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こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。出向とは、従業員を一定期間、他の会社で働かせる人事制度のこと。企業にとって、人材育成や事業戦略上のメリットをもたらす一方で、法的・労務的な注意点も存在します。本記事では、出向の基本的な定義から種類、メリット・デメリット、そして円滑な運用のためのポイントまで、採用担当者として知っておくべき情報を網羅的に解説します。
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出向とは?基本的な定義とその意義
出向とは、簡単に言えば、自社の従業員を一定期間、他の会社で働いてもらう制度のことです。しかし、ただ単に「他の会社で働く」というだけではありません。出向には、企業側・従業員側双方にとって様々な意味や目的があり、その背景には日本の雇用慣行や経済状況が深く関わっています。
出向の定義を詳しく見ていくと、まず前提として、従業員と元の会社との雇用関係は維持されたまま、という点が重要です。つまり、給与の支払いなど、雇用主としての責任は元の会社が負い続けることになります。
では、なぜこのような制度が存在するのでしょうか?それは、企業にとって、人材の有効活用や事業戦略上のメリットがあるからです。例えば、新規事業の立ち上げや、特定のプロジェクトに必要な専門知識・スキルを持つ人材を確保するために、出向という手段が用いられることがあります。
また、従業員側にとっても、新しい環境で経験を積むことで、スキルアップやキャリアアップにつながる可能性があります。
出向は、企業と従業員、そして出向先の企業、三者にとってメリットをもたらす可能性を秘めた制度と言えるでしょう。
出向の基本的な定義
出向の定義をより具体的に見ていきましょう。労働基準法などの法律には「出向」という言葉の明確な定義はありません。しかし、一般的には、以下の3つの要素を満たす場合に出向とみなされます。
- 元の会社との雇用関係が継続していること: 出向中は、従業員は元の会社との雇用契約を維持したまま、一時的に他の会社で働くことになります。
- 元の会社の指揮命令下から離れること: 出向中は、従業員は出向先の会社の指揮命令に従って業務を行うことになります。
- 一定期間が定められていること: 出向は、原則として一定期間が定められており、その期間が終了すると元の会社に戻ることになります。
これらの要素を満たさない場合、例えば、元の会社を退職して他の会社に転職する場合は、出向とはみなされません。
出向は、企業にとって、人材の有効活用や事業戦略上のメリットがある一方で、従業員側にとっても、新しい環境で経験を積むことで、スキルアップやキャリアアップにつながる可能性があります。
出向の歴史と背景
出向という制度は、いつ頃から、どのような背景で生まれたのでしょうか?その歴史を紐解くと、日本の高度経済成長期にまで遡ります。
高度経済成長期、日本企業は急速な事業拡大を続け、それに伴い、人材の需要も高まりました。しかし、当時は終身雇用制度が一般的であり、従業員を簡単に解雇することは困難でした。そこで、企業は、余剰人員を抱える部門から、人材不足の部門や関連会社へ従業員を一時的に派遣する、という方法を取り始めました。これが、出向の始まりと言われています。
その後、バブル経済の崩壊やグローバル化の進展など、経済環境の変化に伴い、出向の目的や形態も多様化してきました。近年では、企業の事業再編やリストラの一環として出向が行われるケースも増えています。
このように、出向は、時代の変化とともに、その役割や意義を変化させてきました。そして、現代においても、企業にとって重要な人事戦略の一つとして位置づけられています。
出向が注目される理由
現代において、出向が改めて注目されている背景には、どのような理由があるのでしょうか?
まず挙げられるのは、働き方の多様化です。従来の終身雇用制度が崩壊しつつある中、企業は、従業員のキャリア形成やスキルアップを支援する必要性に迫られています。出向は、従業員に新たな経験や知識を得る機会を提供することで、人材育成に貢献することができます。
また、グローバル競争の激化も、出向を促進する要因の一つです。海外進出やM&Aなど、企業のグローバル戦略において、現地の文化やビジネス慣習に精通した人材の育成は不可欠です。海外子会社への出向は、グローバル人材の育成に効果的な手段と言えるでしょう。
さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速も、出向の重要性を高めています。DXを推進するためには、ITスキルを持つ人材の確保が急務です。IT企業への出向は、従業員のITスキル向上に繋がり、企業のDX推進を加速させる可能性を秘めています。
このように、現代社会における様々な変化が、出向という制度の重要性を改めて浮き彫りにしています。
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出向の種類とそれぞれの特徴
出向には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴や目的が異なります。ここでは、代表的な出向の種類とその違いについて詳しく解説します。大きく分けると、在籍出向と転籍出向の2つがあり、それぞれ従業員の身分や雇用関係に違いがあります。
出向の種類 | 雇用関係 | 給与の支払い | 社会保険 | 指揮命令権 |
在籍出向 | 元の会社と雇用関係を維持 | 元の会社が支払う | 元の会社の社会保険に加入 | 出向先企業 |
転籍出向 | 元の会社を退職し、出向先企業と雇用関係を結ぶ | 出向先企業が支払う | 出向先企業の社会保険に加入 | 出向先企業 |
上記は、在籍出向と転籍出向の違いを簡潔にまとめた表です。それぞれの詳細については、以下のセクションで詳しく解説します。
在籍出向の定義
在籍出向とは、従業員が元の会社との雇用関係を維持したまま、一時的に他の会社で働く出向形態です。給与の支払い、社会保険の加入など、雇用主としての責任は元の会社が負い続けます。
在籍出向は、従業員にとって、元の会社とのつながりを保ちながら、新しい環境で経験を積むことができるというメリットがあります。また、企業にとっても、従業員のキャリアアップを支援し、人材の流動性を高めることができるというメリットがあります。
在籍出向は、一般的に、以下のような場合に利用されます。
- グループ会社間の人材交流: グループ会社間で人材を交流させることで、グループ全体の活性化を図る。
- 新規事業の立ち上げ: 新規事業に必要な人材を、既存の従業員の中から選抜し、出向させることで、事業の立ち上げをスムーズに行う。
- 特定のプロジェクトへの参加: 特定のプロジェクトに必要な専門知識やスキルを持つ従業員を、出向させることで、プロジェクトの成功を支援する。
在籍出向は、従業員と企業双方にとってメリットのある制度と言えるでしょう。
転籍出向の定義
転籍出向とは、従業員が元の会社を退職し、出向先企業と新たに雇用契約を結ぶ出向形態です。給与の支払い、社会保険の加入など、雇用主としての責任は出向先企業が負います。
転籍出向は、従業員にとって、新しい会社でキャリアを築くことができるというメリットがあります。また、企業にとっても、人件費の削減や事業構造の改革を図ることができるというメリットがあります。
転籍出向は、一般的に、以下のような場合に利用されます。
- 事業の譲渡・統合: 事業の譲渡や統合に伴い、従業員を出向先企業に転籍させる。
- リストラ: 経営状況の悪化などにより、人員削減を行う際に、従業員を出向先企業に転籍させる。
- 子会社への出向: 子会社の人材を強化するために、親会社の従業員を子会社に転籍させる。
転籍出向は、企業の経営戦略上、重要な役割を果たすことがあります。
その他の出向形態
在籍出向と転籍出向以外にも、様々な出向形態が存在します。ここでは、代表的なものとして、出向受入と派遣について解説します。
出向受入とは、自社が他の会社から従業員を受け入れることです。受け入れた従業員は、自社の指揮命令下で業務を行います。出向受入は、人材不足を解消したり、外部のノウハウを取り入れたりする際に有効な手段となります。
派遣とは、派遣会社に登録している従業員を、一定期間、自社の指揮命令下で働いてもらう制度です。派遣は、一時的な人材不足を解消したり、専門的なスキルを持つ人材を確保したりする際に利用されます。
出向と派遣は、どちらも外部から人材を確保する手段ですが、雇用関係や指揮命令系統などが異なります。それぞれの違いを理解し、自社の状況に合わせて適切な方法を選択することが重要です。
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出向のメリットとデメリット
出向は、企業、出向先企業、そして出向者それぞれにメリットとデメリットがあります。ここでは、それぞれの立場におけるメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
出向元企業のメリットとデメリット
メリット
- 人件費の削減: 出向中は、出向先企業が給与を負担する場合があるため、人件費を削減できる可能性があります。
- 人材育成: 出向を通じて、従業員は新しいスキルや知識を習得し、キャリアアップを図ることができます。
- 事業の効率化: 余剰人員を有効活用することで、事業の効率化を図ることができます。
- 関係会社との連携強化: グループ会社への出向を通じて、関係会社との連携を強化することができます。
デメリット
- 人材流出のリスク: 出向先企業で活躍した従業員が、そのまま転職してしまうリスクがあります。
- ノウハウの流出: 重要なノウハウを持つ従業員が出向することで、ノウハウが流出してしまうリスクがあります。
- コミュニケーション不足: 出向中は、従業員とのコミュニケーションが不足し、モチベーションが低下する可能性があります。
- 出向に伴う費用: 出向に伴う手続きや研修費用など、一定の費用が発生する可能性があります。
出向先企業のメリットとデメリット
メリット
- 即戦力の確保: 経験豊富な人材を即戦力として確保することができます。
- 人材育成コストの削減: 育成済みの従業員を受け入れるため、人材育成コストを削減することができます。
- 新しい視点の導入: 外部からの視点を取り入れることで、組織の活性化を図ることができます。
- 特定のスキル・知識の獲得: 特定のスキルや知識を持つ人材を確保することができます。
デメリット
- 企業文化とのミスマッチ: 出向者の企業文化とのミスマッチが生じる可能性があります。
- コミュニケーションの難しさ: 出向者とのコミュニケーションに苦労する可能性があります。
- 期間の制限: 出向期間が限られているため、長期的な視点での人材活用が難しい場合があります。
- 受け入れに伴う費用: 出向者の受け入れに伴う費用が発生する可能性があります。
出向者のメリットとデメリット
メリット
- スキルアップ・キャリアアップ: 新しい環境で経験を積むことで、スキルアップやキャリアアップを図ることができます。
- 人脈の拡大: 新しい人脈を築くことができます。
- 視野の拡大: 異なる企業文化に触れることで、視野を広げることができます。
- 新しい仕事への挑戦: 新しい仕事に挑戦する機会を得ることができます。
デメリット
- 元の会社との関係の変化: 元の会社との関係が希薄になる可能性があります。
- 新しい環境への適応: 新しい環境に適応するまでに時間がかかる場合があります。
- キャリアパスへの不安: 出向後のキャリアパスに不安を感じる場合があります。
- 給与・待遇の変化: 給与や待遇が変わる可能性があります。
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出向に関する法的な注意点
出向は、企業にとって有効な人事戦略の一つですが、一方で、法的な注意点も数多く存在します。ここでは、出向に関する法律や、労働契約、給与・福利厚生など、注意すべきポイントを解説します。
出向命令に関する法律
労働基準法には、出向に関する明確な規定はありません。しかし、判例などから、出向を命じるためには、以下の要件を満たす必要があるとされています。
- 業務上の必要性があること: 出向は、企業の業務上の必要性に基づいて行われなければなりません。
- 従業員の不利益にならないこと: 出向は、従業員にとって不利益にならないように配慮しなければなりません。
- 従業員の同意を得ること: 原則として、従業員の同意を得なければなりません。
これらの要件を満たさない場合、出向命令は無効となる可能性があります。
労働契約とその取り扱い
出向中は、従業員と元の会社との労働契約は継続します。そのため、労働条件の変更などを行う場合は、労働契約法に基づいて、従業員との合意が必要です。
特に、給与や勤務地などの重要な労働条件を変更する場合は、書面による合意が必要です。また、変更内容について、従業員に十分な説明を行う必要があります。
出向における給与と福利厚生
出向中の給与や福利厚生は、元の会社が負担するのが原則です。しかし、出向先企業が一部または全部を負担する場合もあります。
給与や福利厚生の取り扱いについては、事前に、元の会社、出向先企業、そして従業員の間で、明確な合意をしておくことが重要です。
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出向を円滑に進めるためのポイント
出向を成功させるためには、事前の準備や、出向中のフォローアップなど、様々な取り組みが必要です。ここでは、出向を円滑に進めるためのポイントを解説します。
出向計画の立案
出向を検討する際には、まず、出向の目的、期間、対象者などを明確にした計画を立てる必要があります。計画を立てる際には、以下の点を考慮することが重要です。
- 出向の目的: 出向を通じて、どのような成果を期待するのかを明確にする。
- 出向の期間: 出向期間は、どれくらいにするのかを決定する。
- 対象者の選定: 出向に適した人材を選定する。
- 出向先企業の選定: 出向先の企業を選定する際には、企業文化や業務内容などを考慮する。
- 費用対効果: 出向に伴う費用と期待される効果を比較検討する。
出向前の準備と手続き
出向が決まったら、出向前に、必要な準備や手続きを行う必要があります。具体的には、以下の点について、事前に確認しておくことが重要です。
- 労働条件の確認: 出向中の給与、勤務時間、休日などの労働条件を確認する。
- 社会保険の手続き: 社会保険の手続きを行う。
- 必要な研修: 出向前に、必要な研修を受講する。
- メンタルヘルス対策: 出向によるストレスへの対策を行う。
- 関係者への連絡: 出向に関する情報を、関係者に周知する。
出向中のフォローアップ
出向中は、従業員の状況を定期的に確認し、必要なフォローアップを行うことが重要です。具体的には、以下の点について、注意を払う必要があります。
- 定期的な面談: 従業員と定期的に面談を行い、状況を把握する。
- キャリアカウンセリング: 従業員のキャリアに関する相談に乗る。
- メンタルヘルスサポート: 従業員のメンタルヘルスをサポートする。
- トラブル発生時の対応: トラブルが発生した場合には、迅速に対応する。
- 帰任後のキャリアプラン: 帰任後のキャリアプランについて、事前に検討する。
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まとめ
出向は、企業にとって人材育成や事業戦略上のメリットをもたらす一方で、法的・労務的な注意点も存在します。本記事では、出向の基本的な定義から種類、メリット・デメリット、そして円滑な運用のためのポイントまで解説しました。出向を成功させるためには、事前の準備や、出向中のフォローアップなど、様々な取り組みが必要です。企業は、これらのポイントを踏まえ、出向制度を効果的に活用していくことが重要です。
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