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こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。今回は、企業の人事戦略において重要な役割を担うHRBP(Human Resources Business Partner)の仕事内容について詳しく解説していきます。HRBPは企業の成長と競争力強化に不可欠な存在となっています。その具体的な役割や必要とされる背景、求められるスキルなどを多角的に探っていきましょう。
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HRBPとは何か?
HRBPは企業の人事部門と事業部門をつなぐ重要な役割を果たす職種です。従来の人事部門の枠を超えて、経営戦略の実現に直接的に貢献する存在として注目されています。ここではHRBPの概要や役割、従来の人事との違いについて深掘りしていきます。
HRBPの概要
HRBPは企業の人材戦略を実現するための要となる職種です。その定義や歴史的背景、重要性について見ていきましょう。
HRBPの定義
HRBPは、Human Resources Business Partnerの略称で、企業の人事部門と事業部門を戦略的に結びつける役割を担います。単なる人事業務の遂行者ではなく、経営陣と密接に連携しながら、組織の目標達成に向けて人材戦略を立案・実行する重要なポジションです。
HRBPの主な責務には、経営戦略に基づいた人材戦略の策定、組織開発、従業員のエンゲージメント向上、タレントマネジメントなどが含まれます。これらの活動を通じて、企業の競争力強化と持続的成長を支援します。
HRBPの歴史的背景
HRBPの概念は1990年代後半にデイブ・ウルリッチによって提唱されました。当時、グローバル化や技術革新により企業環境が急速に変化する中、従来の人事部門の役割だけでは対応が難しくなってきていました。
ウルリッチは、人事部門が単なる管理業務を行う部署から、経営戦略の実現に貢献する戦略的パートナーへと進化する必要性を説きました。この考えが、現在のHRBPの基礎となっています。
日本企業においても、2000年代以降、グローバル競争の激化や少子高齢化による人材不足など、さまざまな課題に直面する中で、HRBPの重要性が認識されるようになりました。
HRBPの重要性
HRBPが企業にとって重要である理由は多岐にわたります。まず、経営戦略と人事戦略の連動を図ることで、組織全体のパフォーマンス向上に貢献します。また、従業員のエンゲージメントを高め、組織の生産性と創造性を向上させる役割も果たします。
さらに、急速に変化するビジネス環境において、HRBPは組織の変革を推進し、企業の適応力を高める重要な存在となっています。人材獲得競争が激化する中、優秀な人材の確保・育成・定着においても、HRBPの戦略的なアプローチが不可欠です。
HRBPの役割
HRBPは企業内で多様な役割を担っています。ここでは、戦略的パートナーとしての側面、経営者との連携、組織パフォーマンスの向上について詳しく見ていきます。
戦略的パートナー
HRBPの最も重要な役割の一つは、経営陣の戦略的パートナーとして機能することです。これは、単に人事施策を実行するだけでなく、企業の経営戦略の策定段階から参画し、人材面からの助言や提案を行うことを意味します。
具体的には、市場動向や競合他社の分析、自社の強みと弱みの評価などを踏まえ、人材戦略を立案します。また、新規事業の展開や組織再編などの重要な意思決定においても、人材の観点から助言を行います。
このような戦略的な関与により、HRBPは企業の中長期的な成長と競争力強化に直接的に貢献することができます。
経営者との連携
HRBPは経営者と緊密に連携し、経営課題の解決に向けて協働します。経営者の視点を理解し、人事の専門知識を活かしながら、経営目標の達成を支援することがHRBPの重要な役割です。
例えば、業績向上のための組織構造の最適化、人材育成プログラムの策定、報酬制度の設計などにおいて、経営者と協議しながら最適な解決策を見出していきます。また、従業員の声を経営層に伝える橋渡し役としても機能し、組織全体のコミュニケーションを促進します。
組織パフォーマンスの向上
HRBPは組織全体のパフォーマンス向上に向けて、さまざまな取り組みを行います。従業員のエンゲージメント向上、人材の適材適所の配置、組織文化の醸成など、多岐にわたる施策を通じて、組織の生産性と創造性を高めていきます。
具体的には、従業員満足度調査の実施と分析、キャリア開発支援、リーダーシップ育成プログラムの導入などが挙げられます。また、組織の課題を適切に診断し、必要な改善策を提案・実行することで、組織の健全性を維持・向上させる役割も担います。
HRBPと従来の人事との違い
HRBPは従来の人事部門とは異なる特徴を持っています。ここでは、従来の人事の役割、HRBPの独自の特性、HRBPとCHROの違いについて解説します。
従来の人事の役割
従来の人事部門は、主に採用、給与計算、労務管理、福利厚生など、管理業務を中心とした役割を担ってきました。これらの業務は組織の運営に不可欠ですが、どちらかというと受動的で、経営戦略との直接的な連動は限定的でした。
また、従来の人事は全社的な制度や規則の策定・運用に重点を置くことが多く、個別の事業部門のニーズに柔軟に対応することが難しい面もありました。
HRBPの独自の特性
一方、HRBPは従来の人事の役割を超えて、より戦略的かつ能動的な役割を果たします。HRBPの特徴として、事業部門に深く入り込み、その部門特有の課題や目標を理解した上で、最適な人材戦略を立案・実行することが挙げられます。
また、HRBPは経営陣と直接的に連携し、人材の観点から経営戦略の策定・実行に関与します。データ分析やビジネス動向の把握など、より広範な知識とスキルを活用して、組織の競争力強化に貢献します。
HRBPとCHROの違い
CHRO(Chief Human Resources Officer)とHRBPは、どちらも人事戦略に関わる重要な役割ですが、その位置づけと責任範囲に違いがあります。
CHROは人事部門のトップとして、全社的な人事戦略の立案と実行に責任を持ちます。経営陣の一員として、人事の観点から経営判断に参画します。
一方、HRBPはCHROの下で、特定の事業部門や機能領域を担当し、より現場に密着した形で人事戦略を実行します。HRBPは担当部門の特性を深く理解し、その部門に最適化された人材施策を展開する役割を担います。
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HRBPの具体的な仕事内容は?
HRBPの仕事内容は多岐にわたります。ここでは、経営戦略のサポート、組織開発と変革、タレントマネジメントという3つの主要な領域に焦点を当て、HRBPの具体的な業務内容を詳しく見ていきましょう。
経営戦略のサポート
HRBPの重要な役割の一つは、経営戦略の実現をサポートすることです。経営陣との緊密な連携のもと、人材の観点から戦略の策定や実行を支援します。
経営戦略の調整
HRBPは経営戦略と人事戦略の整合性を図る重要な役割を担います。具体的には、経営目標や事業計画を踏まえ、必要な人材の質と量を分析し、適切な人材戦略を立案します。
例えば、新規事業の立ち上げに際しては、必要なスキルセットを持つ人材の確保や育成計画を策定します。また、コスト削減が求められる場合は、人員配置の最適化や人件費の効率化などを検討します。
経営者への助言
HRBPは人材の専門家として、経営者に対して重要な助言を行います。市場動向や競合他社の人材戦略、自社の人材の強みと弱みなどを分析し、経営判断に必要な情報を提供します。
例えば、M&Aを検討する際には、統合後の組織構造や人材の最適配置について提案を行います。また、グローバル展開を図る場合は、現地の労働市場や法規制に関する知見を共有し、リスクと機会を評価します。
戦略実行のフォロー
経営戦略の実行段階においても、HRBPは重要な役割を果たします。戦略の進捗状況をモニタリングし、人材面での課題や bottleneckを特定し、必要な対策を講じます。
具体的には、KPI(重要業績評価指標)の設定と管理、定期的な進捗報告、課題解決のための施策立案などを行います。また、環境変化に応じて戦略の軌道修正が必要な場合は、人材の観点から適切な提案を行います。
組織開発と変革
HRBPは組織の健全性と効率性を高めるため、組織開発と変革に積極的に取り組みます。ここでは、組織診断と改善、変革プロジェクトのリード、従業員のエンゲージメント向上について詳しく見ていきます。
組織診断と改善
HRBPは定期的に組織診断を行い、組織の強みと課題を明確にします。従業員満足度調査、組織風土調査、360度評価などの手法を用いて、組織の現状を多角的に分析します。
診断結果に基づき、組織構造の最適化、業務プロセスの改善、コミュニケーション促進策の導入など、具体的な改善策を立案・実行します。例えば、部門間の連携が不十分な場合は、クロスファンクショナルなプロジェクトチームの設置や、情報共有の仕組みづくりを提案するかもしれません。
変革プロジェクトのリード
組織の大規模な変革が必要な場合、HRBPはその中心的な役割を担います。変革の必要性を従業員に説明し、理解と協力を得るためのコミュニケーション戦略を立案・実行します。
具体的には、変革のビジョンと目標の策定、推進体制の構築、ロードマップの作成、進捗管理などを行います。また、変革に伴う従業員の不安や抵抗を軽減するため、丁寧な説明と支援を行い、スムーズな移行を促進します。
従業員のエンゲージメント向上
従業員のエンゲージメント向上は、組織のパフォーマンスに直結する重要な課題です。HRBPは従業員の声に耳を傾け、モチベーションを高める施策を立案・実行します。
具体的には、キャリア開発支援、報酬制度の見直し、ワークライフバランスの改善、職場環境の整備などが挙げられます。また、従業員認知プログラムの導入や、社内コミュニケーションの活性化など、組織の一体感を醸成する取り組みも重要です。
タレントマネジメント
HRBPの重要な責務の一つが、組織の人材価値を最大化するためのタレントマネジメントです。ここでは、人材の発掘と育成、適材適所の配置、評価と報酬の最適化について詳しく見ていきましょう。
人材の発掘と育成
HRBPは組織の将来を見据え、戦略的に人材を発掘し育成する役割を担います。これには、外部からの採用と内部人材の育成の両方が含まれます。
外部採用においては、企業の中長期的なビジョンや戦略に基づいて、必要なスキルセットや経験を持つ人材を見極め、効果的な採用戦略を立案します。例えば、新規事業の立ち上げに際しては、その分野の専門知識を持つ人材や、イノベーションを推進できるリーダー的人材の獲得に注力するかもしれません。
内部人材の育成では、従業員一人ひとりの潜在能力を見極め、キャリアパスの設計や育成プログラムの策定を行います。例えば、次世代リーダー育成プログラムの導入や、社内大学の設立などが考えられます。また、ジョブローテーションやクロスファンクショナルなプロジェクト参加などを通じて、多様な経験を積む機会を提供することも重要です。
適材適所の配置
人材の適切な配置は、組織のパフォーマンスを最大化する上で極めて重要です。HRBPは従業員の能力、スキル、経験、そして志向性を的確に把握し、組織のニーズとのマッチングを図ります。
例えば、新規プロジェクトの立ち上げ時には、必要なスキルセットを持つ人材を社内から発掘し、適切に配置します。また、組織再編の際には、各従業員の強みを活かせるポジションへの異動を検討し、提案します。
さらに、HRBPはダイバーシティ&インクルージョンの観点からも、適材適所の配置を推進します。多様な背景を持つ人材がそれぞれの強みを発揮できる環境を整えることで、組織の創造性と革新性を高めることができます。
評価と報酬の最適化
HRBPは、公正で効果的な評価制度と、従業員のモチベーションを高める報酬制度の設計・運用を担当します。これらの制度は、組織の戦略や目標と整合性が取れていることが重要です。
評価制度においては、単に業績だけでなく、組織への貢献度や成長度合いなども含めた多面的な評価方法を導入することがあります。例えば、360度評価やコンピテンシー評価などを取り入れることで、より客観的で公平な評価を実現します。
報酬制度については、固定給と変動給のバランス、短期的インセンティブと長期的インセンティブの組み合わせなど、戦略的な設計が求められます。また、金銭的報酬だけでなく、福利厚生や表彰制度なども含めた総合的な報酬パッケージを検討します。
例えば、イノベーションを重視する企業であれば、新規アイデアの創出や特許取得に対する特別ボーナスを設けるかもしれません。また、長期的な人材定着を図るため、ストックオプションやリテンションボーナスなどの仕組みを導入することも考えられます。
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HRBPが必要とされる背景とは?
HRBPの役割が注目される背景には、現代のビジネス環境の急速な変化があります。ここでは、VUCA時代への対応、人材獲得競争の激化、経営戦略と人事戦略の連動という3つの観点から、HRBPが必要とされる背景を詳しく見ていきます。
VUCA時代への対応
VUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)という言葉で表現される現代のビジネス環境において、HRBPの役割はますます重要になっています。
変動性への対応
ビジネス環境の変動性が高まる中、HRBPには組織の俊敏性(アジリティ)を高める役割が求められています。急激な市場変化や技術革新に対応できる柔軟な組織づくりが必要です。
具体的には、フラットな組織構造の導入や、クロスファンクショナルなチーム編成の促進などが考えられます。また、従業員のスキル転換(リスキリング)を支援し、新しい環境に適応できる人材を育成することも重要です。
例えば、デジタルトランスフォーメーションを推進する企業では、従来の業務スキルに加えて、デジタル技術の活用能力を高めるための教育プログラムを導入するかもしれません。
不確実性への対応
将来の予測が困難な不確実な環境下では、リスク管理と同時に、機会を逃さない柔軟な人材戦略が求められます。HRBPは、この不確実性に対応するための人材施策を立案・実行します。
例えば、多様なバックグラウンドを持つ人材の採用や、ジョブローテーションの促進により、組織全体の適応力を高めることが考えられます。また、シナリオプランニングを活用し、想定される複数の未来に対応できる人材ポートフォリオを構築することも重要です。
複雑性への対応
ビジネスの複雑性が増す中、HRBPには複雑な問題を解決できる人材の育成と、組織全体の問題解決能力の向上が求められます。
具体的には、クリティカルシンキングやシステム思考を養成する研修プログラムの導入、多様な視点を持つ人材によるプロジェクトチームの編成などが考えられます。また、知識共有のプラットフォームを構築し、組織全体の集合知を活用できる仕組みづくりも重要です。
人材獲得競争の激化
グローバル化やデジタル化の進展により、優秀な人材の獲得競争が激化しています。このような環境下で、HRBPには戦略的な人材獲得と定着の施策が求められます。
少子高齢化の影響
日本をはじめとする多くの先進国では、少子高齢化が進行し、労働人口の減少が大きな課題となっています。この状況下で、HRBPには限られた人材プールの中から、いかに優秀な人材を確保し、活用するかという戦略的な取り組みが求められます。
具体的には、シニア人材の活用促進、女性の活躍支援、外国人材の積極的な採用などが考えられます。また、働き方改革を推進し、多様な人材が活躍できる職場環境を整備することも重要です。
例えば、リモートワークの導入やフレックスタイム制の拡充により、育児や介護と仕事の両立を支援することで、優秀な人材の確保・定着を図ることができます。
デジタル人材の需要増加
デジタルトランスフォーメーションの進展に伴い、AIやデータサイエンスなどのデジタルスキルを持つ人材の需要が急増しています。HRBPには、このような高度専門人材の獲得と育成が求められます。
具体的には、大学や専門教育機関との連携強化、社内のデジタル人材育成プログラムの充実、外部のエキスパートとの協業体制の構築などが考えられます。また、デジタル人材にとって魅力的な職場環境や報酬体系の整備も重要です。
グローバル化の影響
企業のグローバル展開が進む中、国境を越えた人材獲得競争が激化しています。HRBPには、グローバル人材の確保と育成、そして多様な文化背景を持つ人材が協働できる環境づくりが求められます。
例えば、海外の大学や研究機関とのネットワーク構築、グローバル人材育成プログラムの導入、ダイバーシティ&インクルージョンの推進などが考えられます。また、グローバルに統一された人事制度の構築と、各国の文化や法規制に配慮したローカライゼーションのバランスを取ることも重要な課題です。
経営戦略と人事戦略の連動
企業の持続的成長には、経営戦略と人事戦略の緊密な連動が不可欠です。HRBPには、この連動を実現し、経営目標の達成を人材の側面から支援する役割が求められています。
戦略的な人事の必要性
従来の人事部門が管理業務中心だったのに対し、HRBPには経営戦略を理解し、それを人材施策に落とし込む能力が求められています。これにより、経営目標の達成に直接的に貢献する人事戦略の立案・実行が可能となります。
例えば、新規事業の立ち上げにおいては、必要なスキルセットを持つ人材の採用・育成計画を策定し、スピーディーに実行に移すことが求められます。また、コスト削減が経営課題となっている場合は、人員の適正配置や業務効率化、アウトソーシングの活用などを検討し、提案します。
経営目標の達成
HRBPは、経営目標の達成に向けて、人材面からの具体的な施策を立案・実行します。これには、組織構造の最適化、人材育成プログラムの策定、パフォーマンス管理システムの構築などが含まれます。
例えば、売上目標の達成に向けては、営業力強化のための研修プログラムの導入や、成果に連動した報酬制度の設計などが考えられます。また、イノベーション創出が目標の場合は、異分野交流の促進や、失敗を許容する文化の醸成などを推進するかもしれません。
組織の持続可能性
長期的な視点で組織の持続可能性を確保することも、HRBPの重要な役割です。これには、次世代リーダーの育成、組織文化の醸成、従業員のウェルビーイング(幸福度)向上などが含まれます。
具体的には、サクセッションプランニング(後継者育成計画)の策定、企業理念の浸透活動、ワークライフバランスの推進などが考えられます。また、環境・社会・ガバナンス(ESG)の観点からの人材戦略立案も、今後ますます重要になるでしょう。
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HRBPに求められるスキルは?
HRBPには、従来の人事担当者とは異なる幅広いスキルセットが求められます。ここでは、コミュニケーションスキル、課題分析と解決スキル、経営スキルという3つの観点から、HRBPに必要とされるスキルを詳しく見ていきます。
コミュニケーションスキル
HRBPは、経営陣、従業員、外部のステークホルダーなど、多様な相手とコミュニケーションを取る必要があります。効果的なコミュニケーションは、HRBPの役割を果たす上で不可欠です。
信頼関係の構築
HRBPは、組織内のさまざまな立場の人々と信頼関係を築く能力が求められます。これには、共感力、傾聴力、そして適切なフィードバックを提供する能力が含まれます。
例えば、従業員の悩みや不満に耳を傾け、適切なアドバイスや支援を行うことで、従業員との信頼関係を築きます。また、経営陣に対しては、人材面での課題や機会を客観的かつ建設的に提示することで、信頼されるアドバイザーとしての地位を確立します。
効果的な情報伝達
複雑な人事施策や組織変革の必要性を、わかりやすく説得力のある形で伝える能力も重要です。これには、プレゼンテーションスキルやストーリーテリング能力が含まれます。
例えば、新しい評価制度の導入時には、その目的や期待される効果を従業員に明確に説明し、理解と協力を得る必要があります。また、経営会議では、データや事例を効果的に用いて、人材戦略の重要性を訴求することが求められます。
ファシリテーション能力
HRBPは、組織内の様々な対話や議論をリードし、建設的な結論に導くファシリテーション能力も必要です。これには、多様な意見を引き出す力、対立を調整する能力、合意形成を促す力などが含まれます。
例えば、組織変革のワークショップでは、参加者全員の意見を集約し、建設的な議論を導くことが求められます。また、部門間の利害対立がある場合は、双方の立場を理解しつつ、組織全体の利益を考慮した解決策を導き出す役割を担います。
課題分析と解決スキル
HRBPには、組織の人材に関する課題を的確に分析し、効果的な解決策を提案・実行する能力が求められます。これには、データ分析能力、問題解決の手法、イノベーションの推進が含まれます。
データ分析能力
HRBPは、人材に関する様々なデータを収集・分析し、意思決定に活用する能力が必要です。これには、統計的手法の理解、データビジュアライゼーションのスキル、そしてデータに基づいた洞察を導き出す能力が含まれます。
例えば、従業員エンゲージメント調査の結果を分析し、組織の強みと課題を特定します。また、採用データを分析して、最も効果的な採用チャネルや選考プロセスを特定し、採用戦略の改善につなげます。
さらに、離職率や生産性などの人事関連KPIを継続的にモニタリングし、問題の早期発見と対策立案に活用します。このようなデータドリブンなアプローチにより、より客観的で説得力のある人事戦略を立案することが可能になります。
問題解決の手法
HRBPは、複雑な組織課題に対して、体系的なアプローチで解決策を見出す能力が求められます。これには、根本原因分析、SWOT分析、シナリオプランニングなどの手法の活用が含まれます。
例えば、高い離職率が問題となっている場合、単に表面的な症状に対処するのではなく、根本原因を特定するために従業員インタビューや離職者分析を行います。そして、短期的な対策と長期的な組織改革を組み合わせた総合的な解決策を立案します。
また、新しい人事制度の導入にあたっては、想定されるリスクと機会を洗い出し、複数のシナリオを検討した上で、最適な実施計画を策定します。このような体系的なアプローチにより、より効果的で持続可能な解決策を導き出すことができます。
イノベーションの推進
変化の激しいビジネス環境において、HRBPには従来の枠組みにとらわれない革新的な人材施策を提案・実行する能力が求められます。これには、クリエイティブシンキング、デザイン思考、オープンイノベーションの手法などが含まれます。
例えば、従来の年功序列型の評価制度に代わる新しい評価・報酬システムを設計する際には、他業界の事例研究やデザイン思考ワークショップなどを通じて、革新的なアイデアを生み出します。
また、社内起業家精神を育むための新しいプログラムを立ち上げる際には、スタートアップ企業やアクセラレーターとの協業を通じて、外部の知見やリソースを積極的に取り入れるかもしれません。
このようなイノベーティブなアプローチにより、組織の競争力強化と持続的成長に貢献することができます。
経営スキル
HRBPには、人事の専門知識だけでなく、経営全般に関する理解と洞察力が求められます。これには、経営視点の理解、ビジネス戦略の知識、意思決定のサポートが含まれます。
経営視点の理解
HRBPは、経営者の視点に立って組織全体を俯瞰し、人材面から経営課題にアプローチする能力が必要です。これには、財務諸表の読解力、マーケティングの基本概念の理解、オペレーション管理の知識などが含まれます。
例えば、コスト削減が求められる状況で、単純な人員削減ではなく、業務プロセスの効率化や人材の適正配置など、長期的な競争力を損なわない施策を提案できることが重要です。
また、新規事業の立ち上げ時には、必要な人材の質と量を適切に見積もり、採用・育成計画を策定します。この際、事業計画の実現可能性や市場動向なども考慮に入れ、現実的かつ効果的な人材戦略を立案する必要があります。
ビジネス戦略の知識
HRBPは、自社のビジネスモデルや競争戦略を深く理解し、それを人材戦略に反映させる能力が求められます。これには、業界動向の把握、競合分析、PEST分析(政治・経済・社会・技術要因の分析)などのスキルが含まれます。
例えば、グローバル展開を目指す企業では、進出予定国の労働市場や文化的特性を分析し、現地採用と本社からの派遣のバランスを考慮した人材配置計画を立案します。
また、デジタルトランスフォーメーションを推進する企業では、必要となるデジタルスキルを特定し、既存社員の再教育プログラムや、外部からの専門人材の獲得戦略を策定します。
このようなビジネス戦略と連動した人材戦略により、組織の競争力強化に直接的に貢献することができます。
意思決定のサポート
HRBPは、経営陣の意思決定をサポートする重要な役割を担います。これには、客観的なデータや分析に基づいた提言能力、リスクと機会の適切な評価、複数の選択肢の提示などが含まれます。
例えば、大規模な組織再編を検討する際には、人材面からのメリットとデメリットを分析し、最適な組織構造の提案を行います。この際、従業員のモチベーションへの影響や、文化的統合の課題なども考慮に入れた総合的な判断が求められます。
また、新しい報酬制度の導入を検討する場合は、財務的影響、従業員の受容性、競合他社との比較など、多角的な視点から分析を行い、経営陣の意思決定をサポートします。
このような戦略的な意思決定支援により、HRBPは経営陣の信頼されるパートナーとしての地位を確立することができます。
Offersを導入し、ITエンジニア・デザイナーを採用された方々の事例をケース別にご紹介。ITエンジニア・デザイナーの具体的な採用事例から、カスタマーサクセスが実現した採用工数の大幅な削減、スピード採用を実現する副業採用の実態まで全てこの一冊で徹底解説。
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HRBP導入の進め方は?
HRBPの導入は、組織の人事戦略を大きく変革する重要なプロジェクトです。ここでは、人事戦略の策定、トライアル導入、本格導入と評価という3つのステップに分けて、HRBP導入の進め方を詳しく見ていきます。
人事戦略の策定
HRBP導入の第一歩は、明確な人事戦略を策定することです。ここでは、現状分析と課題抽出、目標設定とロードマップ作成、チーム編成と役割分担について解説します。
現状分析と課題抽出
HRBP導入に向けた第一歩は、組織の現状を客観的に分析し、人材面での課題を明確にすることです。この過程では、従業員満足度調査、組織診断、人材データの分析などを行います。
例えば、従業員エンゲージメントの低さ、高い離職率、人材育成の遅れ、事業戦略と人材戦略の不一致などの課題が浮かび上がるかもしれません。これらの課題を優先度付けし、HRBP導入によってどのような改善が期待できるかを明確にします。
また、競合他社の人事戦略や業界のベストプラクティスも研究し、自社の強みと弱みを客観的に評価することも重要です。
目標設定とロードマップ作成
課題が明確になったら、次はHRBP導入の具体的な目標を設定し、実現に向けたロードマップを作成します。目標は、SMART(Specific:具体的、Measurable:測定可能、Achievable:達成可能、Relevant:関連性がある、Time-bound:期限がある)の原則に基づいて設定することが重要です。
例えば、「3年以内に全事業部門にHRBPを配置し、従業員エンゲージメントスコアを現在の3.2から4.0に向上させる」といった具体的な目標を設定します。
ロードマップには、HRBP人材の育成・採用計画、必要なシステムやツールの導入スケジュール、組織変更のタイミングなどを盛り込みます。また、短期的な成果(クイックウィン)と中長期的な目標をバランスよく配置することで、プロジェクトの推進力を維持します。
チーム編成と役割分担
HRBP導入プロジェクトを成功させるためには、適切なチーム編成と明確な役割分担が不可欠です。プロジェクトチームには、人事部門のメンバーだけでなく、事業部門の代表者や経営企画部門のメンバーなど、多様な視点を持つメンバーを加えることが重要です。
具体的な役割としては、以下のようなものが考えられます:
- プロジェクトスポンサー:通常、人事担当役員やCHROが務め、プロジェクト全体の方向性を示し、必要なリソースを確保します。
- プロジェクトマネージャー:日常的なプロジェクト管理を担当し、進捗管理や課題解決を行います。
- HRBPモデル設計担当:HRBPの具体的な役割や責任、必要なスキルセットを定義します。
- 変更管理担当:組織全体へのHRBP導入の影響を分析し、円滑な移行のための施策を立案・実行します。
- システム・ツール担当:HRBPの活動を支援するためのシステムやツールの選定・導入を担当します。
各メンバーの役割と責任を明確にし、定期的なミーティングを通じて情報共有と進捗確認を行うことで、プロジェクトの円滑な推進が可能となります。
トライアル導入
HRBP導入の次のステップは、限定的な範囲でのトライアル導入です。ここでは、パイロットプロジェクトの実施、フィードバックの収集、改善と最適化について詳しく見ていきます。
パイロットプロジェクトの実施
全社的な導入の前に、特定の部門や事業単位でHRBPのパイロットプロジェクトを実施することが重要です。これにより、HRBPモデルの有効性を検証し、本格導入に向けた課題を早期に発見することができます。
パイロット部門の選定にあたっては、以下のような点を考慮します:
- 経営陣のサポートが得やすい部門
- 変革への意欲が高い部門
- 組織の縮図となるような多様性を持つ部門
- 成果が測定しやすい部門
パイロットプロジェクトでは、HRBPの役割を明確に定義し、具体的な目標を設定します。例えば、「3ヶ月以内に部門の人材課題を特定し、改善計画を策定する」といった目標を立てます。
また、HRBPには十分な権限と資源を与え、経営陣や事業部門のリーダーとの定期的なコミュニケーションの機会を確保することが重要です。
フィードバックの収集
パイロットプロジェクトの進行中および終了時には、様々なステークホルダーからフィードバックを収集します。これには、HRBP自身、事業部門のリーダー、従業員、そして人事部門の他のメンバーなどが含まれます。
フィードバック収集の方法としては、以下のようなものが考えられます:
- 定期的なインタビュー
- アンケート調査
- フォーカスグループディスカッション
- 360度評価
収集すべき情報には、HRBPの活動の有効性、事業への貢献度、コミュニケーションの質、課題解決能力などが含まれます。また、HRBPモデル自体の課題(例:権限の範囲、リソースの適切性など)についても、率直な意見を求めることが重要です。
改善と最適化
収集したフィードバックを基に、HRBPモデルの改善と最適化を行います。この過程では、成功事例(ベストプラクティス)の特定と共有、課題への対応策の立案、必要に応じたHRBPの役割や責任の再定義などを行います。
具体的な改善点としては、以下のようなものが考えられます:
- HRBPのスキル開発プログラムの強化
- 事業部門とHRBPの連携プロセスの見直し
- HRBPの活動を支援するツールやシステムの導入・改善
- HRBPの評価基準の調整
改善策の実施後は、その効果を測定し、必要に応じてさらなる調整を加えます。このPDCAサイクルを繰り返すことで、組織に最適なHRBPモデルを構築することができます。
本格導入と評価
パイロットプロジェクトでの学びを活かし、HRBPの全社展開を行います。ここでは、全社展開の計画、パフォーマンス評価、継続的な改善について詳しく見ていきます。
全社展開の計画
HRBPの全社展開にあたっては、段階的なアプローチを取ることが一般的です。これにより、リソースの効率的な配分と、学習効果の最大化が可能となります。
全社展開の計画には、以下のような要素を含めます:
- 展開のタイムライン:各部門や事業単位への導入スケジュール
- 人材計画:必要なHRBP人材の育成・採用計画
- 変更管理計画:組織全体への周知や教育プログラムの実施計画
- システム導入計画:HRBPの活動を支援するシステムやツールの全社展開計画
また、各段階でのマイルストーンと成功指標を明確に定義し、進捗を管理することが重要です。
パフォーマンス評価
HRBPの活動が組織にもたらす価値を定量的・定性的に評価することが重要です。評価指標には、以下のようなものが考えられます:
- 事業KPIへの貢献度(売上、利益、生産性など)
- 人材関連KPI(従業員エンゲージメント、離職率、内部登用率など)
- 経営陣や事業部門リーダーの満足度
- HRBPが提案・実行した施策の数と質
- 組織変革プロジェクトの成功率
これらの指標を定期的にモニタリングし、HRBPの活動の有効性を継続的に評価します。また、評価結果をHRBP自身にフィードバックし、個人のパフォーマンス向上にも活用します。
継続的な改善
HRBPモデルの導入は、一度の取り組みで完了するものではありません。ビジネス環境の変化や組織のニーズの変化に応じて、継続的に改善を加えていく必要があります。
継続的な改善のためには、以下のような取り組みが重要です:
- 定期的なHRBPの活動レビュー
- ベストプラクティスの共有と標準化
- HRBPのスキル開発プログラムの継続的な更新
- 新しいツールや技術の導入検討
- 外部のHRBP実践者とのネットワーキングやベンチマーキング
また、HRBPと事業部門、経営陣との定期的な対話の場を設け、変化するニーズや期待を把握し、HRBPの役割や活動内容を適宜調整することも重要です。
このような継続的な改善のサイクルを通じて、HRBPモデルを組織の成長と共に進化させ、長期的な価値創出につなげることができます。
HRBP導入の成功事例とは?
HRBPの導入は多くの企業で進められていますが、ここでは日本企業の成功事例として、LINE株式会社、株式会社カインズ、株式会社ディー・エヌ・エーの事例を紹介します。これらの事例から、HRBP導入の背景、具体的な取り組み、そして得られた成果について学ぶことができます。
LINE株式会社の事例
LINEは、急速な成長と組織の複雑化に対応するため、HRBPを導入しました。その取り組みと成果を見ていきましょう。
導入の背景
LINEは、急速な事業拡大と従業員数の増加に伴い、従来の中央集権的な人事管理では個々の事業部門のニーズに迅速に対応することが難しくなっていました。また、グローバル展開に伴い、各国の事情に合わせた柔軟な人事戦略の必要性も高まっていました。
このような背景から、2015年頃からHRBP制度の導入を開始しました。
具体的な取り組み
LINEのHRBP導入における主な取り組みは以下の通りです:
- 事業部門ごとにHRBPを配置:各事業部門に専任のHRBPを配置し、部門の特性や課題に応じた人材戦略を立案・実行。
- HRBPの権限強化:採用、評価、報酬、育成などの人事施策について、HRBPに大幅な裁量権を付与。
- データ分析能力の強化:人材データの分析ツールを導入し、HRBPがデータに基づいた戦略立案を行える環境を整備。
- 経営層との定期的な対話:HRBPが経営会議に参加し、人材の観点から経営戦略の策定に関与。
- グローバル人材戦略の推進:各国のHRBPが連携し、グローバルで一貫性のある人材戦略を推進。
得られた成果
HRBPの導入により、LINEは以下のような成果を得ることができました:
- 事業戦略と人材戦略の連動強化:各事業部門の戦略に応じた、迅速かつ効果的な人材施策の実施が可能に。
- 従業員エンゲージメントの向上:事業部門のニーズに合わせたきめ細かい施策により、従業員満足度が向上。
- 採用力の強化:事業特性を理解したHRBPによる採用活動により、適切な人材の獲得が促進。
- グローバル展開の加速:各国の事情に精通したHRBPの存在により、スムーズなグローバル人材戦略の展開が可能に。
- 経営層の人材に対する理解促進:HRBPを通じて、経営層が人材の重要性をより深く認識するようになった。
株式会社カインズの事例
ホームセンター大手のカインズは、事業構造の変革に合わせてHRBPを導入しました。その取り組みと成果を見ていきましょう。
導入の背景
カインズは、従来の店舗ビジネスからオムニチャネル戦略への転換を図る中で、人材戦略の刷新が必要となりました。特に、デジタル人材の確保や、新しいビジネスモデルに適応できる人材の育成が急務となっていました。
また、多店舗展開による組織の複雑化に伴い、本社と現場のコミュニケーションギャップも課題となっていました。このような背景から、2018年頃からHRBP制度の導入を開始しました。
具体的な取り組み
カインズのHRBP導入における主な取り組みは以下の通りです:
- エリアHRBPの配置:全国の店舗を複数のエリアに分け、各エリアにHRBPを配置。現場の課題をより深く理解し、適切な支援を行う体制を構築。
- 人材ポートフォリオ管理の導入:HRBPが中心となり、各部門の人材構成や
スキルセットを分析し、最適な人材配置と育成計画を立案。
- デジタル人材育成プログラムの展開:HRBPが中心となり、既存社員のデジタルスキル向上のための教育プログラムを企画・実施。
- 評価制度の改革:HRBPが各部門の特性を考慮した評価指標を設定し、より公平で効果的な評価制度を構築。
- 従業員エンゲージメント向上施策の実施:定期的な従業員サーベイの実施と、結果に基づく改善策の立案・実行をHRBPが主導。
得られた成果
HRBPの導入により、カインズは以下のような成果を得ることができました:
- 現場と本社の連携強化:エリアHRBPの存在により、現場の声がより迅速かつ正確に本社に伝わるようになった。
- デジタル人材の育成加速:既存社員のデジタルスキル向上により、オムニチャネル戦略の推進が加速。
- 従業員満足度の向上:きめ細かい人材施策により、従業員の定着率が向上。
- 人材配置の最適化:人材ポートフォリオ管理により、適材適所の配置が促進され、組織全体の生産性が向上。
- 評価制度の納得性向上:部門特性を考慮した評価指標の導入により、従業員の評価制度に対する納得性が向上。
株式会社ディー・エヌ・エーの事例
ゲーム事業を中心に多角的な事業展開を行うDeNAは、事業の多様化に対応するためHRBPを導入しました。その取り組みと成果を見ていきましょう。
導入の背景
DeNAは、モバイルゲーム事業を核としながら、スポーツ事業、ヘルスケア事業、自動運転事業など、多様な分野に事業を拡大していました。この事業の多角化に伴い、各事業領域に特化した人材戦略の必要性が高まっていました。
また、急速な成長と組織の拡大により、従来の中央集権的な人事管理では、各事業部門の特性やニーズに柔軟に対応することが難しくなっていました。このような背景から、2016年頃からHRBP制度の本格的な導入を開始しました。
具体的な取り組み
DeNAのHRBP導入における主な取り組みは以下の通りです:
- 事業領域別HRBP体制の構築:ゲーム、スポーツ、ヘルスケアなど、主要な事業領域ごとにHRBPを配置。各事業の特性を深く理解したHRBPが、事業戦略に沿った人材戦略を立案・実行。
- HRBPのスキル開発プログラムの実施:ビジネス理解力、データ分析能力、コンサルティングスキルなど、HRBPに必要なスキルを体系的に育成するプログラムを導入。
- 人材データプラットフォームの構築:各事業部門の人材データを一元管理し、HRBPがリアルタイムでデータにアクセスできる環境を整備。これにより、データドリブンな意思決定を促進。
- アジャイル型人事施策の導入:HRBPが中心となり、各事業部門のニーズに応じて迅速に人事施策を立案・実行し、その効果を測定・改善するサイクルを確立。
- クロスファンクショナルな人材育成:HRBPが中心となり、異なる事業領域間での人材交流プログラムを企画・実施。これにより、組織全体の知見の共有と革新的なアイデアの創出を促進。
得られた成果
HRBPの導入により、DeNAは以下のような成果を得ることができました:
- 事業特性に応じた人材戦略の実現:各事業領域の特性やフェーズに合わせた、きめ細かい人材施策の実施が可能になった。これにより、事業の成長速度に人材面で柔軟に対応できるようになった。
- イノベーション創出の加速:クロスファンクショナルな人材交流により、異なる事業領域の知見が融合し、新たなビジネスアイデアの創出が促進された。
- 人材獲得力の強化:事業への深い理解を持つHRBPが採用活動に関与することで、各事業に最適な人材の獲得が可能になった。特に、新規事業領域における専門人材の採用において大きな効果が見られた。
- 従業員エンゲージメントの向上:事業特性を考慮したきめ細かい人材施策により、従業員の満足度と定着率が向上。特に、高度専門人材の定着率改善に顕著な効果が見られた。
- 経営層の意思決定サポート強化:HRBPが人材の観点から経営会議に参画することで、より戦略的な意思決定が可能になった。例えば、新規事業立ち上げの際の人材面でのリスクと機会の評価が、より精緻に行えるようになった。
- 組織の柔軟性向上:アジャイル型の人事施策導入により、急速に変化するビジネス環境や従業員のニーズに、より迅速に対応できるようになった。
これらの事例から、HRBPの導入が単なる人事部門の改革にとどまらず、組織全体の競争力強化につながる可能性が高いことがわかります。特に、事業の多角化や急速な成長を遂げている企業、そしてイノベーション創出が重要な企業にとって、HRBP導入の効果は大きいと言えるでしょう。
ただし、これらの成功事例に共通するのは、HRBPの役割を明確に定義し、必要な権限を与え、そしてHRBP自身のスキル開発にも注力している点です。HRBP導入を検討する企業は、単に制度を導入するだけでなく、組織全体でHRBPを支援し、育成する体制を整えることが重要です。
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まとめ
HRBPは、人事部門と事業部門をつなぎ、経営戦略と人材戦略を融合させる重要な役割を担っています。急速に変化するビジネス環境において、HRBPの導入は組織の競争力強化と持続的成長に大きく貢献する可能性があります。
成功事例から学べる重要なポイントは、HRBPの役割を明確に定義し、必要な権限と資源を与え、継続的なスキル開発を支援することです。また、データ分析能力の強化や、アジャイルな人事施策の導入など、新しいアプローチを積極的に取り入れることも重要です。
HRBPの導入は、組織全体の変革を伴う大きなチャレンジですが、その効果を最大化するためには、経営陣のコミットメントと、全社的な理解と協力が不可欠です。人材を最も重要な経営資源と位置付け、HRBPを通じて戦略的に活用することで、企業は新たな成長の機会を見出すことができるでしょう。
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