HRBPに必要なスキルは?導入方法と成功事例を解説

Offers HR Magazine編集部 2024年9月4日

Offers HR Magazine編集部

目次

こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。今回は、HRBPに必要なスキルについて、その導入方法や成功事例を交えながら詳しく解説していきます。近年、企業の人事戦略において重要な役割を果たすようになったHRBP(HRビジネスパートナー)。その必要性が高まる一方で、具体的にどのようなスキルが求められるのか、どのように導入すべきかについては、まだ多くの企業が模索している段階です。本記事では、HRBPの基本的な概念から、必要とされるスキル、導入のポイント、さらには成功事例まで、幅広く解説していきます。

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HRBPとは何か?

HRBPという言葉を耳にする機会が増えてきましたが、その具体的な役割や従来の人事との違いについて、明確に理解している人は多くありません。ここでは、HRBPの基本的な概念から、その重要性が高まっている背景まで、詳しく見ていきましょう。

HRBPは、企業の戦略的パートナーとして機能する新しい人事の形態です。従来の人事部門が主に管理業務を担当していたのに対し、HRBPは経営陣と密接に連携し、ビジネス戦略の実現に向けた人材戦略を立案・実行する役割を担います。

HRビジネスパートナーの概要

HRBPの概念を理解するためには、その定義や役割、注目される理由、そして歴史的背景を知ることが重要です。これらの要素を詳しく見ていくことで、HRBPの全体像がより明確になるでしょう。

HRBPの定義と役割

HRBPとは、Human Resources Business Partnerの略称です。この役割は、人事部門と事業部門の橋渡し役として機能し、企業の戦略目標達成に向けて人材面からサポートすることが求められます。具体的には、経営陣との対話を通じて事業戦略を深く理解し、それを人材戦略に落とし込むことが主な役割となります。

また、現場の課題やニーズを把握し、それらを人事施策に反映させることも重要な任務です。HRBPは、単なる人事部門の一員ではなく、経営陣の戦略的パートナーとして機能することが期待されているのです。

HRBPが注目される理由

HRBPが注目を集める背景には、ビジネス環境の急速な変化があります。グローバル化やデジタル化の進展により、企業は常に変化に適応し、イノベーションを生み出し続けることが求められています。このような状況下で、人材戦略が企業の成功を左右する重要な要素となっているのです。

従来の人事部門では、こうした変化に迅速に対応することが困難でした。そこで、経営戦略と直結した人材戦略を立案・実行できるHRBPの役割が重要視されるようになったのです。

HRBPの歴史的背景

HRBPの概念は、1997年にデイブ・ウルリッチによって提唱されました。ウルリッチは、人事部門が真に価値を生み出すためには、戦略的パートナーとしての役割を担う必要があると主張しました。この考えは、当時の人事部門が主に管理業務に注力していた状況に一石を投じるものでした。

その後、グローバル企業を中心にHRBPの導入が進み、2000年代後半から日本企業でも注目されるようになりました。現在では、多くの大手企業がHRBPを導入し、その効果を実感しています。

従来の人事との違い

HRBPと従来の人事部門には、明確な違いがあります。その違いを理解することで、HRBPの独自性と重要性がより明確になるでしょう。

役割の違い

従来の人事部門は、主に人事管理業務を担当していましたが、HRBPは戦略的パートナーとしての役割を果たします。具体的には、経営陣との対話を通じて事業戦略を深く理解し、それを人材戦略に落とし込むことが求められます。

また、HRBPは現場の声を直接聞き、経営陣にフィードバックする役割も担います。このように、HRBPは経営と現場の両方の視点を持ち、両者をつなぐ重要な存在となっています。

業務範囲の違い

従来の人事部門の業務範囲は、採用、評価、給与管理、福利厚生などの人事管理業務が中心でした。一方、HRBPの業務範囲はより広範囲にわたります。

HRBPは、組織開発、人材育成、変革管理など、より戦略的な領域にも深く関与します。また、事業部門との密接な連携により、各部門の特性や課題を理解した上で、最適な人材戦略を立案・実行することが求められます。

期待される成果の違い

従来の人事部門に期待される成果は、主に人事管理業務の効率化や労務管理の適正化などでした。しかし、HRBPに期待される成果はより高次元なものとなります。

HRBPには、人材戦略を通じて企業の競争力向上や事業目標の達成に貢献することが求められます。具体的には、優秀な人材の確保・育成・定着、組織の生産性向上、従業員エンゲージメントの向上などが、HRBPに期待される主な成果となります。

HRBPの具体的な業務内容

HRBPの業務内容は多岐にわたりますが、主に戦略立案、経営陣との連携、現場とのコミュニケーションの3つの領域に分類できます。これらの業務を通じて、HRBPは企業の人材戦略の要となるのです。

戦略立案

HRBPの最も重要な業務の一つが、人材戦略の立案です。これは単なる人事施策の策定ではなく、企業の中長期的な事業戦略に基づいた人材戦略の立案を意味します。

具体的には、将来のビジネス環境の変化を予測し、それに対応するために必要な人材像を描き出します。その上で、その人材を確保・育成・定着させるための具体的な施策を立案します。例えば、新規事業の立ち上げに必要な人材の獲得計画や、デジタル化に対応するための社内人材の育成プログラムなどが含まれます。

経営陣との連携

HRBPは、経営陣の戦略的パートナーとして機能することが求められます。そのため、経営陣との密接な連携が不可欠です。

経営会議への参加や、定期的な対話の機会を通じて、事業戦略や経営課題を深く理解します。その上で、人材面からのサポートや提案を行います。例えば、新規市場への進出に際して必要な人材の確保・育成計画を提案したり、組織の生産性向上のための人事施策を提言したりします。

現場とのコミュニケーション

HRBPは、経営陣だけでなく、現場との密接なコミュニケーションも重要です。各事業部門や現場社員の声を直接聞き、その課題やニーズを把握することが求められます。

定期的な現場訪問や、部門長とのミーティング、従業員サーベイの実施などを通じて、現場の実態を把握します。そこで得られた情報を基に、人材戦略の立案や人事施策の改善を行います。例えば、特定の部門で人材の流出が問題になっている場合、その原因を分析し、対策を講じるといった具体的な行動につなげます。

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HRBPが企業に必要な理由とは?

近年、多くの企業がHRBPの導入を進めています。では、なぜHRBPが必要とされているのでしょうか。その背景には、労働環境の変化、人材獲得競争の激化、経営と人事の連携強化の必要性など、様々な要因があります。

HRBPは、これらの課題に対応し、企業の競争力を高めるために不可欠な存在となっているのです。ここでは、HRBPが企業に必要とされる理由を詳しく見ていきましょう。

変化する労働環境

労働環境は急速に変化しています。この変化に適応し、新しい働き方を推進するためにも、HRBPの役割が重要になっています。

テレワークの普及

新型コロナウイルスの影響により、テレワークが急速に普及しました。この新しい働き方は、多くの企業にとって大きな変革をもたらしました。HRBPは、テレワーク環境下での生産性維持や、コミュニケーション促進、評価制度の見直しなど、様々な課題に対応する必要があります。

例えば、テレワーク下での新入社員の育成プログラムの策定や、リモートワーク環境での評価基準の見直しなど、従来の人事施策では対応しきれない課題に取り組むことが求められています。

DXの進展

デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、企業の業務プロセスや組織構造が大きく変化しています。HRBPは、このDXの波に乗り遅れないよう、人材面からサポートする役割を担っています。

具体的には、デジタルスキルを持つ人材の確保・育成や、DXに対応した組織づくり、AIやRPAの導入に伴う人材の再配置など、技術革新に伴う人材戦略の立案・実行が求められます。

グローバル化の影響

企業のグローバル化に伴い、人材の多様性が増しています。HRBPには、この多様性を活かしつつ、グローバルな視点での人材戦略の立案が求められます。

例えば、海外拠点との人材交流プログラムの策定や、グローバル人材の育成計画、多様な文化背景を持つ従業員のマネジメント方法の確立など、グローバル化に対応した人事施策の立案・実行が重要な業務となります。

人材獲得競争の激化

優秀な人材の確保が企業の競争力を左右する時代となっています。HRBPは、この人材獲得競争において重要な役割を果たします。

少子高齢化の影響

日本では少子高齢化が進行しており、労働人口の減少が大きな課題となっています。HRBPには、この人口動態の変化に対応した人材戦略の立案が求められます。

具体的には、シニア人材の活用策の検討や、女性活躍推進のための施策立案、外国人材の採用・定着支援など、多様な人材を活用するための戦略が必要となります。

優秀な人材の確保

人材獲得競争が激化する中、優秀な人材を確保することは企業にとって大きな課題となっています。HRBPは、企業の魅力を高め、優秀な人材を引き付けるための戦略立案を担います。

例えば、自社の強みを活かした採用ブランディングの構築や、柔軟な働き方を可能にする制度設計、キャリア開発支援プログラムの充実化など、優秀な人材を惹きつける施策を立案・実行します。

人材流動性の高まり

近年、転職市場の活性化や副業・兼業の普及により、人材の流動性が高まっています。HRBPには、この流動性の高まりに対応し、優秀な人材の定着を図るための施策立案が求められます。

具体的には、キャリアパスの明確化や、社内公募制度の導入、副業・兼業の制度化など、従業員のキャリア開発を支援する施策を立案・実行します。また、退職者の再雇用制度の整備など、人材の流出を防ぐための取り組みも重要な業務となります。

経営と人事の連携強化

HRBPの最も重要な役割の一つが、経営と人事の連携強化です。この連携により、企業の競争力向上につながる人材戦略の立案・実行が可能となります。

経営目標と人事戦略の一致

HRBPは、経営目標を深く理解し、それを人事戦略に落とし込む役割を担います。これにより、企業の目指す方向性と人材戦略が一致し、より効果的な施策の立案・実行が可能となります。

例えば、新規事業の立ち上げを目標としている企業では、HRBPがその事業に必要な人材のスキルセットを分析し、適切な人材の採用や育成計画を立案します。また、コスト削減が経営目標である場合、HRBPは人件費の最適化や業務効率化のための人事施策を提案することができます。

組織の柔軟性向上

変化の激しいビジネス環境において、組織の柔軟性は企業の生存に関わる重要な要素です。HRBPは、この組織の柔軟性を高めるための施策を立案・実行します。

具体的には、クロスファンクショナルなチーム編成の促進や、ジョブローテーションの活性化、アジャイルな組織文化の醸成などが挙げられます。例えば、プロジェクトベースの柔軟な人員配置を可能にする人事制度の設計や、部門間の壁を取り払うための施策立案などが、HRBPの重要な業務となります。

企業競争力の強化

HRBPの究極の目標は、人材面から企業の競争力を強化することです。これは、単に優秀な人材を確保するだけでなく、その人材を最大限に活かし、企業価値の向上につなげることを意味します。

例えば、イノベーションを促進するための組織文化の構築や、従業員のエンゲージメント向上のための施策立案、リーダーシップ開発プログラムの設計など、多岐にわたる取り組みが必要となります。HRBPは、これらの施策を通じて、企業の持続的な成長と競争力強化を支援するのです。

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HRBPに求められるスキルとは?

HRBPの役割が重要になるにつれ、そのポジションに求められるスキルも高度化・多様化しています。HRBPには、経営者視点、コミュニケーション能力、課題解決能力など、多岐にわたるスキルが必要とされます。ここでは、HRBPに求められる主要なスキルについて詳しく見ていきましょう。

経営者視点

HRBPが経営陣の戦略的パートナーとして機能するためには、経営者と同じ視点で事業を捉える能力が不可欠です。

戦略的思考能力

HRBPには、企業の中長期的な戦略を理解し、それを人材戦略に落とし込む能力が求められます。これは単に経営戦略を理解するだけでなく、その戦略を実現するために必要な人材像を描き、具体的な施策に落とし込む能力を意味します。

例えば、企業がグローバル展開を目指している場合、HRBPはグローバル人材の定義を明確にし、その育成・登用計画を立案する必要があります。また、新技術の導入が計画されている場合、その技術を扱える人材の確保・育成計画を策定することが求められます。

市場や業界の理解

HRBPは、自社が属する市場や業界の動向を深く理解していなければなりません。これにより、将来的な人材ニーズを予測し、先手を打った人材戦略を立案することができます。

例えば、AIやIoTなどの新技術が急速に普及している業界では、それらの技術に精通した人材の需要が高まることが予想されます。HRBPは、こうした業界動向を踏まえ、必要なスキルを持つ人材の育成や採用計画を立案する必要があります。

経営者との対話力

HRBPには、経営者と対等に対話し、人材面からの提案や助言ができる能力が求められます。これは単にコミュニケーション能力だけでなく、経営課題を深く理解し、それに対する解決策を人材の観点から提示できる能力を意味します。

例えば、業績不振の事業部門がある場合、HRBPはその原因を人材面から分析し、適切な人材配置や育成計画を提案することが求められます。また、M&Aの検討段階では、人材面でのリスクや統合後の組織設計について、経営陣に的確な助言を行う能力が必要となります。

コミュニケーション能力

HRBPは、経営陣と現場の橋渡し役として機能するため、高度なコミュニケーション能力が不可欠です。

現場との信頼関係構築

HRBPは、現場の声を直接聞き、その課題やニーズを的確に把握する必要があります。そのためには、現場との強い信頼関係を構築することが重要です。

例えば、定期的な現場訪問や、部門長との1on1ミーティングの実施、従業員との対話セッションの開催などを通じて、現場の実態を把握し、信頼関係を築いていきます。これにより、表面化しにくい課題や本音の部分を引き出し、より効果的な人事施策の立案につなげることができます。

経営陣への報告・提案力

HRBPには、現場で得た情報や課題を、経営陣に対して効果的に報告・提案する能力が求められます。これは単に情報を伝達するだけでなく、経営課題との関連性を明確にし、具体的な解決策を提示する能力を意味します。

例えば、従業員エンゲージメント調査の結果を報告する際、単に数値を示すだけでなく、その結果が事業成績にどのような影響を与えるか、改善のためにどのような施策が必要かを、具体的なデータや事例を交えて提案することが求められます。

多様な意見の調整力

HRBPは、しばしば異なる利害関係者の間に立ち、その意見を調整する役割を担います。例えば、コスト削減を求める経営陣と、待遇改善を求める従業員の間で、適切なバランスを取る必要があります。

このような場面で、HRBPには双方の立場を理解し、Win-Winの解決策を見出す能力が求められます。例えば、人件費削減が必要な状況下で、従業員のモチベーション維持につながる非金銭的な報酬制度を提案するなど、創造的な解決策を見出す能力が重要となります。

課題解決能力

HRBPには、人材に関する様々な課題を効果的に解決する能力が求められます。

現状分析力

HRBPは、組織の現状を客観的に分析し、課題を的確に把握する能力が必要です。これには、定量的なデータ分析だけでなく、定性的な情報も含めた総合的な分析が求められます。

例えば、離職率の上昇が課題となっている場合、単に数値を追うだけでなく、退職理由のヒアリングや、従業員満足度調査の詳細分析、業界他社との比較など、多角的な視点から現状を分析する能力が必要となります。

具体的な解決策の提案力

HRBPには、分析結果に基づいて、具体的かつ実行可能な解決策を提案する能力が求められます。これは、単にアイデアを出すだけでなく、その効果や実現可能性、コストなども含めた総合的な提案を行う能力を意味します。

例えば、人材育成が課題となっている場合、単に研修プログラムを提案するだけでなく、その研修の効果測定方法や、実務への適用プロセス、必要な予算とROIの試算など、包括的な提案を行うことが求められます。

実行力と成果の追跡能力

HRBPは、提案した施策を確実に実行に移し、その成果を追跡・評価する能力も必要です。これには、プロジェクトマネジメント能力や、PDCAサイクルを回す能力が含まれます。

例えば、新しい評価制度を導入する際、その制度設計だけでなく、関係者への説明や研修の実施、運用開始後の状況モニタリング、効果測定、必要に応じた改善提案など、一連のプロセスを主導する能力が求められます。

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HRBPを導入する際のポイントとは?

HRBPの導入は、企業の人事戦略を大きく転換させる重要な取り組みです。しかし、その導入には慎重な準備と段階的なアプローチが必要です。ここでは、HRBPを効果的に導入するためのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

適切な人材の選定

HRBPの成功は、そのポジションに就く人材の質に大きく依存します。適切な人材を選定することが、導入の第一歩となります。

必要なスキルと経験

HRBPには、前述したような多岐にわたるスキルが求められます。特に、経営者視点、コミュニケーション能力、課題解決能力は必須のスキルと言えるでしょう。

また、HRBPには一定の経験も必要です。例えば、人事部門での経験はもちろん、事業部門でのライン経験や、経営企画部門での経験なども、HRBPの役割を果たす上で有効です。これらの経験を通じて、事業への理解や現場感覚を養うことができるからです。

社内外の人材活用

HRBPの人材を確保する方法としては、社内人材の育成と外部からの採用の2つのアプローチがあります。

社内人材の活用の場合、組織や文化への理解が深い点がメリットとなります。一方で、従来の人事の枠を超えた新しい視点や専門性が必要となるため、適切な育成プログラムの設計が重要です。

外部からの採用の場合、新しい視点や専門性を即時に取り入れられる点がメリットです。ただし、組織への適応や信頼関係の構築に時間がかかる可能性があるため、丁寧なオンボーディングプロセスが必要となります。

育成プランの策定

HRBPの育成には、計画的なアプローチが必要です。単に研修を実施するだけでなく、OJTやメンタリング、外部での経験獲得など、多様な手法を組み合わせた育成プランが効果的です。

例えば、経営戦略に関する知識を深めるための外部セミナーへの参加、事業部門への短期派遣による現場感覚の養成、経営会議へのオブザーバー参加によるトップの意思決定プロセスの理解など、多面的な育成機会を提供することが重要です。

部分的なテスト導入

HRBPの導入は、組織全体に大きな影響を与える取り組みです。そのため、一度に全社展開するのではなく、部分的なテスト導入から始めることが賢明です。

パイロットプロジェクトの開始

特定の事業部門や地域でHRBPを試験的に導入し、その効果や課題を検証することが重要です。これにより、本格導入時のリスクを最小限に抑えることができます。

パイロットプロジェクトでは、HRBPの役割や権限を明確に定義し、具体的な目標を設定することが重要です。例えば、「6か月間で特定の事業部門の従業員エンゲージメントスコアを10%向上させる」といった具体的な目標を掲げ、その達成に向けたHRBPの活動を展開します。

初期段階の評価と調整

パイロットプロジェクトの進行中は、定期的に進捗を評価し、必要に応じて調整を行うことが重要です。評価の際は、定量的な指標(KPI)だけでなく、関係者へのインタビューなど定性的な評価も組み合わせることで、多角的な視点から効果を検証します。

例えば、HRBPの活動によって、事業部門のマネージャーの人材マネジメントスキルが向上したか、経営陣とのコミュニケーションが改善したかなど、具体的な変化を捉えることが重要です。

成功事例の構築

パイロットプロジェクトを通じて、HRBPの成功事例を構築することが重要です。これらの成功事例は、全社展開時の説得材料となるだけでなく、他のHRBPの行動指針としても活用できます。

例えば、HRBPの介入により、ある部門の離職率が大幅に改善したケースや、新規事業立ち上げに必要な人材を適切に確保・育成できたケースなど、具体的な成果を示す事例を蓄積します。これらの事例を社内で共有することで、HRBPの価値を可視化し、導入への理解と支持を得やすくなります。

現場の知識アップデートの機会

HRBPが効果的に機能するためには、常に最新の現場情報を把握し、理解を深める必要があります。そのための機会を意図的に設けることが重要です。

定期的な現場訪問

HRBPは、担当する事業部門や部署に定期的に足を運び、現場の空気を肌で感じ取ることが重要です。これにより、数字や報告書だけでは把握しきれない、現場の実態や課題を理解することができます。

例えば、月に1回は必ず現場を訪問し、マネージャーや一般社員との対話の機会を持つといったルールを設けることが効果的です。また、可能であれば実際の業務を体験するなど、より深い理解につながる機会を作ることも有効です。

部門会議への参加

HRBPが担当部門の会議に定期的に参加することで、事業の方向性や課題をリアルタイムで把握することができます。これにより、人事施策と事業戦略のアラインメントを常に確認し、必要に応じて迅速な調整を行うことが可能になります。

例えば、月次や四半期の事業レビュー会議に参加し、業績の推移や今後の見通しを理解することで、必要な人材の質や量を予測し、先手を打った人材戦略を立案することができます。

現場社員との対話の場を設ける

HRBPは、現場社員の生の声を直接聞く機会を定期的に設けることが重要です。これにより、従業員の本音やニーズを把握し、より効果的な人事施策の立案につなげることができます。

例えば、四半期に一度、「HRBPとの座談会」を開催し、様々な部署や階層の社員と自由に対話する機会を設けることが効果的です。また、匿名でフィードバックを収集できるシステムを導入するなど、社員が率直な意見を表明しやすい環境を整えることも重要です。

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HRBP導入の成功事例とは?

HRBPの導入は、多くの企業で成果を上げています。ここでは、日本企業におけるHRBP導入の成功事例を詳しく見ていきましょう。これらの事例から、HRBPの具体的な役割や、導入によってもたらされる効果を理解することができます。

ディー・エヌ・エーの事例

ゲーム開発やインターネットサービスを展開するディー・エヌ・エー(DeNA)は、早くからHRBPの導入に取り組んできた企業の一つです。

HRBP導入の背景

DeNAがHRBPを導入した背景には、急速な事業拡大に伴う人材マネジメントの課題がありました。特に、新規事業の立ち上げや海外展開に伴い、多様な人材の確保・育成・定着が急務となっていました。

また、各事業部門の特性に応じた柔軟な人事施策の立案・実行が求められており、従来の中央集権的な人事部門では対応しきれない状況が生じていました。

具体的な取り組み内容

DeNAのHRBPは、各事業部門に1名ずつ配置され、事業戦略に基づいた人材戦略の立案・実行を担当しています。具体的には、採用計画の策定、人材育成プログラムの設計、組織開発などの幅広い業務を行っています。

特筆すべき取り組みとして、「タレントマネジメント」の導入が挙げられます。HRBPが中心となり、各部門の重要ポジションとそのサクセッションプランを可視化し、計画的な人材育成・配置を行っています。

得られた成果と今後の展望

HRBP導入の結果、DeNAでは以下のような成果が得られています:

  1. 事業特性に応じた柔軟な人材戦略の実現
  2. 重要ポジションの後継者育成の強化
  3. 従業員エンゲージメントの向上
  4. 人材の適材適所の実現

今後の展望としては、データ分析を活用したより精緻な人材戦略の立案や、グローバル人材マネジメントの強化などが挙げられています。DeNAの事例は、IT企業におけるHRBP導入の成功モデルとして、多くの企業から注目されています。

LINEの事例

コミュニケーションアプリ「LINE」を運営するLINEも、HRBPを積極的に活用している企業の一つです。

HRBPチームの役割

LINEのHRBPチームは、「ビジネスパートナー」という名称で、各事業部門や機能部門に配置されています。彼らの主な役割は、担当部門の事業戦略を深く理解し、その実現に向けた人材戦略を立案・実行することです。

具体的には、組織設計、人材の採用・育成計画の策定、評価制度の設計・運用、従業員エンゲージメントの向上など、幅広い領域でサポートを行っています。

組織開発と課題解決

LINEのHRBPチームが特に注力しているのが、組織開発です。急速に成長する企業特有の課題、例えば組織の肥大化や部門間の連携不足などに対して、HRBPが中心となって解決策を提案・実行しています。

例えば、クロスファンクショナルなプロジェクトチームの編成支援や、アジャイルな組織文化の醸成、部門を超えた人材交流の促進などが、具体的な取り組みとして挙げられます。

成功の要因と課題

LINEのHRBP導入が成功している要因として、以下の点が挙げられます:

  1. 経営陣のコミットメント:HRBPの重要性を経営陣が深く理解し、権限を与えていること
  2. ビジネス理解の徹底:HRBPに対して、担当部門の事業への深い理解を求めていること
  3. データ駆動の意思決定:人材に関する様々なデータを活用し、客観的な分析に基づいた提案を行っていること

一方で、課題としては、HRBPの育成・確保が挙げられます。ビジネスと人事の両方に精通した人材の育成には時間がかかるため、計画的な人材育成が必要となっています。

カゴメの事例

食品メーカーのカゴメも、HRBPを導入し成果を上げている企業の一つです。製造業におけるHRBP導入の好事例として注目されています。

HRBPの設置理由

カゴメがHRBPを導入した主な理由は、多様化する従業員のキャリア開発支援と、事業戦略と連動した人材マネジメントの実現でした。特に、グローバル展開や新規事業への進出に伴い、より戦略的な人材マネジメントの必要性が高まっていました。

また、従来の人事部門では対応しきれない、きめ細かな従業員支援の実現も、HRBP導入の大きな目的の一つでした。

キャリア開発の支援

カゴメのHRBPは、「キャリアアドバイザー」としての役割も担っています。具体的には、定期的な面談を通じて従業員の希望や適性を把握し、個々人に合ったキャリア開発プランの策定をサポートしています。

また、社内公募制度の運用や、部門を超えた人材交流の促進など、従業員の主体的なキャリア形成を支援する取り組みも行っています。

従業員満足度の向上

HRBP導入の結果、カゴメでは従業員満足度の向上が見られています。特に、「自身のキャリアについて相談できる人がいる」という項目で、満足度が大きく向上しました。

また、HRBPが現場の声を直接聞き、それを人事施策に反映させることで、より従業員のニーズに合った施策の立案・実行が可能になりました。例えば、育児・介護と仕事の両立支援制度の拡充や、副業・兼業の解禁など、従業員のライフステージに応じた柔軟な働き方の実現につながっています。

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HRBP導入のメリットとは?

HRBPの導入は、企業にとって様々なメリットをもたらします。ここでは、HRBP導入による主なメリットについて、詳しく見ていきましょう。

経営目標達成のためのサポート

HRBPの最大のメリットの一つは、経営目標の達成を人材面からサポートできることです。

経営と人事の連携強化

HRBPの存在により、経営戦略と人事戦略のアラインメントが強化されます。HRBPは経営会議に参加し、事業戦略を深く理解した上で、それを実現するための人材戦略を立案・実行します。

例えば、新規事業への参入が計画されている場合、HRBPはその事業に必要なスキルセットを分析し、適切な人材の採用・育成計画を立案します。また、コスト削減が求められている場合は、人件費の最適化や業務効率化のための施策を提案します。

戦略的な人材採用と育成

HRBPは、企業の中長期的な戦略を踏まえた人材採用と育成を行います。将来必要となるスキルや人材像を予測し、先手を打った採用・育成施策を展開することができます。

例えば、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する企業では、HRBPがDXに必要なスキルセットを定義し、それに基づいた採用計画や社内人材の育成プログラムを策定します。これにより、事業戦略の実現に必要な人材を適時に確保・育成することが可能になります。

組織の柔軟性と対応力向上

HRBPの存在により、組織の柔軟性と環境変化への対応力が向上します。HRBPは、事業環境の変化を敏感に捉え、それに応じた組織・人材の再編を迅速に行うことができます。

例えば、市場環境の急激な変化に対応するため、クロスファンクショナルなプロジェクトチームの編成が必要な場合、HRBPが中心となって適切な人材の選定と配置を行います。また、新技術の導入に伴う業務プロセスの変更に対しても、必要なスキル研修の実施や人材の再配置など、柔軟な対応が可能になります。

現場の課題解決と改善

HRBPは、現場に密着して活動することで、実際の課題やニーズを的確に把握し、迅速な解決につなげることができます。

現場の声を経営に反映

HRBPは、現場の声を直接聞き、それを経営陣に伝える「パイプ役」として機能します。これにより、従来では見過ごされがちだった現場の課題や提案が、経営層に届きやすくなります。

例えば、特定の部門で人材の流出が問題になっている場合、HRBPがその原因を詳細に分析し、対策案とともに経営陣に報告します。これにより、経営陣は現場の実態を踏まえた意思決定を行うことができます。

現場社員のモチベーション向上

HRBPの存在により、現場社員は自身のキャリアや職場環境について相談できる窓口を得ることができます。これは、社員のモチベーション向上や帰属意識の強化につながります。

例えば、HRBPが定期的なキャリア面談を実施することで、社員は自身の将来像を具体的に描きやすくなります。また、職場の問題点や改善案を直接HRBPに伝えることで、自分の意見が会社に届いているという実感を持つことができます。

労働環境の改善

HRBPは、現場の実態を詳細に把握しているため、より効果的な労働環境の改善策を提案・実行することができます。これにより、従業員の満足度向上や生産性の向上につながります。

例えば、長時間労働が問題となっている部署では、HRBPが業務プロセスを詳細に分析し、効率化の余地がある部分を特定します。その上で、ITツールの導入や業務の再分配、柔軟な勤務形態の導入など、具体的な改善策を提案・実行します。また、メンタルヘルスケアの強化や、ワークライフバランスを考慮した制度設計なども、HRBPの重要な役割となります。

企業競争力の強化

HRBPの導入は、長期的には企業の競争力強化につながります。人材面から企業の持続的な成長をサポートすることで、市場での優位性を高めることができます。

優秀な人材の確保と定着

HRBPは、企業の魅力を高め、優秀な人材を引き付け、定着させるための戦略を立案・実行します。これにより、人材獲得競争が激化する中で、競合他社に対する優位性を確保することができます。

具体的には、企業のビジョンや価値観を明確に打ち出し、それに共感する人材を惹きつける採用ブランディングの構築や、個々の従業員のキャリア志向に合わせた育成プログラムの設計、公平で透明性の高い評価・報酬制度の導入などが挙げられます。例えば、社内公募制度の活性化やジョブローテーションの戦略的な実施により、従業員の成長機会を増やし、長期的な定着を促進します。

市場や業界の変化への迅速な対応

HRBPは、市場動向や業界の変化を常にウォッチし、それに応じた人材戦略を素早く立案・実行することができます。これにより、環境変化に対する企業の適応力が高まり、競争優位性の維持・向上につながります。

例えば、AIやIoTなどの新技術が急速に普及している業界では、HRBPがそれらの技術に精通した人材の需要を予測し、先手を打った採用や育成を行います。また、M&Aや事業再編などの大きな組織変更の際も、HRBPが中心となって人材の適切な配置や統合後の組織文化の融合を支援します。

企業ブランドの向上

HRBPの活動は、間接的に企業ブランドの向上にも寄与します。従業員満足度の向上や、戦略的な人材マネジメントの実践は、「働きがいのある会社」としての評価につながり、企業の社会的評価を高めます。

例えば、HRBPの主導で導入された先進的な人事制度や、従業員の成長を支援する取り組みが、メディアで取り上げられることで、企業の魅力度が向上します。また、従業員エンゲージメントの向上は、顧客満足度の向上にもつながり、結果として企業ブランド全体の価値向上に寄与します。

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まとめ

HRBPの導入は、企業の人材戦略を大きく変革し、競争力を強化する重要な取り組みです。本記事では、HRBPの概念、必要とされるスキル、導入のポイント、成功事例、そしてそのメリットについて詳しく解説してきました。

HRBPの役割は、経営戦略と人事戦略を密接に結びつけ、企業の持続的な成長を人材面からサポートすることです。そのためには、経営者視点、コミュニケーション能力、課題解決能力など、多岐にわたるスキルが求められます。

HRBPの導入を検討している企業は、本記事で紹介した内容を参考に、自社の状況に合わせた最適なアプローチを見出していくことが重要です。そして、HRBPを通じて、人材と経営の融合を図り、企業価値の最大化を目指していくことが求められます。

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