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中途採用のオンボーディング事例|公開記録4社と統計

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中途入社者のオンボーディングは、すでに多くの職場で回っています。厚生労働省の『令和2年転職者実態調査の概況』(令和3年11月8日公表)によると、転職者がいる事業所のうち教育訓練を実施した事業所は74.5%でした。

一方で、実施しているかどうかと、うまくいっているかどうかは別の話です。同じ調査で、情報通信業では採用時に問題があるとした事業所のうち38.0%が「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」を挙げており、全産業の17.8%の2倍を超えています。入口は整っていても、入社後の置き場所が決まっていない職場がある、ということです。

この記事は2つを出します。1つは、公的統計で見た中途採用オンボーディングの実施水準と、崩れている箇所。もう1つは、各社が自社のブログで公開している中途入社オンボーディングの記録4件です。取材記事や解説記事だけに残る事例は扱わず、その会社自身が書いたものに限りました。

目標やKPIの置き方はオンボーディングの適切な目標設定、設計全体の5段階はオンボーディング設計の5段階と定着・育成の組み方で扱っています。本稿は事例と失敗の型に絞ります。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

オンボーディングが指すのは自力で成果を出せるまでの支援

オンボーディングは、入社した人が組織のやり方を理解し、任された役割を自力で回せる状態になるまでを支える一連の取り組みです。対象は手続きや研修だけではなく、誰が面倒を見るか、いつ何を任せるか、どこで評価を擦り合わせるかまでを含みます。

中途入社者の場合、職務そのものの経験は持っている前提になります。埋めるのは、自社固有の判断基準・意思決定の通し方・関係者の地図の3つです。ここが埋まらないまま時間が過ぎると、経験があるがゆえに周囲も本人も相談を切り出しにくくなります。

OJT(On-the-Job Training)との違いは範囲です。OJTは業務を通じた教育の手法を指し、オンボーディングはその手法を含む受け入れ全体の設計を指します。統計上も、転職者への教育訓練の中身は計画的なOJTが中心で、その前後の設計が各社の差になっています。

転職者への教育訓練は事業所の74.5%が実施している

転職者がいる事業所のうち、転職者に対して教育訓練を実施した事業所は74.5%です。実施しなかった事業所は22.8%、不明が2.7%でした。

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」(令和3年11月8日公表・事業所調査の有効回答9,149事業所)。

前回調査(平成27年)の74.4%からほぼ動いていません。オンボーディングという言葉の広まりとは別に、受け入れ時の教育そのものは、以前から転職者がいる事業所の4分の3が行っていたことになります。

実施率は事業所の規模で24.8ポイント開く

同じ調査を事業所規模で割ると、実施率の差がはっきり出ます。

事業所規模

教育訓練を実施した

1,000人以上

94.8%

300〜999人

93.1%

100〜299人

89.4%

30〜99人

84.6%

5〜29人

70.0%

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表8(令和3年11月8日公表)。

1,000人以上と5〜29人の差は24.8ポイントです。事例を探すとき、この差を頭に置いておくと読み違いが減ります。大企業の事例に出てくる専任担当者や研修部門は、5〜29人規模の職場にはそもそも置けません。

規模の近い会社の記録を先に読み、そのうえで大企業の記録から仕組みの考え方だけを取り出す、という順番が現実的です。

エンジニア採用力チェックでは、採用ページや求人票、技術発信といった企業の公開情報を5指標24項目で採点できます。入社後の受け入れ体制は採点の対象外ですが、開発環境や制度が候補者にどう伝わっているかを確かめる材料になります。

実施の中身は計画的なOJTに寄っている

教育訓練を実施した事業所を100としたとき、実施した内容の内訳は次のとおりです。

実施した教育訓練の種類

全産業

情報通信業

計画的なOJT

79.4%

79.7%

OFF-JT(計)

59.9%

74.2%

うち入職時のガイダンス

46.6%

69.5%

うち職務遂行に必要な能力・知識を付与する教育訓練

34.5%

26.1%

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表8(令和3年11月8日公表・複数回答)。

情報通信業は入職時のガイダンスが69.5%と全産業を22.9ポイント上回る一方、職務遂行に必要な能力・知識を付与する教育訓練は26.1%で全産業を8.4ポイント下回ります。初日の案内は手厚く、その後の職務教育は現場のOJTに委ねる形が多い、と読めます。

入職時のガイダンスで最も高いのは金融業・保険業の81.3%、次いで電気・ガス・熱供給・水道業の69.6%、情報通信業の69.5%でした。

事例を読む前に、その記録を誰が公開したかを確かめる

オンボーディングの事例は、出所によって使える情報の量がまったく違います。確かめる点は3つです。

  1. その会社自身が公開したものか、取材記事や解説記事に引用された話か
  2. 対象が中途入社者か、それ以外を含むか
  3. いつの記録か

このうち1つ目が最も重要です。会社自身が書いた記録には、実施項目の名前・担当者・期間といった再現に要る要素が残ります。取材記事や解説記事に引用された話では、成果の数値がいつ何を分母に測られたのかを辿れないことが多いです。

本稿は、各社が自社のブログで公開している記録4件だけを扱います。出所の年月と書き手の立場もあわせて示しました。

自社の採用と受け入れの現状を整理するところから始めるなら、Offersの採用成功事例集に他社の進め方をまとめています。

各社が自社で公開している中途入社オンボーディングの記録4件

4社とも、対象が中途入社者であることを記事中で明示した記録です。

GMOペパボは、受け入れ側の作業を事業部と組織の2層に分けている

GMOペパボ株式会社(GMO Pepabo, Inc.)は2018年4月18日、技術ブログ「Pepabo Tech Portal」で、中途入社のエンジニア向けに「ペパボカクテル」を開始したことを公開しました。書き手は執行役員CPO(Chief Productivity Officer)兼技術部長のhsbt氏です。

実施項目は2層に分かれています。事業部側は「メンターの決定」「懇親会の企画」「やっていきシートの作成」「ふりかえり」の4つ。エンジニア組織側は、社内の技術発表会での自己紹介、CTOとの1on1、VPoE(VP of Engineering)との1on1、スケジュールランチの開催の4つです。

やっていきシートには「1ヶ月後の目標」「2ヶ月後の目標」「3ヶ月後の目標」と振り返りを書きます。入社した本人が何をやりたいかを書き、メンターがその実現を支援する形です。

出所:GMOペパボ株式会社「中途入社のパートナー向けにペパボカクテルを開始しました」(Pepabo Tech Portal・2018年4月18日)。

この記録の使いどころは、受け入れ作業を「配属先がやること」と「職能組織がやること」に切り分けている点です。誰の仕事か決まっていない作業は誰もやらないので、この切り分けは規模を問わず真似できます。

株式会社はてなは、受け入れ作業をGitHubのIssueで一覧にしている

株式会社はてなは2022年6月15日、「Hatena Developer Blog」で中途入社エンジニアのオンボーディング実例を公開しました。書き手は2022年5月入社のiOS/Androidエンジニア、tokizuoh氏です。

中心にあるのは「Welcome Issue」です。GitHubのIssueテンプレートから生成され、プロジェクトに馴染むために実施するタスクの一覧が書かれています。Slackチャンネルへの招待、アカウントの発行、開発ツールの導入、リポジトリのビルドといった環境構築が並ぶ内容です。

あわせて、全エンジニアにメンターが付くこと、ディレクターがプロジェクトの位置付けとゴールを共有すること、軽微な開発タスクで最初のプルリクエストを出すところまでが記録されています。

出所:株式会社はてな「中途入社エンジニアが体験した、はてなにおけるオンボーディングの実例」(Hatena Developer Blog・2022年6月15日)。

受け入れ作業を、日常的に使っている道具の上に置いているのがこの記録の要点です。別の管理表を新設すると更新が止まりますが、Issueなら普段の作業と同じ場所に残ります。

サイボウズは、チームごとに散っていた資料を共通化して研修期間を独立させた

サイボウズは2026年7月10日、「Cybozu Inside Out」でキャリア入社者のオンボーディングを設計し直した経緯を公開しました。書き手は開発本部でオンボーディングを担当する@karihei氏です。

設計し直す前の問題として、3つが挙げられています。チームによってオンボーディングの内容や密度が異なること、同じテーマなのに別々に資料を用意してしまっていること、資料がどんどん古くなりメンテナンスの手間がかかることです。

対応も3つです。資料をkintoneでデータベース化して共通資料に統一すること、キャリア入社者専用の研修期間を本部として独立に設けること、体系的に学べるよう順序立ててeラーニング化することでした。記事は取り組み開始から半年時点の報告として書かれています。

出所:サイボウズ株式会社「キャリア/中途入社者のオンボーディングをゼロから設計し直した話」(Cybozu Inside Out・2026年7月10日)。

本部として共通の資料とeラーニングまで作り直した記録です。オンボーディングは作って終わりではなく、資料の陳腐化とチーム間のばらつきが必ず出る、という前提で読むと使えます。

職種の異なる参考として、アンドパッドはデザイナーの実務体験を4プロダクト計24日間で組んでいる

株式会社アンドパッド(ANDPAD)は2025年12月4日、技術ブログ「ANDPAD Tech Blog」で中途入社デザイナーのオンボーディングを公開しました。書き手は2025年6月入社のUI/UXデザイナー(UI=画面や操作の設計、UX=利用体験の設計)、いしはら氏です。

構成は全社研修とデザイナー向けオンボーディングの2本立てです。全社研修は毎月月初に5日間。デザイナーのオンボーディングは約2ヶ月間で、内訳は次のとおりです。

時期

内容

1週目

基礎オンボーディング(業界と自社、自社のデザイナーについての講義)

2〜3週目

各プロダクトのオンボーディング(ペルソナ、ユースケース、ウォークスルーの説明)

4〜11週目

実務体験(4プロダクトで各6日間・計24日間)

出所:株式会社アンドパッド「中途UI/UXデザイナーが入社3ヶ月で自走するまでのオンボーディング」(ANDPAD Tech Blog・2025年12月4日)。

説明を聞く期間と手を動かす期間が日数で決まっている点が、この記録の特徴です。慣れてきたら実務へ、という曖昧な移行にしないことで、受け入れ側も本人も進み具合を同じ基準で見られます。

4社に共通するのは、受け入れ側の作業を先に決めていること

4件を並べると、内容はばらばらでも構えは同じです。

会社

公開年月

受け入れ側の作業をどこに置いたか

GMOペパボ

2018年4月

事業部と職能組織で担当を分割

株式会社はてな

2022年6月

GitHubのIssueテンプレート

サイボウズ

2026年7月

kintone上の共通資料とeラーニング

株式会社アンドパッド(デザイナー)

2025年12月

週単位・日数単位のプログラム

いずれも、入社した本人に何をさせるかより先に、受け入れる側が何をするかを決めています。メンターを誰にするか、資料をどこに置くか、いつ何をするか。この3つが決まっていない状態で施策だけ増やしても、担当者の手が空いているときだけ回る仕組みになります。

もう1つの共通点は、記録を公開していること自体です。社外に出す前提で書くと、実施項目が言語化されます。社内向けの口伝だけで回していると、担当者が変わった時点で内容が失われがちです。

採用の入口側から受け入れまでを外部と組んで進める選択肢もあります。AI RPOは募集から選考運用までを引き受ける形、予算型リテーナー採用は採用目標に対して継続的に伴走する形です。

中途採用のオンボーディングが崩れる型は、統計にも現れている

事例が示すのは成功した側の形です。崩れる側は、同じ調査の別の表から読めます。

情報通信業は「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」が全産業の2倍を超える

転職者がいる事業所のうち、転職者を採用する際に問題があるとした事業所は84.1%でした(前回・平成27年は82.0%)。問題があるとした事業所を100とした内訳は次のとおりです。

採用する際の問題(複数回答)

全産業

情報通信業

必要な職種に応募してくる人が少ないこと

67.2%

60.4%

応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと

38.8%

45.6%

採用時の賃金水準や処遇の決め方

32.3%

37.4%

採用後の処遇やキャリア形成の仕方

17.8%

38.0%

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表7(令和3年11月8日公表・複数回答)。

この4項目のうち全産業で最も少ない「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」が、情報通信業では38.0%まで上がります。全産業との差は20.2ポイントです。事業所規模1,000人以上でも38.3%と高く、組織が大きいほどこの問題が表に出ます。

ここが崩れると、オンボーディングの施策を足しても届きにくくなります。入社後の面談で本人が確かめたくなるのは、次に何を任されるかと、どうなれば評価が上がるかだと考えられるためです。等級・評価基準・想定するキャリアの道筋を、施策より先に用意する順番になります。

エンジニア採用力チェックは、この順番が自社で揃っているかを項目単位で確かめられる道具です。

満足度は仕事内容で高く、賃金で低い

転職者本人の側から見ると、満足している項目とそうでない項目がはっきり分かれます。比べる物差しはD.I.(ポイント)で、「満足」「やや満足」の割合から「不満」「やや不満」の割合を引いた値です。

満足度項目

D.I.(ポイント)

仕事内容・職種

60.5

人間関係

45.5

職業生活全体

42.0

賃金

19.5

出所:厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表22(令和3年11月8日公表・個人調査の有効回答5,530人)。

全項目で満足が不満足を上回っていますが、賃金は19.5ポイントで最も低くなります。オンボーディングの施策で動かせるのは、主に人間関係と仕事内容の側です。賃金の不満は受け入れ施策では解けないので、内定通知書の給与の書き方のように入社前の条件提示の段階で扱う論点になります。

職業生活全体のD.I.は事業所規模で開きます。1,000人以上が60.1ポイント、5〜29人が36.6ポイントで、その差は23.5ポイントです。規模の小さい職場ほど、受け入れの設計で取り返す余地が大きいとも読めます。

人間関係と仕事内容に手を入れる施策の考え方は、従業員エンゲージメントとはでも扱っています。

転職者の21.0%が「機会があれば転職したい」と答えている

今後の転職希望を見ると、「今の職場で今後も働きたい」が52.7%、「わからない」が24.9%、「機会があれば転職したい」が21.0%でした。

前回調査の17.6%から3.4ポイント上がっています。転職して入った人の5人に1人が、次の機会を考えたまま働いている計算です。

この割合を下げることがオンボーディングの目的である、と短絡すると測定が難しくなります。実際に測るなら定着率のほうが扱いやすく、その計算方法と平均値の使えなさは中途採用の定着率とはで扱っています。労働市場全体の動き方は離職率とはを参照してください。

受け入れの工数は、採用計画の段階で見積もっておく

オンボーディングが回らない理由には、設計の巧拙とは別に、工数の未計上があります。採用人数を決める段階で受け入れ側の時間を積んでいないと、入社の月にだけ負荷が集中します。

採用の計画と受け入れの工数を同じ表で管理する型は、採用KPIを管理するための参考シートにまとめました。

入職と離職の差は、情報通信業で3.2ポイントある

受け入れが年に何回発生するかは、産業ごとの人の出入りからおおよそ見当が付きます。

区分

入職率

離職率

入職超過率

産業計

14.7%

13.7%

1.0ポイント

情報通信業

13.6%

10.4%

3.2ポイント

出所:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概要」表4-2(令和7年・就業形態計)。

情報通信業は離職率が産業計より3.3ポイント低く、入職超過率は3.2ポイントで産業計の3倍を超えます。一方、入職率は13.6%で、産業計の14.7%より低い水準です。離職が少ないぶん、人が残って増えていく産業です。

受け入れ工数を採用単価と同じ表に載せる

GMOペパボの記録では、やっていきシートに3ヶ月後までの目標を書き、メンターがその実現を支援します。受け入れる側にもその期間ぶんの時間がかかるという前提で計画を組むのが現実的です。

採用数と工数の見通しを立てるなら、採用KPIを管理するための参考シートに計画の型をまとめています。費用側の考え方をまとめたのが採用単価の定義です。

社内の工数が足りない場合、採用の実務を外に出して受け入れに人を回す組み方もあります。募集から選考運用までを任せるならAI RPO、採用目標に対して継続的に伴走する形なら予算型リテーナー採用が近い選択肢です。

自社で記録を残すと、次の受け入れが速くなる

4社の記録に共通していたのは、実施項目が文字になっていることでした。これは公開の有無とは別に、社内で価値を持ちます。

株式会社overflowが運営するOffersでも、採用の実務で同じことが起きています。株式会社コアソフトの事例では、8ヶ月で受託開発チームのテックリードと、SES(システムエンジニアリングサービス)チームのプロジェクトリーダーの2名が入社しました。応募は約13件、面接は3名で、2名が内定を承諾しています。

同社の人事グループマネージャーは、テックリードとして入社した人について「入社から約1ヵ月が経った現在も周囲と円滑にコミュニケーションを取りながら業務を進めており、チームによい影響を広げてくれそう」と述べました。

出所:Offers 導入事例「株式会社コアソフト」(株式会社overflow・2026年9月20日時点)。

入口の設計と入社後の立ち上がりは、別々の話に見えて同じ要件定義から出ています。どの役割を任せるつもりで採用するのかが決まっていれば、受け入れ初日の課題もそこから逆算できるはずです。要件の置き方は母集団形成とは、選考の詰まりどころは採用の歩留まりで扱っています。

自社の採用要件と受け入れ体制をまとめて見直すなら、Offersのサービス概要が入口です。ほかの企業の進め方は採用成功事例集にまとめてあります。

よくある疑問への答え

中途入社者のオンボーディングは何ヶ月が目安か

公的統計に期間の基準はありません。本稿が扱った記録では、GMOペパボのやっていきシートが3ヶ月分の目標を書く形でした。自社の役割の複雑さと、既存メンバーが割ける時間から決める話になります。

新しく入った人が自分で動けるようになったと、どう判断するか

判断の基準は、目標として先に置いておくものです。入社から何ヶ月でどの範囲を1人で回すかを受け入れ前に決め、面談で突き合わせます。具体的な置き方はオンボーディングの適切な目標設定で扱っています。

中途入社者にも全社共通の研修をそのまま当てればよいか

そのままでは合いません。転職者の教育訓練では計画的なOJTが79.4%と最も多く、職務遂行に必要な能力・知識を付与する教育訓練は34.5%にとどまります(厚生労働省「令和2年転職者実態調査の概況」表8)。前職での経験がある前提で、自社固有のやり方と判断基準に絞るのが実務上の形です。

少人数の会社でも回せるか

回せます。転職者がいる5〜29人規模の事業所でも、教育訓練の実施率は70.0%です。専任担当者を置けない場合は、はてなの記録のように、普段使っている道具の上にタスク一覧を1つ作るところから始められます。他社の進め方は採用成功事例集にまとめてあります。

エンジニアの受け入れで特に気をつける点は何か

情報通信業では、採用時に問題があるとした事業所のうち38.0%が「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」を挙げており、全産業の17.8%を大きく上回る値です。等級と評価基準、任せる範囲の広げ方を先に決めておくことです。入社後の様子まで記録した事例としては株式会社コアソフトのページがあります。

外部の支援を使うとしたら、どこから頼めるか

採用の実務と受け入れのどちらが詰まっているかで変わります。募集・選考の運用が詰まっているなら採用代行、受け入れ側の設計が詰まっているなら社内で先に担当を決めるのが順番です。サービスの範囲はOffersのサービス概要にまとめています。

事例と統計から分かったこと

中途採用のオンボーディングについて、公的統計と各社の公開記録から分かったことを整理します。

  1. 転職者がいる事業所の74.5%が教育訓練を実施している。ただし1,000人以上が94.8%、5〜29人が70.0%で、規模による差が24.8ポイントある
  2. 実施の中身は計画的なOJTが79.4%で中心。情報通信業は入職時のガイダンス69.5%が高い一方、職務遂行に必要な能力・知識を付与する教育訓練は26.1%と低い
  3. 情報通信業では、採用時に問題があるとした事業所のうち38.0%が「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」を挙げ、全産業の17.8%の2倍を超える。施策より先に、等級と評価基準を決める順番になる
  4. 各社が自社で公開している記録4件に共通するのは、受け入れ側の作業を先に決めていること。担当・置き場所・日程の3つを先に決めるのが出発点になる、というのが編集部の見立て

事例を自社に持ち込むときは、規模と職種の近さを先に見てください。そのうえで、受け入れ側の作業を書き出すところから始めるのが、記録を残した4社に共通する出発点でした。

採用の入口から見直すなら、エンジニア採用力チェックで候補者から見える情報を採点し、採用KPIを管理するための参考シートで計画に工数を積む順序が実務的です。実務を外に出す場合の選択肢はAI RPOと予算型リテーナー採用にまとめています。中途採用そのものの進め方は中途採用とはを参照してください。

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