みなし残業とは?企業が導入するメリットと注意点を解説

Offers HR Magazine編集部 2024年8月7日

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こんにちは。エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス「Offers(オファーズ)」のOffers HR Magazine編集部です。近年、働き方改革が推進される中で、改めて注目されているのが「みなし残業」制度です。適切に運用すれば、企業にとってメリットの多い制度となり得ますが、一方で、導入にあたっては法的な要件を満たす必要があり、注意すべき点もいくつか存在します。そこで今回は、採用担当者の方に向けて、みなし残業制度の概要から導入のメリット・デメリット、そして違法にならないための留意点まで、詳しく解説していきます。

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みなし残業とは?

「みなし残業」とは、あらかじめ一定の残業時間を労働時間とみなし、その分の残業代を給与に含めて支払う制度です。実際の残業時間に関わらず、固定の残業代が支払われるため、残業時間の管理や残業代計算の手間を簡略化できます。しかし、この制度は、従業員にとって不利にならないよう、適切な運用が求められます。

みなし残業の基本的な定義

みなし残業の基本的な定義は、労働基準法第37条に規定されています。この条文では、あらかじめ時間外労働、休日労働および深夜労働の時間数を定めて、これに対する割増賃金を含めて賃金が支払われている場合、その時間数の時間外労働、休日労働および深夜労働があったものとみなすとされています。

つまり、実際に働いた時間に関わらず、あらかじめ決められた時間分の残業代が支払われるということですね。この制度を導入することで、企業は残業時間の管理や残業代計算の手間を省くことができます。

固定残業代制とみなし労働時間制の違い

「みなし残業」と似た言葉に「固定残業代制」がありますが、実はこの二つは同じ意味で使われることが多いのです。厳密には、「固定残業代制」は、労働時間ではなく、残業代を固定で支払う制度を指します。

一方で、「みなし労働時間制」は、一定の時間を労働時間とみなす制度で、専門業務型裁量労働制や企画業務型裁量労働制などがこれに該当します。これらの違いを理解しておくことは、適切な制度運用を行う上で重要と言えるでしょう。ややこしいですが、覚えておくと役に立つかもしれません。

みなし残業の法的基準と要件

みなし残業を導入するためには、いくつかの法的要件を満たす必要があります。まず、雇用契約書や就業規則に、みなし残業に関する事項を明確に記載する必要があります。

具体的には、みなし残業時間数、残業代として支払われる金額、そして、みなし残業時間を超える部分の残業代についても明確に定める必要があります。また、実際の労働時間管理も適切に行う必要があり、労働時間の実態と乖離したみなし残業時間を設定することは認められません。これらの要件を満たしていない場合、違法となる可能性があるため、注意が必要です。

みなし残業を導入するメリット

みなし残業制度には、企業にとって様々なメリットがあります。特に、人件費管理の面や、従業員のモチベーション向上に繋がる可能性も秘めています。導入を検討する際には、これらのメリットをしっかりと理解しておくことが重要です。

残業代の計算の手間が省ける

みなし残業を導入することで、企業は残業時間の正確な把握や、それに基づいた残業代計算の手間を省くことができます。これは、特に従業員数の多い企業や、残業時間の変動が大きい企業にとって大きなメリットと言えるでしょう。

従来の残業代計算は、担当者にとって負担の大きい業務でしたが、みなし残業を導入することで、その負担を軽減し、他の業務に集中できる環境を整えることができます。結果として、業務効率の向上にも繋がる可能性があります。

人件費の見通しが立ちやすくなる

残業代が固定されることで、企業は人件費の見通しを立てやすくなります。これは、経営計画の策定や予算管理において非常に重要な要素です。特に、近年のような経済状況の変動が激しい時代においては、安定した人件費管理は企業の経営安定に大きく貢献します。また、人件費の見通しが立つことで、新たな事業への投資や従業員への福利厚生など、より戦略的な資金運用が可能になります。

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従業員の業務効率が上がる

みなし残業制度は、従業員の業務効率向上にも繋がると期待されています。残業代が固定されることで、従業員は時間管理の意識を高め、限られた時間の中で効率的に業務を遂行しようと努めるようになるからです。

また、残業時間が減れば、プライベートの時間も確保しやすくなり、ワークライフバランスの向上にも寄与する可能性があります。結果として、従業員のモチベーション向上や、離職率の低下にも繋がる可能性を秘めています。

従業員が安定した収入を得られる

みなし残業制度では、残業時間の多少に関わらず、一定の残業代が保証されます。そのため、従業員は安定した収入を得ることができ、生活設計を立てやすくなります。

特に、残業時間が変動しやすい職種においては、この安定収入は大きな安心感に繋がります。また、安定した収入は、従業員のモチベーション向上にも繋がり、より質の高い仕事に繋がる可能性も秘めています。

みなし残業を導入するデメリット

メリットの多いみなし残業制度ですが、一方で、導入にはいくつかのデメリットも存在します。これらのデメリットをしっかりと理解し、適切な対策を講じることで、従業員とのトラブルを未然に防ぐことができます。導入を検討する際には、メリットだけでなく、デメリットについても十分に検討することが重要です。

残業していなくても残業代の支払いが発生する

みなし残業制度では、実際の残業時間に関わらず、固定の残業代が支払われます。そのため、残業が少ない月でも、一定の残業代を支払う必要があり、企業にとってはコスト増となる可能性があります。

特に、残業時間の少ない従業員が多い企業にとっては、この点は大きなデメリットと言えるでしょう。導入前に、自社の残業時間の実態をしっかりと把握し、コスト面での影響をシミュレーションしておくことが重要です。

規定時間は残業しなければならないと誤解される可能性

みなし残業制度は、従業員によっては「規定時間までは残業しなければならない」と誤解される可能性があります。これは、従業員のモチベーション低下や、無駄な残業時間の発生に繋がる可能性があるため、注意が必要です。

導入時には、制度の内容について従業員にしっかりと説明し、誤解が生じないようにすることが重要です。また、定期的な面談などを通じて、従業員の意見を聞き取り、制度の改善に努めることも大切です。

サービス残業の促進を招くリスク

みなし残業時間を超える残業が発生した場合、その分の残業代を支払わなければならないにもかかわらず、支払われないケースも存在します。これは、いわゆる「サービス残業」であり、違法行為です。

みなし残業制度は、サービス残業を助長するリスクがあるため、企業は労働時間の適切な管理と、超過分の残業代を確実に支払う体制を整える必要があります。また、従業員からの相談窓口を設置するなど、サービス残業を防止するための対策を講じることも重要です。

みなし残業で違法になるケース

みなし残業制度は、適切に運用されなければ違法となる可能性があります。違法と判断されるケースには、いくつかのパターンが存在します。これらのパターンを理解し、自社の制度が違法にならないよう、注意深く運用することが重要です。

雇用契約書・就業規則に必要事項の記載がない

みなし残業制度を導入する場合、雇用契約書や就業規則に、みなし残業時間数、残業代として支払われる金額、そして、みなし残業時間を超える部分の残業代について明確に記載する必要があります。

これらの記載がない場合、違法と判断される可能性があります。また、記載内容が曖昧であったり、実態と乖離している場合も問題となります。そのため、導入前に、専門家の意見を参考にしながら、適切な記載内容を検討することが重要です。

従業員の労働時間を正しく管理・把握できていない

みなし残業制度を導入する場合でも、従業員の労働時間を正しく管理・把握する義務があります。労働時間の実態と乖離したみなし残業時間を設定することは認められません。

そのため、タイムカードや勤怠管理システムなどを活用し、正確な労働時間の把握に努める必要があります。また、定期的に労働時間の状況を確認し、必要に応じてみなし残業時間の調整を行うことも重要です。

基本給が最低賃金を下回っている

みなし残業代を含めた賃金が、最低賃金を下回っている場合、違法となります。最低賃金は、地域や業種によって異なるため、最新の情報を常に確認しておく必要があります。

また、最低賃金は定期的に改定されるため、定期的に最低賃金を下回っていないか確認することが重要です。最低賃金を下回っている場合は、速やかに賃金を引き上げる必要があります。

時間超過分の残業代が支払われていない

みなし残業時間を超える残業が発生した場合、その分の残業代を支払う必要があります。これを怠ると、違法となります。

みなし残業時間を超える残業が発生した場合は、正確な残業時間を把握し、法定の割増賃金を計算して支払う必要があります。また、従業員に超過分の残業代を請求する権利があることを周知しておくことも重要です。

みなし残業を導入する際の留意点

みなし残業制度を導入する際には、法的な要件を満たすだけでなく、従業員との信頼関係を構築するためにも、いくつかの留意点があります。これらの留意点を踏まえ、適切な制度設計と運用を行うことで、従業員のモチベーション向上や、企業の生産性向上に繋げることができます。

求人広告への表記の仕方

みなし残業制度を採用している場合、求人広告にその旨を明記する必要があります。具体的には、みなし残業時間数、残業代として支払われる金額、そして、みなし残業時間を超える部分の残業代について、わかりやすく記載する必要があります。曖昧な表現や、誤解を招くような表現は避け、求職者が制度の内容を正しく理解できるように配慮することが重要です。

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みなし残業代の設定方法

みなし残業代は、職種や業務内容、そして、想定される残業時間などを考慮して、適切に設定する必要があります。あまりにも低い金額を設定すると、従業員のモチベーション低下や、違法となる可能性があります。

また、高すぎる金額を設定すると、企業にとって大きな負担となります。そのため、導入前に、過去の残業時間データなどを参考にしながら、適切な金額を慎重に検討することが重要です。

雇用契約書・就業規則に明記すべきポイント

雇用契約書や就業規則には、みなし残業に関する事項を詳細に明記する必要があります。具体的には、みなし残業時間数、残業代として支払われる金額、そして、みなし残業時間を超える部分の残業代の計算方法などを明確に記載する必要があります。

また、制度の変更に関する手続きや、従業員からの問い合わせ窓口なども明記しておくことが重要です。

給与明細への記載内容

給与明細には、みなし残業代として支払われた金額を明確に記載する必要があります。また、みなし残業時間数や、超過分の残業代が発生した場合には、その金額も明記する必要があります。

従業員が自身の給与の内訳を理解できるように、わかりやすく記載することが重要です。また、給与明細に関する質問や疑問に対応できる窓口を設けることも大切です。

まとめ

みなし残業制度は、適切に運用すれば、企業にとってメリットの多い制度ですが、導入には注意すべき点もいくつか存在します。法的な要件を満たすことはもちろんのこと、従業員との信頼関係を構築するためにも、制度の内容についてしっかりと説明し、理解を得ることが重要です。また、定期的に制度の見直しを行い、時代に合わせた柔軟な運用を心がけることも大切です。みなし残業制度を導入する際には、この記事で解説した内容を参考に、適切な制度設計と運用を行い、従業員と企業双方にとってwin-winな関係を築けるよう努めていきましょう。

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