あたりの手数料が約103万円、前年度比で10.9%増でした。
ここでいう常用就職とは、4か月以上の期間を定めて雇用されるもの、または期間の定めなく雇用されるものの就職を指します。原典の注記にある定義です。
3年分を並べると、右肩上がりではない
同じ指標を3年度分並べると、単調に上がってきたわけではないことが分かります。
年度 | 常用就職1件あたりの手数料 | 前年度比 |
|---|
令和4年度 | 約94万円 | 10.8%増 |
令和5年度 | 約93万円 | 1.0%減 |
令和6年度 | 約103万円 | 10.9%増 |
出所:厚生労働省「令和4年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」・令和5年度・令和6年度。
令和5年度は前年度から下がっています。上がって、1年踏み止まり、直近でまた上がった形です。
この形は「毎年◯%ずつ上がる」という説明と合いません。予算を前年の横置きに数%を足して組むやり方が、年によって大きく外れる理由がここにあります。
年度ごとの振れ幅を織り込んだ予算の組み方は、採用計画とコスト管理シートに費目別のモデルケースとして置いています。
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総額と件数も同じ資料に載っている
1件あたりの金額は、手数料の総額を就職件数で割った値です。その2つも同じ資料に印字済みです。
年度 | 常用就職に係る手数料 | 常用就職件数(合計) | うち有料職業紹介 |
|---|
令和4年度 | 約7,250億円 | 約81万件 | 774,451件 |
令和5年度 | 約7,821億円 | 約88万件 | 843,950件 |
令和6年度 | 約9,136億円 | 約92万件 | 888,993件 |
出所:厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」各年度版(上表と同じPDF)。
原典の注記は、1件あたりの金額を「常用就職件数の合計値と常用就職に係る手数料の総額」から算出したと書いています。ところが令和6年度の総額を合計件数(920,235件)で割ると約99万円で、公表値の約103万円になりません。
右端の有料職業紹介の件数で割ると約103万円になり、前年度比の10.9%増も再現できます。この記事は、公表値を再現できる有料職業紹介の件数を分母として扱います。合計件数には手数料の発生しない無料職業紹介(令和6年度31,242件)が含まれているためです。
件数は3年とも増えています。一方で1件あたりは3年とも上がったわけではありません。この2つを分けて見ることが、次の節の材料になります。
直近の上昇は、採用件数ではなく単価で起きている
手数料の総額は、件数と単価の掛け算です。どちらが動いたのかは、年度ごとの伸び率を並べると分かります。
年度 | 常用就職に係る手数料の伸び | 有料職業紹介の就職件数の伸び | 1件あたりの伸び |
|---|
令和4年度 | 21.4%増 | 9.6%増 | 10.8%増 |
令和5年度 | 7.9%増 | 9.0%増 | 1.0%減 |
令和6年度 | 16.8%増 | 5.3%増 | 10.9%増 |
出所:厚生労働省「職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」各年度版。
令和5年度は件数が増えても単価が下がった
令和5年度は、有料職業紹介の就職件数が9.0%増えています。それでも1件あたりの手数料は1.0%下がりました。
総額の伸び7.9%より件数の伸び9.0%のほうが大きかったためです。採用が増えた年が、そのまま単価の上がる年になるとは限りません。
採用人数の増加を理由に採用コストの増加を説明したくなる場面は多いはずです。ただ、この年度の実額はその説明の反例です。
自社がどちらの型に当てはまるかを工程単位で確かめたい場合は、エンジニア採用力チェックの採点結果が起点になります。
令和6年度は件数の伸びが鈍いのに総額が伸びた
令和6年度は逆の形です。件数の伸びは5.3%と3年で最も小さいのに、常用就職に係る手数料は16.8%増えました。
1件あたりは総額を件数で割った値なので、総額の伸びが件数の伸びを上回った分が単価に出ます。公表値は10.9%増でした。直近の上昇は、採用の量ではなく1件の値段で起きたということです。
ここは自社の判断に直結します。採用人数を減らしても、単価が上がっていれば費用は下がりません。減らすべきなのが件数なのか単価なのかを、先に決める必要があります。
単価の側から手を入れる場合は、紹介以外の経路を持っているかが分かれ目になります。OffersのAI RPOは、候補者の発見と継続アプローチを代行して紹介への依存を下げる形の採用代行です。
単価の上昇は、賃金の伸びだけでは説明が付かない
人材紹介の手数料は、制度上、支払われた賃金額に率を掛けて算定する形が定められています(上限制の場合)。同じ料率のままでも、賃金が上がれば手数料は上がる計算です。
では賃金はどれだけ上がったのか。手数料の令和6年度(2024年4月から2025年3月)と時期を揃えるなら、見るのは2024年6月分を調べた令和6年賃金構造基本統計調査です。
賃金は3.8%、手数料は10.9%
期間の重なる数字を並べます。
指標 | 対象期間 | 値 | 前年(前年度)比 |
|---|
一般労働者の賃金(月額) | 2024年6月分 | 330,400円 | 3.8%増 |
常用就職1件あたりの手数料 | 令和6年度 | 約103万円 | 10.9%増 |
出所:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」報道発表資料(令和7年3月17日公表)および同「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」。
賃金の伸びは3.8%です。手数料の伸びは10.9%です。差は7.1ポイントあります。
賃金の上昇が手数料に丸ごと転嫁されたとしても、上昇幅の3分の1ほどしか説明できません。残りは別の要因です。
なお、賃金の伸びはその後も続いています。2025年6月分を調べた厚生労働省「令和7(2025)年賃金構造基本統計調査」では、一般労働者の賃金は340,600円で前年比3.1%増でした。
自社の手数料の対年収比を追う項目を持っていない場合は、採用KPIを管理するための参考シートに指標の置き場を用意しています。
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残りの差は年収帯と料率のどちらかにある
説明の候補は2つに絞れます。1つは、紹介で決まる求人の年収帯が上がったことです。もう1つは、手数料の料率そのものが上がったことです。
このうち料率には制度上の区別があります。有料職業紹介の手数料には上限制と届出制の2つがあり、上限制の紹介手数料を定めているのは職業安定法施行規則の別表です。原則は支払われた賃金額の11%(免税事業者は10.3%)で、期間の定めのない雇用が6か月を超えた場合は別の算定との大きいほうになります。
求人企業が払う紹介手数料について、届出制にはこの種の率の上限規定がありません(求職者から徴収する手数料には、同規則第20条に別の上限があります)。自社の契約がどちらに当たるかは、紹介会社が届け出ている手数料表で確認してください。
制度の詳細と契約時の確認点は人材紹介とは?企業側の手数料・契約と会社の選び方で扱っています。職種別の実額は人材紹介の費用、職種別の1件あたり実額と課金モデルにまとめました。
自社の場合にどちらが動いたかは、社内の実績で確かめられます。過去3年の決定者の平均年収と、支払った手数料の対年収比を並べれば切り分けが付くはずです。
年収帯を上げずに採用を進める設計を検討するなら、予算型リテーナー採用のように、成功報酬ではなく予算の枠で費用が決まる契約形態も選択肢になります。
手法ごとの1件あたり実額は、最大と最小で100倍開く
推移を読むときに落としやすいのが、採用手法の構成です。手法によって1件あたりの金額が桁で違うため、構成が変われば平均は勝手に動きます。
紹介やスカウトから求人情報サイト、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)まで、経路ごとの単価は次のとおりです。
採用手法 | 1件あたりの平均採用コスト(正社員) |
|---|
スカウトサービス | 91.4万円 |
民間職業紹介事業者(紹介会社) | 85.1万円 |
インターネットの求人情報サイト | 28.5万円 |
求人情報誌・チラシ | 11.3万円 |
新聞広告・屋外広告 | 7.1万円 |
インターネットの求人情報まとめサイト | 6.4万円 |
知り合い・社員等からの紹介(縁故) | 4.4万円 |
自社ホームページ等からの直接応募 | 2.8万円 |
特別の法人等(地方公共団体、商工会議所、ナースセンター等) | 1.0万円 |
SNS | 0.9万円 |
出所:厚生労働省「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」図表IV-14(令和3年6月調査・有効回答1,142件)。
原典はスカウトサービスがn=51、新聞広告・屋外広告がn=18、SNSがn=15、特別の法人等がn=12であることを示しています。原典は14項目を掲げており、うち短期バイトのマッチングアプリは n=0 で平均額を持ちません。値のある13項目から、回答数が少ないと注記されている委託募集(n=4)とアウトプレースメント(n=2)、および中途採用の経路ではないインターン経由の1項目(12.4万円)を外し、10項目を表にしました。
構成が変われば、平均は勝手に動く
最上位のスカウトサービス91.4万円と最下位のSNS0.9万円は、約100倍の開きがあります。この幅が意味するのは、平均値の変動が値上げを表すとは限らないということです。
たとえば紹介経由の比率が10ポイント上がれば、単価を1円も上げていなくても自社の平均採用コストは上がります。逆に直接応募が増えれば平均は下がります。
自社の推移を追うときは、金額の前に手法別の件数構成を並べてください。構成が動いていれば、平均の増減はそちらの説明で片が付きます。
手法別の件数と金額を同じ表で持つなら、開発組織の採用計画とコスト管理のExcelテンプレートが様式として使えます。
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紹介以外の経路の比率を上げる手立てを探している段階であれば、Offersの企業向けサービスでスカウトの自動配信の仕組みを確認してください。
手法ごとの単価の定義と計算式は採用単価の定義と、公的統計でわかる1件あたりの実額で扱っています。
在籍者1人あたりの募集費は、5年で減っている
ここまでは採用が決まった1件を分母にした数字です。企業が募集という活動に払っている総額は、別の統計で確認できます。
厚生労働省の就労条件総合調査は、常用労働者1人1か月あたりの労働費用を調べる統計です。労働費用を扱った直近2回は平成28年調査と令和3年調査で、その内訳に募集費があります。
調査年(対象の会計年度) | 常用労働者1人1か月平均の募集費 | 現金給与以外の労働費用に占める割合 |
|---|
平成28年調査計(平成26会計年度) | 808円 | 1.0% |
令和3年調査計(平成31(令和元)会計年度) | 718円 | 1.0% |
出所:厚生労働省「令和3年就労条件総合調査の概況」第17表。
5年間で808円から718円へ、11.1%下がりました。ただし対象はいずれも平成26会計年度と令和元会計年度で、前の節で見た手数料の系列(令和4年度から令和6年度)とは重なりません。
この統計が労働費用を扱うのは数年に一度です。手数料の推移と直接突き合わせられるようになるのは、次に労働費用が調べられてからになります。
分母が違う2つの数字を、推移の議論で混ぜない
この2つは矛盾していません。分母が違うだけです。
1件あたりの手数料は、採用が決まった人を分母にしています。募集費の分母は、在籍している従業員の頭数です。採用の件数が同じでも従業員が増えれば、1人あたりの募集費は下がります。
推移の話で議論がかみ合わなくなるのは、この2つを混ぜたときです。現場は1件あたりの単価で語り、経営は総枠の対人件費比で語るため、同じ「採用コスト」という言葉で逆の結論が出ます。
年間の総枠を置く側の数字には、企業規模による差もあるので注意が必要です。令和3年調査では1,000人以上が481円で最も低く、300〜999人が980円で最も高くなっています。
年間の予算を先に枠として置きたい場合は、採用計画とコスト管理シートに費目と配分のモデルケースをまとめました。
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市場の逼迫は、直近の半年で上下している
採用コストが上がる外部条件として挙げられるのが人手不足です。これも水準を数字で見ておくと、上昇が続く前提を置いてよいかが判断できます。
厚生労働省の労働経済動向調査は、正社員等労働者の過不足判断D.I.を四半期ごとに公表しています。不足と答えた事業所の割合から過剰と答えた割合を引いた値です。
調査時点 | 調査産業計 | 情報通信業 |
|---|
令和7年11月 | 49 | 58 |
令和8年2月 | 49 | 62 |
令和8年5月 | 47 | 54 |
出所:厚生労働省「労働経済動向調査(令和8年5月)の概況」表3。
情報通信業は令和8年2月の62から5月の54へ8ポイント下がりました。不足超過であることは変わりませんが、逼迫の度合いは一本調子ではありません。
来期の予算に「人手不足が続くから単価は上がる」という前提を置くなら、この指標を四半期ごとに見直す運用をあわせて決めておいてください。
逼迫の度合いに左右されにくい費用の持ち方を検討するなら、未消化分が返金される予算型リテーナー採用のような契約形態が候補になります。
手を入れる順番は金額の大きい費目から決まる
単価が上がった年に削減の候補を同時に並べると、判断が止まりがちです。金額の大きい費目から順に当てるほうが早く効果が出ます。
順番 | 当てる費目 | 判断の材料 |
|---|
1 | スカウトサービスと人材紹介の手数料(1件あたり91.4万円・85.1万円) | 各経由の決定比率 |
2 | インターネットの求人情報サイトの掲載料(同28.5万円) | 掲載あたりの決定数 |
3 | 自社ホームページ等からの直接応募(同2.8万円) | 応募の絶対数が足りるか |
出所:厚生労働省「令和3年度厚生労働省委託調査 採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書」図表IV-14(令和3年6月調査)。
この表の85.1万円は、手法どうしを同じ条件で並べるために令和3年6月の委託調査から取った値です。前の節の約103万円は令和6年度の人材紹介全体の実額で、調査も時点も別のものです。
手を入れる順番を決めるときは手法間の差を、予算の水準を置くときは年度ごとの実額を見てください。同じ「人材紹介の1件あたり」でも、この2つは入れ替えて使えません。
1番目に当てるのは、1件あたりの金額が大きいスカウトと紹介の2経路です。中でも紹介は、比率を落とすなら代わりに母集団を作る経路が要ります。
代わりの経路を用意せずに紹介を絞れば、止まるのは採用のほうです。そのときに増えるのは欠員の期間の損失で、削った手数料より大きくなることがあります。
3番目の直接応募は単価が最も低い一方、応募の絶対数が積み上がるまで時間がかかります。切り替えが単年で終わる前提は置かないでください。
経路の切り替えを費目の配分として書き出すなら、開発組織の採用計画とコスト管理のExcelテンプレートに年次のモデルケースがあります。
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母集団を待たずに作る側の設計は母集団形成とは?応募を待たない中途採用の設計に、費目全体の削減の順番は採用コストの相場、一人当たりの平均と募集費の実額にまとめています。
推移を自社の予算に置き換える手順は3段で足りる
公表統計の推移をそのまま自社の予算にはできません。順番だけ決めておけば、手元の数字で判断できます。
段 | やること | 判断の材料 |
|---|
1 | 手法別の件数構成を3年分並べる | 構成が動いたか |
2 | 手法別の1件あたり単価を3年分並べる | 単価が動いたか |
3 | 決定者の平均年収と手数料の対年収比を出す | 年収帯か料率か |
1段目で構成が動いていれば、平均の増減の説明はそこで十分です。値上げの話ではないので、交渉ではなく経路の配分を見直す判断になります。
2段目で構成が動いていないのに単価が上がっていれば、3段目で内訳を割ってください。平均年収が上がっているなら求人側の要件が上がった話で、対年収比が上がっているなら契約条件の話です。
3段を回したうえで紹介への依存を下げる判断になったら、OffersのAI RPOが候補になります。候補者の発見から継続アプローチまでを代行する形です。
この3段は、採用の各工程の通過率とあわせて見ると精度が上がります。工程ごとの基準値の置き方は採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方で解説しました。
採用した人が定着しなければ、同じ費用がもう一度発生します。中途採用に絞った定着の測り方は中途採用の定着率とは?測り方と平均が使えない理由にまとめました。
工程ごとの指標を整理する段階であれば、採用KPIを管理するための参考シートが目標と実績の置き場になります。
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よくある疑問への答え
中途採用の1人あたりコストの相場はいくらか
採用手法によって変わります。人材紹介経由なら、令和6年度の常用就職1件あたりの手数料が約103万円です。これは職種を限らない民営の職業紹介全体の値で、中途採用だけを集計したものではありません。自社ホームページ等からの直接応募は、令和3年6月に実施された委託調査で2.8万円でした。単一の相場値は置けません。
毎年何%ずつ上がると見ておけばよいか
固定の率は置けません。常用就職1件あたりの手数料は令和4年度10.8%増、令和5年度1.0%減、令和6年度10.9%増と動いています。年率で均した数字は、どの年にも当てはまりません。
採用人数を減らせばコストは下がるか
下がるとは限りません。令和6年度は有料職業紹介の就職件数の伸びが5.3%と鈍かった一方で、1件あたりは10.9%上がりました。件数と単価は別に動きます。
統計の数字と自社の数字が合わない
分子と分母の定義を先に揃えてください。公表統計の1件あたりの手数料は紹介会社へ支払った額だけで、社内の人件費や広告費は入っていません。
自社の採用の弱点がどの工程にあるかを機械的に知りたい場合は、エンジニア採用力チェックで採点を受け取れます。
中途採用のコストの推移を読むときの要点
この記事で扱った内容を、判断に使う順に並べます。
見る順番 | 数字 | 値と時点 |
|---|
1 | 常用就職1件あたりの手数料 | 約103万円(令和6年度・10.9%増) |
2 | 件数と単価のどちらが動いたか | 件数5.3%増・単価10.9%増(令和6年度) |
3 | 賃金の伸び | 3.8%増(2024年6月分) |
4 | 在籍者1人あたりの募集費 | 718円(令和元会計年度・数年おきの調査) |
推移は一本調子ではありません。令和5年度のように、件数が増えても単価が下がる年があります。
直近の上昇は単価側で起きています。採用人数の計画だけを触っても、費用は想定どおりに動きません。
賃金の伸びで説明できるのは上昇幅の3分の1ほどです。残りは年収帯か料率のどちらかで、自社の実績を割れば判別できます。
分母の違う数字を混ぜないでください。1件あたりの単価と、在籍者1人あたりの募集費は別の物差しです。
採用の経路そのものを組み直す段階であれば、Offersの企業向けサービスで、スカウトの自動配信を含めた設計を確認できます。AI RPOは最短2週間で開始できる形です。