ジョブ型とメンバーシップ型の違いとは?メリットとデメリットを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年8月22日

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目次

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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、企業の人材活用において対照的な考え方を持つ雇用形態です。両者の違いを理解することは、組織の効率性と従業員の満足度を向上させる上で非常に重要です。それぞれの特徴や具体的な違いを詳しく見ていきましょう。

ジョブ型雇用の特徴

ジョブ型雇用は、欧米を中心に広く採用されている雇用形態です。この制度では、特定の職務や役割に基づいて従業員を雇用し、評価します。ジョブ型雇用の主な特徴は以下の通りです。

職務内容が明確に定義されていることがジョブ型雇用の最大の特徴です。採用時点で、その職位に必要なスキルや責任範囲が明確に示されます。これにより、従業員は自身の役割と期待される成果を明確に理解できます。

また、ジョブ型雇用では、能力と成果に基づく評価が行われます。職務遂行能力や業績に応じて報酬が決定されるため、個人の努力が直接的に評価に反映されやすい仕組みとなっています。

さらに、ジョブ型雇用では、専門性の向上が重視されます。特定の職務に特化した経験を積むことで、その分野のエキスパートとしてのキャリアを築くことができます。

加えて、ジョブ型雇用では、外部労働市場との連動性が高いという特徴があります。職務内容が明確であるため、他社での同様の職位との比較が容易であり、転職市場での流動性が高くなる傾向があります。

このような特徴を持つジョブ型雇用は、グローバル化が進む現代の企業環境において、柔軟な人材活用を可能にする雇用形態として注目を集めています。

メンバーシップ型雇用の特徴

一方、メンバーシップ型雇用は、日本の多くの企業で伝統的に採用されてきた雇用形態です。この制度では、個人の能力や適性よりも、組織への帰属意識や長期的な貢献を重視します。メンバーシップ型雇用の主な特徴は以下の通りです。

長期的な雇用関係を前提としているのが、メンバーシップ型雇用の最大の特徴です。新卒一括採用や終身雇用制度と密接に関連しており、従業員は入社後、長期にわたって同じ企業で働くことが期待されます。

また、メンバーシップ型雇用では、ジョブローテーションが一般的です。従業員は様々な部署や職務を経験することで、幅広いスキルと会社全体の業務知識を身につけることができます。これにより、将来の管理職候補を育成する狙いもあります。

さらに、メンバーシップ型雇用では、年功序列の要素が強く反映されます。勤続年数や年齢に応じて給与や役職が上がっていく傾向があり、長期的な視点での人材育成が行われます。

加えて、メンバーシップ型雇用では、企業文化や価値観の共有が重視されます。従業員は会社の一員として、組織の理念や目標を深く理解し、それに基づいて行動することが求められます。

このようなメンバーシップ型雇用は、従業員の忠誠心や帰属意識を高め、安定した労働力を確保する上で効果的な雇用形態として機能してきました。

具体的な違いの比較

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いをより明確にするため、具体的な比較を行います。以下の表は、両者の主要な特徴を対比したものです。

項目

ジョブ型雇用

メンバーシップ型雇用

採用基準

特定の職務に必要なスキルと経験

潜在能力と組織への適合性

職務範囲

明確に定義された特定の役割

柔軟で広範囲な職務

キャリアパス

専門性を活かした垂直的な昇進

幅広い経験を積む水平的な異動

評価基準

職務遂行能力と成果

勤続年数と総合的な貢献度

報酬体系

職務や成果に基づく

年功序列と職能給の要素が強い

雇用の流動性

比較的高い

比較的低い

教育訓練

職務に特化した専門的なトレーニング

総合的な社内研修プログラム

組織構造

フラットで柔軟性が高い

ピラミッド型の階層構造

この表から分かるように、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、採用から評価、キャリア形成に至るまで、多くの点で異なるアプローチを取っています。

ジョブ型雇用では、個人の専門性と成果が重視されます。そのため、特定の職務に対する高い能力と実績が求められ、それに応じた評価と報酬が提供されます。一方で、メンバーシップ型雇用では、組織への適合性と長期的な貢献が重視されます。幅広い経験を通じて会社全体を理解し、将来的に組織の中核を担う人材の育成が目指されます。

これらの違いは、企業の人材戦略や組織文化に大きな影響を与えます。ジョブ型雇用は、専門性の高い人材を効率的に活用し、市場の変化に柔軟に対応することができます。一方、メンバーシップ型雇用は、長期的な視点での人材育成と、強い組織の一体感を生み出すことができます。

企業は、自社の経営戦略や事業環境に応じて、これらの雇用形態のバランスを考慮し、最適な人材活用方法を選択する必要があります。次のセクションでは、それぞれの雇用形態のメリットとデメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

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ジョブ型雇用のメリット・デメリット

ジョブ型雇用は、グローバル化が進む現代のビジネス環境において、多くの企業が注目する雇用形態です。しかし、この制度にはメリットとデメリットの両面があります。ここでは、ジョブ型雇用の利点と課題について、企業と従業員の両方の視点から詳しく解説します。

ジョブ型雇用のメリット

ジョブ型雇用には、以下のようなメリットがあります。

  1. 専門性の向上

ジョブ型雇用では、特定の職務に焦点を当てるため、その分野における専門性を高めやすい環境が整っています。従業員は自身の担当業務に集中することで、短期間で高度なスキルを習得し、エキスパートとしての地位を確立することができます。

2.明確な評価基準

職務内容が明確に定義されているため、評価基準も明確になります。これにより、公平で透明性の高い評価システムを構築することが可能です。従業員は自身の成果が直接的に評価に反映されることを実感でき、モチベーションの向上につながります。

3.人材の流動性向上

ジョブ型雇用では、職務内容が明確であるため、他社との比較が容易になります。これにより、労働市場の流動性が高まり、適材適所の人材配置が促進されます。企業にとっては必要な人材を柔軟に確保できるメリットがあります。

4.グローバル人材の活用

職務に基づく雇用形態は国際的に一般的であるため、外国人材の採用や国際的な人材交流が容易になります。グローバル展開を目指す企業にとっては、この点が大きなメリットとなります。

5.組織の柔軟性向上

ジョブ型雇用では、必要な職務に応じて人材を柔軟に配置できるため、組織の変化に迅速に対応することが可能です。市場環境の変化が激しい現代のビジネス環境において、この柔軟性は重要な競争力となります。

これらのメリットにより、ジョブ型雇用は多くの企業にとって魅力的な選択肢となっています。特に、専門性が高い職種や、グローバル展開を目指す企業において、その効果を発揮しやすいと言えるでしょう。

ジョブ型雇用のデメリット

一方で、ジョブ型雇用には以下のようなデメリットも存在します。

  1. 組織全体の視点の欠如

特定の職務に特化するため、会社全体の業務フローや他部署との連携について理解が不足する可能性があります。これにより、部門間の連携や全社的な戦略の実行に支障が出る可能性があります。

2.長期的な人材育成の難しさ

ジョブ型雇用では、即戦力となる人材を外部から調達することが多くなります。そのため、長期的な視点での人材育成が疎かになるリスクがあります。将来の経営幹部の育成などでは課題が生じる可能性があります。

3.雇用の不安定性

職務に基づく雇用のため、その職務が不要になった場合、雇用の継続が難しくなる可能性があります。これにより、従業員の雇用不安が高まることがあります。

4.コストの増加

専門性の高い人材を外部から採用する場合、高額な報酬が必要となることがあります。また、頻繁な人材の入れ替わりにより、採用や教育のコストが増加する可能性があります。

5.組織の一体感の希薄化

個々の職務に焦点が当たるため、組織全体としての一体感や帰属意識が薄れる可能性があります。これにより、従業員の長期的なコミットメントを得ることが難しくなる場合があります。

これらのデメリットは、ジョブ型雇用を導入する際に慎重に考慮する必要がある点です。特に、日本の企業文化に根付いてきた長期的な人材育成や組織の一体感を重視する企業にとっては、大きな課題となる可能性があります。

企業側の視点から見るメリット・デメリット

企業側の視点から見ると、ジョブ型雇用のメリットとデメリットは以下のようにまとめられます。

メリット:

  1. 必要な人材を柔軟に確保できる
  2. 専門性の高い人材を効率的に活用できる
  3. グローバル展開がしやすい
  4. 市場の変化に迅速に対応できる
  5. 成果主義の導入がしやすい

デメリット:

  1. 長期的な人材育成が難しい
  2. 部門間の連携が取りにくくなる可能性がある
  3. 人材の流動性が高まり、ノウハウの流出リスクが高まる
  4. 採用コストが増加する可能性がある
  5. 組織の一体感を醸成しにくい

企業は、これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、自社の経営戦略や事業環境に応じて、ジョブ型雇用の導入を検討する必要があります。特に、グローバル競争力の強化や専門性の高い人材の活用を目指す企業にとっては、ジョブ型雇用は有効な選択肢となるでしょう。

一方で、長期的な人材育成や組織の一体感を重視する企業にとっては、ジョブ型雇用の導入にはリスクも伴います。これらの企業は、ジョブ型とメンバーシップ型のハイブリッド型の採用や、段階的な導入など、慎重なアプローチが求められるでしょう。

次のセクションでは、メンバーシップ型雇用のメリットとデメリットについて詳しく見ていきます。両者の特徴を比較することで、自社に適した雇用形態を選択する上での重要な視点が得られるはずです。

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メンバーシップ型雇用のメリット・デメリット

メンバーシップ型雇用は、日本の企業文化に深く根付いた雇用形態です。この制度には、長年の実践を通じて培われた独自の強みがある一方で、現代のビジネス環境においては課題も指摘されています。ここでは、メンバーシップ型雇用のメリットとデメリットを詳細に分析し、企業にとっての意義を考察します。

メンバーシップ型雇用のメリット

メンバーシップ型雇用には、以下のようなメリットがあります。

  1. 長期的な人材育成

    メンバーシップ型雇用の最大の強みは、長期的な視点での人材育成が可能な点です。新卒採用から始まり、長年にわたる社内教育を通じて、企業文化や業務ノウハウを深く理解した人材を育成できます。これにより、将来の経営幹部候補を社内で育成することが可能となります。

  2. 強い組織の一体感

    長期雇用を前提とするため、従業員の帰属意識や忠誠心が高まりやすい傾向があります。この強い組織の一体感は、困難な状況下での結束力や、長期的なプロジェクトへの取り組みに大きな力を発揮します

  3. 幅広い業務経験

    ジョブローテーションを通じて、従業員は様々な部署や職務を経験します。これにより、会社全体の業務フローを理解し、多角的な視点を持つ人材を育成することができます。この幅広い知識は、将来の管理職としての素養を養う上で非常に有効です。

  4. 安定した労働力の確保

    長期雇用を前提とするため、企業は安定した労働力を確保できます。特に、景気変動の影響を受けにくい雇用形態であるため、長期的な事業計画を立てやすい環境が整います

  5. 暗黙知の蓄積と伝承

    長年にわたる業務経験を通じて、従業員は文書化されていない暗黙知を蓄積します。このような知識やノウハウは、長期的な人間関係を通じて次世代に伝承されていきます。これは、企業の競争力の源泉となる重要な無形資産です。

これらのメリットにより、メンバーシップ型雇用は日本企業の強みを支える重要な基盤となってきました。特に、長期的な視点での事業展開や、きめ細やかな顧客サービスを重視する業界において、その効果を発揮してきたと言えるでしょう。

メンバーシップ型雇用のデメリット

一方で、メンバーシップ型雇用には以下のようなデメリットも存在します。

  1. 人材の流動性の低さ

    長期雇用を前提とするため、外部からの人材登用が限られます。これにより、新しい知識や技術の導入が遅れる可能性があります。また、従業員にとっても、キャリアの選択肢が限定されるという課題があります。

  2. 年功序列による非効率

    勤続年数や年齢に応じて給与や役職が上がる傾向があるため、必ずしも能力や成果に見合った処遇になっていない場合があります。これは、若手社員のモチベーション低下や、組織の新陳代謝の停滞につながる可能性があります。

  3. 専門性の欠如

    幅広い業務を経験することで、全体的な視野は養われますが、特定の分野における深い専門性を身につけることが難しくなる場合があります。グローバル競争が激化する中、この点が課題となることがあります。

  4. 環境変化への対応の遅れ

    長期的な雇用関係を前提とするため、急激な市場環境の変化に対して、迅速な人員配置や組織の再編が難しい場合があります。この点は、変化の速い現代のビジネス環境において、大きな課題となっています。

  5. コストの増大

    長期雇用を維持するため、景気後退時にも一定の人件費を負担する必要があります。また、年功序列型の賃金体系により、組織の高齢化とともに人件費が増大する傾向があります

これらのデメリットは、特にグローバル競争が激化し、急速な技術革新が進む現代のビジネス環境において、大きな課題となっています。多くの日本企業が、これらの課題に対応するため、メンバーシップ型雇用の見直しや改革を進めています。

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企業側の視点から見るメリット・デメリット

企業側の視点から見ると、メンバーシップ型雇用のメリットとデメリットは以下のようにまとめられます。

メリット:

  1. 長期的な視点での人材育成が可能
  2. 強い組織の一体感と忠誠心の醸成
  3. 会社全体を理解した多角的な視点を持つ人材の育成
  4. 安定した労働力の確保
  5. 企業固有の暗黙知の蓄積と伝承

デメリット:

  1. 新しい知識や技術の導入が遅れる可能性
  2. 年功序列による非効率的な人事・給与体系
  3. 特定分野における深い専門性の育成が難しい
  4. 急激な環境変化への対応が遅れる可能性
  5. 長期的な人件費の増大リスク

企業は、これらのメリットとデメリットを十分に理解した上で、自社の経営戦略や事業環境に応じて、メンバーシップ型雇用の維持や改革を検討する必要があります。特に、長期的な顧客関係や、企業固有の技術やノウハウが重要な産業においては、メンバーシップ型雇用の利点を活かすことで、競争優位性を維持できる可能性があります。

一方で、急速な技術革新や市場変化に直面している業界では、メンバーシップ型雇用の課題が顕在化しやすいと言えるでしょう。これらの企業では、ジョブ型要素の導入や、評価制度の見直しなど、柔軟な対応が求められます。

次のセクションでは、ジョブ型雇用の導入事例について詳しく見ていきます。先進的な取り組みを行っている企業の事例を分析することで、自社にとって最適な雇用形態を検討する上での参考になるはずです。

ジョブ型雇用の導入事例

ジョブ型雇用の導入は、多くの日本企業にとって大きな変革を意味します。ここでは、ジョブ型雇用を導入した企業の成功事例と失敗事例を分析し、効果的な導入のためのステップを考察します。これらの事例から学ぶことで、自社への導入を検討する際の重要な洞察が得られるでしょう。

成功事例の紹介

  1. ソニー株式会社

    ソニーは2020年度から、管理職を対象にジョブ型雇用を導入しました。この取り組みにより、社内公募制度を活性化し、適材適所の人材配置を実現しています。また、外部からの専門人材の採用も容易になり、イノベーションの促進につながっています。

    具体的な成果として、以下の点が挙げられます: - 社内公募ポストへの応募者が前年比2倍に増加 - 外部からの中途採用者の割合が20%から30%に上昇 - 新規事業領域での人材獲得が加速

  2. 日立製作所

    日立製作所は2014年から、グローバル共通の職務等級制度を導入し、ジョブ型雇用への移行を進めています。この取り組みにより、グローバルな人材の流動性が高まり、海外事業の拡大に貢献しています

    主な成果は以下の通りです: - 海外売上高比率が50%を超える - 外国人執行役員の比率が30%に上昇 - グローバル人材の育成と登用が加速

  3. 楽天グループ株式会社

    楽天は創業時からジョブ型雇用を採用しており、職務内容に基づく明確な評価制度と、能力主義の報酬体系を実現しています。この制度により、多様な人材の活用と、急速な事業拡大を可能にしています。

    主な特徴と成果は以下の通りです: - 社内公用語の英語化により、外国人材の活用が進む - 年齢や勤続年数に関わらず、能力に応じた昇進が可能 - イノベーティブな組織文化の醸成に成功

これらの成功事例から、ジョブ型雇用の導入が、グローバル化への対応や、イノベーションの促進に効果的であることが分かります。特に、専門性の高い人材の獲得や、適材適所の人材配置において、その効果が顕著に表れています。

失敗事例の紹介

一方で、ジョブ型雇用の導入に課題を抱えた企業もあります。以下に、典型的な失敗事例とその要因を分析します。

  1. A社(大手製造業)

    A社は、全社的にジョブ型雇用を一斉導入しましたが、従業員の反発や混乱を招き、生産性の低下を招きました。

    失敗の主な要因: - 従来のメンバーシップ型文化との急激な乖離 - 職務記述書の不十分な整備 - 管理職のマネジメントスキルの不足

  2. B社(中堅サービス業)

    B社は、ジョブ型雇用を導入しましたが、組織の硬直化と人材の流出を招きました。

    失敗の主な要因: - 狭義の職務定義による柔軟性の欠如 - キャリアパスの不明確さ - 評価制度の不適切な設計

  3. C社(IT企業)

    C社は、ジョブ型雇用の導入後、部門間の連携が悪化し、プロジェクトの遂行に支障が出ました。

    失敗の主な要因: - 職務範囲の明確化による部門間の壁の形成 - クロスファンクショナルな協力体制の欠如 - コミュニケーション不足による組織の分断

これらの失敗事例から、ジョブ型雇用の導入には慎重なアプローチが必要であることが分かります。特に、従来の組織文化との整合性や、柔軟な運用体制の構築が重要であると言えるでしょう。

導入のためのステップ

ジョブ型雇用を効果的に導入するためには、以下のようなステップを踏むことが重要です。

  1. 現状分析と目標設定

    まず、自社の現状を分析し、ジョブ型雇用導入の目的を明確にします。組織の課題や、期待される効果を具体的に洗い出すことが重要です。

  2. 段階的な導入計画の策定

    一斉導入ではなく、特定の部門や職種から段階的に導入することを検討します。パイロット部門での実施と効果検証を行い、その結果を踏まえて全社展開を進めることが望ましいでしょう。

  3. 職務記述書の整備

    各職務の役割、責任、必要なスキルを明確に定義した職務記述書を作成します。この過程で、現在の業務フローの見直しや、組織構造の最適化も検討します。

  4. 評価・報酬制度の設計

    職務内容と成果に基づく公平な評価制度と、それに連動した報酬体系を設計します。従来の年功序列的要素を見直し、能力と成果に応じた処遇を実現します。

  5. 人材育成プログラムの改革

    ジョブ型雇用に適した人材育成プログラムを整備します。専門性の向上と、キャリアパスの多様化を支援する施策を検討します。

  6. コミュニケーション戦略の立案

    従業員に対して、ジョブ型雇用導入の目的や意義を丁寧に説明します。不安や懸念を払拭し、新制度への理解と協力を得るための対話を重視します。

  7. 管理職の教育

    ジョブ型雇用下でのマネジメントスキルを向上させるため、管理職向けの研修プログラムを実施します。目標設定、評価、フィードバックなどの新しいスキルの習得を支援します。

  8. モニタリングと改善

    導入後も継続的にモニタリングを行い、課題や改善点を洗い出します。PDCAサイクルを回しながら、自社に最適な形に制度を調整していくことが重要です。

これらのステップを着実に実行することで、ジョブ型雇用の効果的な導入が可能になります。重要なのは、自社の実情に合わせて柔軟にアプローチすることです。一朝一夕には実現できませんが、長期的な視点で取り組むことで、組織の競争力向上につながるはずです。

次のセクションでは、メンバーシップ型雇用の導入事例について見ていきます。両者の特徴を比較することで、自社にとって最適な雇用形態を選択する上での重要な視点が得られるでしょう。

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メンバーシップ型雇用の導入事例

メンバーシップ型雇用は、日本の企業文化に深く根付いた雇用形態です。しかし、グローバル化や技術革新の進展に伴い、その在り方も変化しています。ここでは、メンバーシップ型雇用を効果的に活用している企業の成功事例と、課題に直面した失敗事例を分析し、現代におけるメンバーシップ型雇用の導入・維持のためのステップを考察します。

成功事例の紹介

  1. トヨタ自動車株式会社

    トヨタは、メンバーシップ型雇用の利点を活かしつつ、時代に適応した改革を行っています。「改善」の文化を重視し、長期的な視点での人材育成と、現場の創意工夫を融合させることで、高い競争力を維持しています

    具体的な取り組みと成果: - 「トヨタウェイ」による企業文化の浸透と継承 - 現場主義に基づく長期的な技能伝承システムの構築 - グローバル人材育成プログラムの充実

  2. 花王株式会社

    花王は、メンバーシップ型雇用の基盤の上に、能力主義的な要素を取り入れています。長期雇用を前提としつつ、個人の能力と成果を重視する評価制度を導入し、従業員の成長意欲を高めています

    主な特徴と成果: - 「花王ウェイ」による企業理念の浸透 - 社内公募制度と、キャリア開発支援プログラムの充実 - 女性活躍推進による多様性の向上

  3. セブン&アイ・ホールディングス

    セブン&アイは、小売業特有の現場重視の文化を維持しつつ、デジタル化時代に適応した人材育成を行っています。長期的な視点での人材育成と、変化に対応できる柔軟性を両立させています

    主な取り組みと成果: - 店舗運営ノウハウの蓄積と継承システムの構築 - デジタル人材育成プログラムの導入 - グループ内人材交流による多様なキャリアパスの提供

これらの成功事例から、メンバーシップ型雇用の長所を活かしつつ、時代の変化に適応する柔軟性が重要であることが分かります。特に、企業文化の継承と、個人の成長支援の両立が、成功の鍵となっています。

失敗事例の紹介

一方で、メンバーシップ型雇用の維持に課題を抱えた企業もあります。以下に、典型的な失敗事例とその要因を分析します。

  1. D社(大手電機メーカー)

    D社は、従来のメンバーシップ型雇用を維持し続けた結果、市場の変化に対応できず、競争力を失いました。

    失敗の主な要因: - 年功序列による組織の硬直化 - 新技術への対応の遅れ - グローバル人材の育成不足

  2. E社(老舗百貨店)

    E社は、メンバーシップ型雇用の下で、従業員の能力開発と評価制度の改革に失敗し、人材の流出と業績悪化を招きました。

    失敗の主な要因: - 能力主義的評価の不十分な導入 - キャリアパスの不明確さ - 若手従業員のモチベーション低下

  3. F社(中堅建設会社)

    F社は、メンバーシップ型雇用の長所を活かせず、技術の伝承と新技術の導入のバランスを崩しました。

    失敗の主な要因: - 暗黙知の形式知化の遅れ - 若手技術者の育成不足 - 新技術導入への抵抗感

これらの失敗事例から、メンバーシップ型雇用を維持する上で、時代の変化に適応する柔軟性と、従業員の成長を支援する仕組みが不可欠であることが分かります。

導入のためのステップ

現代のビジネス環境において、メンバーシップ型雇用を効果的に運用するためには、以下のようなステップを踏むことが重要です。

  1. 企業文化と価値観の再定義

    まず、自社の企業文化と価値観を明確に定義し、全従業員に浸透させます。長期的な視点での人材育成と、変化への適応力を両立させる価値観を構築することが重要です。

  2. 評価制度の改革

    年功序列的要素を見直し、能力と成果に基づく公平な評価制度を導入します。ただし、長期的な貢献も適切に評価される仕組みを維持することが大切です。

  3. キャリア開発支援の強化

    従業員の長期的なキャリア開発を支援するプログラムを整備します。社内公募制度や、副業・兼業の許可など、多様なキャリアパスを提供することを検討します。

  4. 技能伝承システムの構築

    ベテラン社員の持つ暗黙知を、若手社員に効果的に伝承するシステムを構築します。デジタル技術を活用したナレッジマネジメントシステムの導入も有効でしょう。

  5. 多様性の促進

    性別、年齢、国籍を問わず、多様な人材が活躍できる環境を整備します。ダイバーシティ&インクルージョンの推進により、組織の創造性と適応力を高めることができます。

  6. グローバル人材の育成

    海外経験や語学力の向上を支援するプログラムを充実させます。グローバルな視点を持つ人材を育成することで、国際競争力を強化します。

  7. デジタルスキルの強化

    全従業員のデジタルリテラシーを向上させる教育プログラムを導入します。AI・IoTなどの新技術に対応できる人材を社内で育成することが重要です。

  8. 柔軟な働き方の導入

    テレワークやフレックスタイム制など、多様な働き方を可能にする制度を整備します。ワークライフバランスの向上と、生産性の向上を両立させることを目指します。

  9. 組織の壁を越えた協働の促進

    部門間の人材交流や、クロスファンクショナルなプロジェクトチームの結成を促進します。組織全体の視点を持つ人材を育成し、イノベーションを促進します。

  10. 継続的な制度の見直し

    定期的に制度の効果を検証し、必要に応じて改善を行います。従業員の声を積極的に聞き、時代の変化に合わせて柔軟に制度を進化させることが重要です。

これらのステップを着実に実行することで、メンバーシップ型雇用の長所を活かしつつ、現代のビジネス環境に適応した人材マネジメントが可能になります。重要なのは、長期的な視点と短期的な成果のバランスを取ることです。

メンバーシップ型雇用の成功は、企業文化の強さと、変化への適応力の両立にかかっています。従業員の帰属意識と成長意欲を高めつつ、市場の変化に柔軟に対応できる組織づくりが求められます。

次のセクションでは、日本企業におけるジョブ型とメンバーシップ型の今後の展望について考察します。両者の長所を活かしたハイブリッド型の雇用形態など、新たな動向にも注目していきましょう。

日本企業におけるジョブ型とメンバーシップ型の今後

日本企業の雇用形態は、グローバル化やデジタル化の進展、そして新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、大きな転換期を迎えています。ここでは、ジョブ型とメンバーシップ型雇用の現状を分析し、今後の展望を予測します。さらに、企業が取るべきアプローチについて考察します。

現状の分析

日本企業における雇用形態の現状は、以下のように特徴づけられます。

  1. ジョブ型雇用への移行傾向

    近年、多くの大手企業がジョブ型雇用の導入を進めています。特に、グローバル展開を行う企業や、IT・金融などの専門性の高い業界で、その傾向が顕著です。

    具体的な動向: - ソニー、日立製作所などの大手電機メーカーが管理職を対象にジョブ型雇用を導入 - 楽天、サイバーエージェントなどのIT企業が全社的にジョブ型雇用を採用 - 三菱UFJ銀行など、金融機関でもジョブ型雇用の導入が進行

  2. メンバーシップ型雇用の維持と進化

    一方で、多くの日本企業は依然としてメンバーシップ型雇用を基本としています。ただし、その内容は徐々に変化しており、能力主義的要素の導入や、キャリア開発支援の強化などが進んでいます

    具体的な動向: - トヨタ自動車、花王などの製造業大手が、メンバーシップ型の長所を活かしつつ、能力主義的要素を導入 - セブン&アイ・ホールディングスなど、小売業でも長期的視点での人材育成と、変化への対応を両立 - 中小企業の多くが、従来のメンバーシップ型雇用を維持しつつ、柔軟な働き方の導入を検討

  3. ハイブリッド型雇用の台頭

    最近の傾向として、ジョブ型とメンバーシップ型の長所を組み合わせたハイブリッド型の雇用形態が注目されています。これは、日本の企業文化と、グローバルスタンダードの融合を目指す動きと言えるでしょう。

    具体的な動向: - 管理職以上をジョブ型、一般社員をメンバーシップ型とする二層構造の採用 - 職種や部門によって、ジョブ型とメンバーシップ型を使い分ける - メンバーシップ型を基本としつつ、専門職にはジョブ型を適用する

これらの現状から、日本企業の雇用形態が多様化し、各社の状況に応じた最適な形を模索している段階にあることが分かります。

今後の予測

今後の日本企業における雇用形態の展望について、以下のような予測が考えられます。

  1. ジョブ型雇用の更なる普及

    グローバル競争の激化や、専門性の高い人材の需要増加により、ジョブ型雇用の導入はさらに加速すると予想されます。特に、以下の分野での普及が進むでしょう。

    IT・AI関連の専門職

    グローバル展開を行う企業の管理職

    研究開発職や高度専門職

  2. メンバーシップ型雇用の進化

    伝統的なメンバーシップ型雇用も、時代の要請に応じて変化していくと予想されます。長期雇用の基本は維持しつつ、以下のような要素が強化されるでしょう

    成果主義的な評価制度の導入

    社内公募制度の活性化

    多様なキャリアパスの提供

  3. ハイブリッド型雇用の主流化

    多くの企業が、ジョブ型とメンバーシップ型の長所を組み合わせたハイブリッド型雇用を採用すると予想されます。その形態は、各社の事業特性や戦略に応じて多様化するでしょう。

  4. 雇用の流動化の進展

    ジョブ型雇用の普及や、働き方の多様化により、企業間の人材流動性が高まると予想されます。これにより、キャリア形成の選択肢が広がる一方で、企業は人材確保と育成の新たな課題に直面するでしょう。

  5. AI・自動化による雇用形態の変化

    AI・IoTなどの技術革新により、業務の自動化が進み、人間の役割が創造的・戦略的な領域にシフトすると予想されます。これに伴い、雇用形態も変化し、プロジェクトベースの雇用や、複数の職務を担当するマルチスキル型の雇用が増加する可能性があります。

企業が取るべきアプローチ

これらの予測を踏まえ、企業が取るべきアプローチについて考察します。

  1. 自社の特性に合わせた最適な雇用形態の選択

    ジョブ型、メンバーシップ型、ハイブリッド型のいずれを選択するにせよ、自社の事業特性、企業文化、人材戦略に合致した形態を慎重に選択することが重要です。

    具体的なアプローチ: - 経営戦略と人材戦略の整合性を確認 - 従業員の意識調査を実施し、現状の課題を把握 - 業界動向や競合他社の動きを分析

  2. 柔軟な制度設計と段階的な導入

    雇用形態の変更は、組織に大きな影響を与えます。柔軟な制度設計と、段階的な導入が成功の鍵となるでしょう。

    具体的なアプローチ: - パイロット部門での試験導入と効果検証 - 従業員とのコミュニケーションを重視した変革プロセス - 定期的な制度の見直しと改善

  3. 人材育成システムの強化

    どの雇用形態を選択するにせよ、継続的な人材育成は企業の競争力の源泉です。時代の変化に対応できる人材を育成するシステムの構築が求められます。

    具体的なアプローチ: - デジタルスキル教育の強化 - リーダーシップ開発プログラムの充実 - 自己啓発支援制度の拡充

  4. 多様性と包括性の推進

    グローバル化や価値観の多様化に対応するため、多様な人材が活躍できる組織づくりが重要です。

    具体的なアプローチ: - ダイバーシティ&インクルージョン推進部門の設置 - 女性管理職比率の向上目標の設定 - 外国人材の積極的な採用と登用

  5. テクノロジーの活用

    AI・IoTなどの技術を活用し、人事管理の効率化と高度化を図ることが求められます。

    具体的なアプローチ: - AIを活用した人材マッチングシステムの導入 - データ分析に基づく人材育成計画の策定 - VR・ARを活用した研修プログラムの開発

  6. 働き方改革の推進

    多様な働き方を可能にする制度の整備が、人材確保と生産性向上につながります。

    具体的なアプローチ: - テレワーク制度の拡充 - 副業・兼業の許可 - ジョブシェアリングの導入

これらのアプローチを総合的に推進することで、企業は変化する環境に適応し、持続的な成長を実現することができるでしょう。重要なのは、長期的な視点を持ちつつ、柔軟に対応していくことです。

日本企業の雇用形態は、今後も大きく変化していくことが予想されます。しかし、その中核にあるべきは、人材を最も重要な経営資源と位置付け、その育成と活用に真摯に取り組む姿勢です。この基本を忘れずに、時代の変化に適応した雇用形態を模索していくことが、企業の持続的な成長につながるのです。

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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の選び方

企業が最適な雇用形態を選択することは、経営戦略を実現し、持続的な成長を達成するうえで極めて重要です。ここでは、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の選び方について、企業のニーズ、業種別の適用例、そして従業員の視点から詳細に解説します。

企業のニーズに応じた選び方

企業がジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用を選択する際には、以下の要素を慎重に検討する必要があります。

事業戦略との整合性

企業の事業戦略が、雇用形態の選択に大きな影響を与えます。

  • グローバル展開を目指す企業 → ジョブ型雇用が適している
  • 国内市場に特化し、長期的な顧客関係を重視する企業 → メンバーシップ型雇用が有効
  • 必要とする専門性のレベル

業務に必要とされる専門性のレベルも、雇用形態の選択に影響します。

  • 高度な専門性が必要な職種が多い企業 → ジョブ型雇用が適している
  • 幅広い知識と経験が必要な職種が多い企業 → メンバーシップ型雇用が有効
  • 組織の規模と成長段階

企業の規模や成長段階によっても、適した雇用形態は異なります。

  • 急成長中のスタートアップ企業 → ジョブ型雇用が適している(素早い人材確保と柔軟な組織変更が可能)
  • 安定成長期の大企業 → メンバーシップ型雇用やハイブリッド型が有効(長期的な人材育成と組織の安定性を両立)
  • 企業文化と価値観

企業の文化や価値観も、雇用形態の選択に大きな影響を与えます。

  • イノベーションと変化を重視する文化 → ジョブ型雇用が適している
  • チームワークと調和を重視する文化 → メンバーシップ型雇用が有効
  • 人材の流動性

業界内の人材の流動性も考慮する必要があります。

  • 人材の流動性が高い業界 → ジョブ型雇用が適している(市場価値に基づく報酬設定が可能)
  • 人材の流動性が低い業界 → メンバーシップ型雇用が有効(長期的な人材育成が可能)
  • 技術革新のスピード

業界の技術革新のスピードも、雇用形態の選択に影響します。

  • 技術革新が速い業界 → ジョブ型雇用が適している(専門スキルの獲得と更新が容易)
  • 技術の成熟度が高い業界 → メンバーシップ型雇用が有効(蓄積された知識やノウハウの活用が重要)

これらの要素を総合的に判断し、自社に最適な雇用形態を選択することが重要です。また、全社一律での導入ではなく、部門や職種によって異なる雇用形態を採用する「ハイブリッド型」の選択肢も考慮すべきでしょう。

業種別の適用例

各業種の特性に応じた雇用形態の選択例を見ていきましょう。

  1. IT・テクノロジー業界

    適した雇用形態:ジョブ型雇用

    理由:専門性の高いスキルが必要、技術革新が速い、グローバル競争が激しい

    適用例:プログラマー、データサイエンティスト、UXデザイナーなど

  2. 製造業

    適した雇用形態:ハイブリッド型

    理由:長期的な技術の蓄積が重要、一方で専門職も必要

    適用例:研究開発職はジョブ型、生産管理職はメンバーシップ型など

  3. 金融業

    適した雇用形態:ハイブリッド型

    理由:専門性の高い職種と、幅広い知識が必要な職種が混在

    適用例:トレーダーや投資アナリストはジョブ型、営業職はメンバーシップ型など

  4. 小売業

    適した雇用形態:メンバーシップ型(一部ジョブ型)

    理由:顧客サービスの質が重要、幅広い業務経験が有効

    適用例:店舗スタッフはメンバーシップ型、マーケティング専門職はジョブ型など

  5. コンサルティング業

    適した雇用形態:ジョブ型(一部メンバーシップ型)

    理由:高度な専門知識が必要、プロジェクトベースの業務が多い

    適用例:専門コンサルタントはジョブ型、若手育成はメンバーシップ型的アプローチなど

  6. 建設業

    適した雇用形態:メンバーシップ型(一部ジョブ型)

    理由:長期的なプロジェクト管理が重要、技術の蓄積が必要

    適用例:現場監督はメンバーシップ型、設計専門職はジョブ型など

これらの例は一般的な傾向を示すものであり、各企業の具体的な状況に応じて、最適な雇用形態を選択する必要があることに注意してください。

従業員の視点から見た選び方

雇用形態の選択は、従業員のキャリア形成や働き方にも大きな影響を与えます。従業員の視点から見た場合、以下のような要素が重要になります。

  1. キャリアの方向性

    専門性を極めたい従業員 → ジョブ型雇用が適している

    幅広いスキルを身につけたい従業員 → メンバーシップ型雇用が有効

  2. ワークライフバランス

    明確な役割範囲を求める従業員 → ジョブ型雇用が適している

    柔軟な役割変更を好む従業員 → メンバーシップ型雇用が有効

  3. 報酬への期待

    成果に応じた高い報酬を求める従業員 → ジョブ型雇用が適している

    安定した収入と長期的な報酬の上昇を期待する従業員 → メンバーシップ型雇用が有効

  4. 雇用の安定性

    市場価値に基づく雇用を望む従業員 → ジョブ型雇用が適している

    長期的な雇用関係を重視する従業員 → メンバーシップ型雇用が有効

  5. キャリアの可能性

    社外でのキャリア展開も視野に入れる従業員 → ジョブ型雇用が適している

    同一企業内でのキャリアアップを目指す従業員 → メンバーシップ型雇用が有効

  6. 学習と成長の機会

    特定分野での深い学習を望む従業員 → ジョブ型雇用が適している

    幅広い経験を通じた成長を望む従業員 → メンバーシップ型雇用が有効

企業は、これらの従業員の視点も考慮に入れ、人材の確保と定着を実現する雇用形態を選択する必要があります。また、従業員の多様なニーズに応えるため、複数の雇用形態を併用するハイブリッド型のアプローチも検討に値するでしょう。

最後に、雇用形態の選択は、一度決定したら終わりというものではありません。事業環境の変化や従業員のニーズの変化に応じて、常に見直しと改善を行うことが重要です。定期的な評価と柔軟な対応が、企業の持続的な成長と従業員の満足度向上につながるのです。

まとめ

本記事では、ジョブ型とメンバーシップ型の雇用形態について詳細に解説してきました。両者には明確な違いがあり、それぞれに長所と短所が存在します。日本企業は現在、グローバル化やデジタル化の波の中で、最適な雇用形態を模索している段階にあると言えるでしょう。

ジョブ型雇用は専門性と成果を重視し、グローバルスタンダードに適合しやすいという特徴があります。一方で、メンバーシップ型雇用は長期的な人材育成と組織の一体感を重視する点で優れています。どちらが優れているというわけではなく、企業の戦略や業界の特性、さらには従業員のニーズに応じて、最適な形を選択することが重要です。

今後は、ジョブ型とメンバーシップ型の長所を組み合わせたハイブリッド型の雇用形態が主流になっていく可能性が高いでしょう。企業は、自社の特性を十分に分析し、柔軟かつ戦略的に雇用形態を選択・設計していく必要があります。

ジョブ型かメンバーシップ型か、あるいはそのハイブリッドか。その選択は、企業の未来を左右する重要な決断となるでしょう。本記事が、その意思決定の一助となれば幸いです。

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